ワーカーズ568号 2017/3/1
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第3次嘉手納爆音訴訟 国に301億円賠償命令! 不当にも米軍機差し止め請求は棄却!
米軍嘉手納飛行場の周辺住民2万2048人が、国を相手に夜間・早朝の米軍機飛行差し止めや騒音被害に対する過去、将来分の損害賠償を求めた第3次嘉手納爆音訴訟で、那覇地裁沖縄支部(藤倉徹也裁判長)は2月23日、爆音は受忍限度を超えていると認定し、総額約301億円の損害賠償の支払いを国に命じました。ただ、飛行差し止めの請求について藤倉裁判長は「被告(国)に対して支配の及ばない第三者(米国)の行為の差し止めを請求するものだ」として、棄却しました。原告側は控訴する方針を示しました。
損害賠償算定の基準月額も過去最高水準。うるささ指数(W値)75以上の原告に月額7千円、以後W90以上までW値5増加ごとに6千円を追加しました。W値95以上原告には月額3万5千円の支払いを命じました。将来分の請求は却下しました。2次訴訟で賠償が認められなかった読谷村座喜味以北の原告についても「受忍限度」を超えているとして、賠償を認めました。
判決で藤倉裁判長は、爆音による生活妨害や睡眠妨害などに加え「高血圧症発生の健康上の悪影響のリスク増大も生じている」として原告側が主張していた健康被害の一部を認定しました。難聴や虚血性心疾患のリスク増大などについては「証拠が足りない」として認めませんでした。
1次・2次訴訟で爆音が違法と判断された後も国や米国は抜本的な被害防止策を取らなかったとして「周辺住民に違法な被害が漫然と放置されていると評価されてもやむを得ない」と指摘しました。第3次訴訟は2011年4月に提起され、原告数は2次訴訟(約5500人)の4倍で、全国の基地爆音訴訟で最大です。
静かな夜を返してほしい!
この判決について原告住民は、以下の声をあげています。毎日新聞より。
「異常な騒音だと認めているのに、米軍には何も口を出せないというのが悔しい」、「騒音はかえってひどくなっている」、「国を守るために沖縄は犠牲にされている」、「金の問題ではない」、「静かな夜を返してほしいというのが最低限の願い。3次訴訟で決着しなければ、ずっと続けていく。子供や孫の世代には騒音が、『当たり前』と思ってほしくないから」。
「静かな夜を返してほしい!」という住民の切実な思いは、またしても踏みにじられました。安倍政権は、ことあるごとに「沖縄の負担軽減」と言います。しかし、辺野古をみても高江をみても、今回の嘉手納をみても沖縄の犠牲は増すばかりです。住民の生活が脅かされています。本土に住む私たちは、今こそ沖縄の問題を自らの問題と考え、行動するときです。(河野)
トランプ政権の混迷のさなか加速する安倍政権の軍事的野望
二月十七日、米国国連代表はパレスチナ・イスラエルの「二国家共存」を従来通りに支持すると明言した。この当たり前のニュースが世界を駆け巡ったのは、その前のトランプ大統領とイスラエルのネタニヤフ首相の会談で、トランプが「二国家共存にはこだわらない」と語り、ネタニヤフを大いに喜ばしていたからだ。トランプのこの言葉を聞いて傍にいたネタニアフははばかりもなく大笑いする動画も配信されていた。この政権はどうなっているの?と誰もが不安を感じたはずだ。それゆえ大ニュースとなった。
これはほんの一例でこんなことが多すぎる。恒例の一般教書演説もいまだに予定がないのも、誰も財政や経済を知らない、トランプも経営はともかく経済や財政が分からないからだとの声も出てきたがその様だ。過去の慣例では1月の最終火曜日に一般教書演説が上院下院に対して行われてきた。野心ばかりで大統領になり、ポストを求めて野心家が群がったが、世紀の無能政権であることは確かなようだ。だから政策の一致などもともとなかったので、教書骨格もまとまりようがないのかも。
パレスチナ問題の混乱が露呈する前のことだが、中国と台湾との関係で「一つの中国にはこだわらない」とトランプは主張したが、日米首脳会談前に一転して「一つの中国」を明確にした。これは日本と交渉するのにまずはこの問題を明確にせざるを得ず、急きょスタッフに説得され習近平に親書を書いたものだろう。だがトランプはその意味を理解できず、せっかくの優位な立場を日本との交渉に利用できず日米首脳会談は安倍ペースで事が運ばれた。
さらに「NATOは古臭い」という非難。しかし、新国務長官も国防長官もNATOの意義と結束を呼び掛けて関係者を安堵させた。「NATOの経費増」を欧州に求めてトランプの顔を立てた程度だ。しかし、ドイツの「ツェットデーエフ」によれば、欧州はすでにトランプ政権の外交にーー特に対ロシア政策にーー不信感を抱き始めていると伝えた。。実際、国務長官及び国防長官の発言と、大統領の発言がこれだけ違えば、それも当然だ。
アジア政策でもそうだ。トランプの主要な批判、「日韓は安保ただ乗りしている」ゆえに「駐留経費負担増すべきだ」それができないならと「日米安保の解消」までちらつかせた。日本・韓国に異例な速さで飛んできたマチス新国防長官の目的は中国をけん制することより、日韓の不信感の火消しであり、実質的には謝罪行脚となってしまった。「日本は為替操作国」と言うレッテル張りを一時棚上げしたのも「お詫びの気持ち」なのかもしれない。トランプのディール外交などと持ち上げるマスコミもあるが、実際はトランプ政権は国際的失点を重ね求心力を失いつつある。長年の米国の世界戦略を理解できず、自ら墓穴を掘りつつある。
安全保障担当の大統領補佐官だったフリン氏が辞任し、「チーム・トランプ」が機能を発揮するのかという点にも懸念が出ている。と「ロイター」も書いた。民主党がトランプ閣僚人事に抵抗してきたせいばかりではなく、それだけの理由ではなく人事も混迷のさなかだ。入閣辞退者が出ているのも求心力の陰りだろう。
TPPでもそうだ。オバマや米国多国籍企業の悲願であったTPP。これは農業や自動車の貿易摩擦解消の問題ではない。TPPが経済障壁の撤廃であり、同時に二十一分野での経済の「米国ルール化」なのだ。これはかつてのEECのようなもので、経済の一体化となりそして米国のルールの下での経済統合を展望したものだ。TPP十二か国の経済通商ルールを「米国化する」としても米国企業がすべての分野で覇者になることを保障するものではないが、米国企業に有利であることは間違いない。
これを愚かなーー我々勤労者からすれば哀しむことはなにもないがーートランプが人気取りと選挙のために廃棄した。日米両国資本が、こうした共通土壌で競争しまた連携して、世界市場の制覇に乗り出すという果てしない野望がそこにはあったが、いまでは霧消した。安倍首相はこの事態を日本の製造業にとっての損失と見なしたばかりではなく、日本の安全保障の危機と理解して取り繕いに走っている。しかし、立場の異なる米国多国籍資本、特に製造業の不満は今後増大するだろう、「個別の自由貿易協定では物足りない、TPPに代わるものにはならない」と。。
さいごに安倍首相の動向が、我々には見逃せない。
米国の極東でのプレゼンスが変化しようが変化しまいが、いやむしろトランプ政権の混迷を利用しながら安倍政権が軍備拡張へと加速していることだ。「海自の新型護衛艦、4年間で8隻建造へ=防衛省関係者」(ロイター)によれば新設の防衛装備庁が三菱重工をはじめ計画的に産業を育成しつつ、軍需発注を拡大し空母いずもなどを中心とした和製の「艦隊」編成のために海上自衛隊の新型護衛艦について、2018年度から4年間で8隻建造する方針を固めたという。「ヘリ空母」と言われる「いずも」だが、それにとどまらない。オスプレイもそして垂直離陸も可能なF35Bスティルス戦闘機の搭載も可能とみられる。
現状で米国政権が日本に物言う状態はない。オバマですら安倍のプーチンとの接近を阻止できなかった。トランプ政権は国内的にも「移民禁止令」「メキシコの壁」の挫折に代表されるように、あらゆる政策が中途半端か動き出す準備もおそく無為と混迷を深めている。鳴り物入りのはずの「日米経済対話」も「通商交渉」も、石原伸晃経済再生相いわく「米国側で商務長官も米通商代表部(USTR)代表も決まっておらず、体制が整わない以上こちらは動けないし動くべきでない」と。強固な日米安保条約=日米同盟ではあるが、対中国でのスタンスは微妙に異なってきた。非難もするが政治チャネルも多い米・中に対して、日・中はますます先細りとなり非難合戦ばかりが増大してきた。中国と言えば「軍事的脅威」が日本政府により強調され、軍事的対峙が叫ばれ日本の軍拡を後押ししてきた。トランプ政権の対中国スタンスが明確でない中、日本の安倍政権は日米同盟を土台としつつも独自の軍拡へと突き進むように見える。(六)
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パラダイム・チェンジ(根本的転換)――トランプ時代の対抗軸を考える――
トランプ政権の発足後、さっそく混乱が拡がっている。その混乱の行く末を追うのも一つに課題ではある。が、いま目の前に浮上している課題は、米国など個々の国が抱える問題だけではない。英国のEU離脱や欧州で広く見られる極右の伸張なども、その背景には共通の理由がある。
その主なものはグローバル化の副作用、負の側面の拡がりだろう。EUで極右を押し上げ、米国でトランプ政権を誕生させた要因の一端と対抗策を考えてみたい。
◆国家の復権・逆襲?
EU各国では、極右勢力による各国の移民受け入れ政策への批判や、経済・政治両面でのEUグローバルシステムへの批判が拡がっている。移民の流入が自国民の雇用や社会保障を奪っている、というわけだ。
経済の領域では共通通貨や財政的・金融的な縛りで、個々の国家レベルの裁量が狭められていることへの批判も拡がっている。域内の政策はEU官僚に独占され、個々の国は異議申し立てする手立てもない、というわけだ。
事情は米国でも同じだ。トランプ大統領の旗印は、まず自国の経済的利益第一、自国の雇用第一だ。そのために国境に壁をつくるだとか、海外に転出する企業をやり玉に挙げている。
要するに米国でも、自由貿易や資本の自由化など、進みすぎたグローバル化の負の側面にどう対処するかで、EUと共通しているわけだ。
その共通する理念とはなにか。EUをめぐっては“国家の復権”が言われている。17世紀のウェストファリア体制以後の主権国家を中心とした国際秩序の枠組みが、グローバル化が深まったことで崩されてきた、との見方だ。だから、その解決策は主権国家のEUからの離脱であり、主権国家の復活だというわけだ。
この事情は、米国でも同じだ。トランプ大統領は、国家の復権を大上段に訴えているわけではない。とはいえ、米国第一、移民排斥を掲げてるわけで、主権国家中心の世界秩序を思い描いているという点で、共通する。かつてグローバル化した世界の盟主の地位が当然視されていたことを思えば、米国の相対的衰退を象徴する態度変わりではある。
極右などは、経済のグローバル化を目の敵にするが、とはいっても、経済のグローバル化は今に始まったことではない。歴史上、大きなサイクルを辿りながら何度もピークを迎えてきた。近年の移動・運搬手段の劇的進歩やIT革命などを考えれば、グローバル化の進展は、誰も否定できない歴史的な動きだともいえる。
◆企業天国
もちろん、グローバル化を手放しで評価することは出来ない。特に冷戦終結後に進んだグローバル化は、直接の担い手として企業や資本、それに投機マネーを主人公として進んだからだ。現に、二国間でも多国間でも自由貿易協定や経済・金融協定等では、企業・資本の自由な活動を優先させてきた。
たとえば、企業が資本や工場を、国境を越えて有利な場所に自由に移動できる様にすることで、企業の利益獲得の機会を保証してきた。それに各国は、企業の流出を防ぐために法人税を引き下げ、今でもその引き下げ競争が続いているほどだ。際立つのは、投資協定に関して企業や投資家が不利益を被った場合に、企業が対象国家を国際法で損害賠償を訴えることができるISDS条項だ。
結果的に、多国籍企業などは、その時点で一番利益を出せる場所に工場や拠点をつくることで、巨額の利益を手にしてきた。その利益は、タックス・ヘイブンを通じた税金逃れをはじめとして、国境を股にかけた資金移動を駆使し、利益を自らの懐に溜め込んできた。
一方、企業活動に欠かせない労働力はどういう処遇を受けてきたのだろうか。
労働力を担う生身の労働者は生活者でもある。企業や資金の様に、今日はEU、明日はアジア、次の日は米国に移動して働く、といった芸当は不可能だ。
それまで大企業の工場があった地域では雇用も確保され、労働者の生活もそれなりに安定していた。が、大きな工場やその関連会社が外国へ移転した場合はどうか。その企業で働く労働者の大多数が、工場の移転に伴って外国に出かけていく、などということはまず出来ない。その場で失業し、新たな雇用を求めてさまようことになる。一方で、新たに工場が進出した地位では、その逆のことが起こる。
要は、企業側からすれば、その時点で一番有利な場所で企業活動を行うことで、最大の利益を出し、労働者は失業者が出る地域と新たな雇用が生まれる地域の両極端が発生する。これがグローバル化の現実なのだ。だから、グローバル化で最大の利益を得るのは決まって企業の側、労働者は失業と新たな雇用に分断される。
いま世界を席巻しているナショナリズムのうねりは、こうしたグローバリにズムのひずみに対する大衆的な反乱に他ならない。ただし、それが真の解決に繋がるかといえば、それはノーだろう。
◆グローバル化の毒素
ところで、混乱が続いているとはいえ、米国でのトランプ人気も根強いようだ。波及する形で、EUでもフランスの「国民戦線」やドイツの「国民のための選択肢」など極右勢力も勢いづいている。欧州極右やトランプ政権の政策を批判することは可能だが、まず、トランプや極右を押し上げてきた支持者の姿を捉えることが必要だろう。
米国ではどうだろうか。大統領選では、トランプ候補による暴論や醜聞が発覚する事に一旦は支持率が下がったが、そのつど盛り返してきた。それだけ既存システムや既得権益層に対するラストベルト地帯の白人ブルーカラー層をはじめとした“見捨てられた人々”の不満や怒りが拡がっていたのだろう。
欧州でも事情は似たり寄ったりだ。欧州極右が真っ先に掲げるのは、移民排斥、自国最優先のナショナリズムだ。若者の失業や低迷する生活などの対する不満の矛先が中東やアフリカなどから流入する移民に向けられているわけだ。
雇用破壊や社会保障の負担増などの原因は、実際には移民が原因ではない。企業利益第一で世界を席巻する多国籍企業や投機マネーによって、労働者がつくりだした富の多くを多国籍企業や富裕層が独占してきたことが、最大の原因なのだ。
ただ、生活者としての労働者が直接目にするのは、閉鎖された工場であり、移民の増加などによる失業であり、社会保障給付の増大などによる税負担の重さなどだ。だから普通の労働者にとって、移民の増大が自分たちの生活を脅かす原因なのだと見えるし、ナショナリズムというイデオロギーによってそう見るようにし向けられているのだ。
◆ウォール街の逆襲
「米国第一」をかかげ、雇用・雇用、まず雇用ありきだ、とするトランプ政権。だがトランプ政権が実施すると明言している政策はどのようなものなのだろうか。
トランプ大統領は、就任後に矢継ぎ早の大統領令を発している。中東7カ国からの入国一時的禁止令などだ。また「メキシコとの国境に壁をつくる」というのもそうだ。
これらの大統領令は、公約の実現力を示したい新任大統領としてのパフォーマンスの面もある。だからインパクト優先の大統領令を巡って身内からも批判が出たり、諸外国を巻き込んで混乱が拡がっている有様だ。
ここでは、トランプ政権がやろうとしている経済・財政政策に目を向けてみたい。
トランプが大統領選で掲げ、また就任後に手を付け始めたものは、次の様なものだ。
国境税(輸入品関税の引き上げ)、TPPやNAFTAからの離脱、所得税の大幅減税、巨額のインフラ投資、金融規制の緩和、エネ
ルギー産業へのテコ入れ、最新鋭のミサイル防衛システムの構築、環境規制の緩和などだ。
こうした政策を一瞥すれば、確かに目先の雇用創設につながる面はある。が、それはインフラ産業やエネルギー産業への通商的・財政的テコ入れ、金融業界への支援などの結果として想定されるものでしかない。ノーベル賞経済学者のクルーグマンも、トランプ政権で消費者は再び金融業界の餌食になる、と警鐘を鳴らしているほどだ(2月10日「朝日」)。リーマンショックなど金融危機をきっかけにして2010年に制定された金融規制強化法(ドッド・フランク法)緩和で、消費者が金融機関にまたまた収奪されるというわけだ。現にトランプ政権の経済閣僚などには、投資家やウォール街出身者が就任しているのだ。“国家の逆襲”ではなく“ウォール街の逆襲”が始まったのだ。
◆パラダイムチェンジ
こうしたトランプ政権の経済・交易・財政政策を見る時、アベノミクスとの相似を思わずにはいられない。アベノミクスも、富が上層からしたたり落ちてくるという、ありもしない“トリクルダウン”を掲げながら、実際には「企業が世界で一番活躍しやすい国にする」として大企業最優先の政策を推し進めてきたからだ。そのアベノミクスのほころびが誰の目にも隠せなくなっているのが、現在の日本だ。
トランプの米国も、「米国第一」「国境に壁を」などという大衆受けするスローガンを掲げてはいるが、それが本当に米国経済の復権、米国人の雇用拡大や生活レベルの底上げにつながることはないだろう。結局は、トランプ政権の行く末は、核兵器システムの再構築や金融規制の緩和などで、軍産複合体やウオール街を潤すだけで、破綻したアベノミクスの後追いになるだけだろう。
移民排斥、自国第一は、現代のラッダイト運動ともいえる。特徴は、グローバリゼーションへの直情的対応だ。これらの反乱には、危険な兆候とともに積極的な意義も内包している。悪いばかりではないのだ。ただし、パラダイムチェンジ(根本的転換)が必要だ。
グローバル化に対抗する主権国家の復権や国境の壁の再構築ではなく、収奪と格差を深めたグローバル化に対する働く者のインターナショナリズムという対抗関係で受け止め、それを労働者の国境を越えた共同行動で解決する、というものだ。米国で始まった“オキュパイ運動”など、すでに土台はある。攻防の土俵を設定し直すこと、パラダイムチェンジが大きな課題であり、それこそが本当の解決策への道なのだ。
手始めは、金融取引税の導入や、働く者が世界で声を上げることで可能になる多国籍企業や投機マネーに対するグローバル規制の強化だ。(廣)
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トランプとの闘いは「労働者ナショナリズム」でなく「国際連帯」を!
アメリカ大統領選挙でトランプが勝利してから、全米でまた世界各地で「反トランプ」「移民排斥反対」のデモが起きています。トランプの政策は、「メキシコ国境に壁を作る!」「イスラム系の入国禁止」といった排外主義を煽っているのですから、これに対する抗議がまきおこるのは当然です。
ただし、ここで考えなければならない問題があります。それは、トランプを支持したのがアメリカの白人ブルーカラー層であるということです。労働者が「インターナショナリズム」ではなく「ナショナリズム」に傾いている、この問題を考えなければなりません。
ブルーカラーが一様に危機意識を持っているのは「グローバリゼーション」によって「雇用が奪われている」という現実です。「産業の空洞化」つまり工場の海外(メキシコなど)への移転によって、雇用が奪われているというのです。
このことと、「移民が雇用を奪っている」のではないか?という事とは次元が異なるのですが、両者が同一視されて重なり合っているといえるかもしれません。デトロイトの自動車産業に働く白人ブルーカラーの雇用を奪っているのは、「移民労働者」でないことは明らかです。資本が安い労働力を求めて、海外に進出しているからです。
ところで、資本が海外で安い労働者を搾取しているという現実は、本来は労働者の「インターナショナル」な連帯の必要性を示しているはずです。アメリカの白人労働者とメキシコの低賃金労働者が、連帯して資本の搾取と闘っていくべきなのです。
ここには、労働者の政治的闘いが、この間「階級性」を失い、労働者的なインターナショナリズムの変わりに、ブルジョア的なグローバリゼーションに追随してきたことの反動という面があるのではないでしょうか?
「EU」が、国民国家の枠を超えた「ポスト・ナショナリズム」の地平を切り開くはずと、社会民主主義者は説明してきました。ところが、労働者の階級的闘いが疎かにされ、「ポストナショナリズム」の内実から、労働者インターナショナリズムが薄まり、いつのまにか資本家のグローバリゼーションの尻尾になりさがっていたのです。
ここから、労働者の反乱は「グローバリゼーション」への反乱という形を取ったのですが、必ずしも「資本への反乱」ではなく、「労働者ナショナリズム」への回帰となってしまっているのです。そこからは、「労働者民族主義」まで、ほんの数歩です。
「反グローバリゼーション」の闘いは、「労働者ナショナリズム」にしがみつくのではなく、「労働者インターナショナリズム」の内実を獲得しなければならないでしょう。EU発足当時、ベルギーのブリュッセルからスタートした「反失業ヨーロッパ大行進」が、ヨーロッパ全土を駆け巡ったように。今こそ、アメリカの白人ブルーカラーとメキシコの低賃金労働者の連帯を視野に、「全世界労働者大行進」に立ち上がるべきです。(松本誠也)
読書室 吉田 敏浩氏著『「日米合同委員会」の研究 謎の権力構造の正体に迫る』 創元社刊
誰もが感じている在日米軍の巨大な特権は、実は国内法上の法的根拠が全く存在せず、日米地位協定にも法的な根拠が明記されていないとの衝撃の事実が初めて暴露された!!
本書は創元社が社運をかけて刊行している「戦後再発見」双書の中の極めて重要な一冊である。刊行されたのは昨年12月20日であるが、出版不況のただ中にある今年の2月には既に3刷りと極めて好調な売れ行きである。
私は本書の売れ行きに注目している。なぜなら「日米合同委員会」に対する認識こそは、まさに日本人政治的な覚醒のバロメーターになるとの判断からである。
本書の「はじめに」において、著者は「日米合同委員会で合意さえすれば、……巨大な特権を米軍にあたえることができるという裏の仕組みがつくられているのです。もちろんその密約文書(合意文書)は非公開とされています」との端的にその核心を指摘している。
本書の構成を紹介しておけば、PART1が約九十頁ある総論であり、PART2以下PART5までが各論である。それ故紙面の関係からPART1について詳論していくことにする。
東京都港区南麻布四丁目に「ニューサンノー米軍センター」がある。通称はニュー山王ホテル。米軍関係者専用の高級宿泊施設兼会議場であり、立ち入り禁止の厳重な警備は銃を携帯する日本人が行っている。これら警備員はなぜ銃の携帯が許可されているのか。
ここを会場として隔週木曜日、つまり月二回アメリカの高級軍人と日本のエリート官僚が日米地位協定の具体的な運用を協議する機関が、本書が取り上げた日米合同委員会である。その位置づけは日米地位協定第二五条に基づいている。その発足は、一九五二年四月二八日に対日講和条約・日米安保条約等が発効したことによる。
米側代表は在日米軍司令部副司令官であり、代表代理は在日米大使館公使、在日米軍司令部第五部長、在日米陸軍司令部参謀長、在日米空軍司令部副司令官、在日米海軍司令部参謀長、在日海兵隊基地司令部参謀長の6名。日本側代表は外務省北米局長であり、法務省大臣官房長、農林水産省経営局長、防衛省地方協力局長、外務省北米局参事官、財務省大臣官房審議官の5名。つまり米側7名、日本側6名の合計13名で、日本側は多数決では負ける立場にある。そしてその下に分科委員会や部会が下部組織として存在している。
この人的構成から推察されるように、本来は立場が違うはずの軍人と文官の組み合わせなので米側は常に軍事的観点・軍事的必要性に基づく要求を出す。つまり米軍基地の運営や訓練など、ありとあらゆる軍事活動を円滑に行うことを最優先とする。日本側は受け入れることが中心となる。
発足以来、今までに一六00回開催されたが、そこでどんな合意があったかは議事録が非公開のため正確には不明である。最近になり、米側で秘密文書が徐々に公開されたことによりこうした日米合同委員会を論じた本が書けるようになったのである。
本書を読んだことで私は、米軍が米国務省や在日米大使館の口出しすら許さない「きわめて異常」な日米合同委員会の構成と協議方式に執着・固執していることを知った。
在日米軍は会議をメンバー以外入れない密室で行い、議題すらも作成する。そして議事録や合意文書すら非公開にし、当たり障りのない合意の概要のみ外務省のホームページで「日米地位協定各条及び環境補足協定に関する日米合同委員会合意」として日本語仮訳で載せるだけだ。情報公開請求にも悉く不開示で答え、非公開の根拠文書すら秘密とする徹底ぶりだ。
まさに合同委員会は秘密主義で密約の温床だ。本書はこの秘密に迫ったものである。
これ以降は、公開された機密文書により具体的に論点を提示して論じるが省略する。
では「PART1 日米合同委員会とは何か」の小見出しを、全部詳しく紹介してみる。
銃を持った日本人警備員のいる都心の米軍基地
日本のエリート官僚とアメリカの高級軍人が集う合同委員会
米軍の軍事的要求を最優先にして協議
日米合同委員会について大使館の口出しを許さない米軍部
現在までに1600回以上開かれている日米合同委員会
密室での協議方式、議題はどのように決まるのか
アメリカ側が議題のメモランダムを作成する手順
非公開の日米合同委員会文書
非公開の根拠となる文書も秘密
日米合同委員会の秘密主義は密約の温床
その隠された姿に、政府の秘密資料を通じて迫る
米軍関係者の犯罪については「裁判権放棄密約」が結ばれている
日米秘密交渉の記録
密約の成立へ
「部外秘」扱いの非公開議事録として密約を結んだ
日本政府中枢に密約履行を迫るアメリカ大使
外務省文書調査と密約否定の情報操作
密約の存在と有効性を示す在日米軍法務官
密約と法務省刑事局の秘密実務資料
きわめて低い米兵犯罪の起訴率
米軍人・軍属被疑者の身柄引き渡しの密約
米軍の軍事的な都合を優先させる合意事項
法律の規定と矛盾する密約
密約が法律を超えて運用されている
米軍優位を絶対化する密約
「その隠された姿に、政府の秘密資料を通じて迫る」以降は、本当に私たちが驚かされる事実が次々と極めて具体的に暴露されたものとなっている。日本人の政治意識を覚醒させるためには必要不可欠の基本的な原論の位置にある。ぜひ皆様の熟読を期待したい。
続く「PART2 なぜ日本の空は、いまでも米軍に支配されているのか」では、吉田氏によって「横田空域」-目に見えない空の壁、「横田空域」の法的根拠を開示しない日本政府が的確に批判されている。
そして「PART3日本占領管理はどのようにして継続したのか――『占領管理法体系』から『安保法体系』へ」では、占領時代の米軍特権を継続するため、「合法化」し「政治的装置」として誕生した安保法体系の秘密が吉田氏によつて徹底して暴かれている。
このPART3の最後の小見出しは、「アメリカによる『日本占領管理』は終わったといえるか」である。何とも象徴的な小見出しではないか。勿論、答えは疑問だである。
さらに「PART4 最高裁にもあった裏マニュアル」と「PART5 密室の協議はこうしておこなわれる―富士演習場をめぐる密約」と続く。
これらの箇所を読んでみると日本国家の本質がよく分かる。日本は憲法の上に日米地位協定や更にその上にある密約によって完全にがんじがらめに縛られた国家なのである。
ぜひ皆様の今月の必読書となるように希望している。(直木)
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読書感想文 『アソシエーション革命宣言 【協同社会の理論と展望】』2010年 3月15日初版 社会評論社 2,484円
「書評」というのは少しおこがましいので、「読書感想文」としました。
まず、これはタイトルの通り、革命の書であるという事が、大切な点だと思います。研究だけでなく、また評論だけではなくて労働者階級が行く方向を指し示したものであるという事です。私自身はこの書に依り、アソシエーション社会のイメージ、アソシエーション革命の意味や意義やある程度の必然性を理解する事が出来ました。
飯島さんは控えめに「以上、アソシエーション革命とはどういうものか、あるいはその社会はどんな社会だろうか、ということについて、私なりの理解と解釈を綴ってきた。もとより、これでアソシエーション革命の必然性や必要性を語り尽せたものではない。紙数の関係もあって組み込めなかったが、マルクスがその中からアソシエーショ革命の必然性を導き出すはずだった共同体研究も取り上げたかった。また、これもマルクスが当然視していた世界革命、すなわち地球規模での労働者による共同行動としてのアソシエーション革命の可能性・現実性についても同じである。」(P99)と書いています。確かにアソシエーション革命の可能性・現実性について「残された研究課題も多岐にわたる」でしょうが、この書は、素晴らしい問題提起をしていると思います。更に、それらに対する「多くの人との共同作業」を提起していますが、この書は、その礎となるものだと感じています。
さて、私はこの書を読んで、完全に打ちのめされ事があります。自分も著者の皆さんと同じ過去を持つ者で、ソ連や東欧諸国は社会主義ではなくて、国家資本主義と考えてきました。ですので、私は、ソ連や東欧のいわゆる「社会主義国」の崩壊についても、冷静に見ていました。しかし、それでも社会主義とは、国有化と計画経済だと思っていました。ただ、悪いのは支配層であり、そこを挿げ替えれば社会主義の実現は、近いと思っていました。(でも、実際に起こったのは「社会主義」=国家資本主義から通常の資本主義への移行でした。)
ところで、今では、スーパーコンピューターも有り、インターネットで世界が繋がり、売り上げもPOS等のシステムで即座に把握出来ます。そうであれば、例えば生産物を仮に靴下としてみて、1年間にSサイズ、Mサイズ、Lサイズ及びLLサイズは各何足必要である、それぞれのサイズに布がこれだけ必要だから、そのための糸はこれこれ必要で、その原料となる綿花はこれこれ必要で、そうなると綿花をこれだけ輸入し、どこそこの工場でこれを布として、これをどこそこの工場に搬送し、そのためのトラックが何台必要で、そうなるとガソリンが何リットル必要で・・・
ああ!実際は無理ですね!!分かんないですね!!!それと色や柄の好みはどうなるんですかね?一色や一柄のみで本当に「豊かな生活」になるのでしょうかね?
ではなくて、飯島さんはⅠ「協同組合の連合社会」の中で、マルクスの理論やパリコミューンやロシア革命の経験そして教訓の中で、社会主義とは決して、国有化・計画経済ではない事を明らかにしています。結論的には、社会主義とは協同組合が生産設備を所有し、その労働者がそれらを共同で占有するというものです。生産の調整は、協同組合間やその連合体やそれらの連合体間で行われるというものです。
では、どうするのでしょうか?実は、現在の資本主義社会でも、例えばポスシステムの普及等である程度の消費動向やそれに基づく生産調整がシステム化されています。また、現在のスーパーマーケットやホームセンター等は、消費という点では消費者の利便性に大きく役割を担っています。社会主義での生産及び消費は、資本主義の達成したこれらの成果を基礎に行われるのです。
そして、社会主義でも生産と消費のかい離は、一定程度は致し方がないのです。しかし、それに伴う解決方法が資本主義とは根本的に異なります。その事で、感動しましたのがⅠの第3章の【3】「倒産・失業に変わって労働時間が短縮される」というところです。引用します。「資本制社会であれば、そうした生産性の低い工場は、倒産する事になり、労働者は失業に追いやられる。いわば市場の競争で淘汰されることになる。が、それらと違って‘労働時間制社会’では、淘汰された工場は別の製品を作る工場に再編される。あるいは、製品総体が充足しているとすれば、そこの労働者は他の工場に配転されるなりして、その産業、やがては全産業の労働時間が短縮される。いわば、資本制社会での不均衡が倒産・失業をもたらすのに対して、‘労働時間制社会’での不均衡は労働時間の短縮をもたらすのである。」(P85~86)同趣旨の内容はP89にもあります。
この本を読んでいて、筆者の皆さんの人間に対する底抜けの「楽観主義」(Y・Kの勝手な命名です。)が嬉しかったです。この「楽観主義」は、人間への讃歌ですし人間への信頼でもあります。人間性、それは他者への共感や思いやりというものですが、人類の100万年の歴史の中で培われて来たものであり、階級社会、特に資本主義社会での利己的、他者排除的な歴史はほんの数千年~数百年である事、さらにこういう社会であってもの人間の本性として、他者への思いやり(例えば大震災での相互の助け合いやボランテイア活動)は決して荒んでいない事等を歴史的に解き明かしています。特にⅡの阿部さんの「われわれはどこから来てどこへ行くのか」は、その解明の為のものですが、他の筆者の皆さんもそれを共有しています。
更に、所有と占有、更に共有の概念を解きほぐし、今までの所有概念を批判しています。清野さんがⅢ「協同社会の所有と占有」で、主題的に論じています。また、所有と占有が明確にされないままに『資本論』が誤訳されて来たところを紹介します。マルクスは、私的所有の廃止とは言っていません、「廃止」は誤訳です、「揚棄」が正しいのです、それをマルクスは「全生産手段の共同占有の基礎の上に個人的所有を再建する」としています、というところです。(P226~230)
感想をまとめます。この本は私の様に、自分では「公認のマルクス主義」やいわゆる「社会主義」に疑問を持っていても、実は硬直した頭でそう考えていた人達に対する啓蒙の書だと思います。私は、国有化と計画経済でガツンとやられました。そして、当然ですが、社会主義を目指す人達に、絶対にお薦めの本です。 2017年 2月17日 Y・K
「エイジの沖縄通信」(NO.36)・・・「辺野古で、今何がおきているのか?」
安倍政権は、口では「沖縄に寄りそう」とか「沖縄の声を聞き」などと言うが、実際は沖縄の民意をまったく無視するどころか、沖縄防衛局や本土機動隊や海上保安庁などの官庁権力を総動員し、さらに民間警備会社(アルソック)の警備員を投入し、辺野古工事の主体は本土企業の大成建設。埋め立て取消訴訟裁判で翁長知事をたたいたのは司法・裁判所。山城博治さんなどを不当逮捕し不当勾留しているのも司法・裁判所。安倍政権は国家権力を総動員して言うことを聞かずに刃向かう沖縄を押しつぶそうとしている。
一体、この国に「地方自治」が存在するのか?これが「法治国家」のやることなのか?
1.辺野古の海上本体工事に着手する!
2月6日(月)午前、沖縄防衛局は海上の本体工事に着手した。
前日に、名護市大浦湾の臨時制限区域に到着した作業船(大型コンクリートブロックを積んだ台船と大型ブロックを海に投下するクレーン船)が作業を開始した。
ところが、次々にとんでもない作業を始めており、この作業でも私たちの生活を守る莫大な税金が浪費されようとしている。
①「尖った鉄棒」を付けたフロートが登場。
この作業船の到着前に行われていた作業が、臨時制限区域に沿ったフロートを張り出す 作業であった。ところが、なんとカヌー隊の突入を阻止するために「尖った鉄棒にロー プを繋げ網も張った」フロートが登場したのである。(写真①と②)
②海上ボーリング調査再開という不可思議。
昨年のボーリング調査で、調査必要の24カ所のうち23カ所が終了し、残る調査カ所 はたった1カ所であった。
ところが、今回のボーリング調査に国内最大級と言われる大型掘削調査船「ポセイドン 1」(写真③)が投入され、13カ所をボーリング調査すると言う。
どうも昨年のボーリング調査に不備があったようだ。大浦湾の海底地盤(石灰岩地帯) に空洞があるとのことで、そこを再調査するようだ。
③汚濁防止膜設置のための大型コンクリートブロックの投下作業。
「汚濁防止膜」とは、埋立土砂を投入した時海に土砂が拡散しないように防止するカー テンのようなものである。この「汚濁防止膜」を固定するための重り(ブロック)を 海に投下する。(写真④)
昨年のボーリング調査でも、大型の45トンもあるブロックが投下され、「大浦湾のサ ンゴ」が破壊され大問題になった。今回のコンクリートブロック(約15トン前後)は の数は、なんと合計228個である。(写真⑤)
このままブロック投下が進めば、当然「大浦湾のサンゴ」は崩壊する。
2.陸上部でも工事が始まる。
米軍キャンプ・シュワブ基地の陸上部で進められている関連施設の建設に絡み、沖縄防衛局は工事加速のために「生コンクリートプラント」(製造機)の建設に着手した。
キャンプ・シュワブ基地内では兵舎や施設の建て替えで大量の生コンが必要になるので、大型生コン車が出入りしていたが、辺野古の新基地建設に反対する県民は、毎日ゲート前に座り込み工事車両の進入を阻止している。
工事に必要な生コン車が出入り出来ず、生コンが固まって使えなくなる事態が続いていたので、沖縄防衛局は強引に基地内に「生コンプラント」の建設に踏み出した。基地の中で、「生コン」工場を作ろうと言う訳である。
県は、基地内で埋め立てに必要な資材が準備される懸念があるとして「生コンプラント」の建設には当然反対している。
次の陸上部工事のポイントは、土砂を投下するダンプを通すための「工事用仮設道路」の造成になる。
しかし一体この辺野古新基地を建設する費用(私たちの税金)はいくらかかるのか?政府は明らかにしていない。米軍関係者は「3兆円程度は必要になるだろう」と述べている。これまでの政府の辺野古建設費用(税金)の使い方は、まさに「湯水の如く」である。
フクシマの原発事故処理(廃炉費用も含め)にかかる費用(税金)も、これまた天文学的な金額になると指摘されている。
このままでは米軍基地と原発で、国は滅びると言える。(富田 英司)
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コラムの窓・・・「イノセンス・プロジェクト」
最近は何でも横文字で、解らないことばかりで、聞くのも何だからとそのままにしてしまうことがふえました。そこで「イノセンス・プロジェクト」ですが、これは米国で1990年代から始まった無料の組織的な冤罪救済活動のことなので、横文字なのは仕方のないところです。
この活動が日本でも取り組まれることになり、昨年4月1日「冤罪救済センター」が開設されたのです。この団体の副代表をしている笹倉香奈甲南大学教授の講演を聞く機会がありました。そうだよね、という思いです。
米国ではこれまでに1800人を超える冤罪被害が晴らされ、そのなかでDNA鑑定によるものが340人以上、何と死刑確定者が156人も救済されているのです。この数字からは犯罪捜査の杜撰さ、裁判のいい加減さがあふれだしています。
笹倉さんはその冤罪の被害者は黒人男性が多く、「誤った目撃証言」「誤った科学鑑定」「司法取引での情報提供」などによるとしています。こうした現状から、米国では刑事司法改革が進行中で、「目撃者の識別手続きや取り調べの録音録画、司法取引の手続きや科学的捜査の改革などが進んだ」そうです。
また、「死刑や拘禁刑が確定した人にDNA型鑑定の機会を保障する連邦法ができたり、各州でも死刑廃止が進んだ」と指摘されました。翻って、日本はどうでしょう。DNA再鑑定で劇的な再審無罪を勝ち取ったのは足利事件の菅谷利和さんですが、検察は不利な捜査情報を隠す犯罪を行って恥じないのです。
獄中48年の死刑囚袴田巌さんは釈放されていますが、検察が抵抗していまだ再審は始まらないし、獄中31年7ヶ月の狭山事件・石川一雄さんは無期懲役で仮釈放となり再審請求中ですが、検察が証拠の全面開示に抵抗し続けています。冤罪救済センターの積極的な活動が求められるところです。
日本の刑事司法の非常識は23日にも及ぶ身体拘束、長時間の取り調べ、自白の強要などがあります。鳴り物入りで行われた刑事司法改革についても、笹倉さんは次のように述べています。
「冤罪を生まない改革というより、捜査手法の拡大が目につきます。供述に依存した捜査や立証の改革を目指して始まったのに、司法取引の導入など、供述を取るための新たな手法を認める改革になりました」
結局、何かのはずみ(たまたま監視カメラに映っていたとか)で〝容疑者〟とされてしまったら、もう逃げられないのがこの国の現状です。マスコミは実名で私生活を暴く犯人視報道、人々はその報道を鵜呑みにして〝自白〟を要求し、裁判員制度によって重罰化、死刑判決が続きます。これでは、冤罪はなくなりません。
明日は我が身ではありませんが、わたしやあなたが冤罪の蜘蛛の糸の餌食なるかもしれないのです。なにしろ、目の前に共謀罪などという新兵器も控えているのですから。(晴)
何でも紹介・・・ 義経・弁慶に由来する瀬見温泉
山形県もがみ温泉郷にある瀬見温泉に、仙台から「リゾートみのり」に乗っていってきました。「リゾートみのり」は、仙台~新庄間(東北本線、陸羽東線)を中心に運行しています。瀬見温泉駅までは、約三時間かかります。陸羽東線は、別名「奥の細道・湯けむりライン」とよばれ、温泉が七つあります。三二〇年前に、松尾芭蕉も歩いた経路です。冬は雪景色、秋は紅葉が美しく、ほとんど田んぼの中を走っているので、田んぼの四季の移り変わりも楽しめます。
陸羽東線の境田駅前には、太平洋と日本海に別れる分水嶺があります。東側(宮城県)は江合川、旧北上川を経て一一六キロメートルを下り、宮城県石巻市の太平洋に、西は小国川、最上川を経て一○二キロメートルを下ると山形県酒田市の日本海へ注ぎます。平坦な場所にある分水嶺は全国的にも珍しく、東西の海へと別れる分岐点を目の前に見ることができます。
今の時期の瀬見温泉は雪深いです。しんしんと雪が降り続いています。外での農作物は何もとれないです。朝の連続ドラマ小説 おしんの里にも近い場所です。食べるものが足りなく、子ども減らしのために、奉公にだされ、小学校にもいけずに生き抜いた女性の話です。子どもの貧困は、今のあまりかわっていないとは思いますが。
瀬見温泉には、義経・弁慶に関する伝説が数多く残っています。
室町時代に書かれたとされる、「義経記」によりますと、兄 源頼朝の追っ手を逃れ、岩手県平泉に向かう途中、文治三(一一八七)に、最上地域を通ったとされています。なかでも瀬見温泉周辺には、義経の子「亀若丸」の誕生に加護があったとされる子安観音や弁慶の笈掛け桜といった義経主従にまつわる数々の伝説、旧跡が残されています。
悲劇の武将として伝えられる義経に哀れみと親しみを感じ、各地に伝説が残ったのではないかと思います。
毎日、いろいろなニュースが飛び交い、不安な気持ちを抱えながら、そして時間外労働にも耐えて働き、疲れやすい世の中ですね。いろいろな歴史を振り返りながら、温泉に入って、たまには一休みも良い物です。(宮城 弥生)
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読者からの手紙・・・ 「プレミアムフライデー(PF)」は誰の為のものか?!
毎月末の金曜日の仕事を午後3時に切り上げることを薦める「プレミアムフライデー(PF)」が2月24日から実施された。
「働き方改革」の一環として、長時間労働の是正と消費拡大にもなるとして官民の取り組みなのだが、マスコミ報道では、小売りや旅行業界は、新たな消費を取り込むチャンスと見て、様々なサービスを用意し、大手百貨店では、仕事帰りに立ち寄ってもらおうと、イベントや割引サービスなどを実施。居酒屋チェーンでは開店時間を早めたりする動きもあり、旅行会社は、金曜夕に出発する専用プランなどを販売していると、長時間労働の是正や残業の削減というより、消費の拡大に期待を持ったものとして「プレミアムフライデー(PF)」を見ているようだ。
そもそもこの構想の発端は、昨年初めの経済財政諮問会議で、民間議員が「全国規模のセールで消費拡大を促す」と提案したことだった。米国のクリスマス商戦の開始日で、小売業界が黒字になることから名付けられた「ブラックフライデー」などが例示され、訪日客の取り込みも念頭に置かれていた。
「プレミアムフライデー(PF)」のねらいは「生活スタイルの変革」「コミュニティーの機能強化」「デフレ的傾向を変えていくきっかけ」など、様々な要素が盛りだくさんなのだが、資本=「企業」の利益確保のための「消費拡大」が主要目的であるということなのだ。
長時間労働の是正はその為の付け足し的なもので、開始当初は、余力のある一部の大企業の試みだけにとどまっているし、裾野の広がりということでは、残業規制での過労死基準に基づく政府原案では残業が減って労働軽減がなされるとはいえないし、賃金についても、2年連続で賃上げがなされてはいるが、非正規雇用の増加で実質賃金は下がっており、消費の減速はその結果ともいえる状況下では期待は持てないのが現状である。
「月末の金曜」に注目するあまり、他の曜日に仕事が積み上がったり、個人の都合に合わせた休みがとりにくくなったりする可能性がある以上「プレミアムフライデー」は労働者にとっては「夢ごと」であり、他人事のように思われても仕方あるまい。?!
資本の代表である安倍自民党政府と企業主導の「働き方改革」では企業目的が最優先されて、労働者の要求は二の次なのだ。
だからこそ、自立した労働者の積極的な要求活動が、労働者の生活の安定と未来を築いていける唯一の活動であることを主張し、政府や財界主導の「働き方改革」に頼るのではなく、働くものの要求として勝ち取らなければならないのであり、共に活動することを訴えるのみである。(M)
「再審を実現し、袴田さんに無罪を!」
2014年3月、静岡地裁による再審開始決定と同時に48年ぶりに身柄を釈放された袴田巌さん。
3年近くたつ今も、検察による抗告、引き延ばしにより再審の扉は開かず「確定死刑囚」のままだ。33年以上にも及ぶ獄中での「死刑の恐怖と隣り合わせの日々」は、現実を打ち消すことでしか乗り越えられなかったはずで、今もなお拘禁による深い心の傷は癒えない。現在姉の秀子さんの家で暮らすも、姉と言葉では認めない。無実の罪で死刑を言い渡される・・・その絶望、怒り、恐怖は想像をはるかに超える。
去る1月29日『無実の袴田さんに無罪判決を!清水集会』に、袴田さん自身が約3年ぶりに出席した。日々の散歩で日焼けした顔、粋な帽子と上着を着た巌さんが80歳とは思えないしっかりとした足取りで入ってくると、会場は暖かい拍手で一杯になった。マイクを持つと、「ハワイのバッキンガム宮殿・・・」等私たちには理解しがたい言葉が続く。隣りで秀子さんが笑顔で見守るも、途中でやんわりと止め替わってマイクを握った。
「今日は清水で集会があるから行こうと誘うと『九州へ行きたい』と言うので、じゃあ九州の清水に行こうと連れてきました。」との言葉に会場は笑いに包まれる。巌さんは最近、日にちや時間を気にする様になり、表情も柔らかく豊かになったという。この日会場の外で、将棋をさして過ごす(相当な腕前とのこと)。
今までの秀子さんは「何十年も待った。2年や3年どうってこと無い。」と気丈に話していたが、この日初めて「一日も早く再審を開始して無罪に」と訴えられた。
すでに行われたDNA鑑定によって、無罪とすべき結果が出されたにもかかわらず、検察は再度検証実験を申し出、東京高裁もそれを許可した。しかし昨年12月の時点になってもまだ実験が進展していない事が報告されている。驚くことに検察はその実験のために、味噌100Kg仕込んだコンテナを14個も用意。血税と時間の無駄遣いであり、悪意に満ちた再審開始妨害行為だ。
2014年10月になって、袴田さんの逮捕当時の取り調べ録音テ-プがなぜか「発見」され開示されると、そこにはトイレにも行かせず便器を持ち込み、刑事たちの前で排泄させていた事実が明らかになった。(しかも許しがたいことに警察官は法廷で、室外の大勢の記者に見られたくないからと袴田さん自身がそれを望んだと真っ赤な嘘の証言を行っている。)
警察による徹底した犯人扱いのもと、取り調べに名を借りた「拷問」によって自白させる手法、裁判所もそれを追認・・・。
この日のゲスト、1995年大阪東住吉小6焼死冤罪事件被害者、青木惠子さんも全く同じ経過だ。密室の取り調べ室で朝から夜中まで背もたれの無い丸イスに座らされ、連日怒鳴られ侮辱され続ける。「(娘を)なぜ助けなかった!助けなかったのは殺したと同じだ!」娘を亡くし悲しみのどん底にいる母親にとって、これ以上残酷な言葉は無い。これを聞いて死のうと思い「自白」したと青木さんは語る。
警察による犯罪に等しい取り調べ、証拠隠蔽・捏造のオンパレード。なぜ繰り返されるのか、なぜこれらの行為は罰せられないのか。
即刻再審を開始して、袴田さんを無罪にすべきだ。(澄)
色鉛筆・・・今年もまた「保育園落ちた」-待機児童問題-
「保育園落ちた日本死ね」という投稿ブログから1年たったが、何も解決されていない。今年も入園の時期が迫っているのに関東の激戦区では、入園の内定率が66%で3人に1人が「保育園落ちた」ことがわかった。入園が決まっていない親たちが2月24日、国会内で集会を開いて「私は本当に怒っている。0歳児の時も1歳児の時も落ちて2歳児になっても落ちた」「認可保育園を10ヶ所申し込んで全部落ちた」と訴えるなど待機児童問題は深刻な状況が続いている。
こうした実態が何年も続いているのは政権が根本的解決をしないで場当たり的な政策を進めてきたからだ。安倍首相が13年に得意げに『2017年度末までに「待機児童ゼロ」を目指します』と言ったことは絵に描いた餅にすぎなかったのだ。
きれい事や美辞麗句の言葉を並べてだまし続ける安倍首相を許すことはできない!
2月17日の衆院予算委員会で目標達成について安倍首相は『間違いなく達成できる状況ではない』と答弁し『厳しい』という認識を初めて示したが『働く女性が見積もり以上になった』と、問題をすり替え『17年度末までの目標自体は取り下げない』と開き直っている。
だが、さらなる施設整備に必要な財源はなく、13年から17年までの保育の受け皿の50万人には保育士が17度末までに9万人不足すると見込まれている。
今でも保育士が足りないのは、保育士の待遇が改善されていないのだからこれもまた絵に描いた餅だ。
目標達成できなければ安倍首相は辞職するべきなのにきっとごまかすためにマスコミを操作して他の情報を流すのが常套手段だ。こうした汚いやり方をしてごまかしている安倍政権を「NO!」と訴える人たちが沢山いることを願って声をあげていきたい。(美)
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