ワーカーズ489号  2013/6/1  案内へ戻る
 内憂外患でボロボロの安倍内閣

 今年末迄に二百兆円を発行する「異次元の金融緩和」により、円安が急速に進行し安定していた国債の金利も急騰して、先物取引は一時取引停止となった。物価上昇二%パーセントめざす日銀は、途端に馬脚を現し慌てて公開市場操作で期間一年の低利資金を二兆円供給する外償還五年以下の国債を合計約八千億円買い入れると金融機関に通知した。
 円高から円安への自損によりガソリン・小麦等の価格高騰は、労働者民衆の生活を直撃する一方、他方で日銀てこ入れによる人為的な株価高騰とリンクした長期金利の上昇は、浮かれた安倍内閣の足下を根本から揺さぶる現実性を秘めた、まさに不安定要素である。
 五月二三日、日経平均株価は前日比千百四十三円安の大暴落となった。下落率は二年二ヵ月ぶり、下落幅は十三年ぶりだ。前日の二二日終値は一万五千六百二十七円と五年ぶりの高値。二三日は、前引け間近で反転、後場に急落した。二四日終値は、前日比百二十八円高の一万四千六百十二円で引けたが、まさに日経平均株価は乱高下の状況であった。
 その理由は、安倍内閣は第一の矢として自信満々金融緩和政策を実施したものの、長期金利がまったく低下しないどころか、逆に上昇の傾向を示し始めている事だ。安倍内閣は、「異次元の金融緩和」の断行で、金利低下を誘導し、経済を回復させ、株価上昇、インフレ率上昇を誘導するとしていたが、このまま金利上昇が進めば、景気にはマイナスとなり、為替レートにも円高圧力となる。当然にも安倍バブルははじけ株価は下がらざるをえない。
 今やアメリカもEUも大幅な金融緩和のため、資金がジャブジャブと市場に流失している。そしてこれに無批判に追随しているのが、わが安倍内閣である。この資金の総量は、既に従来の経済学では経済政策や予測を不可能にする未知の段階への突入なのである。
 更にここにきて安倍内閣の歴史認識の土俵上で集中的に起こった歴史反動的事件の数々。橋下大阪市長の「従軍慰安婦」容認発言、靖国神社への集団参拝、高市議員の侵略否定発言等に対しては、余りの酷さによりアジア諸国ばかりでなく、アメリカ・EU・ロシア等からの抗議が巻き起こっている。まさに内憂外患でボロボロの安倍内閣なのである。
 今こそ、内にあっては労働者民衆の生活を破壊し投機とギャンブルを煽りたて、外にあっては反動的言辞と民族排外主義を公然化させている安倍内閣打倒を呼びかける。(直木)


 アベノミクス・・・成長神話を卒業しよう!──協同・連帯型経済への転換を──

 アベノミクスが早くもつまづいた。5月23日の東京株式市場で日経株価指数が13年ぶりという下げ幅を記録し、その後も乱高下を続けている。「三本目の矢」という頼みの成長戦略も、実現も定かではない参院選挙対策としての大風呂敷の羅列に止まっている。
 経済成長神話にしがみつき、終わりなきグローバル競争を追い求めても明るい未来はない。身近なところから協同型・連帯型経済・生活システムを追求したい。

◆もろいマネーゲーム

 13年度予算案が5月15日に成立し、政治は7月21日に投開票が予定される参院選を視野に展開を早めている。参院選で衆参ねじれ国会を解消し、改憲のレールづくりに意気込む安倍首相。その人気はいまだ衰えない。朝日新聞の5月の世論調査では、4月の60%を上回る65%の支持率を記録し、むしろ右肩上がりだ。
 その高支持率を支えているのは、改憲などの安倍流国家改造への支持ではない。安倍内閣の政策に対する4月時点の支持率は、外交・安全保障14%、憲法改正6%、原発・エネルギー6%に対し、経済政策が50%になっている。多くの支持を集めているのは景気や雇用というわけだ。
 その景気・雇用対策の目玉になっているのが、アベノミクスだ。
 安倍首相自ら「3本の矢」にたとえるアベノミクスは、財政出動と金融緩和、それに成長戦略だ。財政出動は、12年度補正予算と13年度予算による公共事業を中心としたバラマキ政策、金融緩和は2年間で流通するお金の量を2倍にするという、黒田日銀総裁の「異次元緩和」だ。
 とりわけ巨額のお金が市場に投入されて円安・株高が進んだ。政権交代が確実になった昨年11月にほぼ9000円だった株価は暴落直前に16000円に迫った。たった半年で倍近くまで跳ね上がったわけだ。為替相場は80円台から100円台へと円安が進み、それを追い風にした企業の好決算が続いた。いま世間は株高、円安に浮かれている。
 5月16日に内閣府が発表した今年1~3月期のDGPは、年率にして3・5%のプラス成長だった。株高などでの富裕層を始めとした個人消費の増加、消費税引き上げをにらんだ住宅の駆け込み受注、それに円安の恩恵を受けた輸出増などが要因だ。が、それでも雇用に結びつく設備投資は伸びず、5四半期連続のマイナスだ。賃金も上がっていない。
 もともとアベノミクスは人為的なバブル経済を呼び込む性格のものだった。案の定、資産バブルだけが進行している。円安で本来輸出が増えるはずだが、12年度の輸出は対前年度比2・1%減少、円安の恩恵があるはずの今年3月の対前年度比でも1%しか増えていない。自動車の輸出はむしろ減っている。輸出産業はすでに生産を海外に移しているからだ。
 私たちも本紙で何回も指摘してきた。税・財政出動でのテコ入れはカンフル剤に過ぎず、需要先食いによる当然の景気低迷をもたらすだけであり、またバブル経済ははじけた後の経済収縮とセットであり、それの繰り返しで長期低迷経済から抜け出せないのだ、と。今回のアベノミクスも同じだ。財政の大盤振る舞いと博打まがいの「異次元緩和」ではいずれ反動が避けられないと。
 その「いずれ」が予想外に早くやってきた。5月23日の東京株式市場で株価が暴落し、1143円安の14483円まで値下がりした。あのリーマンショックを上回る13年ぶりという下げ幅だ。長期金利の乱高下も続いている。安倍政権発足から5ヶ月、アベノミクスが加速されてたった2ヶ月たらず、株価の暴落や長期金利の乱高下という反動が襲ったのは、それが現実になっただけなのだ。
 今回の暴落が踊り場なのか、それともより大規模な破綻の前兆なのか、は即断できない。が、実体経済から離れた資産バブルは利ざやを求めるマネーゲームの世界の出来事でしかなく、実体経済という重しにいつか引き戻される以外にない、ということを改めて思い起こさせる動きではある。

◆成長神話

 アベノミクスの三本目の矢として策定途上の成長戦略。6月には取りまとめるという触れ込みだ。その成長戦略、船頭は1人だがこぎ手はバラバラ。取りまとめ機関は、経済財政諮問会議、産業競争力会議、規制改革会議などに分かれて主導権争いが隠せない。役者も御用学者や企業など利益団体代表が占めている。結果、我田引水的な思いつき的施策や新味のない官僚的発想によるものが目立つ。省庁や業界、労働組合が抵抗するものも多い。最終的には、歴代内閣と同じような単なる「政策の羅列」になる公算が高い代物でしかない。
 たとえば政府の産業競争力会議で提言されているのは、次のようなものだ。安倍首相も参加して開かれた4月17日の会合では戦略特区が提案され、都営交通の24時間運行体勢、大阪での法人税大幅引き下げ、カジノ整備などが提言された。4月23日には、労働者の解雇基準を明確にすることや裁量労働制の拡大など、労働分野での規制緩和が提言された。その他、サマータイム制度の導入、株式会社の農業参入、電子政府への移行なども提言されている。
 船頭の安倍首相はといえば、まず4月19日に行われた日本記者クラブでの会見で構想を打ち出している。たとえば、保育所定員の5年間で40万人分増設、就職活動解禁の後送りなどだ。また5月17日には東京での講演で第2弾ともいえる成長戦略を打ち出した。設備投資を63兆円規模から70兆円規模に拡大(3年以内)、インフラ輸出10兆円を30兆円に3倍増(7年以内)、食料輸出を4500億円から1兆円規模に拡大(7年以内)、六次産業化市場を1兆円から10兆円に拡大、で農業・農村全体の所得を倍増(10年)、訪日外国人を800万人から2000万人へ(期限設定なし)、などだ。3年から7年先、あるいは期限を決めない努力目標など、一見して7月の参院選対策ともいえるような「選挙公約」のオンパレードだ。また、6月上旬に予定されている第3弾では、税制特区などを取りまとめる予定とされており、言ってみれば、切れ目のない成長戦略の連続射撃で有権者の関心と支持をつなぎ止めておきたいという、選挙戦術的な要素が濃い代物でもある。
 これまでの歴代政権による「成長戦略」は、そのすべてが看板倒れに終わっている。結果的に労働分野での規制緩和だけが推し進められ、しわ寄せは労働者に押しつけられてきた。今回も、黙ってみているだけでは、同じ結果になる公算が高い。私たちとしては、成長戦略に対抗する視点と闘う決意を改めて共有することが不可欠だ。
 アベノミクスの根底にある経済観は、飽くなき成長路線だ。成長神話といってもいい。そこでは日本が永遠に勝ち組になることを追い求めることでもある。現在のグローバル経済のもとでは、技術革新とコスト削減競争に明け暮れることを意味する。後発国の追い上げもあって、結果は経済の長期低迷と格差社会の拡大などだった。こうした経済成長は、はたして私たちを幸せにしてきたのだろうか。いまこそ、身の丈に見合った経済規模や生活レベルを考え直すときではないだろうか。経済成長至上主義から、幸福度指数や充足度指数重視への転換など、経済・社会システムの転換をめざすことこそ、いま、問われているのだ。

◆二面作戦

 成長神話からの決別には、二つの方面からの転換が必要だ。
 一つはコスト削減競争を転換し、協同型、連帯型の経済を拡大していくことである。それは利潤原理で動く企業から協同原理にもとづく協同組合型企業への転換であり、またグローバル市場から相対的に区別された、地域主体の経済システムへの転換でもある。その地域とは日本全体であるし、またいま暮らしている地域の独自経済圏を形成することである。
 確かに日本はエネルギー資源など輸入に頼ってきた。それを購入するだけの輸出も必要だろう。しかし化石燃料にかわる新しいエネルギー源を確保すること、再生可能な自然エネルギーへの転換を進めることで、化石燃料依存、輸入エネルギー依存は転換可能なのだ。それ以前の課題として、エネルギー多消費型経済から、省エネ型経済への転換も欠かせない。貿易立国という過去の栄光も考え直す時期に来ている。
 こうした転換は、日本が少子高齢化など、人口減少時代での経済システムを構築する上でも不可欠のものだ。高度成長期のように公共事業を増やし続けることはできないし、また人口減少社会の到来で、その必要もなくなる。ダウンサイジングによる適応も必要なのだ。これらにかかわる取り組みは、すでに各地で始まっている。それらを拡大することで、成長神話、利潤至上主義経済からの脱却を追求していきたい。
 もう一つは、労働者・労働組合による雇用や労働時間などに関する規制力の発揮だ。
 バブル崩壊以後の格差社会の拡がりの根底には、企業の高利潤と雇用破壊や生活破壊が同居している現実がある。グローバル競争に勝ち抜くために、企業は雇用と賃金のリストラを最優先してきたからだ。当然ながら雇用破壊は進み、追い出し部屋など、企業の悪辣な手口もあからさまになり、ブラック企業の存在も浮かび上がっている。これらは、企業が労働者と労働力を企業利潤のための手段、道具としてしか見ていない結果だった。裏返してみれば、労働者の体たらくが企業の身勝手さを許してきてしまった,という現実だ。アベノミクス劇場に見とれている暇はないはずだ。雇用破壊やブラック企業の存在を許さない労働者の連携と闘いを拡げることが大事なのだ。
 いまこそ経済成長神話から卒業すべき時ではないだろうか。労働者は消費者でもある。働くものどうしが連帯することで、自転車操業的な成長神話から解き放たれ、企業利益ではなく、人々の生活改善そのものを直接目的とする協同型・連帯型経済を拡大していきたい。(廣)案内へ戻る


 「コラムの窓」・・・「5・15の大雨」

 沖縄は本土復帰41年目の5月15日を迎えた。
 毎年、この「5・15」の平和行進と集会はなぜか?大雨に見舞われることが多い。 
 今年も36回目の「5・15平和行進」(3日間)が取り組まれ、最終日の19日に「5・15平和とくらしを守る県民大会」(参加者約3500人)が宜野湾海浜公園野外劇場で開かれた。だが、今年も大雨に見舞われた。
 今年の平和行進は11日に宮古コース、15日に八重山コースが行われ、17日から19日の3日間での沖縄本島コースは、東コース(辺野古~宜野座~キャンプ・ハンセン~キャンプ・コートニー~うるま市~嘉手納基地~石平米軍司令部~宜野湾海浜公園)、西コース(読谷村~米陸軍トリイ通信所~嘉手納基地~キャンプ・ズケラン~キャンプ・フォスター~宜野湾海浜公園)、南コース(那覇市~那覇軍港~自衛隊那覇基地~糸満市~ひめゆりの塔~平和祈念公園~南風原・陸軍病院壕跡~嘉数高台~宜野湾海浜公園)の三コースに約1300人が参加した。
 例年は、最終日のスタート場所は宜野湾市役所駐車場になっていた。この駐車場に三コース全ての参加者が結集し出発式を行い、米軍普天間飛行場のまわりを行進しながら宜野湾海浜公園に集まるのが、慣例であった。
 ところが、今年は宜野湾市役所(佐喜真淳市長)が、平和行進団体に駐車場の使用を拒否した。理由は同日午後、隣の宜野湾市民会館大ホールで「沖縄県祖国復帰41周年記念大会」(講演者は櫻井よしこ氏)が開催され、駐車する車が多く駐車場を貸すことが出来ないとのこと。
 私も仲間と共に最終日の南コースに参加。嘉数高台から宜野湾海浜公園まで参加者と共に平和行進をして、午後2時からの「県民大会」に参加した。
 大会が始まった頃は小雨であったが、突然バケツをひっくり返したような土砂降りの大雨となり、参加者たちはずぶぬれになりながらも、登壇者の挨拶に耳を傾けた。あまりの雨の激しさを考慮し、登壇者5人の発言を省略し、終了を30分早めた大会となった。
 今回の県民大会で一番注目を集めたのは、韓国からの参加者2名の挨拶であった。1人は、韓国人元「従軍慰安婦」の金福童<キムポクトン>さん(87歳)。日本維新の会の橋下徹共同代表(大阪市長)の問題発言もあり、注目を集めた。
 『「幼い少女が夢を花開くこともできず、性奴隷となり、踏みにじられたことを考えてほしい。朝から夕方まで、一日に何十人もの兵士の相手をしなければならなかった。そんな生活を8年強いられた。このような少女がいたことを皆さんは知っていたか」と問うと、会場は静まり返った。「日本の政治家が憲法を変え、戦争ができる国にしようとしている。皆さん、頑張って声を上げ、平和な国を造ってほしい」と訴えると、会場からひときわ大きな拍手が湧き起こった。』(5月20日付、「琉球新報」より)
 なお、韓国人元「従軍慰安婦」の吉元玉<キルウォンオク>さん(84歳)も、広島県福山市での講演会で自身の体験を語っている。
 もう1人の韓国挨拶は、韓国・済州島で2007年から始まった米海軍基地建設反対運動の先頭に立ち、体を張って闘っているソン・ガンホさん(「開拓者たち」代表)である。
 『米軍基地被害に苦しむ韓国の市民たちと共に、沖縄に来た。沖縄から必ず米軍基地を追い出して、二度と戦争のない、非武装の島にしてほしい。そして、沖縄、台湾、済州島を結ぶ海を、非武装の平和な海にしてほしい。』(5月20日付、「琉球新報」より)と訴えた。
 武力による紛争解決を選ばない。韓国、沖縄、台湾で非武装平和のネットワークを築き、海を越え、手をつなぐ「非武装の三角地帯」を築くことを提起した。
 15日の沖縄や韓国の米軍基地問題を考える「第6回東アジア米軍基地問題(環境・平和)国際シンポジウム」に韓国から7名で参加し、闘いの現場である辺野古や高江などを訪問し、現地の市民グループとも交流を重ねた。
 41年前の1972年5月15日、日本政府主催復帰記念式典に抗議する
集会が与儀公園で開かれたが、その日の土砂降りの激しさは、今でも「この雨は沖縄の涙である」と、語り継がれている。
 那覇市の与儀公園で開かれた今年の5月15日「政府の沖縄施策糾弾!5・15集会とデモ行進」(憲法の改悪を許さない!復帰41年5・15平和行進)も、41年前の復帰の日を再現したかのような、豪雨と雷鳴の中での開催となった。
 沖縄にとって、41年前の復帰は「復帰ではなく、再併合であった」との思いが強い。真の「主権回復」を求め続ける沖縄の闘いは続く!(富田 英司)


 書評 書くだけで安心 あなたと家族のためのエンディングノート  著者 本田桂子  
     日本実業出版社 1500円(税別)

 エンディングノートとは、万一のときに必要な情報や家族へのメッセージ、自分史などをノートにまとめたもので、自分自身に何かあった時に周りの人が困らないようにするためにあります。
 エンディングノートは、遺言とは違い、法的な効力はありません。だから、あくまでも本人の希望ですが、それを見た人は本人の意思がわかりできるだけ希望通りにしてあげようとするかもしれません。
 エンディングノートにどのようなことを書くのかですが、病気や事故にあったときのために、血液型や加入している健康保険の種類・名称・番号、重病になったときの告知の有無、延命治療をするのかどうか、介護が必要になったら誰に介護してほしいか等です。
 相続や財産管理については、身体が不自由になったりしたときに誰に面倒をみてもらうか、預貯金はどの銀行の何支店に預けて口座番号は何番か、いくらあるのか、生命保険等の会社名や種類、証券番号や受取人、保険料や保険金額、不動産は何をどれだけ持っているか、その他価値のある物(着物とか宝石)をいくら持っているかです。
 あと、誰かに借金をしているかどうかは、相続の時に重要です。借金が相続財産より多い時は、相続放棄か限定承認をすればいいのです。
 葬儀の時に、誰に知らせるか、密葬にするか一般の葬式にするか、又は火葬だけにするか等です。
あと、インターネットやクレジットカード等の名称や種類とそれの解除手続きを誰に頼むか、大切な人へのメッセージを残したりします。
 こういうエンディングノートがあれば、例えば家族が病気で意識不明になったとき、預金通帳がどこにあるとか、入院中どこの保険会社に連絡をとったりしたらいいかとかが分かり便利です。
 エンディングノートは、普通のノートに自分で好きなように書くのもいいですが、出版社等で項目ごとに分かれている既存のエンディングノートのほうが書きやすいと思います。金額は1000円ぐらいからあります。
 これからは、エンディングノートの重要性が高まってゆくと思います。  (河野)案内へ戻る


 色鉛筆・・・ 「給与臨時特例法」を廃止せよ!

 昨年二月に民主・自民・公明の三党の議員立法により成立した「給与臨時特例法」によって、今年度末までに国家公務員の平均七・八%の賃下げが実施されています。これは憲法で保障された労働基本権を踏みにじって成立を強行したものです。
 さらに政府は、国と地方の公務員総人件費二兆円削減の達成のために、地方公務員に対しても、義務教育費国庫負担金や地方交付税などの削減によって、国家公務員の賃下げに準じた給与削減措置を各地方自治体に押しつけました。
 国・地方の公務員給与引き下げは民間賃金を引き下げることになり、消費の低迷によって、地域経済を冷え込ませる点で、安部内閣がめざす「デフレ脱却」にも逆行します。
 それにもかかわらず、知事から被災地学校現場にも削減提示の要望を出しました。教員・行政職二級以下は月額四・七七%、校長・教頭・主幹教諭・行政職三級から六級は七・七七%の削減要望削減の提示を行いました。
 あの東日本大震災の日は金曜日で学校は子どもたちの授業中でした。教員は泣く子どもたちの手をとり、ポケットに残っていた飴をあげて真っ暗な中一晩を過ごしました。ラジオから流れてくる情報で自分の家は流されたかもという不安を抱えながら、家族よりも仕事を優先し、身を粉にして働きました。そして今は流された家のローンを支払いながら仮設住宅で暮らしている人もたくさんいます。銀行に相談しても免除にはならず、延長を認められるくらいです。震災前からさんざん給与削減されたので、自治体には余剰金があり、削減しなくても人件費に関わる財政は大丈夫です。職場でも、ほぼ全員が署名してくれ管理職から質問を受けました。知事交渉も始まりました。
 労働基本権を踏みにじって成立した憲法違反の「給与臨時特例法」を廃止すること、地方交付税や義務教育費国庫負担金、独立行政法人運営費交付金などの削減をおこなわないことを叶えるために、現場で署名を集め、語り合い、粘り強い運動を進めていきたいと思います。       (弥生)


 「便利になる」でいいのか!

 5月24日、共通番号法案(マイナンバー法案)が参議院で可決され、成立した。巷間では、カード1枚であれこれの手続きを済ますことができるようになる、便利になるという評価のようだ。情報流出等の危惧に対しても、便利になるのだから多少は仕方ないのではと受け流されている。本当にそれでいいのだろうか。
 森信茂樹中央大学法科大学院教授などは、これを〝世界標準に追いついた〟と評価している。
「日本もやっと世界標準に追い付いた形だ。成り済ましなどの被害が出ている米国や韓国の反省を踏まえて、当初は民間利用を禁止するなど個人情報保護の最低限の条件はクリアしている。番号の利用範囲の拡大は国民的な議論に基づき、分野を一つずつ定めて着実の定めることが重要。国民の理解を得るため、制度導入による行政コスト削減の数値目標も示すべきだ」(5月25日「神戸新聞」)
日本は周回遅れの走者であること、すでにゴールに走り込んではいけないという結論が出ていることを、森信教授はご存じないようだ。
 韓国では2008年から4年間で1億2000万人分の個人情報が流出しているが、人口が約5000万人だから全国民が2回以上被害を受けた計算になる。まさに個人情報は垂れ流し状態だ。しかし、指紋まで採取して行われるこの住民番号登録証の発行は、すでに50年も続いているのでどんなに弊害が大きくても後戻りできなくなっている。

 この点、清水勉弁護士は次のように指摘している。
「この法案に日弁連が(わたしも)強く反対していた1つの理由は、個人データの流出や『なりすまし』犯罪などが著しく増えるのではないかという危惧感である」
「(米国では)2011年4月から、国防総省関係者の個人データについては社会保障番号とは別の番号で管理するようになった。この特別扱いは人格権保護の観点ではない。人格権保護の観点ならごく一部の人だけ番号制を別にするなんてあり得ない。国防の観点から軍関係者の個人データだけ特別扱いするということだ」
「(日本では)民間利用の拡大への期待があまりにも大きい。共通番号(マイナンバー)は、民間で利用する、だれもが目にする、生涯不変の番号だ。行政の中だけで利用する、いつでも変更可能な住民票コードとはまったくちがう。法律で利用を禁止したって、やたらと番号が目につけば、だれだって個人のデータベースを作ってしまいそうだ。子どもも、ヤクザも、日本国外にいる人たちも、法律なんか無視して、あるいは知らないで、共通番号(マイナンバー)を共通項にして個人情報のデータベースを夢中になって作るだろう。罰則というアナログ的手法で追いかけようとしたって、世界中を駆け巡るデジタルデータを押さえ込むことなんてできない」(メール配信「個人データ管理の思想」より)

 以上のように、森信教授が〝世界標準〟と言うなら、それは生涯不変の個人識別番号を見える形で利用する仕組みなどつくってはならないという教訓を学ぶことである。インターネット上では日々、個人情報が集積されている。これが番号づけられた情報として集積されたらどうなるか、自分の名前を検索してみたらわかるだろう。
 さて、法は成立したが、まだあきらめてはいけない。本格稼働までの準備期間を利用して反対し続けよう。何しろ、まだ制度の全容は確定していないのだから。(折口晴夫)案内へ戻る


 連載 オジンの新◆経済学講座⑤  上藤拾太郎
  
●「根の深い木」
 オジンは韓流ドラマの大ファンだ。歴史ドラマはほとんど見逃さない。最近は中国歴史ドラマにも手を広げている。アジアは実に面白い!
 「根の深い木」とはハングル文字を創作した李氏朝鮮世宗王のドラマ・タイトルだ。要するに草花は四季により移ろい、また年により変化する。だが、根本的な物はそうは変わらない。大木は数百年千年と生き続ける。深い根があるからだ。
 前回述べた「労働に基づく所有」がまさにそれだ。今でこそIT貴族や金融成金の華やかな私的財産がもてはやされているが、そのうち枯れ果てる。根の深い大木こそが生き残る。所有は労働に基づくものとして必ず回復する。
 「労働」「所有」ばかりではない、それらを支える三本目の深い根がある。オジンの考えでは「互酬性」という助け合い原理なんだ。君は、生き残り競争が激しい今の時代に、互酬性なんて見捨てられたも同然と思うかい?。無理もないが。

●お歳暮の経済
 日本では夏や冬には、今後もお世話になりそうな方にプレゼントが贈られる。春に転勤で新しい土地に引っ越したなら、とりあえずご近所に挨拶の品を配ったりもする。
 欧米でも、誕生日やクリスマスにはプレゼントの交換がみられる。これらは「互酬性」という立派な経済的仕組みだ。「物をさし上げるからまたよろしく」と。大学では教えてくれないが。
 互酬性は物だけにはかぎらない。葬式の時に世話になった隣人に、今度は同じようにお返しするという「お互いさま」の行為でもある。地方の地域社会では今でも重要な役割を果たしている。
 西田利貞という霊長類研究者はなんと「賄賂も互酬性だ」といっている。やはり「与えて、次に別な場面でもらう」のだ。西田は互酬性は人間にとって「とっても根深いもの」と語っている。
 
●人間社会は「お互いさま社会」だった
 それもそのはず、実は互酬性は、生物界でも広範に発見されるようになったのだ。種を超えて、社会性のあるほ乳類に多く見られる横断的原理なのだ。鬼才R・トリバースの研究が代表だ。
 人類にとって、進化上の兄弟であるチンパンジーにももちろんあるが、有名なのは血吸いコウモリの互酬性だ。人(?)は見かけによらないもんだ。あの「ドラキュラ伯爵」の原型になった吸血鬼が、かいがいしく仲間と助け合い運動をしていたのだ! 牛から吸い取った血を、獲得できずに困っている者に少しだけ分けてやるのだ。お互いさまの関係を造ることで自然界で生き抜いてきたのだ。
 だから当然人間も互酬性を原理として進化をとげ、自然界で生き抜いてきた。ライオンのような牙も、豹のような俊足もなく、サルのような木登りの能力も失った(必要がなくなった)。その代わりに獲得したのが異常といってもよいほど高度に進化した仲間同士の助け合いの精神的諸能力だ。脳も巨大化した。こうして数百万年かけて人間社会は互酬性の発展として造られてきた、これが人間の真実だ。その証拠に未開社会は互酬性に溢れていた!
    *    *    *    *    *    *    *
 互酬性という巨木は、このように自然界に根を張っている。これを切り倒すことなどできはしない、人類史は自然史の1ページなんだから。
 今、市場経済が世界に咲き誇っているが季節はめぐる。「根の深い木」を軸とした、未来の生き方や在り方を創造する必要があると、オジンはつねづね考える。労働に基づく所有と互酬性の復権が基本となる。(つづく)

読者からの手紙

 小平市住民投票不成立:住民投票の拡大とルール化を!

 東京都内で初めてとなる、住民の直接請求に基づく住民投票が5月26日、小平市で実施された。
 1963年に都市計画決定された府中?東村山市間の都市計画道路「3・2・8号線」(約13キロ)の未着工部分のうち、小平市内分(約1.4キロ)の計画(都の計画では、市内の雑木林約500本を伐採して玉川上水の遊歩道を分断、約200世帯の立ち退きを求める。)を、自然環境の悪化を懸念した「小平都市計画道路に住民の意思を反映させる会」が直接請求に必要な署名の約2.5倍に当たる7183人分を集め、2月に住民投票条例の制定を直接請求し、条例案は3月の市議会で可決されたが、市はその後、投票率50%未満の場合は不成立とする成立要件を加えた条例改正案を提案。4月の臨時会で可決され、投票率が50%未満であれば成立しないとの要件(全国で、今まで「投票率50%以上」という成立要件が課されたのは計4例で、うち50%未満で成立しなかったのは1例だけ)が課された注目する住民投票であった。
 結果、当日有権者数は14万5024人中、投票者総数は5万1010人、棄権者は9万4014人。確定投票率は35.17%、一部地域の道路計画がテーマで、住民の関心は広がらなかったとみられ、小林正則市長は「(投票率50%未満では)市民の総意として容認できない」と述べ、開票の必要はないと表明した。しかし、市の住民投票条例には開票についての記載がなく、「投票者総数が投票資格者の総数の2分の1に満たないときは、成立しないものとする」とだけ定めているだけなので、行政法上では「情報公開条例は住民の『知る権利』を前提に原則開示を定めている。開示請求があれば市は開示すべき」で、「90日間保管した後に廃棄する」というのは問題がある。
 投票率の低さなど結果は残念なものとなったが、国や県・市などの行・財政政策に関しての、住民の直接請求に基づく住民投票はもっともっと行われるべきであり、そのルール化を図るべきだと思う。(M)


 飯島内閣官房参与の思い出

 ここに来てまたまた小泉元総理の第一秘書だった飯島氏にマスコミの注目が集中しています。テレビで見て分かるように飯島氏は容貌魁偉です。まさにタコ入道とも形容すべき人物です。また彼の日頃の言動は、ヤクザそのものでもあります。
 私は私的な思い出として、彼とは衆議院議員会館で三回話をしたことがあるのです。
 当時、私は地区教組の役員として、毎年末には地元の国会議員への要請行動をしていました。横須賀市を選挙区とする小泉純一郎氏とは、その関係で部屋を訪れたものの会えたことはありません。そこで当然ながら留守番役の飯島氏と三回も会いました。
 普通の国会議員の秘書ともなると保守・革新の区別なく、人当たりがそつなく腰が低い事に大いに感心するのですが、飯島氏にはそんな謙虚な素振りは一切無いのです。
 彼は「日教組!? 言いたいことは分かっている。帰れ、帰れ」と実にけんもほろろな態度なのです。私は彼に会う度にいやな後味を感じてきましたが、その彼が北朝鮮では、テレビで見る限りは、一見恭しく実に謙虚そうに振る舞っているではありませんか。
 そんな姿を見て、私は真実はかく偽る、更に彼の事大主義をそこに見て実にいやな気がしました。
 彼は、安倍総理からどんな薄汚い狙いを託されて北朝鮮に出向いたのか、と私は考えており、あれかこれかと思いあぐねる日々を過ごしております。   (笹倉)案内へ戻る


 郵便職場から ・・配達員を縛る「DOSS」

 先日、私の働く郵便局で、バイクでの郵便配達の際に、自転車とぶつかる交通事故が発生しました。本来なら、軽い接触事故程度で済むはずの件なのに、午前中の配達時にバイクのウィンカーのカバーが壊れたのが事故を大きくしてしまいました。その壊れた部分が相手方の腕に突き刺さり大量出血の後、17針を縫う重傷となってしまったのです。
 この交通事故の件で、朝のミーティーングではもちろん名指しで公表され、局内配達員全員に交通事故防止のための班ミーティングを実施したようです。私たち自転車の配達員にも、交通安全宣言を一人ずつ用紙に書かされされることになりました。
 交通事故を起こした当の本人にとって、事故後の局の対応は反省を求めるというよりも、本人を追いつめつるし上げにし、他の配達員に見せしめにすることにあるのではないか?と思われます。というのも、事故で支払われた保険料が10万円を超える場合は、事故を起こした本人のスキル評価は落とされ、期間雇用社員なら正社員への道は閉ざされたことになるからです。
 ますます、働く者をがんじがらめに管理しようと、6月1日から全国一斉に「DOSS」がスタートします。私たちの職場に説明のDVDがきたのが、5月24日(金)というぎりぎりの日程。しかも、なんの資料も渡されず、30分間の渋谷局での実施例を見せられだけ。みんなちんぷんかんぷん。インタビュゥーに応じた班長さんや副班長さんは、1日の仕事の流れがつかめ、明日の人員の配置などに役立つと賞賛されていました。操作の分からない人には教えてあげるようにしたらいいと前向きですが、その教える時間はどの項目に入れるのでしょう。1分1秒のムダは、各人の端末機に記録されるのですから、
 「DOSS」とは、デリバリー・オペレーショオン・サポート・システムの略で「集配業務支援システム」が正式名称。要するに、1日の仕事を作業内容毎に入力し、その開始、終了、とこまめに入力しないと間違えばずっと同じ作業をしていることになる、という訳です。「体操・ミーティング」「大区分」「抜き出し」「個別組み立て」など、今の自分の作業に照らし合わせると、機械操作のために余計に時間がかかると思うのですが。
 組み立て1通に何秒かかり、各人の能力を順位付けるために、毎日、記録された用紙が作成され作業効率が記録される、想像するだけで息が詰まりそうです。こんなに追い立てられて仕事をしなければならないのでしょうか。前途多難、後日談をまた報告します。(恵)  


編集あれこれ

第一面は、安倍政権に対する闘争宣言が掲載された。その表題は、「労働法制の規制緩和に反撃を!」であった。安倍政権のこの間の労働法制の規制緩和に断固たる反撃を呼びかけたものである。読者には熟読を賜りたい。
 第二面は、4・28「屈辱の日」に関する沖縄通信を掲載した。この記事は何故沖縄県民がこの日に拘るのかを明らかにした記事である。日本は沖縄を「捨て石」にした。この事実は決して忘れられてはならない歴史の真実である。
 第三面には、安倍政権の憲法改正と自衛隊の国防軍化に反対した記事を掲載している。タイムリーな記事と判断している。第四面には、経済学講座の連載が続き、第五面には、「レ・ミゼラブル」と「アソシアシオン」と題して、余り意識はされていないビクトル・ユーゴーの注目すべき一面を紹介している。是非読者の熟読を賜りたい。
 第六・七面には、第一面の労働法制の規制緩和を詳しく論じた記事が掲載されている。特に解雇自由・限定正社員制度について論究しているので参考になると考えている。
 第八・九面には、『福島第一原発―真相と展望』の書評が掲載されている。いまだ原発事故が収束していない中では、大いに読む価値がある本として推奨されているので、読者には注目を期待したい。また第九面には、日銀委員の変わり身の早さを批判した記事も掲載されている。読んでみれば、アベノミクスの危うさを実感せざるを得ない記事である。
 第十面には、連載の「色鉛筆」が掲載されており、今号の記事は就労支援に関する労働現場からの投稿が掲載されている。
 第十一・十二面には、読者からの手紙が三本掲載されている。
 前号のワーカーズには、多彩な記事を掲載することができたと考えている。読者と共にこれからも紙面作りをする事を心掛けていきたい。(猪瀬)
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