ワーカーズ573号  (2017/8/1)  案内へ戻る

 加計学園問題でさらに疑惑は深まった!安倍内閣は総辞職せよ!

7月24・25日 国会で閉会中審査がありました。主な内容は、加計学園問題やPKO日報問題でした。

 安倍晋三首相の友人が理事長を務める加計学園が愛媛県今治市で獣医学部を新設する計画を巡り、閉会中審査で政府側の答弁はあいまいなままでした。首相が繰り返した「丁寧な説明」のないまま2日間で約10時間の審議が終了しましたが、さまざまな疑問は解消されていません。

 「急にご質問があり、混同したところがある」

 獣医学部新設の事業者が加計学園だと1月20日まで知らなかった、と突然主張し始めた安倍首相は、過去の自らの答弁との食い違いについて釈明に追われました。今年の1月まで加計孝太郎理事長から計画の話を聞かなかったと繰り返す首相、野党側は、その信用性を崩す質問を重ねました。共産党の小池晃氏は、松野博一文部科学相、山本有二農相、山本幸三地方創生担当相の3人が昨年8~9月に加計氏と面会したことを確認、松野氏を除く2人は、計画に関しても話を聞いたと語りました。 首相は、自身については「理事長とは昔からの友人で、陳情を受けることは一切ないという関係でやってきた。大臣と会うように言ったことは全くない」と強調しました。だが、閣僚への陳情を重ねていた加計氏が、友人の安倍首相にだけは計画の話を一切しなかったのか?大いに疑問です。 加計学園理事長である加計孝太郎氏の証人喚問が必要です。

 文科省内で見つかった新たな文書についても、野党側は追及を強めました。昨年11月9日に獣医学部新設の規制緩和が決まる前日、学園の計画に対する懸念が記されたメールが省内で送受信されていたことを示す内容でしたが、松野氏は「大学の設置認可の事前相談は従来受け入れている」と説明しましたが、同省の前川喜平前事務次官は「(当時の)獣医学部は告示で、新設は認めないとなっている。申し出があってもお断りするのが通例」と述べ、規制緩和が「加計ありき」だったことをうかがわせました。

 閉会中審査をみてもわかるように、加計学園問題での疑惑は深まるばかりです。やはり、加計学園理事長の加計孝太郎氏を含む関係者の証人喚問が必要です。

 毎日新聞の7月22、23日の全国世論調査では、安倍内閣の支持率は26%で、6月の前回調査から10ポイント減。不支持率は12ポイント増の56%でした。安倍内閣を総辞職に追い込み、共謀罪法、特定秘密保護法、安保法については廃止させなくてはなりません。そのために、闘っていきましょう。(河野)


 労働組合を自分たちの手に取り戻す
 労働組合は、生活防衛の最大のツールだ!


 私たちに身近な労働現場で、悲惨な出来事が繰り返されている。蔓延する長労働時間や、それが引き金になった過労死や過労自殺などだ。

 悲惨な出来事の解明や補償は大事だが、そうした事例を未然に防ぐ取り組みや、それら悲惨な事件が起こらない職場づくりのほうが、より大事な課題ではないだろうか。

 そうした課題に最も有効なことは、労働組合を自分たちの自己防衛と生活保障のツールにすることだ。(7月26日)

◆連合の不祥事?背信?

 安倍政権の内閣支持率が低下し、政権への求心力が落ちている。一方で、その安倍政権を追い詰め、倒さなければならない立場の野党第一党の民進党は、都議選惨敗の総括を巡って党内が混乱し、執行部の刷新が避けられない状況に追い込まれている。あげくの果てともいうべきか、その民進党の最大の支持団体である労組の連合も、あの残業代ゼロ法案への対応を巡って本性をさらけ出し、大混乱に陥っている。

 連合が陥った混乱の元はといえば、それまで〝残業代ゼロ法案〟だと反対してきた「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」の創設を含む労働基準法改正案に対し、連合内部の承認を取り付けないまま、一部幹部が条件付きで受け入れてしまったからだ。

 「高度プロフェッショナル制度」というのは、年収が高い(今回の法案では年収1075万円以上)専門職労働者を労働時間の規制の対象から外すというもので、いくら時間外労働や深夜労働をしても、残業代を払わなくできる、というものだ。現状でさえ、長労働時間が日本中に拡がって社会問題化しているのが実情だ。なのに、それを是正するどころか、新しい法律で長労働時間を追認するかのような法案は
、「全国過労死を考える家族の会」を始め、多くの労働組合や学者・専門家も反対する法案だった。当然にもというべきか、労組の最大の中央組織である連合も、そうした広範な反対の声と歩調を合わせて「高プロ」を「残業代ゼロ法案」だと批判し、反対の立場で対応してきたというのが、これまでの経緯だった。

 ところが、その法案を連合の一部の役員が、水面下で進めてきた政府との交渉で、突如、条件付き承認に転じたのだから、当事者不在の暴走だと批判に晒されたわけだ。

 その条件付き受け入れという中身もお粗末きわまりないものだった。

 働き過ぎの防止策について、高プロ法案では、年104日以上の休日取得、労働時間の上限設定、勤務間インターバル制度の導入、のいずれかを選択することになっている。それを年104日以上の休日取得を義務づけた上で、労働時間の上限設定、勤務間インターバル制度の導入、2週間連続の休日取得、心身の状況に応じた臨時の健康診断、の4つからいずれかを選択すればよい、とするものだった。詳細は省くが、こうした条件には働き過ぎを防ぐ実効性はなく、経団連も受け入れ可能なもので、明らかに法案承認を前提とした形作りにこだわったものというほかはないものだった。

 この方針転換を主導した逢見直人連合事務局長などが「法案がそのまま通ってしまうより、少しでも実を取るための次善の策だ」という主旨の言い訳話をしている。が、ひとたび容認してしまえば反対し続けることは出来なくなってしまう。しかも、このところの安倍内閣の支持率低下で、この法案を廃案にすることも不可能ではない情況が生じてもいた。そうした場面でのこうした言い回しによる承認は、会社追従の労組幹部の常套語であって、追い詰められている安倍政権に塩を送る行為でもあるし、労働者・労組員に対する明らかな変節、裏切りという他はない。

 こうした連合の変節の伏線は、働き方改革実現会議での残業時間の罰則付き上限規制で、安倍首相に「月100時間」ではなく、「月100時間〝未満〟」としてもらったこと、にある。今回の条件付き承諾という連合の変節は、いはば、「未満」という連合と経団連との対立場面での安倍首相の決断への返礼、バーター取引だというのだ。なんとも政権への忠義心ばかりが浮き彫りになる変節という以外にない。

 付け加えれば、この残業規制そのものも、休日労働などの抜け道を考えれば、月80時間、年間960時間の時間外労働を認めるもので、これは実質的な現行の過労死認定ライン、「2~6ヶ月平均で月80時間」「月100時間」とほとんど同じで、残業の上限規制の名に値しない代物でしかない。

 この時に交渉に当たっていたのも今回と同じ逢見事務局長と村上陽子総合労働局長らで、いってみれば組合員の命や健康より、政権や経団連からの評価を優先したものという他はない。労働者不在、政権への擦り寄り行為であって、失態というよりも、労働者・組合員に対する背信行為そのものだろう。

◆連合の本性?

 連合は、主として構成組合の要求や政策の調整と対外的発信機能を果たしており、その方針や政策は、労働者の利益に沿う建前にはなっている。各種調査や提言など、一部では労働者寄りの政策を打ち出す場面もあるが、それは連合が労働者団体としての最低限の信任を受けなければ存在意義が失われてしまうからであって、必ずしも傘下組合の本音や実態を代表しているわけではない。

 実際、原発・エネルギーや経済政策、それに貿易や税制などに関しても、個別企業利益と明確に分離できていない。そうした連合の本性は、昨年の新潟県知事選で、連合は民進党など野党が支持する原発再稼働に慎重な米山候補を支持せず、逆に政権側が押す候補を支持して惨めに敗れた場面にも現れている。広範な生活者・市民の想いより、再稼働ありきの電力会社の後押しをするのか、と。

 そうした連合の政治的な立ち位置を象徴するものに、連合の政治方針がある。連合は、現在民進党などが進めている共産党を含む選挙での野党統一戦線に極めて否定的だ。労働組合の原則は、要求による団結=統一闘争であって、様々な政治的立場を持つ組合員であっても同じ要求で統合することで労働組合としての力を発揮することができる。ところが連合は、そうした要求での統一よりも、共産党との統一闘争を拒絶することを優先させている。神津里季夫連合会長もこのことにこだわっており、これは労組や労組員を会社のコントロールの下に置いておきたいという会社側の意向でもある。ここにも連合の会社に従属した立ち位置がはっきり現れているのだ。

 その連合の実権は、連合の執行部ではなく、個々の産別組織、それ以上に個々の企業内単位組合にある。組合員に直接向き合っているのは個々の企業内組合であって、連合は、その個々の企業内組合幹部の寄り合い所帯に過ぎないのだ。

 その個々の企業内組合で、大手組合のほとんどは労使協調の御用組合でしかない。企業内でのリストラやその手段としての「追い出し部屋」などに象徴されている様に、会社から目を着けられた社員や裁判などで会社に逆らう社員に対しては、企業内組合はまず社員=組合員の側に寄り添うことはない。多くのケースで、会社の手先になって会社の意に反する社員=労働者を排除する役割を果たしてきたのが実情なのだ。

 たとえば今年の春闘で取り扱い荷物量を減らす要求を提出し、会社側とともに宅配料金引き上げによる引受数削減に動いたクロネコヤマトのヤマト運輸のケースもそうだ。このケースは、ヤマト運輸労組がセールスドライバーなどの要求を取りまとめて会社側にぶつけた、などというのとほど遠いものだった。真相はといえば、物理的に必要に迫られた会社が、労組を動かして要求を出させ、長時間労働是正などの社会的正当性を背景に、取引企業などに料金値上げと引き受け物数の削減を働きかける、という経営戦術でしかなかったのだ。

 現に、クロネコの会社が表明した未払い残業手当の支給を巡って、労組が積極的に組合員を支援するという場面はない。逆に、残業代を請求する社員を「愛社精神がない」と断罪したり、「裏付けがない残業代は支払う必要は一切ない」などと、会社側の代弁をしている有様だ。本来であれば、当事者の労組員と一緒に会社側に掛け合ってサービス残業の撲滅や残業代の正当支払いを要求し、それを実現するために全力を尽くすのが労働組合であるはずだ。そうした本来の労組の役割をまったく理解していないばかりか、会社側の先兵となって恥じない労組や労組幹部が蔓延しているのが、多くの連合構成組合の実情なのだ。

◆〝労組を取り戻す〟

 残業代ゼロ法案に絡む連合労組の背信行為や企業内組合の実情を見てきたが、それらをただ批判していれば済むという話ではない。政治的あるいは政策的な課題でもそうだが、ではどうすればいいのか、という対案・対抗戦略が欠けていれば話は先に進まない。労働者の身の安全と生活保障がかかっているとすれば、なおさらだ。

 たとえば、このかん長時間労働が過労死や過労自殺につながる事例として大きな注目を集めてきた、過労自殺で労災が認められた電通の高橋まつりさんの事件だ。この事件を見れば、一義的に会社や上司の使用者責任が問われていることはいうまでもない。が、同時に労働組合の責任も問われているのだ。長時間労働や実労働と申告残業時間の乖離など、職場段階での是正の取り組みがまったく見えないからだ。

 同じような事例は山ほどある。最近でも、国立競技場建設に携わる入社2年目の青年が過労自殺を余儀なくされた事例も起こっている。そのたびに思うのは、個々の会社、個々の職場での、日常的な労組の取り組みのあり方だ。

 労働組合にもいろいろある。職場での出来事に対し、組合員の立場に立って地道に取り組んでいる労組も多い。だが、連合レベルでは労働者の利益に沿った政策を打ち出すことがあっても、個々の企業内組合では、それに冷淡か無視するケース、あるいは建前的には同調するが、実際は会社の手先の役割を果たすケースが多いのが実情だ。

 そうした企業内組合が大手を振る会社や職場では、労働時間だけでなく、配転や転勤、処遇をめぐるトラブルなどで、個々の労働者は企業内組合の支援を受けること、それを期待することはほとんど不可能な情況にある。多くの企業内組合が、会社側の論理と行動で労働者の前に立ちはだかる現実があるからだ。

◆「団結による生活保障」

 こうした事態が続けば、当然「労組は頼れない」という感覚が身につき、労組を頼るという発想そのものが無くなってくる。現に、会社や職場では仕事以外の関係など持ちたくもない、という労働者が増えてしまっている。その結果が、多くの過労死や過労自殺を生む殺伐とした職場を創り上げてしまっているのだ。

 いまこそ、〝労働組合を取り戻す〟ことが喫緊の課題だろう。主体も対象も曖昧にした安倍首相の「日本を取り戻す」ではないが、「わたし自身が」という主体と「本来の労働組合」という目的を明確に自覚した取り組みが必要なのだと思う。

 その場合、〝労働組合のあり方〟〝労働組合の概念〟についても、発想の転換が必要だ。「労組は頼れない」にしても、「頼れる労組」にしても、いずれも自身と組合が別々のものになっている。そうではなくて、労組とは自分自身の関わり方そのもの、労組は自分が闘うための手段、回路なのだ、という発想に立つことだ。労組を取り戻す、労組を刷新するという課題は、一朝一夕に達成できるものではない。また自分1人で達成できるものでもない。根気強い行動や取り組み、仲間を増やす地道な取り組みの積み重ね、本当に根気がいる仕事である。

 しかし、そうした〝職場に労組が実在する職場〟が実現できれば、過労死や差別取り扱いなどを労働者どうしの連携した取り組みによって事前に防止できる、安心で居心地がよい職場にできる。労働組合の確かな存在とその活動で自分たちの生活を確保していくことが可能になるのだ。かつて熊沢誠氏が言っていた「労働者の団結による平等を通じての保障」だ。

 長時間労働にしても過酷なノルマにしても、既存の企業内組合を刷新すること、それと自分自身の行動で「団結による平等を通じての生活保障」を実現すること、このことで私たちの働く環境を劇的に変えていけるのだ。こうした思いと行動を広く共有していきたい。(廣)案内へ戻る


 今回の横浜市長選挙で問われているもの

市長選挙は現新三つ巴の戦い

 7月16日、横浜市長選が告示された。これから2週間の選挙戦が始まる。今回の闘いは3選を目指す現職の林文子氏(71)=自民、公明、連合推薦=に、元衆院議員で映画監督の長島一由氏(50)、元民進党横浜市議の伊藤大貴氏(39)の新人2人が挑む。長島氏は完全無所属を謳い、伊藤氏は民進党議員だったが無所属で立候補した。今回20名いる民進党横浜市議会の議員は真っ二つに分かれ民進党からの推薦や支持はない。

 今回の市長選挙で特筆すべきは、共産党の動きである。従来、共産党は市長選には幾度か独自の無所属候補を擁立していた。今回県内全ての小選挙区に作り上げた「市民連合」などの共闘組織が伊藤氏の支援を決め、自主的に支援活動を展開していることである。

選挙戦での争点とは

 今回の市長選挙で最大の争点は、山下埠頭への誘致が想定されているカジノの誘致の是非、続いて横浜市立中学で未実施の中学校給食導入の是非が争点である。現在、政令指定都市で中学給食の未実施は大阪市と横浜市だけ、そして大阪市も導入の方向となったので、いまだ方向性も定まらない横浜市では今回の市長選挙での大きな二大争点となっている。

 林氏は昨年末までのカジノ誘致に前向きな発言を撤回し、現在は「判断する状況ではない。白紙だ」と逃げ、自民党や自らの背後にいる菅官房長官への逆風の強さを意識する故に巧妙に立ち回っている。また給食導入に対しては、林氏は「家庭弁当を基本とする」とし、サブとして給食の代わりに実施している民間の配達弁当「ハマ弁」の値下げや現行「7日前までの申し込み、2日前までのキャンセル」、つまり当日の注文や取り消しが出来ないシステムの変更と利便性向上をめざし、給食に近い制度に近づけると主張する。

 新人二人は百年の計の観点からカジノ反対、中学校給食の実施を訴えている。

 その他、林氏は子供の通院医療費助成を現在の小学6年まで(所得制限あり)から、中学3年まで拡充する意向を示しているが、他の候補者とのそんなに大きな違いはない。

 長島氏は特定の組織から応援を受けていないので「しがらみのない政治」と情報公開の推進を主張し、伊藤氏は公園や道路、建物などの公共空間を民間に開放して利用料を得る「稼ぐ公共」で歳入を増やす展望を描くことで有権者の支援を訴えている。

焦点は投票率にある

 従来から横浜市長選は低投票率が続いてきた。投票率は林現市長が初当選した二00九年の68・76%を除くと一九七八年以来、40%に届いたことがない。二0一三年の前回は、29・05%と戦後初めて30%を下回り過去最低となった。こうした低投票率の下で横浜市の劣悪な生活環境の改善は一向に進まないまま捨て置かれてきたのである。

 確かに選挙一般では、低投票率だと現職が圧倒的に有利とされる。だが低投票率にもかかわらず、横浜市長選挙では各党相乗りの現職に新人が勝った選挙もある。

 二00二年、4選をめざす現職の高秀氏を自公両党等が推薦し、当時の民主党は高秀氏を支援する県連と中田氏を推す本部で対応が割れた。結局、県連が高秀氏の推薦を決めたが、数人の市議が離反し中田氏を応援した。その結果、中田宏氏が一騎打ちを制した。

 この時、投票率は39・35%でその前より5ポイントほど上昇しただけだったが、隆秀氏に2万票余りの差をつけて当選したのである。

 今回、林氏を応援するベテラン市議は「今回は、0二年の時と構図が似ている」と気を引き締める。中田氏は高秀氏の「多選」と「高齢」を批判し、高秀氏の支持基盤を崩していった。今回、伊藤氏も「世代交代」を訴えている。71歳の林氏には強敵である。

 今回の投票日は30日で即日開票される。6月1日時点の選挙人名簿登録者数は三百九万一千五百五十人。

 東京都都議会選挙と同様に横浜市長選挙でも投票率が大きく上がれば、衆議院議員小此木彦三郎氏の秘書として政治家人生を開始し、横浜市政を仕切ってきた菅官房長官の威信と評判を揺るがせるものとなることは想像に難くない。

都市問題を集約する横浜市政の現状

 政治とは誰のためにあるのか。日本最大市の首長選挙は根源的な問いを突き付ける。

 二0一五年5月現在、文科省の「都道府県別学校給食実施状況」で神奈川県は全国ワーストワンの25・7%だ。横浜市の未実施が神奈川県の数字を押し下げている。千葉県は100%、東京都も98%。給食が実施できない理由がない。カジノ誘致で関連業者や自治体が潤っても、街は殺伐となり、労働者民衆は財産をバクチで巻き上げられるだけだ。

 一方、中学給食の実施は共稼ぎ家庭の負担減と貧困家庭の子供たちを確実に救済する。そして貧困化が進んでゆくのは、全国でも横浜市だけの例外ではないのである。

「給食実現で横浜を現役世代に選ばれる自治体にしよう」と訴える伊藤氏に、母親たちの視線は自然と熱くなる。カジノへの散財は横浜市民税の関連業者への不正支出である。

 林氏は横浜駅西口で街頭演説を開始したが、カジノ誘致は封印したかのように一言も語らない。政治家になるは前トップセールスマンだった林氏は、確かに企業誘致の実績を誇らしげに語ったが、横浜市民の生活に密着した話、又中学給食の話は一言もなかった。

 応援弁士は「林市長が待機児童ゼロを成し遂げた」と称賛したが、この言葉とは裏腹に入所希望者がたらい回しされ、20数カ所を選択しやっと決まった保育所はとても日常的に送り迎えが円滑に出来ない不便な所であったとは、当事者が語る実に苦い真実である。

 確かに他市からの転入が多い横浜市は今も人口増加が続く。だが人口動態を具体的に検証すると、3月に発表された人口動態調査では30~40代は1年間で700人以上が市外に転出していることが明らかになった。14歳までの子供も570人超の転出超過だった。市は二〇一〇年からこの傾向を把握しながら、有効な対策を打てずにいる。

 転出が相次ぐ理由の一つとして考えられるのが「ハマ弁」のように、他自治体に比べて明らかに見劣りする子育て・教育施策である。子育て世代の転出先は、東京都区部、藤沢市、大和市が多い。これらの自治体は給食に加え、小児医療費助成も横浜市より手厚い。

 横浜市は本年度、小児医療費助成を従来の小学3年までから小学6年までに拡充し、利用者負担は1回の通院で500円が上限になった(所得制限あり)。これに対し大和市は所得制限があるものの、中学3年まで全額助成。藤沢市は所得制限なしで小学6年まで全額助成している。東京23区は都の助成と組み合わせ、少なくとも中学3年まで所得制限なく助成している。こうしたことはほとんど飛鳥田元社会党市政の負の遺産である。

 横浜市の劣悪な生活環境は、在宅医療患者家庭や生活保護家庭等、その他への圧迫となって現れている。市民の医療や教育など家族を形成していく上での経済的負担がより軽く便利な場所を指向する意志を軽視すれば、横浜市の生活環境は悪化の一途を辿る他ない。

 全国の闘いに目をやれば、カジノ誘致が争点化した二〇一五年の北海道・小樽市長選では反対を前面に出した新人が誘致推進とみられた現職を破った。「カジノ誘致に反対する小樽市民の会」の渡辺理事は「歴史的建造物や運河の街で既に観光で潤っている背景もあり、カジノに反対する主婦層が選挙結果を動かした」と分析する。

 昨年12月にカジノを解禁するIR推進法が成立し、国内での開設が可能になった。カジノ収益の一部を徴収する税率や事業者の免許制度などを国が検討中である。この法整備が予定通り進めば、誘致に名乗りを上げるタイミングは、今回の選挙で選ばれた横浜市長の任期中に到来する。したがってこの問題から逃げる林氏は市民を欺くものである。

 横浜市民は今回の横浜市長選挙をIR(<IR(Integrated Resort、統合型リゾート)>カジノや国際会議場、商業施設、ホテルなどを一体化した施設。カジノ収益で施設全体の運営を支える)誘致の賛否だと認識し自民党・公明党・連合そして林氏に反対の意思表示をはっきりと示すべきである。さらにまた今回の横浜市長選挙は、東京都議会選挙での都民の審判の後を受け、自民党の暴政と自民党の安倍政冶の屋台骨を支えてきた菅官房長官に対する信任投票でもある。

 この選挙においても東京都民の自民党に対する劇的で歴史的な審判の後に続いて、彼らをさらに痛打し打ちのめす選挙結果をしっかりと勝ち取らなければならない。 (直木)案内へ戻る


 <パンフレット紹介>「山城博治さん、稲葉博さん、添田充啓さん 裁判闘争中間報告」
  /2017年7月8日/「山城博治さんたちの完全無罪を勝ち取る会」編集・発行

微罪どころか「正当な理由も無し」に逮捕、おのおの152日間、100日間、199日間もの長期間身柄を拘束した、これだけでも重い処罰に当たる。アムネスティインターナショナルは「非人道的で、拷問、虐待に値する措置」と非難している。

 今3人は共に無罪を求め、那覇地方裁判所で闘っている。これはその裁判の中間報告の資料だ。

「新基地に反対なら何をしてもいいんですか」・・・取り調べの警察官や検事から何度も言われたという稲葉さんはこう言う。

「この言葉、むしろ沖縄県民こそが政府や防衛局に対して抱いている感情、叩きつけたい言葉ではないかと今では確信しています。新基地建設を巡っての政府の沖縄に対するこれまでの姿勢、仕打ちと言ってもいい、それに対して県民こそがこの言葉を政府に投げつけたい、ぶつけたい言葉ではないかと思っています。」

安倍政権は、新基地反対の意志を踏みつぶすためだけに、2015年11月から東京警視庁など本土からの機動隊員を100人投入したのを皮切りに、2016年7月には全国から高江に1000人も派遣、市民らの首を絞める、引きずり下ろすなどの暴行で弾圧し工事を強行した。

 おびただしいけが人を出し、中には危うく死にかけた人もいた。すでに海上でも、海上保安官による首を絞めたり、頭を押し付けて海に沈めたりの「殺人未遂」の行為が繰り返されていた。こうした国による、かつて無い激しい暴力(凶暴と表現していい)にさらされたからこその、やむにやまれぬ抵抗・抗議行動を理由としての逮捕だ。

 リーダーの山城さんらも含め、長期に拘束し、その間に強い力・数の力で反対運動を弾圧すれば、諦め運動が消滅すると考えたとしたら、それは政権の大きな誤算だったと言える。どんな強権を持ってしても、非暴力の粘り強い抵抗運動は止まず、むしろより強固になっていることが、このパンフからは伝わってくる。

6月2日、辺野古のゲート前で64才の女性が機動隊による強制排除の際に頭蓋骨骨折、急性硬膜下血腫、脳挫傷の重傷を負い約2週間入院した。血腫は徐々に小さくなっているものの、頭蓋骨は骨折前のようにくっつくことは無いと言う。

 「新基地建設のためなら何をしてもいい」とばかりに蛮行を繰り返す・・・裁かれるべきは、明確に安倍政権の側ではないのか。(澄)

★パンフ申込み先
〒904ー2245 沖縄県うるま市赤道17-5  照屋大河事務所気付
   TELl 090-6864-6628 FAX098-974-7349
定価 500円
★「3人の完全無罪判決を裁判長に求めるはがき」3枚セット/200円もお勧めです


 「エイジの沖縄通信」(NO・41)

1.沖縄、安倍政権に次々にNO!を突きつける!

①7.22「人間の鎖大行動」

 22日午後、辺野古の米軍キャンプ・シュワブ前で辺野古の新基地建設に反対し、大浦湾の埋め立て阻止を訴える「人間の鎖大行動」が行われ、県民約2千人が参加した。

 国道329号のフェンス沿い約1.2キロで参加者が手をつないで基地を囲み、ゲート4カ所を一時封鎖した。

 ヘリ基地反対協議会の安次富浩共同代表は「キャンプ・シュワブ前で人間の鎖を完成させるために、こんなに多くの人が集まった。21年間闘い続けてきた私たち名護市民にとって、非常に印象に残る日だ」と強調した。

②県、ついに辺野古再提訴!

24日、沖縄県は米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設工事差し止めを求め、那覇地裁に提訴した。政府が県規則に定められた翁長雄志知事の許可を得ずに「岩礁破砕」を行うのは違法と主張。判決まで工事を中断させる仮処分も併せて申し立てた。政府は判例から県の訴えは不適法で、許可も不要として全面的に争う方針だ。

 辺野古移設を巡っては、2015年10月に現場海域の埋め立て承認を取り消した翁長氏の処分に関し政府と沖縄県が訴訟で争った結果、昨年12月に県側敗訴判決が確定した。双方の対立は再び法廷闘争に発展した。

 県は今日やっと、差し止め訴訟を那覇地裁に提訴した。再びの法廷闘争に注目が集まる。 翁長知事が駆使すると宣言してきた「あらゆる法的手段」の一つである。県は既に「次の手」の検討も始め、一歩も引かない構えだ。

③7.25「海上座り込み行動」

 25日午前、辺野古及び大浦湾では「海上座り込み大行動」が取り組まれた。

 この日に合わせて練習を重ねてきたカヌー隊が71艇も集まり、それを支援する抗議船も6隻が参加。100人を超える人々が結集して「海を守ろう」「違法工事やめろ」との声を上げた。

2.高江ヘリパッド工事再開!高江でも座り込み始まる!

 7月1日、沖縄防衛局は中断していた東村と国頭村に広がる米軍北部訓練場のヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)工事を再開した。

 日米両政府は昨年12月22日、米軍北部訓練場過半の返還条件となるヘリパッドが完成したとして、北部訓練場の約53%に当たる4010ヘクタールを日本側に返還した。 3地区4ヶ所(N1地区が2カ所・G地区・H地区)のヘリパッドは完成し米軍に移管された。ところが、実際は完成を急ぐために手抜き工事(先月14日、大雨などの影響でH地区周辺から赤土が流出する事案等が発生)のため、米軍は安全性が確認できないとして再整備を要求していた。この間オスプレイはこの地区に1機も訓練に来ていない。まだ運用は始まっていなかった。

 沖縄防衛局は、国の特別天然記念物であるノグチゲラの繁殖期のため、3月から6月まで工事を中止していた。ところが、7月1日から突如としてヘリパッド工事を再開した。

 その様子を「チョイさんの沖縄日記」は次のように報告している。

 「まず始まるのは、G地区ヘリパッドへの進入路造成工事だ。この箇所は、昨年ともかくG地区ヘリパッドを造成するため、伐採しただけですぐに砕石を敷き、工事車両を通した。このままでは今後、米軍車両の運用に耐えないので、敷き詰めた砕石を取り除き、路床を整正しなおした後、新しく路盤材を入れる工事が必要となる。全く無駄な手戻り工事だ。長さ1.2kmの道路だが、工期は約2ヶ月ほどもかかる。他にも、H地区、N1地区ヘリパッドで露呈した施工ミスの手直し作業なども必要だ。」

午前5時と午後3時ごろ、木材やパイプ、重機を積んだ工事車両計24台が訓練場内に入った。工事に反対する約40人が東村高江のN1ゲート前に座り込み「県民をばかにするな」「直ちに工事をやめろ」と抗議を展開した。

 辺野古と高江の2カ所で工事が続くことで「座り込みが分断される」と懸念する声が上がっていたが、この日は名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前にも約90人が座り込んだ。

3.識名トンネル訴訟で住民勝訴!

  仲井真前知事は責任問われず、元部長らに7178万円の損害賠償命令!

 19日、識名トンネル住民訴訟で原告住民が勝訴した。

 原告住民の皆さんは、4年半にわたって仲井真弘多前知事、漢那元土建部長(現在、石垣市の副市長)、赤嶺元南部土木事務所長、大成建設(JV)らに対して、7177万円の損害賠償を求めて那覇地裁で闘い続けてきた。

 今回の判決内容は、仲井真前知事や大成建設(JV)らへの請求が認められなかったが、漢那元土建部長、赤嶺元南部土木事務所長が連帯して7178万円の損害を賠償するよう命じた。請求額の満額が認められ、県民が被った損害が補填されることになった。

 判決内容について、原告住民は「請求額が全額認められたのは評価したい。ただ、仲井真前知事の責任や事件の動機を解明できなかったのは残念だ」と不満を示した。

 この識名トンネル違法公金支出事件は仲井真前知事時代の事であり、この事件では色々な憶測が飛び、沖縄県政を揺るがした大事件であった。

 この事件の事を知らない人が多いと思うので、当時の様子をブログ「チョイさんの沖縄日記」から引用して、訴訟の経過を説明したい。
 「現在、沖縄県始まって以来の不祥事と言われているのが、この識名トンネルの虚偽契約問題だ。沖縄県は2006年12月、識名トンネル新設工事を大成建設共同企業体(以下、大成(JV))に発注した。しかし、この入札には、本土の大手ゼネコンのほとんどが殺到し厳しいたたき合いとなった。結局、大成JVの受注額は、設計価格の47.2%というとんでもない低額だった。当時の県議会でも『こんな低価格で大丈夫か?いくら競争といっても異常だ』などと追及されている。

 工事着工後、多くの追加費用が必要となった。本来なら、増額の変更設計は当初の入札率を乗じて決められる。しかし、大成JVは増額分について当初の入札率を乗じることを拒否。県は、やむなく追加費用分を別途に大成JVに6件の随意契約(ほぼ100%の率)として発注したという形式をとった。すでに施工済みの工事を新たに施工したかのように装った虚偽の契約を締結してその費用をねん出したのである。

 識名トンネル工事は国庫補助事業であったが、県はこの虚偽契約分についても国庫補助金を申請、補助金が交付された。その後、国の会計検査で虚偽契約が発覚、県は国の求めにより5億7千万円を国庫に返還せざるを得なくなったのである。しかも、国は、その後、国庫補助金を不正に受給したとして補助金適正化法違反と、さらに虚偽公文書作成・行使罪で、県職員(氏名不詳)を警察に刑事告発した。

 一番の問題は、県の職員の不正行為によって命じられた国庫補助金の返還のために、何故、県民の税金を支出しなければならないのかということだ。不正行為を行った県職員、また、不当利得を得た大成JVらがそれを負担しなければならないのは当然だろう。住民監査請求、そして住民訴訟で争えば勝訴する可能性はきわめて強いと思われる。

 そしてやはり問われるのは、仲井真知事の関与の問題だ。仲井真知事は、オスプレイ配備反対の9.9県民大会への不参加を表明し、多くの県民の怒りを買った。

 知事の県民大会不参加の理由について『一括交付金など予算面の配慮で政府と裏取引をしたか、識名トンネル問題で政府に弱みを握られ、縮み上がってでもいるのだろう』と言われていた。

 そもそもこの事件は仲井真県政時代に発生した不祥事である。翁長県政となった今、何故、当時の不祥事をかばい続けるのであろうか?沖縄県はこれ以上係争を続けることなく、那覇地裁判決に従って一刻も早く、県が被った損害を補填させるべきである。もし、県が控訴するというのなら、私たちも高裁では、仲井真前知事と大成建設(JV)の責任追及に全力をあげるつもりである。」(「チョイさんの沖縄日記」から)

 知事選で負けた仲井眞知事が、任期残り4日というタイミングで辺野古の基地建設をめぐる手続きにおいて逃げ切り埋立承認をしてしまった時、沖縄県民の怒りは爆発した。

 仲井真前知事の負の遺産は「埋立承認問題」だけでなく、この「識名トンネル問題」でもゴタゴタが続く。(富田 英司)案内へ戻る


 袴田巌さんのこと・・・一刻も早い再審開始と、無罪判決を!

6月25日清水での集会で、姉の秀子さんより、巌さん(81才)が4月4日からランニングを始めたというお話があった。午前と午後、午睡をはさんで1日に2回「走っているというより、歩いているといった感じ」とおっしゃったが、浜松在住の支援者からは「いやちゃんと走っています」との発言があった。

 彼が、なぜランニングを?と巌さんに聞くと「天狗だから富士山に登れる」と答えたという。走った後マッサージを受け、気持ちが良くなって眠ってしまい、以後「疲れさせる奴がいるから」と拒否しているという。「心は今も『獄中』にある」との支援者の言葉に胸が痛む。

 1984年6月18日の巌さんの日記(「手記)から。

「私は思うのだが、監獄の狭い運動場では十分に走れないので、せめて、100メートルくらいの距離でよいからめいっぱい走りたい、と。私が自由を勝ち取ったならば最初に叶えるのがこの果てない夢であるに違いない。肩と股で風を切って走る。想像しただけで全身がうずくのである。」

再審開始決定で釈放された袴田さんの、即時抗告審を巡り弁護団は、6月28日速やかな再審開始を求める意見書を東京高裁に提出した。

 再審開始決定の根拠のひとつになっている、本田克也筑波大教授のDNA鑑定について高裁が検察側の求めを受け、鈴木広一大阪医大教授に鑑定手法の検証実験を嘱託、6月になって(1年半もの長い時間を経て)やっと報告書が提出されたものの、結果は本田教授の鑑定を「裏付ける」ものとなった。

6月28日の高裁・検察・弁護団による三者協議で、高裁は年内にも即時抗告審の審理を終える意向を示唆したと言う。一刻も早い再審開始と、無罪判決を!(澄)


 東燃LNG火力発電所建設反対運動 活動報告

 静岡県静岡市清水区の東燃ゼネラル石油(株)が計画しているLNG火力発電所は、JR清水駅前から400㍍の所でいつ地震が起きてもおかしくない状況の中で「LNG火力発電所は危険すぎる!あまりにも人口密集地に近い」と、住民や市民達が声をあげて反対運動が始まり、約2年経った。この間様々な活動をしてきたが、少しずつ運動が広がってきたので報告したい。

 昨年の8月末、東燃は発電設備を当初計画の3基から2基に、発電容量を170万?から110万?に変更することを発表した。反対運動が起こり、東燃は危機感じて発電容量を小さくすれば運動が広がらないと考えたのか・・・とにかく小さくても建設してしまえば増設は簡単なのだから油断してはいけないと、私たちは気を引き締めた。

 私は、反対する住民の会の仲間達と学習会、講演会、デモ、写真展、シール投票、街頭署名、チラシ配布、住民意向調査、県知事、市長へ要望書提出などの活動をしてきたが、もっと反対運動を広げて大きくしていこうと声があがり、反対運動をしている6団体がまとまって「清水LNG火力発電所問題・連絡会」が結成された。5月には、6団体が一同して全体集会を開催し、9月の市議会に向けて新たな署名活動が始まった。

 私の住んでいる地区の住民達に定期的にチラシを配布して、小さな学習会を開きこの問題を知らせていき、住民宅を1軒ずつ訪問して意向調査を行うと、反対55%賛成8%わからない37% ①住民意見調査報告 という結果で、住民は建設反対が圧倒的に多いという事がわかった。そこでこの結果を自治会に働きかけていくと、5月の末、自治会主催で反対住民のグループと、事業者のJXTGエネルギー(4月に東燃とJXグループが合併した)の勉強会が開催された。自治会主催という事なのでマスコミも大きく取り上げ宣伝になった。すると、街頭宣伝で署名集めをしていると、今までより反応する人たちが多く見られ「署名します」「頑張って下さい」という声も聞かれるようになって、少しずつだが運動が広がっているのを実感している。

 そして、7月20日の静岡県議会で川勝平太静岡県知事は清水LNG火力発電所計画に反対の姿勢を明らかにした。②県知事火発計画に反対表明 県知事がこの問題について初めて意思表示をしたので、建設を推進している市長は、環境アセスメントの窓口は市である事を強調して「適切な判断をするので知事にはそれを尊重して欲しい」という始末だ。知事は、「環境、景観を優先すべき」と、言っているのに市長は建設会社や事業者を優先しているのだ。すると、今度は自民党寄りの弁護士が、「火力発電所に反対します」と、宣言した意見広告を自費で静岡新聞に出したので話題が沸騰している。③7月23日静岡新聞に意見広告 保守系の中でも意見が分裂しているようなので、住民達が大勢反対の声をあげていけば建設を中止させる事ができると信じて運動していくつもりだ。(美)


 「脱時間給(残業代ゼロ)」容認を許すな!

連合執行部批判は当然!

 七月十三日、安倍晋三首相と連合の神津里季生会長が首相官邸で会談し、収入が高い一部の専門職を労働時間規制からはずす「高度プロフェッショナル制度」を含む労働基準法改正案を「一部修正」つきで容認することを合意した。これに対して、連合傘下の労組や過労死遺族から、厳しい批判の声があがっている。連合は現場の怒りの声を真摯に受け止め、この合意を白紙に戻すべきである。

「脱時間給制度」とは?

 この制度(高度プロフェッショナル制度)は、「年収千七十五万円以上の金融ディーラーや研究開発などの専門職」を対象に労働時間の規制をはずすというものだ。当然、長時間労働による健康破壊が懸念される。そこで「政府案」では「歯どめ」、「①年に一〇四日以上かつ四週に四日以上の休日取得」または「②終業から始業までの間に一定の休息時間を設ける勤務間インターバルの導入」または「③在社時間などの上限設定」のいずれかを実施する、としている。こんな歯どめが「絵に描いた餅」になるのは目に見えているのは、労働時間規制のもとでも長時間労働による過労死が後を絶たないのを見ても明らかだ。

実質「修正」にもならず!

 連合の神津会長は「法案がそのまま成立するのは耐えられない。できる限り是正するのが連合としての責任ある立場だ」と修正合意の趣旨を記者団に説明した。だが、それは本当に「是正」と言えるのか?連合の修正案は、政府案の「選択肢のひとつ」だった「年に一〇四日以上かつ四週に四日以上の休日取得」を「義務付け」に格上げし、その上で「①勤務間インターバルの導入」または「②二週間連続の休暇取得」または「③在社時間などの上限設定」または「④心身の状況をチェックする臨時の健康診断」のいずれかを実施する、というものでしかない。この制度を悪用すれば、例えば、今月の初めと来月の終わりに各四日間休めば、その間に連続二十四日働かせることも可能なことに変わりはない。

現場からの批判は当然!

 こうした執行部の容認姿勢に対し、当然の事ながら現場から厳しい批判の声が上っている。全国コニュニティ・ユニオンは「過労やハラスメントが横行している実態と懸け離れている」「小さな穴を開けてはいけない」「組織的意思決定の経緯及び手続きが非民主的」「政府に依存した要請は連合の存在を失わせかねない」と執行部批判の談話を発表した。当然の批判である。第一に「脱時間給」の対象を「年収千七十五万円以上」としているが、いったん制度が導入されれば、年収要件や職種範囲も拡大していくことは目に見えている。第二に、労働組合が経営側と妥協する場合は、まず出来る限りの闘争を組織し、その到達点を見極めつつ、闘争終結の条件とその是非を、労働者全体の意思にゆだねるのが、組合民主主義の根幹である。今回の合意は、そのいずれもないがしろにしている。予想を超えた現場からの反発に直面した執行部は、二十一日に予定していた政労使合意を延期し、当分合意を「見送る」ことにせざるを得なくなった。

「見送り」ではなく白紙撤回を!

 だが単なる「見送り」ではなく、「白紙撤回」こそが現場労働者の要求である。労働の価値は労働時間で測ることが基本である。これは、賃労働に限らず、社会的分業を社会の成員に分担する場合に、労働時間の配分を基本にするという、人類の普遍的原理である。資本主義的競争社会においては、脱時間給は労働者に「専門職」「高給」を理由に、際限の無い「成果」を要求し、結局おのれの生活時間と健康を犠牲にすることを強いるものでしかない。すでにまかり通っている「みなし労働時間制度」や「裁量労働制」の延長にある、究極の搾取制度といっても過言ではない。労働者の命を削る脱時間給制度の合意を白紙撤回するよう、すべての現場から「職場決議」をあげようではありませんか!(松本誠也)案内へ戻る


 色鉛筆-人間回復の願いは続く、ハンセン病

 7月に入った初めての土曜日、「日本キリスト教会 西宮中央教会」で、ハンセン病療養所の所長さんの話を聞く機会がありました。普段なら見落としてしまうかもしれない新聞の小さな案内記事が、運良く目に留まりました。自宅からは自転車でも行けそうなので、陽が照りつける中、なんとか辿り着きました。教会と幼稚園が棟続きにあり、住宅街に馴染んだ存在に見えました。

 現在、国内のハンセン病療養所は、入所者が1500人を割り、平均年齢が85歳を超えています。長島愛生園では、高齢に伴い介護が必要となり、特養を療養所内に誘致し、地域の人との交流ができるようになったそうです。終焉の時と悲観せず高齢を前向きにとらえ、しかも療養所を活性化する方法を生み出す、園の姿勢はすばらしいと思いました。その思いは参加された方々と共有化できたことでしょう。

このハンセン病啓発活動は、好善社という公益社団法人が、毎年、関東と関西で講演会を開催しているものです。昨年も西宮中央教会では、ハンセン病当事者の森元美代治さんの講演がありました。この講演記録を冊子にして、今回の参加者に配布されました。私は、この記録を見て、「らい予防法廃止」をめぐって全国の療養所で賛否が問われたことを知らされました。1996年に「らい予防廃止に関する法律」が成立しましたが、入所者たちが心配したのは、廃止になれば療養所がなくなる、なくなれば居場所をどうするということだったのです。

 その心配を取り払うように、3年後、森元美代治さんも原告になった「らい予防法」違憲国家賠償請求訴訟で全面勝利を勝ち取ります。森元美代治さんが正しい判断ができたのは、大学法学部で学び信用金庫に勤務という社会での経験があったからではないでしょうか。社会から隔離された療養所での生活は、従来の支援者の訪問や少しづつですが地域との交流から開かれ始めています。私たちも関心を持つ必要性を教わった講演会でした。(恵)


 コラムの窓・・・わかれみち

 人生における岐路をどちらに進むか、誰もが選択を迫られてきたことでしょう。その選択に悔いを残したとしても、それが人生というもの。その結果を受け入れ、生き続けるほかありません。しかし、それは人生をあきらめるということではなく、そこから先に進もうということです。

 私にとって、最初の重大な選択は何だったろう。高卒で社会人となり、工場で働くことにしたこと。大学進学ということを考えなかったわけではありませんが、社会人になっても学ぶことはできるなんて考えたりしたのです。

 しかし、この道は20歳前に挫折しました。工場のなかで毎日、ラインで組み立て作業をすることにあき、屋外の労働にあこがれたりしたのです。そんなことがあって、郵便労働者になりました。しかしこれも誤算で、雨風、太陽に焼かれて何ぼの仕事は結構きついものがありました。要するに、考えが甘かったのです。

 郵便局で働きだした当時、私はミナマタを知っていて、思い切って郵便局の門前でそのビラを配布したのです。そんなことをしたらまずいことになると思いつつ、汗して働き続ける覚悟さえあれば、なんということもないという判断を下したのです。

 その続きにスト権ストや反マル生越年闘争がありました。私の職場はどういうわけか第2組合(御用組合)が圧倒的多数でしたが、私は全逓労働者として夢のような日々を過ごしたものです。よその局に行って、第2組合の組合員の入局を阻止するためにピケを張ったこともあるし、年末に超勤もしないで帰宅したり、・・・。

 その後の展開は書くのも恥ずかしいのですが、全逓は闘う路線を捨て、ついには輝かしいその名前も捨て、押しも押されもせぬ御用組合に成り果てました。その無残な姿を見せつけられ、私は組合を離れ1人で空しい反抗を続け、それでも定年まで郵便屋であり続けました。その選択は悔いのないものでした。

 この国はいま、2020東京五輪的、天皇代替わり的翼賛国家めざして突進しています。いくつもの分かれ道を悪い方向ばかり選択し、こんなところまで来てしまいました。これは自公連立政治の結果ですが、その悪行を許したのは〝日本人〟と称される人々の無関心でした。

 毎週金曜日、抗議行動で関西電力本店に行く途中に道路を左右に分かつ奇妙なビルがそびえています。横尾忠則的Y字路ですが、ここを右にそれて行くと関電本店前に至ります。その関電は、3・11で大きな岐路の立たされました。原発頼み経営の路線変更も可能だったのです。東電がこけて、電事連の会長になった八木誠関電社長(現会長)は、思慮なく原発再稼働の旗振りをし、関電はさらに深く泥沼にはまり込んでいます。

 わかれ道は人生そのもの、その選択、集積が現在の社会を形成しています。だからこそ私たちは、思慮深い選択をし、その結果に責任を持ち、さらに明日をめざすのです。横尾忠則氏が描くさまざまなY字路は、その先に何があるのか興味をそそります。人生もまた、選択の先にある何かをめざして、何歳になってわくわくしたいものです。 (晴)

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