ワーカーズ325 2006.7.15.
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独裁維持のための北朝鮮の瀬戸際政策と大国の国益エゴのパワーゲームを許すな!
金正日の愚行を笑えぬ敵地先制攻撃論
北朝鮮のミサイル実験に対し、日本政府は「世界の平和と安全に対する脅威だ」と叫んで、国連安保理での制裁決議を求めている。制裁決議は、北朝鮮や他の国連加盟国に遵守義務を課すとともに、将来の制裁や武力行使も可能とするものだ。
しかし、その日本の前に、北朝鮮に大きな影響力を持つ中国が立ちはだかった。中国としては、北朝鮮の体制の動揺や崩壊がもたらす経済的・政治的負担やアメリカの東アジアでの影響力の拡大は容認出来ない。中国は、英仏など他の常任理事国も巻き込みながら、強制力のない非難決議を目指して支持を広げている。
北朝鮮と中国への圧力のために当初は日本に制裁論をけしかけたアメリカも、予定通りにというべきか、いまでは硬軟両様の姿勢に転換しつつある。アメリカとしては、ミサイル実験を行ったくらいで北朝鮮を決定的に追いつめてしまうわけにはいかない。イラク戦争では窮地に追いやられ、イランの核開発計画をめぐっても膠着を強いられる中、朝鮮半島で新たな緊張を高めるわけにはいかないという事情もある。しかしより大きな理由は、アメリカが北朝鮮について最大の問題としているのは核開発であり、ミサイル問題は二の次だという事情である。北朝鮮の核開発にタガをはめ、それを断念させる方法としては、当面は中国やロシアを巻き込んだ六カ国協議の場が有効だと見なしているのである。
「はしごをはずされた」感が否めない日本政府であるが、彼らの愚かさしさは「敵地先制攻撃論」によってさらに浮き彫りにされた。安倍や麻生や額賀や武部ら小泉政権の幹部連中は、今すぐにでも核弾頭を積んだノドンやテポドンが日本に打ち込まれる危険性があるかに世論を煽り立て、ならばその前に敵を攻撃出来るようにしなければ、と発言したのだ。
しかしこの妄言に対しては、労働者・市民から批判の声が上げられるばかりか、軍事評論家、自民党幹部、メディアなどの間にさえ嘲笑が広がった。また韓国や中国の政府の激しい反発も呼び起こした。
日本の支配層は、どうやら彼らの野望の前に立ちはだかる壁の厚さ、その構造の複雑さを認識する能力さえ欠いているようだ。教科書問題や靖国問題を見てもそれは明白だが、しかしそれがこの国の支配層の宿業、変わらぬ本性なのだろう。
労働者は彼らとともにアジアの孤児となる道を歩むわけにはいかない。軍事強国化、覇権国家をめざす策動をくじこう! 北朝鮮の独裁体制維持の策動、諸大国の国益エゴのパワーゲームを許すな!(7月13日記 阿部治正)
北朝鮮脅威論を口実とした軍備拡張を止めよ!――脅威論は攻撃的兵器保有の通過点――
北朝鮮が弾道ミサイルを発射したことに日本中、とりわけ政府・自民党が大騒ぎしている。
政府は北朝鮮の万景峰号入港拒否などの制裁措置を発動、また強制力のない名目的な国連議長声明ではなく、強制力のある安保理の制裁決議案を通そうとして、米国顔負けの異例の強硬策をもって安保理での多数派工作を推し進めている。
これまでも北朝鮮の“瀬戸際政策”を口実とした軍備拡大を進めてきたが、こうした動きと歩調を合わせるかのように、いままた政府関係者は新たな軍拡の野望を声高に語り始めた。
北朝鮮のミサイル発射は、究極的には金正日独裁体制の維持を目的とした危険な冒険主義的な“瀬戸際政策”の一環でしかなく、どんな正統性も無い。それと同じように、北朝鮮の脅威を声高に語ることによって北東アジアで優位な地位と軍事力の拡大をもくろむ自民党・政府の策謀も許すことは出来ない。(7月11日)
■ミサイル発射しか残されていない北朝鮮
米国や中国を含めてあらゆる方面から警告や自制を求める声が出ていたにもかかわらず、北朝鮮は弾道ミサイル発射を強行した。しかも着弾地点に関する警告も一切なしの蛮行だった。
北朝鮮がなぜミサイルを発射したのかという国内状況については確かなことは分かっていない。しかし膠着している「6カ国協議」の打開、あるいは対米、対日関係の打開のための”瀬戸際政策”の一環であることは疑いない。
この背景としては、北朝鮮の核開発をめぐる6カ国協議の膠着で、金正日体制の保証を米国から取り付けることが出来ないでいることがある。もっと直接的な動機としては、金正日の金庫の役割を果たしてきたマカオの銀行にある北朝鮮のドル口座が、北朝鮮のニセドル札製造への制裁措置として米国の金融当局が凍結したことで使えなくなったことが指摘されている。それだけ金正日政権の台所事情の窮迫が深刻になったわけだ。さらには迷走する拉致事件など、日朝関係正常化の停滞などが背景として推察されている。
北朝鮮は米国のイラク攻撃をみて、核兵器を持たなかったことや査察を受け入れたから攻撃されたとの教訓を引き出し、核兵器の保有を「宣言」した経緯がある。今回もあえて強硬姿勢を示すことで米国や日本の譲歩を引き出すねらいがあった、というのが常識的な見方だろう。それだけ食糧不足をはじめとした経済的逼迫は深刻であり、また部分的市場経済の導入などの経済改革もうまくいっていないとの情報もある。周囲からの孤立状況を打破して開放政策へと切り替えていかない限り、北朝鮮の将来展望も開けないというのが北朝鮮が置かれた冷厳な現実だ。だから今回の弾道ミサイル発射から、性急な危機論を煽るのは、国際政治のリアリズムからして現実離れした話だろう。
とはいっても、金正日の軍事突出政策=先軍政治は北朝鮮国家というよりも金正日体制の維持のためのものであり、またミサイル技術は現在の北朝鮮にとって貴重な輸出資源であることを考えれば、今後もミサイルの開発・実験は継続される確率が高い。そうした軍事優先の金正日体制と危険な“瀬戸際政策”は、北東アジアでの軍事的緊張の拡大と日本の軍拡の口実を呼び込むだけである。
■ダブルスタンダード
それにしても北朝鮮によるミサイル発射事件での政府をはじめとする日本国中の大騒ぎは異常であり、それだけ危険な野望を内に秘めたものだ。それに米国や日本のダブルスタンダード=自己中心主義は目に余る。
米国は諸外国のどんな批判にも耳を貸さずに核兵器を含め通常兵器でも、世界のどこでも、地中の中でも宇宙空間でも、あるいはコンピューターシステム上でも、あらゆる攻撃が可能な兵器の開発・配備を進めている。アフガンやイラクでは現実に一方的な武力攻撃を強行し、いまも偵察衛星や各種情報収集システムがイランや北朝鮮の詳細な動きを監視しながら、軍事的な標的をいつでも攻撃できる態勢を取っている。
日本も同じだ。巡航ミサイルや空母あるいは戦略爆撃機こそ保有してはいないが、それでも最新式の戦闘爆撃機やイージス艦などを保有することで、北朝鮮の戦闘能力を遙かに上回る軍事力を保持している。自衛隊と在日米軍、それに米太平洋軍などの戦闘力で北朝鮮の軍事力を完全に包囲しているのが現実だ。仮に北朝鮮が米国のアラスカの凍土や日本をミサイル攻撃した場合、それは直ちに自衛隊や米軍の反撃を呼び起こし、北朝鮮の軍事力は壊滅的な被害を受けるだろう。まだ技術的にも不可能とはいえ仮にテポドンが米国の都市に打ち込まれでもしたら、それこそ北朝鮮は廃墟になる。そうした結末が分かっているからこそ、北朝鮮は朝鮮戦争以来一度も韓国や日本、まして米国本土への武力攻撃はしてこなかったし、出来もしなかった。やれたことはといえば、せいぜい領海や経済水域をめぐる小競り合いや潜水艦による工作員の送り込み、あるいは漁船を装った情報収集という、時代遅れの骨董品とも言える小細工ぐらいだった。米国や日本など、自分たちが当然のこととしてやっていることを相手には許さない、こうした軍事大国の自己中心主義=ダブルスタンダードこそ国際関係の緊張を拡大しているのだ。
逆に視点を変えて北朝鮮から見た場合はどうか。金正日政権から見れば、米国からは体制転覆の恫喝を突きつけられ、実際に攻撃できる強大な軍事力を保有している米国、それを支える日韓の軍事力に包囲され、夜も眠れないという強迫観念にも似た受け止めかたをしているのは容易に推察できる。そうした事情を考えれば、旧ソ連の崩壊で最大の援助国を失った後、中国の後ろ盾を唯一の支えとして、日米、韓国などの包囲網の中でかろうじて延命してきた金正日体制による精一杯の強がり、それが今回のミサイル発射の真相というべきだろう。
こうした北朝鮮をめぐる構図が変わり掛けた瞬間があった。小泉訪朝による日朝共同宣言だ。あのとき小泉首相は拉致問題の解決という直接的な個人的実績づくりに突き動かされていた側面もあるが、それ以上に日朝関係の包括的な解決による北東アジア関係の再編成という方向性も見据えていたと思われる。しかしその場面で米国は、米国から自立して北東アジア秩序を塗り替えようとした小泉政権の足を引っ張った。小泉訪朝直後、米国は北朝鮮の核保有説を流したのだ。拉致被害者をめぐる軋轢などもあって、その後上記の思惑は軌道修正を余儀なくされたのは記憶に新しい。
北東アジアをめぐるこうしたいきさつも考えれば、最近の北朝鮮脅威論の拡大は、北東アジア関係の改善ではなく、北東アジアの緊張拡大という日本にとっての別コースを意味するだろう。さもありなん、早速脅威論とセットになった軍備拡大の野望がうごめきだしている。
■繰り返される「対抗策」
政府による国連での制裁決議の推進と併行するかのように、自民党などから新たな軍拡のアドバルーンが上げられた。それは敵地攻撃力の保有、それに先制攻撃論だ。
7月10日には阿部官房長官が敵基地攻撃能力の保有の可能性に言及した。麻生外相は9日、先制攻撃論をほのめかした。額賀防衛庁長官も攻撃を受ける前の先制攻撃の可能性について発言している。政府の要人が相次いで敵地攻撃と先制攻撃の可能性について言及し、北朝鮮のミサイル発射に直接対応する形で従来からの野望を反映した声を上げ始めた。小泉首相が慎重姿勢を示しているように、これが直ちに現実のものになるかどうかは不透明だ。が、北朝鮮脅威論からはすでにいくつかの対抗策が実現している。
一つは98年のテポドン発射に対する対抗策として実現した偵察衛星の保有だ。これはすでに2機運用されている。もう一つはいわゆる米国のMD(ミサイル防衛)に連動したミサイル迎撃ミサイルの開発・保有だ。
偵察衛星はテポドンの発射直後に保有を決め、03年3月に打ち上げられて翌年から本格的な運用が始まっている。防衛庁・政府は公表していないが、北朝鮮の軍事動向の偵察はかなり進んでいるようだ。北朝鮮から見れば、他人に見られたくない裏庭や台所などを覗き見されているようなものだろう。
当初偵察衛星は北朝鮮からの脅威に対する純粋な防衛的なものだと強調していた。しかしそうした兵器などあるはずが無く、たとえば偵察衛星もそれが相手国の動向をキャッチすることに止まるならば何の意味もない。その情報をもとにして事前に防御態勢を取るとか、今回も浮上したような飛んでくるミサイルを打ち落とす、攻撃を防ぐ目的で事前に先制攻撃をする、という行動とセットになって初めて意味を持つものだ。
またもう一つは飛んでくるミサイルを打ち落とすためにという名目で、すでに導入が計画されている海上配備型のSM3(スタンダードミサイル)と陸上配備型のPAC3(パトリオット)ミサイルだ。PAC3は首都圏防衛などを目的に4基配備される予定で、そのうち一基は今年度中に配備される予定だ。この他、改良型の迎撃ミサイルシステムを日米共同で開発してもいる。テポドン発射を期に、北朝鮮脅威論を煽りながら世論の高揚を引き出すことで、ものの見事に最新兵器の開発・配備につなげたわけだ。
■北朝鮮脅威論は攻撃的兵器保有の通過点
今回も出ている攻撃的な兵器とは、具体的には巡航ミサイル、弾道ミサイルのことであり、究極的には戦略爆撃機、空母、大陸間弾道ミサイルの開発も含まれる。政府や防衛庁はそれらの製造・配備を念頭に置いて着々と伏線を張ってきた。空中給油機の導入、外観が空母そっくりの「輸送艦」の製造、地形情報収集衛星、H5,H2ロケットの開発等々だ。
北朝鮮による今回のミサイル発射は、こうした野望をうちに秘めた日本の防衛族などにとって千載一遇のチャンスと写ったことだろう。軍拡には口実が不可欠だ。その理屈付けには北朝鮮=ならず者国家論、脅威論が最も便利で有効だ。
とはいえ、北朝鮮脅威論を煽っている自衛隊や防衛族などにとって、本当の仮想敵国は中国だというのが彼らの共通した本音だ。昨年12月に訪米中の民主党の前原前代表が、中国は「現実的な脅威」だと言ってしまった。これは自民党や国防族の本音でもあるが、「現実的な脅威」と言ってしまえばそれへの具体的な備えは一対のものだから、そのときはさすがに政府としてはそこまでは踏み込まなかっただけの話だ。北朝鮮脅威論は彼らにとって通過点でしかない。
現に小泉首相も7月6日夜の会食で「プレスリーの館に行っている時にテポドンが飛んで来なくて良かった」と軽い発言をしたそうだが、本当は北朝鮮のミサイルが数発飛んできても大して心配していないのが本音だ。しかし、飛んでくるミサイルを何とかしなければといった素朴な世論に対しては、偵察衛星、迎撃ミサイル、敵地攻撃の必要性は世論的にみれば非常に単純で分かりやすい論理だ。軍事整合性論からはそうした方向性しか出てこないからだ。だから軍事増強論者には、北朝鮮の瀬戸際政策は日本の軍備増強をもくろむ勢力にとっては涙が出るほどうれしい話なのだ。
北朝鮮の挑発行為は許せないが、それ以上に危険な「かつてきた道」に踏み出しているのがこの間の政府の対応だ。北朝鮮=ならず者国家論、北朝鮮=脅威論をテコとした軍備増強路線を私たちは決して許さない。(廣)
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予想通りの金利引き上げと強化されたバーナンキ体制
予想通りの金利引き上げ
六月二九日、米連邦準備制度理事会(FRB)は、金融政策を決める連邦公開市場委員会(FOMC)の二日目の会合を開き、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を、予想通り0・二五%引き上げ、年五・二五%にすることを決めた。これで一七回連続の短期金利引き上げとはなった。次回のFOMCは八月八日に予定されているが、そこでももう一回引き上げは確実とする意見が、関係者や市場の大勢である。もちろん連銀の公式見解は、「インフレ防止」を理由にしているが、現在の米国を含めた世界経済の基調が、大幅なインフレの脅威にさらされているの危機感はまだないようだ。確かに原油の先物相場が、この一年でほぼ二倍にはなったが、だからといって全面的な物価上昇を齎してはいないからだ。決定後の声明では、将来のインフレ懸念を指摘しつつも今後の金融引き締めをさらに続けるか否かは景気次第と明記し、近い将来に利上げを休止する可能性を示唆したのであった。
このことは、米連銀が日本からの巨額の資金流入を維持するために、日米間の「金利格差」を拡大する路線を今後も維持する必要があり、米国の短期金利を継続的に引き上げる政策を採ることを示している。現在、日本は米国に巨額の資金を提供しており、米国にとって日本からの資金流入を抜きにしては、ニューヨークの「金融センター」の機能を維持出来ないとの認識が、米連銀の金融政策の基本路線なのである。
ゼロ金利と「円安ドル高」
実際、日米両国間の「金利格差」の拡大は、日本から米国向けの巨額の資金流出の呼び水となってといる。日本の金融市場の「ゼロ金利」政策で、個人・法人と日本経済の全部門で大量に発生する当面投資先の見当たらない「余裕資金」が、少しでも有利な投資先を求めてニューヨークの金融市場に移動するのは、当然の展開である。
また政府が為替市場に「ドル買い介入」を実施するまでもなく、市場での民間同士の取引で発生する大量の「円売りドル買い」が、貿易決済で流入する「ドル売り円買い」を上回る限り、市場の自然な活動の結果として「円安ドル高」が発生し、変動相場制の下では自然な市場の反応である。今回の米連銀の短期金利引き上げもこうした情勢をさらに継続させるための対策と考えなければならない。
今年四月下旬以降、米金融当局者による急激な物価上昇を懸念した発言が続き、金利先高観が台頭して、米景気の先行きに不透明感が広がり、株価は下落していたが、三月二九日、ニューヨーク株式市場のダウ工業株三0種平均は、米連邦公開市場委員会(FOMC)声明で利上げの長期化懸念が後退したことから急伸した。終値は前日比二一七・二四ドル高の一万一一九0・八0ドルと、0三年三月以来、約三年三カ月ぶりの上昇幅となった。
翌三0日、ブッシュ米大統領は、空席だった連邦準備制度理事会(FRB)理事にコロンビア大経営大学院のフレデリック・ミシュキン教授を指名した。現時点で理事七人のうち二人が空席であった。ミシュキン氏は、物価動向を実際の政策と密接に関連づけるインフレ・ターゲット論者で、二月に就任したバーナンキ議長との共著もある。
この人事が苦境に立つバーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長の支援のためのものであることは誰の目にも明らかである。 (直記彬)
色鉛筆 史上最低出生率1.25
女性が産む子供の平均数を示す合計特殊出生率が、04年の1.29から0.04下がって05年は1.25と史上最低の出生率となった。(長期的に人口維持できる水準は2.07程度とされているが、それを32年連続で下回っているという)
政府が、10年以上にわたって取り組んできた「エンゼルプラン」「子ども子育て応援プラン」「次世代育成支援維持法」などの少子化対策がなんの効果も上がらなかったことをはっきりあらわした。『厳しい数字です』(小泉首相)『ショックですよ』(自民党中川政調会長)と言いながら、政府はまたまた新しい少子化対策を打ち出したが『児童手当の支給拡充、保育料などの負担軽減、高校大学生の奨学金事業充実、妊娠中の検診費用の負担軽減、若年層の育児費用軽減など、さまざまな経済的支援策が盛り込まれた。しかし、具体的な額やその財源については議論を先送りした』というのだから驚いてしまう。いかに口先だけかと言うことがわかる。
こうした施策では今までの少子化対策と何も変わっていない。これではますます少子化は進むだろう。このまま少子化が進めば年金、医療、介護などの社会保障制度に大きな影響を与え、ますます私達の暮らしは苦しくなっていく。私は、少子化をくい止めるには、男性も女性も労働時間を短くするべきだと思う。男性も家事育児に向き合って家族でゆったりと過ごす時間をつくることが何よりも少子化対策になるのではないだろうか。
私の息子も結婚をして、若い2人が都会で暮らし始めた。2人とも同じ職場で中小企業の民間会社に勤めているが、勤務時間があってないようなもので仕事がある限り終わりがないようで長時間労働を強いられている。帰宅時間が夜中の12時過ぎになることもあり、休日でも携帯電話で連絡が入ればすぐ現場に駆け付けることもあるらしく、私としてはいつ倒れてしまわないかとハラハラしている。2人で人生設計を立てているようだが、今の仕事では子供を産んで育てられないという。ならば、どちらかが仕事を辞めて子どもを育てようかと考えると、どちらかの1人だけの給料では暮らしていけない。長時間労働させられても残業代はつかなく、安い給料なのでアパート代で半分はなくなってしまうのだ。これでは子供を産んで育てられない、だから子どもはもう少し後にしようかという結論になったらしい。自分たちの暮らしに精いっぱいの2人には、子供を持つことができないとはなんと貧しい社会だろう。子どもが欲しいと望む2人が産み、育てやすい社会を目指していきたいと思う。ああ、少子化問題は人ごとではなく私の家族にも少子化が起こっている。早く孫の顔が見たいと待ち望んでいる私だが・・いつになることやら・・・(美)
居直り続ける福井日銀総裁とゼロ金利解除
宮内氏と福井氏の深い関係
六月二九日、福井日銀総裁の村上ファンド出資問題をめぐり、衆院財務金融委員会でいったん合意した宮内オリックス会長の参考人招致が見送られたことが明らかになった。
関係者の証言では、二八日の自民、民主両党の同委筆頭理事が「七月七日招致」で合意し、宮内氏も応諾していたが、その後、自民党内で改めて協議した結果、一転して招致を断念したとのことだ。世論の七割が日銀総裁の辞任を求める中で、自民党の対応は糾弾の対象だろう。
同党が招致見送りを決めた理由は明らかにされていないが、当然にも関係者は「執行部から国対レベルに圧力が掛けられた可能性」を指摘している。実際に宮内氏の招致が実現すれば、福井総裁の進退問題に影響を及ぼしかねないと判断した可能性が強いのである。
オリックスの宮内氏は今年三月末時点で村上ファンドに約二百億円を運用委託おり、宮内と福井両氏は経済同友会の幹部同士で親交が深く、ともに村上ファンドを支援していた。
また福井総裁が村上ファンド向けに拠出した一千万円は、オリックスが幹事役(業務執行組合員)を務める「アクティビスト小投資事業組合」が受け皿となった。そこから「統合アクティビスト投資事業組合」を経て「MACジャパン・アクティブ・シェアホルダー・ファンド」に入り、村上被告が標的とした株式の購入に充てられていた。
投資事業組合方式は資金の流れを複雑にするが、投資家には匿名性を保てる利点がある。福井総裁以外の村上ファンド出資者、たとえば経済同友会幹部の牛尾冶朗氏は何と一七億円も投資していたが、それぞれ業務執行組合員であるオリックスと契約した上で、同様の方式で資金運用していたとみられるのである。
これについて、福井総裁は「運用指図を一切していないし、どういう銘柄の取引かも分からない。そういう点で一般の株式投信と変わらない」と説明した。また、「村上ファンドに関する件で、(宮内会長とは)一回も話をしたことはない」と明言している。まったく白々しいとのはこうした事を言うのである。
また六月二九日の記者会見で、オリックスの宮内会長は、福井日銀総裁の村上ファンドへの投資窓口がオリックス傘下の投資事業組合だった問題について「資金運用する方にファンドをお世話するのが事業の一つ。通常業務の一環だ」と説明し、彼に対しても特別な便宜は図っていないと強調した。そして、オリックスが支援した同ファンドの村上前代表が逮捕、起訴された事件については、ファンドの投資判断には関与せず「責任は感じられない」と説明し、野党が求める宮内会長の参考人招致についても「民間同士の契約関係であり、国会にそぐわない気がする」と消極的な姿勢で逃げ隠れする醜さを露呈させた。
福井氏の居直りとゼロ金利解除
さらに六月二九日、民主党は日本銀行の福井総裁が村上ファンドに一千万円を拠出していた問題で、福井総裁の預貯金(今年三月末現在一億八千六百六十万円)のうち、一二万ドル(約一千三百九十二万円)が米ドル建ての定期預金で運用されていたことが分かったと発表した。民主党の問い合わせに日銀側が回答して発覚したという。
民主党は福井総裁を衆院財務金融委員会に再度、参考人招致するよう求める方針だが、与党側は応じない構えだ。日銀は、「民間人の時の契約をそのまま保有しており、何ら問題ない」とコメントしている。まさにいわずもがなの呆れ果てた見解ではある。総裁批判は日銀ではタブーだと言うことがこの事実からも確認できる。
こんなにも破廉恥な福井日銀総裁が辞任する必要はないと小泉総理大臣は二度も発言して私たちを唖然とさせたが、経団連会長も辞任をする必要がないと重ねて表明している。
七月十日の記者会見で、日本経団連の御手洗会長は、村上ファンドを通じた資金運用が発覚した日銀の福井俊彦総裁について「(総裁は)深く反省、謝罪し(同様の問題が)再発しないように前向きな責任を果たした。今後は金融政策にまい進してもらいたい」と述べ、辞任の必要はないとの考えをあらためて強調した。また日銀が役員の金融商品の取引や保有を制限する新たな内規を七月中にまとめる見通しとなったことに関しては「米国、英国と比べてもより厳しい内容になっている」として、新ルールを支持する考えを明らかにした。このように廻りの者に腫れ物に触るような態度を取らせるのは、「円のプリンス」の実力のゆえなのであろうか。なるほど私たちには想像を超えている世界の話ではある。
同日の七月十日、日銀は、今週後半に開く金融政策決定会合に向け、金融、経済情勢の最終調整に入った。この背景には、政府・与党がゼロ金利解除を容認する姿勢に転じた上、株式相場も反転の兆しを見せ始め、六年ぶりの利上げに向けて条件が整ったと判断した事が挙げられる。金融・証券市場で波乱が起きない限り、日銀が一四日の政策委員会・金融政策決定会合で解除に踏み切るのはほぼ確実だとされている。
短期金利の誘導目標(現行ゼロ%近辺)を0・二五%へ引き上げるほか、金融機関に貸し出す際の公定歩合(同0・一%)については0・三五〜0・五%の間で調整を進める。既に三月には、量的緩和政策をやめてゼロ金利政策の解除を決める方針を固めていた。六月にはゼロ金利を止めるかのような言動があった。したがって、二月に村上ファンドへの投資を止めたことは、村上氏を応援するために投資したとは言いながらも、株価下落を読んだ上での決断であったことは間違いのないところだ。そして、いったん解除に踏み切った後は、当面低金利政策をしばらく続けて追加利上げを急がないことを、福井総裁が記者会見などで表明する考えだとも伝えられている。
結局の所、福井日銀総裁のスキャンダルの発覚は、ゼロ金利が解除されるのをほぼ一ヶ月ほど遅らせるためのものでしかなかったことが明らかになったのである。
(猪瀬一馬)
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「9・11陰謀説」の世界的拡大の現段階
0六年七月一日の日刊ベリタには、石山永一郎氏の署名による記事が掲載されています。それによると「9・11陰謀説」が無視できないまでの世界的な拡大があるとしています。 残念ながら私は有料読者ではないので、「世界の多くの人々は『2001年9月11日』を少なからず意識している。しかし、その『転換点』そのものは、これまで検証の対象とはされず、あくまで『前提』とされてきた。嘆き、怒り、悲しみも、口角泡を飛ばす論戦も、武器を手にした戦いも『前提』を受け入れながらのものだった。しかし、今、『9・11の真相』に疑問を抱く人々が米国内でも確実に増えている。はたして、それは、どこまで根拠のある話なのか。単なる妄想的な「陰謀説」なのか。現段階での論議を検証した」との記事しか読むことは出来ません。
そこで、かって見た『911ボーイングを捜せ』のDVDの日本語版作者、きくちゆみさんのブログのサイトから、関連サイト「911ボーイングを捜せ」から検索してみました。すると、今年の三月二二日と二三日、CNNニュースのトウナイトに二日に亘って登場した俳優のチャーリー・シンの「9・11陰謀説」における指摘を正しいと考える視聴者の割合は何と八十%を超えていました。とくにWTCのビル崩壊はデモリッション、爆破物によるビル解体工事の手法だとの暴露は信憑性が高いものと評価されています。ついにアメリカのマスコミも「9・11陰謀説」を取り上げ解説しだしたというのですから驚かされます。さらに今年の一月四日には、オーストラリアで、DVDの日本語版の『911ボーイングを捜せ』を大きく改善したディレクターズカット版が、何とテレビ放送されたとのこと。また五月一六日には、事件発生以来、あれは仕組まれていたと一貫して主張しており、単行本まで出版している田中宇氏が「やはり仕組まれていた911」と題した記事を発表しております。この記事では、世界で今、「9・11」の何が問題とされているかが明らかにされています。無料なのですぐに読め、本当に一読の価値があります。
日本でも今年の一月には週刊文春に記事が掲載され、ごく最近では、0六年七月四日号の『SAP!』で、9・11を検証する特集が組まれました。編集担当者のコメントを引用すれば、「アメリカを襲った『同時多発テロ』から5年近くになろうとしています。日本ではほとんど報道されていませんが、最近になってアメリカ政府の調査報告書やマスコミ報道のおかしな部分が、物理学・航空学・建築学など各分野の専門家から数多く指摘され、真相究明を求める動きが活発になっているそうです。それは一体どんな内容なのか?『テロとの戦い』の発端となった事件の疑問点と、その真相に迫ります」とあります。記事内容は、「ペンタゴンに航空機は衝突しなかった!?」「実行犯は存命!?」など、日本のマスコミが黙殺する、アメリカ発の真偽不明情報を検証 したものになっています。皆さんもコンビニなどで是非手に取ってみてはいかがでしょうか。私は職場で『911ボーイングを捜せ』のDVDの日本語版を貸し出しており、会話が弾んでいます。(笹倉)
コラムの窓・先が見えない!
ボーナスの季節です。郵便局でも査定が入るということで、いずれ手取りも先細りするだろうと覚悟していますが、今回はまだ大丈夫でした。それより驚いたのは、貯金担当の職員が、昼食時に食堂前でティッシュを配っていたことです。それにはお知らせがついていて、昼休み時間に投資信託の説明会をするというのです。
以前は、「ひとまず定額貯金に」といった放送をしていましたが、今では1万円から始められる投資に手を染めろというのです。もちろん、「投資信託は、郵便貯金とは異なり、元本が保証される商品ではなく、価格が変動する商品です」という注意書もありますが、「高度な経済、金融知識を身につけた運用の専門家であるファンドマネージャーが、お客様に代わって大切な資金を運用します」と、堅実さを強調しています。
しかし、株等への投資は社会的な富を生み出すものではなく、儲けと損失は表裏の関係にあります。堀江や村上が濡れ手にアワで億の単位の利益を得ているとき、誰かが同じだけの損失を蒙っているのです。その場合、より多くの情報に触れることができるもの、例えば福井日銀総裁などが利益を得、幻想に踊らされた庶民は悪夢を見るのです。
公共事業として、「あまねく公平に」を理念としていた郵便局が、無残なものです。本紙6月1日号で触れた集配拠点の再編≠ェ、新聞などで具体的に報じられるようになって、関係自治体や市民から反発の声が大きくなっています。
私の職場でも、経費節減で「休憩所」がなくなり、昼に帰局しなければならなくなりました。その結果、1日の走行距離が70キロ弱から80キロ超えに延び、今はいいけど(バイクツーリングをしているような気分です)冬はどうなるのだろうと心配です。再編される地域を担当する郵便労働者は、100キロ超えは当然という事態になるでしょう。
とにかく、何でも評価にかかわるということで、接遇も一つ星≠ゥら二つ星≠ヨの勤務終了後の自主研参加に駆り立てられ、試験のために休日を潰さざるを得なくなっています。何しろ、二つ星≠めざす姿勢を示すことまでも評価の対象になるというのですからひどいものです。
私はといえば、相変わらず名札とネクタイ£用拒否で毎月訓戒≠受け、さらに接遇の改善スケジュール≠出さないということでもう1回、毎月2回も局長室に呼び出されています。そんな時に、局長が「夏は暑くて当然」だから今年はネクタイ不着用期間を設けない、と話しかけてきたのです。ネクタイを着けたことのない私になぜそんなことを言ったのかわかりませんが、こいつは職員をいじめて楽しんでいるのではと、その神経を疑うばかりです。
郵便労働者を苦しめているのはネクタイだけではありません。書留や小包の配達情報を入力するポケットリーダー(携帯端末)の煩雑な操作で、入力漏れ・誤入力がなくならないのです。毎日のように管理者はわめき散らしていますが、やっぱりなくなりません。ついに間違いがあったらその分だけ冷房を止めると言い出したのです。一体、何を考えているのでしょうか。
こうした意味のない苦痛を強いられても、ネクタイをはずすことは問責の対象≠ノなるからできないし、ありとあらゆる些細な事柄がチェックされ、査定の資料として蓄積されるのです。それらが、とりあえず来年の10月1日をゴールとし、さらに新たな出発点ともする大変動へと向かっているのです。
誰にも先が見えない。大リストラを敢行して郵便事業の黒字を実現してきた生田ら公社幹部は、郵便事業の公共性を破壊することの困難に直面しています。集配拠点の再編≠ヘその手始めです。民間資本と熾烈な競争するなかで、公共性を維持しながら黒字基調の郵便事業を実現することなど、そもそも不可能なのです。
郵便局職員もまた、民営化後の自分の仕事がどうなるのかわかりません。間違いないのは、労働者としての自覚も、人としての誇りも引き裂かれてしまうということです。そんななかでも、頑張り続けている郵便労働者は存在するし、消えてなくなることはありません。そこでのスローガンが、死ぬな、辞めるな、闘おう≠ナす。来年の10月1日以降も、この言葉を実践したいと思っています。 (晴)
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