ワーカーズ559号  2016/6/1    案内へ戻る

 参院選 退場させよう、暴走安倍政権!──あめ玉と空手形と戦前回帰の安倍政権はいらない──

 通常国会が6月1日に会期末を迎え、安倍政権をめぐる攻防は7月10日とされる参院選に向けて最終盤の局面に入った。今回の参院選の焦点は、なんといっても自公など与党が憲法改定に必要な参院議席の3分の2を確保するのかどうか、にある。

 安倍自民党は、その野望に向けていくつかの仕掛けを組んできた。

 一つは、昨年強行成立させて反対運動が拡がった戦争法などの好戦主義隠しだ。あの戦争法での軍事優先政治や、戦後体制からの脱却という野望を隠すかの様に、改憲などはほのめかすだけに止めてきた。選挙に際しては、〝アベノミクス〟という経済・生活に関連した争点を掲げ、実際にやったのは国家機密法や戦争法の強行成立だった前回の手法の再現だ。

 とはいえ、成果に結びつかないアベノミクスの延命を意図して打ち出したアベノミクス第2ステージ。同一労働同一賃金や介護離職ゼロの目標など、選挙目当ての毛針、空手形に過ぎない。黒田日銀総裁が打ち出したマイナス金利政策も破れかぶれのあがきという以外にない。後先考えず、ともかく目先の政権延命のためになりふり構わず打ち出した何本かの矢も腰折れしたまま、もはやアベノミクスの破綻は誰の目にも明らかになってしまった。

 もう一つは、消費増税の再延期による衆参同時選挙の思惑だ。

 再増税延期を掲げて大勝した前回総選挙の再現を目論んで二匹目のドジョウを狙ったその思惑は、熊本大地震などもあって一旦は棚上げされた。ただ現時点(6月25日)でその可能性が完全になくなったわけではない。それに消費増税の再延期という切り札は、アベノミクスが破綻した今では、有権者を安倍政権につなぎ止めるための最大のセールスポイントにすり替わっている。もはや増税再延期は、とりあえず庶民を一安心させる〝あめ玉〟扱いだ。

 任期中での改憲を明言している安倍首相。表向きの争点は一億総活躍社会や同一労働同一賃金など、勤労者や家計向けの政策を振りまいてはいるが、思惑はむろん改憲にある。二匹目のドジョウを許すのか、問われているのは、私たち労働者・有権者だ。手当たり次第のバラマキ政策、それに実現する意志もない空手形、その裏では改憲を柱とした戦前体制への回帰、こんな野望は実現させるわけにはいかない。

 私たちとしては、利潤万能型経済から協同経済への転換、それに国益至上主義のパワーポリティクスから善隣友好の労働者の国債連帯の立場を固め、安倍自民党を政権の座から引きずり下ろす闘いを拡げていきたい。(廣)


 「パナマ文書」を米国が暴露した狙いとは一体何だったのか、その核心を突く

 1月ほど前、バージン諸島のタックス・ヘイブンを暴く「パナマ文書」が暴露されて世界に大反響を巻き起こしたが、米国が暴露したその狙いは一体何だったのか。
 実際、南ドイツ新聞に「パナマ文書」を断続的に送信し続けた人物の言う様に富裕層の課税逃れ(彼は犯罪と認識)は許せないとの主張に対する了解だけでは、あまりにも世界経済の現状を知らなすぎるという他はない。富裕層がペーパー・カンパニーを設立して課税逃れとの了解では、タックス・ヘイブン問題の核心は決して認識できないのである。

 予告通り5月10日にパナマ文書の内容が公開され、具体的な人名や会社名が出たことで波紋はさらに広がってきた。しかし何度でもいうが、富裕層や権力者がペーパー・カンパニーを作りそこにマネーを移動していることは、問題の本筋ではない。なぜなら彼らが移している資金量は、タックス・ヘイブン全体のそれと比較して見れば少ないからである。

 この問題の核心は、世界のほとんどの大手金融機関が子会社や自ら率先してペーパー・カンパニーを作り、世界各地にあるタックス・ヘイブン(租税回避地)に自らの資金を移動して、現実に運用していることがまったく隠しようもなく赤裸々になったことにある。

『タックス・ヘイブンの闇(邦訳2012年)』を書いたニコラス・シャクソン氏は、「世界の銀行資産の50%は、タックス・ヘイブンにある」と書いていたのだが、IMFもその事実を認めている。この本によると世界の銀行の総資産は、世界のGDP($60兆)の約2年分($120兆:1京3千2百兆円)位で、その半分は$60兆(6千6百兆円)。この額は、わが国で最大の三菱UFJフィナンシャルグループの総資産が286兆円(15年9月現在)だから、実に23倍の巨額なのである。

 公開されたデータでは、バンク・オブ・アメリカ、ウェルズ・ファーゴ、JPモルガン・チェース、シティ・グループ、モルガン・スタンレー、ゴールドマン・サックスなど、ウォール街の大手銀行のほぼすべての名が上がっている。またさらに加えて英国のグローバル・バンクであるHSBC、バーレイズ、ドイツ銀行、フランスのBNPパリバ、ソシエテ・ジェネラル、オランダのABNアムロ、スイスのクレディ・スイスやUBSなどの、世界中の大手銀行の名も上がっている。

 つまり世界的な大手グローバル・バンクは、自らの子会社のプライベート・バンクを通じて、世界各地のタックス・ヘイブンを使った課税逃れを積極的に推し進めて、自らの顧客のための金融商品にして販売してきたのである。

 ところで「パナマ文書」を受け取った南ドイツ新聞が非営利団体の「国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)」に通報したことで、全世界へと広がることになった。しかしICIJとは、一体どんな政治的背景を持つ組織なのであろうか。ほとんどの「パナマ文書」の解説記事には、この組織の政治的性格や資金的背景には触れていないのだ。

 ワーカーズ588号で詳説したが、ICIJとは米国の首都ワシントンの本拠をおく米政府の国策機関と噂される組織である。その組織の財政基盤をさらに詳しく見れば、ICIJに資金を提供している主要な組織は「USAID(合衆国国際開発庁)」やジョージ・ソロスの「オープン・ソサエティー」、又「フリーダム・ハウス」などである。

 これらの組織は米国務省やCIAなどと連動している機関である事、そして又ICIJは独立した団体ではなく、米国の非営利の調査報道団体「センター・フォー・パブリック・インテグリティ(CPI)」に属するプロジェクトの名称である。

 またさらにこのCPI自体が、国際的なジャーナリストのチームを組織し、「越境犯罪、汚職や権力の説明責任」などの問題に焦点を当てるため、1996年に結成された米国のNPO=OCCRP(The Organized Crime and Corruption Reporting Project)(組織犯罪と汚職報告プロジェクト)の下部組織である。このような紐付きの組織を、公明正大な組織と見るのは誤りだ。

 現在、60カ国以上から160人の会員ジャーナリストが在籍し、国際的な犯罪に関わる様々な調査を行っている。そしてウィキリークスによると、OCCRPは、「ソロス財団」とUSAID(米国国際開発庁)の資金で運営されている。早い話がOCCRPの調査、捜査結果は、常にアメリカの利益になるようになっているといわれている。

 つまりICIJは、この「組織犯罪と汚職の報告プロジェクト」という部門に属しており、親組織であるCPIの理念を実現する現場の調査プロジェクトなのである。

 端的に言えば、ICIJが米国の国策機関の一つである事は間違いない。それにしても何という目眩ましの手口だろう。又何とも手の込んだ重層構造だろう。本当に驚かされる。そしてまさにこの点にこそ米政府の国家戦略上の目的がある事は、間違いない所だろう。

 確かに詐欺師とは、人を欺くために正義の仮面を被って被害者に近づいてくる。この点について国際ジャーナリストの丸谷元人氏は、雑誌『VOICE』の6月号で以下のように書いている。

     ※                           ※

パナマ文書公開 真の目的

 ドイツの金融専門家エリスト・ヴォリファ氏は『スプートニク』のラジオ放送において、その真の目的を明らかにしている。すなわちパナマ文書の目的とは、「ただ、米国内のタックス・ヘイブンに資金を流入させることだ」と言うのだ。出典:雑誌『VOICE』6月号

     ※                           ※

 ロシアでも「パナマ文書」のリークは、米国の「新たなタックス・ヘイブン獲得戦略」だといわれてきたが、期せずしてドイツのヴォリファ氏の見解と一致したのである。

 マスコミ界での「パナマ文書」の解説では、米国国内にあるタックス・ヘイブンに触れられることはない。実際に米国にはデラウェア州をはじめ、ワイオミング州、ネバダ州、サウスダコダ州などにタックス・ヘイブンが存在する。

 タックス・ヘイブンは政府の規制を逃れた金融なので、その額は不明である。しかしながら「米国のタックス・ヘイブンは世界最高額」とも言われてきた。機密を公開しない点では悪名高いルクセンブルグとスイスを抑え、米国特に「デラウェア州(人口90万人)」が1位とされてきたのである。

 つまり米国は海外(オフショア)ではなく、国内に強力なタックス・ヘイブンを持つ。そして2015年だけで、13万3297社が新規に法人登録されたという。これで米国の公開会社の内50%が、デラウェア州で法人格を得ているのである。

 オフショアに法人を作れば、そこで上げた金融利益は、本国に送金すればその時点で、マネーの来歴が調査されて課税される。しかし米国内にあれば持ち帰る必要がない。この意味で米国企業と金融機関は、米国内部に初めからタックス・ヘイブンを持つ選択をしていた。デラウェア州の法人所得税はたったの2%だと言う。何たる悪知恵だろうか。

 この悪知恵に関しては、すでに大先達がいる。最初にタックス・ヘイブンを「発明」したのは、英国政府だったのだ。マネーの運用で得た所得への課税を回避するタックス・ヘイブンの仕組みは、第一次世界大戦の後、英国政府が自らの植民地に作ったのが最初だ。

 この戦争で産業が破壊され産業が空洞化してしまった英国は、NYのウォール街のように「世界からマネーが集まる金融システム」を作ろうとした。そのための仕組みが、タックス・シェルター(租税の回避)になるタックス・ヘイブンだった。

 英国政府は、本国の課税が及ばない地域を作った。このため、今でもタックス・ヘイブンのほとんどは、英国の旧植民地だ。アジアでは香港、シンガポール、インド(ムンバイ)などである。

 今回、パナマ文書で明らかにされたのは、旧英国領のタックス・ヘイブンの中でも大きな英領バージン諸島の名簿と取引内容だ。当然のことながら、米国のタックス・ヘイブンにある名簿ではなかった。このために米国人の名は、なかったのである。

 英国の悪知恵で作ったタックス・ヘイブンのお陰で、英国の金融機関は一時代を築き上げ世界のマネーを集めてきた。集まったマネーは、金融商品(世界の株、国債を含む債券、デリバティブ)に投資し、マネーがマネーを増やす仕組みを作ってきたのである。

 ワーカーズ588号「FATCA(外国口座税務コンプライアンス法)とは何か 米国が『パナマ文書』を『流失』させた背景」で暴露したように米国の二重規範(自分は隠すが人には隠すのを許さない)により、「英国系のタックス・ヘイブンは危ない。米国系は安全である」ことを示しながら、世界各地のタックス・ヘイブンからの資金流入を、今現在大いに促進させてやまないのである。

 つまり「パナマ文書」公開は、米国が世界、特に英国に向かって仕掛けた「金融戦争」である。確かにパナマは独立国だが、その実体は「米国の裏庭」であり、旧宗主国の米国が支配する。このため、米国政府(ペンタゴン)にとって、パナマの民間法律事務所が持つ情報をハッキングすることは、簡単だったであろう。また偽装するのも簡単であろう。

 だから米国が英国の支配下にあるタックス・ヘイブンの名簿を、ばらまいて世界に公開したことの目的が「英国系のタックス・ヘイブンのマネーを、米国のタックス・ヘイブンに呼び込むこと」であるのは、ほぼ間違いのない事実だと私は考える。

 米国経済のこの間の落日が、こうした動きを一層加速させているは疑いようもない真実であるだろう。その意味において英国のキャメロンの名が出てきたことは決して偶然ではないのであり、最近中国と関係を深めつつある英国への意趣返しであり、彼らの伝来の米びつを奪う周到な戦略でもあることも無視できない真実である。

 すでに2016年1月27日付けのブルームバーグには、「今や利に聡い富裕層はせっせと米国内に富を移動させている」と書かれていたことを、世界経済の現段階での真実として私たちは今こそ思い起こす必要があるであろう。  (直木)案内へ戻る


 コラムの窓・・・「三菱・地震・解雇」

 5月23日、大阪地裁において「大阪・花岡 中国人強制連行国賠裁判」第3回口頭弁論が開かれました。戦後補償を求める裁判はすべて、オールジャパンの恥知らずな壁に弾き飛ばされてしまい、直接被害を受けた方々は無念のなか生涯を終えつつあります。南京大虐殺幸存者の来日しての証言も昨年末が最後となりました。この国に蔓延している〝なかったこと〟にしようとする雰囲気が、被害者を無念の死の追いやっているのです。

 そうしたなかで果敢に挑戦しているこの裁判、私はせめて大法廷を満席にするためにとの思いで参加しています。被告国の主張は〝国家無答責〟につきただちに請求却下、事実調べも必要なしです。裁判所がこの主張を認めればいつでも結審となり、この裁判は門前払いとなり、再び軍隊を動かそうとしている勢力は安らかに眠れるというものです。

 さて、同じ日の『神戸新聞』夕刊に次のような報道がありました。三菱自動車水島製作所が燃費不正で生産が止まり、労働者は自宅待機となっています。記事は、労組が「従業員約1300人に関する会社側の休業手当の提案受け入れを決めた」というもので、労基法の規定を上回る休業手当を支払うそうです。なんて、お恵み深い企業でしょう。

 この三菱自動車に関する重大情報を、岡山から傍聴に来られた方が話されました。工場で働いている中国人技能実習生に対して4月19日、熊本地震が続いていることを利用して地震が怖かったら帰国の希望を申し出るようにというのです。3年期限で2年しかまだすぎていないので実習生たちは断ったそうです。そうすると、22日には全員に解雇予告が行われました。

 いま、この解雇事件は労働争議となっているようです。詳しい内容は私も分からないのですが、正社員労組はどうしているのかなと思ってしまいます。こんなふうに、いつでももっとも弱い立場の労働者が真っ先に切られ、いずれ正社員労働者からも犠牲者が出るだろうけど、いまは知らないふりしておこうという場面をいつまで繰り返すのでしょう。

 そういえば、5月20日の『週刊金曜日』に日系ブラジル人労働者の過酷な労働実態がルポされています。群馬県の大泉町にブラジルタウンがあります。約4万人の人口のうち約15%が外国人で、ブラジル人が4000人も住んでいます。大半は工場の期間工(契約社員)で、単純作業、重労働、長時間労働、「救急車が日常茶飯事」というのだからどれだけひどい労働を強いられているかわかるでしょう。

 そのうえ、「ポイ捨て罰則5万円」という看板があり(そんな条例をつくったのでしょう)、悪いことはみんなブラジル人がやったという声が多いようです。壁を超えて手をつなぐ人たちもいるようですが、異質なものを排斥する雰囲気がここにもあるのです。戦前も、戦後も変わらないこの国の〝自発的な隷属〟をみる思いです。 (晴)


 読書室
 藤井源喜氏著『アングラマネー タックスヘイブンから見た世界経済入門』
幻冬舎新書

 この本は、今話題の「パナマ文書」を考えるための、またアングラマネーとタックスヘイブンから見た世界経済を裏側から見るための手頃な入門書として最適なものである。

 本書は、アングラマネーとタックスヘイブンで成り立つ世界経済の裏側を覗いてみたものである。いうまでもなく表があってこそ裏がある。その意味では両者は一体のものであり、また一体のものとして見てこそ真実が読み取れるものなのである。

 とはいっても本書はアングラマネーを生み出す犯罪行為そのものにフォーカスを当てるものではなく、脱税・資産隠しそしてアングラマネーの環流の仕組みそのものにスポットライトを当てたものである。

 タックスヘイブンというと日本人には馴染みのないものであると考える向きもあろう。しかしつい二昔ほど前には、日本に郵便貯金という大変なタックスヘイブンがあったのである。昔、郵貯口座には親戚からの名義貸し・ペット名・果ては織田信長等の郵便口座が実際にあったのだ。その後、これら不正貯金は日本国家に吸い上げられてしまった。

 当時の郵政省も旧大蔵省もこの巨大なアングラマネーの存在に対しては、まったく見て見ぬ振りをしていたのであり、財政投融資計画の財源として活用していたのであった。

 また街金というアングラマネーを貸し付ける危ない金融業が日本経済の中で大いに繁盛していた時期もあったことは、まだ皆様の記憶に新しいことだろう。

 こうした街金も郵便貯金も不正を摘発されてしまったが、いまだに宗教法人が抱えている資金は、タックスヘイブンとして存在していることは忘れてはならないことである。

 本書は、世界に存在するタックスヘイブンを本書は明らかにしている。以下に、本書の章別構成を明らかにしたい。
※ ※
はじめに―経済の裏と表
第1章 裏側から見た世界経済
第2章 アメリカというタックスヘイブン
第3章 イギリスのタックスヘイブン―シティを中心とする蜘蛛の巣ネットワーク
第4章 追い込まれる世界最大のタックスヘイブン、スイス
第5章 イタリアのアングラマネー
    (Ⅰ)マフィアとアングラマネー
    (Ⅱ)バチカンとアングラマネー
    (Ⅲ)イタリアのチャイナ・マフィアとアングラマネー
エピローグ
    ―キプロス、ドイツ、そしてヴァーチャル・マネーへ
あとがき
※ ※
 この本では世界のタックスヘイブンの規模をIMF2012年予想値で約70兆ドルとして、その4分の1つまり17・8兆ドルがタックスヘイブンに吸収されると推測されている。これは流入する金額であるが、同時に流出しもする。タックスヘイブンに存在する預金の総額は、ロンドンに本部を置く独立系団体タックス・ジャスティス・ネットワークが約32兆ドルと推測した。この内、個人の富裕層の所有する資産は、アメリカのGDPに匹敵する約15兆ドル、企業団体の資産は約17兆ドルと推測されている。

 実に巨大な数字ではないか。このような世界経済の裏金が表へ環流することによって世界経済の総体が動いている事実を私たちは知らなければならない。

 そしてタックスヘイブンを次のように定義している。それは、①税金が極めて安い。特に資本収入に対して無税か税率が非常に低い。そして企業活動に関する規制が極めて緩い②外国の政府に対して、企業や銀行の情報提供を拒否する。もちろん国内でも情報公開しない。つまりその地域で行われている金融やビジネスの活動について極めて透明性が低い③非居住者(個人・法人)の資金を大量に流入させている。非居住者の大規模な金融資産を惹きつけている理由は、上記の①と②である の3つの理由を満たしている事である。

 そして世界のタックスヘイブンは、①ヨーロッパ大陸と周辺のタックスヘイブン②イギリス本国のシティと英王室属領・英海外領土(オフショア)のタックスヘイブン及び旧イギリス植民地系のタックスヘイブン③アメリカ本国と米海外領土のタックスヘイブン④それ以外の独立国のタックスヘイブンの4つあるのである。

 皆さんは、リヒテンシュタイン、ルクセンブルグ、モナコ、アンドラ公国、地中海に浮かぶキプロス、マルタなども、ここで紹介された独立国のタックスヘイブンであることを知っていたであろうか。特にイギリスは第一次大戦後は、ほとんど金融国家である。

 この本の構成は紹介の通りであるが、本書が優れている点は、第2章で明らかにされたようにアメリカが自国内にタックスヘイブンを構築した、そして第3章で書いてあるようにイギリスがタックスヘイブンの世界を大いに謳歌しているところへ、新興勢力として登場したと書いてあることだ。また少ないながらもドイツに関する記述は重要なものである。

 そしてアメリカが自国内にタックスヘイブンを構築する際に使った手練手管を明らかにしたこと、さらにFATCA(外国口座税法コンプライアンス法)を上程し、第4章の世界最大のタックスヘイブンだったスイスを締め上げて武装解除したことを書いている。

 またイギリスのシティの歴史について、またバチカンとマフィアや中国の進出についての記述は、私たちにとって今後大いに役に立ち参考になる知識が満載である。

 イギリスとアメリカの闘いの中に中国が出てくるのは、香港というタックスヘイブンを通じてである。共産党の最高幹部たちはこの銭からイギリスとの結びつきを強めている。

 本書の刊行は2013年7月であるので、FATCAの実施前であり、勿論「パナマ文書」の存在は意識されてもいなかった。しかし現在の金融界で焦点になっているアメリカとイギリス・中国の闘いは現在進行形であり、その激化の最中に使用した最新「兵器」こそ今回問題になっている「パナマ文書」だと認識できる記述になっていることである。

 本書がタックスヘイブンの核心を解明し、さらにその射程の正確さが「パナマ文書」の謎を解明するものに仕上がっている。ぜひ一読を勧めたい。  (猪瀬)案内へ戻る


 「エイジの沖縄通信」(NO.28)・・・沖縄の「もう基地撤去しかない」との思い!

★日本は「法治国家」ではなく「放置国家」だ!

 私は、このワーカーズの4月1日号(557号)の「エイジの沖縄通信」に『米兵の女性暴行事件に怒りの声上がる』との記事を書いた。

 3月13日、沖縄に観光で来ていた女性が那覇市内のホテルで、米軍キャンプ・シュワブ所属の海軍水兵に性暴力を受けた事件。さっそく「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」が、米軍の撤退を求める抗議・要求書を提出し怒りの声を上げたとの報告をした。

 また、同じ米軍の軍属による性暴力事件を書くことになってしまった。もういい加減にしてほしい!いつまで、沖縄でこうした痛ましい事件が続くのか・・・。
 そんな思いを抱きながら、24日夜のオバマ・安倍会談を注目し共同記者会見をテレビで見た。ところが、地位協定の改定など具体的な提起はまったくなかった。「失望」だけであった。

 翌日25日の「沖縄タイムス」に翁長知事のコメントが次のように紹介されている。

「翁長雄志知事は25日夜、日米首脳会談で日米地位協定の改定に言及がなかったことに『大変、残念だ』と述べた。両首脳の共同記者会見には『中身がまったく無い。運用改善では限界があることは明らかだ』と強い失望感を示した。」

 また、「首相は日本国民という言葉を使い、生命と財産を守ると述べたが、日本の中に沖縄が入っているのか疑問に思う。日本は法治国家ではなく沖縄をほっておく『放置国家』ではないかと述べ、沖縄に寄り添う姿勢が欠如しているとの認識を示した。」

 翁長知事は安倍総理大臣と会談した時、「綱紀粛正とか徹底した再発防止などと数十年間、何百回も聞かされました。しかしながら現状は全く何も変わらない。米軍基地があるが故の犯罪であり、大きな怒りと悲しみを禁じ得ない」と延べ、沖縄県にアメリカ軍基地が集中していることが問題の本質であり、「日米地位協定を改定しなければ日本は独立国ではない」と、地位協定の改定を強く求めた。

 そして、「県民の生命と財産を、将来の子や孫の安心安全を守るために、ぜひともオバマ大統領と直接話をさせてほしい」と安倍首相に訴えたが。

 沖縄県民も、事件が起きるたびに「綱紀粛正と再発防止」と繰り返すだけの日米両政府に強い怒りと失望を感じてきた。これほど県民の思いを代弁して政府にはっきりものを言う県知事はほかにいない。

 本土の私たちも「地方自治」をどう確立していくか、が問われている。

★次々に明らかになる安倍政権のデタラメさ!

 この女性暴行事件が起こる前に、沖縄タイムスが連日、辺野古新基地建設事業の民間警備業務の問題点を鋭く追求していた。

 それによると、「辺野古の新基地建設に伴う陸上、海上の民間警備費が2014年6月~2016年12月の2年半で少なくとも159億円に上がることが分かった。日数で割ると1日2000万円を超える期間もあった」と報じ、その民間警備を請け負っている会社とは、「キャンプ・シュワブゲート前を中心とした陸上の警備業務は綜合警備保障(ALSOK、東京)、辺野古沖の海上はライジングサンセキュリティーサービス(東京)が独占している」と説明。

 さらに、この民間警備以外にも「警視庁から100人規模で派遣された機動隊員と全国から派遣されている海上保安官の移動・宿泊費、人件費等など、警備費の本当の総額がいくらになるか?見当もつかない」と報じている。

 沖縄タイムスは最後に、「巨額の警備費は民意を無視して無理な工事を進める失政の象徴に映る」、「湯水のように税金を使い、なおかつ基地建設は進まない。建設に賛成でも反対でも、このような無駄遣いを許す人はいないだろう」と厳しく指摘。

 ちょうど東京では、舛添東京都知事の税金や政治資金の私的浪費問題(まさに湯水のように税金を浪費していた)が発覚して、辞任騒ぎが起こっている。

言うまでもないが舛添知事は謝罪ばかりで責任を取れないデタラメな政治家だ。だが、辺野古工事を無理やり進める安倍政権も、それ以上のデタラメな税金の使い方ではないか。

 無理やり工事を始める前に、沖縄とじっくり話し合いをして解決の方法を模索するのが筋ではないか。それを結論ありきで暴力で物事を進めていくやり方は(莫大な税金の浪費も含めて)おかしい。

 安倍政権のおかしい問題がもう1つ指摘されている。

 今回の沖縄の女性に対する殺人遺棄事件に関して、政府関係者が「オバマ大統領の来日という悪いタイミングで事件が起こった」と述べて、多くの人から批判を受けた。

 ところが、さらに驚くことに。逮捕された元米兵が沖縄の女性の失踪に関与している疑いを最初に報じたのは、沖縄地元紙の「琉球新報」だった。

 「沖縄県警は事情聴取段階で相当な証拠を固めていた。ところが、県警内部で、捜査に圧力がかかっていたようだ。安倍官邸の意向を忖度した県警上層部が『オバマ大統領の訪日前でタイミングが悪すぎる』と言いだして。それで、このままだと捜査を潰されてしまうと危惧した現場の捜査関係者が琉球新報にリークした」と言われている。実際、この琉球新報のスクープで「沖縄タイムス」も後追い。沖縄では一気に報道が広がった。

★「もう全基地撤去だ!」との怒りの声

 もう何一つ納得できない沖縄県民は、抗議の声を上げ続けている。

 5月20日(金)、容疑者の米軍属が勤務していた米空軍嘉手納基地ゲート前で最初の抗議行動が始まった。

5月22日(日)には、在沖米軍司令部のあるキャンプ瑞慶覧ゲート前で、「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」等36団体の主催で追悼抗議集会が開かれ、約2000人が結集した。集会の声明文は、①被害者家族らへの謝罪とケア、②真実究明と加害者の厳正な処罰、③沖縄から全ての基地・軍隊の撤退を求めたものだった。

 5月25日(水)にも、嘉手納基地ゲート前で米軍属による女性殺害事件に抗議する「元米兵による残虐な蛮行糾弾!犠牲者を追悼し米軍の撤退を求める緊急県民集会」(辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議主催)が開かれた。平日の日中にもかかわらず約4000人が参加した。集会の冒頭、犠牲者の冥福を祈って参加者全員で黙とうをささげ、参加者は(1)米軍基地の大幅な整理縮小(2)日米地位協定の抜本的な改定(3)普天間飛行場の閉鎖・撤去(4)オスプレイの配備の撤回(5)辺野古新基地建設断念を日米両政府へ求める抗議決議を拍手で採択した。

 5月26日(木)、県議会で初めて「沖縄の全ての米海兵隊の撤退を求める」決議を採択した。しかし、なぜか県政野党の自民党は賛否示さず退席している。残念だ!

 また、沖縄各地の市町村でも、米軍属による女性殺害事件に対する抗議決議と日米地位協定の抜本改定等を求める意見書の採択が進み、27市町村で可決ないし可決予定である。

いよいよ県民大会が6月19日(日)に那覇市の奥武山公園で開催することが決まった。1995年の3米兵による少女暴行事件の後に開催された県民大会には8万5千人が集まったが、今回はそれ以上の規模の大会になるだろう。(富田 英司)案内へ戻る


 何でも紹介
 冊子 「それってどうなの?沖縄の基地の話。」100円 編集・発行 沖縄米軍基地問題検証プロジェクト
 

 この冊子は、辺野古に基地を絶対つくらせない大阪行動の方から買ったものです。56ページですが、1問1答形式でわかりやすいです。項目は、8つ 基地、海兵隊、日米安保、尖閣・南西諸島「防衛」、中国、沖縄経済・財政、米兵・地位協定、運動にわかれています。

 この冊子は、沖縄の基地の現状がよくわかりますし、基地に賛成している人に対する明確な主張です。中身についてみてみます。

 質問『辺野古基地は、普天間の代替施設であり、「基地建設」ではない』 

回答「名護市辺野古の米海兵隊キャンプ・シュワブ陸上と、そこから突き出した埋め立て地に建設予定の、普天間航空基地の代替施設は、滑走路を2本持つ 海軍強襲揚陸艦(ヘリ空母)を横付け出来る岸壁を持つ 弾薬搭載エリアを持つ等普天間には無い機能を持った別な基地です。そもそも、普天間閉鎖・返還が合意された直後に、米軍との交渉に当たった元国土事務次官・下河辺淳氏は、米軍の最初の代替施設要求は、シュワブ陸上に長さ30m~50mのヘリコプター着地帯だけだったと証言しています。・・・海兵隊は普天間移設に便乗して、新たな基地を造らせようとしているのです」

 質問「何もないところに普天間基地が建設され、住民が後から周りに住み始めた」

 回答「現在普天間が占めている場所は、沖縄戦で破壊されるまで、8800人の住民がいる農村部でした」

 質問「辺野古に移設されれば、危険性は格段に減少する」

 回答「住宅が多い普天間周辺で航空機が墜落したら犠牲者は多く、辺野古なら人口が少ない集落なので事故があっても犠牲者は少ないというだけの比較論にすぎません。普天間と辺野古は直線距離でたったの36キロです。・・・米ハワイ州の海兵隊はオスプレイの飛行訓練で海岸沿いの滑走路を使用する計画でしたが、そこから1.6キロの地点にカメハメハ大王の生誕地があり、同機の強力な下降気流が史跡に悪影響を及ぼすと住民が反発しました。米海兵隊はその滑走路の使用を断念しています。人家の上を飛ばさざるを得ないので、普天間でも辺野古でもオスプレイの飛行は米国ではあり得ないことです」

 そして、元海兵隊員による女性遺体遺棄事件で問題にしなければならない日米地位協定についてこの冊子は、質問「米兵による性犯罪発生率は、沖縄県のそれよりも低い。米兵による事件・事故の被害は、誇大に宣伝されている」

 回答「本来、外国軍が駐留していて、その兵士による犯罪があれば、1件でもあってはならない「余計」な件数です。2015年5月に発表された最新の年次報告書では、1年間で米軍人約20300人が、性犯罪の被害者となったとされています。このうち女性兵士が約9600人で、アメリカ軍の女性兵士全体の4.9%に上ります。・・・アメリカ軍は、自らの内部で、自らの女性兵士すら守れていません。・・・こうした軍隊という組織の中で、重いストレスのかかる訓練を受けている若い兵士が、沖縄の街に多数繰り出しているのです。事件の度に米軍が言う綱紀粛正・再発防止が不可能であることは明らかです」

 今回の元海兵隊員による事件でもわかるように、やはり米軍基地があるがゆえの事件です。この問題は沖縄だけの問題ではありません。日本全体で考えていく問題です。日米地位協定の改正や、普天間基地撤去、辺野古に基地建設はダメ は早急に実現しないといけません。この冊子、読みやすいのでお勧めします。   (河野)


 読者からの手紙
 「共産党よ! お前もか!」 ダマスゴミの沖縄女性遺棄事件報道に追随の不思議


 再び三度、沖縄において悲惨な強姦殺人が起きてその死体が遺棄されるという事件が発覚しました。

 この事件に関しては、【え?!知らなかった】辺野古リレー警視庁前「今回この事件が白日のもとに晒されたのは琉球新報に 地元の県警がこのままだったら握り潰される 政治的に排除されそうになったもんだからリークして それが表に出ることになった。ぜひ覚えて下さい」2016年5月21日のツイートがなされます。

 健康になるためのブログ(http://xn--nyqy26a13k.jp/archives/17320)はそれに答えたので、以下に引用いたします。
          ※                   ※
 その“本土”マスコミの問題を指摘する前に、まず第一報の経緯をおさらいしよう。そもそも、逮捕された男が島袋さんの失踪に関与している疑いを最初に報じたのは、沖縄地元紙の「琉球新報」だった。「琉球新報」は18日朝刊で、沖縄県警が男を重要参考人として任意の事情聴取していることをスクープしたのである。

 沖縄の警察当局は通常、米軍が絡む事件には異常に神経を使い、慎重に慎重を期して捜査を進める。これまで事情聴取段階で情報が漏れることなどあり得なかった。

 ところが、琉球新報の記事には「捜査関係者」の情報であることが明記されており、明らかに捜査していた沖縄県警から情報が流れていた。これはなぜか。

「沖縄県警はすでに、事情聴取段階で相当な証拠を固めていた。ところが、県警内部で、捜査に圧力がかかっていたようなんです。安倍官邸の意向を忖度した県警上層部が『オバマ大統領の訪日前でタイミングが悪すぎる』と、言いだしていた。それで、このままだと、捜査を潰されてしまう、と危惧した現場の捜査関係者が琉球新報にリークしたということらしい。つまり、新聞に報道をさせて、既成事実化して、一気に逮捕に持って行こう、と」(在沖縄メディア記者)
 実際、この琉球新報のスクープは「沖縄タイムス」も後追い。沖縄では一気に報道が広がっていった。
          ※                   ※
確かにこれが真実だとすると自民党が沖縄の2紙は潰さなければならないと力説するのも無理ないなと感じます。何しろ自主的に報道管制を引くなどということは考えていない2社なのですから。又実際に現場の警察の駆け込み寺としても機能しているのですから。

 しかしここで注目する必要があるのは、事件の発覚の元になったのものは確かに死体の遺棄が発見されたことにありますが、問題の核心は強姦致死にあります。

 琉球新報では強姦致死の疑いがしっかりと死体遺棄と結びつけられて報道されているのに対して、本土のダマスゴミは死体遺棄との表現の一本槍なのです。

 そこには「安倍官邸の意向を忖度した県警上層部が『オバマ大統領の訪日前でタイミングが悪すぎる』と、言いだしていた」のと同じ状況がありました。ダマスゴミは、この事件の本質を隠すために死体遺棄事件と表現しているのです。

 私が驚くのは、共産党の「しんぶん赤旗」の報道において死体遺棄事件と表現しつつ、報道していることです。まったく理解できません。

 私は「共産党よ! お前もか!」と叫びたいです。共産党は、何でダマスコミの死体遺棄事件の表現に無批判に追随するのでしょうか。 (S)案内へ戻る


 沖縄コラム・・・「静かな暮らしを返せ!」

 基地から発する騒音に対し、防衛省は沖縄県以外には住宅防音工事の補助金を交付しているにもかかわらず、沖縄県にはそれを適用していない。それどころか、騒音の実態調査すらしようとしないという明らかな二重基準による差別を平然と行っている。

 沖縄防衛局は「シュワブ基地周辺の防音工事が必要な騒音が発生しているとは認められない」との見解を示すが、最近シュワブ基地近くの沖縄工業高等専門学校屋上で、渡嘉敷健琉大准教授が、住宅防音工事の対象となる基準値を超える騒音を測定した。沖縄防衛局は直ちに実態調査に取り組むべきだ。

 4月には、米軍基地周辺の学校や保育施設などの防音工事の空調(エアコン)維持費補助を、防衛省側から突然一方的に一部廃止するとの通告があり、沖縄の地元紙は連日この問題を報じている。空調維持費補助は、80年代前半に開始。米軍嘉手納基地や普天間飛行場、キャンプ・シュワブやキャンプ・ハンセン周辺、米軍機の飛行ルートとなっている地域の学校・施設が対象で、現行は国が空調にかかる電気使用量の9割と基本料の全額を補助している。今回の空調補助廃止に「厳しい財政状況」(中谷防衛大臣)と答弁しているが、冗談ではない!米軍の言いなりに「おもいやり予算」を増額し、16~20年度の5年間で総額9465億円にものぼる支出を約束。防衛予算に至っては、初めて5兆円の大台にのった。辺野古工事の警備のために、海上警備を担う民間警備会社と約24億円の契約をしている。これはほんのごく一部であり、陸でも海でも二重三重に厳重な警備を施しており総計でいったいいくらになるのか想像もつかない。「厳しい財政状況」なら、強引な辺野古工事をこそ止めるべきだ。莫大な警備費用だけでも浮く。

沖縄に、在日米軍基地の74%との暮らしをずっと押し付け続けて居るのだ。騒音・爆音は本土の比ではない。「防音工事の補助の廃止」を言うのなら、まずその騒音の発生源を無くすか、すくなくとも減らすことが先だろう。これから沖縄は暑さが増す季節になる。子どもたち誰もが、安心安全そして静かな環境で学ぶ権利は保障されるべきだ。

5月10日午後、米軍ヘリ11機がうるま市・沖縄市・宜野湾市の住宅地上空を、一直線に並び低空飛行。その騒音に「寝ていた子どもが飛び起き、泣いた。」「落ちてくるのではないかと身の危険を感じた。」と住民が語っている。(澄)

 
 色鉛筆・・・指導死に想う

指導死とは?

「指導死」は、「生徒指導を直接の原因、あるいはきっかけとした子供の自殺」を意味する言葉です。 生徒指導をきっかけに、子供を自殺 で失った遺族の間で生まれた新しい言葉です。

 「自分の子どもの身に何が起きたのか、これをほかの人に説明することでさえ、非常な困難が伴う」 遺族の集まりでは、こんな声が多く上がりました。

 そのため、生徒指導による子供の自殺を「指導死」と名付け、教育現場における「指導」の名のもとのハラスメントや虐待行為を社会問題化する行動を始めました。

生徒指導を背景とした子どもの自殺は、教育評論家の武田さち子さん調べでは、これまでに八十四件、平成に入ってからでも六十二件(七件の未遂を含む)起きています。そしてこの六十二件中の八件、実に十三%が北海道で起きているそうです。

私が考える生徒指導

 生徒手帳に示されている学校のルールは、今後社会人として生きていくために守っていくこととしてあります。しかし、それが管理的であってはいけないと思います。生徒からも、変更したい点、その言葉に耳を傾ける教員の姿があるべきだと思います。

 未成年でしてはいけないと法律に決まっていること喫煙や社会ルールでしてはいけない万引きなどは、どうしてその行為になってしまったのかを考え、背景を変えていく努力とともに子どもの自立につながる指導をすべきだと思います。最近悪質になっているいじめもひとつひとつの生徒の言葉に耳を傾け、生徒それぞれが話していることが違う場合は、粘り強く整合性があうまで、聞くことが大切。事実確認は複数で行い、話を聞きながら生徒指導をしてしまうのは、間違いだと思います。生徒に恐怖をあたえる聴き方は間違っていると思います。事実確認をした上で教員同士、生徒が成長していける指導を話し合って考えて、その方向性を親に示し同意を得てから。進めていくべきだと思います。

 上記のことは、ある程度決められていて、実施していかなければいけないと思うのですが、教員不足による忙しさ、貧困を生み出している社会背景が、丁寧な教育活動につながっていないような気がします。

 どんな子どもも社会の中でいきいきと生きていけるように、私達大人が努力していくべきです。その前に大人がゆっくり考えられる社会背景を、長時間労働や低賃金を解消していくことこそが大切だと想います。
(宮城 弥生)

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