2019参院選にあたってのアピール

 安倍与党を少数勢力に追い詰めよう!         2019.7.4 ワーカーズ事務局

 7月4日、参院選が公示された。
 今回の選挙での最大の焦点は、自公と維新などの〝改憲勢力〟が、参院で3分の2議席を確保するのか、にある。仮に、3分の2議席を確保すれば、再来年秋までの安倍首相の任期内での改憲発議や改憲も可能になる。安倍改憲勢力が3分の2にとどかなければ、次回の衆院選で改憲を掲げることが出来なくなる。与野党の議席だけを考えれば、安倍改憲策動は頓挫する。


 維新を含めて3分の2の改憲勢力があっても、現実的には改憲へのハードルは高い。それでも、今回の参院選で改憲勢力が3分の2議席を確保すれば、強引な〝安倍改憲劇場〟の余地は残る。かつて小泉政権が、郵政民営化で参院での議決に敗北した後、強引に衆院を解散して3分の2議席を確保し、郵政民営化に突き進んだ小泉劇場の再現の可能性もゼロではないからだ。油断は許されない。


 改憲はともかく、今回の参院選は、6年半の安倍政権を総括する選挙だ。安倍政権の政治スタイルは、〝アベノミクス〟を掲げることで有権者の支持をつなぎ止め、その間に軍事大国化や国家優先政治への転換など、〝戦後レジームからの脱却〟を実現することにある。実質的なクーデターだ。
 他方で安倍政権は、法人税や金融資産・取引税などで企業や富裕層に優しい政策を保持したまま、非正規労働者の拡大を止めることもなく、長時間労働を容認して過労死社会を温存し、また低処遇・不安定な外国人労働者を増やすことで、全体の低賃金構造を放任している。それに、大衆課税としての消費税増税など家計には冷淡で、格差社会という名の差別・収奪構造もいっそう深まっている。結果的に、子育てを支えられないまま少子化に歯止めが掛からず、多くの若者も、将来社会での安心・安全という希望を持てないままだ。


 私たちの立場・目標は、歴史の歯車を逆転させる危険な安倍政治のもくろみを阻止すること、労働者派・市民派として企業や富裕層優先の安倍政治と対決し、差別・収奪社会にストップをかけ、労働者・市民が主体の連帯型社会《協同社会》の実現をめざすことにある。そのためにも、目の前の課題として、何としても安倍与党勢力を少数派に追い込んでいくことが必要だ。
 今回の選挙でも、32ある1人区をはじめとして野党勢力の統一候補が立っている。私たちとしても、安倍与党勢力を少数勢力に追い詰めていくためにも、そうした統一候補や新興グループ候補者の当選のために、各地で精力的に闘っていきたい。


 とはいっても、野党候補を当選させることに止まってはいられない。いま野党第一党の立憲民主党も、枝野代表が明言するように日米安保を尊重する〝保守政党〟であり、また消費増税や辺野古埋立、TPP、原発など、旧民主党政権がいとも簡単に自民党政治に引き戻されたかを、忘れるわけにはいかない。


 それでも私たちが立憲民主党を含めて野党候補の当選を応援するのは、それが今後の闘いの通過点になるからだ。選挙による与野党勢力の接近や政権交代は、有権者の主権者意識の高揚につながる。それが有権者、労働者・市民の政治的関心の高まりや政治への参加意欲を促進する。おまかせ民主主義ではない、参加型民主主義だ。それが広範な労働者のエネルギーを引き出し、協働型社会の実現に向けた闘いを大きく前進させられる。要は次の段階へのステージ・アップにつなげていきたいからだ。あわせて、それにふさわしい新興グループの登場を後押しすることも大きな課題になる。


 こうした展望のもとで、今回の参院選では、自公の与党勢力や与党補完勢力を少数勢力に追い詰め、安倍一強政治に終止符を打ち、閉塞感が蔓延する現状を大胆に変革する協働型社会づくりの通過点としていきたい。