トピックス2012年4月1日    トピックス案内へ戻る     
民主党政権よる二度目の死刑執行に抗議する!

 野田政権による死刑執行が強行された。このことは、本紙2月1日号に掲載された「新年にあたって思う」のなかで、「新年早々、野田改造内閣が発足したが、死刑を執行するために法務大臣の首が挿げ替えられた」と指摘した。それにしても、年度内に実績を上げるために3名の死刑囚の命をうばう、どれほど野蛮な国であるか世界に知らしめる実に愚かな行為である。
 死刑廃止フーオラムが抗議声明を出しているので紹介する。なお、本紙元旦号のコラムの窓「死刑執行への圧力」も参考にされたい。   (折口晴夫)


抗 議 声 明

本日(3月29日)、松田康敏さん(44歳:福岡拘置所)古澤友幸さん(46歳:東京拘置所)上部康明さん(48歳:広島拘置所)に死刑が執行されたことに対し、強く抗議する。
2010年7月27日から1年8ヶ月間、3人の法務大臣によって、死刑執行停止状態が継続され、法務省内では、死刑の是非を巡って勉強会が続けられてきた。そして、この勉強会がきっかけとなって、死刑制度について政府や国会だけでなく、広く社会一般に議論が広がることが期待されていた。
 しかるに、小川敏夫法務大臣は、十分な議論もまったくないまま、検察・法務官僚に指示されるままに勉強会を終了させ、死刑を再開した。これは、官僚主導を廃し政治主導の政治を目指すという民主党政権のマニフェストに真っ向から反するものであって、およそ許されないことである。
 また、就任後わずか2ヶ月間しか経過していない段階での十分な記録の検討もされないままの拙速を極めた執行であり、慎重のうえにも慎重でなければならないという法務大臣の職責を放棄するものであって、強く非難されなければならない。
 小川法務大臣は、死刑執行後の記者会見で、「刑罰権は国民にある。国民の声を反映するという裁判員裁判でも死刑が支持されている」と述べたが、これはまったくの誤りである。死刑の是非は、国民の支持・不支持によって決められるものではない。民主主義の理念と人道主義のもとに高度な政治的な判断によって決められるべきものである。
 上部さんは、一審の段階で心神耗弱の精神鑑定が出されていた。松田さんも知的に限界級と鑑定されていた。いずれも責任能力の有無について、死刑の判決の是非が問われていたケースである。とりわけ、松田さんの場合は、弁護人に再審請求を依頼し、弁護人もその準備に着手していた。上部さんは、再審弁護人との接見において秘密交通権が保証されていないことに対して、これを違法として国賠訴訟を提起したこともあった。死刑執行は当然に回避されるべきケースであった。
 死刑には犯罪抑止の効果はなく、また、被害者の救済や社会の平穏にも資するものではない。死刑は人道と民主主義に反する。
 私たちは、死刑の廃止を願う多くの人たちとともに、また、小川法務大臣に処刑された松田さん、古澤さん、上部さんに代わり、そして、死刑執行という苦役を課せられている拘置所の職員に代わって、小川法務大臣に対し、強く、強く抗議する。
      2012年3月29日  死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム90
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