ワーカーズ498号  2013/10/15   案内へ戻る

私たちの生活は苦しいんだ!  消費税増税をやめろ! 安倍政権を退陣させよう!

安倍晋三首相は10月1日、官邸で開かれた政府与党政策懇談会で、2014年4月1日に消費税率を現在の5%から8%へ引き上げる考えを表明しました。同日夕の臨時閣議で正式に決定、その後の記者会見でデフレ脱却と財政再建を両立させる決意を示し、併せて景気の腰折れを防ぐ6兆円規模の経済対策も発表しました。
 安倍首相は、「経済政策パッケージの実行により、消費税率を引き上げたとしても、その影響を極力緩和することができる」と強調し、2013年度補正予算や税制改正などの経済対策に対する協力を呼びかけました。経済対策ではインフラ整備や雇用拡大策などを実施。低所得者対策として、1人当たり最大1万5千円の一時金を支給する「簡素な給付措置」を導入し、 成長軌道を確保するため、企業向けに設備投資減税や賃上げを促す所得拡大促進税制なども拡充すると言っています。復興特別法人税の1年前倒し廃止については「廃止を検討する」として、年末までに与党側と最終調整します。
 1%で2兆5000億円もの税収を得られる消費税、消費税が実施されて以降、法人税の税率は10%、所得税の最高税率は20%、住民税の最高税率も6%も引き下げられ、大企業や大資産家ほど大きく減税されました。庶民から消費税でたっぷり吸い上げ、大企業や大資産家の懐を大きく膨らませたのです。庶民から吸い上げた税収は、大型公共事業費や、大銀行の不良債権の処理、世界第2位にのぼる5兆円もの防衛費などに湯水のように使われ、国民の社会保障や生活はどんどん切り捨てられてきたのです。
 消費税は、収入のほとんどを衣食住の消費に回さなければならない低所得者ほど負担が重く、高所得者ほど負担が軽い最悪の税制です。法人税の減税や所得税の最高税率の引き下げなど、大企業や大資産家への優遇をやめないといけません。
 また安倍政権は、特定秘密法案を成立させようとしています。これは、国民の知る権利を不法に侵害するものです。また、情報を漏えいすれば最高懲役10年の罰則を科す内容で到底認められません。
 これら反動的な安倍政権を1日も早く退陣させるため、共に闘いましょう。 (河野)


原発事故子ども・被災者支援法の基本方針案の閣議決定を糾弾する
 真に必要な支援策を目指す闘いがこれから始まる


 10月11日、政府は原発事故子ども・被災者支援法の基本方針案を閣議決定した。法律が明確に規定している住民の意見の反映のプロセスを全く経ないで行われた、違法な閣議決定だ。この閣議決定にあたって、数日前から、市民と省庁との交渉何度も行われ、11日当日も朝からの官邸前での抗議行動、記者会見や省庁への申し入れが繰り広げられた。
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 原発事故子ども・被災者支援法の支援対象地域の指定にあたって、復興庁は、住民の間に分断を生まないことを重視したと言った。しかし実際には、新たな、よりひどい分断が生み出されようとしている。福島を地理的に東西に真っ二つに引き裂き、避難した住民ととどまった住民の間の心にも軋轢と対立を持ち込もうとしている。被災地を県境で区切ることによって、宮城県・丸森町、岩手県、群馬、栃木、茨城、千葉、埼玉の年間追加被ばく線量1ミリシーベルト以上の地域、汚染状況重点調査地域をはっきりと無慈悲に切り捨てている。福島を二つに分断するばかりでなく、福島とそれ以外の汚染地域を大きく分断している。
 施策の中身も本当に酷い。福島の人々に対しては、被害の実態に即した支援策ではなく、帰還支援偏重だ。ひたすら「福島に帰還しろ」という内容だ。「帰還しない者にはちゃんとした支援もないと思え」という恫喝的な内容だ。避難者支援、とりわけ住宅や就労に対する支援はなきに等しいほどに貧弱だ。要するに、「放射能を恐れるな」「放射能と共存すべきだ」という福島エートス運動の政策化だ。
 そして、福島県以外の重点調査地域から発せられてきた要求は、一顧だにしていない。重点調査地域からの健康診断・健康調査の要求に対しては、個人線量計(ガラスバッチ)の配布と有識者会議で必要無しの答えを用意し、その後はリスクコミュニケーションとやらで安心論を説く講座とセミナーだけという施策だ。
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 そもそも、支援法は、支援対象地域について、「一定基準以上の線量」に基づき指定すると明確に規定している。ところが基本方針案は、「相当の線量」なる珍奇な概念を新に作り出し、施策ごとに地域を設定するという。これは、完全なすり替えだ。
 なぜなら、「一定」も「基準」も量に関する概念だ。1グラムとか1シーベルトとか、あるいは何グラム以上とか以下とか、いずれも量に関する概念だ。ところが「相当の」は、「何々にふさわしい」とか、「釣り合いが取れている」とかの意味であり、関係に関する概念・関係概念だ。両者は、全く似て非なるものであり、これを一緒くたにして、「法律は守っています」などとは絶対に言えないはずだ。彼らは、霞ヶ関文学を駆使することで、よりによって法律の条文まで勝手に解釈しているのだ。
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 関東ホットスポットの市民は、支援対象地域に指定せよという要求を、抽象的な法の条文だけを根拠に主張してきたのではない。取手市の学校検診において子どもたちの心電図異常が明らかになった事実。市民と生協と専門家の協力で実施したエコー検査や母乳検査や尿検査や血液検査で、通常から外れた検査結果が出ている事実。そして多くの子どもや保護者たちが、3・11以降、実際に健康の異変を体験した事実などに基づいて、国による健康調査がどうしても必要だと主張してきたのだ。
 子どもたちの目に見える形での健康の異変は、すべての者に起こったわけではない。50人、100人に1人の割合かも知れないが、確実に異変は起こったのだ。放射能に対する感受性は、一人ひとりの子どもで異なるのだから、当然の話だ。目には見えないが、詳しい検査をすれば通常の状態から外れた結果を見せる子どもたちはもっと増えるかも知れない。
 だからこそ、市民は実際に、自分たちの力で、専門家の協力を得ながら子どもたちの健康調査を行い、事実の究明に努めてきた。ところが、その間、環境省や復興庁は何をやっていたか。市民の調査に匹敵するような、それを越えるようなことをやってきたと言えるか。ただ、WHOやUNSCEARなどの原子力政策推進派のバイアスがかかった報告を宣伝し、放医研の非科学的駄文を受け売りしてきただけではないか。あまりに、いい加減で、レベルが低すぎる。特に環境省は、公害などに対する規制省庁としての役割を完全に放棄し、いまではすっかり経産省や国交省並みの事業官庁に成り下がってしまった。
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 こんなお粗末な前提から作文された基本方針案を閣議決定することなどは、とうてい許されることではない。関東ホットスポットの市民は、閣議決定に断固糾弾する。福島の被害者と共通の運命を持つ関東の被害者は、閣議決定後も全国の仲間との共同の活動を通して、被害者が真に必要としている支援策を勝ち取るために、闘いを継続していく。
 原発事故がもたらした福島から関東にかけての深刻な放射能汚染の中での反被ばくの市民の闘いは、原発の現場で過酷な被ばく労働を強制されている労働者にとっても無縁ではない。福島と関東の被害者、そして被ばく労働者を含めた、オール被曝者の闘いを目指さなければならない。関東ホットスポットの市民は、これからが反被ばく運動の闘いのスタートと受け止め、より強力な活動に取り組んでいく。(阿部治正)

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「コラムの窓」・・・「沖縄離島の悩み」

 沖縄県は沖縄本島を中心に多くの島々で構成されている。それぞれの離島には、離島独自の特色と問題を抱えている。
 10月5日6日7日の3日間、台風23号・24号が連続して沖縄をおそった。沖縄本島が暴風域に入ったのは、昨年9月の台風17号以来、およそ1年ぶりのこと。
 私も沖縄の台風にだいぶ慣れたが、2日間も自宅(アパート)に閉じこめられる生活はなかなか辛い。
 このような大型台風が接近すると、空と海の便はほぼ全便欠航。運の悪い?観光客は2日~3日本土に帰れなくなり、ホテルに缶詰め状態となる。
 離島にとって定期船は島の物流の生命線。今回の台風でも、多くの離島で1週間も定期船が入港出来ず、生鮮食品を中心に食料不足に陥った。
 また、台風接近により、土・日に予定されていた行事・催しが延期や中止となった。
 実は、5日(土)と6日(日)に予定されていた県高校野球秋季大会・準決勝2試合と決勝・三位決定戦が、二度延期になり結局8日(火)と9日(水)に実施された。
 沖縄県民の野球好きは有名。特に高校野球熱は凄い。この大会の準決勝に勝ち残った4校とも来年春の選抜大会をめざしての試合。
 石垣島の八重山商工が先島勢として唯一準決勝に進出していた。ところが、今回の台風で日程が次々に延期となり、本島の滞在が長引き滞在費負担がかさんだ。
 今回の八重山商工に限らず先島の高校は、試合遠征のため本島への交通費と滞在費は家族にとって大きな負担となる。
 家族の負担と言えば、この7月に「旅立ちの島唄ーー十五の春」という映画を見た。
 映画の舞台は南大東島。沖縄本島から東へ360km。那覇から飛行機で約1時間、船で13時間かかる絶海の孤島。人口1300人。約110年前に八丈島からの開拓者により拓かれ、サトウキビ栽培を基幹産業として発展。外海に囲まれ波が高く船が接岸できないため、クレーンを使って乗降するのは有名である。
 この南大東には高校がない。高校進学をめざす子どもたちは十五の春に島を出て、那覇の高校などに進学する。どうしても家族と離れて暮らさねばならない。中には、本人と母親が那覇暮らし父親と他の兄弟が島暮らしと、家族がバラバラに生活するケースも出てくる。
 高校がない離島は多い。南大東島を初めとして多くの離島の現実。大人になるには早すぎる年齢で人生の岐路に立つ15歳の子ども。父と子ども、母と子どもの1年間を丹念に描いた作品。実話をもとに生まれたオリジナルストーリーの感動作である。
 久米島においては、久米島高校の生徒数が年々減少し、中学校も統廃合が進む。このままでは廃校となる運命。そこで思い切って、来年度から生徒の全国募集を開始することを決定。沖縄の公立校では初めての試みとなる。
 このような離島を抱える沖縄県政は、それなりに離島支援援助をおこなっているが、まだまだ不十分である。今一度、負担軽減のための仕組みづくりに知恵を絞ってほしい。
 根本的には、明治政府以来の国政の中央(東京)中心主義こそが、地方の衰退・過疎地(離島を含めて)の増加をもたらした。地方自立を可能にする地方中心主義政策こそが求められている。(英)


連載13  オジンの新◆経済学講座 「ソーシャル・ビジネス」の衝撃(下) 上藤拾太郎

 オジンは、ソーシャル・ビジネスが、よりいっそう貧困層の、いや社会変革の大きな力になってほしいと願う。そのためには、課題についても率直に語るべきだろう?
●「タイプⅠ」ソーシャル・ビジネスの所有問題
 「タイプⅠのソーシャル・ビジネスは、商品やサービスを提供して社会目的を追求するが、貧しい人や恵まれない人々が所有しているわけではない」(ユヌス『ソーシャル・ビジネス革命』)。
 本連載「12」を参照してくれ。つまりこうだ。労働者たちは搾取されていないが、会社の「所有者」は出資者たちである。ブルジョア法を前提とするなら、そうなる。
 すでに述べて来たように、労働する者こそその工場・職場の第一の所有者となるべきだ。ところがここで労働する者も「無所有」にとどまっている。ここにソーシャル・ビジネスが過渡的なものであることが象徴されている。
 今後、工場職場の管理権、経営権、所有権をめぐる紛争が起きないだろうか?元本を所有しているだけで「出資者」が、数十年後も所有権を主張できる不合理(まるで不在地主だ!)はますます明らかになるだろう。
 労働者側からも、共同で企業の「買い取り」や法制度の改定など、労働者が所有権も獲得する取り組みは欠かせないはずだ。

●「タイプⅡ」ソーシャルビジネスに落とし穴はないか?
 「(現存する唯一のタイプⅡ)グラミン銀行が証明するように、貧しい人々は、銀行の融資を受けることで、ビジネスを起業しまたは拡大し、貧困から抜け出すことができる。それと同時に、銀行の所有者でもあるため、当然ながら銀行の経営に口を出すこともできるし、毎年の配当を受け取ることもできる」(ユヌス)。
 多くを語る必要はない。グラミン銀行の経営のあり方は、現代では理想的である。
 ただし「タイプⅡ」にはこれから別種の「所有」が登場する予定だ。オジンはこれが気になる。
 ユヌスによれば、まず営利企業を設立し、トラスト(信託会社)が所有するらしい。このトラストが利益を貧困対策に使う、というのである。
 ユヌスはその理由として「現代の法体系では、個人による所有は法的問題をはらんでいる」と述べるにとどまる。
 ユヌスも「トラストを管理する取締役の才能や健全性によって、貧しい人々に社会利益を届けられるかが大きく左右される」と問題点を自覚している。
 詳しい仕組みは分からないが、労働者と所有がここでは遠ざけられている。ユヌスの眼目が、貧困撲滅であるのだからこれもいたしかたない、と言ってしまえばそれまでだが…。営利企業の「収益」をトラストの判断で村々の貧困対策に使うという仕組みには危うさを感じる。

●多国籍企業の「利用」過多?
 計画中も含めて、ソーシャル・ビジネスの設立には多国籍企業の参加が目立っている。すでにダノンやユニクロをあげたが、インテルやアニダスなどの名前も見える。他に九州大学などのシンクタンク・研究所が新たなソーシャルビジネスに参加している。
 この貧困撲滅という目的追求のためには財や知恵、技術さらに正確なマーケッティングが必要だ。それらを持つのが多国籍企業だ。地球的課題に富と知恵と組織を引き込んでいるのはユヌスの偉大な成果だ。
 もちろん、ユヌスの理念「配当なしの出資」を多国籍企業が受け入れるのが前提だ。この様にして多額の投資資金や提供される技術をソーシャル・ビジネスは吸収している。
 多国籍側からみれば彼らの思惑は当然ある。ノーベル平和賞受賞者のユヌスとともに社会問題に貢献しているという宣伝効果も高い。寄付とは違い元金が保障されているのだから、企業も資金を出しやすい。
 それにしてもソーシャル・ビジネスがユヌスの当初の発想を超えて「社会変革の道具」として意識されれば、多国籍企業の対応も急変する可能性はあるだろう。  
 
●ハイブリッド経営でさらなる進化を
 「協同組合もソーシャル・ビジネスの影響を受けるだろう」と前々回述べた。しかし、逆も必要だ。ソーシャル・ビジネスも特に労働者協同組合から多くを取り入れてゆく必要がある。新しい経済のカタチは、多種の経営の試行錯誤がぶつかり合い融合し、試され淘汰される中から創発される。明確な社会ビジョンを携えた政治革命は、それとともに提起される!(つづく) 案内へ戻る


色鉛筆・・・少年自衛隊って?

 陸上自衛隊少年工科学校(りくじょうじえいたいしょうねんこうかがっこう)は、陸上自衛隊武山駐屯地内に所在していた防衛大臣直轄部隊の一つ。一九五五年~二〇一〇年(平成二十二年)三月二十六日、陸上自衛隊高等工科学校に改編されるまで続きました。
 自衛隊生徒は、昭和30年代の自衛隊草創期に、下士官を早期に確保するために作られました。

●中学校卒業後入隊
 中学校を卒業し、採用試験を経て陸上自衛隊生徒に任命された者が少年工科学校に入校
します。 四年間の教育が終わると、20才で「3等陸・海・空曹(下士官)」になります。同時に高卒の資格が取れます。
 なお、少数ではあるが推薦・一般入試により防衛大学校に進学する者もいました。(この場合は一度退職する)。少年工科学校はその特異性から陸上自衛隊の中でも独特の気風を築いており、卒業生は各部隊で中核の戦力となって活躍している。
 採用倍率はかつて二十倍を超え難関であったが、昭和末期時点までには約十倍前後に落ち着いてきました。昭和期(特に生徒制度創設期)には、給与が支払われ衣食住が保障されるなどの自衛官としての待遇にひかれて入校し、親に仕送りをする生徒もみられた。しかし、平成期に入ると志願理由の大半は自衛隊の活躍(PKOや災害派遣など)に影響されて、職業として自衛官を志願した者となった。学年ごとに金額は異なりますが,毎月、十五万円前後の俸給が支払われます。
 生徒は、必ず体育クラブに所属しなければなりません。なお、平成十九年度までは文化系クラブも必修でしたが、平成二十年度からは一学年時のみとなりました。剣道部は全国大会でも活躍しました。

●体験者の話
 物凄く厳しく,悲惨な青春でした。閉鎖的な空間に閉じこめて、純粋培養され,人格形成の重要な時期が欠落したと感じます。親に仕送りをするために志願しました。デートもろくにできません。同じ年代の高校生は,彼女がいて,うらやましい限りでした。光り輝く青春とは無縁でした。
 こんな非人道的なことが何故無くならないのか?お役所仕事のためです。一度始めたらやめるわけには行きません。 15才で入隊するので、退職金、年金が有利になります。
そんなふうに言い聞かせて,がんばってきました。
 普通の高校に進むべきだった。 色々なことを経験したかったと後悔しています。

●終わりに
 今は,中学校を卒業して自衛隊に入隊することは,なくなったようですが,この話しを聞き,母が昔話していた戦争中の話しの中で「特攻隊は死ぬことを覚悟して御国のため若い人達が敵に突っ込んでいった。私達は,爆弾から必死で逃げた。毎日とうもろこしばかり食べた」とを思い出しました。消費税がアップ,憲法改正の動きがある中,心配です。私達は声を大にして,阻止していきます。「若者の未来を守り,生き生きと過ごせる社会」を目指していきましょう。ともに,すすみましょう! (弥)


解雇特区 許さないぞ、安倍『解雇特区』!──企業の儲けのためなら労働者使い捨ても!──

■はじめに

 安倍内閣とその取り巻きが、雇用の分野でもやりたい放題の姿勢を強めている。解雇自由原則に基づく《解雇特区》づくりや日雇い派遣の再解禁などだ。
 アベノミクスでの《経済の好循環》のための賃上げなど、パフォーマンスを繰り返す一方、さらなる雇用破壊を呼び込む安倍自民党の《解雇特区》構想や《日雇い派遣の再解禁》のもくろみ押し返そう!

■雇用破壊のもくろみ

 臨時国会が始まる。そこでは日本版国家安全保障会議(NSC)設置法案や特定秘密保全法案などと並んで、労働者の雇用を脅かす解雇特区をめざす法案も提出され、来年の通常国会での日雇い派遣の再解禁なども含めて、安倍自民党による雇用破壊のもくろみが画策されている。その柱は、解雇特区づくりを突破口とする解雇しやすい雇用制度への改変攻撃だ。政府は成長戦略も臨時国会の主要なテーマだとしており、解雇特区はその成長戦略に位置づけられた国家戦略特区の一環として検討されてきたものだ。
 安倍政権では、それまでの雇用維持型の政策の推進を改め、労働異動支援型の政策に転換する、というのが基本的立場だ。「そのために雇用調整助成金」を減らし、「労働異動支援助成金」を増やすなどが盛り込まれている。要は、雇用を守ることから労働力の移動、すなわち解雇しやすい雇用政策への転換というわけだ。
 安倍政権とその取り巻きは、今年春から雇用形態の規制緩和を検討してきた。限定正社員など、正社員であっても企業の都合次第で首を切れる、新しい雇用形態づくりへのもくろみだ。が、それを一気に導入することは難しい。とりあえず特区という限定された地域への導入を突破口に、やがてはごく普通の雇用形態として導入したい、というのが彼らの真意なのだ。
 この20年ほど、派遣労働など非正規労働者の比率が増え続けてきたが、今度は正社員であっても企業の都合によってすぐ首を切られるという、不安定雇用の時代へと、日本の雇用システムは大きく舵を切られようとしている。正社員もうかうかしていられない時代なのだ。

■解雇特区!

 その解雇特区とはどういうものか
 雇用での特区構想というのは、安倍内閣の産業競争力会議に設置された国家戦略特区ワーキンググループで検討されてきたものだ。中身としては、解雇ルールや労働時間を規制する「労働契約法」「労働基準法」の規定を、特区内に限って緩める、というものになっている。規制緩和する内容は、解雇、労働時間(第一次安倍内閣でのホワイトカラーエグゼンプション=残業代ゼロ法案)、有期契約の年限制約(5年)撤廃の3点だという。政府はこれらについて、15日からの臨時国会に法案の提出を計画している。
 解雇特区では、たとえば企業は「遅刻をすれば解雇」「仕事が無くなれば解雇」などの一定の条件付きで雇用契約を結べば、そうした条件で雇用された労働者を解雇できる。要するに、安倍政権で産業競争力会議や規制改革会議でこの春から繰り返し打ち上げられてきた「首切り自由」の考え方に経つ限定正社員制度の導入などのもくろみの具体化というわけだ。その時点では、「首切り自由」という企業に一方的に都合がよい制度の導入に、反対の声が拡がってもいた。で、安倍政権としては参院選が終わるまで棚上げしてきたものを、参院選が終わったいま性懲りもなく蒸し返した、という代物なのだ。
 今回もまた、依然として批判が強いこともあって、開業後5年以内の企業の事業所か、外国人労働者が3割以上いる事業所が対象だ範囲が限定されて示されている。が、一端制度が導入されれば、次の段階ではその制約も外す思惑があることはいうまでもない。
 いずれにしても、求職・採用という場面では1人1人の労働者の立場は圧倒的に弱い。結局は不利な条件を強要され、いま以上に雇用が不安定にならざるを得ないのは明らかだろう。
 日本では、労働者にとって生活基盤そのものである雇用を保護するための明確な解雇規制は法律として存在しなかった。そのためこれまで数知れない解雇事件が発生し、それに対抗するために、多くの労働者が単身・集団問わず、果敢に闘ってきた。その成果が〈整理解雇の4要件〉として準法的保護として確保され、いまでは労働契約法で「客観的に合理的な理由」がない解雇は使用者側の権利乱用であり無効だと規定されるまでになった。解雇規制は、他でもない、永年にわたる労働者の闘いの成果として確立してきたわけだ。安倍政権とその取り巻きによる「限定正社員」や「解雇特区」構想などは、そうした労働者の血と汗の闘いに風穴を開けたい、企業側の巻き返しの逆流攻勢なのだ。
 こうした解雇特区構想。それでも多方面からの批判に直面して、さらに一歩引き下がったところからの巻き返しと出た。ワーキンググループの八田達夫座長は10月4日に記者会見し、特区で解雇などの規制緩和する対象を「弁護士・会計士などの専門職と院卒者」に限定すると弁明した。あわせて労働時間規制の撤廃に関しては、調整の遅れで今回の検討から外し、解雇ルールの明確化と有期雇用の規制緩和を中心に,今月始まる臨時国会への法案提出に向けて調整する、と現時点での態度を表明した。一方で八田座長は、「雇用拡大のために企業が優秀な人材を集めやすくしたい。解雇しやすくするというのは誤解」だと強調しており、首切り自由の原則にたった解雇規制の緩和策をあきらめる姿勢はまったく見せていない。当初の予定どうり、入り口は狭くとも、とにかく解雇自由部屋への入り口はこじ開けたい、との姿勢は貫いているわけだ。

■日雇い派遣再解禁!

 安倍政権の雇用破壊は「首切り自由」制度の導入だけではない。一端、規制強化された日雇い派遣をめぐる思惑もその一つだ。
 8月29日に議論を再開させた政府の規制改革会議の雇用ワーキンググループは、この臨時国会への提案に間に合わせるため、10月上旬にも労働者派遣法の見直し案策を出すことを決めている。これも安倍政権は成長戦略の名の下に、日本を世界一企業が活動しやすい国にする、といっていることの具体的な方策の一つだ。
 政府の規制改革会議(議長=岡素之住友商事相談役)は10月4日、日雇い派遣労働の原則禁止の抜本的見直しや専門業種の派遣期間を5年とする意見書をまとめた。厚労省の研究会が8月20日に打ち出した最終報告の内容を受け、8月29日再開された政府の規制改革会議でそれの手直ししたものだ。理由としては、「限られた期間・時間だけ働きたいと考える労働者がいる。」「短期間に労働者の需要が集中する業務もある」「例外規定も含めた抜本的な見直しが必要だ」という、いつもどうりの口実としか言いようがないものだった。
 政府主導の雇用規制の撤廃では、これまでも「雇用の流動化を促進」「ライフスタイルに合った働き方の導入で雇用機会を増やす」などときれい事の口実をあげてきた。が、その結果は、不安定で劣悪な処遇の非正規労働者が爆発的に増やされただけだった。政府や政府の取り巻きは、ほんの一部の労働者の声を口実として突破口を開き、現場レベルで企業にとって使い勝手のよい労働者を手にしたいだけなのだ。
 日雇い派遣の禁止は、民主党政権の12年に定められたばかり。一年もしないうちからそれを骨抜きにするするという厚顔ぶりだ。
 なぜ正社員を増やさないのか。それは明らかに非正規などの方がコストがかからないからだ。一端、低コスト労働になれてしまった企業は、よほどのことがないかぎり正社員を増やさない。
 それにいまでは企業は非正規社員を使い捨てにするだけではない。正社員さえも使い捨ての労働力としてしか見ていない企業が多くなった。その象徴がブラック企業と言われるもので、正社員を多めに雇って長時間・低処遇で働かせ、会社の期待に応えられないからだとして、自主退職する人や無理やり退職させるケースが頻発するなど、確信犯的な企業が増えている。正社員の労働環境も「底が抜けたようになった」(盛岡孝二氏)のが実情だ。
 非正規労働者も正社員も苦しんでいるのだ。それでもさらなる規制緩和を拡げようという安倍政権とその取り巻き連中。その厚顔ぶりを許すわけにはいかない。

■労働組合のすすめ

 小泉内閣での製造業への派遣労働の解禁や日雇い派遣の拡大が象徴している、財界が渇望する使い勝手のよう雇用形態、言い換えれば雇用破壊は政府主導ですすめられてきた。その改善には法的な規制強化も必要だ。
 しかし雇用の劣悪化を阻止したり和らげたりできるのは,なにも法律・制度だけではない。それはまず労働者の団結や闘う力による規制に依存している。団結や闘いそのものによる規制、言い換えれば、団結による雇用・処遇の確保が直接私たちにできる最大の課題なのだ。
 この十数年の雇用破壊と処遇の劣悪化の主たる原因は、労働者自身の闘う力がそぎ落とされてきた事による。雇用破壊や処遇の劣悪化に対し、政府や行政などが改善に乗り出してくれれば、確かに労働者は楽だ。しかし、それだけでは、労働者は現実の雇用や労働条件を維持・改善できない。
 《お客様は神様です》はいつの時代でも企業の建前ではあり続けているし、消費者主権が脚光を浴びた時期もあった。しかし労組はその閉鎖性や一部の利益団体視され、またその時代遅れを批判されることも多かった。メディアなども労組に対しては冷淡で、個人や市民に比較してマイナスイメージが広められてきた。確かにそうした原因は労組自身が陥ってきたことでもあり、現在の連合などは、企業利益と正社員の特殊利害を代弁しているだけで、期待などできない。
 が、それは事の反面でしかない。労働者は闘う手段としての労働組合をつくって、自ら闘うことが不可欠だ。そうした団結の力、闘いの力で雇用破壊を阻止できるし、そうしなければならない。時代が求めるものとして、労組や労組をとおした自主的・自律的な闘いや取り組みがいま以上に求められている時代はない。1人1人があらためて連携を固め、団結して闘う道筋をしっかり見据えていきたい。(廣)案内へ戻る


投稿-福島事故は終わっていない! 第3回さよなら原発1000人集会

 10月6日、福島原発事故が起こり3年目の集会が、兵庫県伊丹市で行なわれました。タイトルの1000人集会を越える1200人が集まり、被災者に対する政府の無責任な態度に怒りを共有することができました。講演には、皆さんもご存知の小出裕章さんが、ゲストには元気いっぱいの山本太郎さん、そしてもう一人、講談師の神田香織さんが熱演してくれました。
 神田香織さんの講談を聞くのはこれで2回目で、前回は福島事故の起こる以前、チェルノブイリ事故を教訓化するための記念集会の場でした。絵本になったチェルノブイリ事故の実話を、消火活動に携わった消防士の放射能に侵されていく様子の描写で、時間を追いながら講談するというものでした。初めての講談に、意外と? 感動したことを覚えています。
 今回の講談は、神田香織さん自身が、被災地である福島県の出身という立場からのものでした。神田さんが理事長となり、「ふくしま支援・人と文化ネットワーク」が結成され、子どもたちの避難のための保養キャンプ(熊本県天草市)、福島で車座朗読会を開くなど、勢力的です。神田さんの活動スタイルは、「闘いは明るく、たのしく、しつこく」に「しぶとく、しなやかに、したたかに」を加えて、人と繋がっていくことを大切にされています。
 講談の冒頭は、「はだしのゲン」の松江市教育委員会の閲覧制限に対する抗議でした。神田さん自ら、著者の中沢啓二さんから許可を得て始めてから27年、「はだしのゲン」の講談は続けてきたからこそ、怒りは人一倍です。都合の悪い事実を隠そうとする社会は、とても危険であること。それは、原発の汚染水のこと、「秘密保全法」「集団的自衛権」などの動きに見られ、私たちの暮らしに密接に影響してくるのは目に見えています。
 講談に使われる「張扇」は、講談の演台を叩くことで、その音響で場を盛り上げたり、話の区切りをつけたりで貴重な道具です。会場のいたみホールの演台は、これまでの経験から3番目に、いい音が出ると評価されました。笑いあり、涙あり、の感動の講談でしたが、テレビやDVDという便利な物に慣れている現代人には、聞くことで想像力を発揮させるいい機会になったと思います。
 「はだしのゲン」に出てくる被爆した人は、体中が焼けただれ、その皮膚が垂れ下がり、手の先は水ぶくれになった皮膚が垂れ、まるで幽霊が歩くように手を前に出した姿だったそうです。「はだしのゲン」を子どもたちに、是非、読んでもらいたい、そして私も読んでみようと思いました。(折口恵子)案内へ戻る


編集あれこれ
 前号の1面は、「放射能汚染の脅威・終わりの見えない原発事故」「健康被害の拡大を許すな!」と題する記事でした。汚染水は、毎日600億ベクレルも海に流れていることが明らかになっています。しかし安倍首相は「汚染水は0・3平方キロメートル内に完全にブロックされている。コントロール下にある」と言っています。そして、「原発事故子ども・被災者支援法」の基本方針は、支援対象地域を福島県浜通りと中通りを中心とする33市町村に狭く限定しました。原発事故を解決する能力のない安倍政権を許してはなりません。
 2・3面は、「消費増税  アベコベの消費税対策  ―馬脚を現すアベノミクス―」と題する記事でした。安倍首相は、来年4月1日から消費税を5%から8%に増税することを表明しました。安倍政権は、大企業には減税して庶民には3%もの消費税の増税です。消費税は、社会保障のためではなく大企業への支援に回すということが明らかになっています。こうした状況に反撃をしていきましょう。
3面は、「もんじゅを廃炉に!関西集会」の報告がありました。4面は、第20回オンブズ全国大会の報告で議員の質の低さが指摘されました。5面の連載「オジンの新◇経済学講座」、6面の世界史についても大変興味のわく内容でした。
7面の沖縄通信は、「標的の村」という映画の紹介がありました。この映画は現在の沖縄の状況をきっちり伝えています。オスプレイ配備阻止闘争や辺野古新基地建設等沖縄の厳しい現実、これは本土の人間にとっても人ごとではありません。それは、滋賀県饗庭野基地でのオスプレイの訓練飛行の問題などを見ても明らかです。こうした状況を何とか変えていきましょう。(河野)
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