ワーカーズ 2006.9.15.      案内へ戻る

「対テロ戦争」とは何だったのか?
 殺戮と破壊の果てに破綻するアメリカの世界派遣

 「9・11」から5年が過ぎた。米国支配層は「テロとの戦い」を叫び始め、アフガニスタンに攻め込み、続いてイラクに戦争を仕掛けた。
 口実は、アフガニスタンのタリバン政権やイラクのフセイン政権がアルカイダの温床となつている、イラクの大量破壊兵器開発がテロリズムと結びつくことは必至である、というものだった。イスラム急進主義のテロリズムを制圧するには軍事力による粉砕が最良の方法であり、その後には民主化された中東が誕生するだろう、とも言われた。
 しかし、5年経ったいま、中東と世界の現実はどうか。アフガンではタリバンが日に日に勢力を拡大している。イラクではシーア派とスンニ派の対立に加えて、フセイン時代には抑圧されていたイスラム急進主義による反米武装闘争が満開だ。イランでは神権政治が強化され、パレスチナでもレバノンでも、イスラム急進主義が勢力を拡大している。米国の戦争を支持した国々で、大規模なテロが発生し、米国自身も「9・11」の再現に日々おののいている。
 米国の思惑が裏目に出てしまった理由は明らかだ。米国は、何万、何十万人という中東や中央アジアの民衆を虫けらのように殺致し、拷問し、ただでさえ脆弱なこれらの国々のインフラを徹底的に破壊し、彼らの生活をいっそうの困難に陥らせた。イスラエルを支援し、パレスチナやレバノンでの占領や専横にお墨付きを与えてきた。中東の反動的な王制国家を支援し、これら国家の民衆抑圧を容認してきた。何よりも、こうした米国の行動自身が、米国の唱える「中東民主化」なるものが、実は米国の覇権の下への中東の囲い込み、石油・ガス資源への支配の要求の別名に他ならないことを、世界の民衆の前に暴露してしまったのだ。
 イラク攻撃の主力を担った米英では、ブッシュへの支持率は下がり、ブレア人気も急落中だ。ブッシュの戦争支援において英国に次ぐ役割りを果たした日本では、小泉がその人気を維持したまま政権を去ろうとしており、その後継として小泉を上回る反動・タカ派の安部晋三が政権をねらつている。
 安部政権は、「対テロ戦争」の狂信にしがみつく米国を利用しつつ、アジアにおける軍事強国として登場せんとする路線を、小泉と同様に突き進もうとするだろ。グローバル競争に打ち勝つためだ、再チャレンジだと言って、格差社会の拡大にはほおかむりを決め込むだろ。
 軍事強国化、市場万能主義の安部政権との闘いに備えよう!(阿部治正)


中途半端に終わった“和製サッチャーイズム”――小泉内閣5年間を振り返る――

 自民党政治を引っかき回した小泉首相の任期が切れ、今月退陣する。今年は自民党の総裁選がらみで小泉首相の評価も様々なメディアで語られてきた。すでに語り尽くされた観もあるが、労働者や市民の視点に立って簡単に小泉内閣の役割を考えてみたい

■周回遅れのサッチャーイズム

 私たちは“変人”と揶揄された小泉首相の就任直後から、小泉首相の役回りは新自由主義的政策を強行する“和製サッチャー”であり、“周回遅れのサッチャーイズム”だと見なしてきた。泥沼状況の平成不況という経済情勢や財界と自民党政府の関係が、イギリス病からの脱却を主張したサッチャー政権のケースと多くの点で共通していたからだ。
 現に「構造改革なくして日本の再生と発展はない」として、「官より民、中央より地方」というキャッチフレーズを掲げ、弱肉強食の市場原理・利潤原理で日本版“構造改革”路線を突っ走ってきたのが小泉首相だった。その小泉構造改革が終幕を迎えた今、当然の結果としての“格差社会”が置きみやげとして残された。
 今、自民党は総裁選の盛り上げに躍起になっているが、サッチャー政権の本家イギリスでは格差社会化と福祉切り捨てなどに反発した労働者階級などの後押しによって、後継政権は労働党ブレア政権が引き継いだ。そうとすれば日本では野党の民主党に政権交代するのか、ということにも関心が向くというわけだが、ここでは小泉首相がやってきたことを簡単に整理しておきたい。

■小泉内閣5年間を振り返る

 小泉政権が5年間にやったことを振り返ってみれば、市場・利潤原理主義による弱肉強食の経済システムづくりによる勝ち組企業の立て直しだったことがはっきりする。以下いくつか箇条書き的に整理してみたい。

 □ 不良債権の解消

 小泉首相が最大の課題の一つに掲げた不良債権の解消は、確かに統計上では減っている。不良債権比率も02年3月末に8・4%だったが、3年間で2・9%(05年3月末)に減り、05年5月には正常化を宣言するに至っている。これも小泉内閣時代、大銀行などには公的資金を惜しみもなくつぎ込んだのに加え、日銀によるゼロ金利政策の継続によって不良債権の負担を軽減し、量的緩和政策で市中にジャブジャブ資金を流し続けた結果だった。
 これはほんらい家計が受け取るはずの利息が、ゼロ金利政策によって銀行などの金融機関にかすめ取られたことを考えると当たり前の結果だろう。その額たるや、当事者の福井日銀総裁が「93年の水準と比べ、その後の10年間の累計で154兆円減った」との口走っているほどだ。小泉政権が庶民に対しては各種の「痛み」を押しつけたのとは対照的だ。このことだけでも小泉政権が誰の犠牲で誰を助けたかは明らかだろう。

 □財政再建

 イ)財政再建では、就任直後に国債の発行枠30兆円という枠組みを打ち上げたが、その範囲に押さえたのは最初の一年だけ。05年度当初予算でみると、新規国債発行額は34・4兆円で税収の44兆円の8割近い。国債の大量発行時代はいまだに続いているのだ。いまでは(05年末)国債、借入金、政府短期証券をあわせた国の借金だけで813兆円にもなり、国と地方あわせ“借金1000兆円時代”といわれるまで膨れあがっている。
 ロ)05年度の国と地方の債務残高の対GDP比は、EUのお荷物といわれたイタリアが130%台から110%台に漸減しているのに対して、日本は151・2%となお漸増していて、ダントツの世界ワーストワンだ。

 □ 規制緩和

 イ)小泉政権では経済活性化のテコとして、それまでの公共投資から規制撤廃に重点が変わった。
 今年5月には改正会社法が施行されるなど商法改正が相次ぎ、構造改革特区や独立行政法人化、あるいは公的事業の市場化テストも導入された。
 ロ)労働法制の規制緩和も引き続き進められた。
 04年にはそれまで禁止されていた製造業へ派遣も解禁、また派遣期間の上限を1年から3年に延長した。これがいま深刻な問題になっている非正規労働者の増加に拍車をかけている。この他、労働時間規制の撤廃をもくろむ自立的労働時間制度や金銭解雇を組み込んだ労働契約法の法制化作業も進められている。
 ハ)小泉政権の発足前から競争社会のインセンティブとして企業課税の軽減や勝ち組優先の各種税制改正も行われていたが、その延長として小泉内閣時代の03年には相続税の最高税率を70%から50%へ引き下げている。それまでに所得税と地方税合わせた最高税率は85年時点で88%、89年に65%、99年から50%(所得税37%住民税13%)に引き下げられている。また99年には法人税の実効税率も30%に引き下げられた。
 ニ)03年の税制改正では、株の配当や譲渡益は20%だったのが10%の軽減税率になり、5年間優遇される。これまた預金利子への課税が20%なのに比べてリスク含みの投機優先行動を煽るようなものだ。

 □ 格差拡大

 小泉構造改革5年間の結果、当然の結果として格差社会化が加速した。いくつか指標をあげる。
 イ)貯蓄残高ゼロ世帯の割合がこの10年で7・9%から23・8%と4世帯に一世帯と増えた。他方で、貯蓄のある世帯の平均額も10年間で1287万円から1544万円となり257万円増えた。
 ロ)00年と04年で比べると、年間給与2千万円超が2万人近く増えた一方で、300万円以下は160万人も増えた。
 ハ)OECDの調査では、平均所得の半分以下しか稼いでいない人の割合を示す「貧困率」が、00年時点で15・3%となり、先進国で3番目の高さになっている。
 同じく所得再分配調査で見ると80年代前半までは「高所得層」(上位2割)の当初所得は「低所得者層」(下位2割)の10倍だったが、02年には168倍にもなっている。
 ニ)家計資産は年収別に10階層に分けて比べると、最高所得層と最低所得層の格差は94年の2・8倍から04年には3・4倍に拡大している。
 ホ)95年間からの10年間で正規雇用者が407万人減り、不安定・低処遇の非正規雇用者が649万人も増えた。小泉政権下の5年間では非正規雇用者は300万人余増えて、06年には1663万人になった。今では正規雇用2人に対し非正規雇用が1人にまで増えている。
 ヘ)企業規模ごとの年間給与の変化では、04年度までの10年間で中小企業が9・8%減の284万円、大企業では1・9%増の582万円。両者の差は256万円から298万円に拡大している。
 ト)地域間格差も広がっている。小泉政権発足後、東京都区部の95%あった札幌市の勤労者世帯の収入が83%まで下がっている。有効求人倍率も、この4年間で東京は0・68倍から1・58倍に改善したのに対して、北海道では0・47倍から0・66倍と低迷している。
 チ)失業率は最高時だった02年時の5・4%から4%台前半に低下しているとはいえ、未だ高止まりしている。有効求人倍数は東京都が0・49倍から1・21倍に回復が見られるのに対して、北海道では0・56倍から0・55倍といまだに氷河期が続いている。

 □ 社会保障

 格差社会のセーフティ・ネットとなるはずの社会保障も相次いで切り捨てられている。
イ)サラリーマンの医療費自己負担が3割に引き上げらてた。(03年)
ロ)04年に成立した年金改革法では、厚生年金の保険料率(年収の13・58%)を2017年に18・3%になるまで毎年上げることになった。

 □ 外交・安全保障

 小泉首相の隠れた野望の一つとして政治・軍事大国化があったことは周知のことだった。表面的には日米同盟至上主義とでも言うべき米国との一体化が目立ったが、その米国の傘の下では着実に独自の政治・軍事大国化の策動が進められている。
 イ)対テロ特措法、有事法制、イラク特措法などで自衛隊の海外派兵を拡大し、海外での軍事行動に道を開いた。さらに現在進行中の米軍再編・変革では、米軍からの“外圧”をもテコとして自衛隊の活動領域の拡大を図っている。
 ロ)靖国神社参拝の強行などで、中国や韓国と対峙する姿勢を鮮明にした。
 ハ)日朝協同宣言にこぎ着けながら北東アジア関係の改善に失敗したことをはじめとして、日ロ間の領土問題の解決、国連安保理入りなど、政権が掲げた外交案件はことごとく低迷・頓挫した。

 □ 郵政民営化

 郵政民営化では、経営形態の変更の道筋はつけたものの、本来の目的であった公的金融の縮小の道筋は不透明なままだ。

 □ 保守二大政党制――派閥政治の外部化

 イ)小泉首相は、就任直後には派閥政治の打破、首相公選制の検討、内閣機能の強化など、“党・政治改革”を掲げた。この5年間では経済財政諮問会議の活用や内閣の人事、あるいは郵政民営化などで、一見すると「内閣主導」政治は進んだかのようだ。が、それ以外では“丸投げ政治”が目立ち、官僚依存政治から脱却したとは言い難い。また派閥政治の打破も掲げられたが、主たる標的が橋本派つぶしに置かれていたため、党機関中心主義が強まったとはいえ、派閥解消にまでは至っていない。
 ロ)小選挙区制という土俵の上で、郵政選挙での造反議員の非公認や刺客選挙などを通じて、自民党は中央統制型の組織へ変質した。結果的に党内の政治潮流の幅を狭め、異端分子や反対意見が排除され、党内対立が外部化することで党派間対立が前面に出るようになった。有権者にとっての選択肢は、自民党内の人や派閥選びから党派選びになるという政党政治の構造転換になった。結果的には小泉首相による内閣主導政治・派閥政治の打破は、政権交代の可能性が広がることで政治の流動化傾向を促進する結果をもたらした。

■第三極の形成を

 かつての自民党的派閥政治は、党内の派閥間での政権たらい回しによって疑似政権交代を演出し、そのことも一因として長期政権を維持してきたことが特徴として指摘されてきた。それが小泉首相による“劇場政治”によって、政権基盤が世論の風によって左右される構造に変わってきたと言える。その結果は、小選挙区制を土俵にしたマニフェスト選挙によって選択肢は自民党か野党第一党の民主党か、が問われる構造になった。
 こうした保守二党制という政治構造のなかでは、共産党や社民党などの少数政党の存在感がかき消される傾向にあり、それらの少数政党は議会政治において第三極づくりを模索せざるを得ない状況に置かれている。それらは当然の努力として推し進められる以外にない。
 一方で私たちとしてはポスト小泉時代においても、議会政治の枠にとどまらない第三極づくり、すなわち政権党と議会内野党勢力という対抗関係そのものにも対抗して、より根源的な第三極づくりを推し進める課題間待ったなしに問われてくる。(廣)案内へ戻る


日本国教育基本法(新法)提案と『教育のススメ』配布

民主党対案路線と日教組の追従

 私たちは、ワーカーズ前号で、政府の教育基本法「改正」案の核心を解明・批判しておいた。これに対して、五月二十三日、民主党は教育基本法「改正」案を廃案に追い込む戦術との触れこみで、日本国教育基本法(新法)を提案している。この問題がありすぎる対案については、日教組本部も日政連議員団も問題点を黙認するとの対応であった。この対応に日教組の心ある現場組合員の憤激を巻き起こしている事を報告しておきたい。
 そもそも日教組の立場は、教育基本法改悪絶対反対の立場であり、一九五十年代に確立した「教え子を再び戦場に送るな」との日教組のスローガンは、現場組合員が今でも信念としている立場である。この現場で闘う組合員の立場からは、今春から提起された日教組本部の教育基本法を論議していくための「調査会設置要求」運動など噴飯ものの方針でしかない。なんたる敗北主義だろうか。もし政府・与党が、是非とも改正したいとの高等戦術から、この「調査会」を現実に設置したら、そこで論議の焦点となる教育基本法の改正は、理の当然として、自動的に日程に上らざるをえない代物でしかないのである。
 しかも、今回政府案に対案として提出された民主党案とは、四月二十八日政府提案が唐突に出されたことに対抗するため、そそくさと急に作られたものでは決してない。それは政府案が着々と準備し提出の時期だけを狙っていたように、民主党案もまた00年以来、教育基本問題調査会において、日教組本部と日政連議員団も論議に関与する中進められてきた新教育基本法改定作業の産物である。立役者は、元自民党文教族の西岡武夫現民主党参議院議員その人であり、教育基本法「改正」に執念を燃やし続けてきた彼の言動が政府の「改正」案の立場より、一層反動的なものでしかないのも充分に頷けるというものだ。

民主党新法の危険な本質

 それでは、政府・与党案に比較しての民主党提案の問題点とは一体何なのであろうか。
 その問題点については、大きく見ると以下の三点に象徴することが出来る。
 第一点目かつ最大の問題点は、現行憲法と一体性の明確な否定である。現行教育基本法の魂である「日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献省との決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである」との明確な文言が削除されており、附則第二条においては、教育基本法は、廃止すると明言されている。つまり現行平和憲法との明確な切断がなされているのだ。
 さらに、現行前文にある「われらは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普遍的にしてしかも個性豊かな文化の創造をめざす教育を普及徹底していかなければならない」との核心の宣誓が、「人間の尊厳と平和を重んじ、生命の尊さを知り、真理と正義を愛し、美しいものを美しいと感ずる心を育み、創造性に富んだ、人格の向上の向上発展を目指す人間の育成である」との美辞麗句に取って替わられ、具体的な教育の目的を定めた第一条には、現行での「平和な国家及び社会の形成者」の明確な規定は、「民主的で文化的な国家、社会及び家庭の形成者」と曖昧に拡散された文言に替えられてしまった。ここには、問わず語りに現在の民主党の判断、つまり今後日本国家は平和を追求する立場に立ちえないとの判断が明確になっているのである。
 第二点目は、現行教育委員会制度を明確に否定し行政の長の権限を拡大すると共に政府・与党「改正」案と同様、義務教育だけでなく、幼児教育から高等教育・大学教育さらには生涯教育や家庭教育に至るまで、この法律で統括する教育統制国家をめざしている事である。民主党は、責任を明確にするとの理由で、自らの前文に「国政の中心に教育を据え、日本国憲法の精神と新たな理念に基づく教育に日本の未来を託する」とまで記述している。この精神を体現しているのが彼らの提案する第七条で、「国は、普通教育の機会を保証し、その最終的な責任を有する」とし、第十八条で、「地方公共団体が行う教育行政は、その施策に民意を反省させるものとし、その長が行わねばならない」と規定する。ここにおいて現行教育委員会制度は完全に否定された。まさに行政の長による教育内容についての窮極の政治介入ではある。いや正確に言い直すと教育内容についての日常的監視行動が、行政の長の今後の政務の一つとなると明確化された。ここにおいて、民主党案は政府・与党案より強権的にまさに教育を国家の「統治行為」としてしまったのである。
 第三点目は、政府・与党の規定を踏み越えた「愛国心、宗教的情操の涵養」の明文化、「個人の尊厳」「個人の価値」の削除と「教育の機会均等」についての乱暴な介入の正当化である。何と大胆な踏み込みではないか。これらについての批判は、政府・与党案批判と同様なので多言を要しない。ここでは、「教育の機会均等」についてだけ触れておく。
 現行第三条では、「すべて国民は、ひとしくその能力に応ずる教育を受ける機会」が与えられなければならないとの規定が、「何人も、その発達段階及びそれぞれの状況に応じた、適切かつ最善な教育の機会及び環境を享受する権利を有する」と替えられてしまった。実際享受とはよくもいったものだ。この言葉は与えられたものを反発することなく素直に受け入れるとの意味合いを濃厚に持つものであり、ある意味で甘受するに近い。そこには与えられた環境について不平不満を持つべきではないとの意味が明確に加わっている。
 このように、現行では各自の持つ「能力」は、教育による発達を含めた可変性を持つ広い概念であったが、改正後は現実的に確定された「能力」とされ、それに応じた「適切かつ最善」な「教育の機会及び環境を享受する権利」に斬り縮められてしまったのだ。
 この点と改正案第四条の「法律に定める学校は、その行う教育活動に関し、幼児、児童、生徒及び学生の個人情報の保護に留意しつつ、必要な情報を本人及び保護者等の関係者に提供しつつ、かつ、多角的な観点から点検及び評価に努めなければならない」と規定された事を考え合わせれば、全国統一学力テストの実施と学校の序列化が完全に正当化される。
 まさに「保護者等」の「等」が問題なのである。ここに学校と労働市場との緊密な連携が謳われたものと判断でき、今後は確定された「能力」による格差社会の出現は、全面的に正当化され是認されてしまうのである。

暴露された民主党の狙い

国会前に登場した北教組等を中心とする反対勢力の奮闘により、政府・与党案も民主党案も国会会期内の成立を図ることが出来ずに終わった。決戦は九月の臨時国会まで先延ばしになった。しかし、その後当初は政府・与党案を廃案に追い込む戦術として提案されたはずの民主党案は一人歩きを始める。政府・与党案廃案のための戦術ではなかったのだ。
 七月二十四日、民主党は「民主党『教育再生』シンポジウム〜日本国教育基本法案で教育現場はこう変わる〜」を開催した。その呼びかけは「民主党は、先の通常国会において、党の教育に対する考え方の集大成とも言える『日本国教育基本法案』を国会に提出しました。今後とも、国民とともに、教育を考える立場から議論を呼び起こしていきたいと考えております。多くの方のご参集を心よりお願い申し上げます」であった。
 参加メンバーは、主催者挨拶:鳩山由紀夫・教育再生本部長、今後の取り組み報告:松本剛明・同本部事務総長、パネルディスカッションでは、パネリスト:櫻井よしこ氏(ジャーナリスト)西澤潤一氏(首都大学東京学長)陰山英男氏(立命館大学教授兼立命館小学校副校長)西岡武夫氏(民主党参議院議員・同本部長代理)コーディネーター:鈴木寛氏(民主党参議院議員・同本部事務総長代理)のよくぞ集めた面々であった。
 さらに九月一日には、神奈川県内で「民主党『教育再生』シンポジウムin厚木」(主催:民主党神奈川県総支部連合会)が開催された。開会挨拶で、笠浩史衆議院議員(党教育再生本部事務局長)は「国会閉会中の機会を使い、全国各地でこのようなシンポジウムを開催し、皆さんの意見をしっかりと聞き、臨時国会に向けての準備にしたい」と表明し、続いて鳩山由紀夫幹事長(党教育再生本部長)が基調講演に立った。
 鳩山幹事長はこの中で、民主党が「日本国教育基本法案」を提出するに至った経緯を説明し、「友愛の心と共生」の意義にも言及し、「教育を、自公間の取引による与党の党利党略に使わせる訳にはいかない」と指摘して、教育の本質を考えることが重要だと聴衆に訴えた。その後のパネルディスカッションでは、コーディネーターを民主党神奈川県第十六区総支部代表の後藤祐一さんが務め、パネラーには鈴木寛参議院議員のほか、高比良正司中央大学研究開発機構教授、又木京子神奈川ネット・政治スクール理事長が招かれた。高比良教授からは「地域の教育力が崩壊してしまっている。それが昨今の少年事件の起こる要因になっている。地域の教育というものを考えていかなければならない」という指摘が行われた。又木理事長からは「以前は地域の中に家庭があったが、今は核家族化が進んでしまっている。大人の責任でもう一度、地域を作り直さなければならない」と意見表明され、鈴木議員からは「人づくりとは、手間と愛情をかけなければならない。教育政策に手品は無い。一人一人にどれだけ力を注ぐことができるかにつきる」との考え方が示された。厚木での集会は、内容の濃い活発な議論が行われたと民主党は広報している。
 この活動の武器の一つが、『教育のススメ』(日本国教育基本法解説)のパンフである。このパンフは単なる解説本ではなくそれ自身明確に批判しておかなければならないほどの独自の内容を持つがその批判は別の機会としたい。このパンフは自治労全国大会の全代議員に配布された。こうして私たちにもこの民主党の薄汚い策動が知れ渡ったのだ。もちろん当事者である日教組大会での配布はなかった。何と姑息な手法ではないか。先の記述から確認できたように民主党は教育基本法の改正を本気で追求している。単なる対案ではなかったのだ。日教組の現場組合員は、民主党と日教組本部に騙されていたのである。

教育基本法「改正」案と日本国教育基本法を粉砕せよ

 九月の臨時国会では、政府・与党の教育基本法「改正」案と民主党の日本国教育基本法(新法)が再度提案される。それゆえこの秋が山場となることは間違いがない。民主党と日教組本部の背信行為を糾弾しつつ私たち現場組合員の底力を今こそ見せる時である。
 私たちは憲法改悪策動の一環、憲法改正を進めるための露払いとしての教育基本法「改正」を許すわけにはいかない。ともに闘っていこうではないか。  (猪瀬一馬)


コラムの窓・安倍晋三氏の赫々たる戦果

 総理候補らしい安倍晋三氏の闘う政治家宣言≠ェ「文藝春秋」9月号に掲載されています。安倍氏には「美しい国へ」という著作があり、767円というお手ごろ価格も手伝ってかベストセラーになっています。安倍氏の主張を批判するなら、こちらの本を読むべきでしたが、ゴーストライターが書いたのではという声もあり、買って読む気にはならなかったのです。その点、文藝春秋の記事は15ページしかないので、お手軽批判が可能です。
 さて、このインタビューの主題は国連での北朝鮮制裁の闘いで、主人公はもちろん安倍氏です。
「今度の国連の外交はまさに我々がリードし、主導権をとる外交にしなければならないと考えました。この点において、幸い麻生外務大臣とは基本的な考えで完全に一致し、小泉総理の指示も一切ぶれることはありませんでした」
「最終的に安保理の場で『全会一致』という結論を得たことは、大きな外交的勝利であったと思います。日本が自ら主導して決議案を提出したのは、国連加盟後、今回が初めてのことです。この決議を行なう際には、日本の決意を固め、そして同盟国である米国としっかりと連携を取ることを重視しました。こうした日米の連携はミサイル発射当初から揺るぎませんでした」
 語るに落ちるとはこのことです。大国を自任し、常任理事国入りを要求する国が、国連で「自ら主導して」決議案を提出したのは今回が初めてとは、なんと主体性のないことでしょう。しかも、なお米国頼みだというのですから、なんと情けないことでしょう。さらに、その内容が北朝鮮制裁という弱い者いじめ≠ニは、もう言葉もありません。あとは、どれほど自分が頑張ったかという自慢話です。
 それによると、朝鮮民主主義人民共和国のミサイル発射の前兆を確認した5月末、なんと極秘プロジェクトチーム≠立ち上げたそうです。そこで安倍氏は、北朝鮮は「これまでに核の問題もあり、また拉致の問題で誠意を表明してこなかった」のだから、ミサイルを発射したら即レッドカードだと主張しています。そのたとえで北朝鮮側から言えば、強制連行・強制労働、軍事性奴隷など何枚のイエローカードになるかわかりません。
 小泉氏にしろ安倍氏にしろ、相手の立場に立って考えるということができない勝ち組≠ェ政治の実権を握ったら、とんでもないことになるという実例はいくらでもあります。さしずめ、小泉氏の今回のヤスクニ参拝であり、安倍氏の北朝鮮制裁の嚇嚇たる戦果をあげることができます。
 その制裁の象徴となった万景峰号の入港禁止に際して、「修学旅行の高校生を含む在日の方々は下船してもらうことを決断」した安倍氏は次のように述べています。「日本に対する脅威については断固とした対処をすることを示すと同時に、人権を守るという姿勢も示さなければならないし、そうあるべきだと考えたからです。これは在日の人たちを誹謗中傷したり、危害を加えるようなことは厳に慎まなければならないというメッセージでもあります」
 なんというありがたい思し召しでしょう。しかし、人権を守る姿勢を示す≠アとは、人権を守ることとは似て非なるものです。美しい≠アの国には武士道というおくゆかしい道があるらしいが、そこでは弱いものを攻撃することは最も恥ずべきこととされているのではないか。安倍氏が行なっていることは、その最も恥ずべきことだと思うのですがいかかでしょうか。もちろん、私は武士道なんぞに共感はしませんが。     (晴)
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『9・11』から五年 今暴かれつつある真実

はじめに―東京新聞の特報

 九月六日の東京新聞の特報は、画期的なものであった。それは「しんぶん赤旗」でさえはっきりと書かないことが掲載されたからである。常日頃、マスコミか報道の安倍晋三氏に対する阿りや追従記事を苦々しく感じている私は、この事は快挙であると評価する。
 その記事の冒頭、「9・11」事件から間もなく五年たつが、米国では同事件の「陰謀」説が再燃しているとのこと。「ブッシュ政権が意図的に攻撃を見逃し、戦争政策に利用したという見方だ。従来、陰謀論を無視してきた米国政府も、今回は打ち消しに動いた。論戦は続くが、この再燃現象は同国の右傾化に対する揺り戻しにも映る。ただ、多くの市民はいまも真相よりも悲しみに縛られている」と田原拓治記者は書いている。

特報の核心部分―要約して引用

「陰謀説」再燃を印象づけたのは、六月初旬に米シカゴで五百人が参加した「9・11の真実を求める科学者たち(S911T)」主催の真相究明会議で、このグループは退役空軍将校や元海兵隊情報部員などの大学人、ジャーナリストら七十五人で構成されている。
 米政府の独立調査委員会は二〇〇四年七月、事件の最終報告を発表した。しかし、S911Tはこの内容に異議を申し立てた。世論も敏感に反応し、オハイオ大・スクリプスセンターの最新世論調査でも、三分の一が「事件は政府が共謀したか、テロ計画を意図的に見逃した」とみている。政府は八月三十日、国立標準・技術研究所(NIST)の名で反論を発表し、従来「陰謀」説に冷たかった大手紙も、九月二日にニューヨーク・タイムズが、政府の「反論」を機に「陰謀」説を取り上げた。
 では、S911Tが指摘する「陰謀」説の根拠とは何か。乗っ取られた旅客機二機がニューヨークの世界貿易センタービルに突入したシーンは事件の象徴となっているが、彼らはWTC二棟の倒壊の原因に疑問を投げかける。政府報告書では衝突の衝撃とジェット燃料の熱で高層ビルの鉄骨が崩れたとする。だが、S911Tはジェット燃料の火の温度は鉄の融点に達せず、衝撃にも十分耐えうる設計だったとの設計者の証言から、倒壊は航空機の衝突のせいではなく、爆薬が事前に仕掛けられていたと仮説を立てた。
 同グループは、ある退役軍人の「現場の状況は軍用テルミット(アルミ粉末と酸化鉄の混合物)爆弾で、ビルを倒壊する場面に酷似している。これは瞬時に高熱を発生し、鉄骨を溶解させる」という言葉を引用し、さらに当日、衝突とは無縁だった四十七階建てのWTC第七棟が崩壊した事実に注目する。第七棟では突入事件直後に火災が発生したが、ビルの借地人が消防当局に消火を断念し、倒壊を命じたと証言している。
 だがS911Tは、火災が小規模なのに消火せず、爆薬による解体がわずか数時間の間に遂行されたのは「事前準備抜きにはあり得ない」と結論し、ここから逆に航空機が衝突した二棟にも、事前に爆薬が仕掛けられたと推測している。
 WTC以外に国防総省にも当日、乗っ取られた航空機が突入したとされる。これについても、S911Tは疑問を呈している。その理由として(一)建物にできた衝突の穴が機体に比べて小さすぎる(二)突入直後の写真に建物内部の家具や電子機器が散らばっているにもかかわらず、六十トンもの機体の残骸や乗客の荷物などが見えない(三)飛行技術に未熟な犯人が、改築中で唯一無人だった高さ二十二メートルの西棟に急旋回し、かつ超低空飛行を維持して突入するのは不可能−といった点を列挙して、ミサイルによる破壊の可能性を示唆する。
 他にも、同グループは事件に絡む「不自然」な点を並べる。例えば、国防総省が前年十月、旅客機が同省に突っ込む想定で対テロ訓練をしていたにもかかわらず、ライス大統領補佐官(現国務長官)が事件直後に「誰一人として(こんな事件を)夢にも思わなかった」と発言したこと。また一機目がWTCに衝突してから約五十分後に、空軍などが守る首都中枢の国防総省に乗っ取り機が突入できた不思議さなど。ちなみに当日は複数の防空演習があり、レーダー上も仮定と現実の区別がつかなかった、という説明がされている。
 さらに事件の調査費が六十万ドルで、クリントン前大統領のスキャンダル調査費の七十分の一にすぎず、政府が真相究明に消極的だった点も指摘されている。
 一方、政府もこうした追及に対抗している。WTC爆破説については「もし爆薬で解体するなら下の階から爆発させるのに、今回の仮説では逆になっている。さらに数千もの爆薬や起爆装置を混雑するオフィスビルで秘密裏に設置するのは事実上、不可能」と反論している。何より、〇四年にウサマ・ビンラディン容疑者自らが声明で犯行を認めていることを、「陰謀」説を打ち消す最大の根拠にしている。
 ただ、S911T側は、政府中枢がアルカイダの犯行計画を知っていて、それを意図的に看過、利用したとしており「その後のアフガニスタン、イラク侵攻を遂行するために『第二の真珠湾攻撃』が必要だった」と「陰謀」の政治的動機を説いている。こうした「陰謀」説は事件直後から米国内外で流れていた。ただ、昨今の再燃は、イラクの泥沼状況に伴う反戦感情の高まりが背景にあることは間違いない。以上、特報の要約であった。

911真相究明国際会議in東京のお知らせ

 ここ日本においてもこの事件についての真相究明の会議が開催される事になっている。
 主催者の一人に、『911ボーイングを捜せ 航空機は証言する』DVD日本版を作成したハーモニクスプロダクション代表のきくちゆみ氏がいる。この種のDVDはすでに六種類自主的に作成されたと伝えられている。ぜひとも成功をさせたいものである。
 紹介もかねて「きくちゆみのブログとポッドキャスト」から集会案内を貼り付けておく。

 *テロ突入犯人は今も生きている?
 *世界貿易センタービルの崩壊に爆薬が使われた?
 *ペンタゴンにボーイング757型機は突っ込んでいない?
 日時:2006年10月7日(土) 九時開場、九時半開演(二十一時終演予定)
 第1部(九時半から十二時) 911ドキュメンタリー上映会
 第2部 (十三時から十六時半)レセプションパーティー(交流会)とリレートーク
 第3部:(十八時半から二十一時)911国際シンポジウム
 場所:国立オリンピック記念青少年総合センター国際交流棟
 国際会議室(第1部、第3部)/レセプションホール(第2部)
 参加費: 全日参加: 事前申し込み5000円、 当日6000円
     (午後のレセプションパーティーの飲食費を含む)
     部分参加:第1部と3部: 事前申し込み3000円、当日4000円
          第2部(パーティー):事前申込み3000円、当日4000円
        *パーティーはフリードリンク、フリーフード
 お申込方法:郵便振替00110-1-144224 ハーモニクスライフセンターに事前申込み金を 9月末までにお振込み下さい。通信欄に「911真相究明国際会議」と、参加希望内容 をお書き下さい(全日、第1部と3部、第2部、などの別)。
 お問合せメール:911@wa3w.com お問合せファックス:04-7097-1215
 *この会議は911事件の真相を究明したい個人が実行委員会形式で企画しておりま  す。国際会議の開催には多額の費用がかかるため、ご寄付を募っております。1万円以 上のご寄付を下さった方には、ジミー・ウォルター氏直筆のDVD(10カ国語)をプ レゼントします。
 <内容>
 第1部上映予定作品:Loose Change、911ボーイングを捜せ、コンフロンティング・ ザ・エビデンス、他。
 講演予定者:ベンジャミン・フルフォード、ジミー・ウォルター、成澤宗男、レイ・グ リフィン(ビデオ参加)、スティーブン・ジョーンズ(ビデオ参加)、他。
 司会:きくちゆみ  通訳:森田玄、Kimberly Hughes(予定)
 *第2部は立食パーティーで、フリードリンク&フリーフードです。参加者同士、参加 者と講演者の交流と親睦を深めるためのパーティーで、リレートークやミニコンサート も予定しています。
 主催:911真相究明国際会議実行委員会
 協力:東京ピースフィルム倶楽部、グローバルピースキャンペーン
 後援:ハーモニクスプロダクション、徳間書店、合同出版、扶桑社、週刊金曜日、他

 都合のつけられる人はぜひ参加を呼びかけておく。

日本で出版された六冊の『9・11』関連本

 すでに特報の要約を引用しておいたが、単行本の世界では、真相追及はさらに徹底している。これらの本は、ずばりアメリカ政府が事件の犯人と断言して憚らないのである。
 この中で最初に出版されたのは、田中宇氏の『仕組まれた9・11 アメリカは戦争を欲していた』である。出版日時は、二00二年四月九日であった。見出しを紹介する。
 プロローグ 「悲しみ」を「戦意」に変える装置 第一章 垣間見える黒い意思―テロの進行を防がなかった米軍 捜査をねじ曲げる見えない「圧力」 実行犯の肖像 「自作自演」の炭疽菌事件 第二章 世界最強のテロ支援国家―予定どおりのアフガン攻撃 オクラホマ爆破事件と9・11の奇怪な関係 オサマ・ビンラディンとCIAの愛憎関係 第三章 「敵」を作り出すアメリカの手法―ソマリアの和平を壊す米軍の「戦場探し」 親密な「仇敵」イランと「はめられた」イラク ブッシュ家三代の「政治ビジネス」 第四章 根深い政財癒着構造―エンロンが仕掛けた「自由化」という名の金権政治 崩壊する航空業界 エピローグ なぜ戦争は企画されるのか 以上
 この本は極めて早い時期に出たものであったにもかかわらず、状況説明と核心部分はちゃんと押さえてあり、今でも繙読に絶える内容である。プロローグ十九頁で「9・11事件の数ヶ月前」に公開された「『パールハーバー』という映画」に触れ、「なぜ今ごろ作られる必要があったのか」と問い、真珠湾と9・11との「裏面の類似性」をもとに考えると興味深いと田中氏はコメントしている。9・11事件は、まさに真珠湾と同じくやらせだと田中氏はいいたかったのだ。
 『ぶっ壊します!泥棒国家と闇の権力構造』での対談相手である中丸薫氏の主張するオカルト的部分を抜いて、さらにこの事件の核心に迫ったのが、『日本がアルゼンチンタンゴを踊る日』以来の健筆で知られるようになったベンジャミン・フルフォード氏の『9・11テロ捏造日本と世界を騙し続ける独裁国家アメリカ』で、この本は、生々しい事実を語る口絵写真を二十頁も冒頭につけている。ここだけでも一見の価値があるというものだ。
 フルフォード氏は、中丸薫氏を通して、きくちゆみ氏作成のDVD日本版『911ボーイングを捜せ 航空機は証言する』を手渡されていた。しかし、当初は見る気がしなかったのだが、氏の度重なる確認のため、仕方なく見て眼から鱗が落ちたと彼は確言した。
 見出しは、第1章 9・11テロ捏造―嘘で固めた「公式発表」 第2章 9・11テロだけではない!捏造はアメリカ開戦の常套手段 第3章 独裁国家アメリカの現在 第4章 選挙泥棒2000、2004―2つの大統領職を盗んだブッシュ 第5章 ブッシュ一族の犯罪と秘密結社 第6章 次の標的は中国、その前にイランか!?―戦争中毒者の計画立案書 第7章 略 第八章 略 である。
 その他、資料として、9・11テロ突入犯は生きている! 計画されていた9・11―主要メディアに見られる200以上の「決定的証拠」がついおり、お薦めの一冊である。
 最新刊は、週刊金曜日に連載されたものを連載後に判明した新事実にもとづき、二十頁以上も大幅に加筆してこの九月に出版された成澤宗男氏の『9.11の謎 世界はだまされた!?』である。フルフォード氏の本より手堅い論証が本書の特徴である。
 見出しは、第1章 巨大なる迷宮:生きていた「自爆テロリスト」/消えた「ビル崩壊の証拠」/国防総省の怪/誰かが事前に知っていた/ユナイテッド機はなぜ墜ちたか 第2章 真実を知る影:FBI翻訳官が目にした極秘メモ/闇に包まれた演習 第3章 底知れぬ暗部の彼方:4機の旅客機の正体/抹殺されたブラックボックス/インサイドジョブ 第5章 隠されたリンケージ:「エイブル・デンジャー」と「実行犯」/情報は握りつぶされていた/「攻撃放置」論の無理/監視カメラのミステリー 他である。
 内容は、FBIはビン・ラディンを9・11の容疑者と見ていない、自爆テロリストのうち少なくとも6人は生きている、世界貿易センターには巨大な爆発物が仕掛けられていた、ハイジャック機の乗客名簿にはテロリストの名前はない、衝突機のブラックボックスは政府が密かに回収していた、9・11を事前に知っていた何者かが株の大量取引をしていた、ブッシュ政権は事前に9・11を知っていた、など他の本とダブル部分が多い。
 その他に『世界はここまで騙された9・11は狂言!その戦慄の証拠群』と『ニューヨーク地下帝国』上・下がある。また先に紹介したベンジャミン・フルフォードの二弾目の著書の『暴かれた9.11疑惑の真相』が 扶桑社からごく最近出版された。この本はDVD付きだとのこと。残念ながらこれらの本は私自身未見なのでここでの紹介は省略する。
 あの9・11から五年がたち、この事件の核心が今暴き出されつつある。私たちは、事件当時、この事件はブローバックだとした。アメリカの帝国主義的侵略への吹き返しだと認識してきたのだ。しかし、当時革共同全国委員会(中核派)に至っては、「ムスリム・テロ断固支持」の呆れ果てた立場を、恥ずかしげもなく大声で宣言していたのである!
 私たちは、帝国主義者の策動とは実際ここまでやるものなのかと衝撃を受けつつある。
 今まさに私たちは、全世界の労働者民衆と共にこの世界から戦争を弄ぶ醜い帝国主義者を断固一掃する決意を固めればならない。

おわりに―「9・11」関連映画

 最近、「ユナイテッド93」とオリバー・ストーン監督の「ワールド・トレード・センター」の二本の9・11映画が封切られた。
 作られた現代の英雄譚である「ユナイテッド93」は、飛行機が飛んでいる超高層圏から携帯電話が通じるのは不可能だとの反論を一切無視して、誰も目撃者がないまま見てきたような現代活劇として作成されている。この映画の映像画面は、細かな動揺が激しく、全く見ていて気持ち悪くなるできだと観賞した人からは伝えられている。まさにこの動揺は監督の良心の揺らぎなのである。また、JFK以来、「陰謀」好きと評価されてきたストーン監督の新作は、真実の追及を封じ込められて、ただひたすら事件の前にひれ伏したような、地下に封じ込められた救急隊員の救出の掛け値なしの実話劇である。私にいわせれば、あのストーン氏ですら、今のアメリカでは、この事件の真実を語れないことを示した問わず語りの映画なのである。
 この9・11を機に始められたアフガン侵攻とイラク侵略は、アメリカの世界での威信の低下を招き、アメリカ軍自身も二千六百人もの死者を出し、ベトナム反戦闘争以来の抗議行動がアメリカ全体に広がるまでになっている。アメリカの政治危機は進行している。
 こうしたアメリカ世論の動きにより、八月のコネチカット州の民主党予備選挙でイラク戦争支持のリーバーマン上院議員が、戦争反対の無名新人候補に想定外の敗北をする結果をもたらしたのである。
 十一月の中間選挙を睨んで、ブッシュと彼の側近の危機感はまさに募るばかりである。彼らに徹底した追撃の鉄槌を浴びせようではないか。ともに闘おう。   (直記彬) 案内へ戻る


 アメリカの労働運動の紹介     「デトロイトのレイバー・ノーツ総会に参加する」

★なぜ?アメリカへ
 地域労組の知人から、「前からレイバー・ノーツに行きたいと言っていたよね、5月の連休利用して一緒に行かない」と誘われた。
 一瞬、う!「レイバーノーツて、なんだっけ?」。そうだ、あの「Mさん」が行きそこねたアメリカの労働組合の大会だ。1日のメーデーを取り組み、連休を利用すればなんとか行けそうだな。私自身はアメリカ嫌いで絶対行きたくない国だと思っていたが、よし!行ってみよう。こんな調子でスタートした旅であった。

★レイバー・ノーツとは何か?
レイバー・ノーツはアメリカのデトロイトを本拠にする労働NPOで、1977年に結成され、正式名称を「労働教育調査プロジェクト」と言い、草の根の労働者教育機関である。「レイバー・ノーツ」という月間誌を発行している。会員組織ではなく約1万部発行の同誌の定期購読者によって支えられている。ニューヨークにも事務所を持ち、8人の専従職員と数人の学生インターンにより運営され、24人の組合指導者と活動家からなる政策委員会により支えられている。
 一般組合活動家を対象としたセミナーを開催し、また日本でも「米国自動車工場の変貌」(翻訳書名)などの労働運動に関する実践的な書物も出版している。チームスター労組の改革派「組合民主主義をめざすトラック運転手たち」(TDU)や全米自動車労組(UAW)の反対派などと結びついて労働運動の民主化・戦闘化のために努力している。AFL・CIOの内部で組合民主主義の復権を旗印に、組合員大衆の力で労働運動の変革をめざしている。
 その運動の結節点が二年に一度開催される総会である。今回は三年目の開催となった。

★「遠い、広い」アメリカ
 私は仕事の都合で、本隊の日程より短い5月3日〜8日のハードな旅となった。少しでも経費を安くと思い、デルタ航空の成田からアトランタ経由、デトロイト到着便なので、約17時間の空の旅である。やはり遠い国だと痛感する。
 この長時間の空の旅の疲れを、さらに倍増させたのがアトランタ空港での入国手続きであった。9.11事件以降、アメリカへの入国手続きが煩雑になったと聞いてはいたが、入国手続き職員が、パスポートをチェックして、レフトハンドの親指の指紋、次にライトハンドの親指の指紋、さらに目の紋を採る、これを一人一人やるので当然時間がかかる、お客も疲れからイライラするが、入国手続き職員も入国者の多さに疲れでイライラし、突然大きな声で入国者を怒鳴り散らす。英語の弱い私には意味が分からないので、知人に聞くと、「しっかりまっすぐ並べ」と怒鳴っていると。
 まったく時間のかかる、不愉快な入国手続きであった。さっそく空港内でアトランタ地
ビールを飲んでブヅブツと言いあいストレス発散する。
 その後、空港からデトロイト市内や郊外を移動したのだが、広い国だとは思っていたが、その広大さに本当に圧倒された。ホテルの部屋から外を眺めると、左から右へ180度地平線が広がり、遮る山はほとんどない。帰りの飛行機から見下ろしたアメリカ大陸は麦畑が広大に広がっており、2時間飛んでも3時間飛んでもぜんぜん景色が変わらない。びっくりする広さである。
 良く考えてみると、国土・環境は日本とはまったく正反対の国である。日本は「狭い・小さい」で、アメリカは「広い・大きい」のである。従って、当然それぞれの生活スタイルや文化が違っているのが当たり前なのだ。ところが、このような根本的な違いがあるのに、アメリカ文化やライフスタイルをそのまま日本に持ち込み押しつける。それはやはり無理があるはずだ。アメリカンスタンダートがすべてではない。日本社会の改革が叫ばれている今日、こんな思いを強く感じた。

★「まずい、そして心配な」食文化
 滞在しているホテルの食事は高いので、近くの大きなションピングセンター(最近、日本でも郊外によくあるジャスコなどの大型スーパー)の食堂店によく食事に行った。
 ところが、マクドナルドをはじめとするファーストフード店ばかり、メニューはハンバーガーやコーラが中心である。野菜や魚類は少ない。
 あの太ったアメリカ人や肥満児のイメージが浮かび、成人病患者が多発しているアメリカ社会。その原因は言うまでもなく、このような食生活にあると言える。
 このようなことを考えていたら、さすがレイバーノーツ総会、巨大ファーストフード会社「タコベル」と闘っている労働運動の報告があり、また「ストップ・コーラ」運動を展開しているグループとも知り合いになった。

★「伸び伸びと、自由闊達」な発言
 どうもアメリカ社会の悪口ばかりを述べているが、日本と違い非常に良い点があることにも気がついた。どの人も「喋る」「発言」する事に、とても前向きでありかつ上手である。大会冒頭の来賓の挨拶や報告なども、だらだらと内容のない形式的な挨拶ではなく、短くかつ言いたいことをはっきり言い、ウィットに富みあきさせない。また各分科会でも、ゲストの報告は短く、後はみんなの討論になるのだが、次ぎ次ぎに手を上げて職場の闘いや問題提起をする。1人だけがだらだらと長く喋り、他人に迷惑を掛けたりしない。「自分の意見を発言する」そして「他人の意見を聞くこと」のマナーがしっかり確立している。やはり、小さい頃からの教育や環境の違いではないかと思った。

★「労働者の誇り」を感じた総会
 アメリカの労働運動の実情をほとんど知らなかった私には、今回のレイバー・ノーツ総会は色々と学ぶ事が多くあり、大変刺激を受けた。
 日本の労組の組織率も20%台になり、低迷を極めている。アメリカの民間労組の組織率は1ケタで、まさに少数組合である。ところがどっこい、元気である。組合役員の報告で「職場でトラブルメーカーになろう」と言う呼びかけは、とても新鮮で刺激的だった。現在の日本社会は上からの管理支配が強く、自由にものが言えない職場が多い。多くの「トラブルメーカー」を増やしていく、そんな元気のある労働運動が必要である。
 しかし、今回の訪問で一番驚いたのはウェイン州立大学にある「ウォルター・ルーサー図書館」であった。労働運動の指導者であった「ウォルター・ルーサー」さんの名前をつけた労働組合の資料館である。全米の労働組合の資料を収集し、それをキチンと整理し、かつ図書室で一般に公開している。また、労働者向けの小冊子や小学生用の小冊子も発行して労働運動の必要性を訴える啓蒙活動も展開している事には驚いた。
 日本の賃上げ闘争だけの労働運動と違い、アメリカ労働運動の特徴は「組合民主主義」の強調、さらに「人権運動」(黒人や移民などの差別の闘い)の重視、「非暴力直接行動」の闘い方などにあると思えた。
 最後に、もっと滞在時間があれば本隊が見学した「自動車工場」や「労働運動の活動家」たちとの交流にも参加でき、もっと理解を深めることが出来たと思える。さらに、英語の語学力を高める必要も大いに感じた旅でもあった。(E・T)
 

色鉛筆  高校生事件に思う『美しい国、日本。』なんてない!!

 今年の夏も暑かったが、暑いだけではなく痛ましい事件が数多く起きた夏だった。その中で「両親を困らせたかったという奈良の高校生放火事件」と「友人に殺害を依頼したという北海道稚内の高校生母親刺殺事件」は同じ高校生の子供を持つ親としてとても心が痛んだ。「どうしてそこまで追い込まれてしまったのだろう」「自分の親に対して憎しみがわいたとしても・・・」とせつなかった。ひと昔前は高校生と言えば「非行」「家出」「校内暴力」「家庭内暴力」等の事件が起きていたが、ここ数年は「放火」「殺人」という事件が多くなってきているように思う。
今年25歳になる私の息子も高校生時代、自分はどうして生きていこうかと考え、悩み、苦しんで、始めは親に相談してきたが、思うように答えが出なく、精神的に追い詰められ親に反発して家出を繰り返した。息子がこのまま死んでしまうかもしれないと不安な日々を過ごした事を思い出す。こんな経験があるせいか、高校生の事件が起きると他人事ではなく自分のことのように考えてしまう。今の高校生達は、小さい時から物あふれる社会の中で産まれ育ち、自分で生きていく力が弱い。その為に昔と比べて体だけは大きいが、心や精神力はまだ幼く成長途中だ。だからこそ周りの大人達がじっくり話を聞いてあげ、隣に寄り添って支えてあげなければならないのだが、支えてくれる大人達も生きづらい社会になっている。
ある晩、夕食を食べながら高校生事件の話になり「自分の居場所がなかったのかね」と話していると「86歳の妻が90歳の夫を殺害しました」というニュースがテレビから流れた。すると高校生の娘が「高校生ばかりではないよ」と言われ私はハッとさせられてしまった。そうだ、自分の居場所がなくて、話を聞いてくれる人もいなくて追い詰められてしまった人は高校生ばかりではない。幼児虐待、飲酒運転事故、強盗、窃盗、殺人、自殺など様々な事件が起きている。こうした事件が起きる今の社会がおかしいのだ。
すると、テレビに安倍晋三が映りにこやかな顔をして『美しい国、日本。』と題した政権公約を発表したと言うのであきれてしまった。「えっ?どこが美しい日本なの」「何言っているの」「もっと目を開けてしっかり見てもらいたいね」「このままでいけば『殺し合いの国、日本。』になってしまうね」「アメリカみたい」「そうなりたいんだよ」「どうしたらいいのかね」と娘と2人で話が続いた。(美)  案内へ戻る


安倍晋三氏著『美しい国へ』の本当の著者と種本について

 この件について、耐震偽造問題やホリエモン関連等でネット上での論議をリードし続けたインターネットのサイト「きっこの日記」に載っていましたので、紹介しておきます。
 それは、インターネットサイト「反戦な家づくり」0六年八月十五号の記事です。その題は、ずばり「安倍晋三とカルト統一協会の驚くべき『美しい国』つながり」です。
 前々から安倍本の本当の著者は彼の秘書だとの声がありましたが、これによると安倍氏の種本は、久保木修己氏著の『美しい国 日本の使命』だとのこと。周知の如く久保木修己氏とは、元統一協会会長です。このサイトでは、「なるほど、これで『美しい国へ』という安倍の駄本のタイトルの意味はこの辺にあったのか」とコメントしています。
 さらにその具体的な証明は、次の通りです。「上記の統一協会・久保木のほうの目次をみると、講話・講演編(日本という「美しい国」の使命―世紀末現象を超えて為すべきこと、日本を滅ぼしてはならない―『救国の予言』講演会、勝共こそキリスト者の聖使命なり―一一・三アジア基督教反共大会 現代を救うもの ほか)、詩編(海は生きている ああ救国の聖戦 勝利の基地より 愛は立ち上がった ほか)
 安倍の駄本の目次は、第1章 わたしの原点 第2章 自立する国家 第3章 ナショナリズムとはなにか 第4章 日米同盟の構図 第5章 日本とアジアそして中国 第6章 少子国家の未来 第7章 教育の再生
 これを合成してみると 第1章 わたしの原点 日本という『美しい国』の使命―世紀末現象を超えて為すべきこと 第2章 自立する国家 日本を滅ぼしてはならない―『救国の予言』 第3章 ナショナリズムとはなにか 勝共こそキリスト者の聖使命なり 第4章 日米同盟の構図 現代を救うもの 第5章 日本とアジアそして中国 ああ救国の聖戦 第6章 少子国家の未来 勝利の基地より 第7章 教育の再生 愛は立ち上がった ななななんと ピッタリはまってしまった!! これは,やってみた私が一番驚いた。 詩編を除いた以外は,機械的に合成しただけだ。 第6章は産めよ増やせよの思想からすれば理解できる。まあ、中身までは読んでいないので、冗談の域は出ないが、それにしても、ここまで巧くはまるとは・・・」と。まさに呆れるほどのフィッティングではないですか。
 そしてサイト上で、「やはり、安倍晋三ないしそのゴーストライターは、統一協会会長の著書を意識していたのではないだろうか」と結論づけています。
 全く見事としかいいようがないゴーストライターと種本の剔抉ではないでしょうか。
 安倍氏と統一教会とのただならぬ関係については、五月十四日付「世界日報」に、民間レベルの世界平和運動を繰り広げてきた「天宙平和連合(UPF)」の「祖国郷土還元日本大会」が国際合同結婚式と共に十三日、「マリンメッセ福岡」で開かれた。(中略)福岡大会では安倍晋三内閣官房長官や法務大臣の経歴を持つ保岡興治衆議院議員など、国会議員7名が祝電を送った」と掲載されていました。このこと、つまり統一教会系の集会に安倍官房長官等が祝電を送った問題については、六月十九日、全国霊感商法対策弁護士連絡会は、「統一教会の内外の宣伝に利用されかねず、遺憾だ」として、両氏に対して公開質問状を郵送したと朝日新聞で報道されました。 霊感商法などの被害対策に取り組んできた同連絡会は、「祝電を送ることは統一教会の活動に賛同し推奨していると宣伝されかねない」として、祝電を送った経緯の説明などを求めたものです。同連絡会によると、八七年から0五年にかけての強引な信者勧誘や資金集めに対する相談件数は約二万六千件、被害総額は約九百四十三億円に上ります。これに対して、安倍氏の事務所は「私人としての立場で地元事務所から『官房長官』の肩書で祝電を送付したとの報告を受けている。誤解を招きかねない対応であるので、担当者にはよく注意した」との弁明を出しただけです。
 このように安倍晋三氏が、岸信介氏や安倍晋太郎氏以来の腐れ縁で、統一協会と癒着しているとは以前から言われており問題視されてはいましたが、ここまで徹底しているとまるで背後霊の如く付きまとっているとしか言えません。そういえば、自民党の国会議員秘書のかなりの部分が統一教会の送り込んだ人達だと公然と語られて久しい。そして、この教団は、国際的には反共のカルト宗教としても知られいます。それにもかかわらず、不可解なことに北朝鮮とも関係が深く、文鮮明教祖は北朝鮮では国賓待遇でも知られております。そうであればこそ、まず安倍晋三氏が為すべきことは、総裁選挙戦で憲法・教育基本法の改正等の政策を語る前に、自らと統一教会や住吉連合等広域暴力団との数々の疑惑についての弁明ではないかと私は考えています。この事を知ってか知らずかマスコミは、安倍氏の宣伝を大々的にしている一方で、安倍氏にとって、このように都合の悪い情報はできるだけ隠蔽しようとしているとしか思えてならないのです。  (稲渕)


「殺された」動物たち・天王寺動物園の映像から
 ‐私のことば‐序奏としての
近代化とともに都市が生まれ、都市に集まる人々の娯楽・慰めのために、自然から引き離されるて都会の中のオリ(動物園)に閉じ込められた動物たち。それが戦争になって戦況の都合で猛獣・猛舎は危険と「殺せ」とのお達し。
 2006年8月中旬に、天王寺動物園で殺された動物たちの展示があり、写真におさめた。お線香をさし出して。「まあ、なんと・・・」と半ば冷笑の市民の声を浴びるという情けなさを感じつつ。「人間の資格とは?」勝手な無自覚になってしまった都市の人間ども。これが市民か?
 自分さえよければいい≠ニいう兆し濃厚の最近の状況。あらゆる人間に問う。「人間たる資格とは?」尊敬しうる前世代の人間がいないから、若い者がぐれる=B親は子の手本たりえず、反面教師でしかないのではないか?
 「なぜ」殺したかをそれぞれに問うてほしい。「殺させた」者は誰? なぜ? なぜ? なぜを問わずに褒めてもらいたがる市民は、市民の資格なし。
‐私の結びとして‐
 アーチストの岡本太郎氏は腹に毒をもて≠ニ結論する。誰に向けた毒か? 私は上にも下にも向けられた毒気とみたい。だが・・・例えば、変てこな趣味を持つ人々をあてこんで、珍しい動物を密輸入。買った人間が最後まで飼おうとせず野に放つ。イグアナが沖縄・石垣島に繁殖真っ最中。熱帯に住む動物が石垣島に捨てられ、自分には相応しくない環境にも適合すべく、必死に生きながらえてきたケナゲさはあっても、彼らが日本の生態系を乱すものとして捕えられ処分(殺される)され、解剖すると腹に毒(細菌)をもつとして処刑。
 岡本太郎の如く埋もれた才能の持ち主はいっぱいだが、開花せぬうちに、腹にイチモツ(毒)あり≠ニして処刑の目にあわされて逝った人は多し。おかげでお人よし≠ナヒューマニスティックがかき立てられ、利用されてもまだ気がつかぬ卑怯で勇気もない人間が出来上がる。こんな世代のために働いて、税金を吸い上げられるのはマッピラと言う若者を責める前に、自らに問え!  2006・8・23 宮森常子

  宮森さんからはノートに張られた写真集が一緒に送られてきました。残念ながら、写真は掲載できませんが、「戦時中の動物園展」というポスターがまずあり、「涙とともに動物を殺す」と33年前の思いで、とした新聞記事が見られます。当時の飼育係とライオンの心を通わせたもの、観客に囲まれ演技をするチンパンジー、どれも親しまれた動物園のありふれた日常のシーンです。その日常が一変してしまうのです。人間が起こした戦争に巻き込まれ、犠牲になった動物たちを思い、そのことを教訓化するためには、これから先の日本のあり方を真剣に考え行動に移すことが迫られていると、思います。 (恵)  案内へ戻る