ワーカーズ477号 (2012/12/1)
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勝ち取ろう!脱原発への前進
打ち砕こう!安倍・石原・橋下の右翼的策動
野田首相が追いつめられて、衆院解散・総選挙に打って出た。その途端に2桁の議員が離党し、政権奪取時には300を超えた議席が遂に過半数をも割りこんだ。更に、選挙後にこれがどこまで減るかわからない。それほどに、民主党による政権運営は拙劣であった。
この間、野に下っていた自民党は政権復帰の芽が出てきた今、あろうことか安倍元首相を頭に据え、時を押し戻そうとしている。3・11などなかったように原発の全面再稼働を策し、憲法改悪による自衛隊の国防軍化、日銀による建設国債引き受けと公共投資への投入、等々。政権公約は「日本を取り戻す」と称しているが、自民党のなかからすら「取り戻すことが出来るのは、政権投げ出しで屈辱を味わった安倍氏のプライドだけだ」との自嘲の声が聞こえる。
公明党はこうした安倍のはしゃぎぶりに戸惑いをみせつつ、下駄の雪よろしくどこまでも自民党に寄り添い、与党へと復帰するつもりなのか。大阪では橋下維新の会に寄り添い、反動的諸施策に手を貸しているのだが。小沢無罪が確定した国民の生活が第一はマスコミから無視されているが、社民党などと国民連合を組み、「原発も増税もTPPもSTOP!」を掲げて選挙に臨んでいるようである。
さて、今を盛りの第3極だが、無原則な野合に明け暮れている。石原前都知事と橋下維新の会は合体したが、石原は第3極総結集の星になり損ね、橋下は企業・団体献金全面禁止や脱原発をいとも簡単に投げ捨てた。石原にあるのは中国敵視や核武装への野望であり、橋下には権力への欲望以外何もない。
今衆院選の課題は何か、言うまでもなく脱原発への不可逆的前進である。脱原発を明言する政党・勢力の増加をめざし、個々の議員・立候補者を色分けして原発推進派を落とさなければならない。勿論、政治的指標として消費税増税に賛成した議員、オスプレイ配備やTPP参加に賛成する候補者も落選リストに入れなければならない。
同時進行する都知事選においても、石原4選の上に猪瀬当選を付け加える愚は許されない。愚かなオリンピック招致再チャレンジ、三環状道路整備等を止めなければならない。選挙は不毛、選択肢がないなどと白けている場合ではない。ここで原発を止められなかったら、第二のフクシマは避けられないだろう。
(折口晴夫)
──解散・総選挙──
再現される〝公約のたたき売り〟──財界・官僚体制と対決する政治勢力を!
「近いうち」と言われ、ずるずると先送りされてきた総選挙が実施されることになった。
総崩れとなったマニフェストを始め、民主党政権のあまりの体たらくのおかげで政権の座が見えてきた自民党。新総裁の安倍元首相による言いたい放題の選挙キャンペーンが目立つ。
前回総選挙での民主党マニフェストは、とにもかくにも政権を目前とした選挙戦術としての大盤振る舞いだった。戦略も覚悟もなかったそのマニフェストの破産が明らかになった今、再び安部自民党によって票目的の公約のたたき売りがまかり通っている。
そんな既成政党の選挙戦術に乗ってしまうのか、それとも既存の政治を打破する橋頭堡を築けるのか。問われているのは、むしろ私たち有権者、労働者・市民の判断である。
◆追い込まれ解散
自らの発言がもとになった野党の解散要求で、破れかぶれの自爆解散を強行せざるを得なかった野田首相。
代表選以降の野田首相は、人々の期待を集める目玉政策を打ち上げることができず、世論調査では内閣支持率が20%を割っている。国会では自民党などからの〝嘘つき首相〟との非難と、党内からは敗北必死の総選挙を先送りしたい議員による解散先送りの声に板挟みになっていた。このまま来年度予算の編成も進まず解散もできないとなれば、代表の座から引きづり下ろされる可能性も出てくる。いわゆる「死に体」総辞職への道だ。
追い詰められた野田首相は、死中に活を求めるがごとく解散権を行使することで、敗北必死の解散総選挙に打って出ることを選択せざるを得なかったわけだ。
とはいえ、自民党の野田内閣批判が党利党略であるのと同じように、野田首相による解散総選挙の選択も党利党略以外のなにものでもない。本来であれば有権者に約束したマニフェストの総崩れがはっきりした時点で、さらにはマニフェストにない消費増税を提案する場面で民意を問わなければならなかったはずだ。それが有権者との約束事に従って政権を運営するという議会制民主主義の建前でもあったハズだ。
野田首相が強行した消費増税を始め、総選挙の争点として打ち出したTPP参加方針など、民主党政権が大企業や官僚主導の政治勢力であることが誰の目にも明らかになった今回の解散・総選挙。民自による保守二党体制やそれから派生したニセモノ第三極に「ノー」の票を突きつけ、そうした勢力と真っ向から対決する自前の政治勢力づくりを推し進める以外にない。
◆懲りない安倍自民党
10月の自民党総裁選でもそうだったが、新総裁となった安倍総裁のはしゃぎぶりが際立っている。それもあきれるほどの右翼・タカ派ぶりだ。
安倍総裁の下で取りまとめられた選挙公約はざっと見ただけでも次のようなものだ。
まず自衛隊の国防軍化、集団的自衛権の行使へ、自虐史観教育の転換や教科書検定での近隣諸国条項の撤廃、尖閣諸島での公務員(自衛隊?)常駐、インフレターゲットを設定し、国債をすべて日銀に引き受けさせる、等々。これらのいくつかは憲法改定や解釈の変更が必要なもので、現に安倍総裁は改憲が党是の自民党にあってその最右翼だ。
こうした自民党の保守回帰、あるいは右翼・タカ派への傾斜は、この4月に取りまとめられた自民党の憲法改正試案にも示されていたものだった。今回の選挙公約は、そうした自民党の右翼・タカ派路線への傾斜をさらに推し進めるものとなっている。
もともと安倍総裁が首相だったとき、「戦後レジームの打破」を掲げ、改憲を目的とした国民投票法の制定を強行したり、「価値観外交」や「自由と繁栄の弧」といった日・米・豪・印による対中国封じ込めという時代錯誤のネオコン的なイデオロギー外交に熱を上げたりしていた。有権者や普通の庶民が雇用難や年金問題などで苦しんでいることなどどこ吹く風とばかりにだ。しかも永年の政官業癒着体制の張本人だった自民党時代の反省もかけらもなく、いま政権復帰が現実味を帯びたこの場面で、性懲りもなく右翼・タカ派の選挙公約を掲げて恥じないのだ。
はやばやと次期首相の前評判に有頂天の安倍首相率いる自民党を、すんなり政権復帰させるわけにはいかないのだ。
◆三番煎じの〝第三極〟
誕生したときから保守二党制の担い手だった民主と自民。総選挙の前哨戦では相互の非難合戦が飛び交っている。が、〝税と社会保障の一体改革〟などで手を組んだように、基本的な理念や政策ではほとんど変わるところはない。いずれも財界・大企業や官僚体制の代弁者の役割を果たす政治勢力だ。
民自二大政党は、これまで国政上の基本的な政策では財界や官僚の要請を反映してきた。多少スタンスが違っても、それは景気回復が先か財政再建が先かなどという同じ土俵上での手順や方法論の違いに過ぎない。時には主導権をめぐって対立はするが、そうした表面上の対立を取り払ってみれば、大企業主導経済や官僚主導政治、あるいは様々な〝業界ムラ〟に対する有権者・庶民の批判を、既成の体制内に取り込むための政治装置でしかない。
では突如生まれ出たメディアが言うところの〝第三極〟の新政党はどうか。
解散総選挙が決まって新しい国政政党が雨後の竹の子のように生まれている。石原新党と合流した「日本維新の会」、先行脱党組が加わった小沢「国民の生活が第一」などだ。それに誕生からたった1日で解散した石原「太陽の党」などというものもあった。
そうしたにわかづくりの新政党が〝第三極〟だということだが、それらは第3政党や第4政党になるかもしれないが、基本理念やスタンスで対極に位置する第三極などといえる代物ではない。むしろ基本的なスタンスは民主党や自民党から派生した三番煎じで、表向き過激な政権批判や有権者受けする刺激的な看板を掲げているだけだ。いってみれば、有権者から見放された自民党や民主党に変わって、自分たちこそ国政の主役を演じたいという連中の寄せ集め集団に過ぎない。
◆あぶない維新の会
たとえば橋下日本維新の会。小渕内閣で閣僚になった作家の堺屋太一や小泉内閣で大臣をつとめた竹中平蔵などをブレーンとして迎えている。彼らは巨額の財政出動や新自由主義的な政策の推進者だったように、体制護持派の御用学者だ。橋下は、そうした連中と手を組んで国政という劇場政治の主役に躍り出ようとしているだけに過ぎない。だから地方主権や道州制など、有権者の国政批判に便乗した反中央の看板は掲げてはいるが、安全保障問題や財源負担などの基本政策は自民党や民主党とほとんど同じだ。むしろ集団的自衛権や非核三原則の緩和発言など、右翼・タカ派ぶりを押し出すことで〝強い指導者〟を演じているだけに過ぎない。自民党の安倍総裁や石原前都知事と同じような発想と感覚なのだ。
橋下日本維新の会が自民党や民主党の三番煎じに過ぎないことは、財界から大飯原発再稼働反対を批判されて撤回した場面や石原太陽の党との合流で企業献金禁止方針をあっさり撤回したことに端的に表れている。そうした重要政策はあくまで統治権を手に入れること、国政劇場に主役として登場するための方便でしかなく、小沢一郎と同じように橋下にとってもどうでもいいことなのだ。
橋下日本維新の会には他にも無視できない危うさが潜んでいる。橋下政治には国家統治(=国民支配)という観点が突出しており、民主主義の観点のかけらもないことだ。大阪府知事や大阪市市長としての権力を振りかざした独断的な政治手法は、本人も豪語しているように独裁者そのものだ。そこでは選挙というのはあくまでリーダーを選出すること、選出されたリーダーは白紙委任された独裁者として振る舞う、というその政治感覚があけすけに語られている。まさに議会制民主主義が内包するカラクリを体現する思想という以外にない。今回の太陽の党との合併に際して橋下が語ったとされる「重要なのことは政策ではなく実行できるかどうかだ」という発言にも、そうした政治感覚が露骨に反映している。
繰り返すが、橋下維新の会などは民主・自民などの体制護持勢力の「第三列」、過激で未熟なその一分派に過ぎない。民主か自民か、それとも第三極か、などという選択肢を並べた土俵ごと「ノー」を突きつける以外にない。
◆私たちの基準を明確にする
最近の総選挙思い起こせば、刺客選挙に象徴される劇場選挙、マニフェストを掲げた政権選択選挙、あるいはお任せ民主主義選挙が繰り返されてきた。今回は〝第三極選挙〟とでもいえるだろうか。
この間学んできたことは、選挙で政治は変わらない、ということだった。誰かに白紙委任するという選挙の機能自体の限界を思い知らされた経験でもあった。
たとえば首相官邸前での脱原発抗議行動。多くの人の声だけでは今一歩原発ゼロまで原子力ムラを追い詰めることができないでいる。そこで不在だったのは労働者としてのまとまった声だ。抗議行動では労働者のストライキが伴わない。企業体制を揺るがす土台からの異議申し立ての行動はいまだ脆弱だ。企業体制の牙城に迫る地殻変動を伴わない異議申し立ての限界を銘記すべきだろう。10万人でだめだったから100万人で、という数の話ではないのだ。
ともあれ、この4日には総選挙が公示され、16日には投開票される。今回の解散総選挙に自前の政治勢力を持たない私たちは、自らの力量不足を反省するとともに、少なくとも今後の闘いの可能性を広げる取り組みと意思表示を示さなければならない。
基本的な判断基準は、脱原発=再生可能な自然エネルギー社会への転換、反大衆増税=富裕者・企業責任の拡大、沖縄基地撤去につながる軍事至上主義の克服と善隣友好関係づくり、新自由主義のTPP反対=人が主体となる経済・交易関係づくり、反お任せ民主主義=参加・行動型民主主義づくり、などだろう。いま選挙目当ての脱原発、反消費増税、反TPPなどを公約に掲げる政党が多いなか、とりわけ格差社会の根源を撃つ企業責任を追及する観点での判断基準が重要になる。
目の前にある総選挙だが、その先の展望も踏まえた判断や、職場・地域で、自分たちが行動することで政治を変えていく、そんな闘いが不可欠だ。(廣)
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なんでも紹介
関西電力大河内ダム発電所と生野銀山見学会
○揚水発電は原発と一体
11月18日(日)、ダム建設に反対するグループ「武庫川の治水を考える会」(西宮)の主催で、バスツアーがあり参加してきました。前日の雨が上がり晴天に恵まれ、バスの窓越しの陽射しを気にしながら、兵庫県のちょうど真ん中に位置する神河町を目指しました。大河内ダムは揚水発電で、到着時にPR館のガイドさんが出迎えてくれ、事前に館内のビデオ上映で神河町の宣伝とダムの全体像を説明してくれました。
時間の都合で、PR館の中での利用に限られましたが、敷地内には家族連れできても親子で楽しめるミニハウスが6ヵ所もあり、北欧風の小さなまちをイメージに製作されています。関西電力は、こういった施設の維持経費も電気代に含んでいるのかと思うと、ちょっと違和感を持ってしまいます。
地下280メートルの山の中にある揚水発電所には、シャトルバスに乗ってトンネルの中を抜け、静かな一室の中に案内されました。想像していた場所とはほど遠い、騒音と機戒には無縁の場所なので、本当に発電する機械があるのか? 不思議な感じでした。地下に向かう階段からは上部ダムと往来する放水管が見え、発電のしくみやポンプ水車の説明から全体像(純揚水式発電所)がつかめてきました。
大河内ダムは、上部ダムと下部ダムの高低差394・7メートルを利用して最大128万キロワットの発電を行なう揚水発電所です。原発で夜間に余った電気を利用して上部ダムへ揚水し、逆に昼間に上部ダムから放水し電気を起こす仕組みです。しかし、原発が稼動していることが条件で、余った電気を利用するわけですから、関電のPRにある「大きな蓄電池の役割とCO2削減に貢献している」は、あまりにも誇大に評価し過ぎではないかと思われます。ただ、今後、原発が稼働しなくても、自然エネルギーで余剰電力が出た場合、この施設を利用して上部ダムに放水しておくことは可能なのです。
しかも、今後、自然エネルギーを利用した発電が普及することを踏まえ、自然に左右され安定した電力が見込まれないから、そんな時に発電する電気を容易に調整できる揚水発電が機能を発揮すると、持ち上げています。自然エネルギーは、原発と違って自然を利用し発電するわけだから、燃料費や廃棄物の処理に悩む必要はありません。不安定な電力なら、当面、火力発電をフル回転して電力を補い、消費者は続けて節電に努めるなど工夫は色々あるはずです。そんな中、「12%電気代を上げる」(11月23日)と豪語し、消費者をバカにしている関電。その次の日、関電社員の給料を大手企業の平均年収に合わせると、800万円から600万円への値下げを発表。いかにも会社も努力していると言わんばかりですが、東電福島原発事故の補償問題も解決しないままでは、原発稼働は不信ばかりがつのります。
○犠牲者数が公表されない生野銀山
昼食は生野銀山を目の前にしたレストランで、銀山名物の「ハヤシライス」を頂きました。レストランは紅葉の時期も重なり、団体客も多く、老人会を思わせるようなグループとも同席し賑やかなひと時でした。昼食後、銀山のボランティアガイドさんの説明を受けながら、坑内を見学しました。まず、資料館で江戸時代の坑内模型から、当時の鉱石を掘り出す作業の様子(まるでアリの巣のごとく)が、死を覚悟しての作業と理解できました。それは、実際、坑内での見学で、「狸掘り」という大人がしゃがんでやっと通れるだけの穴を小さなノミで掘りつづける、という説明からも実感しました。小さな穴から出てくるのも困難なので、3日間くらいは穴に篭ったまま作業を続けるという、鉱夫のすさまじい仕事ぶりが伺えました。
「鉱夫6年、吹き8年」というガイドさんの言葉は、鉱夫は6年で、精錬工は8年で死を迎えるということでした。「30才まで生きられたら『御の字』だった」と、石見銀山の資料館の館長さんの報告(11月25日・神戸新聞)からも実証されています。こんな過酷な労働を強いることで、日本の資本主義は成長して行ったのかと思うと、この犠牲を無駄にしてはいけないと、坑内を歩きながら苦労を偲びました。私たちの今の労働は比べ物にならないほど恵まれていますが、改めて自分に課せられたものは何なのか? 考えさせられた見学会でした。
ガイドさんから、銀山の周辺には他の地方に比べ、異様に多くのお寺があることを知らされました。これは、鉱夫の寿命が短いこともありますが、病気・落盤事故や近代(明治)に入って爆薬で採掘するようになって不発弾などで、一度に多くの犠牲者が出たのも原因とされています。
毎年、環境問題に関連した見学会を企画して、実際、自分で見て正しい情報を得ようとさている「武庫川の治水を考える会」の方々に、有意義な時間を作ってもらい感謝しています。もう70代を超える方々が多くを占めるこの会で、私たちはまだまだ若いことを自覚させられます。私の場合、この先20年、どうなっていることやら。無理せず細々と続けていけたらと思っています。(兵庫・折口恵子)
「コラムの窓」・・・反戦イラク帰還兵
IVAW(反戦イラク帰還兵の会)のアーロン・ヒューズ氏(元イリノイ州兵)とアッシュ・キリエ・ウールソン氏(元ウィスコンシン州兵)の2人が11月に一週間沖縄にやってきた。オスプレイの配備反対、米兵暴行事件で抗議する沖縄県民の闘いに連帯するための来沖である。
2人は2003年に米軍兵士としてイラクに派遣され、約1年間にわたり軍事行動に従事。帰還後、自らの過酷な戦争体験を多くの人々に伝える必要性を強く感じ、世界中で講演やアートを通して反戦を訴え続けている。
このIVAW(反戦イラク帰還兵の会)は2004年に結成され、全米各州に組織されている。今や米国の平和運動の先頭に立ち、イラクやアフガンに派兵された4軍(陸・海・空・海兵隊)と州兵の心のケアとともに、自らの戦争体験を証言することで、米軍内部の腐敗の追及、国際法も軍法も交戦規則も無視した米軍の「戦闘の恥」を告発している。
彼らは滞在中、桜坂劇場での「IVAW(反戦イラク帰還兵の会)明日へのあゆみ~いま時代はかわる」(木村修監督)の映画上映と懇談会開催、11月20日と21日2回の講演会開催、普天間飛行場野嵩ゲート前での米兵士に対するアピール行動などを取り組んだ。
講演会では、米軍普天間飛行場のゲート封鎖を挙げ、「沖縄の人々の自主権を取り戻す誇りある闘いだ。強い意志は必ず勝利する。闘いに勝利し、基地が閉鎖されることで、米軍米兵らは米国の家族の元に帰ることができる。それは(元兵士である)私たちの勝利と回復でもある」と、基地内外の共闘を呼びかけた。
兵士も軍隊の構造的暴力の被害者だとして、「寛容と共感だけが、非人間化教育を打ち砕く。共に軍事占領を終わらそう」と訴え、「オスプレイに乗る米兵は危険を知っている。彼らも助けを求めているのではないか」と案じた。
11月16日には、米軍普天間飛行場野嵩ゲート前で、同飛行場に出入りする米兵らに対し「共に平和のために立ち上がろう」と呼びかける反戦アピール行動を続けた。
沖縄行動を終えた彼らは本土に渡り、11月23日より引き続き全国ツアーを取り組んでいる。是非、ご参加を!(富田 英司)
「2012アーロン&アッシュ全国スピーキングツアー」の紹介。
★実行委員会からのご案内
「対テロ戦争」が世界に宣言されて12年となるこの秋、アメリカから一度はイラク占領に従事した二人の元兵士が来日します。元イリノイ州兵だったアーロン・ヒューズとウィスコンシン州兵だったアッシュ・キリエ・ウールソン。二人は、自らの過去と向かい合いながら、芸術を通して自らの人間性をとりもどす道筋をあゆみ、今「対テロ戦争の終結」と「暴力ではなく、人間性回復のために国家・民族・宗教を越えてともに手をつなぐ」ことを呼びかけています。今、時代の歯車は、中東・欧州・米国・アジアをつないで大きく回り始めています。二人の世界の市民どうしの連帯と和解を呼びかけ、手をつなぐ旅にどうか皆さんもご参加下さい。
★全国ツアー12月のスケジュール
・12月1日(土)99%ユースフォーラム「日比谷図書館12:30」
・ 2日(日)川崎集会「総合自治会館第1会議室 12:30」
・ 5日(水)レイバーネットTV出演
・ 6日(木)東京北部集会「北区岸町ふれあい館 18:00」
・ 8日(土)丸木美術館展示「9:30~16:30」
・ 9日(日)丸木美術館展示「9:30~16:30」
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北方領土と日本共産党 現在・過去・未来
北方領土と共産党の現在の立場
北方領土に関して日本共産党は、北方4島だけではなく、得撫島や占守島を含む千島列島全島の返還をロシアに求めている。このように千島列島全島の領土権を主張しているのは日本の主要政党では日本共産党のみである。
その理由は、1855年に締結された日魯通好条約により南千島(北方領土)を、1875年締結の樺太・千島交換条約によって「平和的な領土交渉」が行われた結果、北千島を帰属して千島列島全島が日本に帰属したと同党は認識しているからである。
またこれに関連してサンフランシスコ平和条約の第2条(c)にもとづいて日本政府が千島列島の権利を放棄した事に対しては、「領土不拡大」の原則があった中で戦後処理に問題があったとして、共産党はその誤りを正すべきだとしている。もちろん樺太(サハリン)は南北ともにロシア領であるとも主張しているのである。
共産党の志位委員長の発言を二つ引用する。
日本の歴史的領土の返還を求めるみなさんの運動に、心からの敬意と、ともにたたかう決意をこめて、ごあいさつを申し上げます。
私は、日ロ領土問題を解決するにあたって、何よりも大切なことは、日本国民がロシアに領土返還を求める大義―国際的に通用し、ロシア国民も納得させうる大義を、堂々とかかげて交渉にのぞむことにあると思います。その大義とは、スターリンによる領土拡張主義を正すということであります。
スターリン時代の旧ソ連は、第二次世界大戦の時期に、バルト三国の併合、中国東北部の権益確保、千島列島の併合をおこないました。これは「領土不拡大」という連合国の戦後処理の大原則を乱暴にふみにじるものでした。このなかで、いまだにこの無法が正されていないのは、千島列島だけになっています。ヤルタ協定の「千島引き渡し条項」やサンフランシスコ条約の「千島放棄条項」を不動の前提にせず、スターリンの領土拡張主義を正すという正義の旗を正面から掲げて交渉にのぞむことが、何より大切であることを強調したいのであります(「北方領土返還要求全国大会」での志位委員長の挨拶 05年2月7日)。
日露領土問題の根源は、第2次世界大戦終結時におけるスターリンの覇権主義的な領土拡張政策にある。スターリンは、ヤルタ会談(1945年2月)でソ連の対日参戦の条件として千島列島の「引き渡し」を要求し、米英もそれを認め、この秘密の取り決めを根拠に、日本の歴史的領土である千島列島(国後、択捉から、占守までの全千島列島)を併合した。これは「カイロ宣言」(1943年11月)などに明記され、自らも認めた「領土不拡大」という戦後処理の大原則を蹂躙するものだった。しかもソ連は、千島列島には含まれない北海道の一部である歯舞群島と色丹島まで占領した。第2次世界大戦終結時に強行された、「領土不拡大」という大原則を破った戦後処理の不公正を正すことこそ、日ロ領土問題解決の根本にすえられなければならない(歴代自民党政権の日ロ領土交渉方針の根本的再検討を 10年11月9日 )。
共産党の北方領土は日本の領土だとの主張は、尖閣や竹島に関しての日本政府の主張を踏まえた同様のものだ。日本政府は、千島列島の国後・択捉は南クリルとして、歴史的にも法的にも日本固有の領土としてきた。共産党もまた歴史的領土だとするのである。
この共産党の主張に対して、民主党議員や自民党議員等の無知故の驚きのリアクションがユーチューブで公開されているが、まさに一見の価値があるので視聴をお勧めする。
私たちにとっての問題とは、この主張がどういう経過の中で形成されたのかである。
北方領土と共産党の過去の立場
先に私たちは北方領土と共産党の現在の立場を明らかにした。この立場は、1969年3月6日付「赤旗」の「千島問題についての日本共産党の政策と主張」において初めて明らかにされたものである。
当然の事ながら、それ以前の共産党の主張はこれとは異なったものであった。戦後の北方領土問題は、所謂千島問題ではない。「北方領土」返還要求の中には、①南千島を含む点では一致しているが、②その他千島列島を全部要求するもの、③それに南樺太を加えるものの三種類があった。
共産党は、かってこの全てに反対していたのであるが、1965年になって変節を開始して、1969年になってからは先に引用した立場つまり②へと移行したのである。
かっての共産党は、「千島列島は、第二次世界大戦の終結のさい、連合国の決定にもとづき、対日降伏条件の一つとして、ソ連にひきわたされたものである」としていた。それどころか共産党は、「第二次世界大戦の終結時に、ソ連が千島列島を占領したことも、ソ連の一方的な行為ではなく、連合国のとりきめにしたがっておこなわれた戦時占領であり、連合国の日本占領の一部としての性格をもつものであった。したがって、自民党はじめ、日本の反動勢力がとってきたように、ソ連による千島列島の占領そのものを、不法なものとして非難することは、何ら正当な根拠のないものである」と言い切ったのである。
この主張に対して、1969年3月6日付「赤旗」の「千島問題についての日本共産党の政策と主張」においては、「千島列島のソ連へのひきわたしは、国際条約上の経過からいえば、“ポツダム宣言”を受諾して無条件降伏した日本が、連合国の決定にしたがった結果であるが、内容的には、歴史的に日本の領土であった地域をソ連にひきわたしたものである。これは領土問題の処理としては、連合国が第二次世界大戦中に一致して宣言した“領土不拡大”の原則にも合致しない不公正な処理であったといわざるをえない」と真逆の見解を主張するまでになったのである。
かってはソ連のシベリア抑留を弁護・美化しスターリン万歳をやめ、ソ連離れしてから中国に急接近する中で起こった事であり、毛沢東のソ連は領土を取りすぎたに触発された自他を欺く議論なのである。一体共産党のどこが「自主独立路線の党」なのであろうか。
北方領土と共産党の未来の立場
私たちは北方領土に関する共産党の現在の立場と過去の立場をつぶさに検討した。そこで確認できた事は、共産党の世界体制把握の観念性と恣意性である。
確かに第2次世界大戦で連合国がとった戦後処理の原則の「領土不拡大」原則はいい加減なものであった。それが世界大戦を互いに闘った帝国主義国の論理であり、軍事「大国」の論理である。彼らは他国には過酷な要求を突き付けるが自らは勝手し放題なのである。
彼ら勝利国は、敗戦国日本・ドイツ・イタリアがこの時まで戦争などによって奪った土地は返させたが、その他の土地の割譲は求めないというものだった。日本に対しては1943年に米英中3国首脳が発表した「カイロ宣言」では、日清戦争で奪った土地の返還が明確にされた。45年7月の「ポツダム宣言」では、この「カイロ宣言」の履行が明記され、ソ連を含む連合国全体のものとなった。
「ポツダム宣言」以前にアメリカ、イギリス、ソ連3国の首脳は、第2次世界大戦末期の1945年2月、ソ連のヤルタで会談を開いた。この会談でスターリンは、ソ連の対日参戦の条件に、日本の歴史的な領土である千島列島の引き渡しを要求する。米、英ともこれを認め、この「千島引き渡し条項」は3国の秘密協定に盛り込まれた。これが他国には厳しいが自らは勝手な帝国主義国の論理なのである。
第2次世界大戦後、日本がアメリカなどと1951年に調印した「サンフランシスコ平和条約」の第二条C項の「千島放棄条項」には、千島列島について日本が「すべての権利、権原及び請求権を放棄する」ことが明記されていた。この条項は、ヤルタ協定の当事国であるアメリカが、ヤルタ協定にしたがって持ち込んだもので、ソ連とアメリカの共同謀議だった。しかしソ連はこの場面で署名を拒否する誤りを犯したのである。
日本の領土問題の基礎には、戦後日本の出発点であるポツダム宣言の第8条がある。そこには「日本国の主権は本州、北海道、九州、四国に限定される」、そして「その他の主権の及ぶ島々は連合国が決める」と厳しく限定されているのである。
つまり「ヤルタ=ポツダム」体制では、本州、北海道、九州、四国はたしかに“固有の領土”と呼べるが、その他の島々に関しては、日本の民族主義者が信じ熱狂してやまない“固有の領土”という理屈が成り立たない。まさに周知しなかった外務省の怠慢である。
共産党の北方領土に対する現在の立場と過去の立場には、真逆の関係にあるがその核心には、帝国主義国間の共同謀議は認めないとの立場がある。共産党は、結果として「ヤルタ=ポツダム」体制を認めず軽視する立場に立っているのである。
この点、「ヤルタ体制」「ポツダム宣言」を認めないという極右と共産党の見解は極めて近い立場にある。彼らは今、竹島や戦核問題では「立派に」は民族主義の一翼を担っている。そして北方領土では右翼も驚いて引くほどだ。両極端はまさに一致するのである。
今後の日本政治情勢の中ではファシズムの台頭が危険視されているが、共産党の動向にも注目するでは必要があるのではないか。 (直木)
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色鉛筆 姉と弟 (2)
全く身に覚えのない罪を警察からデッチあげられ逮捕されてから46年、袴田巌さん(76歳)は死刑囚として東京拘置所に今も囚われたままだ。
第二次再審請求中の今、姉のひで子さん(79歳)が支援者と共に日本全国で公演を行っている(アムネスティ日本主催)。10月に静岡でひで子さんのお話を伺った。前日大津市で公演されたばかりとのことだがとてもお元気だ。
巌さんは6人兄弟の末っ子で(おとなしい子)だったという。当時は事件のあった会社の寮で生活し、 毎週末に浜松の実家に預けていた幼い息子に会いに来ていた。警察は「事件後浜松に帰省した、怪しい」などと全てを犯人視し、マスコミも連日『今日も犯行否認』と極悪の犯罪人と決めつけた報道を繰り返した。ひで子さん達は息を潜めて生活せざるを得なかった。
巌さんへの警察の取り調べは、取り調べ室に便器を持ち込み、座らされた丸い木の椅子には尖ったものが突き出ていたという。真夏の酷暑の中での連日連夜、長時間の取り調べは『拷問』そのものだ。初めて「自白」したときに面会した弁護士は「顔がすごくむくんでいた」と言っている。それでもきっと無実が証明される日が来ると信じていた巌さんは、ひで子さん宛に便せん14枚にも及ぶ日記の様な手紙を寄越し、兄弟での面会に行くと「がんばって行こう」と希望を持っていた。
それが打ち砕かれ死刑確定がされた1980年以降、死刑囚だけの房に入れられ「ひどい所にいるよ」「昨日処刑があった。隣の房の人だった。みんな元気で!と言って行った」やがて「電気を出すやつ、痛みを出す奴がいる」「食べ物に毒が入っている」と、出された食物全てを洗うといった行動が出始める。
2000年から翌年までは面会拒否が続き、「姉はいない」と言っている、ひで子さんはそれでも毎月面会に行っている。一昨年8月以降、また面会のできない(本人が拒否していると拘置所側が説明)状態が今日まで続いている。
「事件のことは終わった」「再審に勝った」「御殿を建てる」等つじつまの合わないことを言い、認知症も糖尿病もさらにすすんでしまっている様子だ。ひで子さんは「父母兄弟も亡くなり、私も79歳。盆も正月も祭りもなく過ごしている。第二次再審開始の一日も早いことを願っている。」と結んだ。
昨年末、犯行時の着衣とされた衣類に付いていた血液のDNA鑑定結果が裁判所に提出され、袴田さんのDNAが検出されず犯人でないことが明確になった。それから一年の今、静岡地裁では弁護側・検察側双方に対する『DNA鑑定人尋問』が行われている。非公開で11月2日、11月19日、12月26日、来年1月28日と予定されている。この上で裁判所が再審を行うかどうかを決定する。
検察側は今もなお、再審開始理由の『新規かつ明白な証拠』にはあたらないと主張し続けている。弁護側は支援者と共に、証拠の全面開示を求めると共にさらなる闘いをすすめてゆく。静岡地裁は一刻も早く再審を開始し、無罪判決を出すべきだ。残された時間は本当に僅かしかない。(澄)
読者からの手紙
全選挙区立候補は正しいか?
2009年の総選挙では、共産党はこれまでの全選挙区からの立候補を止めて闘った。それまでの闘いが数億円の供託金を国庫に寄付するだけの闘いになっていたからです。
何度言っても止めなかった共産党の前回の取り組みを見て、やっと共産党も現実を知るまでになったかと思っていたのですが、今回はまた全選挙区からの立候補を追求しています。今回もばかばかしいので要請された選挙カンパには協力しませんでした。
共産党は1年余りの党建設の総決算として、今回は必死の闘いを展開するようです。宮本共産党以来の新聞拡販を中心とする党員を育てたものの、政治家としての党員を育てなかったツケがここに来て露呈しました。その頼りの新聞拡張員の党員が老齢化した事による活動量の減少とそれによる減紙状況の固定化です。
共産党はいまだにこの自らの組織建設の誤りに自覚はないようです。鳴り物入りの五中総決議の完読と打って一丸の党建設により、今回の総選挙では得票数六百五十万票を獲得し、議員を二倍化すると公言して恥じません。減紙の中果たしてそんなうまくいくものでしょうか。私はまたまた前々回の様に供託金の大没収になるのではと危惧しています。
確かに個々の党員は奮闘しているのでしょう。11月21日の「しんぶん赤旗」を読んで私はびっくりしました。そこには志位委員長からの「美談」が載っていました。今回の総選挙に使ってとある党員が20年間に貯めた一千万円を党に寄付したというのです。
私もかってある政治組織に期末手当の2割ほどのカンパをしたことがありますが、その党員の熱意は十分理解できます。しかし金額が違いすぎて私との比較など出来ません。
ここで考えたのは、共産党の委員長たるものが20年貯めた一千万円を「はい、ありがとう」と貰って良いものでしょうか。私だったらもっと自分の生活を考えなさいといい、党への寄付は少額でよいというでしょう。
私は共産党は公明党と同じく宗教党だと冗談をいうのですが、党員の行動や委員長の行動もそれらしくなってきたと感じ始めました。皆様はどのようにお考えですか。(笹倉)
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編集あれこれ
前号は、10面で脱原発の記事が多かったです。1面は、「ただちに再稼働を停止せよ!」「大飯原発に活断層有り!」と題する記事です。大飯原発に活断層があり、直ちに原発を止めなければならないのに稼働していることは許せません。
私は、12月16日の総選挙では、「脱原発・消費税増税反対・TPP交渉参加反対」を掲げる政党や候補者に投票します。
2面は、11月11日に行われた脱原発集会の報告です。この日は、雨でしたが多くの人たちが結集し活気にあふれた集会でした。4面は、沖縄からの報告で日米地位協定について触れています。沖縄に駐留する米兵は、強姦・殺人・タクシー泥棒などの事件や酔っ払い運転事故を頻繁に起こします。それでも米兵は、日米地位協定によってほとんど罰せられないし逮捕もまれです。日米地位協定の改定や、基地全面撤去などの運動が必要です。こうした運動が、沖縄にとどまらず日本各地で起こらなければなりません。
6面は、高速増殖炉原型炉もんじゅについて、運転再開の動きがあるとのことです。こうした動きにも警戒が必要です。7面の田中真紀子文部科学大臣による3大学不認可(その後認可)についての記事です。そもそも大学側は、認可されない段階で施設建設、教員採用、学生募集を行っています。これだと、大学に問題ありだとしても不認可という決定は事実上できません。大学側は、認可されてから学生募集などの準備をするべきです。そして、少子化が進む中で大学が増え続けることに対して、そこに絡む利権の問題の是正が必要です。
次号は、12月4日総選挙の公示を控えて民主党政権や自民党、公明党などに対する評価の記事が出ることを期待します。 (河野)
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