ワーカーズ314号 2006.2.1                        案内へ戻る

 ライブドア・ヒューザーだけの問題か
 大資本の搾取こそ諸悪の根源である!


 新年早々、新時代の旗手と持て囃されたホリエモンが舞台から退場した。その変化はまるでオセロゲームのようで、その評価は白から黒へとあっという間に変化した。誰もが勝ち馬に乗ることばかりに浮き身をやつし、定見というものがない。所詮、虚業の世界のことであれば、それによって誰が儲け誰が没落しようと、我々にはかかわりのないことである。ライブドアの没落の煽りを喰ったものがいるなら、そんなものに手を出したおのれの不明を恥じるしかないだろう。
 しかし、いまどきのこの国の病理は、ものづくりの世界においても深刻なものになっている。世間ではヒューザーの小嶋のような人格がそれを代表しているようであるが、その頭目はトヨタの奥田碩だと言わなければならない。資本の利益追求において、ライブドアやヒューザーとトヨタとの間に本質的な違いがあるのか。顧客に損失を与えるのと、乾いた雑巾を絞るように労働者を絞るのと、どちらがよりましかという比較は不毛である。マネーゲームも欠陥商品販売も、非人間的労働の強制も資本主義の一側面に過ぎない。すなわち、「よりよい資本の利益追求」というのは幻想である。
 ところが、マスコミは経済にも倫理が必要だ≠ニか、武士道をどう生かす≠ニいったことを、元旦の社説で論じている。読売新聞は市場原理主義的な投機ファンドの跳梁を憂い、「これ以上、市場原理主義者につけこまれないように、本格的、包括的な資本市場法制の整備を急ぐ必要がある。経済風土が荒廃しては、国際競争にも支障が出かねない」と危機感を募らせている。そして、朝日新聞は「IT事業や投資ブームの波に乗ったリッチな人々。一方で倒産、失業、リストラ。正社員は減り、フリーターやニートが増える。所得の差は広がり、自殺者は空前の水準。競争と二分化によって生まれる社会のいらだちは、これからの大きな課題に違いない」と言いつつ、その処方箋として、藤原正彦著『国家の品格』から武士道精神の復活こそ日本の将来のカギを握っているという主張を紹介している。その武士道とは、「弱者や敗者への『仁』であり、『武士の情け』『惻隠の情』のことである」というのだから、噴飯ものだ。
 一方、日本経済新聞の元旦社説は、少子化が経済を縮小循環に陥らせ、やがて日本を衰亡させる、「人口減に克つために、日本は創造的改革をてこに新たな成長をめざさなければならない。働きがい、生きがい、育てがいがあり、世界からヒト、モノ、カネを引き寄せる」と、バラ色の拡大再生産の再来に望みを託している。この社会の主人公が資本であるとするなら、資本に倫理や情けを求めるほかないし、適正な利益追求(確か小嶋がそんなことを叫んでいたと思うが)は認めなければならなくなる。しかし、この国の明日を決めるのは日々ものづくりに励みこの社会を支えている労働者である。  (折口晴夫)


株式市場のバブル化とホリエモンショック

株式バブルの実態と原因

 一月四日の大発会では、平均株価は一万六千三百六十一円となり、大納会で付けた株価を二百五十円上乗せして始まった。出来高は十五億一千六百五十三万株であった。その後三百三円の大暴落があったものの二百三十九円の急反発があり、一月十二日には、平均株価は一万六千四百四十五円、出来高は二十一億七千九百五十一万株にも達したのである。
 この数字は、二000年九月初旬以来、実に五年五ヶ月ぶりの高値水準とはなった。また小泉政権下の二00三年四月二十八日七千六百七円と比較すれば二倍を超えている。昨年末の数ヶ月から言われ出したまさにバルの再来なのである。
 しかし、その実態はといえば、八十年代後半のバブルが、国内の余剰資金が不動産や株式相場に流れ込んで発生したのに対して、今回の活況の原因はといえば、二00三年六月に大挙来日した欧米のヘッジファンドがその仕掛け人であることだ。このことについては、二00三年七月十五日発行の「ワーカーズ」紙No.二五三の三〜四面「七月の株高は日本株式市場乱調の始まりか」と題した記事で解明してきた。この分析は、評論家副島隆彦氏にも高く評価され、その著書である『預金封鎖』の一二三頁から一三四頁に要約され引用されている。
 一月十六日の財務省の発表によれば、二00五年の対外・対内証券投資状況を見ると、外国人投資家が日本株を買い越した額は、十二兆六千二百四十一億円で、ITバブルに沸いた過去最高の一九九九年の十一兆一千九百八十八億円を六年ぶりに更新した。0五年の平均株価は四割上昇したが、その上昇の仕掛け人は外国人投資家であったことがこの発表からも確認できる。同じく一月十一日の東証発表によると、委託売買に占める外国人の比率は、四十五・一%であり、個人の比率はそれに継ぐ三十八・一%となった。
 このように株式市場への個人の参加は、インターネットでの取り引きの盛んな状況と深く関連している。一月十三日、内閣府は二00四年国民経済計算を公表した。それによるとドル換算した名目GNPの国際比較では、総額規模でこそ、米国に次ぐ第二位を維持したものの国民一人当たりの比較では、二十一年ぶりに、世界のトップ十位から転落してしまった。また家計貯蓄率は七年連続低下の二・八%と過去最低の基準となる。このことは小泉政権下での賃金の目減りとともにゼロ金利下での投資誘導によるものであることは想像に難くない。
 こうした株式市場のバブルの実態を明らかにしたのは、昨年末出来したみずほ証券の発注ミスであった。この発注ミスにより、みずほ証券は、瞬時にして約四百億円の損失を確定したのだが、これに乗じてUBSグループが百二十億円、モルガン・スタンレー証券が十四億円、リーマン・ブラザース証券グループが十億円、CSFB証券グループが九億円、外国勢が締めて百五十三億円の利益を得たのに対して、日興コーディアルグループは十億円、野村證券はたった三億円に過ぎない。またこのご発注を巡って、デイトレーダーと呼ばれる個人投資家も注目されることになった。驚くことに、二十億円儲けた人と五億円儲けた人が確認された。株式市場の過熱ぶりが端なくも赤裸々にされた一幕ではある。

時代の寵児としてのホリエモンの登場

 こうした株式市場万能時代の寵児として登場したのがホリエモンであり、この堀江前ライブドア社長を、天にも昇らせる勢いで絶賛してきたのが、マスコミや自民党・公明党である。ライブドアの急成長の背景には、規制撤廃下の株式市場を最大限活用して矢継ぎ早に企業の合併・買収を仕掛けて稼ぎまくるホリエモン流錬金術の展開があったのである。
 周知のように「人の心はお金で買える」「人間を動かすのはお金」と豪語し、良識ある人々の顰蹙をかった堀江前社長の錬金術の原点は、「オン・ザ・エッジ」の東証マザーズ上場にある。ここで使った手法がその後大規模に強引に使われることになったからである。
 その後、次々に企業合併・買収を重ね、二〇〇四年二月には、かって買収した企業の名「ライブドア」に社名を変更した。また活動を有利にするため投資事業組合を設立した。このように過去のたった三年間で、売上高を二・三倍にするなど急成長を遂げてたのだ。
 このライブドアの企業合併・買収を支えてきた手法が、株式分割・株式交換・投資事業組合だ。株式分割とは、一株を複数の株に分割することで、高値になった株を分割して、一投資単位当たりの価格を下げ投資家が買いやすくしたことだ。このように、一株当たりの価格が安くすることで、個人投資家の投資を呼び寄せ、株価は急騰させる手法となる。株価が上がればライブドアの時価総額は拡大して、資金調達も容易になるメリットがある。さらに、自社株を新規に発行し、これを対価に相手先企業の株式を取得する株式交換を行えば、多額の現金を用意しなくても済むようになる。
 株式分割自体は違法ではないが、大幅な株式分割は株価の急変動を招くことがあることから、東京証券取引所は0五年三月、大量の株式分割の自粛を要請するなど、事実上禁じられた。しかし、ライブドアは、この間計四回の株式分割を行うなど、こうした錬金術の効果を企業合併・買収に最大限利用していた。ライブドアは、錬金術の核心となる株価を上げ続けるために、マスコミを通じて虚業と虚名を実態あるもののように膨らませた上で、さらに投資家を誘導するため、うその情報を流すことをするなどの市場万能主義・株価至上主義の申し子であったのである。
 株価を高くする錬金術である株式分割は、二00一年施行の商法「改正」前は、(一)株式分割後の額面総額が資本金の額を超えないこと(二)株式分割後の一株あたり純資産額が五万円以上であること―という規制があった。しかし商法「改正」後は、この規制が撤廃されるとともに、株式分割による株式数増を取締役会だけで決定できるようになる。
 ライブドアグループが多用した株式交換による企業買収は、同じく一九九九年の商法「改正」で導入されたもので、子会社となる会社の買収に、親会社の株式を使うことができるようにして、現金を準備する必要をなくした。これは、九七年に解禁された持ち株会社を使った子会社の設立や企業の買収を容易にしたいという財界・大企業の強い要求で導入された。また、ライブドアの急成長を支えた投資事業組合は、出資者から集めた資金を投資し、株式公開などで利益を得ようとするもので、0四年に、投資事業有限責任組合契約に関する法律(ファンド法)によって組合員の資格制限や人数制限が撤廃され、投資組合(ファンド)への投資を目的とする投資組合も自由に設立できるようになったのである。
 このように、ライブドアの急成長を支えてきた株式分割・株式交換・投資事業組合等の手法は、企業の「合併・集中」を進める力となるとして、企業再編と各企業の合併・買収をしやすくする法改定を求めてきた日本経団連など財界と対日投資を進めたい外国企業の要求にそったものであった。
 その意味で特異なキャラクターの持ち主としても知られるホリエモンは、まさに時代の寵児だったことを私たちは改めて認識しなければならない。

衝撃の堀江前社長の逮捕

 一月二十三日、堀江前社長らライブドア関係者四名が逮捕された。直接の容疑は、ライブドアグループの証券取引法違反事件で、同社は0四年秋、企業買収の偽装でより多くの利益を得るため、虚偽公表の舞台をライブドア本体から子会社に移していたというもので、グループ元幹部は東京地検特捜部の調べに対し「株式総数が少ない子会社の方が株価のつり上げが容易で、一度に巨額の利益を得られる」と説明しているという。
 虚偽公表はライブドア本体が先行していた。0四年八・九月に、既に買収済みだった消費者金融「ロイヤル信販」(現ライブドアクレジット、港区)と結婚仲介サイト運営「キューズ・ネット」(港区)の二社を「買収した」と公表したことが、既に判明している。
 関係者によると、キューズ社買収の公表後、堀江前社長の側近で財務担当の宮内取締役は、子会社への舞台変更を決定し、同十月、岡本取締役の社長就任が内定していた子会社の「バリュークリックジャパン」(港区、現・ライブドアマーケティング)の協力を得て、実行に移したが、この経緯は、堀江社長も承認していたと供述している。
 当時、ライブドアの株式発行総数は約六千六十二万七千株で、虚偽公表直前の取引日(0四年八月二十七日)に五百三十円だった株価(終値ベース)は、一回目の虚偽公表日(同八月三十日)に五百二十七円に下落、さらに二回目(同九月三日)に五百四円に下落した。
 一方、バリュークリックジャパンの発行株式総数は約三万二千株と本体の約千九百分の一しかなく、虚偽公表直前の取引日(同十月二十二日)に千七百八十円だった株価は、公表日(同十月二十五日)に十円上昇し、株式を百分割した翌日の同十二月一日に一万四百五十円に跳ね上がった。
 三件の買収では、いずれも新株を発行した後、海外のファンドなどに売却。複雑な経路をたどった後、ライブドア本体に計約五十五億円が還流していたことが分かっている。前身の「エッジ」が0三年に実施した二件の買収と合わせると、総額約九十五億円が還流していたと見られている。
 どうしてこのようなことが現実のものとなったかに関するキーマンは宮内容疑者である。一月二十一日、ライブドアの粉飾決算疑惑で、同社の決算監査を担当した「港陽監査法人」(横浜市)の公認会計士が、同じ時期、ライブドアの宮内取締役が代表取締役を務めていたコンサルタント会社の役員を兼務していたことが分かった。ライブドア本体やグループ企業の監査役を務める弁護士も一時、この会社の役員に名を連ねていた。公認会計士法に抵触する疑いもあり、監査する側と監査される側の不自然な関係が浮かび上がった。
 この会社は「ゼネラル・コンサルティング・ファーム」(横浜市)で、登記簿などによると、平成十二年十一月、別の社名で東京都新宿区に設立されたが、十五年七月、現在の社名に変更し、横浜市に移転。同時に宮内取締役がゼネラル社の代表取締役に就任し、会計業務や企業合併、投資顧問業などを目的とした会社に生まれ変わった。関係者によると「宮内氏が買収して横浜に移転させ、その後、ライブドアグループの経理業務の外部委託を受ける会社に衣替えした」という。
 一方、宮内取締役とともに十五年七月にゼネラル社の役員に就任した公認会計士は当時、港陽監査法人の前身の神奈川監査法人に所属。ライブドアの十五年九月期決算を担当し、「適正」とする監査報告書を提出した。提出後の同年十二月に同監査法人を脱会し、宮内取締役の後任としてゼネラル社の代表取締役に就任している。
 また上場前からライブドアの監査役を務め、ライブドアマーケティングやマネーライフなどグループ全体の監査役になっている弁護士も、ゼネラル社役員を十六年四月から四カ月間務めていた。
 粉飾決算の疑いが持たれているのは、翌十六年九月期の決算で、この監査も港陽監査法人の別の会計士が担当した。同監査法人は今月十七日、東京地検特捜部の家宅捜索を受けたほか、日本公認会計士協会も調査を始めている。
 ライブドアの決算書については、「公認会計士が百人いたら、九十九人は承認しないだろう」とこの決算書を見た公認会計士の指摘があり、そのことは「ホリエモンの錬金術」ミラーサイトでも確認できる。このサイトは山根治氏が主宰しており、「ホリエモンの錬金術―1 /2005年03月15日」からに引用する。

  ホリエモンこと、ライブドアの堀江貴文さんは、このところフジ・サンケイグループ の買収を仕掛けたことからマスコミの注目を浴び、連日連夜、各メディアから引っ張り だこの状態で、何とも賑やかなことになってきました。
  堀江さんは、ベンチャー企業の雄であり、若くして巨万の富を手に入れた立派な成功 者とされているようです。しかも昨年の球団買収騒ぎのときと同様に、今回も巨大な旧 体制に敢然と立ち向かっていく新しい時代のヒーローとして一部でもてはやされていま す。
  果して本当なのでしょうか。
  実は昨年、堀江さんが近鉄バッファローズの買収に名乗りをあげたときに、堀江さん がオーナー的な存在として支配しているライブドアという会社は一体何者だろうと興味 をいだき、少し調べてみたことがあります。
  買収について競合していた楽天と比較してみたのですが、途中でバカらしくなって、 調査を中断した経緯があります。
  これといった会社の実態が見えてこないのです。プロ野球の球団を買収しようという ほどの会社なら、会社の本体がしっかりしていてそれなりの収益がなければいけないの ですが、ライブドアの決算書をのぞいてみたところ、余りのオソマツさに呆(あき)れ てしまい、会社の分析を途中でやめてしまいました。
  そのライブドアが、今度はあろうことか800億円もの資金を用意してフジ・サンケ イグループという巨大なメディアを支配下に入れようというのですから、これは又、一 体どういうことだろうと気を取り直し、中断していたライブドアの分析を気合いを入れ てやってみることにしました。

 このサイトの先進性についてはまさに脱帽あるのみ。是非一読を勧める。特に「ホリエモンの錬金術―3」は必読だ。当然のことながら、公認会計士法は、会計士が著しい利害関係を有する会社について、財務監査の業務をすることができないと定めているのである。

窮地に立つ堀江前社長と武部・竹中・奥田・自民党の面々

 一月二十五日、ライブドアグループの証券取引法違反事件で、ライブドア前取締役、宮内容疑者は、偽計取引・風説の流布の容疑で逮捕されたが、東京地検特捜部の調べに対し、大筋で容疑を認める供述を始めたことが関係者の話でわかった。宮内容疑者はこれまで、違法性の認識については全面否定していた。宮内容疑者は容疑の一部については「ライブドアの株価をつり上げる目的だった」と動機を話し、同社の平成十六年九月期決算の粉飾工作も認めているという。
 堀江容疑者は引き続き全面否認しているもののナンバー二の宮内容疑者は逮捕容疑となった子会社の買収経緯などを「(堀江容疑者に)報告していた」と供述しており、堀江容疑者は今や絶体絶命の窮地に立たされた。この事は昨年の衆議院選挙において、亀井静香落選を目的として堀江候補を擁立したばかりか自民党公認候補でもないのに広島の当該選挙区まで出向いて積極的に応援演説等の直接的肩入れして恥じなかった武部や竹中を直撃している。彼らや小泉がこの件で発言すればするほど、彼らの発言の根本にあるいい加減さが際だつのみの展開とはなった。この件については多言を費やす必要はない。彼らの道義的破綻は明白である。投資事業組合に関わっては、鳩山邦夫が自民党政治家との関わりをほのめかす発言をするなど、今後政局の軸になる現実性も高くなったのである。
 関係者によると、宮内容疑者は調べに「ほぼ、その通りです」などと容疑を大筋で認めている。一部は「ライブドアの株価を高値につり上げる目的だった」と動機についても話すなど、取り調べに協力的という。また、宮内容疑者は、ライブドアが十六年九月期決算で、傘下企業の利益を利用して同社の十億円前後の赤字を約十四億円の経常黒字と粉飾したことも、「株価の下落を防ぎたかった」と全面的に認めているという。宮内容疑者は、ライブドアの前取締役最高財務責任者として投資・財務関係を統括しており、逮捕容疑となった偽計取引などを発案したとされる。宮内容疑者はこうした取引について堀江容疑者に報告し、了承を得ていたという。
 特捜部は宮内容疑者からの報告を受けた堀江容疑者が、偽計取引などの不正の全容を把握していたものとみており、引き続き堀江、宮内両容疑者らを追及するとともにライブドア本体も告発する方針を固めた。言うまでもなく、ライブドアが企業買収にかかわり、堀江容疑者ら上層部が深く関与しているなどとして、同法の両罰規定適用が必要と判断したからである。不可解なこともある。堀江容疑者旧知の野口氏は、沖縄県で「自殺」し、それ以降堀江容疑者も「命を狙われている」と口走り会社に数日籠城したことである。
 こうした方針からは、ホリエモンと深い関わりにある村上ファンドも射程にあることが公然と語られており、最近三ヶ月連続『拒否できない日本』の著者関岡英之氏を紙面に登場させ、反小泉の論調を強めている『文藝春秋』や『週刊文春』に格好の攻撃材料を提供している。特に『週刊文春』の最新刊二月二日号では、ライブドアと深く関わる広域暴力団の存在とマネーロンダリングとの関係を赤裸々に書き記している。ブロク「勝谷誠彦の××な日々」では、「この<地獄に堕ちたホリエモン/野口「怪死」と堀江の「闇」>を読まずしてライブドア事件は語れない。読めば読むほどよく練られた文章で編集部の「オン・ザ・エッヂ」な覚悟がよくわかる。とにかくまずコンビニにでもキオスクにでも走って今日の『週刊文春』を買って下さい。この記事を知らずしていろいろ言うと恥をかきますよ」まで断言して憚らないでいる。
 ライブドアの急成長を支えた個人株主は二十三万人といわれているが、その中には、今回の暴落で数百万円から数千万円の損失を出した人々がいる。それもこれも小泉・竹中の構造改革路線の旗手として宣伝された堀江前社長の派手な立ち居振る舞いやそれを利用とする証券各会社や正月の細木大予言ですっかり幻惑されたための悲哀なのである。
 こうしたライブドアを経団連の一員に向かい入れた奥田の破廉恥や小泉政権の他人事発言を徹底的に追及するとともに私たちは労働者民衆の協働の共育社会を創り出すために闘っていかなければならない。 (直記彬)案内へ戻る


コラムの窓・開港の先にあるもの

 1月23日、開港間近の神戸空港で実機飛行がスタートしました。東京・羽田便片道1万円という超破格値で話題を呼んでいるスカイマークエアラインズがパイロットの訓練など、就航に向けた最終の準備を始めたのです。
 大震災から11年、それはこの空港建設への巨費の投入との闘いの日々でもありました。しかし、2月16日の開港が現実のものとなった今、巨額の債務返済に神戸市財政からの支出を許さない新たな闘いが始まろうとしています。空港に市財政の出動はない、市民に負担はかけない、その前提が早くも崩れようとしているのです。
 というのも、ポートアイランドの埋立地を売って債務返済に充てるという神戸市の皮算用が完全な当て外れとなり、しかも空港からの収入も目標割れ確実なのです。羽田と新千歳、仙台、新潟、熊本、鹿児島、那覇に向けて1日27便、往復54便になりますが、大型機は少ないし、着陸料は割り引かれるのです。
 それにしても、空港の開港というのは地域に大きな影響を与えるもののようです。例えば、東京まで1万円で行けるとなると、チケットショップの新幹線切符より安く、現実的な選択肢として、個人的にも考えてしまいます。JRは早朝割引で、新大阪から東京まで12000円の新幹線料金を打ち出さざるを得なくなっています。
 いずれにしても、集客力が生命線です。JR三宮からポートライナーで16分、これも神戸市が税金を投入して空港島まで延伸した成果ですが、確かに便利です。スカイマークの価格破壊≠熬ヌい風になりそうです。旅行会社は集客を競い、神戸空港発ミステリーツアー≠ニいった新聞1面広告が踊っています。「行き先は、神戸空港に着いてからのお楽しみ!」だそうですが、どうなんでしょう?
 一方、神戸市はなりふりかまわず搭乗率アップに走り、出張は神戸空港利用を職員に押し付けようとしています。それは、新幹線から航空機利用へと流れを変える「出張における航空機利用等について」という1月16日付の通知です。「市幹部らは、『企業や団体に空港の積極的利用を呼びかけているのに、市の職員が新幹線では格好がつかない。強制ではないが、空港を優先的に使うのは当然』としている」(1月21日付「神戸新聞」)ということです。
 神戸空港開港によって、関西3空港の競合時代に入り、その行方も懸念されます。2007年10月の関空2期の供用も微妙な関係にあるなか、国土交通省が国際ビジネスジェットの就航を神戸空港に認める方針を明らかにしています。例えば、07年に神戸で開催される「世界華商大会」参加者を中国や台湾から運ぶ、といったものです。
 関空にあっても、07年8月の世界陸上に2期供用を間に合わせられないのかとか、原油価格高のなかでロサンゼルス直行便の撤退の動きがあるが止められないのか、など課題が山積のようです。それでなくても債務の海に沈みかけている関空にとって、神戸空港の開港は確実にマイナス要因になります。
 しかも、競合は利用客の奪い合いだけではなく、空域も重なっていて、これをどうさばくかも頭の痛い問題です。そこで、国交省は関西全域の制限高度を最大2000フィート(約610メートル)かさ上げして、神戸空港開港に備えるということです。
 ここにきて、開港記念ツアーの人気が急上昇していると報じられています。かの「ミステリーツアー」には、約1400人の予約が入っているようです。しかし、「4月上旬ごろまでは開港特需≠ェ続くだろうが、半年後も同じような人気が維持できるかどうか」(1月24日付「神戸新聞」)という旅行会社関係者の懸念の方が、現実感があります。旅行客は3空港を選択できますが、神戸空港の債務が消えてなくなることはありません。神戸空港の開港は、被災11年のこの地に何をもたらそうとしているのでしょう。(晴)
 

ヒューザー小嶋社長の証人招致で明らかになったもの

小嶋証言で出てきた安倍議員政策秘書の名

 一月十七日、待ちに待った小嶋社長の国会証人招致が行われた。
 しかしこの証人招致における発言について言えば、固唾を飲んで見ていた視聴者はたぶんに期待はずれに終わった。なぜなら、小嶋社長は、質問が核心に迫るとその度に「訴追を受ける可能性があるから発言を控えさせていただきたい」と答えるのみで、都合三十回ほどの証言拒否を行ったからである。
 しかし最終局面において、伊藤公介氏どころか、遙かに大物の官房長官安倍晋三氏との癒着を窺わせる証言が飛び出てきた。証人喚問で、ヒューザーの小嶋社長が「安倍晋三官房長官の飯塚(洋)政策秘書に議員会館で相談した」と証言した。
 この新たな政界への関与は、偽造発覚後の昨年十一月二十日に行われた「グランドステージ川崎大師」の住民説明会の録音テープを馬淵議員が入手したことで発覚した。この中で、小嶋社長が「安倍長官の後援会『安晋会』に入っていて、後援会長から政策秘書の飯塚さんを紹介され、次の(国土交通省の)事務次官になる予定の方に電話を入れていただいた」「安倍晋三議員を通じて、この問題は国の責任だと国交省の役人に言ってもらった」と話していたと質問したのである。
 これについて小嶋氏は、議員会館でこの秘書と面会し、相談したことを認めた。飯塚氏は十七日深夜、「小嶋社長は(昨年)十一月十七日、知人の依頼があったので、一回だけ話を聞いた。社長は『自分は被害者である』と繰り返し述べ、帰っていった」などと説明するコメントを発表した。また国交省の複数の幹部は毎日新聞に対し飯塚秘書からの電話を否定した。
 このように「小嶋社長が安倍晋三議員の飯塚政策秘書に陳情をして、それによって安倍晋三議員がヒューザー寄りの発言をした」ことが明らかになった。これが今回の証人喚問の最大の成果である。
 これで、伊藤公介氏の参考人招致は当然のこととして、さらには安倍晋三氏の飯塚政策秘書の参考人招致も今後の焦点となるだろう。
 自民党の森派の議員が質問者であったのはブラックジョークではあったが、全く時間の無駄であった。
 民主党の長妻議員は、「直接、姉歯に仕事を頼んだことはない」と断言し続けていた小嶋社長から、ヒューザーのトンネル会社・「エー・ピー・アール」を間にはさんで、姉歯に直接、構造設計の依頼をしたことがあると証言させることに成功した。そして、民主党馬淵議員は、ヒューザーと自民党との深いな関係を明らかにした。これによって、冒頭で必死になって、小嶋社長と伊藤公介氏との関係性が希薄なことを強調していた自民党衛藤征士郎議員の軽薄な作戦は、すべて裏目となった。そして、自民党森派の議員が、身内をかばうような質疑をすればするほど、国民の疑惑は増すばかりで、自分の首を自分で絞める結果とはなったのである。

伊藤公介氏と安倍晋三氏の錬金術とは

 自民党森派の伊藤公介氏の得意技は、地元に公共事業を引っぱって来て、市長と一体となって、自分の仲間のゼネコンを使い、そこからキックバックを受け取るって手法だ。この手法は自民党森派の十八番ではある。したがって、森派と深い関わりがある安倍晋三氏も、ご他聞に漏れず同じことを繰り返して来た。安倍晋三氏の場合は、地元である山口県下関市が舞台であった。彼は昭和の妖怪の孫らしく下関市に君臨してきたのである。
 彼もまた市長や市議会を自分の意のままに動かして、自分の息のかかった中央のゼネコンに地元の公共事業を斡旋して、キックバックされたお金を山分けしていた。まさしく、自民党森派の一員の面目躍如と言ったところである。
 今ライブドアが自社株を百分割した錬金術は、徹底的に叩かれるのに対して、企業からキックバックさせる自民党森派の土建屋国家公認の錬金術の場合は、伊藤公介氏にしても安倍晋三氏にしても自民党全体の錬金術ゆえどんな公然とした批判もでではいない。まさに自民党を挙げての錬金術としてしっかりと公認された手法なのである。
 また安倍氏について付け加えれば、NHKの職員を呼びつけて、報道番組の編集に難癖を付けた恫喝でも知られている。まさに人は見かけにはよらない。これが彼の日常なのである。まさに彼こそは小泉の後継者であり、昭和の妖怪の孫でなのである。

羽目に立たされた安倍晋三氏と伊藤公介氏

 証人喚問では、出てきたこの証言について、安倍晋三氏が、この証言の内容を肯定すれば、自分の派閥に献金してくれる一企業のために動いたってことになるし、証言の内容を否定すれば、小嶋社長の偽証罪が確定することになる。まさに痛し痒しの状態に陥ったのである。
 伊藤公介氏の息子の伊藤俊輔氏の会社・「フューチャービジネスネットワーク」についても、長妻議員の証人喚問で、「伊藤代議士のファミリー企業、フューチャービジネスネットワークには、ヒューザーの物件の管理の仕事はどれくらい行ってる」かと聞かれた小嶋社長は、補佐人と相談して、「本件に関しましても、同じような理由から、証言を拒絶させていただきたいと思います」と答えてしまった。
 「フューチャービジネスネットワーク」はちゃんとしたマンション管理業務を請け負っている会社なのだが、「排水ポンプの点検業務一件を二万三千円」で発注しただけの会社だと報道した朝日新聞の記事をよいことにして、この長妻議員の質問に対しても、小嶋社長は証言を拒絶した。沈黙は何よりも雄弁である。つまり、朝日の報道は間違いで、ホントのことを話せば、ヒューザーとフューチャービジネスネットワーク、自分と伊藤公介氏との深い関係が露呈して、自分に都合の悪いことになることを自らが証明したのである。
 事前に自民党に口止めされてることまでも話す結果にならないように前もって打ち合わせした通り、ちょっとでも問題化する質問には、すべて「拒絶させていただきます」とする方針だったことは明白だった。しかしながら、小嶋社長の「拒絶させていただきます」の三十連発が、逆に視聴者からの疑惑を深める結果になったのだから何とも皮肉な結果という他はない。まさに頭隠して尻隠さずの極めではある。
 こうして耐震偽装疑惑は、直ちに支援態勢を打ち出すと共に今や公的支援額の増額を示唆しだした国交省北側大臣の所属する公明党や伊藤公介自民党議員個人との癒着とも離れて安倍晋三官房長との癒着までが取り正される事態までに発展してきたのである。
 私たちはこの疑惑の本丸に登り詰めるまで追及の手を休めるべきではない。(猪瀬一馬)案内へ戻る


政治に登場した“格差社会”
――突破口は正規・非正規労働者の均等待遇から――


 ついにというか、やっとというか、〈階級社会〉をめぐる攻防戦が国会を舞台として繰り広げられる時代がやってきた。“格差社会”が今国会の焦点に浮上しつつある。
 小泉首相最後の通常国会は、建築強度偽装事件、米国産牛肉再禁輸問題、ライブドア・ショックの三点セットで幕開けとなった。中でもライブドア問題では、自民党が実質的にホリエモンの後ろ盾となっていただけに、「金がすべて」の勝ち組政治や、その結果としての“格差社会”への批判が拡がろうとしている。
 小泉首相にとっては「想定外」だろうが、何でいまさらとは言うまい。それだけ事態は深刻度を深めているのだ。

■政治に登場した“格差社会”

 小泉首相は“格差社会”という批判に対して「統計上はそういう証拠はない」と強弁している。が、“格差社会”への警鐘に対して反論せざるを得ないこと自体、それだけ危機感を抱いている証左だろう。
 それに“格差社会”の到来など、今に始まった問題ではない。すでに1998年には『日本の経済格差』(橘木俊詔)という本が出されたが、その時点ですでに“格差社会”は深く進行していたのだ。他にも格差社会や不平等社会について警鐘を鳴らしてきた著作も多い。現実の闘いもあちこちで開始されている。当然のことだが『ワーカーズ』も90年代後半から新しい階級社会の到来と階級関係の地殻変動について広く喚起してきた。
 今国会での“格差社会”の登場は、時代の転換点を象徴するものになるだろう。

■小泉改革が増幅させた“格差社会”

“格差社会”は自然に生まれたものではない。それは橋本政権が招き寄せ、小泉改革が解き放ったものだ。
 小泉首相は「改革なくして成長なし」として、それまでの政官業の談合政治を批判することで市場原理・利潤原理万能の弱肉強食の競争社会をあおり立ててきた。それは「結果の平等」を切り捨て「機会の平等」原理に力点を置き、勝ち組を後押しして負け組を切り捨てるものだった。企業減税を繰り返すとともに商法改正や会社法の創設などで企業活動の規制緩和を推し進め、一方でかつての公共事業や社会保障などによる所得再配分を縮小し、年金・医療などのセーフティネットを次々と切り捨ててきた。挙げ句の果てに「機会の平等」すら成り立たない社会にしてきたのが小泉改革なのだ。
 その象徴が雇用や労働基準の規制緩和だった。かつて日経連が主導した雇用構造の三類型化を推し進める環境整備として、たとえば派遣労働の期間延長や対象業務の製造業への拡大など、財界と一体で非正規雇用を拡大し、不安定・低処遇の労働者を爆発的に増やしてきた。いまでは正規2人に対して非正規一人だ。
 こうした小泉改革が、社会の二重構造、新しい階級社会を招き寄せたのは当たり前の話である。

■前哨戦――ジニ係数

 国会での論戦の直前に、官僚を巻き込んだ与野党の前哨戦があった。いわゆる〈ジニ係数〉をめぐる鞘当てである。
 内閣府は1月19日、〈ジニ係数〉の上昇は元来所得格差が大きい高年齢世帯の増加や単身者世帯が増えたのが原因であって「所得格差は見せかけ場のものだ」とする報告を関係閣僚会議に提出した。これは小泉改革が「マネー万能の風潮を助長した」という批判をかわす意図が見え見えの官僚による援護射撃だが、こうした援護射撃で現実が変わるわけもない。
 すでに触れたように、1998年に橘木俊詔は『日本の経済格差』(岩波新書)で所得分配の不平等度をはかる指標の一つである〈ジニ係数〉を活用し、日本で所得分配の不平等度が急速に高まっていることを論証した。その分析は当時の時代感覚とも合致し、ジニ係数という分析手法を広めるとともに、それまで「総中流社会」を疑わなかった日本にも新しい“格差社会”が到来したことに警鐘を鳴らしていた。
 小泉首相はこれらが気にくわなかった。官僚に指示してそれに理論的な反論を試みさせたのが、19日に発表した上記の内閣府の反論だった。
 この反論は、やれ高齢化世帯が増えただの、核家族化が進んだのだのと主張しているが、現に生活保護世帯が増えていることなど、現実とかけ離れた空論でしかない。
 しかしこの「論争」は、予想されたものではあれ“格差社会”の到来は小泉政権にとって不気味な前兆なのだということを証明した。低所得層をはじめとした庶民が、いつ、どんな形で反乱を開始するか、それでなくとも支配階級は不安いっぱいというわけなのだ。

■分断される労働者

 “格差社会”の最大の原因は利潤至上主義社会での弱肉強食の競争社会にあるが、その所得格差拡大の最大の問題は少数の勝ち組といわれる人たちへの金と資産の集中だ。
 しかしそれ以上に問題なのは、そうした“格差社会”を打ち破る主体であるべき労働者・勤労者に持ち込まれた分断賃金構造だろう。一部のものへの富の集中は、結局は勤労者大衆からの富の収奪としてしか起こりえないし、そうした搾取構造を転換し、生産果実を平等に配分する社会を創り上げるのは現実の富を生産する労働者以外にはない。その労働者が賃金所得で大きく分断されて足並みが乱されることは、そうした社会を創設するための最大の障害となる。支配階級はそれを自覚しているからこそ、労働者・勤労者の足並みを乱しながら富を独占しようとするのだ。
 こうした労働者の間での新たな階層構造は、単に弱肉強食の競争社会の中から自然に生まれた結果ではない。それは経団連(日経連)などによる、労働者の賃金分断攻撃という意図した行為の結果に他ならない。だから“格差社会”は財界、個別企業による低コスト構造づくりと小泉政権によるその土俵づくりという、政治と経営の合作の結果によって強いられたものなのだ。

■悲惨な〈最低賃金制度〉

 労働者の中での所得格差ということに関していえば、象徴的なのが最低賃金制度と生活保護費の問題だ。端的に言えば、生活保護費に比較して日本の最低賃金はいかに低く押さえられているか、ということでもある。
 日本の最低賃金は西欧諸国などに比べても低いことは指摘されてきたが、それでも生活保護費より低いという現実にはあきれるというか、情けなさや恐怖心すら覚える代物である。
 04年度での最低賃金は全国平均で時給664円で、最高は東京都の708円だ。たとえば東京都での場合、700円で計算すると一日8時間で約5600円。これを年間1800時間に換算すると126万円、月額だと10万5千円だ。
 一方で現在の東京都の生活保護費は標準的な3人家族で賃貸住宅を前提とした住居補助費など含めると24万5千円、年間294万円である。生活保護世帯は所得税免除や医療扶助などもあるから、勤労者の所得は生活保護の実質1・4倍ぐらいないと同等にならないため、月額34万円ぐらい、年額にして400万円ぐらいないと同等の生活が出来ない。ところが最低賃金はボーナスがないとすれば年間126万円、生活保護世帯の生活水準400万円の3分の1にも満たない額ということになる。
 いまの生活保護費はそれ以下の金額では人としてのまともな生活が出来ないと言われる額を基準としているので、最低賃金は人としての最低限の生活費の3分の1以下なのだ。これほど労働と労働者を愚弄することがあるだろうか。
 最低賃金制そのものは別途詳しく論じたいが、労働者の基本的なセーフティネットとしての最低賃金は低レベルのまま据え置かれてきたのが現実だ。

■“格差社会”の突破口は均等待遇から

 “格差社会”の到来に対し、様々なセーフティネットの再整備を主張する声も大きくなっている。もちろんそれは必要なことで、中には緊急を要するものもある。
 しかしそのセーフティネットが税制や各種の社会保障による所得の再配分としてのみ課題設定される限り、それそのものからくる限界から免れないだろう。それは結果に対する救済の域を出ない。税制や社会保障に委ねることでは、最低生活の保障を財政力や企業の競争力など、別の経済ファクターの従属変数に委ねる弱点から脱することはできないからだ。
 ここは正面から賃金の公正さや最低基準の引き上げを求める立場を貫きたい。具体的には正規・非正規労働者をはじめとするすべての労働者の均等待遇とそれに向けた最低賃金の引き上げだ。さらには賃金を他の経済ファクターに左右されない独立変数として、これだけは生活に必要な額だという、すべての経済活動の前提条件として確立することである。こうした立場はセーフティネットを、誰に頼るのでもなく自分たち自身の力に頼ること、自らの力で闘い取るということでもある。
 ますます深まる“格差社会”。それを自力で克服するのためには、正規・非正規を中心とする賃金の均等待遇の前進から始める以外にはない。至る所で均等待遇と最低賃金の引き上げの闘いを起こしていきたい。それは格差社会を克服するために労働者自身が力を獲得する道でもある。(廣)


「反戦通信 9」・・・イラク派兵反対の抗議行動と差し止め訴訟

 自衛隊のイラクからの撤退が検討されはじめたなか、陸上自衛隊の第9次派兵軍が決定された。最後の派兵軍となるかもしれない、この第9次派兵軍は首都圏を中心とした部隊で編成された。
 1月22日、御殿場の板妻駐屯地において第34普通科連隊を中心とする約50人の隊員を送り出す、「第9次イラク復興支援群壮行会」が開かれた。
 同じ日、憲法違反であるこのイラク派兵中止を求める静岡の「イラク自衛隊派兵違憲訴訟原告団」は、反戦活動に取り組む県内の市民団体や労働組合などに呼びかけて、派兵中止を求める集会を御殿場中央公園で開き、市内をデモ行進し抗議活動を展開した。その後、集会の代表者が派兵中止を求める要望書を板妻駐屯地に提出した。
 続く1月27日(金)2時30分より、静岡地裁において「自衛隊イラク派遣差し止め等請求事件」の第6回法廷が開かれた。
 この「イラク派遣差し止め訴訟」は、04年1月に札幌の元郵政大臣の箕輪氏が1人で裁判を起こし、その後全国12ヶ所で派遣差し止め訴訟が取り組まれきた。しかしこの間、各地の裁判所では、「派遣差し止め請求却下、損害賠償請求は棄却」の判決や「審議打ち切り」「証人不採用」などが続いていた。
 こうした中、静岡の原告団は粘り強く活動を展開して、この第6回法廷に憲法学者である山内敏弘さんを原告人証人として呼ぶことができた。
 憲法学者山内さんの主張は、『日本政府の自衛隊イラク派兵は米国の戦争に加担するものであり、これは憲法の前文と第9条の趣旨に違反するものである。米国のイラク戦争は、国連の査察を打ち切って開戦したものであり、「国連憲章違反」であった。さらに、イラク戦争を開始した正当性が崩壊している。イラク戦争開戦の最大根拠であった「イラクの大量破壊兵器保有は誤りだった」とブッシュ大統領自ら認めていること。また、米軍の戦争遂行行為はファルージャ攻撃や劣化ウラン弾の使用などまさに「非人道的行為」を繰り返しており、戦時国際法にも違反している。長年米国は「ジュネーブ条約」の議定書にも「国際刑事裁判所」規定にも加入しておらず、まったく国際法を無視しており、こうした米国がイラクに「人道的介入」や「民主的介入」をする資格はない。こうした米軍に対して、日本政府と自衛隊は支援・協力・加担しているのであり、その事によってテロ攻撃の標的になるかもしれないと国も官庁も認めているからこそ、全国各地に「対テロ警戒」の看板などを出し訓練も行っているのである。このように、原告らの不安は主観的な不安感ではなく、明らかに自衛隊派兵によって引き起こされた合理的な不安であり、原告らは国によってみずからの平和的生存権が侵害されたと考えている。』
 長年憲法問題を研究されてきた山内さんの意見・論理は明快で、特に「憲法の前文は日本人だけに戦争参加を禁止している訳でない。全世界の人々に対しても戦争禁止を呼びかけたものである」との言葉は大変印象に残った。
 今回の壮行会の壇上にも「イラク復興支援群」と書かれていたが、米軍への戦争協力と加担を「復興支援」と偽り、軍を「群」というゴマカシの言葉以外の何ものでもない。陸上自衛隊の「復興支援」は現地ではほとんど役に立たなかったこと、航空自衛隊が米軍の兵士や兵器を空輸していること、それはイラクでの事実を見てみれば明らかである。
 派兵されるたびに、駐屯地では黄色いハンカチが掲げられ、隊員の力強い挨拶と心配顔の家族等など、こうした恒例の壮行会が開催されてきた。しかし、怖いのはこうした自衛隊の海外派兵への「慣れ」である。派兵される隊員も送り出す隊員もその家族も、次第に戦争に加担していく既成事実が進み、軍人が戦地に行くのがあたりまえになる。この「慣れ」が一番怖いと言える。(E・T)
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中華帝国の再興とアジア世界の台頭 B〈寄稿〉

中華帝国の再興とアジア世界の台頭
はじめに
― 1世紀世界の基本的動向【311号掲載】
二 世界の三大工業圏の形成と東アジア共同体
三 現代中国略史【312・313合併号掲載】
四 中華帝国再興の内実=その軍事力と科学技術力【今号掲載】
五 アメリカに代わる覇権国家としての中華帝国の再興
六 ―日本労働者階級の任務

四、中華帝国再興の内実=その軍事力と科学技術力

 現代中国の実力はどれほどのものなのであろうか?経済力についてはある程度述べたのでここでは軍事力技術開発力などについて検討してみたい。

(ア)軍事力
 中国は今「中華民族の復興」や「海洋国家」を標榜し軍事力の現代化と対外的な進出構想を急速に推し進めている
 アメリカの国防総省がこの7月に発表した「中国の軍事力に関する報告」は中国が米ロにつぐ軍事大国となりアメリカを含む周辺国の脅威となりうることに警鐘を
鳴らした。
 この報告によれば中国の今年の国防予算は300億ドルと17年連続の2桁増を記録したが中国の軍事費は周知のように様々な形で他の項目の中に紛れ込ませてあり実際には公表予算の23倍あるからアメリカ政府の発表によると日本( 440億ドル) は勿論 ロシア( 推定650億ドル) をも上回ている可能性があるということである。
 20年前には300万人もいた陸軍は大陸間弾道ミサイル( ICBM ) や各種ミサイル兵器・電子兵器の開発・改良核弾頭の小型化中性子爆弾の開発・保有と反比
例して今でも世界最大ではあるが63師団170万人に削減された( 予備役を入れれば依然として300万人いる)年に際して中国政府は天安門広場で最新兵器を続々と登場させ大軍事パレドを繰り広げその軍事力を誇示した当時はこの年5月のアメリカによるユゴの中国大使館爆撃事件を巡てアメリカとの間に激しい緊張が広がているときであたが中国政府は突然独自技術による中性子爆弾の保有と大陸間弾道ミサイル( ICBM )「東風31号」の実験に成功したことも発表した「東風31号」はアメリカ本土を直撃する射程を持つだけでなく移動発射式でしかも多弾頭( MIRV )搭載で米・露の最新レベルの核戦力の技術水準をクリアしており中国が米・露との間で究極の破壊力において拮抗するがゆえに戦略的に対等ないわゆる相互抑止関係を築く能力を獲得したことを意味した。
 その後中国は「東風31号」を改良してアメリカの第1級のICBMミニトマンに匹敵する能力と威力を持つ「DF51」と呼ばれる射程9000kmそれぞれのミサイルには独立して目標を攻撃できる三個の核弾頭を搭載したICBM を40基実戦配備しているアメリカ国防総省の推定によると「2010年代にはそれが120発に増え中国は360発の核弾道の照準をアメリカの都市と軍事施設に向ける事になると日高は述べている( 前掲書p38) 更に中国は現在ミサイル潜水艦1隻を展開し海中から発射できる20発のSLBM ( 潜水艦発射弾道ミサイル) を実戦配備しているがこれを更に1隻増やそうとしているまた2020年までには空母を建造するか購入すると見られている( 呉国光・王兆軍著「ケ小平の死と中国」ビジネス社刊P266)
 これに対してアメリカは常時8隻のミサイル原子力潜水艦を太平洋に配備しておりそのうち3隻合わせて72発核弾頭としては720発が中国の目標に照準を合わせてパトロルを続けておりアメリカは米本土からは1000発のミニトマン合計1万発の核弾頭が中国に狙い中国に狙いを定めていると日高は述べている
 今のところ米・中の軍事力の量的な差は大きいがアメリカの核恫喝が中国には通用しなくなた事の意味は極めて大きいと言えるだろう
 さらに中国は今ロシアやEUからの最新の軍事技術の導入を猛烈なスピ ドで進めておりアメリカはそれを阻止しようとしてEUに圧力をかけていることは周知のことである だがEUとりわけその中心であるフランスはアメリカに対抗してきた歴史的経緯もあり三峡ダムや新幹線網の建設などの中国の巨大経済協力とのバタで軍事技術の供与に積極的に応じようとしている
 また中国は2008年までに今はアメリカだけしか持ていないG P S ( 全地球測位システム)「ガレリオ」を仏・独などと共同で開発しているばかりか先端の電子技術を使て台湾の防空体制やコンピタのネトワクを完全に無力化し台湾が闘うことが出来ない状況に追い込もうとしており2008年までに台湾を併合しようとしていると日高は主張しているこれはウルジ元CIA長官の考えでもあるそうだ( 前掲書p89) が中国は直線的なアメリカとは違うからそう性急に動くとは思われない ただこの7月中旬陸軍少将で国防大学の防務学院院長でもある朱成虎は外国記者に「アメリカが台湾海峡での戦争に介入すれば核兵器で反撃する」と明言しさらに「西安以東の都市全てが壊滅することは覚悟の上でその代わりアメリカも200以上の都市が壊滅されることを覚悟すべきだ」と語たと報道されている( 8月21日付の日経新聞ように一定の条件がととのえば中国は必ず台湾の統合に向かうこともまた間違いない。
 ともあれ中国は その後も2003年10月15日「神舟5号」によて旧ソ連アメリカについで有人宇宙船に成功した3番目の国となた事に象徴されるように軍事的には米・露に対抗しうるスパーパワの土俵に上がたことは確実であろう。海軍艦艇;740隻93. 4万海兵隊;1万人空軍作戦機;2400機については割愛する

( イ) 技術開発力
 1991年の中国の国家予算で研究開発費は125億ドル日本は669億ドル、アメリカは1614億ドルであ たが2005年には中国1309億ドル日本は1248億ドルアメリカは3303億ドルとなり中国は日本を追い越してしまたさらにアメリカのマニフクチラズ・アライアンス研究所のアネスト・プリグ博士によると5年後の2010年には中国経済が2005年から22% 拡大した場合には3538億ドルとなり日本の推定額1593億ドルの2倍アメリカの推定額4417億ドルに迫るものと予想されるばかりか2015年にはアメリカをも追い越し世界一の科学技術大国になるというのである日高前掲書25)
 「中国は研究開発費を増やすと共に科学研究者の数も急速に増やしている1991年中国の研究者の数は47万1千人でアメリカのほぼ半分日本よりわずかに少ない程度だただが2002 年にはその数は倍になり日本を追い越した推定では2010年には中国の科学者の数は134万1千人になり日本より15万人以上増えると予想される。「このほか科学や技術の分野で博士の数が急速に増えている1996年中国の科学や技術部門における博士の数は1000人あまりアメリカの5%日本の25% 程度だただが2001年にはその数が7600人を超え日本よりも200 人ほど多くなた2010年の推定では博士の数は2万4千人を超し日本の二倍になると見られている」日高前掲書p28)
 博士によると1999 年に中国国内で申請されたパテント特許の数は1万5千あまりで日本より約30% 多かった「 推定では2010年には6万1千を超えるアメリカで申請されるパテントの数は2万余り日本では4万1千と推定される」という

 アメリカ議会の上下両院が協力して中国の脅威経済の影響などについて調査を行ている中国特別調査委員会は2005年5月に出された軍事問題に関する報告書で「中国は先進技術を駆使して新しい兵器を製造しアメリカに対抗しようとしており5つの重点項目を中心に先端技術による兵器体系の開発を行ている」とし
( a ) 電子兵器によてアメリカの通信衛星やスパイ衛星などの機能を破壊する兵器体系この兵器を使て台湾のコンピタや防空体制を破壊し戦わずして台湾を併合しようとしている
( b )大陸弾道弾の整備
( c ) 原子力潜水艦および原子力ミサイル潜水艦の技術を向上させること
( d ) 航空機の開発とアメリカが得意としている防空体制に追いつくこと
( e ) アメリカのクルジングミサイルをまねて同じようなものを作ることの五つを挙げている
 このような中国を日高は第二次世界大戦前のナチスドイツになぞらえ「当時のナチスドイツもまた急速に科学技術の力をつけ新しい兵器体系を作りあげて戦争への道を突走たとして中国への警戒心を喚起しているがこれは中国の台頭に対するアメリカ帝国主義の警戒心そのものであろう
 近年中国製の偽物製品の氾濫に手を焼いた日米政府が中国政府に知的財産権の保護に基づいてその取り締まりを要求したところ中国当局者が「わが国も火薬の使用に対するロイヤリテ を頂いておりません」とか「漢字の使用料を頂いたことはありません」 などと述べたと言う話がまことしやかに伝えられているがそこにも自国の科学技術や文化的伝統に対する圧倒的な自信と同時に追いつき追い越すためにはなり振りを構ていられないという中国の立場が垣間見えて面白い
 ただナチスドイツを持ち出すまでもなくまた原爆開発競争でのアメリカの勝利や人工衛星打ち上げ競争でのソ連の勝利が歴史に与えた衝撃を見るまでもなく近年のソ連の崩壊やIT 革命によるアメリカの復活( この10 年でG NP が65 兆ドルから10 兆ドルに急進した) を見ても先進的な科学技術の開発における優位こそが国力の隆盛衰退の鍵である事科学技術大国だけが世界的な大国と成り得るということこれは産業革命以来の世界の常識であてこの点での優位の意識だけがこれまでわずかに中国に対する日本の優越感の支えであたのであるがそれが今音を立てて崩れようとしているのである
 小・中学生の学力の低下や技能オリンピクでの低迷の中で日本独占資本家階級とその下僕である政府が盛んに危機感を鳴らして「 教育改革」を唱えているその根底には「愛国心の欠如」と共に科学技術力の遅れが国力の衰退を招く事に対する深刻な危機感があるのだろう ( 注3 前号掲載の原稿の注です
かつて毛沢東政権を「少数の指導者階級の広範な人民に対して独裁を行うファシスト政府」と呼び「権力を労働者全体に渡すこと」を主張した魏京生と並んで中国民主運動の双璧とたたえられた王希哲はこの中国の「社会主義」体制を「中国は封建的性格を持たフシズム専制」であると喝破して懲役14 年を食らたが確かに中国といい北朝鮮といいポルポトといいさらにはソ連といい反対派に対し幾度となく残酷な大粛清を実行し数十万数百万もの人々を殺害し数百万数千万もの人々を政治犯収容所に追放し強制労働に従事させたさらに親が反革命の烙印を押されたらその子供ばかりか一族郎党までもが徹底的に迫害されたり死体に防腐処理を施していつまでも展示したり( レーニン・毛沢東・金日成) 権力を世襲したり密告の奨励によて不断に人民同士を監視させ合う密告社会を作たりしていたがこのような社会は日本で言えば勝利した側が敵方を皆殺しにした源平合戦の社会常磐御前の色香に迷て頼朝・義経らを殺さなかた清盛一族は滅び平家一門ばかりか有力な敵になりうる兄弟までをも殺した頼朝が権力を長らえ豊臣の血を根絶やしにした家康が長期政権を確立した社会合戦で敗れた平家の落人が京から宮崎の山奥まで逃れそこまで追いかけて殺しにいく社会しかし追いかけていた源氏の兵士がそこで平家の娘と恋に落ちるという「稗搗き節」の奴隷制末期から封建制にかけての世界であ て「ブルジア民主主義よりも100 倍も民主的なプロレタリア民主主義の社会」( レーニン) などでは全くなく明らかに近代以前の社会の特徴を色濃く残した社会である
 ではソ連や中国や北朝鮮やルーマニアやポルポトなどの社会の生産様式は果たして資本主義なのか社会主義なのかそれともそのどちらでもない第3の範疇のものなのだろうかというと国家社会主義とか集産主義とか様々な論が出されたがやはり第3範疇ではなくもちろん社会主義などではさらさらなく魏京生や王希哲に習えば国家権力と生産手段を一手に握た共産党を中心にした官僚支配階級の封建的性格を色濃く残したファショ的国家資本主義体制労働者・農民からの国家的収奪を元に上から強力に産業革命を遂行し国家資本主義を創出し拡大していく体制という以外ないと考えている      続く     北山俊  


「医療制度改革」その背景と問題点(上)

「医療給付費抑制」財界と厚労省の綱引き

 1月20日、通常国会がはじまりました。今国会には、政府提出法案として、「石綿対策、建築基準法、教育基本法、行政改革、皇室典範、在日米軍再編、防衛庁の省昇格」等の関連法案と並んで「医療制度改革法案」が提出されています。(他に議員提出法案として「議員年金廃止」「国民投票」「官製談合防止」関連法案が提出されています。)そこで、その中でも、働く者とその家族の健康に大きな影響を与える「医療制度改革法案」について、その背景、法案の中身、その問題点等について見ていきたいと思います。

「年金」「介護・障害者」の次は「医療」

 小泉内閣の進める「構造改革」は、一方で「不良債権処理」をテコに労働生産性の低い建設・商業・サービス関連分野の大規模なリストラを強行し、大量の失業者や非正規労働者を生み出しつつ、他方で「小さな政府」の掛け声のもと、道路公団・郵政・政府系金融機関等の民営化や規制緩和を推進し、社会保障についても「負担と給付の見直し」を進めてきました。(その先にはサラリーマン増税や消費税増税が待っています。)
 このうち、社会保障の分野については、2004年に「年金制度改革」法案を通し、保険料の負担増と給付の抑制を段階的に進めるしくみを作りました。2005年には「介護保険」の改革と「障害者自立支援法案」を通しましたが、当初提起された「介護保険の対象に高齢者だけでなく障害者を加える」構想は先送りとなりました。
 このように政府は「年金」の次は「介護・障害」と、次々に社会保障の諸分野に手を付け、いよいよ「医療」の番が回ってきたというわけです。

ターゲットは「高齢者」ツールは「地域」

 「医療制度改革法案」に先立って、昨年11月30日に、政府・与党医療改革協議会が「医療制度改革大綱」を決定しました。その内容は12月1日付けの各新聞(朝日・毎日・読売・日経など)がいっせいに報じていますので、関心のある方は、図書館などでご覧になるか、インターネットで検索するといいでしょう。今回の「法案」は、この「大綱」を踏まえたものです。
 その詳しい内容は、次回に見るとして、この「大綱」の特徴をひとことで言うと、第一に「高齢者」がターゲットになっていること、第二にそのツール(道具)として「地域」とりわけ「都道府県単位」の様々な仕組みが提案されていることです。
 「高齢者」(現役世代並みの70歳以上)の自己負担を段階的に「3割」に引き上げ(中低所得者の70歳〜74歳は2割)るとし、また保険料についても、75歳以上の後期高齢者を対象にした「新保険制度」をつくって保険料負担を負わせるとしています。
 そして、その高齢者の「新保険制度」は全市町村が加入する「都道府県単位」の広域連合とするとしています。合わせて、現在中小企業などの加入する「政府管掌健康保険」も「都道府県単位」の公法人に分割するとしています。
 こうして医療保険の運営を都道府県単位にバラした上で、各都道府県は「医療費適正化計画」を策定することが義務付けられ、その計画の中で「生活習慣病の予防」等の疾病予防対策を講じることとしています。
 このように「地域」をクローズアップした理由は、医療費の大きさに都道府県単位でバラツキが見られ、そこには予防対策等の地域・行政の努力の度合いが反映されていると見ているからです。

「抑制」めぐる財界と厚労省の綱引き

 さて、このように「高齢者」に的を絞り、「地域単位」による保険制度の新設・再編が打ち出された根本的背景は、「医療給付費抑制」を求める財界の圧力があります。
 「国民総医療費」から患者自己負担分を引いた「医療給付費」(社会保険料と税金が財源)は、現在28兆円(2006年度予算見込み)にのぼっています。医療制度をこのままにすると、2025年には56兆円に膨れ上がると試算されています。
 財界の意を汲む「経済財政諮問会議」は、2025年時点で42兆円にまで抑制することを強く要求しています(グラフ「医療給付費抑制の道筋」1月11日付・日経新聞より)。しかし、国民の疾病動向を踏まえたものではなく、経済成長の減速化に合わせて、医療給付費もサイズを小さくすべきという一種の「経済整合性」の考え方で、各方面から「無理」が指摘されています。しかし、その経済界の推す小泉首相の勢力が先の衆院選で圧勝したことから、この路線は大手を振ってまかり通ろうとしています。
 これに引きずられつつ「現実的」な抑制策として、厚労省は2025年時点で49兆円に圧縮する「試案」を出しました。その手段として、生活習慣病対策や入院日数短縮で6兆円、高所得の高齢者の負担増で1兆円等の対策を示しました。
 しかし、財界からは、それでは手ぬるい、もっと圧縮しろ、との圧力がかかり、それに答える形で、さらに45兆円にまで抑制する新提案を行ない、そのために診療報酬の下げで3兆円、患者負担増などで1兆円の抑制を行なうとしています。
 2025年見込みで「56兆円」となる医療給付費を、財界は「42兆円」まで抑制しろと要求し、厚労省は現実案として「49兆円」、その次は「45兆円」と、まるで国民の命をオークションにかけるように、切り下げているというのが、「医療制度改革」の根本的背景となっている政治経済情況なのです。
 そこで、次回はこの「医療制度改革」の具体的な内容がどうなっているのか、見てみたいと思います。(松本誠也)案内へ戻る


「やさしいことばで日本国憲法」I 最終回  第10章 最高の法 第98条 99条 マガジンハウス 訳者 池田香代子 C.・ダグラス・ラミス監修、解説

池田訳
第98条
この憲法は、この国の最高の法です。法律や、法令や、詔勅や、そのほか政府が決めたことは、憲法の条項とあいいれなければ、拘束力がなく、したがう義務はありません。日本がむすぶ条約や、さだめられた国際法は、誠実にまもられます。

第99条
天皇や摂政には、この憲法を尊重し、支持する義務があります。国務大臣には、この憲法を尊重し、支持する義務があります。国会議員には、この憲法を尊重し、支持する義務があります。裁判官には、この憲法を尊重し、支持する義務があります。そのほかすべての公務員には、この憲法を尊重し、支持する義務があります。

正文
第98条
1)この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を発しない。
2)日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。

第99条
天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

 いよいよこれで最終回です。前文で謳った憲法の定義を、もう一度ここで述べていることは、政府の勝手な解釈や行動にストップをかけるためです。憲法の条項と相容れなければ、政府が決めた法に従う義務はないと、きっぱりと言い切っています。そうすれば、イラクに自衛隊を派遣するための時限立法、軍事を整備する有事法制などは、違法ということになります。戦争を放棄し武力を持たないとした第9条を、平和に生きる権利を確認する第97条を、私たちが実現するために努力することが、憲法を生かしていくことになるはずです。最後にこの連載を書くにあたって、著者の池田香代子さんが快く応じてくださったことに感謝しています。ありがとうございました。
「第98条、第99条は必要ないように思われる。たぶん、憲法の執筆者たちは、ここまで読んだ後でも理解できない、あるいは、理解したがらない人を想定して、念のために書き入れたのだろう。第98条は前文で述べていることを繰り返し、この憲法に反する(あいいれない)いかなる法令その他は効力を有しない、と謳う。ここでもう一度、『効力を有しない』の中身をほどいて取り出してみれば、『拘束力がなく、従う義務はありません』となる。第99条もすでに前文で宣言した原則を繰り返し、この憲法は政府による命令ではなく、政府に対する命令である、と述べる。これは当然、政府の公務員すべてに対する命令を意味し、そこには国会も含まれることは強調されるべきだ。国会は、望めばどんな法律でもつくれるわけではない。憲法が許した枠内でできるだけだ。・・・」(知念ウシ 訳)

CHPTER ]. SUPREMELAW
ARTICLU 98
This Constitution shall be the supreme law of the nation and no law, ordinance, imperial rescript or other act of government, or part thereof, contrary to the provisions hereof, shall have legal force or validity. The treaties concluded by Japan and established laws of nations shall be faithfully observed.

ARTICLE 99
The Emperor or the Regent as well as Ministers of State, members of the Diet, judges, and all other public officials have the obligation to respect and uphold this Constitution.    (恵)                     


平和、労働、生活をめぐって活発な討論
 「映画日本国憲法」上映会の報告


■世界とアジアから見た日本国憲法

 05年の12月11日の午後から、流山市の初石公民館において、「映画日本国憲法」の上映会が行われました。
 「映画日本国憲法」は、いま全国で自主上映の取り組みが活発に行われています。内容は、タイトルの通りまさに日本の憲法を正面から取り上げ、その意義を明らかにしようというものです。ただ、憲法を扱う際の切り込み方に、いままでの議論とは違った点が見られます。どういうことかというと、日本の憲法の意義を、日本人よりもむしろ、主に世界の知識人や著名人や市民に語ってもらっているのです。これはなかなか、良いアプローチの仕方だなと感心しました。そうした取り上げ方を試みることによって、日本国憲法が持っている、単に日本国内における意義だけでなく、アジアと世界に対して有している意味が浮き彫りになるからです。
 もちろん、この映画には、根本的な弱点も見られます。それは、日本国憲法の意義を語るあまりに、その限界についてはほとんど触れられていない点です。この映画の制作者たちにそれを求めるのは無い物ねだりかもしれませんが、しかし鑑賞者の私たちとしては、現憲法の限界、例えば天皇制の保持や、私的所有制を不可侵のごとく明記している点等々に対しては、明確な批判を保持しておく必要があるでしょう。
 ちなみに、登場する人々の幾人かの名をあげると、バン・チュンイ(中国人)、ハン・ホング、シン・ヘス、カン・マンギル(以上三名韓国人)、ジョン・ダワー、ノーム・チョムスキー、ベアテ・シロタ・ゴードン、チャルマーズ・ジョンソン(以上四名米国人)、日高六郎(日本人)という人々です。それ以外にも、中東の知識人、あるいはふつうの市民の方々の意見も、丁寧に紹介されていました。
 米国の知識人たちは、主に、日本の憲法が制定された歴史的な経緯や、その平和主義に意義について語っていました。中でも印象に残っているのは、次の様な主張です。
 戦後の憲法は米国の意図ばかりでなく、憲法研究会等々に集った人々の意見が占領当局に反映されるなど形で、日本人自身の平和や民主主義への希求が盛り込まれていること。
 優れた憲法はすべて国家権力に対して民衆の意思が「押しつけ」られたものであり、日本の支配層はその意味で、現在の憲法を軍隊不保持や戦争放棄などの条項によって自らの手を縛る「押しつけ憲法」であと受け止めていること。
 戦後憲法は日本がアジアと世界に侵略と野蛮行為を反省し、二度と同じ犯罪行為を繰り返さないと約束したものと受け止められていること。
 中国や韓国の人たちは、かつて日本の軍国主義による植民地化や侵略によって大きな犠牲を強いられた体験にふまえて、日本国憲法のアジアと世界の平和にとっての重要性を指摘し、しかしそれが近年になって怪しくなりかけていることへの危惧などを語っていました。その中で語られた、従軍慰安婦制度の犠牲になられた女性たちの苦悩や悔しさ、平頂山事件などの虐殺行為の記憶等々は、胸に突き刺さりました。
 アジアの人々の発言で私がもうひとつ印象を受けた発言は、韓国のハン・ホングさんのものです。彼はインタビューの中で次の様に話しています。憲法九条がアジアの人々が持つ日本への不安をかろうじて押さえてきた、ところが靖国問題や九条改憲の動きに韓国も周辺のアジア諸国も不安を強めざるをえなくなっている。日本の憲法が改悪されるなら、中国、韓国、北朝鮮、ロシアは軍拡に走らざるを得なくなるだろう。韓国においてもイラク派兵にからんで軍事的発想が強まっており、ナショナリズムの危険性も高まっている。大事なことは、韓国と日本の若い世代が平和的な感受性を一緒に育て、それぞれの国の危険な動きを牽制する力を獲得していくことだ等々…。
 ハン・ホングさんは、米国の覇権主義や日本の無反省と軍事強国化の動きを厳しく批判すると同時に、自国の危険な動きにもきちんと目を光らせ、国境を越えた民衆の連帯の必要を強調しているのです。学ぶべき、重要な姿勢だと思います。
 
■活発な意見交換

 映画を見た後、参加者で感想を述べあったり、今後の平和運動、憲法九条を守る運動のあり方などについて意見交換を行いました。活発な、有意義な意見交換の場となりました。
 私なりにざっと整理してみると、以下の様な議論がなされたのではないかと思います。

●若者をめぐって

・若者の憲法問題、政治問題への無関心が目につくが、その背景や原因を考える必要がある。
・若者は決して政治に関心がないわけではないが、日常の生活の中で反戦・平和の訴えや取り組みに接する機会が昔と比べて圧倒的に少なくなっている現実があり、それが彼らの意識にも影響している。
・若者たちの間では、政治的な問題に関心を示すと周囲から浮いてしまう現状も見られる。
・若者たちは戦争の現実や歴史等々を知らされていないという問題がある。彼らにそれを知らせていく活動が重要。
・最近のメディアの保守化の影響も大きい。ひどい報道にはきちんと批判を加え、良い報道は激励するなど、メディアへの監視を強めていく必要がある。
・若者たちは、自分たちの発意と責任で何かを考えて事を進めるという経験の場を失っており(大学自治会や生協の解体)、笛を吹く者(小泉、ナショナリスト、改憲論者たち)が現れればそれに踊らされる危うさが生み出されている。
・しかし高校生の平和運動など、がんばっている若者も少なくない。
・若者たちがおかれている過酷な現実(競争、過酷な労働、失業、フリーター、ニート等々)、それと護憲や反戦・平和の運動を結びつけて取り組んでいく必要がある。
・平和運動の退潮には、労働運動の弱体化が影響している。
・労働運動などの古いセンスを乗り越える若者たちの新しい表現方法にも注目すべき。
・フリーターユニオンや青年ユニオンなどの取り組みも見られ、労働運動にも新しいセンスが見られる。
・問題を抱えているのは若者だけではなく、むしろ大人自身の生き方が問われている。

●憲法の理解をめぐって

 憲法は、お上が国民を統治するための法ではなく、民衆が権力を縛り、律するためのものであることを再確認する必要がある。同時に社会のルールには、たとえ多数決によってでも踏みにじることが許されないものがある。人権や平和などをめざす努力も、多数決だからといって否定されて良いものではない。

●世論の保守化・右傾化、それに対する対抗構想

・問題は無関心層の広がりにあるだけでなく、むしろ政治に関心を持つ人々が保守的、右翼的な主張に引きつけられていることが重大。
・保守の主張には様々なバリエーションがあるが、収斂されていく先は「強い日本」のスローガンではないだろうか。利口な保守派はカビくさい復古主義の主張よりもむしろ「強い日本」の合い言葉の方が人々を糾合するのに効果的だと知っており、残念ながらそれが説得力を持ってしまっている。
・孤立させられた市民は、どうしても「強い日本」のスローガンに引きつけられる傾向がある。
・仕事、学校、地域、家族等々生活の全般を見直す中から、消費税、社会保障、労働問題、地域の問題などに対して声を上げていく必要がある。9条護憲の運動、反戦・平和の運動も、そうした生活の中から出た様々な要求と結びついてこそ本当の広がりを持つのではないか。
 
■改憲の悪だくみを打ち破ろう

 こうした草の根レベルの議論を、もっともっと繰り返し、押し広げていくことができれば、憲法改悪のもくろみを打ち破っていくことができるのではないかと感じました。
 今年はいよいよ、憲法をめぐる攻防の正念場となります。ともにがんばりましょう。案内へ戻る


スリランカと「家族・国家・私有財産の起源」

 スリランカに来て、もう大分長いこと経つのに、最近やっと気がついたことは、母親の姉妹、特に母親の姉の夫達を子どもたちはタッタ、つまり父と呼びことについてです。
 私も妻の姉妹の子どもたちからロク・タッタ(大きな父)とかスドゥ・タッタ(白い父)とか呼ばれています。
 これに対して母親の兄弟に対しては、子どもたちはマーマ(おじさん・英語のuncle)と呼んでいます。また母親の姉妹、特に姉を子どもたちはロク・アンマ(大きな母)と呼び、叔母さん(ナンダー)とは言いません。スリランカ人もその呼称がなぜそうなのかを知らずに使っています。
 エンゲルスは「家族・私有財産及び国家の起源」の中のプナルア家族の節で「ハワイの慣習によれば、肉親又は遠縁の姉妹の一組は、その共同の夫の共同の妻であった。ただし彼女達の兄弟はそれから排除されていた。これらの男子達はもはやお互いに兄弟とは呼ばない・・・もはやその必要もなくなったので、プナルア、即ち親密な仲間、いわば組合員(アソシア)と呼びあった」と述べています。
 さらにエンゲルスは、こうした親族関係はアメリカ・インディアン、インド原住民、デカンのドラヴィダ種族等々にみられ、南インドのタミール族(スリランカとは深い関係にある)、ニューヨークのセネカ・イロクオイ人との親族表現は今日(エンゲルスの時代)でも二百種以上の親族関係に就いて一致している。と述べています。
 スリランカではマルクス主義を自称する人々でさえ、マルクス・エンゲルの著作を読んでいません。シンハラ語訳は皆無、英語版ではソ連時代の限られた著作しか(それも古本屋で)ありません。
 マルクス主義が世界的に(特に先進資本主義国で)故意に無視されている現在、真実の原石を意外なところで見つけた思いです。(スリランカにて松田公一)


日本共産党第二十四回党大会について

 0六年一月中旬日本共産党は第二十四回党大会を開催しました。この党大会は前回の第二十三回党大会と並んで日本共産党の歴史の中でも特記すべき大会となるでしょう。その理由は一体なんでしょうか。
 まず第一に、不破議長の退任があったことです。不破哲三といえば、ズル顕の子飼いの若手理論家として異例の抜擢を受け、一九六九年の衆議院選挙で初当選をして以来、宮本顕治と並ぶ共産党の顔として君臨してきました。またこの間宮本―不破体制を不破―志位体制へと軟着陸で転換させた立役者ではありました。特に前回の第二十三回党大会では不破綱領とでも形容すべき従来からの共産党綱領の一新を果たし、天皇制との共存をもめざしたその政治的柔軟路線を明確にしました。今回不破議長は確か七十八歳の高齢を理由にして議長からの退任を明らかにし、その実兄である上田耕一郎とともに事実上の引退をしました。そして志位―市田体制の確立とはなりました。この体制は指導力不足の指導体制となることは明白です。なぜなら志位和夫はその政治的デビューの時以来、共産党の躍進を勝ち取ったことは一度もないからです。まさに実績がそのことを雄弁に物語っています。
 その第二は、「衆議院小選挙供託金支援基金」制度を設置したことです。設置の趣旨は、日本の異常に高い供託金制度が少数政党の選挙そのものからの締め出しを狙った反民主的な制度であって、この壁を破り、国政への民意の反映を中心とする選挙制度の民主的な改革をめざすためにも現行制度での議席の増加を保証する財政を確立するというものです。ここで明らかなことは、この基金を設置して全小選挙区への候補者擁立を今後も続けていくとしていることです。いうまでもなく、今の小選挙区での選挙の実態を見ると、当選の見込みなく小選挙区での候補者として擁立されるのは、いわゆる党の地区委員会の常任活動家です。彼らの普段の活動とは、地区委員会の事務所に詰めて、電話の応対や大量の文書作成や党中央の文書の発送です。党員間では、支部や党員を「指導」と称して”やれやれ主義”を振りかざして引き回し、大衆とまったく無縁のところでその「政治活動」をしている人たちと露骨に批判されているとのこと。寒々しい共産党組織の実態が何と見事に暴露されていることでしょうか。こうした選挙活動を継続しているかぎり、半永久的に小選挙区では議席など取れないでしょう。一選挙区あたり三百万円の供託金が、今回の総選挙でも、六億六千九百万円国庫に没収されていることを考えるとこの基金の設置により党員や支持者の貴重な資金の無駄遣いを正当化すらすることになるでしょう。問われているのはこうした当選の見込みがない中での選挙戦術の見直しなのです。
 その第三は、党大会後、社民党に改憲阻止の一点で共闘を呼びかけたことです。この点については、頑迷固陋の共産党指導者もついに現実に追い込まれてこうした選択をせざるをえなかったかと私は考えております。このためにこそ、不破議長の退任は不可欠であったとの判断を私は持っていますが、こうした対応は、今までのようなすべての小選挙区での立候補などはやめ、急眉の課題である憲法改悪阻止の一点で一致する政党や各種団体と共闘組織をつくり、党は全国の支部を通して草の根で大衆とつながっているという強みをフルに発揮して”縁の下の力持ち”としてたたかいを進めていくのが今の情勢にかなった小選挙区でのたたかい方と考えいる現場の党員の考えともマッチしたものゆえ、当面の闘いには歓迎すべきものだと判断されます。
 今後小泉内閣が仕掛けてくる憲法改悪や教育基本法改悪と軌を一にした国民投票法案の粉砕のために闘いを強めていく必要があります。       (笹倉)


世界の多様な文化遺産を手がかりに共生へのシンポに参加して

 オーストリアの研究者が、先住民が優れた文化を持っていたことの研究に取り掛かったことの意味は、もう多くを言うまでもなかろう。
 これに関することでもあろうが、思い起こすことは2つ。@私が4年間通った沖縄で、無遠慮な私がしょっちゅうぶつかって、不信を買ってしまった失敗もあった。しかし、沖縄戦のあと、半年も日本の政府も見捨てた沖縄の人々がどのように生きたか。今は埋もれてしまっていた女性ナツコ≠掘り起こしたのが、京都出身のあるジャーナリストであったことに、救われたように思ったものである。
 Aさらに沖縄の先祖崇拝は、私どもには理解しがたいほどのもので、沖縄の反戦ばあちゃん≠フなかで、先祖の墓を作るためにある夫婦が南洋のどこかに出稼ぎに行った。そこで夫婦が路上生活者同様のくらしをしていた時、先住民の人が家の半分を提供してくれて、同居していたそうだ。その先住民のやさしさ≠ヘ、現在の私どもにはとてもマネできぬと思ったが、食生活では先住民の人がコウモリを食うのには参って、タバコのみになってしまったとか。
 この記録は、話を書き留めたものもので、一切かざり気なし、つまりええ格好しない−かくさない′黷閧ナあったことに感銘したものであった。
 近代化に伴う個人主義は良い面もありながら、一方を排除する面もある。フランスへ渡った佐伯裕三がフランスの個人主義の壁にぶつかり、付き合える人はロシアを逃れてきた老郵便配達員とか(彼の残した画から)地方の職人さんとかだったらしい。その後、精神を病んで亡くなった。
 このことからも、近年開かれた共同体≠ニか、個個の壁をできる限り低くして、共有しうるものを探し求めることがはじまったようであった。が、それでもきしみ≠ヘ絶えない。
 アジアでは、ガンは上意下達の構造が末端まで、まだまだ克服し得ない状況があるということは、誰しも感じていて、反省期に入っているようである。ともに繁栄を≠ノ軽んじつつあるようであるが。
 だから戦前・戦後を生きた者は、たとえ芸≠ェなくてとも、どこの国の人々も好きだが、どの国も嫌い=|フジ子・ヘミングさんのことば−に共感する。かつて満州へ新天地を求めて渡った者も、棄てられてもけものたちは故郷をめざす%r中で悲劇を味わった。
 こうした経験せずとも、若く中堅層が二度とドンパチは起こさぬようと覚悟しつつ、新しい展開を試みている努力が全体のものとなればと願う。具体的には科学が大地の生命も、あらゆる生命に寄与するものであってほしいと。だがそれをなしえず、むしろかつての戦争に加担した者として願っているし、老いの身で何ができるかと、一向に役にも立たず、人にも懐かぬネコ族の弁護位しかできないのが残念。
 どの国でも国益とかでええ恰好して≠ワちがいを起こさぬようお願いするし、上意下達の意識構造を何とかならんもんかな?落ちこぼれの塾≠フ先生をして果てた友の残したコトバ、やる気を起こさせる≠ワでが大変とか。彼女は多くの名言と実践を残して去った。 2006・1・16  宮森常子

 宮森さんの文章に先住民の人のことが紹介されています。たまたま、図書館から借りてきた本「今日は死ぬのにもってこいの日」が手元にあります。タイトルに惹かれ手にしたのですが、そこにはニューメキシコ州のタオス・ブエフロ・インディアンの古老の言葉が記されていました。30年以上も彼らと交流を持った、ナンシーウッドという女性が綴ったものです。ある昼下がり、自分の家の屋根に座り古老が語った言葉は、現代社会にどっぷりと浸かった生活に投げかけるものがありました。
「白人の困ったとこ、どこか君知ってる?連中は根なし草なんだ。いつもどこかへ根づこうとしている、ところが連中、すぐに風に吹き飛ばされっちまう、なぜってやつら脚に『車』くっつけて生まれて来てるんだもんね。兄弟よ、あなたはわたしに戦いを挑む。兄弟よ、あなたはわからないらしい、わたしたちが今あるようにしか、生きられないってことが。兄弟よ、あなたはわたしとは違う歌を聴いてきたんだ。兄弟よ、あなたはわたしとは違う踊りを踊ってきたんだ。兄弟よ、わたしは今、あなたの顔を知らないというのに、いったいどうやって、あなたをわたしに惹きつけることができるだろう?」
「今日は死ぬのにもってこいの日だ。生きているものすべてが、わたしと呼吸を合わせている。すべての声が、わたしの中で合唱している。すべての美が、わたしの目の中で休もうとしてやって来た。あらゆる悪い考え方は、わたしから立ち去っていった。今日は死ぬのにもってこいの日だ。わたしの土地は、わたしを静かに取り巻いている。わたしの畑は、もう耕されることはない。わたしの家は、笑い声に満ちている。子どもたちは、うちに帰ってきた。そう、今日は死ぬのにもってこいの日だ」
 教科書にも転載されている貴重な言葉のかずかず。1974年の出版ということは、もう30年が過ぎたことになります。古老の教えは、どうなったのでしょうか。それぞれの民族の文化・慣習を無視し、国益を押し付ける世界観が、より一層強まった感じがします。戦争反対の声をさらに広めましょう。    (恵)


色鉛筆 「介護日誌 9」  あ〜お金が出てゆく・・・!!
 
 昨年10月に介護保険法が改正(改悪だ!)され、それは現在「介護度4」の母を抱えている我が家に、予想外に重い負担増となって襲いかかって来た。
 改悪により、ショートステイ中の食費と居室使用料(個室と大部屋で料金が異なる)、デイサービスでも「おやつ代も含む食材料費」という名目が新に自己負担ということになった。ほぼ月に平均14日間のショートステイと、7日ほどのデイサービスを利用中の母の負担金は大きくはねあがる結果となった。
 昨年11月からのショートステイ(14日間)での食費代が17,220円、居住費が11,120円で合計「28,340円」が新に請求された。12月(13日間)では、食費16,340円、居住費4,160円(幸い大部屋だったので安く済んだ。空きが無い限りこちらで選ぶ事はできない。)で合計「20,500円」の負担増だ。これにデイサービスでの食費の自己負担分を加えると、月平均25,000円から35,000円もの新たな出費となってしまった。
 これらの利用料金の他に、訪問看護も含めた医療費やおむつ代、車椅子や介護ベッドのレンタル料などの必要不可欠な出費がある。対応策として、ショートステイやデイサービスの利用を減らすことも考えねばならないかもしれないが、しかしそうなったら母自身の心身の健康状態の安定や、清潔の確保(入浴させてもらえることは本当にありがたい!)、そして何より介護する私たち家族の側の休養が取れなくなってしまう。母のわずかな年金から、月額2,950円一年に換算すれば35,400円もの介護保険料をむしり取られながら、なぜこんなに頭を抱えねばならないのだろう?これから月に70,000円近くにもなってしまった母の介護にかかわるお金を、どうひねり出してゆこうか途方に暮れている。
 1月26日、ふとつけたテレビの国会中継(衆議院予算案質疑)で、小泉総理が「お金が無くても幸せな人はいる。お金があっても不幸せな人もいる。」続けて「夢と希望とサムマネー(があれば)」とのたまうのを見た。この国の総理は、無知で無神経、能天気そのものだと心底思う。年寄を抱えて右往左往することも、病気や障害で路頭に迷うことも無い、これからも決して無いと思っているのだろう。だからこんな無責任な「ことば遊び」をして国会の椅子に座っていられるのだ。「夢と希望と『貧しい人々に必要かつ充分なお金を!』」と、声を大にして言いたい。(澄)
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