トピックス2013年12月13日
安倍‐谷垣による4度目の死刑執行に抗議する!
12月12日、第2次安倍政権、谷垣禎一法相による4度目の死刑執行が行われた。第2次安倍政権下で8人の絞首刑が行われたのだが、残る確定死刑囚は129人。その上、最近の殺人事件では死刑判決が相次いでいるので、安倍政権がどんなに急いでも死刑囚は減らないだろう。
この死刑大国を演出しているのは法務省官僚であり、安倍政権が続いている間にさらに大量の死刑執行を行おうとしているようだ。その動機は、このところとみに高まる死刑存知の日本に対する国際的批判に対して、死刑の維持存続の意思を示し、同時にこの〝好機〟に死刑囚を減らそうというものだ。
殺人・死刑・執行という犯罪処理は、この国においては多数の支持を得ているようだが、世界的な趨勢は野蛮な刑罰、死刑は廃止である。そこで問われているのは、国柄の違いといったとらえどころのない言いわけではなく、人権意識の高さである。つまるところ、国家的殺人を合法としている国は人権後進国だという評価である。
そうした大上段の批判を行うまでもなく、この国においては警察によって容疑者とされたら、報道は犯人扱いの報道を行い、多くの市民はこれに同調する冤罪の構図が存在している。ひとたび、警察・検察・司法官僚に囚われたら、どんなにあがいても逃れられない、何しろ多数派市民が支持しているのだから。そうした典型として、名張毒ぶどう酒事件の奥西勝氏を取り上げてみよう。
1961年3月28日、事件発生(奥西氏は当時34歳)
1964年12月23日、津地裁で無罪判決(証拠不十分による)
1972年6月15日、最高裁で高裁判決確定(高裁で逆転死刑)
2002年4月10日、弁護団第7次再審請求
2005年4月5日、名古屋高裁刑事一部が再審開始決定
2005年4月8日、名古屋高検が名古屋高裁に異議申し立て
2006年12月26日、名古屋高裁刑事二部が再審開始決定を取り消す(弁護側、最高裁に特別抗告)
2010年4月5日、最高裁第三小法廷が名古屋高裁差し戻し決定
2012年5月25日、名古屋高裁が再審開始を取り消す(弁護側、最高裁に特別抗告)
2013年10月16日、最高裁第一小法廷が特別刻を棄却
1977年の第5次再審請求においても、本人尋問まで行われたのに、再審の扉は開かれなかった。以上の経過を見ても、取り調べ段階でいったん自白したら、それに沿った証拠が揃えられ(捏造され)、何があっても有罪に持ち込まれてしまう。奥西氏の場合も、検察上訴が認められていない国においては、津地裁判決で冤罪は晴れているはずだった。事実、奥西は津地裁判決でいったん釈放されたが69年9月10日、名古屋高裁逆転死刑判決の言い渡し後、手錠をかけら連行された。
今年5月27日、奥西氏は体調を崩し一時危篤にもなったが、今も八王子医療刑務所に拘束されている。弁護団による第8次再審が取り組まれているが、検察官僚の執念はどんなことがあっても奥西氏を獄死させるつもりだ。事件そのものについては、今年公開された仲代達矢主演の「約束‐名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯」をぜひ観ていただきたい。 (折口晴夫)
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