ワーカーズ683号 (2026/11/1)
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維新による大阪市廃止・分割=トコーソーをほうむりさろう!
大阪市を廃止・分割特別区=トコーソーになれば、大幅なコスト増になります。法定協議会が10月20日、に開かれ、事務局の副首都推進局(大阪府市合同部署)からイニシャルコスト624億円、ランニングコスト年80億円との試算が示されました。2020年に住民投票が行われた2度目の大阪都構想は、イニシャルコスト241億円、ランニングコスト年30億円でした。今回は、システム改修費の増大が費用を増加させています。
大阪都構想は2015年と2020年に大阪市民を対象の住民投票が行われ、2度とも反対多数でした。政令指定都市を自主財源が乏しい特別区に分割するものであり、百害あって一利なしです。だからこそ反対した市民は多かったのですが、3度目も「多額の費用をかけて大阪市を特別区に分割する必要があるのか」との疑問は払しょくできない制度設計になりそうです。
また、大阪市議会で採択された陳情に維新関係者が関わっていました。大阪都構想において住民投票の結果に影響すると考えられてきた「大阪市を廃止する」という文言の取り扱いです。
2020年の住民投票では陳情を考慮して、投票用紙に「大阪市廃止」という文言が盛り込まれました。
今回は、維新の主張と同じく住民投票用紙に「大阪市を再編」と表現するよう求める陳情が採択されました。
採択された陳情には、維新の国会議員秘書3人とこの議員の後援会長の署名があり、維新関係者が関わっていたことが明らかとなったのです。
来年強行されるであろう住民投票は、維新がいくら「大阪都構想」と言っても実際は、政令指定都市である大阪市を廃止・分割するものです。
維新は、大阪市廃止・分割に対し大阪市民の拒否反応が強いのをわかっています。だから「大阪市を再編」という実態とかけ離れた言葉を用いるのです。
来春の統一地方選と大阪市廃止是非を問う3度目の住民投票の同日実施を目指している維新の吉村洋文代表(大阪府知事)は7月24日、参院本会議で可決、成立した副首都法の「住民投票と地方選が重複しないよう最大限調整する」とした付帯決議に反し、改めて同日選の実施を目指すと発言しました。付帯決議に法的拘束力はありませんが、維新も賛成した法案に反する発言は、明らかに信義則違反で大問題です。
住民投票と地方選が同日になれば、候補者を擁立していない政党や政治団体は、選挙区域での政治活動が制限されます。具体的には、街頭演説やポスターの掲示、ビラの頒布、選挙カーや拡声機を使った呼びかけなどができなくなります。電話、インターネットでの政治活動などの活動ぐらいしかできません。
維新のやろうとしている大阪市廃止・分割をほうむりさろう!(河野)
〝タブー破り〟に前のめりな高市政権 ――安保三文書の改訂を見る――
年末に取りまとめるとされる高市政権による〈安保三文書〉の改訂作業が進んでいる。
その内容はと言えば、巨額な軍事費の計上、それに原潜の保有や〈非核三原則〉の見直しなど、曲がりなりにも〝平和国家〟を掲げてきた戦後日本の、また一つの歴史的な転換点になり得るものだ。
〝抑止力=軍事力〟の増強へと突き進む「内と外」の対抗関係ではなく、国境を越えた平和や協調関係づくりと結びついた「上と下」との対抗軸での闘い、そのための世論形成や対抗運動が焦眉の課題だ。
◆露骨な軍事的対抗姿勢
この国家安全保障戦略などいわゆる〈安保三文書〉は、米国の国家安全保障戦略を見習い、安倍政権時代の2013年に最初に策定されたものだ。時間軸としては、10年間程度の外交・軍事の基本戦略を示すもので、岸田政権時の22年には、改訂版を策定している。
高市首相は、本来であれば2032年頃のハズだった再改訂作業を、6年も前倒ししてこの12月末までに再改訂するほど、前のめりだ。
その安保三文書、安倍政権ではそれまでの〝専守防衛〟に代わる〝積極的平和主義〟、要するに軍事的に台頭する中国を念頭に、軍事力を背景(手段)とする積極的な〝対抗戦略づくり〟へと転換したものだった。これは二年後の、いわゆる集団的自衛権行使に道を開いた〝安保法制〟に直結した。
具体的には、陸海空の統合運用の強化や軍事力の南西シフト、それに〈武器輸出三原則の見直し=自主規制の撤廃〉、さらには〝愛国心の涵養〟も打ち出していた。
岸田政権による前回の改訂では、安倍政権でもできなかった〝敵地への反撃〟を超えて〝先制攻撃〟も可能となる〝スタンド・オフ・ミサイル〟の保有などを明記、また防衛費のGDP比2%への引き上げも掲げたものだった。
今回の改訂は、ロシアによるウクライナ侵攻などを期に飛躍的に進化・活用されているドローン(=無人機)の活用や〝継戦能力の向上〟などを見据えた改訂だとされる。
自民党内では、党の安全保障調査会がこの5月、政府への提言案を了承しているし、今年4月27日から始まった改訂に向けて設置された政府の有識者会議も、議論が続けられ、その議事要旨も出されている。
新聞報道などによれば、取り上げられている主な課題として、別記のようなものだ。
〈別記――1〉 安保三文書に明記が予測される項目――
1)軍事費の大幅増額。これは米国のトランプ政権による同盟国への軍事費の増額要求、具体的には基盤的軍事力にGDP比で3・5%、関連インフラなどの整備支出1・5%、計5%への増額要求が背景にある。日本に当てはめれば、GDP600兆円として、21兆円、関連インフラなどの整備費9兆円、計30兆円規模だ。少し前のGDP(500兆円)比1%時代の5兆円(インフラを除く)規模の4倍にもなる巨額な軍事支出だ。これを国民ニーズが大きい個々の政策に、この100分の1、1000分の1の予算を振り向ければ、どれだけ国民生活が恩恵を受けられるかを考えると、気が遠くなるような額だ。
ただ、高市政権は、対GDP比3・5%の明記は、自民党内の慎重論も踏まえて避ける判断をした、との報道もあった。あまりの巨額なものなので、財源を明示することができない、という事情からだ。とはいえ実際は、米国の要求を追い風にして大幅増額を強行するという姿勢はそのままだ。
2)非対称戦での無人機(ドローン)の活用(ウクライナ戦争での経験)
3)作戦支援でのAIの活用(米国とイスラエルによるイラン斬首作戦などで活用された=メイブン・スマート・システム=標的選定システムなど)
4)継戦能力の強化(ウクライナ戦争やイラン戦争の長期化)
5)次世代型動力(原子力)による潜水艦(原潜)の保有(東アジアでの原潜保有の拡大の動き)
6)非核三原則の修正〈=作らず、持たず、持ち込ませず〉の、〈持ち込み〉を可能とする〈二原則〉化――(中・ロ・北朝鮮の核保有国の存在、原潜保有の動きを見せる韓国など、東アジア情勢)
7)対中国の認識(現実的脅威)か(最大の戦略的挑戦)か(台湾海峡危機)
8)軍事工場の国有・民営化
などが検討されているという。
◆原潜保有(=核保有?)――戦後タブーの突破へ
今回の改訂作業で、大きく浮上しているのが原子力潜水艦と非核〝三原則〟の〝二原則化〟だ。
原潜の保有と非核政策の二原則化は、これまで〝日本の国是〟としてきた立ち位置の変更=修正を意図したものでもある。〝持たず、作らず、持ち込ませず〟という〝非核三原則〟は、言うまでもなくあの広島・長崎の惨禍を背に、国会決議もされたいわゆる〝国是〟として、曲がりなりにも維持されてきた日本の〝国策〟のはずだった。
安倍元首相や現在の高市首相など、いわゆる〝戦前回帰派〟は、その撤回や棚上げに腐心してきたし、近年の自民党内閣は、〈非核三原則〉はあくまで〝政策として堅持している〟という言い回しに終止してきた。〈非核三原則〉は、単なる内閣の政策以上の重みがあるはずだが、言わんとすることは、国会決議などは軽く見て〝政策はいつでも変更可能だ〟というものだ。
原潜の特徴は、高速かつ長時間の潜航航行や潜航待機が可能であることだ。その原潜に核ミサイルを搭載すれば、自国が核攻撃を受けて壊滅状況になっても、敵国への核報復攻撃が機能する。だから〝究極的な抑止力〟とされてきたものだ。
したがって、原潜保有とは、その先に核兵器の開発・保有やその搭載に道を開くもの、その条件整備の意味合いもある。実際、有識者会議でも、わざわざ垂直発射型ミサイル・システム(VLS)搭載型原潜の保有が公然と持ち出されているのが実情だ。
こうした動きは、安部政権(集団的自衛権行使と安保法制)による自国が攻撃されていなくとも〝戦争ができる(=可能な)日本〟から、実質的には先制攻撃(相手国による〝攻撃の着手時点〟での攻撃が可能)ができる日本(岸田首相)、さらには〈自国が直接攻撃されなくても〉〝中国と戦争する日本〟(=台湾有事発言)に踏み込んだ高市政権による〝戦争する日本〟の立ち位置を背景に打ち出されているものだ。
〝持たず、作らず、持ち込ませず〟といういわゆる非核三原則の撤廃も見据え、その突破口にすべく「タブーなき議論が必要だ」と繰り返し表明する小泉防衛相。原潜導入や非核三原則に関して〝タブーなく議論を進める〟としている。
「別記――2」 小泉防衛省による最近の発言
◇「今までのようにディーゼルでやるのか、それとも原子力潜水艦なのか、議論をしていかなければいけないぐらい、日本を取り巻く環境は厳しくなっている」(25年11月6日、TBS)
◇「日本にとっては」議論するのが難しい課題だが、触れざるを得ない一つは核だ。あらゆる政策をタブーなく議論し、進めなくてはならない」(同7・17 インターネット番組)
◇「世界で見られる『新しい戦い方』に対し、日本は『新しい守り方』を考えなければいけない」(5月20日、視察先で)
◇「(中国を念頭に)核兵器と戦略爆撃機を大量に保有する国が、そのいずれも持たない日本を『新型軍国主義』と呼んでいるとしたらおかしいと思いませんか。」(5月20日、アジア安全保障会議の演説で)
◇「人を大切にしない自衛隊に未来はない。自衛隊が真に人を大切にする組織だと伝われば、もっと人が集まってくる」(9月8日、閣議後の会見で) (10・18朝日より)
高市首相自身も、以前「核による拡大抑止に頼る日本は、〝持ち込ませず〟は現実的ではない」と、同様の発言と繰り返している。
また先の10月14日の衆院予算委員会で高市首相は非核三原則について「今年末に向けて検討を進めているところだが、その表現ぶり、具体的な内容や表現ぶりをどのようにするのか。表現ぶりについて今、特に予断するということは検討中なので差し控えます」と答弁している。
こうした高市政権による原潜保有・非核政策からの転換が実現すれば、それは戦後政治の大転換の一つとなる。次の大転換は、兵力不足を補うなんらかの〝徴兵制〟の導入が待ち構えている。そうした軍事至上主義による大転換はなんとしても許してはならない。
◆〝舞台回し〟の有識者会議
高市政権による〈安保三文書の改訂〉に関しては、現在、自民党の安全保障調査会(会長:浜田靖一 元防衛相)で検討している。その調査会に安保専門家(?)らで構成される〈有識者会議〉が設置され、検討が進んでいる。
とはいってもその有識者、自民党や省庁のお抱え学者、それにメディア代表ではなく政治プレーヤーとして立ち振る舞う読売新聞の社主らがメンバーで、はじめから結論が見えている〝御用有識者会議〟でしかない。現に、小泉防衛相などがすでに発している〝次世代推力(=原潜)保有〟を推奨する提言なども専門家メンバーから提案されている。
自民党内の議論では、原潜保有は開発や運用に巨額の費用がかかること、また原子力の平和利用を掲げた原子力基本法に抵触することなど、慎重論も出ているという。が、そうした中、今回初めて有識者に抜擢された遠藤(某)早大院教授は、はやくも初会合や2回目でも「探知や攻撃されにくい」「水中機動力を向上さられる」など、VSL搭載原潜の導入などを提起したという(5・15、6・26議事要旨)。まさに〝やらせ発言〟と言うほかはない。
◆「内と外」の対決から「上と下」の対決へ
近年、ロシアによるウクライナ侵攻、トランプの米国によるベネズエラへの武力攻撃、イスラエルと米国によるイラン攻撃、それに台湾海峡での緊張の高まりなど、武力を全面に押し出した〝力による現状変更〟の事例が相次いでいる。それらが〈移民排斥〉などのナショナリズム=排外主義と絡み、いわゆる国家間対立などいわゆる「内と外」の対立・抗争が大きく浮上し、それが国内世論に波及し、エスカレートする状況がある。
他方では、米国政治での〈社会民主主義〉の伸張など、格差拡大などの是正を強調する〈上層と下層の対立〉も浮上している。
その米国、かつては米国共産党なども存在したが、長い間、民主と共和の二大政党政治が続いてきた。が、近年〝民主社会主義〟を自称するサンダース上院議員が米国大統領選の予備選に打って出て、かなりの支持を集めた。
最近では、ニューヨーク市長選に当選したマムダニ市長も、民主社会主義者を自称している。その他、オカシオ・コステル下院議員など、政治団体「アメリカ民主社会主義者(DSA)」に所属する議員も増えている。今回の米国中間選挙でも、同グループの候補者も、共和党候補をしのぐ選挙戦を展開しているという。米国で、何らかの〝社会主義者〟〝共産主義〟が政治の舞台に登場するのは、20世紀初頭以来のことだ。
◆国境を越えた〝下どうしの連携と闘い〟
他方で日本はどうか?
日本ではかつて戦後平和主義に立つ社会党など〝自社対決〟や〝社共共闘〟などが形成された時期があった。が、近年は立憲民主党は一時、〈リベラル〉を自称していたものが、いまでは〈中道=保守と革新の中間?)を自称するまでに〝後退〟〝浮遊〟しているのが実情だ。自らの足下=アイデンティティー(=自己認識・価値観・社会的役割・将来目標)自体が崩壊状況なのだ。
その〝自社対決〟時代、実質的に社会党の実働部隊だった労働団体の〈総評〉は、「反戦平和の闘い」を掲げ、ことあるごとに反戦・平和の集会やデモなどに取り組んできた。
なかでも1966年10月21日に日本労働組合総評議会(総評)が「ベトナム反戦統一スト」を実施し、それと同時に全世界の反戦運動団体にもベトナム戦争反対を呼びかけた。
その〈総評〉は、後に〈連合〉に吸収され、その連合は、反戦・平和の闘いどころか、みぢかな賃金闘争すらまともに闘えなくなっている。が、それに代わっていまでは〈デモ・カレンダー〉を介したデモやスタンディングの取り組みや〈9条改憲NO!全国市民アクション〉などの取り組みが拡大し、大きなうねりを作り出している。
高市政権が進める〝武力には武力で〟という姿勢は、やがては対立のエスカレーションと将来的な武力衝突を呼び込むだけだ。国家の暴走を阻止する労働者・住民という、国境を越えた〝下どうしが連携した闘い〟こそ、戦争への道を止めることができる。
安保をめぐる最近の状況は、戦争へとまっしぐらに進んだ1930年代の状況と似てきた、という指摘もされている。戦争への道は、何も政権や軍事強硬派だけの暴走ではなく、それを熱狂して迎える国民と国家権力による国民弾圧という構図のなかで現実のものになった、という経緯がある。
要するに、かつての〝鬼畜英米〟から現在の〝中国脅威論〟、要するに相互敵視という対抗関係のエスカレーションだ。そうした強硬論に煽られ、積極的、消極的に政権の強硬路線を後押しする世論、という構図自体、つくらせてはならないのだ。
これからが正念場だ。(廣)
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軍事化する世界経済――国際連帯で止めよう
いま世界経済で起きていることを、単なる「兵器需要」増大と見るだけでは不十分です。軍事需要をテコに、AI、半導体、ドローン、宇宙、通信、サイバー技術などの先端産業そのものを育成する動きが広がっています。軍事費の増大と国家による産業投資が結びつき、国家と大企業、IT企業、スタートアップの関係が再編されているのです。
高市政権の「経済安全保障」も、この世界的な「経済の軍事化」の流れのなかに位置づけて考える必要があります。
■世界で進む軍事化と先端産業の結合
SIPRI(ストックホルム国際平和研究所)によれば、世界の軍事支出は2025年に実質2.9%増の2兆8870億ドルとなり、11年連続で増加しました。欧州は14%、アジア・オセアニアは8.1%の増加です。世界の軍事負担はGDP比2.5%に達しました。
欧州では、ロシアのウクライナ侵略を契機に、再軍備と産業政策が結びついています。EUの「Readiness 2030」は、防空・ミサイル、ドローン、宇宙、サイバーなどを重点分野とし、防衛産業の拡大と共同調達を進めるものです。加盟国の防衛支出増加によって最大6500億ユーロ(約110兆5,000億円)の追加的な財政余地を生み出し、さらに1500億ユーロ(約25兆5,000億円)の融資枠を設ける構想も打ち出されました。
NATOも2025年6月のハーグ首脳宣言で、2035年までにGDP比5%を目指す方針を掲げました。このうち3.5%は中核的な防衛支出、1.5%は重要インフラやネットワーク防護、民間の危機対応、防衛産業基盤などへの支出です。軍事費の増大だけでなく、民間経済力や技術開発まで安全保障政策に組み込む方向が明確になっています。
米国では、この結合がさらに先鋭化しています。国防総省の「リプリケイター」(2023年に開始した軍事イノベーション。低価格化・無人化を目指す)は、低価格の無人兵器などを大量に導入する構想であり、従来の巨大軍需企業に加えて、AI、ソフトウェア、自律型ドローンを開発する企業を軍事調達に取り込んできました。アンドゥリルやパランティアなどは、その象徴です。
■高市政権の「17分野投資」と軍需経済
日本でも、この動きが進んでいます。防衛費は2026年度予算で約9兆円に達し、政府は2025年度までにGDP比2%水準を前倒しで実現したと説明しています。さらに国家安全保障戦略など安保三文書の前倒し改定も予定されています。
米国のヘグセス国防長官は2026年5月、アジアの同盟国・パートナー国にGDP比3.5%の防衛支出を求めました。日本でも、より高い防衛支出目標が議論されています。ただし、3.5%は現時点で日本政府が正式決定した目標ではありません。
ここに高市政権の「戦略17分野投資」が重なります。政府は2040年度までに官民合わせて約370兆円の投資を目指し、AI、半導体、宇宙などを重点化しています。政府が重視する「フィジカルAI」も、情報通信、防衛産業、航空・宇宙、ロボット製造などを横断する技術です。
構造は明瞭です。軍事費を増やし、関連してAIやドローン、衛星、通信への需要を拡大する。政府調達によって企業に市場を提供し、AI・半導体・通信・ロボットなどへの投資を促す。そして、それらを「経済安全保障」と「成長戦略」の双方から正当化するのです。
楽天の動きは、この変化をよく示しています。楽天はドイツのヘルシングと連携し、AI搭載攻撃ドローンHX-2の日本導入を支援しています。また、ドローン群制御AIの日本市場への導入支援にも取り組んでいます。楽天モバイルの通信技術も、日米共同軍事演習で実証されてきました。「楽天市場」という一見平和に見える企業の「軍需」への進出は、高市政権下で加速される恐れがあります。
補足すれば楽天が従来型の兵器メーカーになるということではありません。通信、AI、衛星、無人兵器をつなぐ「技術基盤を提供」する側に入り込んでいるということです。日本のTerra Droneが迎撃ドローンの量産調達契約を結ぶなど、民生技術や新興企業を防衛分野に取り込む動きが進んでいます。発注者が「親方日の丸」であれば利益は確実です。
さらに、日本政府が全額出資する「日本政策投資銀行」も、2026年に防衛分野への投資制限を撤廃しました。政府調達の見通しを与え、公的資金や民間金融を呼び込み、スタートアップから大企業までを軍事関連市場に結びつける環境が整えられつつあります。
■軍事化は財政と国民生活を圧迫する
しかし、軍事化には当然コストがあります。IMFの2026年の分析では、軍事支出が急増する典型的なケースで、その増加分の約3分の2が財政赤字によって賄われ、財政赤字は平均でGDP比2.6ポイント拡大し、政府債務は3年間で約7ポイント増えるとされています。軍拡は短期的に需要と生産を押し上げる一方、インフレを促し、中期的には財政や対外収支への負担を強めます。
軍事支出がすべて無意味だというのではありません。侵略に抵抗する国の防衛と、軍需産業を国家主導で拡大し続ける政策とは区別すべきです。問題は、軍事需要を成長の柱に据え、そのために財政と産業の構造を組み替えることにあります。
何度か当「ワーカーズ」で指摘したように、軍需経済は中長期には再生産を弱らせ、その意味では「国力」の弱体化に帰結するのはマルクス経済に基づけば明確です。
軍需生産が米国のように特権化し軍需への資源配分が拡大すれば、労働力、設備、原材料、財政資金をめぐって民生部門との競合が生じます。住宅、医療、教育、介護、民生用エネルギーなどへの投資や財政配分が後回しにされます。
ここに、誰のための国家投資なのかという階級的な問題があります。軍事関連企業には政府調達という巨大市場が提供され、金融資本には投資機会が生まれます。他方で、財政負担や物価上昇のしわ寄せは、広く国民生活に及びます。利益は私的に取得され、費用は社会全体に負担させられる構造が強まるのです。
「大砲よりバターを」「戦争ではなくパンを」「平和に予算を」。軍事化によって利益を得る国家と資本の論理に対し、労働者の生活と社会的再生産を守る立場から対抗する必要があります。
それは日本国内の反戦・平和・反資本の闘いにとどまりません。各国で軍事費の増大と社会保障の削減に反対する労働者、反戦運動、市民運動が連帯し、国境を越えて軍事化の循環を断ち切ることが求められています。軍拡競争ではなく、国際的な協力と社会的な富の民主的な配分へ。世界経済の軍事化を止めるために、国際連帯を発展させましょう。(文明)
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敵は外にいるのか?――排外主義の起源
「移民が仕事を奪う」「安い輸入品が産業を潰す」さらには「中国が脅威だ」。
生活が苦しくなるたびに、国際的にこんな声が大きくなります。トランプのような政治家は、この怒りを巧みに「外」へ向け「アメリカファースト」で権力を握りました。日本でも欧州でも、同じ光景が広がっています。
けれども、少し立ち止まって考えてみましょう。そもそも誰が、何のために、国境を越える経済の仕組みをつくったのでしょうか。
■グローバリズムは資本の論理です
1980年代以降、多国籍企業は賃金の安い地域に工場を移し、世界中に部品の調達網を張り巡らせました。新自由主義は資本の移動を自由にし、規制を外し、労働力の移動も広げました。これは「行き過ぎ」でも「うっかり」でもありません。より安く作り、より多く利潤を積み上げるという、資本の競争論理がそのまま貫かれた結果です。資本とその国家にとって国境は、国民を閉じ込めるものであっても自らを規制するものではないのです。
この展開は、労働者と資本家という基本的な対立を見えにくくしました。多くの工場は海外へ移り、職場には外国人が増え、安い商品は世界中から届きます。賃金を抑制しているのは誰か、利益を手にしているのは誰かが、国境の向こう側に霞んでしまったのです。そこに「外国のせいだ」という矛盾を「外」に向ける単純な物語が入り込む余地が生まれます。
■「安さ」は庶民への贈り物ではありません
海外からの輸入で、食料も衣料も安くなれば、労働者が暮らしていくのに必要な費用が下がります。すると企業は賃金を抑えやすくなります(労働力の再生産費の抑制)。安さは、賃金を抑える道具として働いてきたのです。同時に、競争に耐えられない中小企業や農家は「非効率」と切り捨てられ、わずかな補助金とともに淘汰されました。これが、資本の論理と言うものです。
移民労働者も同じです。資本の需要に応えて国家が制度化した日本の技能実習や特定技能の制度は、人手不足に悩む企業の需要に応えてつくられました。外国人が「来た」のではなく、資本が「呼んだ」のです。低賃金で働く人々が増えれば、国内の労働者の賃金交渉力は弱まります。ここで問われるべきは、安い賃金で働かざるを得ない移民でしょうか?それとも、人々を互いに競わせて賃金を押し下げる仕組みを必要とする資本の側でしょうか?
もちろん、輸入や移民が小経営や雇用や賃金に影響を与えた面を、ないと言い切るつもりはありません。工場を失った地域の痛みは本物です。問題は、その痛みの根本原因は何かです。
■怒りの行き先がすり替えられています
排外主義の言説は、怒りの矛先を「外国」へ向けさせます。生活苦への怒りは正当です。間違っているのは、その行き先です。移民も、輸入品を作る海外の労働者も、資本に搾取されている点では私たちと同じです。彼らを敵とみなしている間、工場を海外へ移し、利益を株主に還元し、税や社会保障を削ってきた側、すなわち政官財の支配層は、安全な場所にいられます。
資本の本音も見ておきましょう。米中が対立しているように見えても、日中関係が最悪になってもサプライチェーンは簡単には切り離せません。企業が望むのは全面的な対立ではなく、利益を守るための「リスクの分散」です。いわゆる「デ・リスキング」です。国家間の主導権争いは現実に存在します。しかし「外敵の脅威」の物語は、実態以上に、国内の不満を資本とその国家に向かうことを抑え込む統制の道具として働きます。
日本の資本は、グローバリズムへの国内からの批判をかわすために、「中国依存」のサプライチェーンの再編成をしています。米国は「外国から食い物にされてきた」として高関税により国内産業を保護すると主張しています。
しかもこのような動きは国家間の緊張を生み、軍拡の世界的伝播に結果しています。日本でも排外主義に煽られた「世論」をテコとして軍産大資本への国費の投入が拡大しています。GDP比1%から現在は2%へと軍事予算は倍増しさらなる増加が予想されます。AI、半導体、通信、宇宙開発なども巻き込んだ軍需・先端産業投資は、日本だけの事象ではなく、欧米、中露朝、韓国台湾その他の諸国でも進行しつつあります。衛費が膨らむほど、そのつけは増税や社会保障の抑制、物価高による実質賃金の目減りとして、私たちに民衆に回ってきます。それで潤うのは、軍需関連の企業と、不満を抑え込みたい権力です。そして、軍拡が軍拡を呼び緊張を増幅させ国家間緊張として発現しつつあります。
■では、どうすればよいですか
関税や入国制限で「外」を締め出しても、問題は解けません。関税は生活必需品の値段を上げ、低所得の人ほど重く負担します。必要なのは、農家や中小事業者、そして労働者の暮らしを、補助金や福祉制度で直接支えること。同時に、資本が自由に動き回って賃金を押し下げることを、大衆的に規制すること。そして国境を越えて、働く者どうしが手を結び、資本と闘い規制する事です。
これは、外を敵視する保護主義(デカップリング)でも、資本の自由を擁護するだけの自由貿易論(グローバリズム)でもありません。窮状を生んだ仕組みの根本批判を提起しながら、いま苦しむ人の生活を守る、という立場です。
問うべきは資本の論理です。「誰のための効率化」なのかです。「資本の蓄積」の反社会性です。効率を追求した結果、日本のように暮らしを支える農業も地域の産業も痩せ細り、労賃も抑制されたのです。彼らの効率は、いったい誰のものだったのでしょうか。政・財・官が富栄て万骨枯れる、です。私たちの苦しさの基本原因は、外国人でも外国でもありません。怒りを向ける先を間違えないこと。それが、排外主義に対する最も確かな反論なのです。(六)
AI化資本主義――バブル崩壊より、大衆窮乏化こそ問題だ
日本の株式市場ではAI関連株が相場全体を押し上げています。米国をはじめ世界的な現象ですが、巨額のAI投資と設備の膨張に見合う利益を回収できるのか、不安も広がっています。AIが人類を滅ぼすかという議論も重要です。しかし、もっと差し迫った問題は、AIによる省力化が社会的再生産のあらゆる部門に広がり、労働と生活をどう変えるかです。企業は「人件費を節約し、AIに投資する」と公然と語っています。
■GPU販売から供給網の組織へ――NVIDIAの変貌
AI半導体の王者NVIDIAは、GPUを売るだけでなく、AI産業全体の生産能力と投資を組織する企業へと変わっています。2026年10月には、イビデンや韓国のサムスン電機などとの協力を通じ、AI半導体に不可欠な高性能パッケージ基板の供給拡大を進めています。生産能力の確保に向けて取引先に前払いなどで資金を供給し、供給網そのものを支えるのです。
GPU(AIの学習・推論を支える中核的な半導体)は製造すれば終わりではありません。高性能基板への実装や先端パッケージングが必要で、部品の一つが不足しても最終製品の供給は止まります。AIブームを維持するため、NVIDIAは取引先の設備投資にまで関与するようになりました。
■ベンダー融資と循環投資
メーカーが顧客に融資や支払い猶予を与えるのがベンダー融資です。NVIDIAはOpenAIへの最大1000億ドルの段階的投資構想を発表し、OpenAIはNVIDIA製システムの大規模導入を計画しています。またNVIDIAは、AIクラウド企業CoreWeaveに出資し、同社の計算能力を一定条件で購入する契約も結んでいます。投資がデータセンター建設を支え、その建設が半導体需要を生み、需要見通しがさらなる資金調達と投資を呼ぶ。これが循環投資の構図です。
もちろん、資金が回るだけではありません。データセンターが稼働し、AIサービスが利用され、十分な収益を生めば破綻は回避されます。問題は、借入や追加投資で需要が先取りされている場合です。最終的な利用料収入が期待を下回れば、設備投資と信用が同時に縮みかねません。核心は、投資が生み出す計算能力に見合う、持続的な最終需要と利益があるかどうかです。それに対する懸念は深まり続けています。
■日本もAI資本の循環に組み込まれる
日本企業は半導体関連部品を供給する一方、国内のデータセンターや産業用AIへの投資を通じて需要側も支えています。供給網、金融、技術、国家の産業政策が結びつき、日米資本の「接合」が進むのです。高市政権の経済安全保障政策とも重なります。
では、AI投資が期待どおりの利益を生まなかったとき、一歩進んで損失を誰が負担するのかを考えてみましよう。企業の投資判断の失敗が、公的支援や電力・インフラ負担などを通じて発生すれば、損失は国民に転嫁される恐れがあります。ここに国家独占資本主義の問題があります。これはおそらく日本だけではないないでしょう。
■AI資本主義と利潤率低下の法則
かつて「ワーカーズ」の論考では「AIの普及による、ホワイトカラー労働者の資本による実質的包摂」について論じました。しかし、事態はさらに進展しておりここでは利潤率の側面から論じてみます。
すでに述べてきたように企業はAIによって人件費を削減し、生産性を高めようとしています。マルクス経済学の視点から見ると、現在のAI革命は、データセンター、GPU、半導体製造設備、電力インフラ、さらにはロボットなどへの巨額投資、すなわち不変資本の急増と、可変資本の相対的縮小を特徴としています。
マルクスによれば、利潤率は剰余価値を総投下資本で割ったものです。AI関連投資によって分母である総投下資本が急速に膨らむ一方、分子である剰余価値は、生きた労働によって生み出されるという限界をもちます。そのため、長期的には利潤率が低下する圧力が強まります。
実際、企業はAIによる合理化を通じて、技術者や知的職業に従事する労働者から工場、福祉現場、建築現場に至るまで、労働力の削減や置き換えを進めています。これは機械や設備への投資が、生きた労働に対して速やかにに増大する、マルクスのいう「資本の有機的構成の高度化」にほかなりません。AI革命は、資本主義の効率化を飛躍的に高める一方で、資本蓄積に内在する利潤率低下の圧力を、いっそう強めるのです。
■利潤率が低下するとどうなるのか
LLM=AI基盤モデルによるチャットや画像生成などの提供はサービスにすぎず新価値を生みません。一方、フィジカルAIの「労働」も「資産の減価償却」であり、剰余価値を生み出すものではありません。結果、利用料金収入は停滞しそのままでは巨額投資が回収することは困難とみられます。
もっとも現代資本主義ではプラットフォーム支配や知的集積・データ独占によるレント超過利潤が存在するように、トップのAI企業では収益の道が無くなると断言できません。「勝者総取り」として特権的な優位性を実現しレント利益を上げることに成功するかもしれません。
しかし多くを語れませんが、それは労働者の生み出した社会的な剰余価値をレントとして吸い上げることであり、商業や運送、福祉業その他零細の他分野の収益の低下をもたらしエッセンシャルな分野でも倒産・経営危機に追いやられることになります。さらに組織的抵抗が無いとすれば労働者の賃金抑制へ帰結するでしょう。AI化資本主義と労働者・勤労者の道はますます狭まります。レントや利潤の奪還が直接的テーマとして我々に突き出されるでしょう。
資本主義におけるAI革命は、マルクス理論を過去のものにするどころか、資本による労働の包摂、レント理論や利潤率の傾向的低下の貫徹を改めて示しているのです。(阿部文明)
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『VIVANT』の危うさ――排外主義と暴力を中高生に植え付けようとするTVドラマ
TBS日曜劇場『VIVANT』シーズン2をめぐっては、残虐な描写、粗雑な物語構成、中国をあからさまに敵として描く姿勢などに批判が出ています。壮大なスケールや豪華な出演者が注目される一方、作品が中高生を含む幅広い視聴者にどのような国家観や正義の観念を伝えるのかも問われます。
■残虐さと単純化された正義
シーズン2では、主人公・乃木憂助らが所属する秘密諜報組織「別班」の隊員が拘束され、拷問を受ける場面などが描かれます。東洋経済オンラインの10月16日付記事も、中国側組織による拷問描写を取り上げ、中国を実名で野蛮な敵役に設定することの危うさを指摘しています。たしかに高市ソンタクドラマと言いたくなります。
もちろん、暴力を描くこと自体が問題なのではありません。暴力の悲惨さや権力の非人間性を告発する作品もあります。しかし、敵の残虐さを強調し、それに対抗する主人公たちの暴力を正義として描けば、「敵が悪いのだから、こちらは何をしてもよい」「国家を守るためなら法を越えてもよい」という考え方が、物語の爽快感の中に紛れ込みます。
また、登場人物の行動や銃撃戦のリアリティー、物語の因果関係には疑問も残ります。映像の豪華さやアクションと、思想や人間描写の深さは別です。「幼稚」という批判は、政治的・倫理的な問題を掘り下げず、善悪を単純化しているという指摘として受け止めるべきでしょう。「自衛隊カッコイイ」は暴力と戦争への抵抗感を麻痺させる麻薬です。
■中国を「敵」として描く意味
第1シーズンで別班が対峙した組織の舞台は、架空のバルカ共和国でした。ところがシーズン2では、中国の名を掲げた秘密情報組織が敵として登場し、日本側の隊員を拘束・拷問する存在として描かれます。東洋経済オンラインの西村豪太論説委員長も、現実の日中関係における相互不信や安全保障意識と重ねて問題を指摘しています。
中国政府や情報機関の活動を批判的に描くことそのものが問題なのではありません。現実の中国にも批判や検証の対象となる政策・行為はあります。問題は、中国を物語上の敵として固定し、その残虐さを繰り返し強調する一方、日本側の秘密活動を正義の側に置く構図です。こうした単純な描写が続けば、視聴者は日中間の複雑な政治・外交問題を考える前に、「中国は野蛮な敵、日本はそれに立ち向かう正義」というイメージを受け入れやすくなります。これは意図的な中国蔑視ドラマと言う他ありません。
■自衛隊の美化と「法の外側」の英雄
さらに重大なのは別班の描き方です。乃木たちは、自衛隊に関係する秘密組織の工作員として、海外で情報活動や武力を伴う作戦を実行します。秘密活動を国家防衛のための勇敢な行為として描けば、隊員の能力や忠誠心が英雄的に称揚され、自衛隊の活動そのものが正義として美化されやすくなります。
しかし、国家のために行動することは、その行動が合法で正当であることは同じではありません。他国の領土で秘密活動をすれば、相手国の主権や法律との関係が問われます。武力行使や殺傷に至る場合には、国際法上の制約も問題になります。誰が命令し、どの法律に基づき、誰が活動を監督し、失敗や犠牲について誰が責任を負うのか。まっとうな社会ではこうした問いを避けることはできません。
別班を取材してきた共同通信の石井暁記者も、10月10日付JBpressのインタビューで、ドラマが違憲・違法な活動を是認するように描く点への違和感を示しました。「別班」本部の意匠(菊の御紋と日の丸)についても、戦前の軍国主義を連想させると批判しています。
■「別班」は実在するのか
現実の情報活動に関する報道と、ドラマの別班を同一視することはできません。2013年の京都新聞(11月28日)報道『陸自独断で海外情報活動―身分偽装の「別班」』では、陸上自衛隊の関係者が身分を偽装し、ロシア、中国、韓国などで海外情報活動を行っていたとされました。一方、政府は同年12月の国会答弁書で、「陸上幕僚監部運用支援・情報部別班」という組織は過去にも現在にも存在しないと説明しています。
他方、朝日新聞GLOBEなどは関係者の証言を紹介し、秘密情報活動に関わる組織の存在の可能性を報じています。2026年7月にも、小泉防衛相が別班を否定する一方、元自衛官の軍事ジャーナリスト小西誠氏は防衛省内部に関連組織が存在する可能性を指摘しました。
問題の核心は、仮に秘密情報活動が行われているなら、誰が命令し、防衛相や国会はどこまで把握し、違法な活動があった場合に誰が責任を負うのでしょうか。大臣や国会に知らされないまま活動が行われているとすれば、文民統制にかかわる重大な政治問題です。
■娯楽だからこそ問い直す
日曜夜9時のドラマは幅広い年齢層が接する時間帯に放送されています。子ども向け番組ではないとしても、ドラマが何を描き、何を描かないのかを考える必要があります。
『VIVANT』が提起しているのは、秘密組織の活躍だけではありません。国家の名のもとに行われる軍隊の暴力を誰が統制し、誰が責任を負うのかという、社会の根幹にかかわる問題です。
娯楽作品を楽しむ自由はあります。しかし、ドラマだからといって、節操もなく軍隊特務活動を持ち上げる必要はありません。中国を敵として固定することは排外主義そのものです。「法を越え他国を悪役にしても日本を称揚する」という製作者の考え方を拒否したいものです。(六)
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横浜市長選挙では原澤敦美氏が当選したが、前途多難の厳しい現実がある!
横浜市長選挙の結果
10月18日、横浜市長選挙が行われた。この選挙は、パワハラ認定されて辞職した山中竹春前市長の辞職に伴うもので、7名の立候補者で闘われた。
結果は、自民、公明、維新、国民民主各党などが支援した新人の弁護士・原澤敦美氏が 、横浜市の全選挙区でトップの得票率で勝ち抜き、約55万票、2位に32万票の差をつけ、全投票数の40%の得票率で圧勝したのである。
パワハラ辞任の山中氏は立候補表明時に「私が撤回をしたカジノの誘致に関しても再び噂があります。横浜の財産である山下ふ頭をはじめ、あらゆる場所にカジノを誘致させない、その使命感があります」とカジノの争点化を図り、「原澤氏ら他の6名の誰かが当選すれば横浜にカジノが誘致されるが、自分なら阻止できる」と訴えて返り咲きを狙ったものの、山中氏は3位と惨敗した。
山中氏の得票数は約20万票で前回の得票数約66万票から約46万票も減らし、過去の票数を約70%も減らしてしまった。この選挙中もパワハラの印象が強く残る山中氏が浮上することはなく、これは当然の結果であったろう。
他の6候補は、誰もカジノ誘致を公約に掲げず誘致論争も存在しなかったが、かつてカジノ誘致に積極的だった自民が推した原澤氏は、SNSや街頭演説の場でも「カジノを進めるのではないのか」との声が飛び交う中、原澤氏は「カジノをやると1度も言ったことはございませんし、やれと言われたこともございません」と否定して回ることになったが、実際にもダメージはなかった。
このように今横浜でほとんど話題にすらなっていないカジノ誘致の是非を再び争点にしようしたものの、パワハラ前市長の訴えなど聞く者はいない。結局、無党派層からも圧倒的な支持を得た弁護士が売りの原澤氏の楽勝となった。
投票が締め切られた18日午後8時から数秒後、各メディアは開票を待たずに、いわゆるゼロ打ちで原澤氏が当選確実と速報した。実際、原澤氏は序盤から快調にスタートを切り、山中氏ら6候補を突き放していた。
メディア各社の出口調査でも無党派層の4割弱が原澤氏に投票したことが分かり、原澤氏は単に“組織選挙”で勝ったとは言えないほどの支持を得ていた。
実際、有権者の8割がパワハラ問題を投票時に考慮したと答えたのである。
山中氏に代わり、参政党が推薦した会社経営者の福山敦士氏が2位に食い込んだ(約23万票)こと、立憲民主党が支援の同党元衆議院議員の中谷一馬氏が4位(約18万票)だったことにも注目。両党の対照的な勢いが見て取れる。
原澤敦美氏とは何者か
原澤氏は、確かに政治経験が皆無である。だが日本航空の整備士から弁護士に転身したり、予備自衛官だったりと実にハイスペックで多彩な才能を、選挙序盤からアピールしたことで有権者に認められていったのである。
原澤氏は東京生まれで3歳から磯子で50年ほど暮らし、両親が死んでからは東京の江東区で生活していた。だから市長選挙への立候補時点では江東区在住である。勿論、横浜市の首長選挙に居住資格は必要がない。
だかではなぜ磯子を去り、東京へ移住したのか。さらに今回は、なぜ横浜市長選挙に出馬を決意したのか。有権者が知りたいのはまさにその点である。
選挙期間中、横浜市に50年ほど暮らしていますとの発言に対して、興味を持った有権者がではどちらにお住まいですかとの突然の問いに、原澤氏は答をえられなかったのである。住んでいないから的確な返答ができなかったのだ。
確かに原澤氏は強い磯子に愛着があること語り、横浜愛を滔々と語る。だがそれではなぜ横浜を去ったのかを同じ熱量で語らなければならないのでは。さらに横浜市長になったら何をしたいかを明確に語らなければならなかった。
こんな人が横浜愛に熱弁をふるっても何の説得力もない。政策・施策は応援弁士が担当した。まさに自民党にとってシャッポは軽いに限るのである。
実際、横浜愛に関してはあまりにも饒舌でありながら、原澤氏自身は結婚しているか、子供がいるかも語ってはいない。その意味では謎の人、またただただ市長になりたいだけの人である。まさに厚顔無恥を地で行く人なのである。
私が考えるに、原澤氏の本質はミテコである。常に注目を浴びたい人である。
現在横浜市内に暮らしていないことを咎める声もSNS上に上がった。だが原澤氏自身が50年横浜で暮らしていると演説していたこともあり、拡散されなかった。またその話題は桜陰高校から進学して慶応大学生時代にミス横浜に選ばれたことでかき消され、大きな問題にはならなかったようだ。
横浜に住んでいるとの嘘をただちに言えなかったこと。それは、原澤氏がまだまだ純情で政治的には擦れていないことは確かである。だから住んでいないのに市長に立候補した理由の説明がをただちにしないだけの分別はあるようだ。
実際、「街頭演説の数は候補者の中で一番多かったとみられる」(地元記者)ものの、政策の話はほとんど応援弁士がしていたと報道されている。
「GREEN X EXPO2027(国際園芸博覧会)」という大試練
だが、当選した政治経験は皆無が原澤氏には厳しい現実が待ち構えている。
「旭区と瀬谷区を会場に来年3月から192日間開催される『GREEN X EXPO2027(国際園芸博覧会)』です。会場建設費と運営費で計953億円を見込み、目標の有料来場者が1千万人という大イベントです。目標入場者数が多すぎるとの声がありましたが、主催する協会は今年9月18日の時点でチケットの前売りが約260万枚に達しており、順調だとしています。一方、会場に直結する駅がなく、シャトルバスを運行させる計画ですが、人出が良ければ周辺が大渋滞するという不安の声が出ています」(地元記者)
横浜市では、開港150年の2009年に開かれた「開国博Y150」の有料入場者数が目標の500万人の約4分の1に止まり、大失敗が見えて来た会期中に当時の中田宏市長(現富山1区選出衆議院議員)が無責任にも残りの任期を残して突然辞任して大混乱が巻き起こったことがある。
今回も開催目前に市長が突然に交代する形になり、その責務が重く伸し掛かる原澤氏の責任は実に大きい。実際、当選確実が伝えられた直後の挨拶で原澤氏は、今後の課題の中で唯一具体的に園芸博を挙げ、「横浜市としてなんとしてでも成功させなければいけないものです」と緊張した表情を見せたのである。
行政経験ゼロからいきなり人口375万人の日本一の基礎自治体のトップになった原澤氏。横浜市政のことなどほとんど全く知らないだろう原澤氏。
私などは、この原澤氏は「GREEN X EXPO2027」が横浜のどこで開かれるかなど全く知らないで立候補したのではないか、とまで邪推している。
さすがにここまで原澤氏を低く評価することは私の間違いだとは本当は考えたいのだが、真実は果たしてどのようなものだろうか。
原澤市長は、この最初にして最大の関門を見事に突破できるだろうか。私は否定的である。(直木)
なんでも紹介 行政書士ADRセンター
裁判によらず、調停で解決しようとするADR、こういうのも利用できますね。行政書士、がんばっていますね。
ADR(裁判外紛争解決手続)とは「訴訟手続によらず民事上の紛争を解決しようとする紛争の当事者のため、公正な第三者が関与して、その解決を図る手続」とされており、仲裁手続、調停手続その他の手続がこれにあたります。行政書士会が開設するADRセンターにおいて行う手続は、調停手続です。
この調停手続は、裁判と異なり、当事者双方の話し合いによってお互いに満足のいく解決策を作り出していく方法です。手続は非公開で進められることなど、安心してご利用いただける解決機関です。
調停手続とは、中立で公正な調停人が当事者の間に入り、双方の言い分を十分に聴いた上で、お互いに納得できる解決策を一緒に考え、問題の解決に必要となる合意を形成する手続です。
裁判のように法律を適用して紛争の解決を図るのではなく、当事者の対話を促進し、実情に応じた解決を図ることに力点が置かれます。
行政書士ADRセンター東京では、以下4つの専門分野に関する調停を行なっています。
①東京都内における『外国人の職場環境・教育環境に関するトラブル』
具体的には、以下のようなトラブルです。
いずれも東京都内に事業所を有する事業者や東京都内の学校におけるトラブルです。
職場の待遇についてのトラブル(従業員の方)外国人であるご本人が、職場における待遇で不満を感じている。
職場の待遇についてのトラブル(事業所の方)外国人の従業員と会社との間で、職場待遇に関するトラブルが起きている。
学校内のいざこざについてのトラブル(生徒の方)外国人であるご本人が、学校内において、文化的価値観の相違や偏見によって不満を感じている。
学校内のいざこざについてのトラブル(学校の方)外国人の生徒と学校との間で、文化的価値観の相違などによってトラブルが起きている。
②自転車事故に関するトラブル』について
具体的には、自転車と自転車の交通事故 自転車と自転車が衝突してしまった。
自転車と歩行者の事故 自転車と歩行者が衝突してしまった。
自転車による物損事故 自転車が歩行者の所持品に衝突してしまった、あるいは、建造物に衝突してしまった。
被害側、加害側のいずれの方からでも問い合わせ、申込みできます。
③ペットに関するトラブル』について
ペットによる咬みつき、引っかき事件(被害を受けた)他人が飼っているペットに咬みつかれたため怪我をした。
ペットによる咬みつき、引っかき事件(加害側となった)自分が飼っているペットが他人に怪我を負わせてしまった。
ペットの医療事故 飼っているペットが動物病院で治療を受けたが、治療方法が誤っていたために症状が悪化した。
ペットの鳴き声をめぐるトラブル
近所のペットが深夜まで吠えるため何とかして欲しい。
地域猫やのら猫をめぐるトラブル
地域猫を管理しているが、近所の人から理解が得られず困っている。
近所の人が飼い主のいない猫に餌をやっており、騒音や糞尿で困っている。
ペットの売買についてのトラブル
ペットショップと購入者の間においてトラブルが発生している。
④賃貸住宅の敷金返還・原状回復に関するトラブル』について
精算に関するトラブル 賃貸借契約の終了に伴う敷金の返還に際し、賃貸人と賃借人の敷金に対する解釈が異なりもめている。
原状回復費用に関するトラブル 賃貸借契約の終了に伴う原状回復に際し、賃貸人と賃借人の費用負担割合に対する解釈が異なりもめている。
賃貸人、賃借人のいずれの方からでも問い合わせ、申込みできます。(河野)
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高校統廃合の先に何を目指すのか
「ネクストハイスクール構想」と、すべての子どもの学ぶ権利
★人材育成は何のためか
文部科学省は2026年2月、2040年を見据えた「NーE.X.T.(ネクスト)ハイスクール構想」を公表しました。探究的な学びや文理横断的な学習、AI・デジタル技術の活用などを通じ、これからの社会や産業を支える人材を育てる方針です。
ただし、人材育成がどのような産業政策と結びつくのかも問われなければなりません。構想自体が軍事教育を掲げているわけではありませんが、政府は防衛力強化のため、AI、無人機、サイバー技術、半導体など民間でも使われる先端技術を防衛分野に活用しようとしています。
高校の理数・デジタル教育や産業界との連携がこうした政策と結びつけば、育成された技術や人材が軍事技術の開発・生産を支える可能性もあります。技術を学ぶこと自体が問題なのではありません。何のために、誰のために人材を育てるのか。教育と産業・安全保障政策の関係や、技術の軍事転用についても社会的な検証が必要です。
★統廃合で失われる地域の学び
宮城県では、少子化を背景に、県立高校の再編が課題となっています。2026年10月に報じられた案では、全日制公立高校を現在の68校から2039年度までに38校とする方向が示されました。しかし、学校を減らすことで生徒や地域に何が起きるのか、十分に検証しなければなりません。
高校は知識や技能を学ぶだけでなく、仲間と出会い、成長し、将来を考える場所です。小規模校にも、一人ひとりに目が届く指導や地域に根ざした学びがあります。効率性や学校規模だけで教育の価値を測ることはできません。統廃合は通学時間や交通費の負担を増やし、地域や家庭の経済状況によって進学の選択肢を狭めるおそれがあります。オンライン授業だけでは、対面で学び、人と日常的に関わる機会を代替できません。
★学ぶ権利を支える教育条件を
新しい教育内容を掲げるだけでは改革は実現しません。探究学習や文理横断的な学習には、教材研究の時間と、それを担う教職員が必要です。教職員を削減し、業務負担を増やせば、一人ひとりの生徒に向き合う余裕は失われます。必要な人員を確保し、少人数学級・少人数指導を進め、教職員が専門性を発揮できる条件を整えるべきです。
また、遠距離通学を強いられる生徒への通学費支援を充実させ、小規模校が地域で果たす役割も評価する必要があります。どこに住み、どのような家庭に育っても、すべての子どもが安心して学び、自分の可能性を伸ばせることが教育の土台です。
問われているのは、学校の数をどう減らすかではありません。生徒、保護者、教職員、地域住民の声を聞き、教育条件と学ぶ権利をどう保障するかです。2040年を担う子どもたちのために、学校の再編ありきではなく、すべての生徒が学び続けられる高校教育を実現すべきです。(弥生)
在宅で母親を看取って思うこと・・・
今年10月半ば、母の四十九日を終えました。昨年4月に貧血と脱水で救急搬送され、1か月で退院できました。その後は自宅に戻りましたが車椅子生活になり、部屋ではハイハイで移動しトイレも少し介助があれば、自分で行ってました。その生活が今年8月初めの、ディでの誤嚥で救急搬送になり、再び入院となりました。
母が搬送された病院は、姫路にある播磨総合病院で「はり姫」の愛称で知られています。私は搬送された翌日に会いに行ったんですが、「HCU」のベットで手足と胴体を拘束された状態でした。点滴をされ酸素マスクはしていたけど、想像より元気で安心して帰りました。
しかし、医師から延命処置をするかどうか考えて置くようにと言われた時、ことの重大さに気付かされ覚悟をしました。誤嚥性肺炎は治まったけど、点滴でしか栄養が補給できず、口から食べられないのが致命的でした。一般病室に移ってからしばらくして、点滴を受け付けず浮腫みが出てきて、治療の断念が伝えられ決断を余儀なくされました。
点滴を止めれば、1週間か2週間の命。それなら、自宅へ帰り、孫やひ孫にも囲まれ、別れを迎えよう、これが決断でした。退院したその日、主治医の判断でとろみ食を試したら、なんと大きく口を開け飲み込んだのです。そして、点滴の再開も。私は誤嚥を恐れた病院の姿勢を問いたかったですが、母の回復を見て気持ちが安堵してしまい、まあこれで良かったと思えたのです。
しかし、搬送されてから2週間近くを食していない体は、一時的には元に戻ったように見えましたが、段々とムセが出て痰の吸引、肺炎からの高熱と、症状は悪化していきました。やがて声を出せなくなり、座薬も効果が無く高熱にうなされる母は、私の目をじっと見て、早く解放されたいと訴えているのです。もう、別れは近いのかなと思った翌日の夜に、肩で苦しそうに息をしながら目も合わせることもなく、息を引き取りました。
退院してからの12日間、毎日のように訪問看護、身体介護のヘルパーさんが来て、この方達の支援を受けながら、私たち姉妹は看護を続けることが出来ました。本当に感謝です。97歳の大往生でした。16歳で川西飛行場の軍需工場で働き、結婚後も早朝から夕方まで市場で勤め、確か70歳まで時短をして働き続けたのです。自転車は乗れなかったけど、自分の足で歩いたのも健康維持につながったのでしょう。
母は訪問ヘルパーさんとは1年3ヶ月の付き合いで、言いたいことも言え、会話を聞いているこちらが気を遣うほどでした。播州弁を日常的に使う母は、自分を曲げず「べっちょない」「なんだはあ」と自分の言葉を使い、自分の世界を保ち人生を終えました。
私は、18歳で家を出て、そのまま西宮で結婚。母と一緒に過ごした看取りの時間は、私のこれまでの母との距離を縮めてくれた貴重な時間となりました。車椅子になってディの送迎ぐらいの外出しか出来なかったのが悔やまれますが、桜の季節にお城の近くの料理店で、孫たちも一緒に会食したことをきっと覚えてくれていると思います。天国はどうですか? 「べっちょない」の声が聞こえてきそうです。(折口恵子)
コラムの窓・・・空も、海も、特定利用という軍事化!
春先に降ってわいたように、関西空港や伊丹空港(大阪空港)、神戸空港、港湾では神戸港と姫路港が「特定利用空港・港湾」に指定されるという情報を大阪府・兵庫県・神戸市が公表しました。近畿圏では昨春に南紀白浜空港が指定され、「25年10月、米軍なども参加する自衛隊統合演習の一環で、自衛隊のF15戦闘機によるタッチアンドゴー訓練があった」(10・9「毎日新聞」)。ジャーナリストの布施裕仁さんによると、日本列島総軍事要塞化の一環として2022年12月に閣議決定された国家安全保障戦略によって、全国24空港33港湾が既に指定されています。
民間利用を主としつつ、自衛隊や海上保安庁が平素から円滑に利用できるように整備する。整備内容は空港では滑走路延長やエプロン整備、港湾では岩壁や航路整備など、民間利用を妨げることなく自衛隊・海保の円滑な利用を支援、そのために26年度予算が2250億円計上されているそうです。
つまり、指定を受ければ国から金銭的支援があるというこの国の常套手段、札ビラで軍事施設を押し付けるやり口で、小規模自治体では自衛隊に乗っ取られる可能性もあります。その典型例は沖縄、知事選で玉城知事を追い落とし、辺野古軍事基地新設に突き進む体制を構築し、3000億円越えの沖縄振興予算を古謝新知事にプレゼントするようです。
こうした事態の進行を「専守防衛を超える」といった捉え方が行われているようですが、〝専守防衛〟を前提にしていたら「日本列島総軍事化」へ至るのは避けられません。そうではなく、すべての軍事を排除する決意を固める時ではないでしょうか。時あたかも防災庁の設置が日程にのぼっていますが、自衛隊廃止を同時に行うべきではないでしょうか。
さて、こうした高市自維政権の軍事化に対する反対の動きはどうか、市長たちの集まり「大阪国際空港周辺都市対策協議会(十市協)」が国と新関西国際空港株式会社に対して、「騒音を考慮した慎重な判断や運用時間の順守、利便性疎外の検証」を要望しています。こんなものは何の歯止めにもならないでしょう。
この秋にかけて要望ではなく指定を止めるために、各地で集会やデモ・街頭宣伝が活発に行われており、西宮では市議会への働きかけとして「伊丹空港の軍事利用に反対する意見書の提出を求める請願」の提出が行われました。たまたま私が請願の意見表明をすることになり、常任委員会向けの5分間の原稿を作成した次第です。
まず、「自衛隊は他国から見ればぐ軍隊であり、その整備・拡大は近隣諸国にとって脅威以外の何物でも」なく、「日本列島の空港や港湾すべてを軍事対応することで安全・安心に向かうというのは大いなる錯覚であり、むしろ敵対意識を高めるだけ」「歴史を振り返れば軍事は民政に優先する、民間利用との両立ではなく、軍事的論理で運用されることは目に見えている」と指摘しました。
伊丹空港に特化した問題としては、空港近隣住民が取り組んだ「大阪空港公害訴訟」、飛行機の騒音公害に対し夜間利用差し止めを求めた民事訴訟があります。1981年に最高裁で敗訴しましたが、大阪高裁での「夜間規制(21時から7時禁止)」という判決が今も生きています。十市協が「騒音を考慮した慎重な判断」としているのはこの経緯です。
残念ながらこの請願は公明党までが反対したので、否決されてしまいました。委員会では「軍事利用」といった言葉は市民を不安にさせるとか、災害の時に役立つとかつまらない反対意見でした。もとより国策に反対するなど以ての外という議会ですが、どの会派が、どの市議が反対したのかを明らかにするくらいの意味はあるのかな、と思って自らを慰めた顛末でした。 (晴)
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色鉛筆・・・再審開始を求める
北川好伸さんは訴える
北川好伸さんは、60才で静岡県立天竜農林高校(当時・浜松市)の校長を退職して以降、18年となる現在までえん罪(無実の罪)を晴らすため戦い続けておられる。北川さんにかけられた罪とは、在職中に生徒の大学推薦入試調査書の改ざんを教員4名に指示したこと、および生徒の祖父、元天竜市長の中谷良作さんから現金を賄賂として受け取ったというもの。これらに物的証拠は無く、有罪判決の支えとなっている「賄賂を渡した」との中谷さんの証言は、驚くことに北川さんの有罪確定後(2010年)、「刑事に脅かされうその自白をした」と北川さんに土下座して謝り訂正されている。それにもかかわらず裁判所はこれを認めなかった
警察・検察による嘘の自白の強要、証拠はできる限り隠す、そして長期の身柄拘束(北川さんは345日間、それでも一貫して否認)などなど、過去から現在もなお続くえん罪事件の典型的な流れがここにもある。
北川さんは2014年に第一次再審を申し立てるも、地裁、高裁を経て2023年最高裁で棄却、再審は認められ無かった。しかし同年の10月に第二次再審請求を地裁浜松支部に申し立て中であり、来年の1月から3月までの間に、再審開始の可否が出される。
北川さんは2017年「最初はやってない罪を負わされることが、どうしても納得がいかなかった。しかし現在はそれに加え、不合理がまかり通る警察・検察・裁判所のおかしさを、広く世の人々に知ってほしいと思うようになった。」と語っている。今年12月6日(日)13時30分から「北川さんの再審開始を求める集会」を、JR清水駅そばの「清水テルサ」で開く。一刻も早い再審開始と無罪判決を勝ち取りたい。袴田ひで子さんも応援に駆けつけてくれる予定だ。
再審法改正について
今年7月、再審法(刑事訴訟法)改正が、1948年の制定から実に78年ぶりに成立した。大きな歴史的な一歩と言えるものの、「えん罪被害者の早期救済」という当初からの当事者らの切実な声に応える内容とはかけ離れている。証拠の全面開示、再審開始決定への検察による抗告の全面禁止などは、えん罪被害の早期救済には不可欠であるにもかかわらず、法務省・検察庁によるこれらへの抵抗する力は大きかった。
長く地道な市民、弁護士らによる再審法改正のための闘いは、2024年の袴田巌さんの死刑再審無罪判決によって大きな節目を迎え、2024年3月に発足の衆参国会議員による超党派の(与党も含む)「えん罪被害者のための再審法改正を早期に実現する国会議員連盟」は、2025年6月には全国会議員の過半数を超える388名に拡大、直前に自民が抜けるも、被害者の早期救済のための議連案を国会に提出した。(後に廃案)
一方法務省側も、2025年4月「法制審議会刑事法(再審関係)部会」の審議を開始、2026年2月に部会の答申を採択し、法務大臣に提出した。この答申に対し日弁連が「えん罪被害者の救済を困難にする改悪である」と反対している。
そもそも法務省・検察こそがえん罪を生み出す構図を放置したまま、再審を阻んできた当事者だ。袴田さんをはじめ過去の多くの過ちを反省し検証することにこそ取り組むべきであり、自らの保身にとらわれ、被害救済を阻む法改正に手を出すべきでは無い。今もなおえん罪被害を訴え苦しむ人はとても多い。
法改正へのうねりは、残念ながら1月の高市政権による通常国会冒頭での解散により、国会での議論の機会は奪われ、その後に開かれた国会でも十分な時間が取れないまま数の力押し切られ、7月改正法は成立となった。袴田ひで子さんの「この法律では巌は処刑されていた」との言葉が示すように、改悪あるいは後退の面も少なくない。改正法では5年ごとの見直しが盛り込まれている。今後もえん罪をなくすため、被害者の早期救済のため、真の法改正を求め戦い続ける必要がある。゙
11月14日(土)14時、再審法改正をめざす市民の会 が、青山学院大学青山キャンパスにて「再審法のこれまで、これから」と題して報告会を持つ。関心のある方はぜひご参加を!(澄 )
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