トピックス 2013/2/22                    トピックス案内へ戻る
この国はいつになったら〝野蛮〟を脱することが出来るのか!

 2月21日、政権復帰して2カ月に満たない安倍政権が3人の死刑囚の刑を執行した。谷垣禎一法相はいずれの事件も身勝手な理由で尊い生命を奪ったきわめて残忍な事案だとし、死刑執行は当然との見解を示した。これによって、安倍政権は死刑制度存続に意欲を示した格好だ。

  昨年12月20日、国連総会は死刑執行の停止を求める決議(各国に死刑判決を受けた人の最小限の保護に関する国際基準を尊重すること 、死刑判決を受けた人の数、判決の執行数などを公表すること、廃止に向けて執行のモラトリアムを実施することなどを求める決議)を採択している。過去最多の111カ国の賛成というから、死刑廃止は国際社会の総意といえるものだ。しかも、日本は人権理事会の理事国なのだから
、これほど国際社会に背を向ける行為はない。

 この国は今、多くの人々が罪を犯した者に対して容赦ない刑罰を求めている。これに引きずられて、法定刑の重罰化が進んでいる。まるで〝 目には目を〟の世界へ退行しようとしているようだ。庶民的感情が被害者や遺族に傾くの已むを得ないとして、マスコミがそれを煽るのは最低 だし、政治家がこれに追随するのは見苦しい。

憲法第13条「すべて国民は、人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公益及び公の秩序に反しない限 り、立法その他の国政の上で、最大限に尊重されなければならない」

 これは自民党の改憲草案だが、国民は〝公益及び公の秩序に反しない限り〟で国民として認められる、これが自民党が描くこの国の未来だ。
当然にも、国の秩序を乱すものは自由を奪われる。いっそ、治安維持法だって復活させたいのかもしれないが、さすがにそんなものは持ち出せないだろう。新たな装いをこらした法案が準備されるだろうし、その前に憲法が傷められそうだ。

これ以上この国が過去へと後退しないように、国際人権基準を政府に守らせよう。(2月21日・折口晴夫)

アムネスティ・インターナショナル日本「死刑執行に対する抗議声明」

http://www.amnesty.or.jp/news/2013/0221_3829.html?mm=1     トピックス案内へ戻る