ワーカーズ566号(2017/1/1)   案内へ戻る

 今年こそ安倍政権打倒に向け政治暴露の強化で潮目を変えよう!

 安倍政権の経済政策「アベノミクス」が発動されて数年が経過した。しかしいまだ成果といえるほどの内実は誰にも見ない。黒田日銀総裁の異次元金融緩和も種切れとなり、今や無為無策の状況だ。かくてアベノミクスをアホノミクスとまで酷評した浜矩子氏はこの十月に『どアホノミクスへ「最後の通告」』を出版した。まさに悪評蔓延の日々。かって世界第2の経済大国の日本は、今や主体性なく米国追随だけが目立つ衰退国家でしかない。

こうした蔓延する評価に一向に無自覚な人物が我らの安倍総理であるが、それだけではない。年末のたった数ヶ月を見ても安倍政権に何の対外的先見力がないことも明白だ。トランプ勝利を予見しえなかった事、さらにプーチンとの会談が何の成果なく終わった事に大半の「国民」ががっかりした事は二階幹事長も認める所である。安倍の沖縄に対する暴政は一貫しており、国民無視のトランプが参加拒否したTPPの強行採決に続く年金カット法やカジノ推進法の強行突破は目を覆うばかりの惨状、さらに福島原発事故処理費の増加を電気料金の上乗せで切抜けようとするやり方は、確実に労働者民衆の怒りを引き出した。加えて年末の沖縄でのオスプレイ墜落大破事故がある。この機体大破の事故を不時着と言い換えるNHK・防衛大臣の姑息な対応は、労働者民衆の怒りに油を注ぐものだろう。

 そもそも北方領土を「固有の領土」としその返還を要求する事自体が、戦後秩序への一大反抗である。しかも11月上旬に訪ロした谷内国家安全保障局長はロシア側から将来日本に歯舞色丹を引き渡した場合、「米軍が基地を置くか」と聞かれて「可能性はある」と答える大醜態。こんな対ロ認識では交渉そのものが不調となるとの予測が出来ない人物が外交代表だ。この一事をとって見ても安倍政権のお粗末さが分かるというものである。

 日本のマスコミは米国でのマスコミのヒラリーを賛美しトランプを誹謗三昧し放題よろしく、これまで官房機密費をもらう事で安倍政権に最大限のお追従をしてその無内容な実像をひた隠しにしてきたが、「地球儀を俯瞰する外交」と称する税金の世界的なバラまきの安倍総理の諸行動そのものがまさに世界の嘲笑の対象であり、実際に成果も出せないでいる。かくて安倍政権の日は数えられて、政治の潮目は大きく変わりつつある。

 安倍政権は自ら招き寄せた失政により労働者民衆の怒りを確実に蓄積させつつある。今年こそ、安倍政権打倒に向けて政治暴露の強化で潮目を変えていこうではないか。(木村)


 世界の地殻変動に対抗軸を!――安倍政権を幕引きへと追い込もう!――

 昨年は、欧米を巻き込んでの地殻変動を想起させる大きなうねりが拡がった。EU諸国に殺到する難民とその排斥、英国のEU離脱、それに米国でのトランプ新大統領の選出などだ。背景には、中東やアフリカでの戦争と先進国を中心に拡がっている富める者と貧しい者の対極化と中間層の閉塞情況がある。

 グローバル資本主義全盛の時代は大きな曲がり角に遭遇している。そのひずみが様々な姿で世界の地殻変動を引き起こしているのだ。

 日本も、現れ方は違ってもその埒外ではない。新たな対抗軸を打ち立て、グローバル資本主義と安倍一強政治と対峙していきたい。

◆地殻変動

 中東各地やアフリカでの戦争、それにともなう難民・移民の拡散、先進国での一部の特権層への富の集中と貧困の拡大、これらはこの20数年のグローバル化の進行の副産物という他はない。

 イラクやシリアなど中東紛争国からの難民流入で、EU諸国ではナショナリズムの台頭を引き起こしている。ドイツやフランスその他、ほとんどの国で排外主義を掲げる右翼政党が伸張している。

 米国では、当初こそ泡沫候補扱いされたトランプが新大統領に選出され、底辺への沈み込みを恐れる中間階層の憤懣が浮かび上がるなど、米国社会のいびつな実情を浮き彫りにした。選挙戦後半にはサンダース旋風も拡がり、富を独占する〝1%の収奪者〟に対する反撥のうねりも拡がった。排外主義的なナショナリズムと貧困者による特権階級への反乱が、かつて無く拡がっている実情を浮かび上がらせたのだ

 アジアでも若者を中心とする反乱が拡がっている。台湾や香港の若者の闘いだ。日本も例外ではない。昨年の戦争法では、これまで街頭に出てこなかった学生やママ友などが政治的攻防の最前線に登場し始めた。これら民主主義を求める若者などの動きも、グローバル化のなかで進む企業・権力への抵抗闘争の一つの表れに他ならない。

◆安倍政治の複合構造

 ナショナリズムの拡がりは日本も埒外ではないが、その現れ方は欧米とは異なっている。難民の受け入れをほぼ拒否している日本は、難民排斥のナショナリズムは政府の仕事になっている。代わって在日韓国・朝鮮人の排斥を掲げる在特会などによるヘイト行動が拡がっている。いずれにしても、相対的には少数派の弱者への排撃という点で共通する性格を含んでいる。

 こうした風潮は、根底では右翼政権としての安倍政権と相互関連しているものだろう。

 安倍政権は、アベノミクスで経済と暮らしを立て直すことを最大の売りにしてきた。しかし、実際に安倍政権がやってきたことは、法人減税やTPPなどでの企業利益第一主義、農業や公共事業などに絡む既得権温存、戦争法や軍事強国化などの軍事優先主義、それに国家秘密法や憲法改悪など国家主義だ。景気回復を掲げるアベノミクスは、それらを実現するためのドッグレースの餌の役割を果たしているのだ。

 その安倍政権。最大のもくろみは、敗戦国として民主国家をめざして歩んできた〝戦後〟を最終的に葬ることで、国家が主役の政治・軍事強国をめざすことにある。独裁という言葉まで使って統治機構の再構築を掲げる橋下維新が政権の別働隊として動いたり、マイノリティー排斥や嫌韓や嫌中を煽るヘイト集団などが徘徊する現状は、そうしたもくろみを持つ安倍政権にとって好都合という他はない。国家主義へ傾倒する安倍首相と統治システムの再構築や拝外主義は、響き合っているのだ。

◆見えない選択枝

 国家主義・企業第一主義の安倍政権が発足して4年間が経過したが、その支持率はいまだに50%台を維持している。政治の世界では、安倍一強といわれるほど政権基盤は安定している。なぜそうなっているのだろうか。

 安倍政権を支える政治的基盤がどこにあるのかを考える時、一時期前の橋本旋風を省みることが参考になる。橋下維新の会は、敵か味方かという二分法を多用し、初戦ではその敵を大阪府などの公務員とその労組に向けた。東京一極集中で低迷する地域経済や、中流としての地位が地盤沈下する大阪の有権者に、格好の捌け口を与えた。地域政党を標榜することで、首都東京への対抗心をも引き寄せ、いまだに大阪圏では根強い支持を集めている。

 その橋下維新の会を支えているのは、やはりグローバル化や東京一極集中で進む、地盤沈下する中流階層だろう。同じような構図は安倍政権の誕生にもあてはまる。いはばトランプ旋風の先取りだったのだ。

 日本では、90年代からの「失われた20年」に進んだ、中流層の縮小と様々な格差拡大が、それまでの牧歌的な〝一億総中流意識〟にボディブローの様に効いている。その20年間は、世界でも日本でも、富めるものとそうでないものの格差が拡大した20年だった。

 14年に日本版が発行されたトマ・ピケティの『21世紀の資本』では、資本所得と労働所得、富裕層と貧困層の格差が継続的に拡大していることを誰も否定できない形で立証したことで話題になった。資本主義とグローバル化、さらにはマネー資本主義が、両者の格差拡大をもたらしているのだ。

 その格差拡大の中には、中間層の縮小、あるいは中間層の下層への転落という現実も含まれる。グラフ1を見れば、中間層が減って低所得者の割合が増えていること、中流層が低所得層にひきずり下ろされていることが一目瞭然だ。 その具体的な諸相は、正規労働者の処遇の悪化や不安定・低処遇の非正規労働者の増大となって進んできたのもだ。一億総中流と思える時代はもはや過去のこと、階級・階層構造の急激な再編成が進んでいるのだ。

 こうした事態が進めば、本来は現体制や現政権への批判が強まる……はずだ。ところが日本の現実はそうはなっていない。むしろ低年齢層、若者ほど安倍自民党政権への支持が多くなっているのが現実だ。(グラフ2)

 これらのグラフを見れば、中所得層から低所得層に引きずり下ろされつつある中流下層、非正規などで閉塞情況に追いやられている低所得者層の少なくない人たちが、アベノミクスという幻想にすがりついているという実情が浮かび上がってくる。無理でもウソでも景気・経済の回復を掲げている安倍自民党を支持するという選択枝しか見えていないからだ。このことは内閣支持への理由として挙げられている理由に見て取れる。アベノミクスにもその他の政策にも期待しないが、それでも「他の内閣より良さそうだから」という理由がダントツに多い。安倍政権以外に現実的なよりどころを見い出せていないわけだ。

 その理由として、野党第一党の民進党の責任は大きい。税と社会保障の一体改革にしても、原発回帰、TPPや普天間基地の辺野古への移設についても、手を付けたのはみな当時の民主党政権だったからだ。だから安倍政権は、批判が強い政策でもその責任はさほど問われない。民主党も同じだったからだ。アベノミクスでがむしゃらに円安・株高を演出することで、有りもしない景気回復の夢を見させてくれる安倍政権の方がまだましだ、と言うことなのだろう。

 問題は、安倍政治に対する対抗軸が定まっていないことにある。

◆一次分配での対抗軸

 戦後の日本では、現実には一億総中流社会ではなかったにしても、高度経済成長の時代の後発国としての追い付き追い越せ型の時代にあっては、確かに国民の暮らしぶりは良くなった。が、90年代以降のグローバル化の進展に並行するかの様に、日本経済は長期低迷期にはまり込んだ。新興国の追い上げがあったにもかかわらず、相も変わらず輸出主導型の経済成長を追い求めたからだ。そこでは新興国とのコスト競争で実質賃金は引き下げ圧力に晒され、この10年は賃金減少が続く状況に追い込まれている。

 合わせて、マネー資本主義の拡がりで大企業は史上最高の利益を上げ続け、富裕層も潤った。不安定・低処遇の非正規労働者の増大で、格差社会も深まった。低所得層に引きづり下ろされつつある正規労働者にとって、均等待遇はたてまえはともかく心情的には拒否すべき事がらで、正規労働者という地位が既得権となった。3分の2の正規労働者と3分の1の非正規労働者という内輪の分断線がつくられてしまったかのようだ。いま、その分断線を引き直す必要があるのだ。

 格差社会が深まる中、再分配政策のあり方に関心が集まっている。政治やマスコミの世界では、税や社会保障による所得の再分配の方策がまず議論される。むろんそれらは重要課題だ。とはいえ、真っ先に問われるべきは〝一次分配をめぐる攻防〟だ。一次分配とは企業収益を分ける利潤(株式配当なども含む)と労賃の分配のことだ。労働時間をめぐる攻防も、時間あたりの賃金引き上げという意味でそれに含められる。

 現状はと言えば、大企業などが史上最高の利益を上げているといっても、それが配分される先は株式配当や経営者報酬、それに企業の内部留保だ。内部留保は現時点で300兆円を超え、平均賃金、総額人件費はここ10年は減少し続けている。収益は、労賃にではなく株主に配当されるか企業が溜め込んでいるのだ。労働者はいまこそ自分の取り分の増額を要求すべきだ。それには十分過ぎる根拠と正当性があるのだ。(グラフ3)

 こうした闘いで、正規労働者か非正規かという対立軸がつくられてしまっては、はじめから〝勝負あった〟となってしまう。団結すべき主体が二分されてしまうからだ。均等待遇の実現と合わせ、両者連携して自分たちの処遇改善を要求すべきなのだ。

 かつて資本主義勃興期の労働者は、自分たちの生活苦の原因がどこにあるのか分からずに、失業や長時間労働でその他で永く辛酸を極めた歴史がある。100年単位のその時期の反省から労働者は団結して闘うことを学び、同一労働同一賃金、それに労働時間規制や休日の獲得など、様々な改善を勝ち取ってきた経緯もある。いまこそ〝失われた20年〟の経験から学び、労働者は団結して闘うことで自分たちの境遇と生活が改善されるのだ、という陣地を獲得する必要がある。

 ナショナリズムやヘイトなどでは、望むべき世界をつかむことは出来ない。結局は外部に敵を求めるか、より弱い人たちを捌け口として標的にしているに過ぎず、本当の闘うべき相手と課題から目を背けているだけだからだ。

 低所得層も中間所得層も、また正規労働者も非正規労働者も、ともに団結・連携して1%の収奪者と闘うことで境遇や生活の改善も勝ち取れるし、また未来も開けるのだ。

 昨年は、戦争法でシールズなど新しい運動も拡がった。ただそれらの運動は、戦争はいやだ、立憲主義を守れという積極的な側面はあったにしても、資本主義批判、収奪・格差反対の結束点が欠落していたことは否めない。シングルイッシューとして団結を優先したからだという。必要な政治判断だったかもしれないが、私たちをとりまく現状をみれば、収奪・格差反対の資本主義批判の立脚点に進むべき時だ。

 第二次政権発足5年目を迎える安倍政権。衆院の解散総選挙の可能性も孕んだいま、私たちの陣形をつくり変え、対抗軸を明確に共有した闘いを拡げることで、安倍政権を幕引きに追い込みたい。(廣)

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 《何でも紹介》
  藤井厳喜氏の『トランプ革命で復活するアメリカ 日本はどう対応すべきか』(勉誠出版)に学ぶ

 アメリカ大統領選挙でヒラリーの敗北とトランプの勝利を予言していた評論家は、実に数少ない。テレビで大統領選挙を訳知りの然り顔で解説していた評論家どもは、ほとんどすべてが討ち死に状態であった。ニュースソースがCNNでは実際こうなるしかない。

 そんな中で予言を的中させた数少ない評論家は、副島隆彦氏とここで紹介する藤井厳喜氏である。2016年7月10日に出版された副島隆彦氏の『トランプ大統領とアメリカの真実』(日本文芸社)は、現在アマゾンで政治部門のトップである。
したがってここでは、トランプ大統領誕生が確定した日以降に一番早い出版となった藤井氏の新刊である本書の内容を、簡単に紹介しておきたい。あまり知られていない書店からの出版ゆえだ。

 本書は350ページの厚い本で、二部構成となっている。第1部は「2016年アメリカ大統領選挙の内幕」との表題を持つ。第2部は「トランプ現象を招いたオバマ時代」の表題がついている。この前には「序章」が、終わりには「あとがき」がある。

 序章において、藤井氏は「2016年11月8日の米大統領選挙は、ドナルド・トランプの勝利に終わった。アメリカの大マスコミはことごとくヒラリー・クリントンの勝利を予測していたが、現実はこの予測を完全に裏切った。これはアメリカのミドルクラスが起こした静かな革命である。

 アメリカの大マスコミは、露骨な情報操作をして、クリントンの当選を実現しようとしたが、その謀略は水泡に帰した。今後、アメリカではトランプの主導する政治革命が起こるばかりでなく、メディアの大改革も起きることだろう」と第2の予言をする。トランプが成功するかどうかは別にして共和党の大改革は不可避である。

 彼はヒラリーの当選を阻止できたことは誠に大きいとする。それは犯罪者が大統領になることを阻止出来た点にある。この点を詳しく解説したものが、第1部の内容である。

 特に第1部第10章「国務省をクリントン商事に変えたヒラリー eメール問題とダーティ・マネー」で暴露されている。日本のマスコミではほとんど触れられないが、トランプが共和党大会で指名された時、「ヒラリーを牢獄に」の声が沸上がったのである。

 自らの利益のために、国の機密情報を平気で外国に売るような人物が大統領になってしまえば、法治主義が崩壊するばかりでなく、国家の安全そのものが危機に陥ることになる。トランプはこのようなアメリカの悲劇を防いだのである。それだけでも既に国家への大きな貢献である。これが藤井氏の主張である。

 実際、eメール問題は重大な問題であり、ヒラリー以外の人物が行っていたのなら直ちに訴追される重大な犯罪である。しかしながらヒラリーは法の上に立ちかつそれを当たり前のこととして受け止め、いけシャーシャーと大統領候補に平気でしゃしゃり出てくるほどの型破りの悪なのである。しかしこの悪ぶりはアメリカ国民には周知の事実である。

 さらにマスコミの偏向も驚くべきものだ。3回会ったテレビ討論会も藤井氏によればトランプの圧勝だったという。

 特に第2回目のトランプの性的なスキャンダルの討論会ではビル・クリントンに強姦された被害者が討論会席の最前列に配置されたた
め、ヒラリーの表情はこわばっていたという。勿論、この事実も日本では報道されていない。

 選挙戦で問題になったヒラリー発言とは、「非常に大雑把に言えば、トランプの支持者の半数は社会の落伍者の集まり」でその例として「人種差別主義者、性差別主義者、同性愛嫌い、外国人嫌い、イスラム恐怖症」等の発言であった。

 これに対して巻き起こった批判に対してヒラリーは「昨晩の発言は、非常に大雑把すぎていた。半分の人々が、といったことを後悔している。しかし…トランプの一部は、白人至上主義者KKKの元指導者デイビッド・デュークのような人々であり、その点で私の発言は正しかった」

 「残りのトランプ氏の支持者たちは政府に見捨てられ、経済に見捨てられ、誰も自分たちのことを気にかけてくれないと感じている人々であり、彼らはただ闇雲に変化を求めている。…彼らはトランプ氏のいうことをすべて真に受けているわけでないが、トランプ氏が多少の希望を提供しているように思っている。彼らは日々、仕事を失い、子供をヘロインでなくし、どうにもならないと思っている。我々は、こういった人も理解し、共感しなければならない」との台詞である。

 まさに聞く耳を失うほどの大衆蔑視と問わず語りのエリート主義には驚く他はない。トランプの失言は針小棒大に報道するが、ヒラリーは全く不問の甘さだ。

 ヒラリーと比較すれば、トランプ氏の言葉は輝いて見える。

 その台詞とは、「ヒラリーの選挙キャンペーンの背後にいるのは、エリート・メディア献金者である。彼らこそが、現在の政治経済システムに寄生し、排他的な利権を得ている人々である。不公正な貿易によって、失業した勤労者たち、そして破壊された地域共同体を私は訪問してきた。これらの労働者こそ、我が国における忘れられた人々である。一生懸命働いているが、政治的な影響力を最早、まったく持っていない。私はあなた方の声になる」である。

 これと相まって「ワシントンのドブ浚いをする」発言はまさに白人労働者層の心をつかんだのである。

 また第1部第11章は「ヒラリーの健康問題」が論じられている。これまたヒラリーの己の健康問題すら、また国家の重要人物になろうとする時の自覚がない問題として論じられている。これまた日本人には、まったく知られていない重大な問題である。

 第2部は、第1部第2章「トランプ現象の本質 二大政党制の行き詰まり」を『月刊日本』に藤井氏が担当していた「アメリカ・ウォッチング」の記事を時系列に並べ、重要な記事にはなぜ重要なのかを前書きをつけて整理したものである。

 第2部「トランプ現象を招いたオバマ時代」の記事は、2011年11月号「分裂するアメリカ帝国 亀裂深める「大企業アメリカ」vs「草の根アメリカ」」から始まる。つまり大統領選挙に至る5年間の分析記事が掲載されていて、大きな流れがこれで分かる。

 藤井氏のこれらの目配せは実に鋭いものがあり、今回の大統領選挙の背景がよく理解できる仕上がりである。こうした分析が積み上がって出来ていたからこそ、藤井氏はヒラリーではなくトランプの勝利が予測出来たのだと読者は実に納得できる展開となっている。

 トランプはワシントン政治が無視してきた橋などの社会インフラの修繕・整備に乗り出す予定である。このために、現在大規模投資を期待しての株式市場の活性化が進んでいる。

 さて彼が推進する経済政策とは何か。その政治思想とは何か。これこそが問題である。

 しかしリバータリアンとトランプ氏を明確に規定していないことで、彼の政治思想に迫っていない点での曖昧さは否めない。

 この点を除けば本書は浩瀚な本ではあるが、今回の大統領選挙戦を考える上で非常に参考になる本である。是非一読を勧めたい。(直木)案内へ戻る


 「原発のもつ危険性」がテロの標的となっている  高浜原発テロ対策に970億円

今年三月二十二日にベルギーで卑劣なテロがあったことは記憶に新しい。そのさい市内のソフトターゲット=ブリュッセル空港と地下鉄での爆弾テロ行為が注目を集めたが、実はそうではなかった。

朝日デジタルは次の続報をしている。「死傷者約300人を出したベルギー連続テロの容疑者が、原子力施設の襲撃を検討していた疑いがあることが25日までに分かった。フランスでは3月24日、ベルギーやパリ同時多発テロの容疑者と同じグループの男が逮捕され、新たなテロ計画が発覚した。」(原子力施設もテロ標的か ベルギーテロ容疑者が襲撃計画)

テロリストが狙うのは、一般に信じられているように人命が目標ではない。彼らの戦術は「弱者の戦術」と言われるように軍事的勝利ではなく「政治的効果」ということに尽きる。だからこそ「非軍人」「市民」というソフトターゲットに脅威を与えることで政治的効果を狙っている。この点を理解すれば同時に、原発などの準ソフトターゲットにテロ攻撃が向けられるのを理解できるだろう。以下のような報道があった。

 「関西電力は22日、高浜原発1、2号機(福井県高浜町)がテロ攻撃などを受けた際、原子炉の遠隔制御などを可能にする「特定重大事故等対処施設」について、設置費用が970億円に上るとの見通しを示した。既に試算済みの安全対策工事費用の約2000億円と合わせれば、2基で約3000億円がかかることになる。」(関西電力:高浜1、2号機で試算 テロ対策970億円に【毎日新聞】)

原発を爆発させるということは破壊=放射能の環境汚染というとんでもない脅威を生み出す。国家や政府、社会を揺り動かす効果が大きい行動としてテロリストに映っているはずだ。ゆえに原発は自己防衛しなければならない。ところがテロはあらゆる角度から攻撃の可能性がある。内部からの自爆攻撃ばかりではなく、奇襲攻撃、飛行機自爆テロ・・。さらには核物質の奪取ということもありうる。原発はかくも脆弱で危険な存在であるから狙われるのである。テロリストは太陽光パネル⇒メガソーラーを爆破しないしテロ標的にするはずもない。爆破しても危険性が無いからである。社会の注目を集めないから何の政治的効果も生み出さない。

原発の危険性こそがテロリストの目標となっているのである!こんな危険なものでなくとも電気は作れるのだから「テロリストから原発を守る」などということは愚の骨頂だ。原発などなくとも電力は足りているのに何故原発などに政府や電力会社は固執するのか?原発防衛のコストはさらに原発電力の値上がりに帰着するでしょう。「関電が長期的に再稼働を目指す原発9基全体では、現段階で安全対策やテロ対策の費用は計8000億円超に上る。まだ試算していない費用もあるため、さらに増える見通しだ。」(毎日)というのだから天井知らずだ。これを利用者に転化するなど許さないぞ。(山)


 年のはじめに、象徴天皇制廃止を求める!

 アキヒトの去就が国民的課題になっています。天皇がこの国の象徴であり「国民統合の象徴」であるのは、主権者である「国民の総意に基く」ことによってだとされています。しかし、これは仮想の事柄であり、事実として確認されたものではありません。

 ここで〝総意〟とは、何%の支持があれば成立するのか不明です。もし、それが半数以上ということであれば、半数以上の国民が天皇制廃止を求めれば、この制度は消えてなくなることになります。私はそうなることを望んでいます。

 残念ながら少数の例外を除いて、アキヒトの去就をめぐる論議では制度存続を前提とした議論しか行われていません。マスコミも極端な敬語を使用し、幼児に対してすら○○さまと称して恥じないのですから、誰もがその家族を特別視し、そうした制度の存在を疑問視しないとしても仕方ないのでしょう。

 さて、ここにひとつのスケジュールが示されています。アキヒトの退位とナルヒトの即位が2018年の新嘗祭の日(勤労感謝の日)だとか。祝日の多くが天皇家の暦にあわされていますが、元号制も含めてこの国の人々は天皇家の暦を強制されているのです。元号法は
第1条 元号は、政令で定める。
第2条 元号は、皇位の継承があった場合に限りあらためる。
とあるので、その時点で意味もなく時代が区切られ、時の流れが断ち切られてしまいます。その不合理を断ち切るために、誰もが元号を使用しないようにしましょう。

 もうひとつのスケジュールは2020年の東京五輪開催で、ナルヒトの名誉総裁としての国際的デビューの場となるというのです。小池百合子東京都知事の五輪会場見直しは〝一周廻ってワン〟というようなもので、とりあえずの費用がいくらか少なくなったけど、元のさやに納まってしまいました。抜け道は〝五輪返上〟でしたが、小池知事はより強固に五輪開催を既成事実化してしまったのです。かくして、アキヒトの確実な皇位継承という望み(野望と言ってもいいでしょう)もより強固になったようです。

 さらに指摘すべきは、安倍晋三首相の暴走に対してアキヒトは抵抗しているという幻想です。自民党憲法改正草案には、第6条(天皇の国事行為等)の5に「公的な行為を行う」とあります。これは、アキヒトが国民に〝象徴天皇〟を埋め込むために行ってきた、憲法違反の公的行為の肥大化を合法化したいという願いと合致しています。

 そう鋭く指摘している天野恵一氏の主張を紹介しましょう。
「〈護憲平和主義〉天皇のこぞって賛美される〈違憲行為〉という『構造的』な力がフルに発揮さている状況。その『平成代替わり』の政治プロセスと安倍政権の明文改憲の政治プロセスのリアルな再開という政治状況が重ねられている状況に、私たちはいる。この点に自覚的でなければなるまい。そして、安倍政権とアキヒト天皇は、天皇の拡大された『公務』をスッキリと合法化したい(あわよくば皇室祭祀まで含めて)という改憲コースでは、ほぼ共同歩調である点を忘れずに」(マスコミじかけの天皇制「なぜか天皇による違憲行為が『護憲〈平和主義〉天皇』の『お気持ち』として賛美される倒錯した〈構造〉」

 長々と述べてきましたが、言いたいことはひとつ。もういい加減で天皇家の暦に縛られ、その下での国民的統合と排除、この差別に満ちた現状を打破してだれもが尊重される社会をめざそうということ。わが国固有の領土などという陳腐な壁を打ち壊し、誰もが個人として生きることができる世界をめざそうということです。 (折口晴夫)案内へ戻る
 

 「エイジの沖縄通信」(NO・34)・・・オスプレイ撤去と返還式典に断固抗議!

(1)「オスプレイ配備撤回」から「海兵隊撤退」への動き

 欠陥機オスプレイが沖縄で墜落した。沖縄県民の「いつか落ちるのではないか」と言う懸念が、現実になった。
 オートローテイション機能のないオスプレイは、ヘリコプターとして根本的な欠陥機であると多くの専門家から指摘され、「オチプレイ」と揶揄されてきた。

 このオスプレイ墜落に関して、米軍と日本政府の対応に対して沖縄県民は怒り心頭である。さっそく翁長知事は上京し政府に「オスプレイの配備撤回」や「返還式典の中止」などを求めた。

 なぜなら、アメリカ本国では許されない「低空飛行訓練」「深夜に渡る夜間訓練」「民家上空での吊り下げ訓練」等などを沖縄でやりたい放題のオスプレイ訓練を続けている。これらはすべて不平等な日米地位協定のせいである。

 今後本土でもオスプレイ訓練は拡大していく。いつどこで欠陥機オスプレイが墜落するかわからない危険性が拡大していくことになる。
 今回のオスプレイ墜落に関する沖縄の怒りをまとめてみた。

 ①稲田明美防衛相の「コントロールを失った状況ではなく、墜落ではなく、不時着水で ある」との発言。それを受け本土全国紙すべてが「不時着」と報道。胴体や翼がバラバ ラに分離して大破している現場を見た県民は「大破しているのに不時着とは」あきれて いる。

 ②米軍が隠したもう一つの「オスプレイ事故」があった。墜落事故があった夜中、普天 間飛行場にオスプレイ1機が胴体着陸した。こうこうとサーチライトをつけ、多くの海 兵隊員が着陸したオスプレイの周りに集まり、異様な雰囲気だったと言う。墜落したオ スプレイと同じ時刻に、同じ空域で、同じ給油訓練をしていたもう1機のオスプレイが いた。墜落したオスプレイの救援に当たっていたが、燃料不足となり、普天間飛行場に 帰還したが、着陸装置に不具合を生じ、胴体着陸という事故を起こした。米軍は、この 事故を日本側に知らせなかった。また、事故内容を発表していない。

 ③在沖米軍トップのローレンス・ニコルソン四軍調整官の「県民や住宅に被害を与えな かったことに県民は感謝すべきだ」と、パイロットを賞賛する発言。ニコルソン調整官 にオスプレイの飛行中止と配備撤回を要請した安慶田副知事は「謝罪も全くなかった。 抗議文を渡す時も顔色を変えて怒っていた」と述べている。さっそく翁長知事は「占領 軍意識そのものと考えざるを得ない」と批判。

 ④機動隊が米軍警護。14日、米軍が事故の調査や部品の回収に現場を訪れ、米軍が規 制線を引いて、さっそく事故地域を占領する。沖国大のヘリ墜落事故と同じように、遮 断して自分たちだけで調査や部品回収をする。驚いたことに、その規制線の内側に高江 から来た機動隊員がずらりと並び県民の動きを警戒した。米兵らが墜落機の部品を運ぶ 時は、機動隊員が2列に並んで道を確保し米兵を警護していた。高江反対の県民は「県 外から来た機動隊の仕事は何でもありだ。沖縄防衛局の作業員や米兵を守るのが警察の 仕事なのか」と批判。機動隊はいつから米軍の家来に成り下がったのか?

 ⑤原因不明のままオスプレイ飛行訓練再開。米軍は、墜落事故からわずか6日後にオス プレイの飛行訓練を再開させた。このように沖縄では米軍はやりたい放題だ。これに沖 縄県民は「あきれてものも言えないぐらいだ」「怒りでいっぱいだ」と猛反発。沖縄の 自民党県連でさえ、防衛局長を呼び出し訓練再開に対し「冗談じゃない」と憤慨。さら に問題なのが日本政府の姿勢。墜落事故のあと、安倍首相は「原因が究明されるまで運 航をやめるように米側に要請した」と言明した。しかしすぐに「空中給油以外の飛行再 開は理解できる」との追従姿勢に。まったく米軍の言いなりである。これで独立国家の 政府と言えるのか?

 21日、オスプレイが墜落した名護市の安部地区で沖縄防衛局の説明会が開かれた。説明会では、区民から事故原因や海の環境汚染への質問が相次いだが、防衛局は「調査中」とか「情報が入り次第、お知らせする」などの繰り返しで、参加者からは「不安や不信が募るだけだった」「説明できない説明会だった」などの批判が相次いだ。

 米軍の下請け機関のような対応しか出来ない沖縄防衛局。このような状況の中、沖縄では「海兵隊撤退を求める」声が日増しに強くなっている。「自治体議員立憲ネットワークおきなわ」が総会で、「在沖海兵隊撤退を求める」決議案を決議。また、県議会でも22日の最終本会議で、13日に発生したオスプレイの墜落事故に抗議し、配備撤回や米軍普天間飛行場の県内移設断念、在沖米海兵隊の撤退などを求める与党提案の決議と意見書を賛成多数で可決した。

(2)22日「連続抗議行動」の報告

 まず、午後2時から式典会場のブセナホテル入口で「返還式典に抗議する集会」が開かれた。あいにく土砂降りの大雨が降り出しみんなズブ濡れ、入口には警備の本土機動隊の立ち並ぶ壁。まさに雨にも負けず・機動隊にも負けずの大抗議集会を2時間続けた。

 夜6時30分からは、名護市の21世紀の森室内運動場で「欠陥機オスプレイ撤去を求める緊急抗議集会」が開かれた。

 主催者の「オール沖縄会議」は当初2000人規模の集会を予定していたが、なんと当日4200人が結集した。会場は怒りに燃えた県民ですごい熱気!返還式典をボイコットした翁長知事が登場すると会場内拍手の波で最高潮に!最後に、参加者全員で手をつなぎ、みんなで力を合わせて頑張ろう三唱!県民大会の時もそうだが、参加者全員の心が結びつく感動の大集会だった。

 まさに沖縄の底力を感じた連続抗議行動だった。(富田 英司)案内へ戻る


 安倍政権の中途半端な労働政策ではなく、労働者の「同一労働同一賃金」を勝ち取ろう!!

 正社員と非正社員の待遇格差を是正する「同一労働同一賃金」の実現に向け、政府は20日、ガイドライン(指針)案をまとめた。

 この日の働き方改革実現会議の会合で、指針案が示された。「非正規(労働)という言葉をこの国から一掃する」。そう訴えてきた安倍晋三首相は、「不合理な待遇差を認めないが、わが国の労働慣行には十分に留意した」と胸を張ったが、「非正規(労働)という言葉をこの国から一掃する」と息巻いた末に正規労働と非正規労働という「労働慣行」は温存されることになりそうである。

 指針案では、賃金や福利厚生に差をつける場合の具体例を「問題となる例」と「問題とならない例」に分類して示し、非正社員の待遇改善を企業に促すことをねらい、基本給、賞与・各種手当、福利厚生、教育訓練・安全管理の4項目について、どんな待遇差のつけ方が「不合理で問題があるのか、否か」を示した。

 賃金の骨格となる基本給については、「非正社員の経験・能力が正社員と同一なら同一の支給を、違うなら違いに応じた支給をしなければならない」といった基準を示した。ただ、抽象的な表現が目立ち、「問題となる例」として列挙された項目も限られた。

 通勤手当や出張旅費、慶弔休暇などでは待遇差を認めず、正社員か非正社員かの雇用形態にかかわらず「同一の支給・付与をしなければならない」としたが、連合などが、待遇差をつける根拠を働き手などに説明する使用者の責任を大幅に強化するよう求めた要求は、指針案には明記されなかった。

 指針に法的拘束力はない。企業が格差是正に取り組むよう指針に実効性を持たせるため、政府は関連法を改正する方針。指針は改正法の施行と同時に効力を持つ予定だ。

 マスコミ各社はこの「同一労働同一賃金」の実現は、『格差是正が進むかどうかは、今後の法改正の行方次第の面もあり、現時点では不透明と』実現には疑問視しているし、待遇格差をつける理由を説明しやすくするため、正社員と非正社員の仕事や役割をはっきり分ける「職務分離」が広がり、「かえって格差が固定化する」といった懸念も出ている。

 現在、労賃は正規・非正規を問わず相対的に下がっており、正規労働者には非正規労働者並みになるのではないかという「同一労働同一賃金」による高い方から低い方への賃下げが懸念されてもいる。

 いずれにしても大独占企業=資本家を代表する安倍政権のやることは労働者にとっては中途半端なものになるだろうから、労働者の正当な要求を勝ち取るために、資本家や安倍政権のやることを監視して、労働者自身の直接行動で要求を勝ち取ろうではないか!!(真野)
 

 コラムの窓・・・経産官僚の計算

 年末も押し迫った12月21日、もんじゅの正式廃炉が原子力関係閣僚会議で決定されました。この決定について、原子力資料情報室はこれまで1兆410億円の税金が投入されてきたことを指摘しつつ、「今後、廃炉に3750億円超えを要し、2047年までかかるとされる。壮大な無駄使いだったが、過酷事故を引き起こすこと無く最期をむかえることができることは幸運に恵まれていたといえる」と述べています。そして、政府が現実を受け入れ、核燃料サイクルから撤退することを求めています。

 実際、もんじゅ廃炉は過酷事故発生との〝競争〟だったので、一安心と言いたいところですが、原子力規制委員会からダメだしされた原子力研究開発機構が引き続きもんじゅ廃炉にも携わるというのだから、安心もしておれません。西川一誠福井県知事もそうした指摘をしていますが、原発利権をたらふく喰ってきた政治家が今さらの感を禁じ得ないのは私だけでしょうか。

 そもそも、もんじゅがナトリウム漏れ火災を起こした1995年12月の時点で、高速増殖炉開発を断念すべきでした。その決断ができていれば、年間200億円のその後の無駄な税金垂れ流し(単純計算で4200億円)は避けられたのです。それだけではなく、青森県六ヶ所村の核燃料サイクル工場に注ぎ込んでしまった2兆円を超える税金を無駄にせずに済んだし、工場を放射能汚染させずに済んだのです。

 ドイツでは、カルカー高速増殖炉が本格稼働前に廃止され、奇しくも1995年に「ワンダーランド・カルカー」へと変身しました。六ヶ所再処理工場も使用済み核燃料を処理する前に廃止していたら、遊園地に衣替えできたかもしれません。

 原子力ムラと称されている日本的原子力マフィアは2011・3・11さえも踏み越え、原発をベースロード電源と位置づけ、40年越えのポンコツ原発までも再稼働させ、あわよくばリプレース(例えば関電美浜1・2号機廃炉あとの新設)も狙っているのです。こうしたたくらみの実現に向け、強欲たちの手先となって着々と作戦を練っているのが経産官僚です。

 その経産官僚が知恵をしぼって考え出したのが、自由競争のはずの電力自由化を踏みにじる、原発推進のための費用を託送料に上乗せするという企みです。それは、原発の廃炉積立不足金1・3兆円、福島事故損害賠償費(一般負担金)3兆円、福島事故処理・廃炉費4兆円の計8・3兆円を「電気の託送料金」(送電線の使用料)に転嫁し、新電力契約者を含めたすべての電力消費者に負担させるというものです。

 そんな馬鹿なと思いますが、一般の常識では計り知れない高級官僚のこれが〝常識〟なのです。間違っても、東電を破綻させ、東電経営陣や大株主に痛みのともなう責任を取らせようなど思いもよらないのです。なんとも、御立派な常識の持ち主たちではありませんか。 (晴)案内へ戻る


 七生養護学校事件に想う

一 事件の概要

一九九七年に七生養護学校の在校生である女子生徒が男子生徒と性的関係を持ったことが発覚し、この問題を受けて教員と保護者が協議を重ね知的障害を持つ児童に対する同校独自の性教育プログラムを開発。「こころとからだの学習」と名付けられたこの授業は男性器と女性器の部位や名称を織り込んだ歌や人形を使った授業方法で注目を集め、同様の悩みを持つ他地域の養護学校からの研修も積極的に受け入れていました。

これに対し、二〇〇三年七月二日都議会で質問した都議会議員・土屋敬之(当時民主党)は授業内容を「世間の常識とかけ離れた教育だ」と述べ、都教委に「毅然とした対処」を要求。東京都都知事・石原慎太郎も「異常な信念を持って、異常な指示をする先生というのは、どこかで大きな勘違いをしている」と答弁しました。

 七月四日に七生養護学校を視察した土屋、自民党の古賀俊昭と田代博嗣の都議3名が授業内容につき「常識では考えられない」「不適切」としたうえで、養護教諭に対して「こういう教材を使うのをおかしいと思わないのか」「感覚がまひしている」と強く非難。さらに、田代が無断で資料を持ち去ろうとしたのを止められた際に「何を持っていくかは、俺達が責任をもって持って行くんだから、馬鹿なことをいうな! 俺たちは国税と同じだ。1円までも暴いてやるからな。生意気なことを言うな!このわけのわからない2人(養護教諭)は(学校から)出て行ってもらってもいいんだ」と発言(訴訟における原告側準備書面より)。この視察を受けて、七月二十三日には土屋が代表、古賀・田代の2名が副代表を務める「日本の家庭を守る地方議員の会」が都議会議事堂において「不適切な性教育教材展示会」を開催しました。

こうした七生養護学校側への非難の高まりを受けて、都教委は9月に「授業内容が不適切である」として授業に使用された教材145点を没収すると共に、当時の校長に対しては「教員の定数について虚偽の報告を行った」等の理由で教諭への降格並びに停職1ヶ月の懲戒処分を命じました。また、授業に関わった教員ら31名に対しては厳重注意処分が下されたが、処分理由はいずれも問題視された授業内容とは直接関係の無いものでありました。

この事件の余波は国政にも及び、自民党は安部晋三を座長、山谷えり子を事務局長とする「過激な性教育・ジェンダーフリー教育実態調査プロジェクトチーム」を二〇〇五年一月に発足させ、五月二十六日には八木秀次らをパネリストに迎え「過激な性教育・ジェンダーフリー教育を考えるシンポジウム&展示会」が開催され、古賀が七生養護学校の性教育授業が中止されるまでの経緯について報告しました。二〇〇六年一月二十四日、東京弁護士会は処分を受けた教員らの人権救済申し立てに基づき、都教委の処分には重大な違法性が認められるとして警告文を送付ました。

二 裁判

元校長は処分の不当性を主張し、処分取り消しを求めて都教委を提訴。二〇〇八年二月二十五日、東京地方裁判所は処分理由である教員定数の虚偽報告について「事実とは認められない」とし、その他の処分理由も重すぎるとして裁量権の乱用を認定、請求を認める判決を言い渡しました。都教委はこの判決を不服として控訴したが、二〇〇九年四月十日の東京高裁判決も一審判決を支持し、都教委側の控訴を棄却。都教委側は更に上告したが、二〇一〇年二月二十三日、最高裁判所第三小法廷もこれを受理しない旨を決定し、元校長に対する処分を取り消す高裁判決が確定しました。

また、元教員および生徒の保護者は、都教委・土屋ら都議3名と授業内容について産経新聞紙面で「過激な性教育」等の見出しで報じた産経新聞社に対して教育現場への不当介入により精神的苦痛を受けたとして約2930万円の損害賠償と没収された教材の返還を要求する訴訟を起こしました。二〇〇九年三月十二日に東京地裁で判決が言い渡され、矢尾渉裁判長は「都議らの行為は政治的な信条に基づき、学校の性教育に介入・干渉するもので、教育の自主性をゆがめる危険がある」として土屋ら3名の視察に際しての発言や行動に問題が有ったと指摘。また、都教委の処分については「教育内容の適否を短期間で判定するのは容易ではなく、いったん制裁的な取り扱いがされれば教員を萎縮させて性教育の発展が阻害されかねない」として裁量権の乱用を認定し、都議3名と都教委に210万円(うち10万円は古賀・田代・土屋に連帯責任)の支払いを命じたが、教材の返還については認められなかった。

 なお、産経新聞社への賠償請求は報道の範囲を逸脱しているとはいえないとして棄却されました。都教委側は判決を不服として控訴したが、東京高等裁判所も二〇一一年九月十六日、一審を支持、控訴を棄却。最高裁判所第1小法廷は二〇一三年一一月二十八日付けで、原告被告双方の上告を棄却。都と三人に控訴審判決額の賠償を命じる判決が確定しました。(ウィキペディア参照)

三 長い裁判の間に

二〇〇三年に「性教育 児童に過激な内容は慎め」において「都内の公立小中学校や養護学校で計十一件の不適切な性教育が行われていた」と指摘し、具体名は挙げていないものの七生養護学校の授業内容を暗に指摘すると共に「事態を重く見た都教育庁は近く調査に乗り出す方針」としており、都議3名の視察に際してもマスメディアとして唯一、記者を帯同させました。

 そのことで、知的障害者の性教育に関してなんとかしなければいけないと前向きに考える教員のすすむ方向をさえぎりました。子どもの実態を考えた教育ではなく、教育委員会のごきげんをとる授業しかできなくなりました。その結果どうでしょう。今ラインなどの通信手段で、裸がみたいと言われれば平気で裸を撮影して相手に送る。プライベートゾーンを簡単に人に見せる物ではないことを具体的に学ぶ場所がなくなりました。

 知的障害者だけではなく、健常者の若者のなかでも自分の全裸を簡単に撮影して送る高校生が増えていることも事実です。裁判に勝利したことは、一歩前進です。この現状をよく考え、教育現場では性教育にしっかりと取り組んでいくべきだと想います。(弥生)案内へ戻る



 行き詰まる"安倍政治" 国民の力で与党と安倍自民党を追い詰めよう!

オスプレイの墜落で軍拡路線の矛盾が露呈し、プーチンとの会談がしょぼく終わって領土主義の限界が見え始め、年金カット法やカジノ推進法の強行採決で多数与党のおごりが鼻につくようになり、福島原発事故処理費用の積み増しで国民の中に「何だよ、こいつ」感が高まっていることが背景にあるのではないかと思います。

自民党の中からポスト安倍、首のすげ替えで延命などの動きが出る前に、何としても国民の力で与党と安倍自民党を追い詰めよう!阿部はるまさ(流山市議)


 障がい者解放をめざす新年に!

昨年に起きた相模原市の障がい者差別思想に基づく大量殺傷事件は、障がい者解放運動に関わってきた僕にとって衝撃的であり、心底から怒りを覚えました。

「障がい者の解放なくして労働者の解放なし」、「労働者の解放なくして障がい者の解放なし!」
今一度「ワークシェアリングとノーマライゼーションの社会変革」を目指して、頑張りたいと思います。(松本誠也)


 深町さんのコメントです。

「およそ論理的知性そしてなによりも、非戦平和、協同、福祉の平等社会の実現にさしたる情勢、粘り強い意志がぜい弱な私は、その存在感はないに等しい。貴誌に目を開かれ、支配者の存り様に人間の歴史は進歩向上はなく、人間性に懐疑不信をもつ。革命は一時的に解放感を生じさせるが、政治の根本は変わらず、不断革命が必見になるが、極めて困難。世界革命、世界連邦の実現は人間が生きている限り、夢か幻にすぎぬとは問答。エゴにとらわれ抜け出せない私の繰りごとです。」


 色鉛筆・・・障害者にやさしい街つくりを

 「十二月一日 駅の中で視覚障害者を原則介助する」という記事を読みました。今まで視覚障害者が駅の中で電車に巻き込まれ亡くなるという悲しい事故が多かったので、ひとつ前進だと想います。

久しぶりに地下鉄に乗りました。電車の扉が、プラットホーム側にもつき、二重扉になり視覚障害者にとっては、とても安全になり良かったなと感じました。視覚障害者がプラットホームに転落死した事故は、これで未然に防げます。今まで亡くなった多くの方も何度も慣れた道のりで、その日はきっと疲れて何か勘違いをしてしまったのかもしれません。電車の乗車はとても神経の使うものです。

視覚障害者は、目が不自由なだけで、それさえ克服できれば、みんなと同じように暮らしていける。私はそう思っています。以前視覚支援学校で勤めていた頃は、頭の中に地図を描けるように、白杖を使った歩行練習をよくしました。点字ブロックはまっすぐの線が「すすめ」丸いドット柄か「とまれ」です。誘導音付き信号も青になれば「カッコ」南北(地域によって違います)と「ピヨピヨ」東西(地域によって違います)がなり、その音をたよりに横断します。しかし、音がいつまでも鳴ってうるさいと苦情があったりして、大分減らされています。じゃあ、何をたよりに横断するかと言えば、車の音の確認と、信号待ちをしているハイヒールを履いている女性のそばにさりげなくいって、車の停車音を確認しながら、ハイヒールの音を拾いながら渡ります。まっすぐに渡るにはものすごく大変なことです。自分の身体がぶつかる前に、白杖が道路の縁にぶつかり、けがから守られます。

点字ブロックも全部の道にありません。白杖をつかい何回も練習し道を覚えるしかありません。ただ、白杖を使用しても防げないことがあります。宅急便やトラックなど、車高の高い車は、白杖が、車の下にすっとはいり、タイヤにぶつからない限りあらかじめ危険は予知できず、顔の位置にあるサイドミラーにいきなりぶつかってしまいます。歩行者通路に止められると大変迷惑なことです。
電車に乗車する練習は、何回も訓練が必要です。電車にはドアと連結部分があります。今まで亡くなった方で多かったのは、間違えて連結部分がドアと勘違いし、乗ろうとした瞬間転落をしてしまうことが多かったです。なぜ、連結部分がドアだと勘違いしてしまうのか、白杖が電車にぶつからないからです。

ドアと連結部分の違いを確認するために、ドアの前で白杖を使用しホームから白杖を上にあげるとドアの下に挟まれて、白杖は止まります。連結部分は白杖が上まで上がります。その違いを毎回必ず確認することが大切です。しかし、二重扉ができたことは、安全が確保され、とてもうれしいです。

また、バスカードの挿入も視覚障害者にとっては、大変なことで、バス会社に事前にお願いして、練習をさせてもらったこともあります。そしてバス会社からもいろいろなことを教えて欲しいと言われ、色々な要望を出しカーブのお知らせや停車場所など、細かいアナウンスをしてくれるようになりました。最近はタッチパネルにバスカードをかざすだけで、以前より簡単に乗車できるようになりました。

視覚障害者も歩行練習を積み重ね、努力していくべきだと思いますが、さらに行政も道の整備など出来る限りのことは、すすめていってほしいと想います。     (弥生)案内へ戻る



 国連安保理   南スーダン制裁決議案を否決 日本は棄権

【毎日新聞】2016年12月24日 00時49分(最終更新 12月24日 00時49分)
【ヨハネスブルク小泉大士】国連安全保障理事会は23日、南スーダンへの武器輸出を禁止する制裁決議案を採決した。理事国15カ国中、採択に必要な9カ国の賛成が得られず、決議案は否決された。
陸上自衛隊を現地の国連平和維持活動(PKO)に派遣する日本は棄権した。制裁が南スーダン政府を刺激し、自衛隊のリスクが高まることを懸念したと受け止められている。

国連の専門家が「民族間の対立がジェノサイド(集団虐殺)に発展する恐れがある」と警告米国のパワー国連大使は武器の流入を食い止める必要があると主張、決議案に慎重な日本の対応を批判していた。
採決では米英仏など7カ国が賛成し、日本、ロシア、中国と、アンゴラなどアフリカ3カ国を含む計8カ国が棄権した。
南スーダンでは、政府軍側が大量の武器を国外から持ち込み大規模戦闘の準備を進めているとの見方も広がっている。

「 ここからコメント」
採決では米英仏など7カ国が賛成し、日本、ロシア、中国と、アンゴラなどアフリカ3カ国を含む計8カ国が棄権した。制裁が南スーダン政府を刺激し、自衛隊のリスクが高まることを懸念したと受け止められている・・。米国のパワー国連大使は武器の流入を食い止める必要があると主張、決議案に慎重な日本の対応を批判していた。・・と毎日は報じています。

米国の大使が「南スーダンへの武器流入の禁止」に熱心なことは驚きです。それでは大殺戮のもう一つの現場、イエメンやイラクではどうなのか!ほぼ見逃しているぞと問いたいところですが。

南スーダンは「新たな中東化」の情勢です。ただ異なるのはこの内戦に介入しているのが、大国というよりもアフリカの近隣諸国とみられていることです。武器はこれらの地域から流れ込み、「政府=キール大統領派」ばかりではなく反政府派やその他の部族にも流れていると考えられています。大規模な内戦が準備されつつあり、ジェノサイドが危惧される状況です。

「安保理の武器輸出禁止」の効力は採択されても疑問ですが、されないよりもましであることは当然です。日本、中国、ロシアなどの棄権でこの程度の合意も得られなかったということが示すのは国連の機能不全という現実かもしれません。日本の棄権は、南スーダン政府に「配慮した」ということになりますが、このような政治選択が反政府側との内紛に複雑な影響を与えるでしょう。日本はほぼ明確に「キール政府側」にポジションをとったということです。「外務省は、NHKの取材に対し「南スーダン政府が反政府勢力との対話などを通して和平に向けた努力を続けている中、制裁を科すよりも、南スーダン政府の取り組みを後押しするほうが効果的だと判断して、決議案の採決を棄権した。」(NHk)と。そのスタンスが反政府側を刺激していることはどうなのか。

いよいよ南スーダンPkО部隊は、「反政府派」との軍事的対決に備えることになりますーー安倍政権の当初よりの願望がそこにあります。PkОによる中立や平和維持活動ということがますます空語になったということでもあります。(イリ)


 南スーダンへの武器の流れを絶とう、 自衛隊を南スーダンから撤退させよう、戦争法を廃止させよ!

日本政府は、国連安保理で採択が目指されている、南スーダンでの紛争激化や民族浄化を懸念しての“南スーダンへの武器輸出禁止決議案”に反対している。ロシアや中国も賛成し、あと1カ国の賛成で採択が可能であるにもかかわらず、日本の安倍が反対している。

安倍政権が、南スーダンの平和や人々の暮らしの再建のためでは無く、「駆けつけ警護」任務を加えた自衛隊派兵を自己目的化しているのだということがよく分かる。安倍にとっては、南スーダンに武器が流れ込み続け、紛争が激化し、民族虐殺が起きようがなにしようが、とにかく武器使用権限を緩和した自衛隊を彼の地に送り込むことの方が重要だというわけだ。

その背景にあるのは、自衛隊の実戦部隊化、日本製兵器の実戦での使用、それを通した国際武器市場へのアピール、アフリカで存在感を高める中国への対抗心、国連で多数の票を持つアフリカで威を示してかねてからの野望である国連常任理事国入りに有利な地歩を築くこと等々だ。対米追随・従属論のドグマだけではすまない、日本の支配層・安倍晋三の独自の狙いがかいまみえる。
...
南スーダンへの武器の流れ込みを絶とう。
自衛隊を南スーダンから撤退させよう。
戦争法を廃止させよう。阿部はるまさfacebook(流山市議)



 安倍政権の秘密主義またもや 南スーダンの"内戦"もみ消すPkО日報の超短期廃棄処分

 PKO部隊の日報廃棄 南スーダン7月の武力衝突 防衛省「目的終えた」【東京新聞】

 アフリカの南スーダン国連平和維持活動(PKO)に参加する陸上自衛隊部隊が、首都ジュバで七月に大規模な武力衝突が発生した際の状況を記録した日報が、廃棄されていたことが分かった。陸自の文書管理規則が定める三年間の保存期間に満たない。治安が悪化する同国でのPKOは派遣要件を満たしていないと疑問視する声が強いが、日報の廃棄でさらに批判が高まる可能性がある。

 南スーダンPKOは半年ごとに部隊が交代しており、七月に活動していたのは十次隊。ジャーナリストの布施祐仁(ゆうじん)氏が情報公開法に基づき、同月七~十二日の日報を九月末、防衛省に開示請求したところ、今月二日付で「既に廃棄しており、保有していなかった」とする通知を受けた。

 陸自は、日報に基づき、後続部隊ヘの教訓をまとめた「教訓要報」を作成しており、当時の現地状況もこの中である程度記載される。しかし、原本に当たる日報が廃棄されてしまえば、治安の実態や自衛隊の行動について国民が正確に把握することが難しくなる。

 東京新聞がしっかりこの問題を報道したことは評価に値するすると思います。報道全文を読んでいただきたいところです。

 それにしても安倍政権下、情報公開は最低レベルへと悪化の一途です。今年七月のーーつまり南スーダンで内戦が発生した時のPkОが何をしていたのか、何ができなかったのか、そもそもその時期南スーダンはどんな事態になっていたのか・・を解明する重要な部隊の日誌を九月には廃棄したというのです。自分たちで定めた「三年間保管」の規則すら踏みにじる超短期廃棄処分でした。都合の悪いことが露見する前に廃棄したと考えるべきでしょう。

 推測はそう難しいことではありません。政府・自衛隊はPkО部隊の基本スタンスとして「キール大統領政権派」を支持することを方針としていると考えられます。このような選択は強い方に着くという安倍政権の便宜主義以外の根拠はありません。当然このような選択にはどんな正当な根拠もないばかりか、政府勢力による大量殺戮を容認する可能性があります。

 実際、キール大統領派がすでに七月には反政府派の部族の追い出しと殺戮を開始しました。彼らは「政府」を名乗りながらもヌエル部族など少数部族の絶滅=ジェノサイドを展開していると国連ですら警告しています。

 さらには、政府と反政府(もともと政権にいた副大統領派)の激しい内戦の真相と、それに対する無力なPkОの実態が露呈することを恐れたのでしょう。今年七月、国連PkО部隊はまるで無力だったのです!

 これらの点は安倍氏や稲田大臣が国会答弁などで必死に隠そうとしてきたことでした。「戦闘はない・・勢力争いだ」云々と中学生でも言えない恥ずかしい言い訳でした。。実態とかけ離れたPkО五原則を無理やりに押しとおすために現実を歪めてきたのでした。だから「PkО部隊日報」はーーもし露呈すればーー安倍政権にとって危険な存在になったのでしょうから九月には廃棄されたのです。

 それにしても安倍政権の「サギをカラスと偽る政治」があまりにものさばりすぎています。安倍政権は「現政府軍」の「支援」というスタンスを強めており、こんな正当な理由もないーーむしろ犯罪的な南スーダン政府を側方支援するPkОとしてーー反政府勢力(部族)との戦闘を準備しているのです。あきらめず継続的に声を広げてゆきましょう。 (山崎)



 現代の命綱・・最賃制度の形骸化を防ごう 大都市圏中心に"最賃"下回る現実

 毎日新聞が全国の労働局と厚生労働省に情報公開請求し、12~16年度の全都道府県のデータを得た。
『 国が定める最低賃金を下回る給与で働く中小企業労働者の比率が、2016年度に東京都と大阪府で5%を超えたことが全国47労働局の調査で分かった。12~15年度の全国平均1.9~2.1%を大幅に上回り、前年度比で東京は3.8倍、大阪は1.4倍に急増。北海道や東北、東海でも3%以上の地域があった。最低賃金は14年連続で伸びているが、賃上げが追いつかず、ルールを無視した低賃金労働がまん延している実態が浮かんだ。』( 毎日新聞 2016年度の最低賃金未満率より)

 歴史的な労働人口の減少に直面している日本は、需給バランスの結果としてやっと賃金が上昇傾向にあります。まかり間違っても安倍政権の功労ではありません。労働者全体としての所得が低迷する中で、「最低賃金」が上がってきたことはもちろん良いことです。

 ところが、中小、零細企業を中心として「最賃」も守られていない現実が明らかになりました。労働基準監督署などが細かく指導することが当面求められています。私もよくわかりますが、パート・非正規労働者からすれば「最賃切り」の実態が固定化するぐらい怖いものはありません。労働者も賃金情報をしっかり把握して、会社に働きかけまたは地域労組などへ相談することなど行動をとることが必要となっています。行動しなければ権利すら蹂躙されるのが資本というものです。(た)

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