ワーカーズ333号 2006.11.15.
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学校の予備校化が進む=必修科目の履修漏れ発覚
教育の荒廃を加速する安倍政権。
「競争原理・市場原理」を見直し、現場労働者の権限拡大と自立を勝ち取ろう!
安倍内閣の最重要課題である教育基本法の「改正」案が今国会で審議されている中、必修科目の履修漏れや教育改革タウンミーティングでのやらせ質問が明らかになった。
富山県立高岡南高校で履修漏れが発覚して以来、必修科目の履修漏れは、全国の国公立・私立の進学校のほとんどで行われていることが明らかとなり、その実態は数年前から継続して行われてきたことや、私立の中学校でも行われていた実態も明るみになっている。
今や、学校が予備校化し、小中学校もそれに伴う歪みのため、いじめへの対応の遅れなど、教育をめぐる問題は迷路に入ったかのように益々混迷を深めている。
安倍内閣の教育基本法「改正」の柱は「愛国心」と「教育再生」プランである。しかし、もっともらしい「愛国心」による倫理観の確立と「学校評価制度」や「学校選択制度」等の導入が、混迷する教育現場を一層悪化させるものでしかないということは明らかである。
安倍内閣の「改正」の基本は、小泉政権下で行われてきた学校経営への「競争原理、市場原理」の導入を引き継ぐものであり、その弊害を一層増長させるものに他ならないからである。
教育への「競争原理・市場原理」の導入によって、いじめ件数を「ゼロ」にするとか、有名大学への進学率を幾らにするとかの数値目標を設定し、他校と競わせ、達成状況を基に予算や給与に反映させる制度の下では、いじめの実態を無視しそれを隠したり、少しでも多くの生徒を有名学校に入れるための受験勉強を優先し、必修科目の履修漏れを行うようになるのは必然的なことではないか!
「競争原理・市場原理」の導入は、自民党や財界が推し進めてきた政策で、その弊害は、加速する失業・不正規雇用、拡大する格差と貧困、過労死、3万人を超える自殺者、等々数えればきりがないほどだ。こうした政策を引き継ぎ推し進める安倍自民党政権では、社会・経済の矛盾は拡大こそし、なくなることはない。
安倍政権が、教育に「愛国心」を持ち込もうとするのは、こうした政策の行き詰まりを覆い隠す為でもあり、それは、交通事故が多発すると、交通事故の主因が、自動車産業の育成と道路などの環境政策の不備と遅れ、目標管理型の過重労働、等々にあるにもかかわらず、「法」遵守を強調することとよく似ている。詰まるところ精神主義的統制によって、物事を解決しようとするしか方法はなく、教育の荒廃は、ますます、迷路に入って抜き差しならない状態に陥るのである。
教育の荒廃は、単に教員や学校、教育委員会のやり方にあるのではなく、その社会のあり方の反映の一つだ。「競争原理・市場原理」の導入の下で、教員や学校などの管理や指導を強化しても根本的な解決にはならない。
「競争原理・市場原理」を根本的に見直した上で、全ての労働現場に言えることだが、現場の意欲や自浄能力を高める為の、現場の権限の拡大と自立、その為の環境整備が今こそ必要ではないか。 (M)
ブッシュ大敗と民主党の混迷
民主党の勝利
世界中の反戦活動家に注目されていたアメリカの中間選挙は、予想通りイラク戦争でのブッシュの失敗や共和党の相次ぐスキャンダル発覚により、アメリカ政府の財務省を中心に作られている「大統領府金融市場作業部会」の「下落防止チーム」の十月以降の株高・原油安のせっかくの演出にもかかわらず、有権者の支持を失ったことで、ブッシュ政権は大敗した。既に二千八百名を超える戦死者が出たイラクから米軍を撤退させよとブッシュ政権を攻撃して、民主党はこの選挙で勝利したのであった。
全員改選となる下院では、民主党が地滑り的勝利を挙げて、十二年ぶりに四百三十五議席の過半数の内二百三十七議席を奪還した。百議席の三分の一の三十三名が改選される上院でも、非改選議員を合わせて、実質的に十二年ぶりに民主党が多数の五十一議席を占めた。また、全五十州中三十六名が改選となる州知事選挙でも、民主党は非改選と合わせて党が二十八州を制して、やはり十二年ぶりに多数を奪還した。上院に無所属で当選した二人の内の一人は、これまで民主党上院議員だったリーバーマンで、彼は、二000年の大統領選挙にゴアとタッグを組んで、副大統領候補として立候補した人物だが、米軍の引き続くイラク駐留とブッシュ大統領との緊密さが禍して、コネチカット州での民主党予備選挙に敗北し、急遽無所属に転じて今次上院議員選挙に立候補していた。もう一人は、下院議員の唯一の無所属議員で、最長の八年も勤めたサンダースであり、今回バーモント州から無所属で上院議員選挙に立候補して当選した。注目されるのは、ミネソタ州で、米国史上初めてイスラム教徒の上院議員、黒人のエリソンが誕生したことだ。ブラックムスリムも侮れない勢力となっていることが伺える。彼は、当然のことながら、イラクからの米軍の即時撤退や国民健康保険制度の確立を唱えて当選したのであった。
従来アメリカの中間選挙では、地方レベルの問題が争点になることが多い。いつもなら同性愛や人工中絶の是非や道徳問題が議論の中心だったが、共和党自身がスキャンダルを抱え、今回はキリスト教原理主義がしゃしゃり出てくる場面はなかったのだ。今回の「フィナンシャル・タイムス」の出口調査によれば、全国レベルの問題を念頭に置いて投票を行ったと答えた人が六十%を占めた。それがイラク戦争であったことは、ブッシュ政権のイラク政策の現状を否とする人の八十%が下院で民主党候補に投票し、イラク政策の現状を是とする人の八十%が共和党候補に投票したが、結果的には投票者の五人に三人近くがイラク政策現状を否と答えていたのだ。
とくに過去十二年間維持してきた下院の優位を失い、米国の歴史始まって以来、民主党から最初の女性議長が出来する事態とはなった。この事の意味は実に大きい。なぜなら、米国の下院議長は、米国の政治権力の序列では、大統領・副大統領に次ぐ第三位の地位にあり、万一大統領が正・副同時に命を失う事態になれば、米国政府の責任者になるからである。あと任期を二年も任期を残すブッシュ大統領にとって、この選挙結果は痛恨の大打撃ではある。
共和党の敗因
ロイター通信によると、駐留米軍の十月の死者数はこれで百人に達した。国民議会選挙が行われ武装勢力の米軍攻撃や妨害テロが頻発し米兵百七人が死亡した昨年一月以来、最悪の数値となった。このことで十一月七日に迫った米中間選挙を前に、イラクの治安情勢が一向に改善していないことがあらためて示され、ブッシュ米政権にとっては打撃となるとの予想は的中した。駐留米軍報道官は、武装勢力が、アメリカの中間選挙への影響を意識して攻撃を強化しているとの認識を示してはいた。
ロイター通信によると、イラク戦争開戦後の月別の米兵死者数としては、中部ファルージャで大規模な武装勢力掃討作戦が行われた二00四年十一月の百三十七人が最多であった。同じくファルージャで大規模な戦闘があった0四年四月には、百三十五人が死亡しており、十月には過去四番目の百名を記録したのだ。
さらに米中間選挙で与党共和党に重くのしかかっているのが、同党有力者の相次ぐスキャンダルだ。職権を利用して大物ロビイストと癒着し便宜を図る見返りに旅行や飲食などの接待を受け、共謀罪などに問われていたネイ前議員は先月、有罪を認め不出馬は表明したが、議員辞職は拒否していた。前議員の選挙区があるオハイオ州では、同党の後継候補を含めた下院の三選挙区と上院選、知事選でいずれも苦戦しており、不祥事の影響が州全体に広がる「ドミノ現象」も起き党内からも辞職圧力が強まっていたが、投票日四日前の三日、共和党のネイ下院議員が突然辞職したのである。
十一月三日、ネイ前議員辞職を受け、民主党のぺロシ下院院内総務は、声明を発表し、「共和党の腐敗体質は国民に大きな損失を与えている」と非難した。「民主党は高潔さと礼節を下院に取り戻す新たな方策を示すことができる」と訴えたのだ。
0五年一月からの下院議員の辞職、死亡は八人。うち共和党は六人だが、スキャンダルでの引責辞職が四人を占める。この元大物ロビイストとの関係が疑われている共和党議員も二十人人前後に及ぶ。十一月一日のCBSテレビとニューヨーク・タイムズ紙の調査では、七十%が現職交代を求め、政府不信は九四年の中間選挙で当時の与党・民主党が大敗して以来の根深さだと伝えている。
元ロビイストの事件に加え、辞職したフォーリー前下院議員の性的スキャンダルの衝撃も大きく、ワシントン・ポスト紙は、スキャンダルで下院で共和党は最低十五議席が危険にさらされ、うち九議席は民主党に奪われる可能性が高いと報じた。民主党は十五議席を上積みすれば同院で多数派に転じるが、同紙は「スキャンダル問題だけで共和党は少数派転落のふちにいる」と指摘していた。
したがって、今回の中間選挙は、民主党の大勝利と言うよりは、共和党の大敗北と言った方が正確だ。こうして九・一一同時多発テロ以降、アフガン等の対外戦争遂行にうつつを抜かしてきた共和党は負けるべくして負け、共和党革命と言われた十二年前の財産を自ら一掃してしまったのである。
民主党と共和党の平和共存
イラク戦争とその後の混迷を批判して民主党は中間選挙で確かに勝利した。しかし、選挙には勝ったものの民主党も、一挙に米軍を撤退させる決断は下せないのは、自明の事である。彼ら自身も、アメリカ帝国主義のもう一方の担い手としての自覚からこうした大胆な提案は出来ないのである。
だから、イラクからの「出口戦略」、今後のイラク政策をどうすべきかについては、民主党内でもバラバラだ。二00八年の有力大統領候補者に擬せられているヒラリー・クリントン上院議員ですら、イラク駐留米軍の撤退時間表の設定に反対している。しかし、二00四年の大統領選挙でブッシュに敗れたケリー上院議員は、撤退期限の設定を求めているし、またイラク駐留経費を決める委員会の委員長に目されているマーサ下院議員は、即時撤退を唱えているのであり、上院外交委員会の重鎮であるバイデン上院議員は、イラクの三分割統治を主張している混迷ぶりである。民主党の混乱はまさに目を覆うばかりだ。
端的に言えば、ブッシュのイラクへの取り組みのお粗末さに対する批判の一点でのみ共和党と闘ったのであり、民主党議員たちはその点で連帯しているだけなのだ。その意味では、民主党は、政党の体をなしてない事を私たちはしっかりと認識しておこうではないか。
中間選挙の大敗北後、早くもブッシュ大統領は、国務長官ラムズフェルドを辞任させ、後任に元CIA長官ゲーツを任命した。彼も前任者と同様強硬派だが、人柄は違い一見穏やかとされ、長年勤務した下積み生活の経験を生かして野党を含め、多くの意見を十分聞いた上で路線の変更を検討すると予想されている。したがって、民主党が勝利した事をもって、急激なイラク政策の路線変更はないと考えてよい。また米国にとってアジア政策は、外交面で大きい比重を占めていない。そもそも北朝鮮の「核開発」問題は、アメリカにとって重大視しておらず、「中朝関係」の展開次第だと判断している。なぜなら、北朝鮮の「核開発」は、中国にとっては外交政策の中心で、自国の安定を持続するためにも、全力を挙げて取り組む必要があるが、米国にとっては遠いアジアの地域問題に過ぎないからである。したがって、アメリカにとっては、北朝鮮の問題処理は中国に一任して置いて何の支障もない。日本のマスコミが騒ぐのは、北朝鮮の「核開発」を米朝関係と考える為だが、それは過ちである。それゆえ、今回の中間選挙の結果は、アメリカのアジア政策に影響する事態は全くないだろう。
さらに中東問題の焦点となるのは、イランの「核開発」である。中間選挙の結果、共和党内のネオコン・イスラエルロビーの後退により、イラン首脳は、自ら決定した既定路線を堅持する事は確実視される。「核開発」停止を求めるアメリカなどの国際社会の要求を拒否する路線を断固突き進むだろう。したがって、国連安保理事会常任理事国とドイツの六カ国とイランとの外交交渉は当然にも難航する事は必至だ。今後、イラク戦争を早期終結の方向で処理する外交努力とも関連するが、アメリカの中東政策の運営は、かなり穏健で慎重なものになる現実性が強まっている。
同じ中東問題の焦点となるイスラエル問題も、今年七月のイスラエル自身のもくろみが決定的に突き崩された「レバノン紛争」の再燃を抑えつつ事態の安定を目標に慎重に進めていくだろう。議会でリベラル色の強い民主党が多数を占めるから、従来からのイスラエルロビーの強硬路線一本槍の姿勢は、大きく緩和する他はない。アメリカの内政面では、行政府の路線に、民主党が過半数であっても議会が徹底して反対の姿勢を示すことはない。なぜなら、大統領が拒否権を行使するからである。したがって殆ど変化はないだろう。
要するに勝利した民主党と敗北した共和党は、アメリカ議会内で仲良く平和共存する以外、イラク戦争の今後について、一切の展望がないのである。
イラク戦争を中止させ、アメリカ軍をイラクから全面撤退に追い込むのは、アメリカ国内での反戦平和闘争の高揚と全世界での反戦平和闘争の連帯以外ない。今後とも確信を持ち私たちの闘いを強化していこうではないか。 (直記彬)
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なんでも紹介 映画「イノセント・ボイス 12歳の戦場」2004年メキシコ映画
南米のエルサルバドルの山林の中。土砂降りのぬかるみを歩くこどもたちと兵士。こどもたちは、両手を頭の後にあげさせられ、いくつもの銃を突き付けられながら歩く。「足が痛い。靴に石が入っている。・・・殺されるのだろうか?」と少年が心でつぶやく。
あまりに異様な冒頭のシーンに、度胆をぬかされる。映画は、1980年代の激しい内戦のエルサルバドルを描く実話だ。12歳になると少年は、政府軍によって徴兵される。友達との遊びやいたずら、家族の愛につつまれた普通の暮らし。淡い初恋もする、まだほんの幼いこどもなのに。
家族の日常の食卓のうえに、あめあられと銃弾が飛びかい、ベッドの下で泣きながら怯える日々を強いられている。
ある日突然、生徒たちの遊んでいる校庭に政府軍の兵士があらわれ、12歳になった少年たちの名前を読み上げ、連行してゆく。恐怖のあまり失禁した少年を一瞥しながら、兵士は少年たちに「今日から政府軍の兵士だ。誇りを持て。」と言い放つ。ここでの「誇り」は、戦意高揚のためのものだろう。たった12歳で、軍服を着せられ銃を持たされ、殺し殺されるために連れて行かれる。ただの使い捨ての戦争の道具でしかない。少年たちは、決して戦いなどしたくはない。「誇り」など持てるはずもないのだ。題名の「イノセント・ボイス(無垢な声)」とは、こんな酷い死を強いられた少年たちの声なのか。
安部普三らも「自信と誇りの持てる国に」と、さかんに言いたてている。戦争とともにひとびとのまえに持ち出される「誇り」など、真っ平後免だ。
残念なことに、いまも世界のあちこちで、市民が爆撃にさらされ、少年少女たちが兵士として戦わされている。いまだに止むことなく続けられている。「なぜ?どうして?」という彼らの問い掛けへの答えはない。
それにしても、わたしたちが日常見聞きする情報は、とても偏っているということを痛感する。西洋の、白人の、豊かで発言する機会を与えられている側の強者(侵略している側)の、男の、大人の・・・・等。それらにまどわされることなく、小さなかぼそい者の声を忘れたくないと思う。(澄)
闘いの現場から
一0・三一あんころ国会前集会に参加して
恒例となった「教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会」(略称:あんころ)の国会前集会に参加しました。当日は、教育基本法特別委員会での審議が開始されており、緊迫した状況でした。集会で発言した議員は、社民党の保坂展人氏と辻元清美氏と共産党の吉井英勝氏の三人でした。
保坂議員は、発言の中で、愛国心教育は、学校教育だけでなく、教育基本法改正案の中にある社会教育や生涯教育や家庭教育にも及ぶのかとの質問を特別委員会で行ったところ、通常国会では小杉文科省大臣は及ばないと回答したのだが、臨時国会での今回の質問には、伊吹文科大臣も塩崎官房長官も法律の趣旨として当然及ぶ事になるが、主体があるので強制する事はあり得ないと回答した事を明らかにしました。保坂議員はその回答では「国旗・国歌法」の前例があり信用できないと反論したとの報告を受けたのです。
辻元議員は、今日三回目の集会発言だとの前置きで、午前中は護憲の集会、午後には日比谷公園で、全国の障害者一万五千人が結集して、障害者の「自立支援法」の再審議要求と護憲を掲げた集会でも発言した事に触れ、教育基本法改正はこうした人達を学校から排除すると発言し、「社民党はどこかの政党のようにショウもない対案など出さず、とことん反対していく」と挨拶して、多くの人から激励の拍手を受けたました。
共産党の吉井英勝議員の挨拶は、今話題のいじめと高校の不履修問題に触れて、そつなく纏めた挨拶でしたが、共産党の裏表を知る参加者からの反応はあまりよくありません。
各議員の挨拶の合間に、多くの一般の人々が挨拶しましたが、指名されて、わが地区教組事務職員部長も挨拶しました。九月下旬から開始されたあんころ国会前集会に、旗を持参する常連部隊として、主催者側からも注目されていることを感じさせた一幕です。
その他、ハンスト実行者、教育基本法改正の尖兵として活躍し教育基本法の遵守義務を公然と破って恥じないている京都市教育長を弾劾している京都市からの参加者、被処分の会事務局長の挨拶がありました。被処分の会事務局長は、教育基本法反対闘争は盛り上がりつつあり、九・二一東京地裁勝利判決等状勢は変化しつつあることを気合いが入った声で挨拶して、参加者から万雷の拍手を浴びたのです。最後に東京教組杉並地区委員長からの発言があり、昨年杉並区での教科書採択を告発した書記長他三人が、今年四月他地区へ強制異動となった事、憲法や東京地裁判決を遵守する「規範意識」のない石原などが自分たちに対して「規範意識」云々を口にする資格などない事を糾弾しました。現在、区の敷地に立っていることを理由に、区に反対する教組は組合事務所を明け渡せと要求されている事等を暴露して、杉並区の教育行政のすさまじい反動ぶりを徹底的に弾劾し挨拶を纏めたので、参加者からの拍手は一段と大きくなりました。そしていつものように官邸前に移動してシュプレヒコールを行い集会は終了しました。参加者は四百名でした。 (笹倉)
闘いの現場から
一一・七あんころ国会前集会と教育基本法改悪阻止!一一・九三浦半島地区集会
一一・七「教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会」(略称:あんころ)の国会前集会に参加してきました。この日の国会前集会は、情勢の緊迫感から五百人結集しました。
発言の第一番手は、日本共産党の小林参議院議員で、「今日は、与党が一三日に特別委員会で採決し、一四日衆議院本会議を通すという提案をしてきたけれど、野党のがんばりで、一三日に再び地方公聴会を入れることが決まった」との事でした。政府与党は一四日の本会議通過を取り下げないので、今後の日程はまだ決まっていないとの事です。
つづいて、社民党の福島党首から、野党の幹事長会談で、「今国会では成立させない」という点で合意ができたとの報告がありました。その次の発言をした元都立高校教員は、隣に立っていた福島さんに「社民党議員はハンガーストライキを決行して国民にアピールを」と叱咤激励したのです。福島党首は一瞬たじろぎました。正直な人なのですね。
呼びかけ人の小森陽一さんも発言し、世論の高まりを受けて、保守系のコメンテーターまでも、教育基本法の議論に疑問を呈するようになってきた事を紹介した上で、「いじめや自殺などの問題の原因は文部科学省にあることを明らかにしよう。この一週間で一気に教育基本法改悪反対の世論を高めよう」とアピールしました。
続いて、全国教研の常連助言者で八十歳の北村小夜さんは、「戦前も戦争に反対していた教員がいたが、戦後までそれはわからなかった。今、教員が子どもに見えるように、自分の意思表示をしよう。九・二一判決があるのだから、みんなでやれば処分はされない」と訴えました。その他北教組や東京教組の方の発言が続いたのです。四国から来た元軍国少女でその後助産婦となった八十三歳の益永さんは、出産日の出征のため、わが子の出産にすら立合えなかった兵士の話をして、反戦の思いを述べた挨拶をしました。またここ十余日続くリレーハンストの参加者は、「自分は六十年安保闘争にも参加したが、これはその時以上の重大な危機。歴史が動く時なので、全力で頑張りたい」との挨拶しました。
続いて、一一・九のヒューマンチェーンの呼びかけ団体の方がアピールしたのです。
最後の千葉高教組の方は、「今日は生徒たちに『教育基本法による教育は個々の人間を大切にするもの。それを今度は国の思うままの人間に教育しようとしている。だから自分は、それを阻止するために国会に行ってくる』とここに来る意味を説明してやってきた」と挨拶して、参加者から拍手を受けました。
一一・六から一一・九まで、日教組本部は国会前に座り込みを指示し、闘いは続いており、来週にもこの指示は出されています。現場組合員が日教組本部を動かしているのです。
私が勤めている地区でも「教育基本法改悪阻止!一一・九三浦半島地区集会」が、分会十割動員の指示が出された中、横須賀ヴェルニー公園で開催されました。集会は、三浦半島地区労・神高教・湘南教組・市民団体も結集したので、約千五百人位の数でした。
集会では、結語部分のみ引用すれば、「政府・与党は、衆議院教育基本法特別委員会で通常国会と併せ80時間近く論議を行い、地方公聴会で国民から意見を聞いたとして、来週16日に委員会採決、17日に衆議院本会議での採決強行を目指しており、教育基本法をめぐる国会情勢は極めて緊迫しています。私たちは、子どもたちの平和で豊かな未来のため、教育基本法の改悪に反対する全国の多くの仲間とともに教育基本法改悪を全力で阻止します」の集会アピールを採択した後、横須賀米軍基地前を通り、横須賀中央の市街地を、教育基本法改悪反対などのシュプレヒコールをしながらデモ行進して、市民に教育基本法改悪反対を訴えました。 (猪瀬)
安倍“教育再生”のピント外れ
――教基法改悪を許さない――
発足したばかりの安倍政権によって、今週にも教育基本法の衆院採決強行されようとしている。
教育基本法の改悪は発足したばかりの安倍政権が今度の臨時国会での最大の政治課題として位置づけてきたものであり、それは憲法改悪に直結している。現に安倍首相は歴代自民党内閣で初めて憲法改定を政治日程に乗せる姿勢を打ち出し、任期中に改憲を実現したいと本音を漏らしている。安倍政権によるこうした民主制の形骸化をもくろむ教育基本法改定や軍事大国化に道を開く憲法改定を許すわけにはいかない。
■安倍教育再生のピントはずれ
その教育基本法改正案の国会審議が始まろうとする局面で、思わぬ実態が表面化した。高校の授業で必修とされている世界史などの授業が全国で628校(11月11日時点)、一割以上の学校で未履修になっていたという“履修逃れ”の実態であり、さらには教育基本法改定に向けたタウンミーティングでの“やらせ発言”問題だ。
教育基本法改悪を強行しようとする場面で表面化した”さもありなん”ともいうべきこの二つの“事件”は、出るべくして出たものであり、それだけ安倍「教育再生」の欺瞞とピント外れぶりを象徴している。
安倍首相などの改悪派は、学校教育のゆがみは平和主義・民主主義を基本とする戦後民主教育の欠陥の表れであって、それは「占領時代の残滓」である教育基本法の改定によって是正・正常化されると強弁してきた。そうした立場から、来年度から始まる全国学力調査をはじめ、学校選択制などの“教育再生”を推進し、あわせて愛国心を吹き込むことなど、国家主義教育への転換の意図を露わにしてきた。が、今回浮かび上がった必修科目の“履修逃れ”問題や“やらせ問題”は、教育の荒廃の原因が教育基本法などにあるのではないということを誰の目にも明らかにしている。
■企業秩序と学歴社会は同時進行
安倍首相がなんと言おうと、現在の教育荒廃といわれるものは教育基本法に基づく平和・民主教育によってもたらされたものではない。そうではなく、市場原理や企業中心主義が教育の場に持ち込また結果なのだ。
現行教育基本法では教育の目的として“人格の完成”“平和主義”“個人主義”が謳われている。しかし戦後の学校教育の歴史は、そうした謳い文句にもかかわらず市場原理・企業社会の論理が浸透してきた歴史だった。いいかえれば学校教育がよい企業に就職できることを目的とした教育、すなわち企業による労働力の選別の場に変質させられてきたのが現実だ。
高度経済成長期以降の右肩上がりの日本では、大銀行や大企業を中心とする企業体制の序列化が進んだ。当然のこととして大企業と中小零細企業、親会社と子会社・孫会社、大都市と地方の間での処遇の格差も拡大した。個々人から見れば、たとえどんな家庭に生まれても、大会社や一流企業に就職できれば、それなりのレベルの生活を享受することができた。逆に企業側からすれば、優秀な人材を確保する場が必要になり、その役割を学校教育に担わせてきた。
こうした結果生まれたのが学歴社会であり学校の序列化だった。最初は大学の序列化で、次は高校、それが中学校や小学校さらには幼稚園・保育園まで序列化が進んだ。今では有名小学校にはいるための幼稚園段階から選別が行われ、そのための“お受験”や塾通いまで当たり前になっている。いわば企業の序列化と学校の労働力の選別機関化・序列化は同時進行したのだ。いわゆる学歴社会である。
■教育に介入する財界
高度経済成長以降の教育荒廃、学校荒廃の背景を探っていくと、必ず学校の選別機関化やその結果としての受験優先の輪切り教育の問題にぶち当たる。それらは見方を変えれば市場原理、企業の論理が学校現場に侵蝕してきたことの結果でもある。
現にこの間、財界など企業の側は自分たちの都合に合わせて学校教育を再編するための介入を繰り返してきた。詰め込み教育、受験教育が行き過ぎた結果、独創力のある人材が不足したと感じた経団連は、96年に「創造的な人材育成」を重視する答申を出した。が。時代が一回りしてグローバル化が進んだ時代状況の中、「ゆとり教育」が学力の低下を招いたとする経団連は、今度は「多様性・競争、評価が基本」(04年)だとする答申を出し、一部のエリートと大多数の基礎的学習層に選別したいという本音を臆面もなく打ち出した。財界などは教育基本法で謳っている教育の目的などは眼中になく、時代の大きな節目には自分たちの要求に沿った「人材像」を場当たり的に学校教育に押しつけてきたのが現実なのだ。
■学校は社会を映す
今回の教育再生論議では「地域や家庭の教育力の回復」が叫ばれているが、それは安倍首相が言うような「家庭や地域、国を愛する心を教えてこなかったことが規律の乱れを生んだ」というような代物でははまったくない。学校や教育は企業社会を映す鏡なのだ。企業社会の実相は、様々なチャンネルを通じて子供達の心証形成に影響を及ぼしてきた。特に影響が大きいのがテレビなどのメディアだ。
テレビ時代の到来が核家族化と相俟って児童・生徒の内面に企業社会の実相が投影されてきたことは、はこれまでも多方面から指摘されてきた。テレビ社会の到来によって家庭や教室が社会から隔絶されたものではなくなってきたし、それだけ父母や教師の影響力は縮小してきた。現状は父母や教師の努力だけでどうにかなる時代ではないのだ。いまではインターネットやケイタイの普及も相俟ってそうした傾向はより増幅している。
その企業社会はどうなってるのか。
最近だけでみても食肉や建築強度の偽装事件、止まることのない談合や各種インサイダー事件、自動車などの欠陥隠し、それに多発する偽装請負問題等々、不正やルール無視の企業犯罪がオンパレードだ。それに企業内部での“職場八分”や“職場隔離”などのいじめ事件などは、学校でのいじめ以上に悪辣で深刻な問題だ。自殺者3万人時代がそれを雄弁に物語っている。
現在進行中のイラクやパレスチナをはじめとして毎日何十人、何百人もの人々が殺されている現実は度外視したとしても、こうした企業社会の実相はリアルタイムで児童・生徒や学校現場に投射されざるを得ない。実社会で企業犯罪が蔓延し、それがテレビなどで連日報道されている社会で、学校教育だけは聖域であるべきだ、などということはありうるはずもない。
今回浮上した必修科目の未履修問題は、直接的にはゆとり教育によって授業を減らしたことが発端だが、より本質的な問題としては、選別機関化した学校教育の現実が背景にあるのだ。学校教育が企業戦士の供給源として位置づけられてきたことこそ問われなければならない。
■教育再生は実社会の変革とともにある
学校教育が抱える問題は、実社会の抱える問題と同じくらいに複雑でその克服は困難な課題だ。
確かに目先の問題を解決する対処療法も重要だ。現に教師や児童・生徒の自発的な取り組みで問題を克服してきた学校もある。とりわけ学校と家庭の協力が重要になる。
しかしそれだけでは解決できない実情は上記でも見てきたとおりだ。根本的解決は実社会そのものの変革無くして不可能だろう。そこまで飛躍しないまでも、子供の人格形成と言うことを考えれば、実社会との日常的なつながりが解決の糸口を提供してくれるのではないだろうか。
たとえば小学校の高学年あたりから日常的に実社会とのふれあいの場をつくることだ。3学期のうちの一学期ぐらいは毎日半日ぐらいの職場作業を経験させ、実社会と学校教育のつながりの体得を促す。何のための学習かを体感することが現実感覚を伴った人格育成の基礎になるからだ。それに学校現場が実社会と隔絶され、子供にとっても実社会での生活感覚や現実の人間関係がバーチャルなものに止まっている現状を打ち破る足場にもなるからだ。現状の一日体験学習ぐらいではそれは不可能だ。そのためには学校周辺の農林漁業者や企業との連携が欠かせない。
ところが現実の弱肉強食の企業社会では、こんなことさえ絵空事だろう。子供達の豊かな人格形成の土台の経験さえままならないのが現実だ。だから根本的な改革は、遠いようでもそうした弱肉強食の実社会の変革と並行して進めていく以外に解決の道はないのだ。
こうした観点から考えても、教育再生を政府や教育委員会に依存するのは愚の骨頂だろう。愛国心の押しつけなど論外だ。私たちにとって教育から国家の介入を排除していくことこそ必要なのだ。
安倍政権は今臨時国会での教育基本法改定を実現すべく、今週にも衆院での採決を強行しようとしている。そうした動きを許さないための行動が教員組合や日弁連などが連日のように国会周辺でも取り組まれている。改悪を許さない行動を拡げたい。(廣)
安倍教育改革を先取りする足立区での中学校選択制と学力テストによる序列化
安倍教育改革を先取りする東京都の教育改革
前号の「ワーカーズ」で、安倍教育改革は、すでにイギリスで破産し見直しが必至のサッチャー教育改革を無反省に後追いしたものだとの暴露を行ったが、今回は、足下の日本で進められている東京の教育改革の実態を暴露する事で、安倍教育改革のもたらすものが一体どういうものなのかを、進行する東京の教育改革の実態に即して明らかにしたい。
二00一年以降、東京都では学校選択制や学力テストを順次導入し続け、すでに全自治体の四割に当たる二十六市区で実施されている。その実態を知る事は重要である。
二00四年度の新入生から中学校の学校選択制が試行され、二00五年度から本格的に導入された練馬区の実態はどうなのであろうか。
今練馬区立中学校三十四校すべてが選択の対象となり、同区の小学校六年生は毎年十月になると、自分の通学区域内の学校を希望する場合も含めて、全員が希望校を申請する。各中学校の学区域外の生徒の受け入れには、二十人から六十人の定員があり、希望者がそれを超えた場合は抽選となる。そのため抽選ではずれて、兄弟姉妹が別々の学校に通学しているケースもあるとの事。また生徒が少ない中学校は部活の数も少なく活動も低調なのに対して、人気校は生徒が多いため、部活の種類も多く活動の質も高くなる。当然、自分がしたい部活のある中学校まで、四十分かけて歩いて通学する生徒や二十分間の電車通学をする生徒も出てきている。そして、「嫌われる生徒」の進学先が忌避される事も出来し、希望通りの中学に入学できない事で、生徒の友人関係も壊れる例もあると伝えられる。
こうした中学校選択の結果、「成績がいいと評判」の中学校に生徒が集中し、生徒の半分以上が、学区外からの通学者という学校や本来の学区域内の中学生が他校や私学に流れて三分の一しか入学しない学校も出来してきた。これ自体大問題ではないか。
しかし練馬区教委は、二〇〇五年から区独自でおこなった学力テスト(中一を対象に国語・数学・英語の三教科)の学校別の成績を公表し、この傾向に棹さす暴挙に出た。この結果、「問題内容別」などに正答した生徒の割合が明らかになり、上位の学校と下位の学校の差が具体的な数値で分かるようになった。問題内容によっては正答した生徒の割合が七割の学校と二割の学校があるなど、学校間の格差が歴然と示されるようになった。こうして、生徒が増える学校と減る学校と練馬区立の中学校は二極分化していったのである。
学校選択制の導入と学力テストによる序列化で、中学校はよくなるどころか、学校間の格差は拡大する一方となる―練馬区での経験はこの重たい事実を語っているのである。
学校選択制と学力テストの導入の結果―足立区の場合
十一月一日、衆院教育基本法特別委員会において、石井共産党議員は、学校選択制と学力テストを導入した東京都足立区で、成績上位校に応募者が集中する実態をパネルで提示し、教育基本法の改悪と一体ですすめようとする安倍「教育再生」政策を的確に批判した。
東京都足立区は、二〇〇一年から小中学校の学校選択制を導入している「先進」区である。足立区では、全都一斉学力テストに加えて、二〇〇四年から区独自の学力テストを実施して、学校ごとの成績を公表している。先に紹介した練馬区よりも四年前から実施しているのだから、弊害はさらに拡大して一層悲惨なものとなっている。
石井議員がパネルで提示したのは、〇五年度の同区の学力テストの結果と〇六年度の入学応募者数のグラフだ。示されてたのは、学力テストの成績が上位の六校では、定員の上限を、応募者数が大幅に上回っているが、下位校では逆に下回っている実態であった。
この事実を踏まえて、石井議員は、「義務教育の段階で“勝ち組”“負け組”の学校を明確化し、固定化するものだ」と指摘しつつ義務教育段階で学校の序列化・選別化をはかることについての政府の認識をただした。
これに対して、伊吹文科相は、「義務教育段階では、できるだけ競争原理が入らない方がいい」と認める一方で、「入れざるをえない学校の荒廃の現状というものも同時に認識(する必要がある)」などと問題の核心をはぐらかす答弁に終始したのである。
こうした学校間の格差拡大の明白な事実がありながらも、足立区教育委員会は、何らの反省もなく、来年度から学力テストの結果によって区立中学校を、四ランクに分け、予算配分にも学校間格差を拡大する暴挙を実行しようとしている。彼らにあっては、学校間格差の拡大は、自明の事で何ら隠すべきものでも恥じるものでもないとの認識なのである。
ここに安倍教育改革の未来図が誰にでも端的に目に見える形で示されているのである。
安倍「教育再生」プランが、教育基本法改悪と一体で、教育の格差を一層拡大するものであることは明らかである。私たちは、労働者民衆の生活を防衛し、格差社会の拡大に反対するため、教育基本法改悪に断固反対しよう。 (猪瀬一馬)
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コラムの窓 減らない「不払い残業(サービス残業)」「労災かくし」
コスト削減のために、正規労働から派遣労働やパート労働などの非正規労働への転換が進む中、労働時間や労働保証が守られず、賃金不払いや「労災かくし」などが増大しています。
残業したのに、その時間に応じた割増賃金が支払われない「不払い残業(サービス残業)」は、業種別にみると「金融・保険・不動産」で一番多く二十.四時間、次いで「商業・流通」の十八.五時間、職種別にみると「営業・販売・サービス職」で十六時間、二番目に多いのは「専門・技術職」の十一.七時間で、二人に一人が不払い残業をしている実態です。
「労災かくし」は、「労災かくし」による検察庁への送検件数によれば、平成十年が七十九件、平成十三年百二十六件、平成十五年が百三十二件とほぼ二倍にまでになっています。
労災保険に加入していない派遣会社や派遣労働者を一人の経営者に見立てて個人に労災責任を負わせる雇い企業、企業イメージが悪くなるとして労災を隠す企業、等々、公式発表以上の「労災かくし」が行われているのです。
企業が大収益を上げている裏には、最低保障である労基法でさえ無視し、こうした労働者の犠牲があるのです。
働く仲間の皆さん、お互いの職場の実態を話し合い、こうした不条理を許してはなりません。
労基法は三十六協定を結ばないで時間外労働をさせたり、時間外に働いたにもかかわらずその時間に応じた割増賃金を使用者が支払わないことを罰則をもって禁止しています。
労働者は「賃金不払い残業」に対し、使用者に労働に応じた割増賃金を請求できるだけでなく、是正されない場合は労働基準監督署に告発、裁判所に割増賃金と同額の付加金の支払い請求を行うことができるのです。
泣き寝入りすることはありません。労災認定闘争も粘り強く活動することです。労働者の唯一の力、「団結」を信じて! (光)
連載・グラフで見る高校生の意識調査 その3
問3 進路決定について誰の意見が決定権をもっていますか。番号を選んでください。(2つまで) 1母 2父 3祖母 4祖父 5兄弟姉妹 6友達 7学校の先生 8塾の先生 9自分 10その他
男女共にほとんどの人が「自分」を選択しています。次に母親、父親が続きます。ところで、前回(14年前)1992年の調査と比べると「父」「母」が増えています。特に母親の決定権が全体で17%から41%へと増しています。女子の場合、今回半数近くの人が母親が決定権を持っていると答えました。
父親よりも母親の意見が決定権を持つ、意外なことではないでしょうか。父親は仕事が忙しく家で会話する時間があまり無いのか 、それとも最終的には自分で決定するのだから参考程度のものなのか。我が家も娘3人が大学に進みましたが、それぞれ自分で資料を取り寄せ教師のアドバイスを受けていたようです。はっきり言って進路決定を左右するのは、経済的なものです。親の収入で年間の授業料が支払えるのか、ではないでしょうか。もし、この制限が無かったら、選択の幅はぐっと広がり進路は平等に保障されると思います。(恵)
色鉛筆‐総合選抜見直しでいいのか
教育現場がもう限界! と悲鳴をあげるかのごとく、あらゆる角度からボロが出てきています。ちょうど、教育基本法の「改正」と合わせるかのように噴出しているのも、少し疑問ですが・・・。
末娘の中学生活も最後の年となり、2学期の行事である体育祭・中学総連合体育大会・合唱コンクールと、慌しく学校生活は過ぎていきました。もっと、のんびりと、と願う親は数少ないかもしれません。というのも3年生になって、進路説明会が何度も行なわれ、ほとんどの親子が受験体制に組み込まれてしまっていると思うからです。
私の住む西宮市は、これまで公立高校入試制度に総合選抜制度を取り入れてきました。総合選抜制度は、全市の公立中学校の学力を平均化し一定の学力があれば、合格するもので、高校間の格差を作らず最も受験生に対し平等な制度といえます。しかし、今、この制度が見直されようとしています。今後、「地区別高校教育改革説明会」が予定されています。
西宮市教育委員会の資料によると、04年9月に実施された西宮市民意識調査や、05年1月から翌年2月までに市内23会場で開催されたPTA主催の高等教育改革学習会でも、選抜制度の改善を求める声が数多くあったからなのです。
その声を受けて、今年5月から「高校改革に伴う選抜制度改善検討会」を立ち上げ、保護者・小中高の教育関係者などが集まり協議した現時点では、「複数志願選抜・特色選抜」が望ましい選抜制度とまとめられたようです。
そもそも、なぜ見直しの声が上がったのでしょうか。それは、総合選抜制度で指定された高校が、市内とは言えとても遠い場所にあり通学に時間がかかるからです。我が家の三女も自宅から見える徒歩2分の市立高校には行けず、坂道を1時間以上要する高台の県立高校でした。これは、高校建設場所を計画する段階で不備があり、市の北部地域に高校が無かったからです。総合選抜制度には問題が無く、行政の計画ミスといえます。
特色のある学校は、すでに来年度から単位制の総合学科がスタートし、事実上、制度の改革は実行されているのが現状です。総合選抜制度を批判する市議会のある会派は、教育内容の画一化は生徒の個性を尊重していない、また競争が無いから学力が伸びないと、能力主義を煽っています。新自由主義の彼らは、格差社会も個人の責任と言い、市職員も300万円の年収で充分と、経営手法を行政にも取り入れようとまるで会社経営の様相です。
受験競争では誰かを蹴落とさなければ、自分が合格できません。教育が知識の詰め込みを奨励しその結果を大学合格に使用するかぎり、この社会での人格形成は困難な状況が続くでしょう。競争ではなく互助を築ける社会を創りたいものです。(恵)
オンブズな日々・その26 不起訴処分
9日、仕事を終えて帰宅したら、神戸地方検察局からの郵便が届いていました。こんなところから何の用件だろうと開封してみたら、春先に署名した刑事告発の結果、「処分通知書」でした。被疑者は門信雄兵庫県議会議員、罪名は虚偽公文書作成・同行使、詐欺でしたが、残念ながら「不起訴」ということです。
県会議員が詐欺容疑で書類送検とは、いったい何をしたのかということですが、政務調査費でマイカーローンを払っていたのです。「調査に係る車のリース代」と偽って、2年で約110万円の支出をしていました。その返還を求める監査請求が行われるや、門議員は「県民に誤解を与える可能性がある」とあっさりと全額返済しています。この支出については「ローンでも構わないと思っていた。単純な勘違い」との釈明です。
さて、この犯罪を検察はどのような判断で不起訴≠ニしたのか。「処分通知書」には何も書いてなかったのですが、翌日の地元紙が次のように報じています。「神戸地検は『当時の政務調査費の使徒基準に解釈の幅があり、政務調査費の交付制度の趣旨を逸脱したとはいえない』などとしている」(11月19日付「神戸新聞」)
告発は第2弾、第3弾があり、第2弾の告発が「県議2人書類送検」として11月7日に報じられました。県警捜査2課が6日に書類送検したもので、こちらは自宅を事務所として使用し、政務調査費から賃料を支出したものです。第3弾は同7日に告発状を提出したもので、無料講演会に参加費を支出したというもの。
これらの問題点を指摘するのは蛇足のようなものですが、まず、自家用車は高額の報酬でたやすく買えるはずです。3年ローンで300万円越えの車を買ったようですが、単なる勘違い≠ナ政務調査費で買う非常識、厚顔無恥を絵に描いたようです。しかも、それを検察まで追認しており、泥棒も捕まっても金を返せば不起訴≠ノしてくれるのでしょう。
無料講演会に参加して2万円も置いてくるとなれば、これは明らかに寄付行為≠ナあり、しかも選挙区での寄付行為は公職選挙法違反に当たります。また、自宅を事務所にして賃料を払う行為は、右手でお金を払い左手で受け取るようなものです。実に残念なことですが、兵庫県議会の大多数の議員はこうしたことを平気でする連中なのです。
その政務調査費の年額ですが、兵庫県議は600万円、定数は93なので総額はなんと5億5800万円になります。最高額はやはり東京都議で720万円、市では大阪市議が同額の720万円で、名古屋市や横浜市は660万円、我が西宮市議は180万円とつつましい額≠ナす。それでも、パート労働者の年収を超えています。おろそかに使われてはたまりません。
総括! 政務調査費は地方自治体の議員が政務調査≠行うために交付されるものであり、目的外使用は許されません。年度末に残ったお金は返さなければなりません。しかし、その実態は税金の掛からない第2報酬≠ニ化しています。首長らはこれをなかば議員の買収費と考え、その使途には一切手を触れないのです。
だからこそ、私たちは政務調査費支出の透明化を、会計帳簿や領収書等の情報公開を求め続けているのです。その扉が開けば、あらゆる汚いものが流れ出すでしょう。すでに、幾つかの自治体で実現しているこの浄化への流れを、大きな奔流にしたいものです。(晴)
11・5集会に参加して
十一月五日、日比谷野音で開催された「労働者の団結で安倍改憲政権を倒そう!11・5全国労働者総決起集会」に夫婦で参加してきました。この集会は、動労千葉と港合同と関生の日本を代表する闘う三組合が新しい労働者のナショナルセンターを作ろうどの呼びかけの下、当初は三千人くらいから始められた集会です。私は一回目から連続出席ですが、当時は、集会参加者は機動隊の執拗な手荷物検査の封鎖を突破しての参加でありました。この集会がだんだんと大衆化するごとにそんな規制も影を潜めていったのです。ここ五六年は我が家の年中行事として定着しています。私の地区からは六十人を超える人が参加しております。今年は、教育基本法改悪阻止の重大な時期でもあり、集会の規模は五千人に今一歩で迫るほどの結集でした。当日の会場での元気溢れたカンパ要請には、要請に応えて約百四十六万円が集まりました。
国際連帯の参加者は、来週にはゼネストを予定し律動を演じる文化宣伝隊を従えた韓国の民主労総ソウル本部とイラク反戦闘争を闘うアメリカの国際港湾倉庫労組と現在も四百四十日を超えるストを続行中のノースウエスト航空機整備士組合などです。とくに整備士組合の闘いは、飛行機の整備をスト破りの非常勤雇用者に頼ることになり、会社とパイロットに大打撃を与えています。世界のランク&ファイル運動の高まりはすばらしい。
日本でも昨年に比べて参加者が三百名ほど増加しており、今年は非正規労働者の茨城合同労組からの挨拶が、ひときわ会場の注目を浴びていました。資本の重圧の下で呻吟しながらも闘おうする若い人々の登場はそれだけでうれしくなります。その他、その場に立ち上がらせての難民申請中の外国人グループや国労・教労・自治労等、産別ごとの紹介は、今年の新趣向でしたが大変印象に残りました。
挨拶の中で特記しておきたいのは、「九・二一東京地裁勝利判決」を踏まえた「『日の丸君が代』被処分者の会」の発言でした。「この勝利判決を生かすためには来春の卒業式で全員で不起立する事だ」との発言に会場から連帯の拍手が巻き起こりました。
今まさに教育基本法改悪の山場です。各自自分の闘いの部署において、悔いのない闘いを展開していこうではありませんか。 (直記)
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