アソシエーション 革命をめざして
      「アソシエーション革命をめざして」発刊に当たって
2001年2月15日 『ワーカーズ』事務局

 私たちワーカーズは、二一世紀における社会主義の復権をめざし、その一環としてこれまで社会主義研究事業に取り組んできました。その第一期として1997年12月、私たちなりの『新しい社会主義像』を「『アソシエーション社会』=私たちのめざす共同社会」にまとめ、広く討論を呼びかけてきました。
 この『アソシエーション社会』は「新たな社会主義のイメージ」としてまとめられたとおり、あるべき社会の未来像の域を出たものではなく、私たちとしてはそれ以降引き続き、アソシエーション社会を実現する方法論ともいうべき「現代革命のみちすじ」について研究作業に取り組んできました。この研究作業の途上では若干の空白期間もありましたが、二一世紀の幕開けのこの一月末に『アソシエーション革命をめざして』――現代革命のみちすじ――としてとりまとめることができました。
 この『アソシエーション革命をめざして』は、ワーカーズの綱領として決定したものではなく、これからの闘いのみちすじに関する現時点での自己了解であり、また同時に多くの労働者・諸グループとの共通認識の形成に向けた一つの素材を提案するものです。内容的にもアソシエーション社会を実現するための「戦略的なみちすじ」の概略をとりまとめたもので、情勢などに関しては基礎的な領域での分析に止まるなど、きわめて限定的な「戦略試論」といえます。
 とはいえ、二一世紀の幕開けを迎えた現在、社会主義をめざす基本的なスタンスというレベルにおいてさえ、労働者の陣営のなかに確固とした立脚点があるとはいえない状況にあります。だからこそ労働者階級の闘いの拡大のためにも資本主義社会が到達した地点に立った新しい戦略を打ち立て、それを共有していくことは労働者や多くの政治グループにとって現時点における不可欠の課題でもあります。
 このパンフはこうした課題を共同で進めていくうえでの、私たちなりのささやかな問題提起として受け止めていただき、戦略的な基盤づくりを多くの人々と共同で取り組んでいきたいと考えています。

 アソシエーション革命をめざして 
 ――現代革命の道筋について――

2001.1.28 ワーカーズ臨時総会
もくじ
1、はじめに
2、現代資本主義の特徴
 1)破綻する市場経済
 2)閉塞状況の日本資本主義
 3)情報ネットワーク時代
 4)グローバリゼーションとアソシエーション
 5)現代における労働者階級の状態
3,戦後日本の経済的支配構造
 1)企業社会へ統合された労働者――日本的労資関係
 2)階層的支配
 3)日本的労資関係の解体
 4)日本的社会保障システムの解体と再編
 5)形成される階級としての労働者
4、戦後日本の政治支配構造
 1)政官業癒着体制
 2)国民統合システム
 3)日本型市民社会の現実
 4)権力支配
5,新しい戦略論
 1)アソシエーション革命の性格
 2)自由主義から協同主義へ――「理念」について
 3)所有権・経営権を労働者の手に獲得する――目的(戦略課題)について
 4)企業の公的事業体への転換と労働者管理を――「要求」について
 5)労働者・市民による「対抗運動」「対抗社会」の形成を――「運動」について
6,私たちのめざすべき労働者党の性格
 1)労働者党の必要性、必然性
 2)前衛党から水平的な双方向の党へ
 3)諸運動とともに成長する労働者党
 4)労働者権力をめざす労働者党
 5)国際連帯にもとづく党
7,労働者党の組織原理
 1)労働者階級の一部としての党
 2)ネットワーク的単一組織
 3)民主主義的中央集権制=民主集中制から民主主義へ
 4)公開制の実現

1、はじめに

 いま多くの労働者は、これまで築きあげてきた生活が足元から崩れ、営々と「のぼりつづけてきた坂の上」の向こうには荒涼たる未来しかないかのような不安感に襲われながら生活している。
 90年代に私たちが体験したのはリストラの名による大失業と日々襲う首切りの不安、ちっとも短くならない労働時間、中高年を直撃する賃下げ、正規社員からパート・派遣などの不安定雇用化、働き盛りの自殺者の急増、等々。他方では子供を産み、育てづらい社会、教育荒廃や若年者の就職難、少子高齢化社会における年金・医療システムのメルトダウンともいうべき破綻等々。いま私たちは漠とした不安に包まれ、未来を描けない閉塞状況の中に追い込まれている。
 明治以来100年単位の変革期といわれるいま、私たち労働者は、これまでの社会システムや価値観そのものを根本から見直し、明確な将来ビジョンを描き、それに至る確固とした道筋を獲得しなければ、明日の生活を開けない時代に入っている。
 こうした時代認識に立ち、私たちはさきに提案した「私たちのめざす『共同社会』」を実現する道筋として、アソシエーション革命の理念・目標・要求・運動・組織というすべての領域でこれまでの既成観念の克服をめざし、この試論をトータルな対案として提案することとした。
 私たちの試みは、あくまで現時点での初歩的な提案であって、今後多くの人々と協議・協同することでよりふさわしいものに発展させていきたい。

2、現代資本主義の特徴

 1)破綻する市場経済

○資本主義社会では、社会の構成員は法律的にも人格的にも平等だと謳われているが、現実には生産手段を所有している資本家階級が、労働力しか持っていない労働者階級を搾取している階級社会である。しかし、この社会は、アソシエーション社会に移行するための三大条件を準備した。
○第一に、株式会社という経営体の創設がある。この経営体は、株式を所有する資本家が直接経営するのではなく、実際の経営は機能資本家としての経営者に任せるという資本家階級内の分業の発生によって成立した。この資本所有と資本機能の分離は、そこで働く労働者たちが、この資本を機能させる権限を掌握すれば、資本家階級がいなくても労働者階級だけで社会を運営できる可能性をつくりだした。
○第二に、コンピュータ制御生産等に代表される国境を越える高度に発展した生産力の獲得であり、第三に、人類史的にも初めての全世界規模の世界市場の成立である。これらの諸条件によって、アソシエーション社会へ移行する物質的基礎が整備された。
○1991年のソ連の崩壊により、資本主義は勝利したと宣伝されてきたが、90年代を特徴づけるものは、弱肉強食の世界市場の出現、すなわち剥き出しの資本主義の本性の露出であった。一元的世界市場の成立の中で、実体経済を百倍する投機マネーが国境を越えて飛び交い、アジア通貨危機やロシアの国家的破産などを招来し、資本主義は世界を統合した瞬間から不安定化と腐朽化を一層深めている。
○そうした中で、大競争時代と大失業時代に個々の労働者は否応なく翻弄されている。また飽食の階級と明日の生活にも事欠く階級への二分化が、資本主義各国でも進行し、同時に社会保障システムは大幅に切り捨てられている。
○こうしたなりふり構わぬ資本の利潤追求至上主義による世界的な開発の嵐は、至る所で自然破壊と生態系の破壊をもたらしている。

 2)閉塞状況の日本資本主義

○日本でも、最近は失業率が5%、失業者は300万人を越えている。雇用破壊、賃金破壊は、個々の労働者の肩に重くのしかかり、労働者の生活水準は10年前より確実に悪化している。さらにここ1〜2年は自殺者が3万人を越える事態になるなど、労働者は80年代には全く考えられなかった生活不安に日々圧迫される事態に晒されている。
○こうした一方で、1996年には、世界のGDPの18%を占めていた日本は、1999年には12.7%にまで落ち、その落差は100兆円、生産力の稼働率は6割を切るかどうかにまで立ち至っている。湯水のように使った借金は国地方併せて650兆円、日本資本主義の危機はこの数字に端的に表現されている。
○出口のない停滞はこれからますます深刻になる。これらは利潤追求を目的とした市場経済や利潤獲得が至上命題の資本主義的生産が、すべての人類を豊かにさせるため基礎となる労働の生産性の活用や全面的な発展を、大きく制約していることに起因している。
○今こそ私たちは、この資本の作り出した産物である豊かな生産力を、市場経済や資本主義的生産というう制約から解放し、景気循環や恐慌のない社会、他人の発展が自分自身の発展の条件となる自由で平等なアソシエーション社会をめざす以外にない。

 3)情報ネットワーク時代

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○コンピュータの発展は、生産部面でのコンピュータ制御を可能にし、ロボット作業やNC工作機などによってに生産部門の一大革命を引き起こした。さらにはIT技術革命によって事務処理部門や流通部門や消費部門にも一大革命をもたらしつつある。
○資本主義における生産と消費の宿命的な不均衡の一時的な調整は、市場の自由競争にゆだねるのであるがこの矛盾は、経済循環や恐慌となって爆発してきた。しかし、コンピュータの情報通信革命によって、実際の消費者の必要量を把握しながら生産する技術を獲得したことは、消費と生産の直接的な結合という意味でアソシエーション社会での生産の基盤を準備するものでもある。

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○インターネットをはじめとする情報技術の発達により、官僚社会の重要な要件であった情報の中央集権的一元管理が堀り崩され、双方向性システムへの転換が進行している。インターネットの普及等による「情報化」社会=情報通信革命は、国境を越えた全世界的な連携・交流が瞬時に出来る時代の到来でもある。
○こうした情報の公開性と双方向的な情報ネットワーク社会の発生は、アソシエーション社会建設の可能性を示すものでもある。

 4)グローバリゼーションとアソシエーション

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○近年の国際化・世界化のうねりは、冷戦構造の解体によってソ連・東欧を新たに市場経済に組み込み、東南アジア諸国の経済発展や南米の市場統合の動き、さらには中国の改革・開放路線もあって、世界の60億人のうち40億人をカバーする地域が市場経済という共通の基盤の上に統合されるに至っている。
○グローバリゼーション自体は近年に限られた現象ではなく、新たな市場を求めて飽くなき拡大を追い求めようとする資本主義の本来的な傾向である。しかし近年のグローバリゼーションはそうした時代に比べ、地理的範囲においても世界経済の結合の性格も格段に進化している。
○この時期は情報技術革命のテコとなったコンピュータの量産が始まった時期とも重なっている。日本でも円高を固定化した1985年の「プラザ合意」以降、資本の海外流出や直接投資が急増して「産業の空洞化」と多国籍企業化をもたらした。

 国家と多国籍企業による世界支配

○かつての帝国主義の時代における強国の支配は、資本と結託する国家の武力を背景とした、後進諸国の植民地化による世界市場の分割が主要な形態だった。しかし多国籍化した巨大企業の市場としては、囲い込まれた植民地ブロックでは狭くなり、市場は地球規模に統合された世界市場である必要がある。したがって現在の帝国主義にとって表向きの共通の合い言葉は「平和と安定」である。
○そこでは巨大な多国籍企業の活動に有利な弱肉強食の市場ルールを後発諸国に強要することが超大国政府の主要な役割となっている。グローバリゼーションは、南北格差の再生産をもたらしている。
 現実にWTO(世界貿易機関)やIMF(国際通貨基金)やMAI(多国間投資協約=未締結)などに見られるように、多国籍企業が国家や国際機関と結託して貿易や投資などで自分に有利な基準を第三世界や後発国に押しつけている現実は、まさに国家と巨大企業による世界支配といえる。

 3箸るグローバル・ネットワーク組織

○貿易や市場の拡大、あるいは証券投資を通じたかつてのグローバリゼーションとは異なり、現在のグローバリゼーションは多国籍企業の拡大にみられるように直接投資や資本提携によって企業自体が国際化することで進化している。
○これらに対応して企業組織も変化しつつある。ピラミッド型の旧来型巨大企業は「メッシュ・グローバリゼーション(網の目状の世界展開)」「カンパニー制」「社内資本金制度」など、「分権化」「ネットワーク化」の手法を取り入れて拡大している。
○これらの「分権化」「ネットワーク化」は、日進月歩の技術革新と「大競争時代」に即応しようとする企業戦略として行われており、「本社」を頂点とする企業利益が目的であることにかわりはない。しかしそうした「分権的」「ネットワーク的」組織は現在の情報化社会に適合した組織形態であり、資本主義社会の胎内で水平的・双方向的な社会としてのアソシエーション社会の基礎が形成されつつあるといえる。

 こ搬腓垢誅働者の国際的な結合

○資本のグローバル化を追いかけるように、いま世界で1億5000万人の人々が外国で暮らす。中国からは3000万人、アジアからは1500万人、日本からは260万人が外国に出ており、また東アジア地域だけでも1500万人、日本でも在日韓国・朝鮮人を除いて67万人の外国人労働者が働いている(公的機関の統計)。国境を越えた労働者の移動はすでに現実のものである。また、多国籍企業の拡大によって、いまでは労働者は国境を越えて、直接同じ資本のもとで働く仲間でもある。
○資本の膨張による、また国際流動の拡大による労働者の国境を越えた結合の拡大は、一方では労働者階級内部に就労構造や賃金などで新たな階層構造をもたらしているが、他方では、労働者が単に階級としての地位や究極的な目標での共通基盤に立つだけでなく、日常の利害の領域でも共通基盤に立つ事態をもたらした。実際問題として多国籍企業の下にあっては、労働者の賃金闘争など個別企業内の経済闘争でさえもはや個々の企業の多国籍戦略を無視しては成立し得なくなっている。
○労働者を社会的に結合する資本の運動は、共通利益や相反する利益の共存を伴いつつ世界の労働者をこれまでにないほど直接的かつ深く結びつけるに至っている。

 シ狙されるアソシエーション社会の基盤

○マルクスは世界市場の形成を通じた地球規模での人類の結合を「資本主義の歴史的な成果」とし、あわせて資本主義の墓堀人としての労働者の世界的な登場とその社会的な結合を見通して、世界システムとしての共産主義社会の現実性を洞察した。ロシア革命とソ連の崩壊に関する過度な思い入れを度外視して二〇世紀の歴史を冷静に振り返れば、労使関係自体の国際化を含む現在の多国籍企業の主導する「国際化」「グローバリゼーション」の拡大こそ、マルクスの「早すぎた予言」=世界システムとしての「アソシエーション社会」の現実的な必然性を示すものである。

 5)現代における諸階級の状態

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○現代の資本主義社会における資本は、株式会社、それも巨大株式会社として存在し活動している。株式会社制度の下では高度に整備された信用制度を基盤として、多くの場合、所有資本家(株主)と機能資本家(経営者)は分離している。
○現代の資本家階級としての所有資本家は、株式の配当金を生活の基本的な資産として生活している。彼らは、高度に社会化された株式会社資本を、所有資本家の集団・共同的形態で所有し、実際の資本の占有・運用は、経営者という名の機能資本家の裁量にゆだねている。この分業にことによって彼らはお互いの不足を補いあって、一方では所有資本家として、株式会社の集団的・共同的な所有者階級として巨大な利益と安定的な地位を占め、一方で機能資本家は資本の占有者・運用者として絶大な経営権力を振るっている。
○所有資本家と機能資本家の分離、及び株式資本の集団的・共同的所有者としての株主階級のあり方とほとんど株式保有のない機能資本家のあり方は支配階級としての資本家階級の存在を見えずらくし、「会社それ自体の所有」とか「資本家なき資本主義」などという幻想も生まれた。
○しかし現代でも所有資本家は株式資本の集団的、共同的所有者として、すなわち幾多の会社の株式を所有する株主が集団的・共同的に個々の会社の株主を形成することで、階級としても実在している。
○個々の株主が巨大株式会社の意志決定を左右できるケースは少ないが、集団として、階級としては、会社資産の増殖に失敗した経営者を直接的間接的に更迭することなどで、所有資本家としての機能を行使している。したがって現代においても資本家及び資本家階級は、所有資本家と機能資本家の分業体制の中で、自然人としても階級としても厳然として存在しているのである。

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○明治維新は、当時の世界情勢の中で必然化された、国内的には資本主義的発展の基礎となる国民国家の樹立であり、対外的には時代にそぐわなくなった幕藩体制から近代国家への再編成であった。しかし徳川幕府を倒した薩長などの勢力は、この支配者階級のための階層交替を権威づけるために、王政復古と有司専制が確立し、それを支える官僚体制が整備された。
○この官僚制度を維持するために、東京法科大学を創設して、旧士族や政商等の産業資本家や土地所有者の子弟を教育していった。戦前の教育制度は、出身階級によって進学する学校と修学年度が決まっているという、各階級各階層社会に見合った複雑な複線型であった。実に戦前の日本社会は、天皇の下に皇族・華族・財閥等々がいた露骨な階級社会であったのである。
○敗戦後、皇族の精鋭と華族の廃止により、特権階級は制度的に否定され、教育制度も、東京大学を頂点とする単線型の教育制度に変化した。敗戦後の日本社会は、混乱と高度経済成長により、階級的な関係は緩やかなものになり、「努力すれば誰でも出世できる」という神話が信じられる時代だった。また能力がある人々には実際にもそのようであった。こうして急速に変化していく日本社会にあっても、支配階級である資本家・高級官僚・保守政治家は、自己の階級外からも優秀な人材を引き抜いて、内側に取り込んで閨閥を作り上げ、自らの階級支配を強化してきた。そして今現在に至るまで、支配階級のこのような再生産機構を維持している。だからこそ、政治家の間では二世・三世議員が増え、また国家公務員上級合格者であるキャリアと呼ばれる高級官僚の卵の多くも、試験合格のために特訓をし続けた者たちなのであり、この系譜に位置付いているのである。
○いま中産階級の二極分解が始まり、親の職業や地位の世襲化も拡大しており、その背後では支配者階級の固定化、世襲化が確実に拡大している。日本においても支配者階級は確実に再生産されている。

 O働者階級

○1998年の時点での産業三部門別就業者別割合は、第一次産業5.3%、第二次産業31.5%、第三次産業63.2%である。
 日本の労働者階級の特徴は、戦後の高度経済成長に伴って急増した事情により、三代続く労働者はごく少数である。これらの歴史的事情もあり、労働者階級は社会集団としては存在するものの、階級意識に裏付けられた労働者階級として存在してきたとは言い難い事情にある。
○ここ30年における「第三次産業」部門の労働者の4倍近い増加は、製造業に従事する労働者の相対的な比率を劇的に縮小し、従来は革命主体の縮小と見なされ、労働者革命の根拠自体を否定する根拠とされてきた。
○しかし「第二次産業」の労働者数の縮小は労働者革命の必然性を否定するものではない。むしろ人々が生存するための物的生産に必要な労働の生産力と実働労働時間の縮小は、家事労働や介護労働などの社会化に多くの労働力を振り向けることを可能にする絶対的な条件なのである。このように「第二次産業」労働者数の縮小はアソシエーション社会の基礎を準備するものである。
○私たちにとって革命主体としての労働者階級の概念は、資本主義社会における生産的労働という経済学的規定に狭められるものではない。それは資本に雇用される賃労働者という従属的なあり方を変革して、個々人が独立した平等な人格として認めあう社会、すなわちアソシエーション社会を闘い取ろうとする階級意識を持った労働者階級のことである。
○したがって私たちは労働者階級とは賃金労働者総体の事であり、またアソシエーション革命の主体とは、労働者階級及び労働者階級に連帯して闘う人々と規定する。

3,戦後日本の経済的支配構造

 1)企業社会へ統合された労働者――日本的労資関係

○日本的な労資関係とは、終身雇用、年功賃金、企業内組合を基盤とする労資関係である。資本と賃労働という階級関係としては同じ基盤にあるものの、欧米の「同一労働=同一賃金」、職業別・産業別組合、先任権システムなどとは異質のこうした労資関係は、1950年の朝鮮戦争あたりから1960年代にかけて形成されてきた歴史的な産物である。
○終身雇用と年功賃金システムは、朝鮮戦争後の経済復興や、それに引き続く高度経済成長期の人手不足時代に企業や日経連が導入したたものである。
 終身雇用と年功賃金システムは、急増する若年労働者を企業に永くつなぎ止めておくために遠い将来の賃上げを餌にしつつ、現実としては新規学卒の独身者がやっと生活できる低賃金で雇うことができる仕組みであり、戦後復興を成し遂げ、低コスト商品の量産体制を武器に世界に向かって飛躍をめざす日本の企業にとって、この上なく好都合なシステムだった。
○終身雇用・年功制システムの下では、雇用と賃金など労働者の処遇は所属する企業の盛衰に左右されざるを得ない。必然的に労働者の関心も労資運命共同体としての企業の発展に照応したものにならざるを得なかった。労働組合の枠組みも自分たちが所属する企業、あるいは企業グループの繁栄にすべてをゆだねる「会社組合」「従業員組合」にならざるを得なかった。
○戦後日本の企業社会は、本人の能力や努力次第で一定の社会的地位と豊かな生活を得ることが可能だという「機会の平等」が成立していると信じられた社会だった。また高度成長を背景として一定の消費生活の向上をもたらし、「一億総中流社会」や「無階級社会」が謳われ、大多数の労働者にとって「結果の平等」も信じられた社会だった。
 これら日本的労資関係やその中での労働者の消費生活の向上は、企業社会への労働者の統合を、労働者の内面から支える構造を持った。
○しかし企業利益に依存する日本的な労資関係は、個別企業を越えた労働者共通の要求や闘いの発展にとって決定的な制約となってきた。現実に高度成長の終焉の引き金となった1973年の石油ショック以降、右肩上がりの経済成長が低成長過程にはいるとともに「企業あっての労働者」という労資運命共同体論の呪縛に縛られ、企業利益から自立した闘いの形成にとって巨大な障壁となってきたのである。

 2)階層的支配

○戦後日本企業が奇跡的な復興・飛躍をとげた背景として、旧財閥系の企業グループ、銀行を中心とする間接金融、政府主導の産業政策、社員のエネルギーを引き出す内部昇進制、等々の日本的経営システムがある。
○なかでも労働者を何重にも分断し、企業社会へ労働者を深く統合するシステムとして機能してきたものに、労働者の階層的・多重的な支配システムがあった。このシステムは日本的労資関係の三種の神器と不可分の関係にあり、労働者階級を何重にも分断して支配するもので、たとえば本工―臨時、男性―女性、親会社―下請け、大企業―中小、日本人―外国人、民間―公務員といった分断構造である。
○この多重的な支配システムにより、本工は臨時工の、男性は女性の、親会社の労働者は下請けの労働者の犠牲の上に相対的に優位な生活を保障され、そうした相対的に恵まれた労働者の組合が日本の中心的な組合として存在してきた。
○このシステムは、個々の労働者を個々の会社内部という特定の狭い世界での利害関係に閉じこめておく上で大きな役割を果たした。その結果、それぞれの枠組みを越えた労働者の共通利益と共通目標を形成し、企業を越えて労働者の力を結集するうえで決定的な制約となってきたのである。

 3)日本的労資関係の解体

○冷戦崩壊後の世界的な大競争時代の到来とともに、大銀行・大会社は潰れないという神話も崩壊した。リストラの嵐の中で早期退職、出向・転籍などはいうに及ばず、企業倒産や企業の再編などによって終身雇用神話も崩壊するに至った。
○こうした状況の中で年功賃金から年俸制をはじめとする能力主義賃金や成果主義賃金への転換が進み、急速に年功システムが崩れつつある。また終身雇用・年功賃金のシンボルとなってきた退職金制度の廃止や年金化が模索され、こうした面からも年功システムからの離脱に拍車をかけている。
 またバブル不況の中で労働者を企業に統合する上で有効に機能してきた社宅や保養所など、企業の各種福利厚生施設の縮小が進み、こうした面からも労働者丸抱えシステムからの離脱が加速している。
○さらに日経連の「新時代の日本的経営」に触発されるかのように、終身雇用・年功賃金が適用されていた大企業の中核労働者の比重自体が劇的に縮小し、パート・有期・短時間・派遣労働者など不安定・流動的雇用に追いやられた労働者の比重が急速に拡大している。もはや終身雇用・年功賃金体制は企業社会の支配的なシステムとは言えなくなっている。

 4)日本的社会保障システムの解体と再編

○1970年頃には「福祉元年」と謳われたように、戦後の高度成長の過程で「日本型福祉社会」の枠組みが成立した。その一方の柱は生活保護制度、医療保険制度、年金制度などであり、それを支えたのはもちろん経済の高度成長による税収入の増加だった。
○しかし「日本型福祉社会」を特徴付けるのは企業による福利・厚生制度である。産業育成を中心とする戦後の経済政策の結果として、国家・行政による福祉は西欧に比べてかなり貧弱なものであり、それを補うものとして企業による福利システムが拡大した。
○その最大のものは終身雇用制度の中での年功賃金で、これは個々の労働者のライフサイクルに応じた出費増に対応して賃金が上昇するという意味で賃金制度そのものが生活保障的性格を持っていた。また労働者家庭の二大出費といえる住宅費と養育費について、企業による社宅制度・持ち家制度と扶養手当制度は、国家・行政による社会保障制度の遅れた現状を穴埋めする企業福祉の支柱となった。その他にも企業年金や保養所や冠婚葬祭施設や各種レクリエーション施設など、大企業には企業内社会である程度完結した福利制度があり、国家・行政による社会保障制度と併せてそこにいる限りは安心して暮らせる社会保障システムとなっていた。いわば日本においては大企業に入ることがいわゆる「ゆりかごから墓場まで」の生活を保障する手っ取り早い手段となった。
○日本型福祉社会はいま二重の意味で崩壊の危機にある。一つは企業による福利の劇的縮小であり、もう一つは自己責任・自助努力型社会への転換を建前とする国家による社会保障の縮小である。これらはこれまで個人生活を支えてきた大家族の解体過程と同時進行しているなかでの事態であり、深刻度はより深まらざるを得ない。
○「福祉元年」が言われてから30年、生産能力が飛躍的に拡大した現時点での社会保障の破綻は、既存の社会保障システムだけの手直しでは解決不可能だ。利潤至上主義の企業システムの根本的変革による協同原理に基づく相互扶助システムをめざす以外に解決はない。

 5)形成される階級としての労働者

○日本的な労資関係の解体・再編を主導しているのは、それを導入してきた企業・経営者自身である。企業は世界規模での大競争時代の到来に直面し、自らの生き残りのために労働者を企業へ統合する要の役割を果たしてきたシステムの解体・再編を押し進めることを余儀なくされている。
○この再編は、かつてのような「労資運命共同体」と「完全雇用社会」から、「機会均等」と「自助・自立」「自己責任」という新自由主義的イデオロギーによる労働者支配・統合への転換である。
○この再編過程で、中間層が縮小し、また少数の優遇された日経連のいう「長期蓄積能力活用型グループ」という中核的労働者とそれ以外の膨大な不安定労働者への労働者の両極分解も進行している。
 また「同一労働=同一賃金」という労働者側の規制力も解雇制限法など国家による公的規制力もないなか、派遣会社や民間職業紹介所などを介した無法社会的な労働市場が形成され、非正規の不安定雇用が激増しつつある。
○日本的労資関係の解体・再編は労働者の企業への帰属意識を急速に解体し、労働者を社会的な存在へ、すなわち企業のワクを越えて形成される階級的な存在への転換をもたらさずにはおかない。かつてない階級関係の地殻変動はすでに始まっているのである。

4,戦後日本の政治支配構造

 1)政官業癒着体制

○欧米先進諸国に「追いつけ、追い越せ」という戦後日本の国家目標のもとでは、貿易、金融、資本市場での保護・育成政策、設備投資への優遇税制、企業の合併などによる競争力強化政策など、大蔵省や通産省などの経済官庁主導の産業政策・金融政策などが不可欠かつ有効だった。
 こうした戦後の国家的な成長政策などによって自民党による長期単独政権が続き、「日本株式会社」と言われる官僚主導型政治システムが形成・定着していった。
○国会や代議士などは、自民党単独政権下での単純明快な「追いつけ追い越せ型」の国家政策のもとでは大きな役割を果たすことは少なく、むしろ行政と企業と住民のパイプ役の機能を果たすことになった。そうした経済成長を背景とした成果配分システムは、中央省庁、県、各自治体に対応した代議士を頂点とする県議や市町村議員の系列構造を形成し、彼らは政官業癒着体制に深く組み込まれていった。
○財界や業界団体は、一方で中央省庁と各種審議会や談合などで密接な運命共同体を形成するとともに、自由主義体制=資本主義体制を支えるために、また行政に対する強力な圧力団体としての自民党を支えてきた。また財界・企業は、金の面では経団連や業界団体や各企業による政治献金で、票の面では各種の業界団体・個別企業による企業ぐるみ選挙で大企業の利益優先政治を貫いてきた。
○こうした政官業癒着体制はそれらが総体として政治システムとなっており、政治(国会)改革、行政改革などそれぞれ単独の「改革」では改革不可能な一体的構造を形成している。自民党はそれ自体としては政党の機能を全面的に発揮するものではなく、政官業癒着構造の一環に位置する限りで機能を発揮する統治機構の一部になっている。だから自民党は野党としては存在することができない「政権党」という性格を持っている。したがって現在の野党が与党になってもそれだけでは利益配分型統治システムに飲み込まれるだけである。

 2)国民統合システム

○日本の議院内閣制では国会での多数派が内閣を組織し、国政全般を主導する。
 自民党の支持基盤は、官僚組織と利害関係で結合した業界団体、自治体の利害と関連する地域組織、農協などの農業団体の3つの支柱からなり、それに宗教団体、軍人恩給受給者などの特殊な利益団体が加わって形成されてきた。
○自民党がこうした利益団体をとりまとめ、それを集票マシーンとして動員するだけでは政治的多数派を形成するためには不十分である。それを補完するためには大企業利益優先政治から落ちこぼれる圧倒的多数の庶民への買収工作は不可欠だった。
○累進課税による税制度による「所得平準化」、及び中小企業や食管制度などの農家などへの補助政策、地方交付税や各種の社会福祉政策などによる「所得の再分配」として行われてきた「平準化・再分配システム」は、階級対立を緩和することで自民党支配の受容体制を作り出してきた。
○利益配分型政治システムの中で官僚主導政治の武器となったのは、三割自治といわれる税・財政制度や権限が中央省庁に集中する中央集権的システムとそのもとでの縦割り行政、各種補助金行政、業界団体に対する強力な許認可権である。利益配分型政治システムの中ではその中心に位置する官僚が主導的な地位に立つのは避けられない。
 自民党支配体制を打倒するということは、これらの政官業癒着体制を打破するということである。
○利益配分型政治システムを可能にしたのは言うまでもなく右肩上がりの経済成長である。再配分の源泉となったのは成長を続けた企業利潤であり、継続して増えていった所得税である。
○しかし世界共通市場の形成や後発国の追い上げもあって、「ジャパン・アズナンバーワン」といわれ「一人勝ち」といわれた時代は終わり、利益配分システムを可能とする経済成長の基盤はすでに喪失した。現に支配階級自ら利益配分型政治の再編に乗り出さざるを得なくなっている。

 3)日本型市民社会の現実

○戦後日本の政官業癒着体制や日本型労資関係の土壌となったのは、単に戦後の経済成長ばかりでなく、日本における市民社会の未成熟とそれを強いてきた官尊民卑の官僚社会だった。
○半封建的社会の土台の上に近代的な産業と労資関係が形成された戦後の日本社会は、産業レベルでの護送船団方式、企業内部での資本による労働者の労資運命共同体的統合、社会的には天皇制に象徴される行政主導の縦割り社会という特異な支配構造が成立していた。
○こうした日本社会では、明治国家のもとで形成された公=国家というお上意識、親方日の丸意識、国家・行政依存の国民意識が浸透し、旧社会の家長と家族の関係を色濃く持つ「家型」社会意識、及び階層的な護送船団的集団意識が根強く生き延びていた。
○これらは労働者の企業への帰属と依存の関係、地方の中央官庁からの補助金への依存、そのパイプ役となっている政治家への住民の依存、国会議員を頂点とする地方議員とそれを取り巻く地域の有力者への有権者の依存等々、帰属と保護・利益還元の関係である。そこでは国民・住民は国家や行政に服する対価として国家・行政に生活保障を求め、行政も国民・住民を保護するという相互了解が成立してきた。
○他方でこうした関係は、補助金や公共事業を取ってこれない議員は力のない政治家だとして支持を集められない構造であって、実際上相互補完関係を形成してきた。官僚政治と行政依存の国民というのは対概念なのである。
○市民社会の基盤としての個人主義も同じことが言える。個人主義に関しては戦後の民主化は利己主義は解放したけれども西欧キリスト教社会で確立したような個人主義(自己責任を伴った自立)については家型、村型集団主義に阻まれて十分確立することができなかった。近年では若年層を中心とした「自分主義」といわれる風潮も広がっている。日本の市民社会の内実は極めて底の浅いものでしかなかった。
○しかしこうした日本的な市民社会もいま変化の兆しが現れ、それは各種の市民運動やNGO・NPOなどの運動として広がりつつある。また労働運動の領域においても周辺労働者の決起を皮切りに中小の自立した取り組みが拡大しつつある。
 他方では、新たな市民社会の形成過程に対して、行政や企業などによる行政依存から自己責任原則への転換や市民組織の国家・企業の下請け機関化をもくろむ、市民社会の再編や取り込み攻勢も強化されている。
○企業や国家・行政から自立した自己決定原理で結成された草の根的な運動は、今後、自立した諸個人の協同社会としてのアソシエーション社会の基盤として拡大していくのか、それとも新たな支配システムに組み込まれるかの、せめぎ合いの時代に移行する。

 4)権力支配

○議会制民主主義という国民主権のたてまえのもとで財界、保守政党、官僚など日本の支配階級は、主権者たる国民を対象とした、治安・権力体制を一貫して強化してきた。
 これらの治安・権力システムは、大きく分けて警察活動と自衛隊の治安出動の領域の双方から、また補完的に裁判所によって担われてきた。
○警察による労働者や市民・住民の闘いへの規制・弾圧法制には、警察法や破防法や各自治体の公安条例がある。これらの法規を運用して共産党や新左翼、時には労働組合や市民運動などの活動を規制してきた。
○さらに団体活動規制法や盗聴法の制定によって監視対象を労働団体や市民団体にまで拡大し、主要幹線道路に張り巡らされた監視カメラなど、事あるごとに管理社会・監視社会化が進行している。
 これらの警察活動は共産党幹部盗聴事件や最近の警察不祥事で暴露されるまでもなく(裏金システムも)、これらの警察及び警察活動は外部からの規制システムのない独立王国として国民や労働者の対峙しているのが実態である。
○自衛隊法(第3条1項)で「間接侵略」「公共の秩序」を任務とし、第78条、第81条でそのための「治安出動」を規定している限り、自衛隊が国民に対する弾圧機関となる可能性は否定できない。「間接侵略」とは革命・内乱のことである。現に60年安保では自衛隊の治安出動が真剣に検討された。それ以降も1963年の三矢研究、引き続く有事法制の整備の策動の中で、国家非常事態法制(戒厳令)の検討が進められ、天皇死去時やサミット開催時など実体的な戒厳体制の整備が整えられてきた。
○日本の議会制民主政治において、三権分立の一翼を担ってきた司法府=裁判所が果たしてきたのは、一貫して立法・行政府への補完的役割だった。実際に安保・自衛隊や原発問題など国策といえるような重要課題に対しての裁判所の態度は、「国家統治の基本に関する高度に政治性のある国家行為は、司法審査から除外される」(最高裁判決)という統治行為論によって、重要な国家意思の形成に当たって国家を憲法の制約から除外している。これは国家による超法規的、超憲法的裁量権を与えることで、国家を国民の統制から除外するものになっている。
○近年むき出しの権力的な弾圧体制は後景に退いたようにも見える。しかしそれは労働者や市民・住民の大衆的な闘いが後退していることの結果であって、権力機関が主権者に従順になったということではない。三井・三池で民間労働者が、スト権ストで官公労が押さえ込まれ、60年安保で学生運動が、連合赤軍事件で新左翼が封殺され、治安・権力機関が全面に出なくてすんだ時代が続いただけである。
○現在でも闘いの現場では治安・権力機関が立ちはだかり、またオウムへの破防法の適用が検討されるなかで公安調査庁は、破防法にもとづく調査活動の範囲を従来の左翼団体から労働組合や市民団体にまで広げるという方針を打ち出している。
 議会制民主主義のもとで主権者たる国民がこれらの機関をコントロールできると考えることはできない。

5,新しい戦略論

 戦後日本の労働者運動・左翼運動にあっては献身的な闘いや英雄主義的な闘いも無数にあったが、その多くは革命の主体となる労働者階級の置かれた現実から遊離する主観主義的傾向が否めなかった。「労働者階級の解放は労働者自身の事業である」という基本的な立場にとって、事実に即した現状認識や新しい革命戦略の創造は不可欠である。
 以下において、これまで見てきた現代社会の現実から出発した新たな革命戦略試論を提起したい。

 1)アソシエーション革命の性格

 まず最初に私たちがこれまで提起してきたアソシエーション社会の性格は、「自由で自立した諸個人の共同社会」である。
 目的は手段を規定する。21世紀のアソシエーション社会の実現をめざす闘いは、こうしたアソシエーション社会の性格に規定される。
 アソシエーション革命を実現する運動の全体像をあらかじめ図式化すると以下のようまとめられる。
 〕念――利潤原理から協同原理へ――自由主義から協同主義へ。
 ¬榲――労働者による協同労働を実現するために所有権・経営権を労働者の手に獲得する。
 M弋瓠宗住箚覿函国有企業を公的事業体に転換・再編し、労働者管理を確立する。
 け親亜宗輯覿函Υ覿伴匆馥睇瑤任痢崑亶咳親亜廖崑亶骸匆顱廚粒搬腓魎霹廚棒治権力を獲得する。
 チ反ァ宗充主的諸組織と協同できる政治・社会革命を担う「双方向性」の党を形成する。

 2)自由主義から協同主義へ――「理念」について

○アソシエーション社会の実現を目標とする新しい原理として、利潤原理・市場原理に対抗して「協同原理」を、弱肉強食の自由主義に対抗して「協同主義」を掲げる。
○共同社会=アソシエーション社会というというのは、そうした「協同主義」「協同原理」が単に生産や消費の場面だけでなく、文化や社会生活全般で実現される社会である。
○「協同原理」「協同主義」による対抗運動・対抗社会の拡大は、アソシエーション社会の土台となる。

 3)所有権・経営権を労働者の手に獲得する――目的(戦略課題)について

○アソシエーション革命の戦略課題は、企業及び企業社会内部で資本―賃労働という関係を変革することにあり、それは突き詰めれば企業の所有・管理・生産を労働者自身の手に獲得することである。
○現実の企業では所有=資本家・株主、占有=経営者、労働=労働者として資本による社会的な再生産機能は分担して担われている。
 アソシエーション革命は、資本による統合労働から労働者による協同労働を実現するために、資本家と経営者を追放して所有権と経営権を獲得し、自ら生産と労働を担うことによって実現する。
○半封建的社会の上部に近代的な産業と労資関係が形成された日本では、企業及び企業社会内部での資本による労働者の労資運命共同体的統合と天皇制に象徴される市民社会の未成熟、行政主導の官僚社会という二重の困難な支配構造があり、より具体的な革命戦略はこの二重の支配構造をうち破るものとして形成しなければならない。
○戦後日本の現状は、高度成長とそれを基盤とする日本的な労資関係のもとで、労働者階級は企業に統合されて階級としての団結が解体され、革命主体は解体状況にあった。
○こうした事態の一因ともなり、あるいはそれに規定されたこれまでの革命戦略の多くは、政治権力を獲得した労働者階級が企業を国有化することをつうじて社会主義を実現するというものであり、根本的に自己矛盾を内包したものだった。
○資本と国家による支配への対抗運動、対抗社会の形成という基盤のうえで、政治権力の獲得は社会革命の内実を獲得できる。社会革命の全面的な完遂には政治革命は不可欠である。
○社会革命の主体は、資本と国家による支配への協同主義、協同原理に基づく対抗運動、対抗集団、対抗社会を形成する労働者階級と行政や企業から自立して主体的に闘う人々である。
○主体形成の中心課題は、「一億総中流社会」が崩壊した「新階級社会」における労働者の階級形成であり、現実的には企業に統合された従業員組合を、個別企業から自立した本来の階級としての団結体・闘争組織として組織し直すことである。この基盤のうえでアソシエーション革命を担う強大な政治勢力の形成も可能となる。
○上記の戦略課題を達成するために、政治権力の獲得→企業の収奪→社会主義、という変革コースを見直し、企業内あるいは企業社会の内部における対抗運動・対抗社会の形成(=自立的な闘いや労働組合や党組織の建設)→政治権力の獲得→共同社会、というコースへと基本的なスタンスを切り替えるべきである。
○アソシエーション革命の具体的な形態はあらかじめ予測することはできない。しかし議会での多数派形成や法律による社会革命にすべてを委ねることは幻想であり、他方複雑な企業社会や情報社会の中で少数の武装勢力の蜂起によって政治権力が獲得できる条件は無くなったといえる。むしろ対抗運動・対抗社会が企業社会を担っている圧倒的多数の労働者をどれだけ獲得しているかどうかが革命の帰趨を決し、またそれらの形成が進むほど大衆的な蜂起行動が無血革命を呼び込む可能性を拡大する。
○無血革命になるか否かは「敵の出方」ではなく、「味方の結集度合い」に左右される。

 4)企業の公的事業体への転換と労働者管理を――「要求」について

○私たちはアソシエーション社会を実現するための基本的な要求として「私企業・国有企業を公的事業体に転換・再編し、労働者管理を実現する」という基本的な要求を掲げる。
○この要求は実際上、個々の企業を労働者自身が所有・管理・労働する事業体としての協同組合型企業に変えることである。ただし、資本主義社会内部で協同組合の量的拡大だけでは共同社会は実現しない。共同社会は協同組合づくりも含む階級闘争総体による社会変革の結果として実現する。
○労働者管理に関しては、これまでも企業倒産に際しての自主再建闘争や自主管理闘争があった。これも協同組合「運動」と同じように限定付きで評価すべきである。自主管理闘争なども、単に受動的な争議戦術としてではなく経営権力をめぐる戦略課題として追求することが重要である。
○また現在の政治的立場を分ける対抗軸として、弱肉強食型の自由放任路線=小さな政府論、規制型の福祉国家路線=大きな政府論、最近財界が提唱している中福祉=中負担論という三つの立場がある。
 これらに対し私たちは労働者・住民自身による公共性、すなわち「人々による協同作業としての公共性」を対置すべきであると考える。具体的には、相互扶助の立場からサービスの受け手と担い手がともに参画する公的事業体を作り上げ、政府や自治体にこうした取り組みに奉仕・援助させることである。既成社会民主主義の福祉国家型対抗路線から脱皮する必要がある。
○「人々による協同作業としての公共性」という立場は、資本主義社会内部では完全には実現しないが、資本主義社会における「福祉国家」の制約を突破する道である。福祉国家=「大きな政府」路線は、資本主義の成長期のイデオロギーだった。この立場は根本的には企業社会が生み出した生産力そのものを直接福祉のために活用することを考えていないという点で本質的な限界性を持っており、支配階級への根源的な対抗軸にはなり得ない。

 5)労働者・市民による「対抗運動」「対抗社会」の形成を――「運動」について

  嶇働者階級の解放は労働者階級自身の事業」

○自由で自立した諸個人による協同社会の建設には、それをめざす闘いそのものが自由で自立した諸個人によって担われなければならない。主体はあくまで労働者階級自身である。
○アソシエーション革命が、生産労働、流通と消費、その他の社会生活など人々の生活全般を変革する社会革命だとすれば、アソシエーション革命を担う主体は労働者階級だけに限らない。労働者党をはじめとする自立した労働者・市民諸組織の協同の闘いこそがアソシエーション革命を実現できる。
○これまでの左翼にとって革命とは政治権力を巡る闘いであり、階級闘争とは党を先頭とする闘い、あるいはそれ以上に党の闘いそのものだった。そこでは政治権力を巡る闘いに労働者をどう引き込んでいくのかが最大の課題だった。こうした闘いにあっては官僚主義、代行主義、待機主義などが生じるには避けられない。
○闘いは労働者の存在と生活そのものに内在するものであって、労働者の闘いの外部から押しつけるものではない。重要なのは、労働者階級の闘いの自律性や協同性を強化・拡大する事、個別・特殊な闘いに限られがちで、したがってそれぞれの相互関係では対立しがちな個別の諸運動を、より広い共通の土俵=目標の上に普遍化することである。

 対抗運動・対抗社会の形成

○協同原理に基づく社会は、現実の資本主義社会の中での地道な協同原理の育成、協同原理の実現している領域の絶え間ない拡大など、現時点での訓練や習慣作り、そして協同原理での結合という強力な目的意識の浸透・拡大を土台としてはじめて可能になる。そうした土台を創るのは協同組合や各種の自主的・自立的諸組織、それに政治組織や労働運動の団結した共同行動の蓄積、すなわち「対抗運動」「対抗社会」の形成である。
○これからは政治闘争至上主義を克服し、企業権力の浸食(労働運動との融合)、自立的な諸運動(NPO=非営利組織、NGO=非政府組織、地域的な運動など)との連携、政治権力との闘いなどをトータルに追求すること、これらを資本主義社会への対抗運動、対抗社会と位置づけ、その拡大の基盤の上でアソシエーション社会を展望することが不可欠である。
○その中心課題は、会社組合、企業内組合として企業に統合された労働組合を、労働者の拠点として、資本に対抗する集団として再組織化すること、具体的には労働組合の産別機能と地域的・政治的機能を再確立することである。労働者党をはじめとする政治的な対抗勢力も、この基盤の上に形成される。
○労働運動の再編、再構築は、中小・下請け、臨時、派遣、女性、外国人、失業者など「周辺」労働者の反乱を拡大すること、企業内の「中核」労働者の闘いを作り出すこと、両者を結合することで可能になる。
○こうしたことは戦後日本の労働者階級が、企業及び企業社会へ帰属することで明日の生活を描いた生活を断ち切り、国家や企業から自律して新しい社会を見据えた闘いに自らの生活と未来を展望するという意識革命を不可欠とする。

 自立的な諸運動・諸組織(NGO、NPO、オンブズマンなど)との連携

○行政や企業から自立して独自の活動を展開しているNPO、NGO、オンブズマンといわれる諸組織はいま着実に拡大しつつある。それらの団体は玉石混合、なかにはあまり評価できない胡散臭い団体もあるが、多くはアソシエーション社会形成に向けた対抗運動、対抗社会の要素を含んでいる。そうした取り組みの積極的要素を真摯に受け止め、アソシエーション社会の土台を形成する運動として評価すべきである。
○それらのグループは上意下達や指導機関の指示や号令で動く組織ではなく、あくまで自発的運動体という性格を持っている。そうした組織を貫く原理は参加者自身による「自律・自治」すなわち「自己決定」にある。こうした組織は一方では資金力に制約があること等で行政などに取り込まれやすい性格を持つが、他方では日本社会に根強い行政依存の官僚社会を変革する萌芽が含まれている。
○NPO、NGOなどが取り組んでいる問題の解決を図ろうとすれば、企業や官庁内の対抗運動(労働組合)などとと連携するか、あるいは行政や企業と連携するかの岐路に立たされる。現実としてもそれらの団体の間では両極分解がすでに始まっている。行政の下請け機関化を排し広範な対抗運動と連携することで、NPO,NGOはアソシエーション社会を実現する対抗社会の一翼を形成し、本来の役割を発揮することができる。
○NGO・NPOの運動は自動的に拡大するものでも、また自動的にアソシエーション社会の土台を形成するものに発展するわけでもない。私たちは最大のNPOとも言うべき労働組合と同じように、様々なNPOと連携する姿勢と手法を習得し、その内部でも闘いを担い、アソシエーション社会を実現する闘いの陣営に引き入れていく力量が不可欠である。

 は働者の階級的な団結の形成を

○いま大競争時代への生き残り策として行われている企業による雇用・処遇の再編過程で失業、パート、短時間、派遣等々、不安定労働者が爆発的に生み出されている。これらに以前からの差別構造のしわ寄せを受けてきた下請け・孫請け労働者や女性労働者とあわせ、企業社会の恩恵から排除された膨大な労働者層が生まれている。
○さらに企業の労働者統合システムを企業自ら放棄する事態にまで立ち至っている現在、リストラ攻撃の矢面に立たされている民間大企業労働者も「寄らば会社の陰」が通用しなくなり、企業社会に立ち向かう闘いの中核として登場してくる条件も生まれてきている。実際、その前段の大きな地殻変動として、民間大企業ではあっても企業への忠誠心や依存心が急速に薄れてきている。
○こうした状況は「一億総中流社会の崩壊」、「新階級社会」の到来を告げるものであり、そうした巨大な地殻変動はすでに始まっている。こうした状況を的確に把握し、これまで果たせなかった労働者の階級への再形成という巨大な課題に挑戦していくことが私たちの大きな課題になっている。

6,私たちのめざすべき労働者党の性格

 1)労働者党の必要性、必然性

○現時点で労働者階級を支持基盤の一部としている政党が民主党、共産党、社民党などいくつかある。しかしそれらの政党はその他の中間階級の支持基盤も合わせ持ち、時には支配階級の利益をも反映する場合もある。
○他方、現実の労働者の闘いは、労働者階級としての闘いとしてであれ、消費者運動など労働者の市民的な立場からの闘いとしてではあれ、個別の問題の解決を目的とする運動体として存在している。それらのシングルイッシュー(個別目標)での運動形態は、その領域での存在意義は不可欠だとしても既存の権力機構や資本主義社会のトータルな批判勢力とはなり得ないし、ましてや資本主義体制の変革を主導していく存在にはなり得ない
○労働者階級のトータルな解放運動の前進に向けた集団意思の形成と運動の拡大に最もふさわしいのは、労働者の解放運動とアソシエーション革命を直接目的として形成される、労働者個々人が個別の持ち場を越えて自主的な判断で結集できる労働者党以外にはあり得ない。

 2)前衛党から水平的な双方向の党へ

○私たちの課題は単なる政治革命ではなくトータルな社会革命である。いまや高度情報化社会、高学歴化社会のなかで、各種NPOや住民運動など、無党派の自立した運動も徐々に成長している。この運動領域では運動体相互間のネットワーク的な連携も拡大し、インターネットを活用したサイバースペースでの情報交換や意志決定などによって、左翼政治グループがなし得ない素早い行動展開もすでに無数に繰り広げられている。もはや労働者党だけが社会変革の前衛機能を体現するものとはいえなくなっている。
○本来の労働者党の任務は、地域・業種・国籍等々に左右されない労働者階級全体の利益と、闘争が経過する種々の発展段階において運動の長期的・全体的な利益を追求することであり、労働者階級の自然発生的な運動を結合し、普遍化することにある。
○私たちは、アソシエーション革命の性格や現状を直視し、党を労働者階級の「前衛」と規定し一般の労働者大衆を遅れた「後衛」とみなし、それを指導するものと指導されるものとしての上下関係として固定化する、戦後日本の左翼を席巻してきたスターリン型の党観を一掃し、各種の運動体との間に上下関係ではなく水平的な連携関係、協力関係を形成する必要がある。
○労働者党と自立した諸運動との関係は、それぞれの領域での活動についてはそれぞれの主体性を尊重することが前提となる。様々な大衆団体の中には非労働者、非党員の優秀かつ積極的な活動家も多く存在する。そうした人々と党の連携を作り出すことが重要となる。そうした人たちとの連携はそうした人々が加わっている大衆団体の主体性を尊重することから可能になる。
○諸運動のあり方については、状況を一番よく把握している内部で闘う労働者党のメンバーやグループの判断を最大限尊重することが不可欠である。そうした判断を基礎にした結集こそが労働者党全体に求められている。「指令型」の党から「双方向性」の党への転換が必要である。
○職場・生産点の労働者を政治闘争に引き込むことを優先してきたこれまでの党活動を再編し、むしろ職場や企業レベルでの経営に対する労働者の発言権と規制力を強化し、実質的な決定権を拡大・強化できるように、職場の労働者を援助していく必要がある。党の性格もそうした課題にこたえるため、労働組合などの諸組織との連携を重視したものとして建設していくべきである。

 3)諸運動とともに成長する労働者党

○労働者階級を代表する党はただ一つだ、という観念から、これまでの左翼は競合する党派間の闘争に明け暮れる傾向にあった。しかし現実の階級闘争の世界では様々な性格の労働者の政治グループが形成される可能性がある。「唯一の労働者党論」は克服しなければならない。
○いくつも登場してくるであろう労働者の政治諸組織は、それぞれ真理の一端を体現するに過ぎないとの認識に立って、それぞれの諸組織は共通の目標や運動で連帯できるよう、すなわち協議体や協同戦線、あるいは課題別の協同行動を追求していく必要がある。
○労働者党の形成は、強固な結集を確保した少数の組織が徐々に成長する過程という側面もあるが、それと平行して、様々な領域で闘う主体が様々な闘いの経験を通じて共通の目的に向かって相互に結びつき、しだいに大きな潮流となり、より一層普遍的な労働者党が形成される、という過程でもある。
○労働者党の形成過程は、強固な中核グループが同心円的に拡大する側面と、様々なグループ間の連携・統合が拡大していく側面の、二つの過程の同時進行として考えるべきである。
○これまでの日本の左翼運動の敗北と低迷や現在の分散化状況を考えると、こうした同時進行の過程はアソシエーション革命の直前まで長期にわたって進んでいくと考えなければならない。
○したがってはじめに少数の強固な団結ありき、ではなく、対抗社会形成の広範な闘いを作り上げること、それぞれの闘いを普遍的なものとして結びつけることが重要になってくる。まず運動の拡大を追求し、その過程で徐々に党的な結集を勝ち取っていくことを追求すべきである。

 4)労働者権力をめざす労働者党

○現在の資本主義社会は、支配階級の利害を代表するような法秩序を形成している。そうした法秩序を国民に強制するのが国家権力である。そうした法秩序やその維持を担う官僚や警察・軍隊・裁判所は、総体としてあるいは究極的には支配階級の利害が貫徹されるように機能している。
○国家権力は、それぞれの受け持ち領域で独自に運営されている部分もあるが、基本的にひとつの集中された相互補完的な権力機構を形成している。したがって単一目標を基本とするNPOなどでは支配秩序そのものをうち倒すことはできない。それら支配秩序とのトータルな闘いは労働者党の重要な任務だ。労働者党はそうした任務を遂行できるだけの集中された目的意識を持った戦闘組織でもある。
○同時に大衆的なレベルでの闘いも日常的に法的規制という国家権力の影響を受けており、国家権力との闘いの領域が含まれる。最終的には資本家階級の国家権力を打倒しないでは自らの領域における闘いにおいても最終的な勝利はあり得ない。様々な領域における様々な性格を持つ闘いや組織も、国家との闘いの領域では集中された闘いを形成する必要がある。
○これらの結びつける課題を担った労働者党は、闘いの前進のために集団意思を形成することは不可欠であり、こうした領域では労働者党は単なるネットワーク組織にとどまることは出来ない。

 5)国際連帯にもとづく党

○グローバル資本主義は物、金、情報とともに、人が国境を越えて移動する時代でもある。労働者の国際的な流動化も進み、それに照応して労働者の国際的な交流・連携も拡大している。
○したがって、国際的な連携は労働者党が各国で強固に組織されてから取り組むというよりも、形成途上から国際連帯の課題を持っている。党の形成と国際的な連携は同時進行で取り組むべきである。

7,労働者党の組織原理

 1)労働者階級の一部としての党

○党の闘いが党外の労働者階級の闘いや生活に影響を与え、あるいは逆に労働者の闘いが党に反映される。革命をめざす党の組織原理は党だけの闘いの統一や発展のための組織原理に止まってはならず、労働者階級全体の闘いの発展に従属したものでなければならない。
○党とは実態概念であると同時に関係概念でもある。党を形成するということ、党の活動をするということは、革命組織と労働者との結合関係を作っていくことだといえる。その過程で党員を集め、また支持者・共鳴者を拡大していくことである。したがって綱領・規約を作れば党を形成できるものではない。
○党が結成される、党が拡大するということは、闘いの意欲を持つ労働者が、より階級的な、より全体的な、より長期的な目標と闘いのもとに政治組織という闘いの手段を獲得する過程である。党の形成・発展は労働者階級の闘いの成長の一つの結果なのである。この過程を逆の視点から見れば、政治グループの影響力が、闘う意欲のある労働者のなかに浸透していく過程でもある。

 2)ネットワーク的単一組織

○私たちがめざす労働者党は、ネットワーク機能を併せ持った単一組織であり、労働者階級と党の構成員に開かれたネットワーク的単一組織である。
○これまで労働者党は民主主義的中央集権制を組織原理とするピラミッド型の単一組織だとする固定観念にとらわれてきた。そこでは党員や党機関は所属組織を越えて水平的な連絡を取り合うことは規律違反を問われるなど、閉鎖的な組織に止まっていた。
○しかし様々な草の根的な組織のネットワークやインターネットなどの発展によって、個人や組織を隔てる壁が低くなり、それらを越えて瞬時に情報が行き交う時代になり、個人や組織を問わず情報の伝達ルートは様変わりしつつある。
○様々な個人、組織間でのネットワーク的な連携が形成されれば、労働者党内部でもそれを規制することは不可能であり、それは党組織の内部まで波及する。組織がその力を十分に発揮するためには、一人ひとりの積極性を引き出すことが必要であり、そのためにも構成員の自発性や自立性を保障することは不可欠である。
 一人ひとりの自発性や自立性を基礎とした強固な意思統一に基づいた団結の方が上意下達型の団結よりもはるかに強固であり、権力闘争を闘う場合であってもこうした闘いの方がはるかに有効である。
○インターネット社会で切り開かれた情報や意思決定過程の「双方向性」は、党と労働者諸組織の間に限らず、党員と党組織、中央機関と地方機関の間でも貫かれるべきである。そうなればかつてのピラミッド型の組織からよりフラットな、より双方向的な組織に変わる。
○よりフラットな水平的なネットワーク的な組織性格を合わせ持つ労働者党によってこそ、個々の構成員や構成組織が自由に情報の交換をやりとりし、その中から新しい展望や行動展開も拡大する。

 3)民主主義的中央集権制=民主集中制から民主主義へ

○労働者党は目的を持った組織であり、その目的の実現に向けて組織全体が共通認識を持ち、全体意志を共有する必要は今後も不変のものであり、したがって労働者党の単一組織としての組織性格は無くならない。その単一組織の領域での組織原理は、普通の民主主義である。
○これまで単一組織としての労働者党の組織原則として民主主義的中央集権制=民主集中制を自明のものとして考えられてきた。
 一般に民主集中制という組織原理は、党の方針は自由な討論に基づいて民主的に決定し、決定された方針は全党員・党組織によって実践する、というものである。
 しかしこのルールに組み込まれてきた個人の組織への服従、下級機関の上級機関への服従、それに及び分派の禁止規定は、官僚的な指導部が民主集中制の名の下に上意下達の官僚統制を強いてきた原理であって、これまでの多くの左翼組織にも受け継がれてきた組織原則だった。
○私たちは労働者党の原理として民主集中制を排し、民主主義的なルールを確立する。
 民主主義ルールとは多数決で決められた方針や政策や行動を組織の名において実践することを認めるものであり、したがって少数意見の撤回を迫られたり、少数派が決定された行動への参加を強要されることではない。また純地方的な問題や理論の分野など、組織的な縛りによる統一が相応しくない分野では、最初から多数決原理の対象としないことである。
○組織としての集団意思を明確にするのに不可欠な多数決原理は、決定内容の正しさを保証するものではない。単にその時点での多数意見の所在を確定し、相対的な真理の所在を明確にする手段に過ぎない。決定内容がほんとに正しいものかどうかは、労働者階級の闘いによって検証すべきものである。
○民主主義とは、要は個々人の自由と自律性の承認と個人及び組織的な判断の不完全性を承認することであり、あわせて党の組織原理を労働者階級の闘いの発展というより広い土俵に中に位置づけることである。

 4)公開制の実現

○「公開制」については、一つには少数意見を多数意見に転化する可能性を少数派に与えるものとして、二つには党における政治上の集団意思の形成に不可欠な回路として、そして三つには党内の対立情況を広く党外の労働者階級に示し、労働者階級の意思を党内に反映させる回路として考えらる。
○「公開制」を党内民主主義としてというよりも、階級闘争の前進に不可欠の契機として、一番目はいうに及ばず、第二,あるいはそれ以上に第三の側面を重視すべきである。
 党とは労働者階級の一部であり、党の団結は労働者階級との相互関係を通して強化されるという観点から、党内でどういう事態が進行しているのか、あるいは党内対立がどういう視点や論点で行われているかを労働者階級にできるだけオープンに行われる必要がある。
○こうした「公開制」の対象となるのは何も路線や方針を巡る論争だけではない。どういう場所で何が決められるのか、誰の発案や反対意見で物事が決められていくのか、といった日常の組織活動についても労働者が自由に判断できるようにできるだけオープンにすべきである。
 もちろん党内情報が労働者階級だけに開放されているのではなく、党の闘いを弾圧しようとする治安・警察関係にも知られるという問題もあり、洗いざらいオープンにはできないだろう。しかし公開しない事柄は可能な限り縮小していくことを原則とすべきである。
○コンピュータ社会がますます現実のものとなり、情報化社会はますます進む。労働者の階級闘争や党組織の情報だけそのらち外にしておくということは現実は不可能だろう。むしろ公開されることを前提とし、それに耐えられるだけの組織づくり、組織運営をめざす必要がある。
以上。

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