ワーカーズ560号  2016/7/1             案内へ戻る

 英国のEU離脱決定は世界資本主義の行き詰まりの現れ
   対抗社会構想を掲げ、強力で強大な民衆運動を巻き起こそう!


 イギリスが国民投票でEU離脱を決めた。EUの掲げた経済政治統合の理想や戦争防止の理念が揺らいでいる、反移民や狭量な自国中心主義や愛国主義が跋扈し始めた等々と論じられている。

 離脱派勝利の要因として、メディアは幾つかの点を指摘している。イギリスにおける大衆とエスタブリッシュメントの利害の対立。この対立を背景に敵をEUと移民に設定したポピュリズム勢力の政治宣伝の広がり等々。

 しかし、根本的な問題は世界経済の行き詰まりにある。そしてその矛盾やツケが、権力を持つ側が持たない側に押しつけんとして、生産現場における一層の搾取強化や国家的収奪や社会的収奪がまかり通り、格差・貧困の拡大が深刻化している。

 また資本主義の延命策として戦争が発動され、避難民や移民を生み、戦争の残虐行為への恨みから絶望的な暴力的抵抗が世界を覆うようになった。戦争が生み出したモンスターはISだけではない。北朝鮮の独裁体制と対米強硬姿勢も、朝鮮戦争時の米軍と韓国軍の対北ジェノサイド戦の残虐さの中にひとつの理由があることを知るべきだ。

 世界経済の行き詰まり、つまりより大なる利潤の獲得を本性とし、限りなく自己増殖を続けることを本質とする資本の運動は、肝心のより大きな利潤・利子の獲得が不可能となった時点でその歴史的な使命を終えている。

 それでも資本主義という経済システムにしがみつき、この仕組みを延命させようとすれば、金融の超ズルズル緩和、借金を膨れあがらせながらの財政大盤振る舞い以外に方法はない。そしてこのやり方は、矛盾の爆発を一時的に先送りし、より大きな矛盾の蓄積と爆発を準備している。

 いや、それ以外にもある。第3の矢だ、規制緩和と成長戦略だという者たちもいるが、そういうやり方も含めて資本主義はすでに利潤を上げられなくなってしまっていることに気づくべきだ。このかんもIT分野での技術革新とその生産への応用が活発に展開されてきましたが、ごく短期間に市場は飽和化し、生産調整・リストラを余儀なくされている。人工知能、ロボットや自動運転車などが取り沙汰されているが、それも同じ運命だ。

 世界資本主義は既にこうした矛盾の爆発の臨界点に達しており、世界経済は何かきっかけさえあれば一挙に大収縮を余儀なくされるだろう。小刻みの収縮の連続によって泥沼に落ち込んでいくとしても、本質的には同じ事だ。きっかけは、どこかの国のどこかの金融機関で発生する信用不安かもしず、また紛争や戦争の発生かもしれず、そしてイギリスのEU離脱がもたらす混乱かもしれなず、あるいは他の事態かもしれない。

 その時、私たち労働者市民はどうするのか。今から戦略を練り、対抗社会の構想を鍛え、それを実現するための強力で強大な民衆運動を準備していかなければならない。いま闘われている参院選挙こそ、その端緒だ。(阿部治正)

 参院選   3分の2の議席を与えるな!

 参院選の投票日が間近に迫っている。マスコミによる選挙情勢では、改憲4党の獲得議席が78に迫る勢いを見せているという。選挙戦の最終盤の追い込みで、安倍政権に改憲発議可能な3分の2の議席を阻止する働きかけを強めていきたい。

◆与党健闘!?

 参院選はすでに後半戦に突入している。マスコミの情勢調査によれば、自公に加え、おおさか維新の会、日本のこころを大切にする党を加えた改憲4党の獲得議席が、改憲発議が可能となる3分の2に到達する78議席を窺う勢いだという。

 改憲の野望を隠さなかった安倍自民党。選挙公約では改憲にちょっと言及しただけ、実際の選挙戦では安倍首相を始め、与党候補は改憲のかの字も言わない。まさに改憲隠しだという以外にない。これまで国政選挙時に隠していた野望を、選挙後になって強引に進めたのが安倍首相。今回も選挙で3分の2の議席を確保すれば、必ず改憲策動に打って出るだろう。ここは正念場だ。なんとしても、安倍自民党に3分の2の議席を与えてはならない。

◆アベコベミクス!?

 今回の参院選の争点は、貧困と格差を拡げ続けるアベノミクスの是非と、戦争法を強行して改憲に突き進もうという安倍政治の是非だ。

 今回の参院選を迎えても、安倍内閣の支持率は40%台を維持し、発足から4年経過した割りには底堅い支持率を維持している。現状では安倍内閣を積極的に支持している人は少ない。自民党政権だからとか他に代わり無いからといった、消極的支持が多いのが実情だ。なぜなのか。要因としては財政出動や金融緩和など、景気・経済へのテコ入れを続けていることがあげられるだろう。有権者の多くは、ともかく日々の暮らしが少しでも楽になることを願っているからだろう。

 そんな安倍政権の一枚看板のアベノミクスだが、そもそも出発点から大企業重視の偏った政策であって、失敗だとか不充分だといえるような出来具合を判断すべき代物ではない。

 第一の矢だという異次元の金融緩和は、インフレ目標を設定して大量の紙幣を市場にばらまくというものだった。そんな政策があり得るのかという疑問が当初からあったように、現実には巨額のマネーが空回りするだけに終わっている。

 積極的な財政出動も成果を上げていない。あの東関東大震災からの復興需要やオリンピック関連事業でゼネコンや関連企業は潤ってはいるが、日本経済全体を底上げさせるまでには至っていない。何より、財政によるテコ入れは、歴代政権が繰り返してきたもので、人為的な需要創造は限界があること、各種の振興策などは需要の先食いでしかなく、今日の特需は明日の買い控えを招くだけに終わっている。

 消費増税の再延期も同じようなものだ。

 前回の解散総選挙時の延期と同じく、確実な負担増に直結する増税再延期は有権者にとってはホッと一息付けるものだった。そうした庶民心理を計算する安倍首相が、増税の再延期を選挙公約の目玉にしたのだ。改憲可能な議席を獲得することを至上命令とする安倍首相にとって、有権者に不人気なものはできるだけやらないでおくというわけだ。ただし、それも先進国で突出して高い国の借金をさらに増やすことで賄われるものでしかない。将来の財政健全化より目先の票、これが安倍政治の正体なのだ。

 消費税について言えば、マスコミも含めて必ず社会保障費の財源確保とワンセットで扱われてきた。壮大なペテンという以外にない。日本の国と地方を併せた借金は、4年前から130兆円も増えている。年間30兆円以上だ。しかし高齢化の進行などで社会保障給付の自然増は年間約1兆円、それも最近は年金や介護給付など各種の削減で6000億円程度に抑えられている。地方も同程度の負担額だとすると、社会保障給付の増加は年間で1兆円超に過ぎず、4年間でも5~6兆円に過ぎない。実に社会保障給付の増額は国と地方の借金の20分の1程度に過ぎない。

 それでは借金はどこにいっているかと言えば、アベノミクスの積極的な財政出動、具体的には原子力ムラや公共事業ムラ,安保ムラなど聖域化している利権維持のため、それに自転車操業化している借金の返済だ。財政の健全化や社会保障を維持するためにも消費税の引き上げが必要だ、というのは、全くの嘘っぱちでしかないのだ。

◆大企業・財界奉仕

 そんな安倍首相がやってきた確実に数字が出せる政策はといえば、20%台に引き下げた法人減税、それに法人税増税だけは前倒しで止めてしまった復興増税だ。安倍首相は、まず企業を潤わせてそれを労働者や下請け企業に浸透させるというトリクルダウン論を叫んできた。他方では、賃上げにしても下請け支援にしても単なる経営者へのお願いの域にとどまるものでしかなかった。

 同じ事は金融緩和による円安や株高でもいえる。恩恵を手にしたのは輸出や現地生産で稼ぐ多国籍企業などほんの一部の企業だけ、中小企業や地方、それに労働者にはほとんど恩恵は拡がっていない。トリクルダウンなど、日本的企業のスタンスでははじめからあり得なかったのだ。思い起こしてほしい、低成長でも大手の企業だけが史上最高益をあげ続けてきたのを。それは人員削減や賃金カットなど、様々なリストラによって低成長でも企業利益だけは確保できる企業体質にしてきたからだ。冷徹な日本の企業は、利益が上がれば労働者にも還元するはず、という淡い期待が通用するほどお人好しな存在ではないのだ。

 安倍首相は、企業利益に直結するものはどんどんやった。反対に、労働者や家計を暖める直接的な政策は全くやっていない。選挙直前には、「保育園落ちた日本死ね」が子育てママの憤激を引き出した。目先の生活苦や将来不安が拡がっているのだ。

 ただ、有権者の側も、社会保障の充実には消費増税など負担増が前提だとのレトリックに絡め取られたままだ。肝心なことが覆い隠されているのだ。社会保障の柱ともいえる年金と医療費。これを支えるのは労使折半の社会保険料と財政だ。ただ現状では財政のあり方については議論されるが、社会保険料負担、それも企業負担に関するものは、ほとんど議論のテーブルに上がっていない。労使折半が常識化しているが、それが世界でのスタンダードではないのだ。フランスやスウェーデン、独などでは、企業が3分の2ぐらい負担しているものもある。その社会保険料負担の見直しこそ必要なのだ。子育て支援についても同じだ。フランスでは全国家族手当金庫などによって、手厚い子ども手当などが支給される。

 社会保険料負担は、連合などの大労組も、またマスコミなどもほとんど問題にしていない。ここに切り込まなければ、安心・安全な生活など手にすることは出来ないのだ。そういう意味では、与野党同罪なのだが、とりわけ安倍首相がやってきたことは、それとは正反対のことばかりだ。だからアベノミクスはやればやっただけ、貧困や格差を拡大するだけなのだ。そんなアベノミクスは、きっぱり拒否する以外にない。

◆恐ろしい緊急事態条項

 今年に入って、安倍首相は、任期中の改憲を口にするなど、改憲の野望を隠さなかった。それがここに来て、改憲の「か」の字も言わなくなった。選挙での不人気さが理由だという。が、参院選挙後の憲法審査会での議論を示唆しており、参院選で改憲発議可能な3分の2の議席を手にすれば、必ず改憲の野望を剥き出しにするだろう。

 その改憲。自民党の議員などが改憲条項などに触れているが、そこで必ず出されるのが緊急事態条項の創設だ。大災害や外敵に対応するためだとされる緊急事態条項。一見常識ふうに感じ取れるかもしれないが、その実態は、空恐ろしいものだ。

 実際に緊急事態条項が発動されるのは、大災害や外国との戦争などの場面ではない。そのほとんどが独裁権力の維持やその奪還のためなのだ。

 緊急事態条項とは、要するに国家緊急権。主権者たる国民から遊離した政治権力そのものの独裁にお墨付きを与えるものなのだ。非常事態条項や戒厳令など、各国で国家緊急権がどんな使われ方をしてきたか、ざっと振り返ってみたい。

 まず思い浮かぶのが、1973年に起こった南米チリのアジェンデ政権を倒した軍事クーデターだ。社会主義への移行をめざして自由な選挙で選ばれた人民連合政府のアジェンデ大統領を軍事クーデターで抹殺したピノチェト将軍を首謀者とする軍事政権は「戦時状態宣言」、すなわち戒厳宣告を行い、憲法を改悪して軍事独裁を恒久化した。戒厳下で虐殺された人は3万人との8万人ともいわれている。この出来事は私も同時代の1人として遥か太平洋の彼方の事態を、何事もなしえないまま固唾をのんで見つめてきた苦い想いがある。

 目をアジアに向けてみると、ここでも戒厳令や軍事独裁政権のオンパレードだ。ちょっとさかのぼるが、1965年にはインドネシアで左翼のクーデター未遂事件に対するカウンタークーデター(軍事クーデター)としてスハルト独裁政権が生まれた。ここでもクーデター翌日首都に宣告された戒厳が次々と拡大され、その後の〝赤狩り〟で50万人以上の人々が殺害された。これは後に大統領になったスハルト将軍による陰謀説が色濃いものだ。

 次はフィリピンとお隣の韓国だ。フィリピンでは1972年9月にマルコス大統領が戒厳宣告した。10月には朴正煕大統領が戒厳冷を宣告した。この両者のケースには共通点がある。それは両者とも、戒厳令の目的を自分の政敵を倒して独裁体制を敷くところにあった。フィリピンではベニグノ・アキノ、韓国では金大中だった。戒厳宣告で批判や不満を圧殺し、その後憲法を改悪して大統領任期の制限を廃止し、大統領にすべての権力を集中させるという、独裁政権のおきまりのやり方だった。

 最近はどうだろうか。

 エジプトでは11年の民衆革命後、初めての選挙で発足したムスリム同胞団系のムルシ政権を13年の軍事クーデターで倒した現シーシ軍事政権も発動した。

 スーチー政権が誕生したミャンマーでも少数民族の弾圧のため、またタイでは1タクシン政権追い落とし後の元首相派の弾圧のためだった。

 この他、世界の至る所で非常事態宣言や戒厳宣告が行われてきた。一例を見ただけでも、非常事態宣言や戒厳令は災害や対外的な脅威から国民を守るためなどではないことは一目瞭然だろう。その多くが自国民に対する専制的な支配を敷くためだったり、政敵を倒すためのクーデターやその後の独裁体制を打ち立てるためにものだったり、左翼政権などを武力で崩壊させ、右翼独裁政権を誕生させるためのものなのだ。

 日本では、天皇大権や戒厳条項がある大日本帝国憲法の下でも5回発令された。日清・日露戦争時と日比谷焼き討ち事件、関東大震災、二・二六事件だ。戦時を除けばいずれも社会的な騒擾事件が対象で、関東大震災時は警察や民衆による大虐殺もおこなわれた。ちなみに第二次大戦時には発令されていない。

 安倍首相の最大の標的は憲法九条だが、戒厳条項の創設はそれに劣らない危険なのもなのだ。

 安倍首相に、そんなあぶない扉を開ける鍵を渡すわけにはいかない。安倍自民党は少数派に追い込む以外にない。(廣)案内へ戻る


 7.10参議院選挙の課題とは何か?

 いよいよ日本の将来を決める重要な選挙(参議院選挙)が始まったが。始まった途端にもう「各紙の世論調査」が発表され、各紙が自民党の好調を伝えている。

 「安倍晋三首相が目指す改憲に賛同する勢力は、改憲発議に必要な3分の2(162議席)をうかがう。自民、公明両党は合計で、首相が勝敗ラインとする改選過半数(61議席)を上回り、70台に乗せる勢い。自民党は60議席に迫り、非改選と合わせて27年ぶりの参院単独過半数を視野に入れる」(東京新聞、6月24日付)

 これではまるで、「もう選挙に行って野党に投票してもムダだよ!」と言っているようなものだ。事実、もう失望して投票に行かない人が増えそうだ。また、国政選挙の投票率が下がりそうである。

 反自民の多くの人は、「なぜ、こうも自民党の支持率が下がらないのか?」と疑問を感じていると思う。

 実はこの謎・このカラクリ(小選挙区制のもたらす少数派支配)を示す資料(2000~2014国政選挙投票率等の推移)がある。

 これまでも幾度となく、「小選挙区制の弊害」が指摘されてきた。絶対得票率が低くても多数の議席を取ってしまう選挙制度であると。

 下記の数字を見てほしい。

 ★小泉首相の絶頂時の「2005年の衆議院選挙」→投票率67.3%/自民党の絶対得票率25.1%/議席獲得数は296。

 ★民主党の政権奪取の「2007年の衆議院選挙」→投票率69.3%/民主党の絶対得票率28.7/議席獲得数は308。
 ※負けた麻生政権の結果は→自民党の絶対得票率18.1%/議席獲得数は119。

 ★第2次安倍政権の「2013年の参議院選挙」→投票率52.6%/自民党の絶対得票率17.7%/議席獲得数は65。小泉政権の2001年参院選を上回る議席数の獲得。

 ★第2次安倍政権の「2014年の衆議院選挙」→投票率52.7%/自民党の絶対得票率17%/議席獲得数は290。

 この数字を見て、どう分析するかである。

 選挙前に「市民連合」の呼びかけ人として全国各所で講演会を開いた中野晃一さんは、この問題を次のように述べている。

 「今、安倍政権は13年の参議院選挙、14年の衆議院選挙で圧勝し、小泉政権の絶頂時並の議席数を獲得し安定政権である。しかし、良く分析すると小泉政権の時の自民党絶対得票率は25%もあり、296議席を獲得(議席率61%)している。しかし、安倍政権の絶対得票率はなんと17%にすぎない(民主党に負けた麻生政権すら18%もあったのに)。では、たった17%の得票率で290議席を獲得(議席率61%)してしまう訳は何なのか?」

 この謎・このカラクリの種明かしは投票率にあると言う。皆さんのご存じのように最近の選挙の投票率の低下は目に余るものがある。もう2人に1人程度しか選挙に行っていない。選挙に行く人は特定の人だけ。この事を中野さんは次のように分析する。

 「自民党特に安倍政権が選挙で勝ってきた秘訣は、投票率を上がらないようにすることだ(自民党への絶対得票率が17%なのに、61%の議席を獲得してしまう)。そのためには野党を分断すること。野党はバラバラで、選挙に行ってもムダだよ!と思わせることだ」と指摘する。

 今回の参議院選挙では、「野党連合」や各種団体が自民党に勝つために「野党統一候補」について声を上げ始め、これまで「一人区」ではなんとか野党統一候補が実現している。

 では、これからどうすれば良いのか。投票率を上げるよう「選挙に行こう」を周りの人たちに呼びかけることだ!(E)案内へ戻る

 
 参議院選挙神奈川選挙区の選挙情勢

 今回改選になる第22回参議院議員通常選挙(2010年(平成22年)7月11日執行)は、当日有権者数約730万人で投票率55・6%(前回比で-0・76ポイント)であった。

 当選者は小泉昭男自民党・中西健治みんなの党・金子要一民主党の面々である。

 今回の参議院選挙の特徴は、議席が1増え当選人数が3人から4人になったことで、主要6政党が候補者を擁立したため、混戦になっていて、候補者乱立で当選予測が難しい選挙区になったことだと指摘できる。

 自民党は知名度の高い三原じゅん子が「全国比例」から「神奈川選挙区」へ鞍替えし、神奈川県を地盤に活動してきた。さらに解党したみんなの党の中西は、自民党推薦で立候補し、河野太郎らの支援を受けている。まさにみんなの党は自民党と同じを地でいく。みんなの党が、自民党の別働隊であったことをこれ以上雄弁に語っているものはない。

 これに対して民進党は現職の金子洋一に加えて元維新の党の真山勇一を擁立した。この間支持を落としている民進党は、「共倒れ」の危機を孕んだ危うい選挙戦になっている。もしそんなことにでもなれば、参議院選挙での民進党の凋落を象徴するような事件である。

 今回の議席増を受けて公明党は、元防衛大学校最年少准教授の三浦信祐を擁立し、共産党は、システムエンジニアの浅賀由香を擁立した。そしておおさか維新の会は、元広告代理店社員の丹羽大を擁立し、社民党は看護師の森英夫を擁立。日本のこころを大切にする党は、元会社員の清水太一を擁立した。その他にも立候補者がおり、総勢は12名。

 6月26日には、三原じゅん子の支援に石破氏が、民進党と共産党の支援のために小沢氏が神奈川県を遊説した。三原じゅん子の当選は固いようだ。

 しかし三原じゅん子と言えば、話題は二つ。つまり子宮頸がんワクチンと八紘一宇発言を逸することはできない。これらについての身の処し方に彼女の資質が現れている。

 一般には「子宮頸がんを100%予防できるワクチン」のようなイメージで子宮頸がんワクチンが宣伝されている。この認可については、あの舛添要一が厚生大臣の時になされたのであり、公明党や三原じゅん子も大きく関わっていたのである。

 すべてのワクチン接種には死亡例を含む副反応がある。子宮頸がんワクチンも例外ではない。製薬会社・医療機関及び政府は、接種をするか否かに関する必要な情報をわかりやすく国民に提供せず、良い面ばかりを伝えている。ここに医療利権が生ずる。

 子宮頸がんとは、子宮の出口付近である子宮頸部にできるがんで、近年、20代後半から30代の女性に急増し、発症率が増加傾向にある。現在では、がんによる死亡原因の第3位で、女性特有のがんの中では乳がんに次いで第2位。特に20代から30代の女性においては、発症するすべてのがんの中で第1となった。

 しかしこのワクチンの問題点は、「ワクチンを接種しても子宮頸がんにかかる可能性がある」と製薬会社もはっきり言っていることと、特筆すべき点は日本人の子宮頸がんの原因はHPV(ヒトパピローマウイルス)だが、輸入ワクチンは、HPV16・18型予防のため製造されていて、日本人には予防効果が10%程度程度になるのだという。取り分け今問題になっているのが死に至るまでの強い副作用である。寝たきりになる例もある。

 患者の会が急速に拡大する中で、子宮頸がんワクチンの認可に関わってきた当の三原じゅん子は、こうした事実には一切口を閉ざしたままなのだ。被害者が拡大したのなら、何らかの医療対策を講じることこそ、責任感ある政治家の取るべき姿勢であろうに。

 そして極めつけは八紘一宇発言である。2015年3月16日の参議院予算員会で三原じゅん子は質問の中で、「八紘一宇は大切にしてきた価値観」と発言した。引用する。

          ※                   ※

三原じゅん子  総理、ここで、私は八紘一宇の理念というものが大事ではないかと思います。税の歪みは国家の歪みどころか、世界の歪みにつながっております。この八紘一宇の理念の下にですね、世界がひとつの家族のように睦み合い、助け合えるように、そんな経済、および税の仕組みを運用していくことを確認する崇高な政治的合意文書のようなものをですね、安倍総理こそがイニシアティブをとって提案すべき、世界中に提案していくべきだと思うのですが、いかがでしょうか?

安倍首相  こうした、いわば租税回避ができるのは本当に多国籍企業であり、巨大な企業であってですね、こういう仕組みを、こういう企業のみが活用できるわけでございます。まさに日本の中でコツコツ頑張っている企業はそういう仕組をとても活用することができないわけでございまして、そういう意味において正直者が馬鹿を見てはならないわけですし、しっかりとそれを進めていく国とそうでない国に大きな差が出てはならないわけでございますので、BEPSプロジェクトの取組みがですね、OECD租税委員会において進められているわけですが、本年中の取りまとめに向けてですね、日本政府としてもしっかりとリーダーシップを取っていきたいと、このように考えております。

          ※                   ※

 八紘一宇についての歴史的概念もあやふやな理解のままに、安倍総理に対して税に関して世界をまとめるリーダーシップを求める質問を、真顔で発することのできる三原じゅん子の知性をどの様に評価すべきなのであろうか。私にはまったく言うべき言葉がない。

 このような発言をした三原じゅん子が、最近問題となった「パナマ文書」を安倍総理が政府としては取り上げないとしたことに断固抗議したとか、安倍総理にタックスヘイブンに対して特段のリーダーシップを振るうよう督促したとは、ついぞ聞いたことがない。

 三原じゅん子とは、かって自分が発言してきたことを平気で忘れることができる、無内容で見てくれだけの人物で、その意味では自民党を体現するかのような人物である。

 今回の参議院選挙は、憲法改正を許すのか否かの重大な選挙である。この核心的な争点を隠そうと策動し続ける自公の候補者を徹底的に追い詰め、野党が神奈川選挙区で多数の議席を獲得するように私たちも頑張ってゆきたい。(直木)


 兵庫選挙区・骨がらみの自公

 堤未果講演会が開催された6月19日、神戸・三宮で公明党の伊藤たかえ(予定)候補の演説会が行われていた。和服の老人が応援演説をしているところで、なんと〝平和の党〟と言っている。ウソにも程があると思うが、言ったもの勝ちの厚かましさにはあきれるばかり。支持者には疑問がないのか、それが疑問だ。

 くだんの和服の老人は森田実氏だろうと思い翌日、伊藤氏のフェイスブックで確認してみた。

「昨日は、時折、雨が強くふりましたが、天候も回復し、予定していた全ての街頭演説会を開催させて頂くことができました。

 JR立花駅では傘を差しながらの応援ありがとうございました!

 三宮駅、阪急西宮ガーデンズ、阪急逆瀬川駅の3カ所の街頭には、なんと政治評論家の森田実先生が応援に駆けつけて下さいました!

 森田先生は、公明党に対し『平和』と『対話』の党、『道徳』の党であると、万感の期待を寄せてくださっています。

私にも真心からの激励のお言葉を頂きました。ご期待にお応えできるよう、精一杯頑張って参ります」

 今回、公明党は兵庫選挙区で候補者を立て、早くからポスターを張り巡らしていたが、安倍首相がそのポスターに登場したのには驚いた。自民党の現職がいるのにこんなポスターを作成するのは、自公の骨がらみ、互いに集票をあてにしないと議席を確保できなくなっていることを、はしなくも暴露してたものだ。それを証明するように、自民党の山田賢司衆院議員が芦屋市内で開かれた公明党の講演会で、「本気で応援している。絶対に自公で3議席のうち、2議席を取らなければならない」と言って、伊藤氏の名前をあげて熱弁をふるったと『神戸新聞』(6月18日)が報じている。

 さらに新聞折込みで入った『自由民主』でも、山田議員は見開き2ページの一方に伊藤氏との握手の写真を、もう一方に現職の末松信介参院議員との握手の写真を、紹介記事とともに掲載。山田議員がそうまでして公明党を応援するのは、次に予定されている自分の選挙で公明党の票がもらえなければ当選が危ういからだ。

 そういえば、中選挙区で選挙が行われていたころは自民党の派閥が公認をあらそい、議席の奪い合いをしていた。何のことはない、今は自公で同じようなことをやっているのです。自公の与党としての繋がりが骨がらみとなり、もはや同じ党とみなすほかないところまで来ているのだ。

 さて、兵庫選挙区は今回定数増で激戦。公明党が24年ぶりに候補を立てたのも、改選議席3が復活したから。しかも、前回は自民と維新が当選で、民主現職はあえなく落選している。悪くすると、自民・おおさか維新・公明の改憲派による独占もあり得る。ちなみに、維新の片山大介候補はあの片山虎之助比例区候補の息子、することがあざといというか、こんな仕掛けが当たるようでは世も末だ。

 対する野党は民進現職水岡俊一候補と共産新人金田峰生候補。みなせん(みんなで選挙)も頑張り、戦争法を成立させた自公、そして改憲勢力のおおさか維新による議席独占を何とか阻止したい。 (折口晴夫)
  
 宮城の情勢 改選議席減で2現職 サバイバル戦 

改選数が2から1に減る宮城選挙区は、再選を目指す松下政経塾出身の自民党現職の熊谷大氏(41)と4選を期す民進党現職の桜井充氏(60)の対決となっている。安倍政権の経済政策アベノミクスや野党共闘を巡り、非難の応酬が展開されているが、市民の反応は薄い。

 熊谷氏は稲田朋美党政調会長や県選出国会議員らと街頭に立ち、中央政治のマニュアルのコピペ演説。恥ずかしげもなくアベノミクスの「成果」なるものを訴えた。それ以外には「反共攻撃」に終始。「共産党がそばにいる候補はだめだ」と言う。お寒い内容だ。

 桜井氏は青葉区の勾当台公園で第一声を上げ、アベノミクスを痛烈に批判した。「宮城に恩恵はない。反対に物価上昇などの副作用に苦しんでいる。安倍首相を政権から引きずり降ろす」と訴えた。

しかし、選挙は野党共闘候補には残念ながら厳しい。自公共闘は従来から三十五%は取る。前回参院選(十三年)は四十五%の得票率だ。対して野党候補は「民主党ブーム」のあった九年(〇七年)参院選を別として、民進党は民主党の大失政の甚大な影響で後退を続けている。前回の十三年参院選では得票率二十二%(岡崎トミ子)で「みんなの党」候補にも敗北している。(自・み当選)

今回は議席数が二から一へと減っている。野党統一候補・桜井を支援する共産の得票率はせいぜい十%、社民党も根強いが五%がやっとだ。十三年の岡崎トミ子票に単純に加算すれば三十七%となり自公候補と互角ということになるが、民進党の不人気や不信は進行している可能性があり、よだんを許さない。しかし、安倍自民党の危険性を訴えて自民候補を落とす!行動を継続してゆくほかない。(文)案内へ戻る

 アピール    参院選挙にあたって呼びかけます   2016.6.22ワーカーズ事務局

安倍暴走政権を少数派に追い詰めよう!

◆安倍暴走政権をストップさせよう!

 6月22日の今日、参院選挙が公示されて安倍反動政治にストップをかける政治決戦の正念場に突入した。

 安倍首相は、かつての国政選挙時と同じく、選挙の争点として景気・経済を掲げ、アベノミクスをさらに加速させると強弁している。しかし、これまでの2回の国政選挙では、アベノミクスを全面に掲げながら、選挙で多数を獲得するや政権への信任を得たとばかりに強引に特定秘密法や集団的自衛権容認にもとづく戦争法を強行成立させた。

 今回の参院選でも同じだ。仮に自公の与党や安倍自民党の補完勢力としてのおおさか維新の会などの改憲勢力が参院でも3分の2の勢力を確保できれば、間違いなく憲法改正が信任されたとして改憲に向かって突き進むだろう。私たちは、そうした安倍政権の暴走をなんとしてもストップさせる必要がある。

◆空約束を跳ね返そう!

 安倍首相が一枚看板として掲げるアベノミクス。すでにそのメッキが剥がれ落ち、破綻が誰の目にも明らかになっている。安倍首相は「三本の矢」を掲げて日本経済を復活させると大風呂敷を拡げてきたが、低迷する経済を立て直すことなど出来なかった。そもそも、金融緩和、財政出動、,成長戦略などは、歴代自民党政権や民主党政権も掲げてきたものを仰々しい言葉で切り返してきただけなのだ。

 日本の「失われた20年」という長期の経済低迷情況から脱するには、経済構造の抜本的な転換が不可欠だったのだ。すなわち中期的な目標としては、多国籍企業をはじめとする輸出中心型の巨大企業優先経済モデルから、賃金引き上げをはじめとした国内市場中心のフラットな経済モデルへ、供給優先型モデルから需要拡大型モデル、兵器や公共事業中心のハードな財政政策から社会保障や教育中心のソフトな財政政策などへの転換だ。

 そんな改革とは正反対のアベノミクスで安倍首相がやったのは、財界・産業界の要求に応じた震災復興や国土強靱化を大義名分とした財政の大盤振る舞いと紙幣を大量に市場に投入するという金融の量的緩和による景気・経済へのテコ入れ、それに法人減税など、企業利益拡大へのテコ入れだけだった。トリクルダウンなどは失敗だったというより、はじめからペテンでしかなかったのだ。その結果はといえば、実質賃金の下落や貧困層の拡大など、先進国でも希なほど、急速に格差社会を深刻化させただけなのだ。アベノミクスは葬る以外にない。

◆消費増税は撤回を!

  安倍首相は選挙での票目当てに消費増税の再延期を決めた。公約違反の批判は免れないが、そもそも税と社会保障の一体改革で社会保障支出と消費税をリンクさせたこと自体トンでもないことなのだ。一体改革は公共事業や軍事支出など財政にはびこる多様な利権構造の聖域化が目的だった。再分配の最たるものとしての社会保障財源は、企業課税や社会保険料負担の企業負担の引き上げ、富裕層への増税などで賄うべきものなのだ。私たちは消費増税再延期ではなく、増税撤回こそ求めなくてはならない。

◆改憲への白紙委任は拒否しよう!

 安倍首相が隠さない改憲策動についても同じだ。自民党の改憲草案を読めば、安倍自民党がもくろむ改憲内実が露骨に現れている。ひとことで言えば、国民主権から国家主権へ、人権尊重から国家秩序優先、戦争放棄から戦争遂行国家へ、最低生活の保障から自己責任・家庭責任へ、などだ。仮にそれが実現すれば、戦前の独裁国家への回帰になる以外にない。

 安倍首相が選挙戦で改憲についてほとんど言及しないのは、選挙で自分たちの政権への白紙委任を求めているからだ。いったん選挙で信任された以上、何をやっても許される、というわけだ。こうした結果を招く白紙委任は、民主主義・立憲主義の否定でもある。今回の選挙で問われているのは、アベノミクスや改憲だけではない。まさに国民主権が本物になるかどうかが問われているのだ。

◆安倍自民党に改憲議席を与えるな!

 本来、私たちがめざすのは、マネー資本主義に象徴される利潤至上主義経済からの脱却と協働型経済への転換であり、対外関係でのパワーポリティックスから労働者・市民による善隣友好の立場からの国際連帯である。貧困化も格差社会化も、突き詰めればグローバル資本主義の矛盾や退廃に根ざすものであり、アジアの緊張も国益至上主義の国家中心の対外関係から生じてくるものなのだ。そうした土台からの社会変革を実現しないかぎり、私たちの生活の根本的な改善はあり得ない。

 こうした観点で言えば、民進党は自民党と本質的には同根だ。自民党による原発回帰の路線は、当時の民主党政権が原発ゼロを先送りすることで敷いたのだし、また沖縄普天間基地の辺野古への移設問題も、当時の民主党鳩山政権が日米安保条約維持の立場もあって「最低でも県外」を撤回することで自民党政権の方針に回帰したものなのだ。さらに大衆課税である消費増税は当時の民主党が自らのマニフエストに反して自公民による三党合意をまとめて導入を決めたものだ。

 とはいえ、現在の民進党は野党という立場もあってアベノミクスや憲法改悪などで安倍政権に対決する姿勢をとっている。こうした立場は、選挙戦術の側面としての性格がぬぐえないとはいえ、格差社会の打破や戦争法の強引な導入などに対する世論の厳しい批判を背負って打ち出されたものに他ならない。現状では、本来の私たち左派、労働者派の政治勢力が、現実政治での対抗勢力として大きく登場していない。今回、学生団体や女性団体の努力で1人区では4野党統一候補が立候補している。現状を考えれば、安倍自民党を少数派に追い込むために、今回の参院選挙では、4野党統一候補など安倍自民党の暴走をストップさせる政治勢力の伸張をめざしていく以外にない。

 安倍自民党が改憲を発議できる改選121議席中の78議席獲得を阻止するため、全国至る所で、身近なところから安倍政権への批判の声を結集し、安倍政権を少数派に追い込む活動を拡げていこうではありませんか!案内へ戻る


 コラムの窓・・・ふるさと納税の転落!

 ふるさと納税ってなんでしょう。「2007年、第1次安倍政権で菅義偉総務相(当時)が打ち出した。都市に集中しがちな税収を地方に再配分する目的で、08年度に導入された」(6月17日「東京新聞」)ものです。

 その趣旨は良しとしても、仕組みに不備があり、実態はとんでもないことになっています。「ふるさと納税で寄付を行えば、2000円を超える分が所得税と住民税から控除される。昨年4月から控除額の上限も引き上げられ、返礼品競争が過熱。事実上、『2000円で地方の豪華な返礼品がもらえる』制度として普及している」(同紙)というのです。

 こうしたこともあって、総務省は商品券を含む金券などを送らないよう求める通知を4月に出し、実態調査にも乗り出したということです。例えば、千葉県大多喜町は1万円の寄附に対して6000~7000円の商品券「ふるさと感謝券」を贈っていました。これは5月で打ち切られましたが、他に「見直した自治体では、大阪府岬町が高額な電子レンジを、北海道占冠村が村内の飲食店などで使える商品券をやめた」(6月17日「神戸新聞」)等々。

 昨年金額も件数も全国1位だった宮崎県都城市の受け入れ額は42億3100万円、受け入れ件数は28万8000件超えでした。その理由は、ズバリ日本一の肉と焼酎。地元産の宮崎牛と同市に本社を構える霧島酒造の「黒霧島」など、魅力的な返礼品が揃えられています。

 ちなみに、昨年度の受入実績ですが、金額は約1653億円で2014年度(前年度)比4・2倍、件数は約726万件で3・8倍となっています。すごい増加ですが、これは昨年4月から減税対象となる寄付上限額を2倍にしたからであり、高額所得者にとって魅力的な節税の場となっているのです。

 これを『週刊金曜日』(2月26日号・ちよっとヘンだぞ!「ふるさと納税」)の試算で紹介すると、おおむね年収500万円で年間上限額が67000円、1000万円なら188000円、1億円ならなんと400万円を超えるのです。実例として、長野県伊那市に3万円の寄附をすると、28000円が翌年度の個人住民税から控除され、10480円相当のハードディスクなどがもらえ、8480円の利益が得られるということです。

 インターネットを検索すると魅力的な返礼品があふれています。まるでカタログで商品を買うようにふるさと納税ができて、節税どころの話しではありません。高額所得者は全国の特産品をいくらでも採り寄せることができます。一方、自治体側ではさながら仁義なき税金の奪い合いとなり、結果的に抜け目ない人々の〝節税〟に手を貸してしまっているのです。

 納税は美徳なんて道徳的なことを言うつもりはありませんが、不備ある施策が市民を〝せこい〟行為に走らせているのです。寄付に見返りは必要ないのです。ふるさと納税が「都市に集中しがちな税収を地方に再配分する」ためのものなら、返礼品は必要ないでしょう。(晴)


 英国や欧州国民の反EU感情を 偏狭な愛国主義や民族主義に歪曲させてはならない!――極右勢力のばっこを許すな! 欧州労働者の団結と国際連帯の回復を!

今週はこんな記事が並んだ。果たしてそんなことが問題なのだろうか。

「EU離脱、ポンド三十年ぶりの対ドル下落」(ロイター)
「NY株急反落、610ドル安=「英国ショック」でリスク回避 」(時事通信)
「日本株記録ずくめの急落、日経平均下げ幅16年ぶり-英EU離脱派勝利 」(bloombarg)

●世界経済と英国経済への影響はすぐには推し量れない

想定されたとはいえEU離脱が、世界の経済・金融市場に衝撃波を与えた。しかし、この程度で済むのであれば、織り込み済みかもしれない。とはいえ、世界の金融センターであるロンドン・シティーへの予想される没落が、世界的な経済低迷の中で信用制度に打撃を与えることは間違いなく、この影響が中長期にどんな形で出で来るのかは簡単には予想できない。

●分解過程に入ったかEU、その前に英国の分裂の方が現実的

拡大一途のEUであったが、現在ではそれぞれの国内で「分離派」「EU懐疑派」が台頭している。フランスの極右政党=国民戦線のルペン党首は「各国民族派の喜ばしい日だ、後に続こう」と語った。英国のEU離脱は極右勢力の勢いを加速させることは確実だ。

シリア難民問題をきっかけとして、ドイツメルケル首相らが主導した「難民受け入れ政策」それ自体は、きわめて進歩的で人道的なものであったが、それに不安を感じる国民の反発を煽りポーランドなど東欧でも反移民・反難民の野蛮な極右政党が躍進した。フランスなどでも伝統的な極右勢力=ルペンらは次期大統領選挙で権力をせしめうる好位置につけるまでになった。

今回の英国離脱を主導してきた前ロンドン市長ボリス・ジョンソンらは、今回の大成功で「次期首相の座は確実」とみられている。かれらは、「政治権利をEUから取り戻す」「自分の国の支配を取り戻そう」と反EU感情を煽り続けてきたが、彼らにEU委員会よりましな政治を期待するとすれば幻想である。彼らポピュリストたちは、欧州極右勢力と同じで、国民内にあるエリート国民意識や民族差別感情を吹聴して権力に接近するだけしか考えないマキャベリストだ。

離脱派が叫ぶ「英国の独立」「主権をブリュッセル(EU委員会)から取り戻す」・・これこそ欺瞞に満ちたことだ。英国がEUの植民地だとでもいうのだろうか。EU内でも最も寄生的で資本の半分が大陸欧州に展開している英国の現実を無視した真っ赤なウソだ。

欧州の労働者や勤労者市民は、ポピュリストや極右の甘いそして野蛮なデマ政治を暴露して、国際的連帯と欧州の団結を護るべきだ。

●スコットランドと北アイルランド 英国の分解リスク高めたEU離脱

EU離脱を決めて、自らの野心を満ぞくさせ有頂天なボリス・ジョンソンが最初に心配しなければならないのはポンド下落だろうが、同時に対処しなければならないことはスコットランドと北アイルランドの離脱問題だというのは、皮肉と言うものだろう。

十四年のスコットランド分離独立を問うの住民投票は、まだ記憶に新しいところだ。僅差で「英国残留」となった。その選挙戦の際にも、スコットランド独立派は「独自にEU加盟」というスタンスを取り、今回もスコットランド地域は六十二%がEU残留派であった。英国が離脱したからにはスコットランドが「再度独立を問う」ことは時間の問題と思われる。

また六十年代から激しい独立武力闘争を展開してきた北アイルランドも、再度「独立」を主張する可能性がある。その際の紛争の再燃を懸念する観測もすでに出ている。

■EU官僚主義との闘いが「分離主義」であってはならない

今回の英国離脱が、英国や欧州国民の反EU感情が根深いことを示したことは重要だ。EU委員会と官僚制度が「新しい国家制度」であることはもはや疑う余地はない。新自由主義の国家である。平和裏に経済統合から政治統合へと移行してきたが、「新国家EU」の権力の強大化や顕在化が極右などの古い民族主義との軋轢を生み出していた。

しかし、このよう反EU=反メガ国家という国民感情が、「反移民」「反難民」を呼び水として歪んだ民族主義や偏狭な"愛国主義"へと捻じ曲げられ、極右勢力などに吸い取られてきたことを重視すべきだ。これらのことを「主権の回復」だなどとさけぶポピュリストと徹底的に闘おう。グローバリズムや新自由主義に対して、EU諸国の下層労働者は怒りと不満を感じている。彼らを分離主義=民族派に追いやってはならない。彼らを説得し労働者の国際主義を改めて確認しよう。(山崎)案内へ戻る


 色鉛筆・・・つぎの被害者を出してはいけない

 米軍基地を置いていいか?と、沖縄は過去71年間一度も聞かれたことはない。全て銃剣とブルトーザー等、強権によるものだ。

 1960年「日米安保条約」「日米地位協定」の成立時、日本により米軍施政下に差し出されていた沖縄は国会議員が1人もおらず、異議申し立てなど出来なかった。にもかかわらず、そこから起こる被害・危険とは隣り合わせの生活をずっと強いられ続けて居る。

 今、仮に日本全体の面積で平等に基地を分担するとしたら、沖縄は0.6%で済むはずが、74.46%も押し付けられ、その過密度は本土の483倍にもなる。政府が繰り返し主張する「沖縄の基地負担軽減」策として、もし辺野古に新基地が建設されたとしても、数%の軽減でしかない。

 1955年9月、石川市(現うるま市)で6歳の少女が米兵に車で拉致され暴行殺害され、ゴミ捨て場に捨てられた。苦痛で顔はゆがみ、両手にはぎゅっと草が握りしめられていた。

 1995年9月、本島北部で小学6年生が米兵3人に無理やり車に連れ込まれ乱暴される。そして2016年4月、20歳の女性が元海兵隊員に乱暴、虐殺された上遺棄された。 これらの事件の間には、数え切れない程たくさんの事件・事故が起こっている。全て「基地あるがゆえ」に起きたこと。71年間ずっと身近にそれらが起こっていたからこそ、今回の事件から受ける沖縄の人たちの恐怖、怒り、悲しみは計り知れないほど強い。

 6月19日の県民大会参加者が一斉に「怒りは限界を超えた」と書いたプラカードを掲げている。梅雨明けの暑さのなか、若者や小さな子どもを連れた家族、お年寄りなどが、次の被害者を出してはいけない!との強い思いのもと「全基地撤去」「日米地位協定の改定」「辺野古の新基地建設反対」を訴えた。沖縄の憤りは、明らかに今までとは違うものになっている。

 米国を隠れ蓑にして、日本政府は、世界でも例の無い長期間、破格の待遇(地位も費用も)で沖縄に米軍基地を押し付け続けている。1972年と1995年に、沖縄から撤退しようとした米軍を日本政府が引き留めている事実が、公文書などで明らかにされている。

 今回の元海兵隊員による殺人事件に関しても、一切有効な対策に取り組むつもりは無い。本土での沖縄報道は本当に少ない、そして巧妙に政府側に有利な内容を流すことが少なくない。だまされる事無く、つぎの被害者を決して出させないためにも、沖縄と共に参院選で冷酷な安倍政権を倒してゆこう。(澄)


 「何でも紹介」・・・ある父親のメッセージ紹介

 6月19日、沖縄で「元海兵隊員による残虐な蛮行を糾弾!被害者を追悼し海兵隊の撤退を求める県民大会」が開かれた。

 沖縄の知人が次のような大会報告を送ってきた。

 「当初の目標は5万人でしたが、炎天下で凄まじい暑さの中6万5千人もの人たちが集まりました。

 会場となった奥武山陸上競技場のトラックの内側の芝生部分だけでなく、トラックの外側の木陰を中心に人々が密集しました。何年か前の読谷の10万人集会に劣らない迫力でした。沖縄の人々の悲しみ、怒りの意思表示はとどめようなくあふれ出しています。

 自民・公明・維新は参加しませんでした。そして自分たちが参加しなかったから、超党派でなく一部の勢力による集会だと理屈をこね、県民大会の意義を低めようとしています。彼らは沖縄の太く大きな民意の黒潮のような流れから脱落したのです。

 たとえ現在いくつかの議席を県議会に占めていたとしても、今後の県民の自立に向けた歩みの妨害物にしかならないでしょうし、県民の多数から振り向かれなくなるでしょう。」

 この県民大会の冒頭に、今回の事件で殺害された娘さんのお父さんからのメッセージが読み上げられた。

 この父親の「悲しみと苦しみと怒り」の声を全国の皆さんに紹介する。

ご来場の皆さんへ。

米軍人・軍属による事件、事故が多い中、私の娘も被害者の一人となりました。

なぜ、娘なのか、なぜ殺されなければならなかったのか。

今まで被害に遭った遺族の思いも同じだと思います。

被害者の無念は、計り知れない悲しみ、苦しみ、怒りとなっていくのです。

それでも、遺族は、安らかに成仏してくれることだけを願っているのです。

次の被害者を出さないためにも「全基地撤去」「辺野古新基地建設に反対」。

県民が一つになれば、可能だと思っています。

県民、名護市民として強く願っています。

ご来場の皆さまには、心より感謝申し上げます。

   平成28年6月19日    娘の父より

 ここに沖縄県警がまとめた資料(米軍関係者の凶悪事件)がある。

 「1972年の本土復帰から2014年までの米軍人・軍属とその家族による刑法犯罪の検挙件数は5862件。うち、殺人、強盗、放火、強姦の凶悪犯罪は571件で737人が検挙された。米兵に民間人が殺害される事件は12件発生。性暴力も繰り返され、強姦事件は未遂も含め、検挙されただけで129件になる」

 沖縄県民は、また被害者を出してしまった苦痛を味わっている。父親の言う「次の被害者を出さないため」にも「もう全基地撤去しかない」と決意している。同時に日本政府に「日米地位協定の根本的改定」を要求している。

 安倍首相をはじめとして、自民や公明や維新の政治家や国家官僚達は、「屁理屈を並べるだけ」で知らんぷりである。(富田 英司)案内へ戻る


 十八歳選挙権の実現

 二〇一五年六月十七日、選挙権年齢を満十八歳以上とする公職選挙法改正がおこなわれ、十八歳選挙権が実現し、二〇一六年七月に実施される参議院選挙から実施されることになりました。

 日本の選挙制度を振り返ってみると、一八八九年に「直税十五円以上を納める二十五歳以上の男子のみが投票できる」という制限選挙で始まり、戦前の改革は、一九二五年の普通選挙法による二十五歳以上の男子の拡大にとどまりました。一九四五年に二十歳以上の男女に拡大しそれ以来、七十年ぶりの大きな改革です。

 十八歳選挙権は、改憲手続き法制定の議論から生まれました。教科書に政府統一見解の記述を義務づけ「道徳」などで特定の価値観を押しつけ、そして評価対象教科にしようとする動きもあります。また、教育現場に国歌斉唱を要請する流れは変わらず、自分の意見を持ち主体的に行動する国民の出現を期待はしていません。しかし、選挙権年齢の引き下げは。基本的人権の拡大、政治的自由の拡大という大きな進歩です。世界全体の九十二%の国・地域で選挙権年齢は十八歳以上となっていますので、やっと国際標準に追いついた感じです。

 しかし、高校生たちは、十八歳選挙権については、消極的な印象があります。静岡県の沼津高校で実施されたアンケートでは、十八歳選挙権に反対が多く、特に三年生では七十七%を占めていました。その理由は「まだ未熟だから」が六割「自信が持てない」が二割近くでした。日本の若者は、「自立心」や「自尊心」が低いように感じます。

これまで選挙権がなかった高校生が有権者となるため、高校生の政治活動、選挙活動をどのように位置づけるか、その中で教員がとのような役割を果たしていくのかは、「主権者教育」は大きな課題です。宮城県の県立高校で、安保法案(戦争法案)に関するアンケートが政治的「偏向」扱いされ介入を受けるということもおこっています。そして教育長通達で「教員は政治活動にかかわってはいけない」と選挙のたびに毎回全員に配布されます。そのため、選挙で投票することも禁じられていると勘違いしている若い教員が増えていることも事実です。

 「自立心」「自尊心」を育てていくためには、大人とも誰とも対等であり、仲間との豊かな人間的な協力関係の中で育っていくものだと思います。管理教育や競争社会の中では、「権利」について学ぶことはむずかしいと思います。私達達大人は、主権者教育に向き合うべきではないでしょうか?

 今回の選挙に十八歳以上の男女が積極的に投票にいくことが、「はじめの一歩」だと思います。(宮城 弥生)


 読者からの手紙  過半数に満たない結果が“民意”と言えるのか?!

6月23日、欧州連合(EU)からの離脱を問う英国の国民投票は、開票の結果、投票率は72・2%で、「離脱」は1741万742票(51・9%)、「残留」は1614万1241票(48・1%)、無効票が2万5359票で離脱票が残留票を上回り、英国は欧州連合(EU)からの離脱へと舵を向けることとなった。

 ここでは選挙制度の矛盾を取り上げるので、欧州連合(EU)の意義については、「経済面で統合を進めて国境の壁を低くし、平和へ導くという考え」に基づいて地域統合を図ってきた欧州連合(EU)は一国主義やナショナリズム (「国家主義」「民族主義」「国粋主義」)に対してはかなり進んだ意義を持っていたが、今日、多くの先進国で台頭しつつある反エリート主義やポピュリズム(大衆主義や人民主義)の台頭に押されたとだけ述べておく事とする。

 問題提起としては、ほぼ互角と言ってよい選挙結果で有権者全体(投票率から割り出したもの)からすれば離脱派は37・7%、残留派は34・72%で、いずれも有権者の50%にも達していないのに、その差3%強多かっただけで、その国の進路が決まってしまうと言う選挙結果方式である。

2013(平成25)年7月に行われた第23回参議院議員通常選挙では自民・公明両党による与党は76議席を獲得。非改選の59議席と合わせて過半数を上回る135議席となったがその時の投票率は選挙区52.61%(前回57.92%)比例区52.61%(前回57.92%)であり、得票率は、自由民主党は選挙区で (42.74%)比例区 (34.68%)公明党は選挙区( 5.13%)比例区(14.22%)であった。

得票率から見ても自公政権は選挙区で47・87%比例区で47・9%でいずれも過半数を超えていないのである。投票率から割り出せば、選挙区25・18%比例区25・2%と有権者の4分の1程度の投票で政権を牛耳っていると言えるのである。

 選挙に勝ったからそれが“民意”だというのが選挙制度ならば、多数決という“民主的”方法もまた国民を支配する機構として組み込まれていることを確認せざるを得ないし、そうしたものとして選挙戦を戦わなければならないだろう!(M)

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