ワーカーズ650号 (2024/1/1)
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平和な世界を目指して、核兵器禁止条約・国連憲章を守ろう
ロシアによるウクライナ侵略とイスラエルによるガザへの無差別な攻撃など戦争が続いている中、岸田内閣は不祥事まみれ、相次ぐ辞任劇が繰り広げられました。信用はガタガタ落ちて、土台はボロボロです。そんな中でも岸田政権は戦争国家作り目指し、憲法改悪の舵を握ったまま突き進もうとしています。
ウクライナ侵略を続けるプーチン大統領が核の威嚇を繰り返し、イスラエルのアミハイ・エリヤフ遺産相がガザへの核使用を「選択肢の一つ」と発言したことで二つの戦争から核戦争の危険を感じています。イスラエルのアミハイ・エリヤフ遺産相は、この発言で職務停止処分になりました。
岸田政権は、核兵器搭載可能な巡航ミサイル・トマホークを三千五百億円かけて四百発購入しています。さらに、国産の長距離ミサイルの開発も計画を進めています。
自衛隊は、核軍事戦略を持つ米軍と共同作戦訓練を繰り返しています。沖縄・南西諸島で自衛隊ミサイル基地を強化し、発射の準備を進めています。日本がアメリカの防波堤のように感じます。また、辺野古基地の軟弱地帯の工事を強行するように国が沖縄県に裁判闘争で命令する異例な事態が進められようとしています。
その中で、自衛官の応募が減る中、隊員確保のために、子どもたちに自衛隊の職業体験をすすめ、地方自治体に若者の名簿提供を求めています。岸田政権の取組が、戦争に向けて準備をしているように感じてしまいます。
私達は声を大にして、平和への道を目指して連帯していかなければなりません。岸田政権がしようとしていることを、色々な動きに対して反対していかなければなりません。戦争放棄を掲げている日本国憲法を守っていくためにも、岸田内閣の憲法改悪は認めるわけにはいきません。
私達が望む平和への道は、核兵器禁止条約(核兵器を禁止することを、二千十七年に国連総会で採択され、二千二十一年に一月に発効した国際条約)を守ること、それに日本が参加すること、紛争の平和的解決を掲げた国連憲章(武力による威嚇または武力の行使を禁止)を守ること、そうすれば戦争はできません。
私達は、この世に生まれてきて、色々な出逢いがあり、楽しみがあり、感動があり、大切な人生を歩んでいく権利があります。そのことを守っていくためにも、さまざまな矛盾点を語り合い、仲間と平和を守るために、地道に色々な運動を取り組んでいきたいと想います。(宮城 弥生)
シオニズムと闘うために
■「川から海へ」土地を分かち合うパレスチナの歴史的闘争
ロンドン、ニューヨーク、チュニスからローマまで、そして日本を含む世界中でイスラエルのガザへの容赦ない爆撃を終わらせる停戦の呼びかけが、「川から海まで、パレスチナは自由になる(From the river to the sea, Palestine will be free!)」というスローガンとして表現されました。「川から海へ」とはすなわちヨルダン川から地中海への解放を呼びかけるスローガンです。パレスチナの旗を振る群衆にとって「世界中に響き渡るこの聖歌は、パレスチナの歴史的な土地における抑圧からの解放への願望を表現しています」(アルジャジーラ)。
しかし、この言葉をハマス寄りと決めつけるイスラエルとその支援者によって、それは反ユダヤ主義を帯びた暴力への呼びかけであり「ユダヤ人を海に追いやる」「大量虐殺」の呼びかけであると攻撃されているのです。
この反動の嵐によりイギリスの堕落した労働党は、親パレスチナの集会での演説で「川から海」という言葉を使ったとして、アンディ・マクドナルド議員を制裁処分にしました。米国ではアメリカ議会で唯一のパレスチナ人、ラシダ・トライブは、このスローガンを使用したとして、アメリカ議員の大多数によって投票で非難されました。非難決議は、この文言を「イスラエル国家とその国民を破壊し、ヨルダン川から地中海に広がるパレスチナ国家に置き換えようとする暴力への大量虐殺の呼びかけ」と呼び「反シオニズムは反ユダヤ主義だ」と決めつけました。【米国および世界における反ユダヤ主義の激増を強く非難・糾弾する】《決議 2023.11.28下院決議》。トライブは、この恥ずべき中傷に雄弁に反論しています。
さらに親パレスチナ集会で「川から海に自由なパレスチナを」と語った米国のベテラン女優が映画界から追放されたと報道されています。ハーバードを含む14大学も10月の襲撃以降、教育省の差別調査の対象になり学長たちの辞任が相次いでいます。悪質な反ユダヤ主義の勃興(後で述べます)が事実としても、他方では赤狩りを彷彿とさせる言論狩りであり、これに反撃する必要があります。
■「川から海へ」の由来と意味
このスローガンの始まりは次のようです。1964年、ヤセル・アラファトの下、ディアスポラのパレスチナ人によって創設されたPLO(パレスチナ解放機構)は、ヨルダン川から地中海まで、その歴史的領土を包括する単一の国家の樹立を求めました。ロンドンの東洋アフリカ研究学院(SOAS)で法学を教えるニマー・スルタニー氏は、この形容詞は「歴史的なパレスチナのすべての住民の平等の必要性」を表していると述べました。しかしながら「アパルトヘイトとユダヤ至上主義を支持する人々は、平等主義の詠唱を不快に思うだろう」と(アルジャジーラ)。
つまり「パレスチナは一つであり、ユダヤ教徒もキリスト教徒もイスラム教徒も世俗的パレスチナで共に生きることができる」と言うことなのです。この文言は、「パレスチナからユダヤ人を追放する」などとは全く理解されていません。
ところがシオニスト党であるネタニアフのリクード党の党是を検討すると、彼らの「憎悪」が、政権による悪意ある扇動によって排外主義的へと膨張してきたことが分かります。
■イスラエルの解釈に見る「川から海へ」はユダヤ人の領土独占
ベンヤミン・ネタニヤフのリクード党はすなわちイスラエルの土地に対するユダヤ人の「聖書的権利」(アブラハムの約束の土地)を断固として推進してきました。「川から海まで」パレスチナの独占支配であり、ユダヤ人国家建設のために他民族、他宗教を抑圧し権利を制限することを国是・党是としているのです。「Free Palestine!」とはま真逆の思想であり実践なのです。
ユダヤ・バーチャル・ライブラリーによると、1977年のリクード党の当初の党マニフェストには、「海とヨルダンの間にはイスラエルの主権しかない」と述べられていました。また、パレスチナ国家の樹立は「ユダヤ人の安全を危うくし」、また「イスラエル国家の存在を危険にさらす」と主張しました。(アルジャジーラ)
多くのユダヤ人が、パレスチナ人の「川から海へ」のスローガンに反発と恐怖を感じるのは、ユダヤ人による支配権を奪い取るものだという固定観念があるからです。このように自らの狭い独占欲からしか土地や民族・宗教を考えられないことにより、自分たちの独占支配が崩されれば、支配され抑圧される立場に転落するという被害妄想的危機意識しか持ちえないのです。
だからイスラエル指導部にとって危機を煽るのはそれほど難しくないのでしょう、パレスチナ人の反抗や一揆があればしめたものです。彼らは二つの民族と宗教を操ります。ネタニアフ首相をはじめとするイスラエル政府や支配者層は、危機をユダヤ市民に煽ることで自らの私的権力欲を満たしてきたのです。世界で詠唱される「川から海へ」を利用してユダヤ人に恐怖を植え付けようとしています。かくしてシオニズムの克服はイスラエル人の最大の課題でもあるのです。
■欧米植民地主義者が、イスラエル人をパレスチナの地に導きいれた
シオニズム(Zionism)運動は、19世紀末から20世紀初頭にかけて、ユダヤ人の国家建設を目指す運動として興りました。この運動は主にヨーロッパで活発に展開され、欧米列強の思惑の下ユダヤ人国家の設立を支持する声が高まりました。
中東の石油とガスの商業開発、そしてスエズ運河の戦略的重要性によって、シオニズムとイスラエル建国問題は欧米列強の強い支持を集めるとともに、イスラエルは「アジアに対するヨーロッパの防壁の一部門であり、野蛮に対する文明の前哨基地としての役割を果たすものである」(シオニストの先駆者であるセオドア・ヘルツル)と主張され正当化されました。
第一次世界大戦中、1917年にイギリス政府はバルフォア宣言を発表し、ユダヤ人国家の建設を支持する立場を表明しました。この宣言は後のイスラエル建国の一翼を担うことになります。
第一次世界大戦後、イギリスはパレスチナを委任統治領として管理しました。しかし、アラブ人とユダヤ人の対立が激しくなり、この地域での国家の設立に向けた対立が生じました。
第二次大戦におけるナチスによるホロコーストを経て、国際的な支持を受けながらユダヤ人の入植が進みました。1947年には国際連合がパレスチナの分割案を可決し、1948年イスラエル国家の独立が宣言されました。
その結果、イスラエルの建国に反対するアラブ諸国との対立が激化し、アラブ・イスラエル戦争(1948年-1949年)が勃発。イスラエルはその後も領土を拡大しました。
■現代帝国主義イデオロギーとしてのシオニズム
パレスチナ人には、入植と虐殺を日常化しているシオニズムとその政権に反撃する権利があります。それは当然なことであるばかりでなく、それを支持することは国際的義務ですらあるでしょう。
考えてください、シオニズムは現代のプーチニズムとそれほど異ならないのです。プーチニズムとは大ロシア主義(小民族抑圧)と侵略主義、そして内部では縁故資本主義とシロビキと呼ばれる軍と国家保安庁に基づくプーチン体制のことです。しかし、この体制と思想に抗いに反対することが、「反ロシア主義」「ロシア人排撃」と全く異なることは明らかです。「反シオニズム」と「反ユダヤ主義」は明確に区別されるべきものです。
イスラエルのパレスチナでの非道さはすでに明らかなことです。土地の略奪とそれに伴うパレスチナ人の虐殺、抗議行動に対する大弾圧です。要するにパレスチナ全土の支配とパレスチナ人追放と殲滅=ジェノサイドにほかなりません。居住するパレスチナ人に対してはアパルトヘイト体制が覆いかぶさっています。これがシオニストの土地に対する「ユダヤ人の聖書的権利」でありシオニズムの神髄といえるでしょう。「川から海までユダヤ人が土地を独占する」と。
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ところが、すでに前述したように米国議会がイスラエルや一般の不明なイスラエル系住民の圧力でシオニズムとユダヤ主義あるいはユダヤ人とを同列視し、反シオニズム=反ユダヤ主義と「決議」してしまいました。この影響は少なくとも米国内では小さくないかもしれません。
一人を除く下院共和党議員全員が決議案に賛成票を投じました。さらに民主党はこの法案について意見が分かれ、13人が反対票を投じ、95人が賛成票を投じ、92人が棄権して「出席」票を投じた。つまり反シオニズム=反ユダヤ主義という誤った歴史的概念を勇気をもって見破ったのは米国議会で14人だけだったのです。これは惨憺たるものだと言わねばなりません。
反シオニズムは、シオニズムが現実に国家の建設を推進し、戦争ごとにパレスチナ人を駆逐し「領土拡大」を推進することに反対する立場です。例えば、イスラエルの建国過程においてパレスチナ人が影響を受け、不満や抵抗の意味で反シオニズムの立場をとりますが、それは自分たちの家族と生活を守る闘いなのです。要するに反シオニズムは、イスラエルによる侵略戦争に抗議する闘いと同じことです。またユダヤ教の一部のラビ(聖職者)たちは教義の解釈から「反シオニズム(イスラエル建国反対)」を明確にしています。だから、反シオニズムが反ユダヤ主義ではありえないのです。歴史的に異なった概念です。
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言うまでもありませんが、反ユダヤ主義は、ユダヤ人に対する差別や偏見、敵意を指します。これは宗教的、人種的、文化的な側面からくるものであり、ユダヤ人全体に対する否定的なステレオタイプや攻撃的な態度を包括します。一種のレイシズムでありヘイトクライムであるので、断固反対すべきものです。反ユダヤ主義は歴史的に広く存在し、ユダヤ人に対する迫害やホロコーストなどの惨事がその極端な形態です。このことは理解されるべきですが、だからと言って「反シオニズム」の旗をあいまいにすべきではありません。
要するに、反シオニズムはシオニズムの侵略主義とその正当化イデオロギーに対する反撃であり、それが反ユダヤ主義を含むものではありません。現代の反シオニズムは、バレスチナ人への支援であり、イスラエル国家の暴虐と侵略主義と闘うスローガンなのです。
本節冒頭、プーチンが、どんなにロシア文化の遠大さや深遠さや普遍性を論じたとしても(それは自由だが)、結局はチェチェンの分離独立運動を弾圧したり、ウクライナの領土併合を正当化し、それを武力で実現しようとするものであれば帝国主義イデオロギーであることは明らかでしょう。そのように現代のシオニズムは、どのような宗教的粉飾を施しても、悪質で残忍なありふれた侵略主義思想に他ならないのです。
パレスチナの土地の独占と、先住民の追放ないしはアパルトヘイト的な抑圧にまい進する現イスラエル政府と、他方の、多民族・多宗教の住むパレスチナを目指す「 Free Palestine!」のスローガン。とすれば人類の目指すところは後者にこそあるはずです。(阿部文明)
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パレスチナ・対立の連鎖をなくすために、協同社会の実現と公平な経済活動の実現と交流を。
イスラエルとパレスチナのガザ地区を支配するハマスによる戦闘でハマス側の投降者の裸姿の写真を見てナチ党(第二次世界大戦中の国民社会主義ドイツ労働者党)のユダヤ人に対するホロコーストを思い出した。
ホロコーストとは、1933年ヒトラーが率いる国民社会主義ドイツ労働者党(ナチ党)の権力掌握以降、ドイツ国(ナチス・ドイツ)では「ヨーロッパにおけるユダヤ人問題の最終的解決」を行おうとする動きが強まり、反ユダヤ主義が国是となった。ナチス・ドイツは第二次世界大戦勃発後、ポーランドをはじめとして東欧諸国やフランスに侵攻し、占領地としたが、占領地の中で特にユダヤ人や共産主義者に対する迫害が行われ、ドイツ国内や占領地のユダヤ人を拘束し、強制収容所に送ったのである。こうしたユダヤ人などに対して組織的に行った絶滅政策・大量虐殺行為のことである。
収容所では強制労働を課し労働を通じた絶滅を行い、また、占領地に設置された絶滅収容所では銃殺、人体実験、ガス室などの殺害も行われ、1941年12月以降は絶滅収容所の導入など、殺害手段が次第にエスカレートしていった。親衛隊は強制収容所の管理を担い、各地でユダヤ人狩りを行ったのである。
ホロコーストの経験をへたユダヤ人の国であるイスラエルが、パレスチナの人々にホロコーストまがいのことをやっているとは、ところや立場が変われば人間とはこういうものだと思いたくはないが、今のイスラエル国家はパレスチナ地域におけるユダヤ人以外の民族の排除と根絶をもくろんでいると思われても仕方のないことなのだ。
欧米の支援もある中でイスラエルはパレスチナ地域で建国し、以来イスラエル国を守る名目でパレスチナ地域での入植地の拡大を図ってきた。結果、今やパレスチナ全域にいたパレスチナ人はヨルダン川西域とガザ地区に押し込まれ不安定な出稼ぎ労働に頼るかつてのユダヤ人が経験した「放浪の民」化してその生活を送っている。
パレスチナ人の反抗はこうしたイスラエルの侵略行為に対するものであり、それを理解する必要がある。侵略行為やパレスチナ民族の排除や根絶を目指した虐殺行為では報復の連鎖を生むだけで問題の解決にならないことは歴史が証明している。
ユダヤ人もパレスチナ人も協同で生きる道を見つけるべきであり、そのための第一歩として、互いの民族を認め合い、公平な経済活動を通じて交流を深めていくことではないだろうか。
ユダヤ人やパレスチナ人が創る協同社会が、地球上で行われているこうした民族紛争の解決の先駆けになることを祈るばかりである。(光)
ガザ・パレスチナへの侵攻に「家族デモ」で停戦訴え
昨年は、長引くウクライナとロシアによる戦争に続き、10月に新たにイスラエルによるガザ・パレスチナへの侵攻が始まりました。今や、アメリカやヨーロッパ諸国が武器を供与することで、戦争が維持されていることは、誰の目にも明らかです。国連安保理の会議では、ガザへの攻撃を停戦させる決議に反対するのは13ヵ国中、アメリカとロシアです。それなら、戦争終結に向けた外交努力を日本政府が買って出るべきではないでしょうか。
表題の「家族デモ」ですが、神戸新聞の昨年12月14日に紹介されたものでした。私がその記事に釘付けになったのは、子連れで頑張る女性の姿だからでした。そこには、プラカードを持つ女性とその横でベビーカーに乗った1歳の長女が、赤い帽子とコート姿で写っていました。神戸市東灘区出身の女性は、夫も加わり10月22日から神戸・三宮に立ち、ガザ停戦を道行く人に訴え続けています。嬉しいことに、SNSを見て毎回数人が駆けつけてくれるようです。
7年前、パレスチナ出身の知人とドイツの首都ベルリンを旅行したとき、「ガザの壁はもっと高い」と聞き、「パレスチナで起きていることを知ってほしい」とも訴えられた事が原点となったのでした。何か行動を起こそうとしても、仲間を募ったりと準備に時間がかかります。家族から、友達から、職場で気が合う人なら、小単位で手作りのプラカードで意思表示を始めましょう。
私たちは、12月17日に西宮市で活動している4団体70人で、ガザ停戦に向けた反戦パレードとアピールを、街ゆく人に訴えました。パレスチナの旗は風になびき、横断幕の日本政府へのガザ停戦への要請は、きっと目に止まったことでしょう。12月10日の「世界人権デー」には、日本政府に対してイスラエルに完全停戦を求めるよう要請する「全国一斉アクションDAY」が呼びかけられ、大阪で元気な声が響きわたりました。抗議のデモは後を絶たず、各地で自主的に結成され訴えは年末にも続けられました。
12月14日には、知人女性ひとりの呼びかけから、西宮でガザ・パレスチナの現地を知る映画上映が実現しました。監督は1988年からガザを訪れている古居みずえさんで、2009年の頃の日常的に攻撃をされるなか、ガザの女性たちがたくましく生きる姿を映していました。その映画上映は、監督の無料貸出で上映参加費はガザへの支援金とされ、神戸や尼崎でも行われました。
テレビで映し出される被害の状況は、遠くかけ離れた地での出来事ですが、「ガザの人は今の瞬間でも命を落としている」ことを胸に刻んで欲しい。そして、まずはプラカードを作り、意思表示の場に足を向けましょう。今年の第一歩として。(恵)
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カネに物言わす政治=“私的利益”優先の歴史的悪政を絶つ為に、大衆的な活動に立ち上がろう!
自民党の政治資金パーティー収入の一部を裏金した事件(政治資金規正法違反=不記載・虚偽記載)は自民党安倍派の鈴木淳司議員がパーティー収入のキックバックは政治の世界の「文化」との認識だったと明かしたように、政治とカネの問題はつきもので当たり前、日常行為として行われうるものであり、汚職事件やその懸念・疑惑が繰り返し行われていることを明らかにした。
そもそも政治資金規正法はそうした裏金作りや汚職事件を防ぐ為に作られたものだが、そうした類の法政は事件が発生するたびに改正されてはきたが、それをザル法と化したのは、その時々の時代を牛耳る政治家たちだ。
政治家全てが悪いというわけではないが、政治家たちが“私的利得”に落ちらざるを得ないのは今までの社会そのものが“利潤追求”を目的としたものであり、資本主義経済にあっては資本家たちの“利潤追求”が優先されて、そのおこぼれを労働者大衆に振り分けるという政治・経済ゆえと言うべきであろう。
アベノミクスは第2次安倍内閣が掲げた経済政策であり、「デフレからの脱却」と「富の拡大」を実現するために、大胆な金融政策・機動的な財政政策・民間投資を喚起する成長戦略の3本の矢を政策として掲げ、国家資金による経済の活性化によって景気を回復させてそのおこぼれを大衆に還元しようとするものだが、岸田政権も又基本的にはそれと同じでまずは経済の活性化=資本の利益が優先され、その上でそれを補完する意味で労働者の生活向上と言うより、過剰化した生産物の消費やデフレを防ぐために賃上げが必要とを言ってるわけだが、自民党をはじめとする多くの政治家は企業=資本あってのことであり、その存在や繁栄以外無いものとして決めつけ、資本の“私的利益”を優先するが今の政治なのだ。
“私的利益”が優先される社会だからこそ“私的利益”を求め法の網をすり抜けたり、犯罪さえ犯してまでそれを得ようとする行為はあとを絶てないのである。
社会生活の向上はなにも企業=資本がなくても労働者大衆による協同社会でもできるし、大衆的な協同社会ゆえに、公平でより社会的な生活向上が図れるはずである。
水戸黄門漫遊記は悪徳代官や悪徳商人を葵のご紋をつけた印籠をかざし懲らしめる作り話だが、個人的利得を得るために大衆や庶民を苦しめ、賄賂や暴利を得ようとした悪徳役人や商人が過去や現代でもいること、それらの不正を暴き正す正義が必要なことだと語っているが、葵のご紋入りの印籠をかざす徳川幕府の権威にすがったやり方は権威(時の政権)そのものは絶対的に正しくそれによって正されるべきものと徳川幕府を擁護することになる。しかし、悪徳行為が行われているのはまさに徳川政治の中で起きており、権威そのものが腐敗を生む温床を抱えており絶えずぶり返す悪徳行為に権威を持ち出したところで、悪徳代官・商人を懲らしめる痛快感があったとしても葵の権威の世の中は悪徳行為が蔓延している世の中だったと思わざるを得ないし、そういう世の中を形成している権威では悪徳行為はなくならないと言うことだ。
権威にすがった悪人倒しや一時のガス抜き痛快感でよしとするなら世の中の悪がなくなるわけもなし、世の中何も変わらないだろう。
現代日本の議院内閣制は、議会における多数党によって内閣を組織し,国会の信任を受けて成立し内閣は国会に対して連帯して責任を負うという統治機構システムのことだが、議会議員を選ぶのは有権者=国民大衆なのだから、この中で政治家の汚職や悪性を正すことができるのは議員を推しだした有権者=国民大衆である。
悪徳政治や利権政治を許さない一般大衆の怒りこそ政治家という権威に対抗する力であることを今こそ示す時ではないだろうか。岸田内閣退陣と国会解散総選挙を要求しストライキやデモ行進・集会など大衆行動で立ち上がろう。 (光)
万博もカジノもいらん! 税金は住民生活に使うべき!
2025年に開催予定の大阪万博の開催費用の全体像が判明しました。会場建設費や「日本館」の整備など、国費負担の総額は1647億円です。万博に直接関係するインフラ整備費は国費負担を含め計8390億円にもなります。あわせて1兆円超の負担を背負わされる我々住民にとっては、たまったものではありません。
1647億円の内訳は、国と大阪府・市、経済界が3分の1ずつ負担する会場建設費783億円、日本館の整備費360億円、途上国出展支援240億円、警備費199億円、機運醸成費38億円、誘致費用27億円です。インフラ整備費8390億円のうち「会場周辺の整備費」が810億円、「会場へのアクセス向上費用」が7580億円を占めます。
こうした直接経費に加えて間接経費もひっくるめると、インフラ関連費用は計9.7兆円に達します。さらに会場内で運航予定の「空飛ぶクルマ」の実証など、各省庁の万博関連の事業費は3.4兆円と見込まれています。
政府は近く関連事業を含めた費用の全体像を示す方針で、透明性を確保するために第三者委員会の設置を調整中です。しかし、いくら取り繕おうと盛り上がりは全然ありません。
毎日新聞の12月16、17日実施の世論調査によると、万博のチケット(7500円)について「購入したいと思う」がわずか10%だったのに対し、「購入したいとは思わない」がナント79%です。
赤字必至の状況に、旗振り役の吉村大阪府知事は逃げの姿勢です。「最後まで責任を持って(万博を)やりたい」とテレビで豪語してきたのに、12月14日の会見では、赤字に陥った際の対応について「万博は国主催の事業ですから、国主催の事業で国が赤字を補填しないと言っている運営費を大阪府・市が負担するのは明らかにおかしい」などと主張し、やたら「国の事業」と言っていました。
一時は自身のX(旧ツイッター)に頻繁に投稿していた万博による経済効果の試算額(2.4兆~2.8兆円)にも触れなくなりました。
それでも万博をやろうとしているのは、2030年に開催予定のカジノをやりたいからです。万博もカジノも場所は人工島夢洲です。カジノだけだったら、こんなにお金はかけられません。だから万博が必要だったわけです。
万博とカジノ、同じ人工島夢洲での開催を予定していますが、夢洲は、集客施設を絶対に作ってはいけない場所です。
それは、夢洲はごみの最終処分場のために作られた人工島なので、有害物質を含む川底の泥や建設残土、産業廃棄物などが埋まっています。夢洲全体が有害重金属で汚染されているため、大阪市はIRカジノの敷地の土壌汚染対策工事を計画しています。万博の建物を建設する場合も、2.5m以上の掘削ができません。
万博やカジノへ行く人で、自動車でのケースでは、その駐車場は有害物質PCBの袋1万袋が埋められている場所で、PCBを土で覆いコンクリートで固める計画です。そこにみんな降り立ちます。
万博の開催期間は、梅雨や台風による自然災害の多い時期です。夢洲は大阪湾上に位置し、災害を受けやすい地理的条件です。また、南海トラフ地震の発生予測は10年以内30%、30年以内70~80%とされています。埋め立て地なので液状化被害が出る可能性が大きいです。
自然災害が起きたときの避難はうまくいくのでしょうか。夢洲には避難路が2ルート(橋とトンネル)しかありません。一日あたり約15万人の入場者予測ですが、とても2ルートだけでの避難は不可能ですし、今まで橋は強風で、トンネルは冠水で通行不能になっています。 橋やトンネルが使えないと生活物資が途絶える文字通りの孤島になってしまいます。
以上見たように、カジノも万博も費用も莫大だし安全性にも問題があるので、どちらも中止にするべきです。そのために、奮闘していきます。(河野)
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韓国ユン大統領「第三者弁済案」の挫折
日鉄・三菱重工は強制動員被害者への損害賠償に応じよ
韓国最高裁2部(主審:イ・ドンウォン最高裁判事)は21日、1940年代に強制動員され、労役に苦しんだ被害者と遺族が日本製鉄(旧新日鐵住金)と三菱重工を相手取って起こした損害賠償請求訴訟2件で、上告を棄却し原告勝訴判決を下した原審を確定しました。
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この判決は、あらためて韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権が推進している「第三者弁済」の不合理性を暴露した形です。これは日帝強占期(植民地時代)の強制動員被害者に対する賠償問題の解決策として押し出されました。この案によれば、最高裁判決によって賠償責任を負った日本の加害戦犯企業(日本製鉄(旧新日鐵住金)と三菱重工)の「債務」を第三者である韓国の日帝強制動員被害者支援財団が引き受けます。そして、1965年の韓日請求権協定で恩恵を受けたポスコなどの韓国企業から寄付金を集め、それを被害者に支給するというものです。このように、「第三者弁済」は被害者への支援と日韓関係の改善を一見目指すものに見えます。
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しかし、果たしてそうでしょうか。最高裁の最終判断は、「韓日請求権協定で強制動員被害者の損害賠償請求権が消滅したわけではない」として日本企業への賠償義務を明確にしたものです。尹(ユン)政権が一方的に推し進める「第三者弁済」が司法府の判断に真っ向から反することを再確認したわけです。「60件余りに達する他の強制動員訴訟の勝訴の可能性も高まり、第三者弁済案にも赤信号が灯った。日本の戦犯企業の賠償金を肩代わりするために作った基金が償金額総額にはるかに及ばないためだ」(ハンギョレ新聞)。尹(ユン)大統領が司法府の判断を無視し、被害を軽く見積もり対策もなくいい加減な「手打ち」でしかない第三者弁済を推し進めたことは明らかです。
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尹(ユン)政権による、戦前の日本植民地政策に対する「寛大主義」は、慰安婦問題についても、日本政府との合意を「尊重する」と表明し、再交渉を否定しました。さらに福島原発事故や大量の汚染水の海洋投棄に対する迎合的態度にも表れています。このような尹(ユン)大統領の思惑は日本政府への貸しを作ることであり、日韓軍事同盟へとつなげようとするものと考えられます。歴史問題を深く理解せずに安易な政治的処理で済まそうという姿勢は、日韓の国民の長期にわたる真の和解にはならないと考えるものです。(B)
労使関係での攻勢へ踏み出そう!――政権危機から政治刷新・体制変革へ――
岸田政権の足元が揺らいでいる。内閣支持率は、底なしの水準に落ち込んでいる。
とはいえ、政権危機にあっても、政権交代の機運が拡がっていない。
そんな政治の閉塞状況を根本的に打破し、新しい時代を切り開いていくためにも、斬新な対抗運動、対抗勢力の拡大をめざしていきたい。
……………………
◆政権危機の閉塞状況
岸田政権が危機に陥っている。
軍事費や子育てでの大増税や派閥の裏金づくりという政治腐敗で、内閣支持率は急落。普通だったら政権危機、政治危機だ。が、自民党支持率も下がっているとはいえ、立憲民主党の支持率も一桁台に低迷、政権交代の気配もない。
それもこれも、日本の階級構造・政治構造が揺らいでいないからだ。なかでも、体制維持の基盤となっている労使関係が、資本・経営者優位で揺らいでいない。
諸外国では、労働者のストライキや直接行動も拡がっているのに、日本では、少数の組合や市民運動はそこそこ頑張っているが、連合に代表される大手組合など、組織をあげて資本や政権と対峙できていない。
そんな状況では、岸田内閣の危機が自民党政権の瓦解につながらず、あるいは岸田内閣が倒れても、表紙だけ変えて自民党政権が続くか、あるいは目先を変えて、自公国や自公維国政権など疑似自民党政権が続くことにしかならない。
要するに、岸田内閣の危機、自民党政権の危機が、新たな政治刷新や体制転換につながらないという、閉塞状況が続いているわけだ。
◆せり上がらない対抗勢力
岸田内閣の支持率が急落しているとはいえ、野党第一党の立憲民主党への支持も拡がっていない。なぜなのだろうか。
言えることは、現在の立憲が、かつての民主党と比べても、自民党に対するオルタナティブ(対抗勢力)になっていないという現実がある。
例えば、自民党に取って代わった旧民主党政権の初期。鳩山政権が掲げたスローガンは、コンクリートから人へ、子ども手当、普天間基地を国外・県外へ、脱原発、東アジア共同体構想などなど、旗印としては、自民党政治へのそれなりのオルタナティブを掲げてはいた。
が、旧民主党政権は、それを現実のものにする手立てと足場づくりを欠いていた。自民党政治の岩盤となっていた利権構造と官僚政治の打破を掲げたまでは良かったが、それを打破すべき、労働組合など大衆組織を体制変革の基盤とすることに失敗してきた。
その後復活した自民党政治に対し、現在の立憲民主党は、安保・外交政策での日米同盟路線、経済成長路線への対抗策の欠如、再配分政策での消費税の追認、連合依存による労使関係の階級的再編の放棄等々、自民党政治への対抗路線はまったく見えない。
加えて、野党第二党、第三党が、自民党以上に右派といえる日本維新、それに自民党別働隊とも言える連合右派を基盤とする国民民主党だという現実。これこそ、自民党政治の刷新が現実の課題として浮上する気配を感じさせない背景だ。
目の前の政権危機、政治危機が、新たな政治体制や経済システムへの転化に繋がらない最大の要因は、現状の政治・経済構造を支える企業、職場の労使関係にある。
確かに国会での与野党の攻防や、メディアによる政権監視などは存在する。が、それだけでは政治変革や体制変革に繋がらない。資本主義システムを支える労資関係、すなわち職場・地域での労資のせめぎ合いという実態がないからだ。要は、〝観客民主主義〟の範囲に収まっているのだ。
だから、国会内の党派抗争やメディアの政権批判があっても、それだけでは政権交代に繋がらないし、現実の資本主義体制はびくともしない。
それを象徴的に示した歴史的事例がある。それは〝桜田テーゼ〟だ。
◆階級支配の安定帯――〝桜田テーゼ〟
〝桜田テーゼ〟とは、70年代中頃の石油ショックやロッキード事件による経済・政権危機に際し、職場の労資関係が安泰であれば、政府危機に際しても、資本による労働支配という階級関係は安泰だ、という《定立》《命題》のようなものだ。
これを発したのは、当時の日本経営者団体連盟の桜田武会長だった。桜田は、戦後日本の混乱した経済界を、新進の経営者として経営者優位の労資関係を作り上げた戦後における戦闘的経営者の代表格だった。
〝桜田提言〟は、ロッキード事件で田中角栄前首相が逮捕された際に「政治危機にあっても、検察・警察・裁判所や要所の官僚機構がしっかりしていれば、また、職場を基礎とする労資関係が安定していれば、その危機は乗り越えられる。」という主旨のものだった。
普通、社会生活の根底を揺さぶる大事件や対立抗争が起きた場合、事の推移によっては、大きな政治構造の転換をもたらす。その動揺や抗争が、政権内や与野党間の国会での抗争に終始し、肝心要の労資関係や大企業中心の秩序が動揺しなければ、資本の支配体制そのものは安泰だ、という見立てだ。
実際に、ロッキード事件は、その中心人物だった前首相の逮捕にまで至ったが、自民党政治自体に致命的な打撃にはならず、当時の三木首相など、表紙を変えただけの自民党政治やその亜流政治が続くことになった。要するに、〝桜田テーゼ〟は〝階級支配の要諦〟を掲げた提言だったのだ。
付け加えれば、桜田は、その前後にも「健全な労資関係(=労資の支配・従属関係)こそ社会の安定帯」との観点から、自民党の別働隊となる当時の「民社党」の設立資金を提供したり、総評に対抗する当時の同盟(全日本労働総同盟)にテコ入れしたりしてきた。それは現在の国民民主党や民間大労組の連合右派に引き継がれる系譜でもある。
◆《連合》は安定帯そのもの
支持率下落続きの岸田内閣。対する野党の支持率が伸びない最大の要因は、自民党政治に取って代わる対抗戦略を打ち出せないこと、とりわけ自民党政治に対する最大の対抗勢力になるべき最大のナショナルセンターの連合の性格、立ち位置の問題がある。
本来であれば、他の資本主義諸国でも、野党の最大の支持団体である労働団体が大きな役割を担ってきた。それが、日本の連合にはまったく当てはまらない。むしろ連合は、企業の職場支配の道具として、日常的に企業に従属した存在に成り下がっているからだ。
日本の労働組合の歴史をざっと振り返ると、戦後混乱期の労組運動の高揚期、戦後復興初期の労組再編機、高度経済成長期での戦闘的労組から労資協調の労組への再編期、という流れになる。
その再編劇は、文字どおり、企業権力による戦闘的労組の解体であり、その手法は企業の別働隊としての会社組合を先兵とした産別労組の解体だった。そこでつくられたのが〝企業内従業員組合〟という形の御用組合・会社組合だった。
その御用組合・会社組合の第一の役割は、戦闘的な、あるいは共産党系を含む独立系の労働組合の浸食を阻止することだった。現に高度成長期の初期では、〝平時の分裂〟という会社側の露骨な介入による組合分裂攻撃が相次ぎ、当時の産別労組は解体に追い込まれた。
そんな経緯もあって、現在の民間大手組合など、賃上げは言うに及ばず、日本最大の会社であるトヨタなど、組合人事や国政候補者の人選まで会社側にコントロールされているにが実情だ。
◆ストライキ再興の兆し
日本でも高度成長期の終焉にともない、労働者の組合への組織率や争議件数が減ってきた。他の先進諸国でも同じ傾向だが、日本はそれが際立っている。
最近では、22年の組織率は16.5%、75年には5000件を超えていたストを伴う争議件数は、21世紀に入ってはほぼゼロに近いまで激減したままだ。長期間にわたって争議など経験したこともない組合員が増えたことで、いまでは労働者が団結してストライキを行使する、という機運すらほぼなくなってしまっていた。それが最近では、限られた少数であっても、これまでに無いストライキが闘われ、それが成功する場面も多くなってきた。
米国では、コロナ禍のさなかにあっても、賃上げを求めるストライキが多数闘われていた。昨年、その米国で世界から注目されたのが、全米自動車労組(UAW)が行った賃上げを求めるストライキだ。
UAWは、4年間で40%の賃上げを求め、9月15日から拠点を拡大しながら一ヶ月以上闘ったストライキで、4年間で25%の賃上げを勝ち取った。その時点での為替レートで時給約6千円、年収では1200万円超だとされた。
UAWなどもそれほど戦闘的な組合というわけでもなかったが、いざ賃上げともなれば、それなりに力を発揮する。その理由は、高い物価上昇と、UAWが産業別組合だったことに尽きる。実際、今回のストは、ゼネラル・モーターズやフォード・モーター、それにステランティスという、米国のビック・スリーという大手自動車会社を中軸とする多くの企業を束ねる産業別労組によるものだった。産別労組は、個別企業に対し、それなりの交渉力を持っているのだ。
日本でも、近年、多くの非正規労働者や中小の職場で、ユニオン型労組による多様なストライキが闘われてきた。昨年注目されたのが、東京の西武百貨店のストライキだ。
このストライキは、池袋西武百貨店が、外資系ファンドに買収されることが採決される当日に行われた。そのストライキは、一日だけの〝抗議スト〟だったが、豊島区等も懸念を表明したように広く共感を呼び、また競合他社の労組との共同会見も行われた。池袋駅前での競合他社の組合員も参加したビラ配布も、好意的受け止められたという。一時の〝産別行動〟だった。
かつての国鉄ストなど、利用者などから〝迷惑スト〟等の批判も浴びた。が、今回のストでは、人減らし解雇も想定されたストだったこともあり、百貨店利用者からも同情が寄せられた。雇用情勢や生活苦など労働環境が悪化する中、ストライキに対する見方も変わりつつある。
◆まっとうな労組への変革
変化の兆しが見えてきた、と言っても、それはまだ大きなうねりにはなっていない。
それを創りだすには、大企業労組=連合の解体とまっとうな組合への刷新・再組織化だ。それに非正規労働者など、使い捨てにされてきた膨大な数の人たち自身による決起と周囲の支援の拡大を追及すること、この二正面の闘いを前進させることが不可欠だ。
そのための足がかりは、同一労働=同一賃金をはじめとした《均等待遇》の実現をめざす共同の取り組みの拡大だ。この取り組みは、企業に従属する企業内従業員組合から産業別組織への転換への取り組みにもつながる。
これらの課題は簡単なことではないが、多くの労働者の共同行動と、個別企業の壁を越えた連携の積み重ね、非正規労働者への支援と協力で、着実に前進させる以外にない。
22年の『ワーカーズ』1月号では、アソシエーション革命への基本的な考え方と展望を提唱してきた。そうした戦略的な課題に接近するためにも、企業や産業内での労働者の力と存在感と高めることが、これまで以上に大きな課題になっている。(廣)
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コラムの窓・・・上脇博之さんのことなど!
自民党派閥の裏金告発が強制捜査に発展し、支持率が10~20%台へと転落した岸田政権はいつ倒れてもおかしくないところまで追いつめられています。告発したのは誰か、バンダナ姿が特徴の神戸学院大学大学院教授の上脇博之さんです。
第22回全国市民オンブズマン兵庫大会が神戸で開催されたのは2015年秋、会場は神戸学院大学ポートアイランドキャンパスでした。そして、記念講演「政務活動費の政治資金化について」を行ったのは上脇教授でした。今となってはその講演の内容は分かりませんが、大会宣言には次のような言葉があります。
「元兵庫県議会議員の号泣会見で注目が集まった政務活動費は,その後全国ででたらめな使途が次々と報道され,神戸市議会では自由民主党が同一会派に所属していた議員を刑事告発する事態にまでなりました。私たちは,これまでの大会でこの問題を指摘し取りあげてきましたが,本大会では,政務活動費が本来の調査研究に使用されていない実態が改めて明らかとなり,政務活動費が適正に使用されるための方策について制度の抜本的見直しも含め様々な議論を行いました」
これを契機に政務活動費支出の公開が進み、今では多くの自治体で領収書等のネット公開が実現しています。その間にはあらゆる不正、観光旅行、年度末の大量切手購入、領収書の偽造、何でもありでした。これら不正を明らかにしたのが情報公開請求であり、隠された情報を白昼に引きずり出すことでした。
朝日新聞記者として「永遠の化学物質」を追った諸永裕司さんは、取材の過程で公務 員が情報を隠し、ウソをつく姿をいやというほど見せつけられています。例えばこうです。
「それにしても、公務員がこれほどあからさまな嘘を、理屈のつかない説明を堂々と口にして、そのまま通せると考えていたことに唖然とする。時折、国会でも見かける光景とはいえ、隠蔽体質という言葉ではもはや及ばないほど、行政組織は深いところから根腐れしているのではないか」(「消された水汚染」65ページ)
さて、上脇教授はいつだったか西宮で講演を行ったことがあります。その際、会館内のレストランで同席し食事を共に、少し話もしました。上脇教授の手法はまるでオンブズマンの手本のように、徹底的に情報を追い、分析し、不正をあぶり出す、そして告発する。マスコミがこれをしっかり受け止めて報道すれば、その仕事は有益な効果をあげるのですが、検察や裁判所がその役割を果たさなければ徒労に終わります。
市民が自治体の情報を求める時どうするか、当然その担当窓口に行くでしょう。しかし、情報は得られないだけではなく、へたをするとクレーマー扱いされます。この点、オンブズマンならまず情報公開請求を行い、2週間後にはほぼその情報を手にすることができます。今では1枚10円のコピーではなく、電子情報として得られる自治体もあります。
公務員はその性格上、責任を負うようなことを避けるために情報提供を避けようとします。そのためにはウソをつくことまでします。この点、情報公開制度はだれも責任を負わないで済みます。何とも情けないことですが、これが現状です。
裏金事件がどうなるのか、なんでもデジタル化だといって市民の情報を丸裸にしようという動きがあるが、都合の悪い情報は〝秘密情報保護〟言い、軍事(自衛隊)情報は敵にに察知されたら困るからやっぱり秘密、ついでに政治家の金使いも秘密、等々。2024年はそうした秘密の海に飛び込み、真実の島めざして泳いでみませんか。 (晴)
読書室 『自衛隊の闇組織 秘密情報部隊「別班」の正体』石井暁著 講談社現代新書 八百八十円
〇本書は、陸上自衛隊の秘密情報部隊「陸上幕僚監部運用支援・情報部別班」に関する本である。自衛隊は、冷戦時代から首相や防衛相(防衛庁長官)に知らせず、独断でロシア、中国、韓国、東欧など拠点を設け、身分を偽装した自衛官に情報活動をさせてきた。この驚天動地の組織実態を、元別班の関係者等、五十人以上に会って話を聞き、五年半の時間をかけて取材し、まとめられたものである。こうした石井氏の熱意によって日本政府が頑として存在すら認めない秘密組織は、ここに明らかにされたのである〇
本書は、二〇一八年十月に出版された。その時はあまりにも無視された存在であったが、ここに来て東京等の大型書店では平積みで本書が展示されているとのことである。
それもこれも本年七月から九月まで放映されたテレビドラマ「日曜劇場」の「ヴィヴァン(VIVANT)」の影響である。このヴィヴァンとは別班のモンゴル語での発音だという。
主人公は堺雅人が演じる乃木優助。設定では自衛隊の秘密組織「別班」のメンバーというもの。商社員の彼の活動は非合法で、日本の脅威を取り除く役目を背負って活動しているとの設定とその敵役として秘密組織テントの謎の頭目ベキが設定されたことにより、手に汗握る実にスリリングな展開が毎回あることで非常に緊迫感にみちたドラマとなった。
当然のことながらこのドラマに魅了された視聴者には、首相や防衛大臣も知らない自衛隊の組織「別班」とは何か、本当に「別班」は存在するのか、との疑問がわくことになる。
この十二月には、「別班」がどんな組織で、どんな歴史を持ち、実際のところ存在しているのかに迫るとして、『図解 自衛隊の秘密組織「別班」の真実』?(宝島社)が出版されたのであるが、やはり日本政府が存在を否定しているので本書に勝る本はないだろう。
本書の著者の石井氏は、二〇一三年十一月二十八日朝刊用に共同通信が配信した「陸上自衛隊が非公然の秘密情報部隊『別班』を独断で海外展開し、情報活動をしていた」と暴露記事を書いた。この配信は全国で三十一の新聞が一面トップ扱い、英語、中国語、ハングルで海外にも配電され反響は大きかったが、防衛省・自衛隊幹部は冷淡で厳しかった。
石井氏は、別班の活動実態が民主国家の根幹をなす文民統制の無視であること、そして当時の特定秘密保護法の成立に反対するための抗議として記事にしたのである。
こうした一連の取材で、陸上幕僚長、情報本部長という極めて責任が重いポストの経験者の証言によって、首相、防衛相にも知らせず別班が現在も身分を偽装した自衛官に海外で情報収集活動をさせている事実が明らかになった。本書はそこを深堀したものである。
さらにこうした活動の暴露とともに別班員に求められている非人間的な要請の暴露には驚かされる。彼らには自らの仕事内容を家族や知人に一切明かすことが許されない。それどころか、「年賀状を出すな」「防衛大学の同期会には行くな」など、他者との関わりを絶つよう、厳しく指示されるという。別班に入ると人生は変えられてしまうのである。
このように帝国陸軍から受け継いでいる別班という自衛隊の≪影≫の部分をあきらかにしていかなければならない、そしてその≪影≫を外科的に除去しなければならない、と石井氏がその鋭い問題意識から書かれたものが本書なのである。
そもそも別班があるのでは、と認識されたのは、一九七三年八月の金大中拉致事件がきっかけである。この国際拉致事件で事前に金大中の張り込みを担当したのが、「ミリオン資料サービス」のメンバーで、その所長は陸上自衛隊の元三等陸佐であった。この人物を評論家の藤島宇内が別班にいたと指摘したことで、初めて別班が認知されたのである。
事件発生から一年半後に共産党の衆議院議員だった松本善明宅に別班関係者からの内部告発の手紙が届く。共産党はこの手紙を手掛かりに別班長を割り出すと、在日米軍のキャンプ座間に通勤していることが発覚し、部隊はキャンプ座間にあることが確認された。そして別班員二十四人の住所、電話番号がついた名簿まで入手した。まさに快挙である。
こうした事実を基に共産党は、しんぶん赤旗に二百六十二回にわたって連載記事を掲載。その後、これらは『影の軍隊』(新日本出版社、七八年)で日本版CIAだと暴露されたのである。残念ながら、共産党は「影の軍隊」のその後を追求する本は出していない。
石井氏の本書は、暴露されたこの別班のその後を問題意識をもって追求したものである。
本書は、第1章 別班の輪郭、第2章 別班の掟、第3章 最高幹部経験者の告白、第4章 自衛隊制服組の独走、の4章構成で書かれている。
私たちは、本書の第1章別班の輪郭と第2章別班の掟を読めば、秘密の存在である別班の組織実態とその活動方針が確認できる。そして一・二年で交代する現職の防衛相には、その存在にすら教えないとの陸上自衛隊の徹底した秘密主義が暴露されているのである。
まさに帝国陸軍から引き継がれている≪府の遺伝子≫ではないか。こうしたことが、先に紹介した「日曜劇場」の「ヴィヴァン(VIVANT)」となっていった。私たちもこの事実を深刻に受け止める必要があると考える。そのためにも読者に一読を薦めたい。(直木)
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野古辺基地裁判の今と これからの反戦平和の闘い
■9月最高裁判所の不当判決
辺野古新基地建設を巡る沖縄防衛局の埋め立て変更申請について、国土交通相が県に承認を迫った「是正の指示」は違法な国の関与として県が取り消しを求めた訴訟の上告審判決で、2023年9月4日に最高裁判所は、県側の上告を棄却するという不当判決を下しました。事実上最高裁が、米軍辺野古基地建設を推進せよ、とお墨付きを与えたのでした。
辺野古基地建設は超軟弱地盤のためにこのままでは基地建設は継続できなくなり、かつ膨大な建設費に膨れ上がる恐れがある「地盤改良工事」への設計変更は、どんな公益性もなく、どんな合理性もない無謀なものなのです。しかし、この前代未聞の判決により、県側の敗訴が確定しました。
■代執行訴訟
沖縄県名護市辺野古の新基地建設を巡り、国は、沖縄防衛局の埋立変更承認申請について、県が不承認としたため、2023年10月5日に、代執行訴訟を提起しました。代執行訴訟とは、地方自治体の事務が法令に違反し、代執行以外の方法では是正が困難であり、放置すると著しく公益を害することが明らかな場合に、国が地方自治体に代わってその事務を行うことを命じる訴訟です。
この訴訟の判決(12月20日)で、福岡高裁那覇支部は、国側の主張を認め、玉城知事に設計変更を承認するよう命じました。この判決は、地方自治体事務の代執行としては初の判決でありきわめて不当で強引なものです。
具体的には、国は、以下の3つの要件を満たすとして、代執行訴訟を提起しました。
① 沖縄県の不承認処分は、公有水面埋立法に違反している(しかしながら法の主旨からして国の方が違法です)
② 代執行以外の方法では、不承認処分を是正することは困難である(地方自治の蹂躙だといわねばなりません。)
③ 不承認処分を放置すると、普天間飛行場の危険性が著しく社会公共の利益を害する(辺野古基地建設にどのような公益性もなく、他方、米軍の略奪した土地に建設された普天間基地は、無条件で返還されるべきものです!)
判決では、これらの要件をすべて認め、国側の主張を支持しました。司法の堕落と存在意義の低下は目に余るものがあります。
玉城知事は判決後にコメントしています。「沖縄県の権限を奪い、その自主性を侵害して新たな軍事基地を建設しようとする国の代執行は到底容認できない」と。司法の反動化は安倍政権以来特に顕著です。
工事は、国による計画変更承認「代執行」により数日後には再び開始される事態となりました。しかし、辺野古基地の不当性や不合理性はますます明らかであり、県民と理解ある国民の闘いとして継続させてゆかなくてはなりません。
■辺野古基地をめぐる状況の変化
沖縄、辺野古住民の長い闘いの間に、政治軍事情勢は大きく変化しています。
・・・・・・・・・・
12月18日の朝日が「専門家の見方」として、米ジョンズ・ホプキンス大学のショーン・ハーディング氏の見方を掲載しています。ショーン・ハーディング氏は米海兵隊で在日米軍再編に関わった人物です。
2006年に日米両政府が合意した辺野古代替施設の現行案は、現在の米軍の戦略構想に合わず、時代遅れと言わざるを得ないと。沖縄の基地は中国のミサイル精度の向上のために脆弱になり米軍は、常駐する航空戦力を幅広い拠点に分散させる戦略に切り替えている。各地の米軍基地のほか、自衛隊基地、民間空港や港湾の使用もおそらく視野に入れている。
辺野古移設は条件を満たさない。滑走路が短すぎて、使用できる航空機が限られる。岸壁の大きさも十分ではなく、艦船の使用も限られる。辺野古工事に巨額のコストをかけるが、(そんな金があったら)現在の米軍の分散戦略に合った他の空港基地や民間空港の改良に使う方がはるかに良い。沖縄の負担軽減にもつながる。日米両政府、沖縄県の三者で信頼関係を構築し、合意の道筋を探ることが最優先だと。
まさしく、沖縄の本土化ではなく、日本全土が沖縄化するということなのです。
・・・・・・・・・・
さらに底流には日本資本主義自体の変質が存在するのです。日本の軍事化、対中国強硬論と先制攻撃を含む軍事力の倍増と言う、日本に固有の国内的な危機となっているのです。
日本の急速な軍事拡大は決して「台湾有事が迫ってきた」「台湾の有事は日本の有事だ」と言った故意に誇張された中国脅威論にあるのではありません。
空母打撃軍編成による海外展開、日本版海兵隊の創設、攻撃的なスティルス戦闘機の大量購入、そしてさらに日米軍事同盟の下で進む全国基地一体化、統一的軍事戦略へと拡大されています。『戦争準備はなぜ開始されたのか』(「ワーカーズ」641号)など参照してください。
根底にある日本軍拡の衝動は、日本が今や世界最大の闘士国家となり、対外資産残高が世界のトップとして君臨しているという現実にあるのです。
「中国は脅威だ」「北朝鮮が怖い」とか騒ぐ日本のネトウヨの世論誘導に引きずられてきた、と言う一面的なものでもないし、「米国の圧力で軍拡が進んでいる」「そもそも米国の属国にすぎない」とか、一面的な話で終わらせてはなりません。日本政府・財界・官僚・自衛隊らの拡大する野望の背後を私たちがよく理解して反撃する必要があります。(ぶん)
松本氏をしのんで
松本誠也(ペンネーム冬彦・夏彦さんが、ご逝去されました。
自治労などでご活躍された松本誠也さんは、残念ながら十二月十五日に69歳でお亡くなりになりました。
ガンで闘病中でした。ワーカーズの紙面にも多くの投稿をいただきました。また私自身大変お世話になりました。ラインで近況を知らせあっていたのですが、十二月二十日反応がなく大変心配していたところ、松本さんの友人からご連絡をいただき、びっくりし、大きな悲しみに襲われました。ご冥福をお祈りするとともに、松本さんとの思い出を振り返りながら追悼させて頂きます。
また、ワーカーズ紙面では、本名を出さず「冬彦」「夏彦」さんというペンネームでした。
松本さんとは、七年ほど前に、自治労の集まりが宮城県であり、私達の自宅に来られました。その時にアイヌ関係の勉強会をしました。また縄文土器についても、素晴らしいレポートを書かれており頂きました。青葉城に一緒に観光しました。
さらにアイヌ関係のことを学んでいきたいと思った私達に、実際に活動されている方に合わせて頂きました。また、私が北海道に出張の時に、パートナーが松本さんと一緒にアイヌのことを研究されている方々と交流しました。アイヌ関係の慰霊祭にも誘って頂き、昨年行く準備をしていました。しかしパートナーが体調を悪くして、残念ながら参加できませんでした。今年はパートナーと一緒にアイヌ関係の慰霊祭に参加し、松本さんに色々な案内をしてもらいました。来年もご一緒しましょうと約束していました。
松本さんに出逢い、私自身視野が広がりました。これからも、松本さんから多くのことを学びたかったのですが、とても残念です。私自身も一度寛解したガンが再発しました。人間はいつか亡くなります。どんなふうに生きていくかが、毎日を過ごしていく上で大切なことだと感じます。私も松本さんのように、精一杯人生を駆け抜けたい。松本さんとの出会いは宝物です。これからも大切にしながら松本さんの意思を引き継いでいきたいと想います。(宮城 弥生)
松本誠也さんへの追悼文
ワーカーズの仲間から松本さんが12月15日に亡くなられたと聞いて大変驚きました。
私の記憶では私より若いはずだと思っていました。聞けばまだ69歳との事。まだまだ活動出来る年齢だと思い残念でなりません。
私が松本さんを知ったのは、彼が九州の医療関係職場で働いていた時でした。当時の彼がワーカーズに投稿した原稿を振り返ると、「『働き改革』の背景は何か?」「安倍政権の政治的おもわくは?」「日本型企業主義的労使関係の限界」等、労働者の立場に立った諸問題を取り上げています。
選挙闘争についても「次の反撃は地方自治体選挙で」のタイトルで「労働者派・市民派・平和派は次の反撃にそなえなければなりません。その舞台は地方自治体選挙です。広い意味で労働者的な候補を地元で応援しましょう。政治的方針の違いについては、一緒に闘いながら、率直に議論していけば良いと思います」と述べています。今読んでも大変参考になる文章だと思います。
私が松本さんを尊敬していたのは労働運動だけでなく、彼が「アイヌ問題」に強い関心を持ちいくつかの論文をワーカーズに投稿していたことです。
一例を上げると、「北方領土の共同統治案について~アイヌの視点もふまえて」という論文があります。
彼は「幕末から近代にかけて、樺太も千島もロシアと日本との間で、双方の帝国主義的な覇権争いの対象として、ある時は『ロシアの領土』にある時は『日本の領土』にされ、そのたびにアイヌは幾度も強制移住をさせられてきたのです。」と述べています。さらに「このような『北方四島』に限らず千島列島も樺太も、帝国主義的な覇権争いにより、ある時は『ロシア領』、ある時は『日本領』とされた歴史、もともとこの地域は交易民として樺太アイヌや千島アイヌ、そしてロシアや和人の商人が自由に往来していた歴史を顧みるなら、この地域の『共同統治』と『自由な往来』こそが、あるべき姿ではないでしょうか?「固有の領土」という観念に固執するのではなく、『国境』の概念を相対化し、EUをお手本として、『自由な往来のしくみ』をつくることが、平和をめざす私たちの目標ではないでしょうか。」と訴えています。
今の世界は領土をめぐりきな臭い戦争が世界各地で続いています。この点で、松本さんの「地域の『共同統治』と『自由な往来』」はまさに今の世界の課題であり、私たちにバトンタッチされた課題だと考えます。(富田英司)
労働運動・市民運動を積極的に実践した人だった。
松本誠也(ペンネームで冬期は冬彦・夏季は夏彦)さんは主に北九州福岡で医療関係の職場で働きながら自治労の運動を積極的に担っていましたが、定年後嘱託職員を経て東京に戻り、地域で環境問題や・医療問題に積極的に活動を続けていた。
一昨年病に冒され闘病生活をしながらも活動をしてきた同志でした。
「ワーカーズ」への投稿は自治労時代から多くの投稿をいただきましたが、「色々出来事があってもすぐには書けない」と言ながらも、時節を先読み色々書き留めていたようで、毎号一つ以上の原稿を編集締め切り前には送ってくれ、最近では書評を中心に投稿してくれていました、その準備の良さや、その誠実さには感心するばかりでした。
労働組合活動や市民運動にも積極的に参加し、大衆的で活動的な人だと思います。
大衆的な活動家として惜しい人を亡くしたと残念でなりません。
彼はワーカーズ640号の一面記事『エネルギー・食糧危機に抗して「命を守る春闘」を!の●世界的連帯を視座に正規労働者と非正規労働者の分断を越えて、グローバルサウス、ウクライナ民衆、ミャンマー市民、トルコ・シリアの被災者との連帯を深め「命を守る闘い」を貫こう!』と呼びかけましたが、分断化し戦争が多発する現代社会で彼の呼びかけは的を得ており、労働者大衆と積極的に交流を図り大きなうねりを作り出せる可能性のある優れた活動家を失ったことは返す返す残念でなりません。
彼の意思を受け継いで社会の不条理を正すため「団結と連帯を求め」てアソシエーション社会を目指します!。 (池田)
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色鉛筆・・・「巌さんに真の自由を! 静岡地裁・傍聴に入れない日記」
昨年3月に、二度目の再審開始決定(東京高裁)が出され、10月にようやく静岡地裁で再審公判が始まった。他の裁判は入れず、毎回11時から17時まで、すでに5回が行われ、今年は春までにさらに7回を予定しているが、いまだ判決日は見えない。一般傍聴席はわずか27席で、希望者は8時40分から9時10分の間の受付に並び、手首に番号入りの紙のリストバンド(取り外し無効)を付けられ、40分近く外で抽選結果を待つ。
12月の第4回と第5回にはおのおの117人、99人が並び、私はいずれも外れ。大きな意義と高い関心を集める公判であり、広く公開されるべきで、地裁には別室でのモニター視聴等再三改善を求めるも応じる気配はない。県西部はずれの浜松、東京その他県外(やむなく前泊とのこと)など遠方から傍聴を求めて来てもかなわない。誰のための公判なのかと思う。
受付後毎回、地裁前の駿府城公園お堀の橋の上で支援者によるミニ集会が開かれる。冷たい風を受けつつ聞いた発言を一部ご紹介する。
●「古くからの支援者A氏」~2014年、一回目の静岡地裁の再審開始決定と同時に釈放された巌さんが、48年ぶりに帰郷した浜松で両親の遺影を前に言った言葉は「恥ずかしながら袴田巌帰って参りました。」A氏は「恥ずかしながら」は巌さんではなく捜査機関、司法の側こそが言うべき言葉だと怒りを込めて発言。
●「地元浜松の巌さん見守り隊メンバーB氏」~9年前には自分の足で何時間も歩き、外出先でごみが落ちていれば片付け、公衆トイレが汚れていればきれいにし、幼い子どもがいると顔をほころばせお小遣いを上げようとする、本当に暖かな善い人柄です。87歳の今、外出は車に乗せてもらうドライブに変わり、衰えてきています。一刻も早い無罪判決を出すべきだ。
● 同じく浜松の「見守り隊C氏」~法廷では被告不在のまま(自ら訴えることが出来なくなり、姉のひで子さんがかわりに出廷)、事件当時には生まれていない若い検察官、裁判官らが裁くという異様な裁判だ。当時の静岡では警察の拷問による自白の強要で冤罪事件が続出しており、マスコミも何も検証せず加担した。当時の背景や問題点を何ら考慮しないままでは、正しい判断ができるはずがない。
10時半過ぎミニ集会を終えて、弁護団らを法廷へ送り出す。とびきり明るいひで子さんの笑顔がまぶしい。残りのメンバーは繁華街に出て宣伝活動。毎回公判のたびに全マスコミが報道することもあり「早く解決するといいですね」と反応はとても良い。午後は会場を借りて学習会などを行い5時の公判終了を待ち、夕方に記者会見という長い一日だ。
57年も前の巌さんの無実の訴えが、なぜ今なお届かないのか?なぜ冤罪事件が繰り返されるのか?再審法の不備を今こそ徹底的に改める時だ。
二度の再審開始決定で、二度も証拠の捏造を指摘されながら、なお57年前のカビの生えた論拠でしか有罪立証することが出来ないにもかかわらず、裁判の引き延ばしを図る検察は許しがたい。(澄)
投稿 詩 問う 作 乙見田 慧
あなたは戦争がしたいですか
なぜ軍隊を組織しているのですか
なぜ武器を持っているのですか
あなたは他人を傷つけたいですか
あなたは他人を殺したいですか
あなたは他人をいじめたいんですか
あなたはつらくはないですか
あなたは人を愛したことありますか
あなたは寂しくありませんか
あなたは孤独だと思いますか
あなたは他人を信じられますか
あなたには友達はいますか
あなたには話し相手がいますか
あなたは自分は自由だと思いますか
あなたは・・・・・
こんな質問を世界中にしたことありますか
こんな質問を自分に問うたことありますか
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