《アピール》 特定秘密保護法の強行採決を糾弾する!  2013年12月7日 『ワーカーズ』

  安倍政権は、国民各界、各層,および多数の人々の反対を押し切って、特定秘密保全法案を昨夜の参院本会議で強行成立させた。私たちはこれまでも『ワーカーズ』紙上などで同法案への反対の立場と廃案を訴えてきたが、ここに同法に反対する多くの人々とともに、今回の強行採決に怒りを持って強く糾弾する。

 同法の成立によって国民の目から隠されるには、防衛・外交・スパイ活動・テロ防止にかかわる情報だけにとどまらない。国民に知られたら都合が悪い情報も確実に国民の目から隠されるだろう。
 その上、「スパイ活動などの特定有害活動の防止」や「テロ防止」という、なんとでも理由が付けられる行為で、実際には労働団体や反戦団体、それに普通の市民団体や市民個人による正当な情報収集活動さえも取り締まりの標的にされるだろう。あの悪名高い治安維持法の再現につながるような警察国家の招来をもたらすきわめて危険なものという以外にない。石破自民党幹事長による「デモ=テロ発言」は、その先取りであり、同法の意図を象徴するものである。

 今回の特定秘密保護法は、国家安全保障会議の設置、国家安全保障基本法制定にあわせての集団的自衛権容認、さらにはその延長線での憲法改定とつながっている。
セットでみれば、明らかに主権=国家思考、軍事優先主義にもとづく戦前体制への回帰、戦時体制づくりへの野望をあからさまに推し進めていることが浮かび上がる。
 安倍政権が目論んでいるのは、曲がりなりにも平和主義、国民主権、基本的人権の三本柱を組み込んだ平和憲法を維持してきた戦後平和主義・保守主義に対する実質的なクーデターともいうべきものであって、それは議会制民主主義の建前とされてきた国民主権を真っ向から否定するものでもある。

 同法の成立によって労働者・市民の「知る権利」などが著しく抑圧され、市民生活そのもさえ息苦しいものになるのは避けられない。とはいえ、同法が成立しても、行政も含めて政治・経済の隅々に根を張る無数の人々のネットワークは存在し続ける。労働者や市民の国家・行政権力に対する正当な異議申し立ては可能であり、市民による不断の監視の目は同法の運用へのチェック機能を果たしていくだろう。どんな独裁国家であろうとも、権力が隠そうとする秘密はかならず曝かれるし、権力を監視する人々の正当な闘いを抑きることなど、不可能なことだ。

 安倍自民党は、先の参院選でも〈日本を取り戻す〉というスローガンを掲げた。〈戦後レジームの転換〉は安倍自民党の基本姿勢である。言わば「戦前の日本を取り戻す」とあからさまに言っているのだ。国民と民主主義を敵視し、軍事・行政権力が独裁的権力をふるいたいとの、労働者・市民への真っ向からの挑戦でもある。私たちは、安倍自民党のそうした野望は決して許さないし、実現させない。

 私たちは与党が強行成立させた同法を容認することはあり得ないし、その拡大解釈による運用も決して許さない。
 あわせて、安倍逆流政権が推し進めようとしている国家中心主義、軍事至上主義政治と対決し、同法に反対してきた各界・各層、及び広範な人々とともに、同法の撤廃に向けて力を合わせて闘い続ける。

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