ワーカーズ 342号 2007.4.1. 案内へ戻る

あちらを立てればこちらが立たずまた安倍総理の迷走が始まった!

 従来から安倍総理は、「河野談話」が意味する強制性に関し、不本意な応募など「広義」の強制性はあったが、官憲による強制連行という「狭義」の強制性はないとの持論を繰り返してきた。だが総理となるや、昨年十月の国会答弁で、「河野談話」を踏襲する考えを示して、安倍総理の誕生を大いに期待していた勢力に冷や水を浴びせたのではあった。
 昨年末から内閣支持率が低迷や米下院での民主党の従軍慰安婦に関する謝罪決議案提出と今回は採決の可能性が高い事に反応し、どうせ支持率が低下するのなら自分のやりたいように地で勝負するとばかりに「タカ派」体質を露わにする発言を一転してし始めた。
 安倍総理は、三月一日を皮切りに「当初、定義されていた強制性を裏付けるものはなかった」等の持論を再展開、政府による「河野談話」の再調査を行うと言い切ったのである。
 三月五日、安倍総理は「米下院の決議案は事実誤認だ」「強制的連行があったと証明する証言はない」と答え、米下院の決議案と対決する姿勢を明確にした。また三月八日、中山元文科省大臣ら「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」は、政府の従軍慰安婦問題の再調査等を求め、政府に再調査を開始させるシナリオを意気揚々として書き上げた。
 しかしこの発言が反動的だと世界で大々的に取り上げられた事で、外務省や官房長官が大慌てとなり、その結果、従軍慰安婦問題の旧日本軍関与を認めた一九九三年の「河野談話」に関し、安倍総理は被害者への「お詫び」を強調する等、また一転してしまった。
 さらに三月九日の国会答弁では「主張が正しく冷静に伝わってない」と述べて、翌々日の十一日のNHK番組では「慰安婦の方々は心の傷を負い、大変苦労された。(歴代首相が示した)心からお詫びする気持ちはまったく変わらない」と強調し始めたのである。
 「君子は豹変す」とは孔子の名言であるが、安倍発言の二転三転は、反動的で醜悪な持論は一切無反省のままに世渡りの策として発言を封印しただけである事は明白である。
 このように吹く風向きに翻弄される風見鶏然と振る舞う事で安倍総理は自分の同志からもアメリカやアジア諸国からも軽蔑され果てる総理大臣とはなってしまったのである。
 それもこれも自業自得だとは言うものの私たちは国の舵取りを安倍や中山等の手合いに委ねることは出来ない。彼らを追いつめ打倒する闘いを強化しようではないか。 (直記)


葬ろう!!国民投票法案――法案は改憲への一里塚――

 自民党・公明党の与党は3月27日、憲法改定の手続きを決める国民投票法案の与党修正案を衆院憲法調査特別委員会に提出した。与党は早ければこの13日の衆院通過を強行しようとしている。
 就任以降支持率が減り続けている安倍首相は、本来の右派としての「原点回帰」の思惑も込めて、7月の参議院選挙に憲法改訂を争点として押し出す姿勢を打ち出している。この国民投票法案はその憲法改定の最初の大きなハードルだが、それを今月中に強行しようというのだ。
 国民投票法案は単なる憲法条項にもとづく「中立的な」手続き法に止まるものではない。改憲への外堀を埋める一里塚であり、改憲の動きに拍車をかけるものだ。
 あらゆる機会に反対の声を拡げていくことで国民投票法案は廃案に追い込む以外にない。

■迂回路線

 今回与党が提出したのは民主党の案も一部取り入れたもので、投票年齢は18歳以上、公務員の地位を利用した運動への罰則はもうけない、予備的国民投票制の導入などは将来の検討課題などとしている。民主党案にあった憲法改定以外の「国政の重要問題」での国民投票は盛り込まれておらず、テーマは改憲のみという改憲に向けた露骨な修正案になっている。
 国民投票法案自体はすでに昨年の5月に与党と民主党案が衆院に提出され、6月から審議入りしていたものだ。与党は当初、自公民3党での成立をめざしていたが、今年初めの安倍首相による「参院選での改憲の争点化」「5月3日までの成立」「3月中に衆院通過」等の発言もあってすったもんだしたあげく、与党修正案による与党単独での成立も視野に突っ走しろうというわけだ。
 なぜ今、国民投票法案なのか。
 憲法改定問題は00年に衆参で憲法調査会が設置され、5年間審議を重ねてきた。が、その憲法調査会は改憲の発議権を縛られて「調査」を建前とせざるを得ず、また長年の議論によっても必ずしも国民的関心を引き寄せることが出来なかった。そこで自民党は憲法調査会の期限切れの05年4月に国民投票法早期制定を提言した報告書を憲法調査会に出させ、その年の9月に憲法調査特別委員会を設置して国民投票法案の審議を始めた、という経緯がある。
 こうした経緯からも明らかなように、今回の国民投票法案は、国会での改憲発議という正面突破をあきらめ、改憲の手続き法制定という、いわば迂回した突破方針に変えてきたわけだ。
 そうせざるを得なかったのは、改憲発議が国会で「議員総数の3分の2以上の賛成による」との憲法96条の規定があるためだ。そのためには民主党の取り込みが必要で、その分だけ普通の法案のように単純に単独成立を強行できないわけだ。
 しかし自民党など改憲勢力にとってそれ以上にネックになっているのは、国民の改憲への消極姿勢、あるいは抵抗姿勢だ。仮に改憲の国民投票を実施したとして、もしも投票で過半数をとれないという事態にでもなれば、発議した政権は倒れ、近い将来での改憲発議も不可能になるからだ。
 こうした事情もあって改憲を現実のものにする突破口として手続き法である国民投票法を成立させ、その勢いも利用して改憲に弾みをつけたい、というのが自民党など改憲勢力の思惑なのだ。

■「ネック」は国民の抵抗姿勢

 改憲をめぐる政治状況を見渡せば、民主党も独自の国民投票法案を提出していることを見ても明らかなように、国会レベルではすでに改憲勢力、改憲許容派はすでに憲法改訂を発議できる3分の2を超えている。しかし各種の世論調査では、憲法改正に賛成かどうかを問われた場合、ほとんど賛否が拮抗しているのが現状で、有権者レベルでは改憲の機運が熟しているとはとても言い難い。しかもアンケートが改訂内容に踏み込んだ設問になると、自民党などの改憲勢力の思惑とはかなり違った傾向が浮かび上がる。
 自民党の改憲草案が狙うのは憲法の性格の転換、いいかえれば国家と国民の関係を人民主権から国家主権に転換することや戦力保持の明確化と戦争が出来る国家づくりにあるが、世論調査では生存権や環境権などの充実を求める声が多いのが現状だ。こうした傾向は、憲法調査会の論議が毎回テレビや新聞をにぎわせてきたとはいえ、有権者、地域、あるいは民間レベルではほとんど議論が深まらず、国民の意識動向も大きくは変わっていない。
 こうした改憲にかかわる国民意識の動向は改憲勢力にとって目の前の巨大なハードルだ。だから改憲への地ならしの役割を負わされて衆参両院に設置された憲法調査会の活動(5年の時限立法)を経てもなお盛り上がらない国民意識は、改憲派にとって少しも低くならないハードルに思えるのだろう。こうした現状に何とか風穴を開け、改憲のタイムテーブルを一気にまわしたい、というのが改憲派や安倍首相の思惑なのである。

■歯止めにならない民主党案

 国民投票法案を成立させたい自民党に対して、民主党は参議院選挙の思惑もあって早期の成立には反対の態度をとっている。しかしこれは小沢代表など、ともかく政権の座を自民党から奪い取ることを最優先とした与野党の政争という意味での反対の態度であって、改憲反対の立場からのものではない。
 現に民主党は自民党案に対抗して打ち出した独自の国民投票法案を「憲法改正につながる法案ではなく、改正の可否を国民に党中立的な手続き法」だと位置づけているに過ぎない。先に触れた「改憲への一里塚」「突破口」という認識はまるでなし、自民党案と五十歩百歩、技術的な違いしかない。それ以前の問題として民主党自体は改憲派が多く、単に一定の改憲反対派を抱えているという事情から、党としては改憲の賛否を未だ固めていないというのが実情だ。
 案の定というか、自民党はそうした民主党の足下を見抜いた上で、民主党案を一部取り入れた修正案で早期成立をめざそうというわけだ。自民党・公明党の与党のそうした暴挙を許さないためにも、民主党などへの監視や圧力をゆるめることはできない。

■法案は改憲の地ならし

 国民投票法案の成立をもくろむ勢力はこの法案が必要な根拠として、憲法に規定されている改訂の手続き法がないことを前面に打ち出している。一見すると正論のようにも聞こえる。しかしそうした手続き法が必要だという一般論が、なぜいま個別具体的な改憲の手続き法として押し出す必要があるというのだろうか。改憲案が国会に提出されても議論も始まっていないのに、だ。ここにも詭弁や欺瞞が透けて見える。
 そもそも憲法で規定された条項に関する手続き法が欠如しているのはなにも改憲の手続きにとどまらない。たとえば国会議員に対する罷免権については憲法第15条で「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。」と規定している。この規定によれば選挙民が選出した議員に限らず、政策決定に携わる国務大臣や行政府の局長・課長など上級公務員の罷免権を有するのは国民固有の権利のはずだ。「権力の所有者がその行使を担当する公務員を選定・罷免できるのは当然のことである。その意味で第15条1項は国民主権の直接の発露である。」(『資料で読む日本国憲法』杉原泰雄)じっさい、自分たちが選出した議員や公務員を罷免できないのであれば、主権者としての地位は絵に描いた餅にならざるを得ない。国会議員などの政治家や高級公務員に対するリコール(罷免権)権が制定されていれば、尽きることのない汚職事件や完成談合などは、それだけで大幅に減らすことが出来るだろう。
 手続き法がないというのなら、まずこうしたことこそ実現するべきで、それらをサボタージュしたままで改憲の手続き法だけ先行するのは、見え透いた野望があるからである。それは改憲による国家主義、軍事手動国家づくりの野望に他ならない。
 国民投票法案や改憲に対する態度をはっきり打ち出すためには、戦後日本が歩んできた軽武装――経済優先、米国との同盟関係などといった戦略的方向性そのものを検証し、それに変わるべき対抗戦略が不可欠だろう。私たちは「格差社会」=「新しい階級社会」や国家主義や軍事力至上主義に変わるべきものとして「協同社会」への変革とそのための国境を越えた労働者階級をはじめとする民衆レベルでの連帯・提携の拡大を訴えてきた。そうした対抗運動づくり、オルタナティブづくりの道を土台にして初めて自民党の改憲策動をはね返すことが可能になると確信している。
 こうした立場を念頭に置きながら、与党・政府の改憲の野望を打ち砕くためにも、国民投票法案を廃案にすべく、あらゆる場面で反対の声を上げていきたい。(廣)案内へ戻る


何故にタミフルに固執するのか

タミフルについての方針転換

 三月二二日、インフルエンザ治療薬「タミフル」服用後の異常行動について、厚生労働省は、0六年十月に公表された同省の研究班(主任研究者・横田横浜市立大教授)による子どもの患者約二千八百人を対象とした調査結果等を根拠に、「服用と異常行動の関連性は否定的」としてきた見解を、今回事実上白紙撤回せざるを得ない状況に追い込まれた。
 辻厚労事務次官は、二二日の会見で、異常行動事例の調査について「死亡事例を優先してチェックしていたため、他の事例は十分な分析ができていなかった」と釈明し、死亡に至らなかった事例の内容の十分な認識がなかったとこの間の転落事例などの把握や分析が不十分だった事を認めて、今後調査の徹底を表明するとともに、「見解が変わる可能性がある。新たに判断し直す」と述べて、これまでの方針を事実上転換させた。
 厚労省がタミフル服用についての注意を喚起した二月二八日以降も三月二十日に十二歳の男児の転落事故が判明していた。厚労省は、その事実を公表するとともに十代への処方を原則中止し、添付文書を改訂するよう輸入販売元の中外製薬に要請した事、さらに翌二一日になって、タミフル服用後の十代の転落事故が、0四年以降に計十五件起きていた事を遅ればせながらやっと公表したのである。
 恥の上塗りとはよく言ったものだ。今回の事態も実際には彼らの不作為が原因だった。それにしてもなぜ未だに十代とのみ限定するのか。一切説明がない。今後も一体何人の人柱が立てば彼らの気が済むというのだろう。何故、ここまでタミフルに彼らは固執するのか。不思議の一言ではある。私は電力の鬼・松永安左ェ門の「官吏は人間のクズである」の名言をしみじみと噛み締めざるをえない。自己保身に長けた彼らを徹底して追及していかなければならない。私たちは、この点を容赦なく暴かなくてはならないのである。
 しかし証拠は既に出揃っている。さすがの彼らにも逃げ道はない。販売元の中外製薬は、薬事法に基づき、タミフル服用後の事故などの有害事象を、医薬品を審査する医薬品医療機器総合機構と厚労省に報告済みなのである。すでに厚労省には、0一年二月のタミフル発売開始以来、中外製薬から約千八百件の副作用情報が報告されていたのであった。
 これに対して、0六年十一月に厚労省にタミフルの安全対策を訴える要望書を出した「薬害タミフル脳症被害者の会」の軒端代表は「あの時、適切な対応をしていれば、その後の事故を防げたはず」と怒りの会見を行い、「厚労省は(把握した)事実を隠したのではないか」と疑問を投げかけた。まさに今回の決定は余りにも遅きに失した事態なのである。
 当然の怒りではある。この国の厚生行政は過去の薬害事件に一切学んでいないからある。
 三月二三日、安倍内閣を代表する失言三連発の柳沢厚労大臣は、閣議後の記者会見で、インフルエンザ治療薬「タミフル」と異常行動との因果関係について、これまで「否定的」とした見解を事実上白紙に戻した事を「厚労省としての対応はきちんと手続きを踏んでやってきた。ただ、事故が畳み掛けるように起きた事で、今までの判断をもう一回見直して慎重にやろうという事になった」との自らの無知丸出しの破廉恥発言を行った。この発言は、安倍内閣の閣僚とは何と気楽な稼業である事かと疑わせるに足る発言ではないか。

健康保険制度と患者の薬信仰に原因がある

0五年十二月一日付「ワーカーズ」第三百十号の「タミフル薬害問題の深層にあるもの」の記事で、私たちは今から一年三ヶ月前に以下のように明確に問題提起していた。
 残念ながら私たちの予想通りの展開とはなってしまったが、その意味では今でも再読するに足る記事なので、この記事の核心的な要点のみここに再掲したい。
 今回タミフル服用について厚労省を方針転換に追い込んだ事故のように、0五年十一月にもタミフルを服用した後の異常行動により三名の死亡者が出ていたのである。
 これについて米食品医薬品局(FDA)は、直ちにと言ってもよい早さで、インフルエンザ治療薬のタミフル(リン酸オセルタミビル)を飲んだ後、日本の十六歳以下の子供十二人が死亡していたと発表した。しかし厚労省は、薬品との因果関係は薄いと見ていたため、死亡例は把握しながらも、その死亡数を副作用によるものとして統計にまとめていなかった。それ故日本の労働者民衆は、厚労省から直接にではなく、何と米国の米食品医薬品局からタミフル薬害の深刻な実態を聞いた。私たちは言うべき言葉を失うのみである。
 米食品医薬品局は、二階の窓から飛び降りた日本の少年二人とおびえた様子で車道に飛び出した日本の少年一人を、直接の薬害の死亡例ではないが、タミフル服用後の異常行動の例として公表した。しかし、厚労省は「異常行動の可能性は薬の添付文書に盛り込んだ。行動の具体例は医学的には必要ない」として、この三人についても公表しなかったのだ。
 タミフルの輸入販売元の中外製薬によれば、十二人の死者のうち、七人はタミフルと死亡との因果関係を否定できないが、残る五人は主治医が因果関係を否定していると逃げを打った。いつもの事ながら、日本の厚労省と薬剤会社の隠蔽体質や破廉恥体質には、私たちは呆れ果ててしまうだけである。
 ここでタミフル人気と日本の異常な対応を今一度確認しておきたい。
 製造元のスイス・ロシュ社の調査では、0五年以前の過去五年間に日本で約二千四百万人がタミフルの処方を受けており、処方量は世界の七十七%を占めた。日本の販売元・中外製薬によると、0三年から五年六月までの全販売額の四十三%が日本分で、米食品医薬品局の調査でも、過去五年の処方分のうち、子どもの処方量は、日本が米国の十三倍だった。こんなにも多いのは、日本の健康保険制度下の医師の処方と患者の薬信仰に原因があると私たちは断言できる。
 このような中で、十一月十四日、厚労省はタミフルの備蓄目標を、それまでの約一・七倍の二千五百万人分に増やした。だが、世界各国で備蓄を増やそうとの動きの中で、このまま大量消費を続けると日本に対する国際批判も出かねない状況とはなったのである。
 しかしさらに問題なのはタミフルの薬の効能そのものにある。
 『患者見殺し 医療改革のペテン』との警世の著書を持つ医師ア谷氏のタミフルの効能についての意見は、「タミフルの添付文書(薬剤情報)を読む限りでは『効果を得るにはウイルスが増える前、発症四八時間以内に飲む必要がある。熱のある期間が平均約一日縮まり、熱の高さや関節痛も緩和される』とあります。インフルエンザにかかると四日程度、発熱が続きます。そのたった一日!?症状が早く治るだけ。この添付文書を読んだために、私は一昨年からあまり人に勧めていません」というものである。
 彼は、「タミフルを飲んでメリットがデメリットを上回る人は 一.近日中に重要な仕事や試験があるという人 二.寝たきりで免疫力が低下している人に限られると思います。インフルエンザに関わらず、ウイルス感染は、じっと発熱の時期を耐える、安静にするしかないのです。そして、この発熱に耐えない、子供・高齢者に少しだけ解熱剤を使うというのが基本です。一般の人だけでなく、医療従事者もタミフルが効くといって、処方を希望されます。説明すればするほど、不信感を持たれるので、希望どおりに処方することが多くなっています。人の思い込みほど怖いものはなし。タミフル、タミフルと騒いでいるのは、世界の八割のシェアを持つ日本だけ(タバコと同じ)。宣伝効果で国民が洗脳される良い例でしょう。インターネットが発達したこの時代。専門家でなくても、自分で調べようと思えば、ある程度はできる時代になりました。自分の体と脳を守るためにも、新聞、テレビなどの報道や権威者の書いた本などもまずは疑ってかかる習慣が必要」だと結論づけている。
 厚労省はこのように効能も怪しいタミフルを二千五百万人分備蓄するとしており、その費用は数百億円にもなる。財政が破綻しているとの理由で国民に増税路線をしゃにむに推し進める日本政府はこの事に一切の説明責任を放棄して頬かむりを決め込んでいるのだ。
 確かに鳥インフルエンザや新型インフルエンザが大流行する可能性は、誰にも否定できない可能性を秘めてはいるが、この大宣伝の中で、タミフルの国家的備蓄の為の必要な準備金は現実のものだ。まさに政官財の癒着による無駄金使いの生きた見本ではある。

タミフルの背後には誰が居るのか

 既に書いたようにこのタミフルを製造・販売しているのはスイスのロシュ社だ。この薬をわが国で独占販売してるのは中外製薬なのである。しかしこの会社はロシュ社の関連会社が五割の株主で、要するに中外製薬はロシュ社のグループ会社である。さらに追求すると実際にこの薬を開発したのは、米国のバイオ企業・ギリアド・サイエンシズ社(本社・カリフォルニア州 米ナスダック上場)なのである。
 かくしてタミフルが評判となりロシュ社が儲かればギリアド社、さらには中外製薬も儲かるという構図となる。実際、三社ともこの間株価が急騰した。そしてギリアド社の元会長で大株主は誰かと言えば、何とイラク戦争で悪名も高くその名も轟く超有名人とはなったラムズフェルド米国防長官その人なのである。
 この事に関しては、トヨタ自動車の世界戦略を論じた注目すべき園田義明氏の『最新・アメリカの政治地図 地政学と人脈で読む国際関係』(講談社現代新書)の二一八頁に、「一九九六年にはジョージ・P・シュルツが取締役に合流し、そして一九九七年に会長として迎えられたのが現在のドナルト・ラムズフエルド国務長官である」と明記されている。このように元国務長官のシュルツ氏も、同社出身ともなれば、大騒ぎのマスコミの鳥インフルエンザの深層に何があるかは、誰にも否定しきれないあからさまな現実性がある。
 再度確認しておく。タミフルはインフルエンザに罹った場合平均八日続く症状をたった一日早目に回復させる程度の効果しかない。ヨーロッパの合理思想、つまりレイシオの観点からは全く説明が付かない事だ。したがって世界ではこの薬はそれほど使用されてはいない。ところが日本では、健康保険制度とも関わって、インフルエンザの症状緩和にと多くの医師が処方しており、このため世界のタミフルの実に八割も消費しているのである。
 仮にインフルエンザ流行が始まっても、ウイルス感染は、じっと発熱の時期を耐え安静にしているしかないが、この発熱に耐えられない子供・高齢者に対しては、少しだけ解熱剤を使うというのが基本だ。しかし、すでに罹患した子供や高齢者に対して、タミフルを使えば彼らの抵抗力が弱い分、深刻な副作用が出て、過去大問題となったサリドマイドやエイズの非加熱製剤のような薬害被害を起こす事になりかねないのである。
 先に紹介したア谷医師が、人間に本来的に備わっている自然治癒力を強調した事に対応して、社会的には公衆衛生を徹底することが求められている。近代に入って病原菌による病気の流行が抑えられたのは、主として公衆衛生の徹底のためだとの細菌学者ルネ・デュボスの見解は、実に歴史的に検証された充分に重たい真実なのである。
 厚労省の労働者民衆不在の医療行政政策と膨大な無駄遣いを糾弾していこう。(猪瀬)案内へ戻る


コラムの窓・住基カード、とんでも活用法

 住基カードがちっとも普及しません。昨年8月末の累計交付枚数は1085336枚に過ぎず、人口比で1%にも達していません。お金(概ね500円の住基カード交付手数料)を払ってまで持ってもほとんど使う機会がないのだから、それも当然です。写真付きのカードを身分証明としてお年寄りに勧めていますが、そんな用途ならプラスチックカードで十分であり、ICカードである必要はありません。
 この現状をどう突破するのか、総務省はあれこれと策を弄しています。例えば、税金の確定申告を住基カードを利用して、パソコンで行えば5000円減税するという施策が準備されています。しかしこれも、住基カード以外にカードリーダーが必要です。住基カードを無料で交付している自治体もありますが、それで劇的に普及しているということもないようです。
 そうしたなかで、総務省は公的個人認証サービス活用モデルシステム導入普及事業(財団法人自治体衛星通信機構による公募)として、岩手県奥州市で登下校通知システムの実証実験を行っています。これは市立小学校の3年生児童を対象に昨年12月、住基カードと静脈認証を利用して行われたものです。
 その仕組みは次のようなものです。児童が登下校の際にカードリーダーに住基カードを読み込ませ、表示されたID入力画面で、クラスと出席番号からなる数字を入力し、静脈認証装置に手のひらをかざす。認証されると、パソコンの画面に年月日と時刻、児童の氏名が表示される。
「同システムにより、児童が登下校した時刻などの通知メールを保護者が受信することで、児童の登下校の状況が確認できる。学校は、児童の登下校の状況が把握でき、異常があった場合の認知と対処を迅速に行うことができる。さらに、住民基本台帳カードと手のひらの静脈による『二重』の本人確認により、『成りすまし』が防止される」(2006年12月5日付「岩手日日ニュース」)
 この実験には111人中100人の児童と保護者が参加したそうですが、携帯電話やパソコンを持たない保護者のほか、通知システムの配信を希望しない保護者≠烽ったようです。ちなみに、参加した保護者は歓迎しているということです。管理されることに無自覚というにとどまらず、与えられた安心・安全≠ノ満足してしまっていることに寒気がします。
 この実証実験の費用は2800万円だということですが、奥州市は実験結果によっては全児童を対象にしたシステム導入を検討するようです。奥州市ではこの実験以外に、市内の民間企業と提携して、45箇所の店舗やホテルで住基カードを提示した市民に買い物代金の割引などの得点を提供する実証実験を実施中です。こうした涙ぐましい努力によって、同市の住基カード交付枚数は7247枚、普及率5・5%(昨年10月末)という数字になっています。
 いやはや、こうなるといったい何が目的なのか、まるで住基カードの普及そのものが目的なのかと思ってしまいます。しかし、この登下校通知システム、子どもたちが実験材料にされていて(おちおち道草もしていられない)可哀そうですが、このシステムが一般社会に持ち出されたとき何が起こるか、考えたら怖くて眠れなくなります。   (晴)


色鉛筆 非正規労働者 なぜ賃金は上がらないの?

 今年の2月に日銀が金利の引き上げをした時、景気がよくなってきたと盛んに言われていた。「えっ、誰が景気がいいの?」と思った。というのも、私達、非正規労働者は一生懸命働いて、サービス残業しても正規労働者の3分の1という安い賃金でこき使われ、ここ数年は、毎年賃金が下がっている。賃金が下がっているのに税金、社会保険料などは年々上がっているので手取り賃金は減り続け、給料日の明細表を見てもがっかりしてしまう。
 景気がよくなっているなら、賃金が上がっていいのではないか、何かおかしいなあと思っていた。そんな思いの中で新聞記事のグラフ(図参照)を見て「これだ!!」と思った。『財務省の統計では、企業(金融保険等除く)の経常利益は02年度から伸び続け、05年度は過去最高になった。一方、従業員1人あたりの平均給与は減少傾向が続く。派遣など非正社員が増えた影響とみられる』(朝日新聞より)と、企業利益が上がって景気がいいのは、私達、非正規労働者を多く採用して人件費を抑えていることがこのグラフからはっきり分かった。企業利益が上がれば賃金が上がるのではなく、企業利益を上げるためには賃金を下げるということなのだ。私達、非正規労働者の犠牲の下に利益を上げている企業を許すことはできない。
 さらに、企業に対して減税しようという動きもあるのだから頭にくる。経団連の会長は『企業優遇という小さな議論ではなく日本経済がグローバル競争で生き残れるかという観点から考えることが重要だ』(朝日新聞より)ときれいごとを言ってるが、いかに自分達、企業側がより利益を得るために減税しようとしているのだ。私達労働者の賃金を上げる為には、この企業=資本を葬らなくてはならない。(美)


 ‐現代なら山節考≠ニオカミのむだ使いから‐

 貧しき者の社会では、これまで間引きかれ、またそれをよし≠ニしてきた老人に対する見かた、また老人自身の受け止め方がなら山節考≠ナあった。人口の面から見ても、逆三角形で、若者1人が4人の老人を支えねばならなくなるという見通しを、そのまま受け入れて、肩身の狭い思いをする老いた者も多かろう。私自身もそう感じていた。
 しかし、TVのスーパーモーニングで映像とともにオカミのムダ遣いの実態が明らかにされた。目前に死≠フみを覚悟せずばなるまいと思い込んでいた私も、バカバカしい死≠迎えるよりも、都市でのピンピンコロリをいかに実現するかを一考した方が楽しいゾ、と思えるようになった。
 それと共に税とは何か?≠改めて学びたく思うし、オカミのムダづかいの始末≠どうつけるのだろうと税≠フ払いっぱなしでなく、刮目して見ていようと思う。今やっと生きる権利≠ノ目覚めたようなもの。体は動かず口だけ達者とあれば憎まれ者、世にはばかる≠ナあろうが、それもまたよし。
 ペット界でさえ犬の社会化≠ェいわれ、市民とは名ばかりの私どもも、社会化≠ケずばなるまい。何を∞いかに≠ェ誰しも自らに問われるだろう。これもTVで知ったことだが、発展途上国であろうが、宗教が主で、宗教がすべてで、政治≠ヘ不要とする国があるとか。この年令になって政治とは何か≠ゥら学ばねばなるまいという思いがしきり。
2007・3・21 宮森常子


統一地方選挙が始まった

 三月二十五日、十三都道府県知事選挙が始まりました。夏の参議院選挙の前哨戦の意味を持つものの自民党に支援された石原現都知事と相互応援すると公言する上田埼玉県知事と松沢神奈川県知事との破廉恥な行動を私たちは批判しなければなりません。
 また民主党は自民党と対決するとは言いながら、実際に別候補を擁立して闘うのは、五都道府県に止まっています。まさに民主党の言動不一致は糾弾に値するものです。
 石原は何としても落選させねばなりません。しかし当選の見込みがなくても候補者を擁立して恥じない共産党の行動も批判に値するものではないでしょうか。まさに唯我独尊、○○に付ける薬はないというのみです。全く呆れ果てた最悪の政治行動ではあります。
 さて今回私の友人が千葉の流山市で市議会選挙に立候補します。私は少しでも手伝いたいと考えて、明日から二回目の支援に行くのですが、地域で革新無所属を貫いて闘う彼の政治姿勢を大いに評価しています。まさにこの立場にたち地域で闘い抜く決意が、私たちの一人ひとりに、今鋭く問われているのではないでしょうか。
 全国の各地で果敢に闘っている「ワーカーズ」の皆様のご健闘を讃えたく思い、ここに一筆書せていただきました。ともに悔いのない闘いを展開して行きましょう。 (笹倉)


連載 グラフで見る高校生の意識調査 その11

 問11 問10(あなたが選びたい生き方はどれですか。また、将来あなたの結婚相手または恋人に望みたい生き方はどれですか)を受けて、それはなぜですか。自由にお書きください。
 自由記述なので、無回答や「なんとなく」といった記入を除くと約6割の人が何らかの理由を回答してくれました。ここでは問10の回答グループ別に、主な理由を挙げておきます。

(「男女共同参画社会に向けての高校生アンケート調査報告書」 発行者・南阪神ねっと、より転載)

 女子の仕事継続型(449人)では「好きな仕事だから」が約4割。「家庭や子どもも大切だけど、仕事も続けたい」「生きがいのため」「2人で協力して、家庭を作りたい」も含めると約8割になります。誇りを持って、好きな仕事と言えるような就職が可能なのか? 心配もありますが、自分の人生を前向きにとらえていることに、嬉しく思います。中断再就職型、出産退職型も「子育てと仕事の両立は大変」と言う理由からですが、子育て支援の整備が不十分であることが大きく反映していると言えます。また、子育て以前の妊娠・出産時に近くに産婦人科が無いなど、不安な材料が事欠きません。安心して暮らせるための地域医療は誰にとっても必要なことです。住みやすい街に変えていこう! もうそこまで選挙戦が迫っています。傍観者ではなく、最低限の有権者としての責任を果たしましょう。(恵)
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