ワーカーズ657号(2024/8/1)   案内へ戻る

 激変した米国大統領選挙の状況と米国の未来

 ついこの七月までは、六月のテレビ討論会で「完敗」したとはいえ、バイデン対トランプの闘いとされていた。だが民主党内ではバイデン撤退論が急浮上し、バイデンがそれに反論する状況となり、七月十三日にはトランプ銃撃事件が発生した。だが奇跡的に弾がそれてトランプは、共和党員の全員を奮い立たせる歴史的な写真を撮られることになる。

 このことで長老派のトランプは自分への「神の大いなる力」を自覚し、福音派はトランプこそは「神に選ばれた者」、「大統領にふさわしい」とおおいに熱狂したのである。

 これに対して民主党内ではバイデンは撤退に追い詰められ、そして大統領候補は「人気のない」ハリスへと急速にまとまっていった。ここには民主党内の混乱が見て取れる。

 ではトランプ暗殺の共同謀議はあったのか。元より民主党は全否定しても、それはまさに状況的には絶好のタイミングだった。共和党員なら誰もがそれを「確信」している。民主党員と共和党員の間には、お互いに修復不可能なほどの不信感が渦巻いているのである。

 だが銃撃後に行われたロイター通信の世論調査では、ハリス四十四%、トランプ四十二%とハリスが辛勝する予測となった。つまりあの感動的な写真は、民主党支持者の心を揺り動かすものとなってはいない事実。それほど米国は完全に分断された状況なのである。
 米国政治の主要な対立は、移民受け入れ、妊娠中絶、銃規制、LGBТQの四点に絞られるが、再確認しておけばハリスはすべてに賛成、トランプはすべてに反対なのである。

 今回、トランプが即楽勝とならないのは、アメリカ人の半分ほどはどんなことがあろうとも民主党に投票するからである。先に述べたように主要な四点では米国国内世論はほぼ二つに分かれており、大きく分断している。民主党の岩盤の組織は労組であり、そして黒人とヒスパニックとアジア系は、ほぼ自動的にハリスへ投票することになるだろう。

 だから選挙戦は政策論争ではなく、当然に非難の応酬合戦の様相を呈することになる。

 認知症の疑いのあるバイデンとなら、七十九歳のトランプでも元気そのもののイメージを前面に押し出し楽勝するかであった。だが相手が五十九歳の若さを売りに出来るハリスとなると状況は異なる。今後トランプはたいへんな苦戦を強いられることになるだろう。

 大統領選挙の最悪の結果とは、国家統治の危機に直面することだ。まさに内乱もありうると考える。トランプの暗殺未遂があったことからも、このような予測は充分に出来る。

 先住民を侵略虐殺し、保留地に追い込み、黒人奴隷制を内包しつつ発展し「デモクラシーの見本」のように大きな顔をしてきた米国帝国主義の現在が、この統治の危機である。

 現に今米国で二週連続全米一位を獲得した映画がある。その名も『シビル・ウォー アメリカ最後の日』(https://www.youtube.com/watch?v=ri1-GwJdlAo&t=27s)。「もし今、アメリカが分断され、内戦が起きたら」という想定の映画である。ハリウッド映画とはエンターテイメントの姿はとっていても、その時々の時点での国内向け政治映画なのである。

 このように米国民に対する政治教育が今まさに映画を通して行われているのである。(直木)


 極右を阻止した、次はマクロンを追い出そう フランスの階級闘争

7月7日の決選投票において、仏内務省の最終確定結果と仏紙ルモンドの集計によると、左派連合「新人民戦線(NFP)」は下院で最大勢力となる182議席を獲得。与党連合は168議席で、解散前の250議席から大幅に議席を減らした。一方、RNと右派の共闘勢力は143議席にとどまった。(開票報道による)

■誰も資本主義の矛盾を解決できなかった

フランス政治はこの数十年間、社会党中心の左翼連合政権からマクロン新自由主義政権へ、そして今、極右台頭へとおおきく傾こうとしていました。選挙戦術(共闘)でかろうじて極右政権成立を阻止したことになります。

つまり、一つだけ確かなことは結局のところ資本主義の矛盾は誰も解決できなかったということです。大衆の怒りや不安にこたえる政党は無かったのです。もちろん、極右も解決できないのですが、彼らが危険なのはもし政権につけば人々の不満に対してマクロン以上に強権を行使することで、フランスの分裂と混迷を深めてしまうことです。そのさい、マイノリティーや移民が「フランスの敵」として弾圧され、政治的専制は深まるでしょう。

労働者や市民の闘いは、議会における極右進出阻止と言うだけでは済まないのは明らかです。急進左翼は根源的な問題を前面に立てて、スマート化し「脱悪魔化」して国民を抱き込もうとする極右を暴露しつつマクロン派のような資本主義派を追い込む長期的な闘いを展望すべきです。

■極右を阻止した、次はマクロンを追い出そう

第一回投票における極右=国民連合の「躍進」を踏まえて、マクロン派とメランションらの新人民戦線が候補者の調整をし、その結果は、予想以上に「効果」を挙げて、極右の第一党進出を阻止し、極右政権の樹立を阻止しました。これは政治的には大きな勝利であることは確かです。極右(RN・国民連合=ルペン派)は「ソフトイメージ」「反ユダヤ主義の放棄」にもかかわらず、完全に失速しました。議会の過半数どころかその半分に押し込められました。

その代わりに躍進したのが、新人民戦線です。この戦線の政策については労働者の権利、移民の人権、環境保護、等々、後に触れるようにラジカルな政策を掲げています。

しかし、下層大衆による革命的ともいえる富裕層に対する要求や政策が、今後大きな抵抗や攻撃に遇うことは自明です。今後、フランスは階級闘争がより一層激しく闘われる時代に突入したのです。

そもそも、大統領マクロンが、第一党になった新人民戦線に政府を組織させない可能性が高いとみられます。もちろん、新人民戦線はマクロンの延命に手を貸す必要はありません。国民的支持を失ったマクロン派が崩壊することは早晩不可避です。

■新人民戦線NFPとは何か、その多様な構成

7月7日の選挙で第一党に躍り出た、フランス新人民戦線(Nouveau Front Populaire)NFPは、フランスの左派政党や社会運動が連携して結成した政治連合です。

新人民戦線NFPには多くの政党や潮流が参加しています。「不服従のフランス」(La France Insoumise)LFIは新人民戦線の中心的な役割を果たしています。LFIはジャン=リュック・メランションが率いる急進左派の政党で、フランスの左派政治の中で非常に影響力のある存在です。そのほか元大統領オランドのいる社会党(Parti Socialiste)、フランス共産党(Parti Communiste Francais)、緑の党(Les Verts)、急進左派(La France Insoumise)など、幅広い左派勢力が参加しています。

7月7日の選挙結果では「不服従のフランス」が71議席。社会党が64議席。エコロジー党(EELV)33議席などです。

■新人民戦線の政策実施計画

かりに新人民戦線が政権に就いた場合以下の政策が推進されます。

政権の最初の15日間は、税引き後最低賃金の月額1600ユーロへの即時引き上げ、生活必需品やエネルギー料金の価格凍結、社会住宅への投資、EUの赤字支出ルールの拒否(ただし、EU条約に「背く」という不服従のフランスの以前のスローガンを再び主張することなく)などの「緊急」対策を実施すとしています。マクロンの2022年の62歳から64歳への定年引き上げは破棄されます。

次に、最初の100日間は、購買力、教育、医療制度、「エコロジー計画」、「億万長者特権の廃止」をカバーする5つの立法パッケージを通じて、提案された「路線変更」の土台を築くことになります。「変革」と題されたその先の数カ月は、公共サービスの持続可能な強化、「住宅への権利」、環境に配慮した再工業化、警察と刑事司法制度の改革、現在の準君主制大統領に代わる「第六共和制」の創設につながる憲法改正が予定されています。

左派の「立法契約」は、マクロン政権時代の主要テーマであった、富裕層への経済力移転を優先した福祉国家への攻撃と、公共サービスの浸食との決別を意味します。左派新政権は、マクロンの失業保険制度の引き締めを中止するでしょう。公共部門労働者の賃上げや、学校給食の無料化も予定されています。(labornet&jacobin)

■新人民戦線これからの道

新人民戦線NFPは、現政権に対する有力な対抗勢力として注目されていますが、すでに述べたように内部の意見の違いや協力関係の維持が課題です。とりわけ、新自由主義におもねる傾向のある社会党は、マクロン派の切り崩しの標的です。マクロン派は当面、社会党など「穏健左派」や中道右派などを糾合し多数派形成を目指すことになりそうですが、結局フランスの社会・経済問題の解決は、新自由主義では不可能であり、マクロン派は再び三度、行き詰まることでしょう。

 新人民戦線は、これまでの政策的約束を維持しつつ、年金・失業保険改革の廃止をはじめ、新人民戦線プログラムに定められたすべての緊急措置を掲げ、資本の政権=マクロン政権と対峙することになります。

当然マクロン派、富裕層、そして極右からの攻撃が激しくなると予想されます。フランスの新人民戦線の政策プログラムに対する批判や反論は多岐にわたります。特に最低賃金の引き上げや年金の増額などの大規模な財政支出計画は、フランスの財政を不安定化させると批判されます。富裕層に対する90%の税率導入や法人税の引き上げなど、新人民戦線の税制改革は企業や高所得者に激しく攻撃されています。さらに新人民戦線は急進左派の「不服従のフランス」(LFI)が主導しており、そのリーダーであるジャン=リュック・メランションの「過激な思想」が攻撃されています。

ゆえに、誰が、どの階級が歴史を前進させる主体であるかを、新人民戦線はあいまいにすることなく、労働者、低所得者、被抑圧者の立場に立ち切る運動が必要とされています。(阿部文明)案内へ戻る


 滞る自衛隊の要員確保――戦争準備と担い手不足のギャップ――

 自衛隊にかかわる不祥事が相次いで発覚している。

 特定秘密に関する違反事例や、自衛隊と軍需企業が絡んだ〝裏金〟事例、それに無銭飲食やセクハラ、パワハラの蔓延などだ。

 近年、災害時出動や〝抑止力〟強化で注目を集め、評判を高めてきた自衛隊。緊張感が薄れ、組織的な増長や慢心が表沙汰になる場面が増えている。

 安倍政権で鮮明になった攻勢的な安保戦略、それを引き継いだ岸田政権だが、反面では拡がる自衛隊の慢心や、慢性的な要員不足というアキレス腱も抱えている。
        …………………………………………
◆タガが外れた〝抑止力〟強化

 このところ、日本の〝新冷戦〟構造への積極的な加担が際立っている。

 集団的自衛権行使の拡大解釈、自衛隊の南西シフト、防衛予算倍増、先制攻撃に道を開いた〝敵基地反撃能力〟、仮想敵国を想定した多国間による軍事演習の増加などだ。

 そんな中、当の自衛隊内部の不祥事が続けて明らかになった。

 海上自衛隊の潜水艦部隊で発覚した川崎重工からの裏金による隊員への種々の物品贈与、飲食接待、無銭飲食の横行、そして特定秘密に関わる杜撰な要員配置などだ。

 特に特定秘密を無視する要員配置では、特定秘密から遮断するのは国民やメディアだけ、当の自衛隊ではそんなハードルなど無いかのように扱っていた。

 近年、災害時出動での活躍もあって、自衛隊および隊員に対する世論の評価は上がり続けてきた。

以前は、敗戦体験や根強い反戦・平和意識を背景に、自衛隊や隊員への視線が厳しい時期が長く続いた。が、今はそれが反転し、自衛隊の中にも、増長や慢心が拡がっているのかも知れない。

◆軍産複合体

 今回の不祥事は、自衛隊と軍需企業という、いわば共通利益で結びついた閉鎖集団内部での不祥事だった。

 事件の舞台となった海自潜水艦部隊は、年間一隻の潜水艦建造が常態で、それを川崎重工と三菱重工が交代で製造する、というものだった。潜水艦製造は軍事機密の塊で、建造中は海自隊員が宿泊施設に泊まり込みで、企業の担当者と協力して建造に当たっていたという。そうした永年の相互依存関係の中で、20年もの間、裏金による〝たかり行為〟を続けてきたわけだ。

 そうした関係の中で、軍事費の倍増が進んでいる。

 防衛費の急増は、防衛予算の支出のルーズさにも繋がる。防衛省の発注では、特殊技術を扱う軍需企業は限られており、発注も随意契約が多い。それに防衛省から軍需企業に天下っているOBを介した癒着関係もあり、納入価格も杜撰になっても不思議ではない。

 また22年には潜水艦16隻態勢から22隻態勢への増強も決めており、関係2社の利益増加は保証済みだ。すでに日本でも軍産複合体が形成されているのだ。今回の海上自衛隊を舞台とする不正行為は、そうした軍産癒着関係の内部での不正行為なのだ。

◆予算・兵器は増やせども

 岸田政権下でさらに膨らんだ防衛予算で、調達兵器やその他の装備品は増やせても、すぐに増やせないものもある。兵員、すなわち自衛隊員だ。

 現時点でも、自衛官の定員は24・7万人で現在員は22・7万人ほどで、2万人ほど足らない状況が続いている。自衛隊員が集まらないのだ。

 防衛省は7月8日、昨年23年度の自衛隊員の新規充足率(=採用数)が50・8%で過去最低だったと発表した。2万人弱の募集に対し、1万人弱しか採用できなかったという。採用率は、95年以降はほぼ8割以上を確保していたが、直近の2年の落ち込みが大きいという。相次いだセクハラ、パワハラの影響もあったと見られている。防衛省は、少子化、および企業との競合も要因だとしてい
る。が、それだけではないだろう。

 採用減少の一端を別の角度から見てみたい。防衛大学校卒業者の任官辞退数だ。

 岸信夫防衛相(当時)は22年3月29日の記者会見で、防衛大学校の本科卒業生のうちの任官辞退者数が21年から44人増の72人(全体の15%)だった、と述べた。90年の94人に次いで過去2番目に多かったという。幹部自衛官候補でさえ、これだけに辞退者がいることになる。22年度末と言えば、ロシアがウクライナへの軍事侵攻が開始した直後だ。

 これら採用難に関し、防衛省は、この7月8日、「人的基盤の抜本的強化に関する検討委員会」を立ち上げ、処遇改善、省人化、元隊員・民間の活用などを検討し、8月下旬に報告書を公表するとしている。

◆〝就職先〟から〝戦う自衛隊〟へ

 自衛隊と自衛隊員の関係は一様ではない。が、戦後の自衛隊発足時からイラク戦争があった2000年代初頭までは、自衛隊が戦争当事者になる可能性は、ほとんど無いに等しかった。あえて言えば、米軍への後方支援をどうするか、というものだった。それまでの時代はといえば、自衛隊への任官は、一種の職業選択、就職先とも捉えられていた時代が長く続いていた。現に、自衛隊発足後、殉
職者はいるが、戦死者はいない。

 が、この10年ぐらいで様相は一変した。安倍政権と並行するように、東シナ海や南シナ海を中心にきな臭さを増し、いま岸田政権になって、日本が戦争当事国になる可能性は、格段に高くなった。

 この十数年間で、米中新冷戦構造が強まり、日本もそれに同調、むしろ率先する形で、対中包囲網づくりが進められた。今では、西太平洋やインド洋を含む領域、とりわけ東シナ海や南シナ海を巡り、米国主導での多国間の連携や共同訓練が繰り返されているのが実情だ。

 さらには、自衛隊の〝南西シフト〟を始め、部隊配置の増強などが進められ、中国との間で公然たるせめぎ合いが繰り広げられている。

 こうした状況下で、自衛隊は実際に戦闘の当事者集団になる可能性が大きくなり、自衛隊員にも、そうした変化を実感せざるを得ない場面が増えている。先島諸島を含む南西諸島では、沖縄本島でも第15旅団の師団への格上げを始め、ミサイル部隊の新設・増配置が着々と進みつつある。

 自衛隊への入隊が即戦場へと繋がる可能性も大きくなるわけで、こうした状況を見れば、入隊を敬遠する新卒者も増えるだろうし、入隊希望者の両親など、家族の姿勢も変わらざるを得ない。

 しかもかつて無いペースで進む少子化も、自衛隊員の募集に大きく影響する。

◆少子化と無人化

 現在の日本では、少子高齢化が進み、人口減少時代に入っている。しかも、残業規制など労働時間規制も強化され、「24年問題」など、労働力不足時代に入っている。企業も人手不足で、人材確保はどの企業にとっても喫緊の課題だ。通常の募集では、とても兵員は確保できない。

 付け加えれば、技能実習制度で補ってきた人手不足も、円安による実質賃金の低下や実質的な〝奴隷労働〟の実態が曝かれて、日本が働く場として選択される見通しも暗い。新設される〝育成就労〟も、看板の付け替え、と批判され、労働力の確保に繋がるとは思えない代物だ。

 そんな中での自衛隊員の募集。上述のとおり昨年は募集の半分しか確保できず、以前からの定員の充足数が2万人ほど足りない現状を改善できずにいる。

 米国でも事情は同じだ。

 米国でも現役兵は陸軍で過去2年で5%も減少し、全軍では過去3年間で6・5万人も減少、「兵員リクルート危機」が大きな問題になっているという。背景には、ロシアのウクライナ侵攻、イスラエルとハマスの戦闘、北朝鮮や中国など、厳しさを増す安全保障環境があると言われている。

 要員不足に対し、対案としてどの国でもAIの軍事活用や無人兵器の開発・導入にも力を入れている。米軍も、各種ドローンはいうに及ばず、無人水上艦や自律型潜水艦が導入され、それに無人給油機なども投入予定だという。また、自律型致死兵器システム(LAWS)も、実戦に投入される時代が来るかも知れない。

 が、それだけで兵員不足をカバーできるわけでもない。各国とも、最後は兵員の動員に頼る他はない。そこで浮上するのは、いわゆる〝徴兵制〟あるいは〝経済的徴兵制〟だ。

◆厳しい兵員募集

 徴兵制は、今となっては戦後日本の安保・軍事政策の〝二つのタブー〟の一つだ。もう一つは〝核武装〟で、この二つは軍事戦略上でも国民の許容度からしても、また対米関係上でもハードルは極めて高い。だから徴兵制は一種のタブーとなっていて、一直線で浮上するわけではない。が、その環境整備、地盤づくりは、すでに一部で始まっている。

 徴兵制に関連する話題に大きく影響したのが、戦争中のロシアとウクライナの状況だ。ロシアでは身勝手な侵攻を正当化するべく、特別軍事作戦だとして、囚人の募集や動員兵の募集を強行した。侵攻を受けるウクライナも、18才から59才までの国外出国を認めず、徴兵の対象とされている。そのどちらの国でも徴兵忌避から国外脱出者が多数出ている。

 また軍事クーデターを起こしたミャンマーでも、国軍による強制的な徴兵に対し、国外脱出や軍政と武力で対決する民主派勢力の国民防衛隊への志願に向かう若者も増えている。

 それらを目の当たりにしている日本でも、自衛隊応募者を確保できず、兵員確保に難航しているわけだ。このことがいきなり徴兵制の導入には結びつかなくとも、自衛隊員募集に国の圧力は一層強化されるだろう。

 米国では、低所得層や黒人などマイノリティーを中心に、復員後の大学授業料の免除などを餌に志願兵を増やしたりしてきた。日本でもすでに問題になっているが、自治体や高校への募集での協力要請などで隊員リクルートにつなげようとしてきた。実態は、応募への圧力強化といってもいい。すでに自治体へは、卒業予定者名簿の提出で圧力をかけているし、またスマホの使用制限緩和など、自衛
隊員の処遇改善にも力を入れている。

◆始まっている〝英霊〟言説

 日本の若者が、実際に戦争に参加する、というシナリオで、早くもそれを下支えする言説やイデオロギーの垂れ流しが始まっている。

 自衛隊員による靖国神社への〝部隊参拝〟もその一つだ。靖国神社は、天皇制国家に殉じた兵士などを顕彰するもので、戦死者は〝英霊〟扱いされ、後に続く兵士の〝覚悟〟を促すものでもある。かつての日本の若い兵士は、名誉の戦死として「靖国で再会しよう」と、むりやり納得させられた。また残された親や妻は、たとえ〝無駄死に〟であっても、帰らぬ人となった子や夫の〝英霊〟扱い受け入れることで、なんとか自身を納得させてきた面もある。自衛隊員の〝部隊参拝〟は、そうした英霊づくりを組織としてシステム化したものでもある。

 そうした〝英霊〟言説を今またぶり返し、他人を戦争へと誘う動きが散見される。河村たかし名古屋市長もその一人だ。河村市長は、5月14日の「名古屋平和の日」を前にした4月22日の会見で、「祖国のために命を捨てるのは高度な道徳的行為だ」と発言し、それを繰り返している。これも、いずれは生ずる〝戦死者〟に対し、あらかじめ、言葉だけの名誉を与えることで国家による戦争
を下支えするものだ。

 麻生自民党副総裁の〝戦う覚悟〟発言もそうだが、他人の生命を「国家」や個人の功名心のために利用する、そんな言説には断固〝ノー〟を突きつけ、こんな言説やエセ思想は拡がる前に封殺する他はない。(廣)案内へ戻る


  コラムの窓・・・川崎重工業、裏金で海上自衛隊接待との報道の意味は?

 7月4日の「朝日新聞」によると、架空発注を繰り返して支払った代金を裏金として下請側にプールさせた。その総額は十数億円にのぼると報じています。

「裏金は、幹部自衛官から一般の乗務員まで多数の海自隊員に対して、様々な物品や商品券を購入して渡したり、飲食接待したり・・・」

 こんな癒着などよくある話だが、防衛費(軍事費)が肥大し自衛隊が上得意先になるなか、自衛隊はやりたい放題になりつつあるようです。こうした〝共同利益〟をめぐる癒着はさらにひどいものとなるでしょう。

 潜水艦は年に1隻ずつ川重神戸工場と三菱重工業神戸造船所で交互に建造しており、神戸が日本で唯一の潜水艦の生産拠点となっています。非核神戸方式(1975年、市議会が「核兵器積載艦艇の神戸港入港拒否に関する決議」を可決)によって平和な港のように言われていますが、神戸港は軍事の港でもあるのです。

 非核神戸方式採択後、フランス軍やイタリア軍、インド軍などの艦船が証明書を提出して神戸港に入港しています。英海軍も証明書を提出、〝違反した場合は寄港拒否も甘んじて受ける〟と表明しているようです。

 しかし、米海軍は神戸港のこの方式を批判して近隣の姫路港には寄港するものの、神戸港には寄港の意志すら示さないということです。米軍は特別待遇が当然だ、神戸港など無視しても何の支障もないと思っているのでしょう。

 さて、川重は戦前から潜水艦を建造しており、昨年10月には31隻目となる「らいげい」(建造費約702億円)の進水式を実施しています。潜水艦の建造・修理は川重と三菱の2社のみの寡占状態にあり、川重の2024年3月期の防衛省向け売上高は前期比約20%増の2885億円。軍事費肥大のおかげで受注額は5530億円と約2・1倍に増えている。さらに30年度に軍事での売上高を5千億~7千億円に引き上げる方針だと。

 手元にある「神戸新聞」(2016年4月28日)には、川重は3カ年計画で18年には売上高1兆7400億円の目標を掲げ、「神戸は潜水艦などに特化」とあります。16年3月期連結決算では売上高、経常益ともに過去最高を更新、「防衛省向けの航空機製造や年度前半の円安もあり、航空宇宙事業だけで利益の半分近くを稼ぎ出した」そうだ。

 今や防衛省・自衛隊は何でも秘密、軍事に関する情報はすべて機密。「戦時中、軍港が近づくと列車の鎧戸を閉めさせられた、と聞いたことがある。そんな歴史が繰り返されないことを願う」(国防と隣り合う日常・15年8月10日「神戸新聞」)

 そういえば古い新聞を切り抜いていたころ、三菱・川重がオーストラリアに潜水艦を輸出しようとしているとして、「三菱さん川重さん、死の商人にならないで!神戸アクション」に参加したことを思い出しました。さいわい、当時は相手にしてもらえなくて潜水艦の輸出などとても無理でした。

 不都合な事実はすべて秘密、市民の情報はマイナカードですべて召し上げる。そんなたくらみがすでに始まっています。軍産複合体(戦争屋の自衛隊と死の商人の軍事産業)が巨額の軍事予算に群がり、甘い汁を吸いつくそうとしているのです。軍事が栄えるとき、民は滅びる。たとえば、F15戦闘機改修の総コストは68機分で6465億円(2022年・防衛装備庁発表)。こんなムダ金使っている場合ではありません。(晴)


  集団的自衛権の行使可能10年目 「戦争できる国」を加速させる日本資本主義

日本における戦後の軍事強化、海外での軍事行動、武器輸出等々、全ては米国の戦略の一環に乗っかって拡大させてきました。伝統的な一つの見方としては「対米従属」「属国論」、つまり日本政府は米国の言いなりであり、下僕として付き従ってきたと考えられ、多数の国民がこうした見解を持ってきました。「日米地位協定」についても同じことが言えます。しかし、このような主張は日本政府への非難としてはともかく、日本の軍拡の野望を見落としあるいは免罪し根本的な反対運動を組織できなかった原因でもあるのです。
「日本の軍拡は単純な「対米従属」ではない」(「ワーカーズ」654号参照) 
◇  ◆  ◇
日本は、戦後「世界の警察」とされ「国際社会」なるものに君臨してきた米国に従属し雌伏しつつ軍事大国として再登場を目指すしか道がありませんでした。自衛隊の存在それ自体がまさにそうなのです。なぜなら、かつて日本はアジアにおける植民地主義やアジア侵略の戦争の結果敗北し、極東裁判で国際的に裁かれた国です。日本を見る世界のそしてアジアの目は依然として厳しいものがあります。

このような日本が、おいそれと侵略性の高い空母や敵基地攻撃用の長距離ミサイルで武装することは出来ません。いわんや南シナ海やインド洋やアフリカまで戦艦や空母を送り込むには、米国をパートナーとて米国の戦略の一環としてでなければ、単独でこのような軍事行動をとることは困難です。軍事大国として現在の様に復活することは不可能でした。
◇  ◆  ◇
歴代の首相は、いずれも程度の差はありつつも、このような路線を踏襲したのです。彼らの頭には、日本資本主義が国内的には資本投資が低調ですが、今では海外投資国として飛躍してきた現実があります。日本は世界のあらゆる大陸で投資を行い、投資経済活動に関わっており、各種の利権を抱えているのです。こうした投資からくみ上げられる利潤は「第一次所得収支」として年間30兆円という膨大なものです。国内投資が振るわない日本資本主義は、まさにこのような海外投資とその収益で潤うことができるのです。歴代政府は、かくしてこの日本資本の生命線を米国と共に「防衛」する使命を担い、海外への軍事展開能力を拡大してきたのです。

ので、表面だけの動きを捉えて、やれ「米国の属国だ」「対米従属だ」と言う人たちにはこのような本質が見えてないと思われます。それにしても「識者」やジャーナリズムで日本の軍拡の本質を理解している人たちはすくないのです。

「日本は主体性を失い、あるいは失ったふりをして米国の外圧を利用し、『戦後安保のタブー』(元外務省幹部)破りを進めてきた感が否めない」(朝日新聞)と指摘したのは、わずかな例外なのです。

資本主義の規制や打倒の闘いと結びつかない限り、日本の軍拡を止めることは困難です。(阿部文明)


  「脱成長コミュニズム」批判に反論する

「脱成長コミュニズム」のコンセプトは斎藤幸平などによって提唱され、国際的に注目を集めていますが、左翼誌「Jacobin」「Monthly Review」「Climate & Capitalism」などではいくつかの批判がなされています。以下はその代表的な論者と彼らの批判の特徴と私の反批判です。
 
■「脱成長」とは緊縮財政や経済停滞のことか?

 批判者の代表的存在であるリー・フィリップスは、脱成長が気候変動や環境問題の原因を誤って診断していると指摘しています。彼は、経済成長そのものではなく、資本主義の特定のダイナミクスが持続不可能な慣行を促進していると主張しています。乱開発、自然破壊、化石燃料依存等々が資本主義と深く結びつくことを、フィリップスは曖昧にしたいようです。

 さらに脱成長を緊縮財政と同列視した上で「私が脱成長に反対するのは、それが欧米の労働者階級の所得の停滞、あるいは減少さえも要求するからだ」とします(「脱成長は気候変動の解決策ではない」Jacobin)。

 つまり「パイを増やそう、そうしないと労働者の取り分も減りますよ」「だから成長は必要だ」という考えです。このような批判は馬鹿げたものです。

 資本主義の危機は「気候危機だけ」ではなく経済格差や少子化問題も今では資本主義の生み出した深刻な問題であることは明白です。その根底に強蓄積、利潤追求、生産性向上・・つまり「資本主義的成長」が存在し、幾多の矛盾を生み出しつづけています。フィリップスは問題の本質を見ようとしません。

 労働者の生活水準の低下や格差拡大を取り上げれば、搾取と労働分配率の低下や租税負担やインフレなどの追加収奪にこそあります。資本主義の改良で労働者の生活アップとは、先進諸国ではそれこそ非現実的です。

 歴史をほんの少し振り返りましょう。富の蓄積は階級社会の形成に連動して開始され、それとともに生産の増強が民衆に強要されるようになります。例えば貢納、地代、租税、利潤という形で余剰生産物の収奪のために、開発が叫ばれ時の支配階級により生産力や成長は求められてきました。資本主義はより極端な形で同じことをしています。

■市場経済なのかそれとも「脱」市場経済なのか?
 
 脱成長運動は、実質的な政治的変革を実現するための現実的な理論を欠いていると批判されています。批評家たちは、グリーン・ニューディールのような持続可能な成長を目指すアプローチが、広範な公的投資を通じて、より実現可能であると提案しています。ダニエル・ドリスコルは「脱炭素化のツケを払うためには、世界的な投資ブームが必要であり、多くの脱成長支持者が主張するような投資の減少ではない」「地球を脱炭素化するためには、グリーン成長プログラムが必要です。」(「脱成長運動の4つの問題」Jacobin)。などと主張しています。

 「市場」も「資本」も「成長」も彼らの改良プランには不可欠です。しかし、投資は拡大しても脱炭素もカーボンニュートラルも現実は何一つ改善されていません。「炭素税」をテコとしたカーボンプライシングによる「緑の成長」や富の再分配(トリクルダウン)こそ最もばかげた市場経済への幻想です。「緑の投資戦略」により見事に資本は活性化し新分野への資本の投資で経済「成長」が実現し、雇用は増大し所得も上がり、温暖化ガスは大幅に削減できる…泡沫の夢のプランです。これは先進国がすでに採用してきましたが実際には気候危機回避も所得の増大も実現できていません!

 だから斎藤幸平らの「脱成長」は、脱資本主義であり脱市場経済であり、同時に太古的協同体の一定の(しかし、本質的な)復活として考えるべきだ(脱成長コミュニズム)という提起がなされたのです。資本主義を含む階級社会の止揚として提起されなければならないということです。最後にも述べますが、階級社会を打破した地平において、私たち社会の目的は富の拡大ではないでしょう。

 すでにお分かりの様に、脱成長は環境課題に対処するために提起されましたが、それだけではありません。むしろ、大衆の搾取や格差や貧困の問題と表裏一体に結びついているのです。大衆への収奪と自然への収奪は不可分のものなのです。それにもかかわらず、各左翼誌の批評家たちは、総じて市場経済はそのままにして「悪い成長」をやめさせ持続可能で「良い」成長に焦点を当てた代替戦略の方が、解決策を提供する可能性が高いとの視点から、マルクス的なあるいは斎藤幸平の提起した「脱成長コミュニズム」を相対化し、矮小化し、改良主義を対置しているにすぎません。
 
■太古の共同体における「ある種の物質的潤沢さ」の仕組みを復活させる!

 ブライアン・M・ナポレターノは「カール・マルクスは脱成長共産主義者でしたか?」 (monthlyreview.org)において、マルクスが1868年以降、ヨーロッパ中心主義歴史観と生産力主義を乗り越え「脱成長コミュニズム」を目指すようになったという斎藤幸平の主張に対して長い文献批判をおこないました。批判が「マルクスはこう言った」あるいは「言っていない」といった引用になっていることは、それこそ「生産性」が悪いものです。私はそれをスルーし原始的共同体の経済ついて短く述べ反論に当てようと思います。
◇  ◇  ◇
 著名な文化人類学者M・サーリンズ著1972年の『石器時代の経済学』をみてみましょう。
 ≪生存のみの経済≫≪激しい労働にもかかわらず飢餓に追い立てられる生活≫≪そもそも〈生活〉などとも言えない≫≪文化も歴史もない≫・・と植民にやってきた西欧人に酷評された狩猟採集民ですが、そうではなくその偏見は転倒されなければならない、とサーリンズは言います。

 「市場=産業システムは、全く類を見ない仕方で、また、どこにも比べるもののないほどに、希少性を制度化している。一切の生計が金銭の収入と支出に依存しているところでは物質的手段の不足が、あらゆる経済活動の、明白な、出発点となっている」と。すなわち希少性と欠乏が現代資本主義を特徴づけていると。

 それに対して「原始豊かな世界」では「ある種の物質的潤沢さがある」と言います。「彼らはある種の物質的潤沢さの中で生活していた。なぜなら、日常生活に必要な道具を、周りに豊富に見出せる材料、誰でも自由に取ることのできる材料(木材、アシ、武器や器具を作るための骨、網を編むための繊維、屋根をふくための草)から巧みに作っていたし、こうした材料は少なくとも(共同体)全人口の必要を満たすのに十分であった。」

「自然資源への立ち入りは典型的にざっくばらんだし(誰でも取るのは自由)必要な道具はみんなが占有できるし、必須の技能は誰でも知っている」。ところが「狩猟採集民は、我々ほど労働していない、というのが証拠歴然なのだ」(一日平均2~4時間程度)。倍働けば倍の物質的豊かさがあったとしても働くことはない。留意すべきは「(オーストラリア)アーネム・ランドの狩猟民の栄養摂取量は適切であり、アメリカ・ナショナル・カウンシルの基準を満たしている」ことです。

 このような生活スタイルの根底にあるのが、自然と共同体に対する信頼――つまり「自然と社会はいつでも私に与えてくれる」――であることは容易に推測されます。だから個々人の欲望は制御される(暴走しない)のです。お気づきの様にサーリンズの考察は斎藤幸平の「欠乏の資本主義、潤沢なコミュニズム」(「人新生の〈資本論〉」等)の議論に通底しています。

 では経済活動にさほど熱意がなく労働時間が少ない、この原始的な狩猟採集民たちは、有り余る余暇をどのように過ごすのかに感心が集まるでしょう。それが、訪問、談笑、昼寝、祭礼、ダンス、唱和等々。つまり彼らにとって「生産力の増大」どころかそもそも経済活動それ自体が、共同体的生活に従属しているか、あるいはその一部にすぎません。目いっぱいあくせく働き続け「過労死」に脅かされる現代とは生活原理が異なるのです。繰り返しますが、それは支配階級の剰余価値の収奪があるからです。
◇  ◇  ◇
 端的に言って、人類史を約600万年とすれば、人類はそのうち599.5万年はこのような「脱成長」的な生活の中にあり、共同体としての原理の上で生活し自らを進化させてきたのです。このような共同体的原理の高次の復活としての現代コミュニズムこそが、求められているのです。地縁や血縁と言う狭さを超えて、自然と社会の相互の調整あるいは労働手段との本源的統一を復活させるには、計画性や科学性が必要ですし、そのためにアソシエートした個々人の、より意識的な統治や管理を打ち立てる必要があります。これが現代のマルクス主義的指針だと考えます。(阿部文明)案内へ戻る


  読書室 植草一秀・白井聡共著『沈む日本 4つの大罪』(ビジネス社)本体価格千七百円

〇本書の副題は「経済、政治、外交、メディアの大嘘にダマされるな!」である。そして内容は、植草氏と白井氏が、最近誰の目にも明らかになった地盤沈下を経験しつつある現代日本にある四つの大罪を取り上げ、縦横無尽に語り合った、実に痛快な対談本である〇

 現在の日本は、「失われた三十年」と言われている。実際、バブル経済のピークからだと三十五年間の凋落を経て、今や名実ともに三流国家に転落した。この間、米国経済は三倍に、中国経済は二十四倍に拡大したのに対して、日本経済は実に四分の三に縮小した。

 最近若者の眼から輝きが消えて久しい。そして労働者の困難な生活状況を尻目に、政界ではモリ・カケ・サクラの不祥事が発覚し、旧統一教会との深刻な癒着、組織ぐるみの巨額裏金不正事件が暴かれたが、警察・検察の動きは鈍く逮捕・事件化はされてない。

 まさに絶望的だ。この中から私たちは希望の光を見出すことができるのか。だが私たちはこの現状を正確に認識し、自らの手と足で時代を切り開いてゆくしかないのである。

 手助けとなるのは、二〇一三年七月に『アベノリスク 日本を融解させる7つの大罪』を出版し、一方で同年に大型の財政出動をしながら、他方で翌年には消費税を五%から八%にして緊縮経済に舵を切ったことを「アベコベノミクス」と的確に批判した植草一秀氏と、同じく二〇一三年『永続敗戦論 戦後日本の核心』、その五年後『国体論 菊と星条旗』と、戦後日本の政治体制の実相を鮮明に書き出した白井聡氏とのこの対談本である。

 ご両人の「経済、政治、外交、メディアの大嘘にダマされるな!」との優れた問題意識から、日本に日々刻々生起する現象の本質を抉る。その洞察力と分析力はまさに当代随一である。特に最終ラウンドの「メディアを斬る!」における議論は、本書中の白眉である。

 その内容は、ジャニーズ、松本人志問題から、LGBТQ、コロナワクチンまで広範囲に及び、問題点は的確に論じ尽くされ、斎藤幸平や参政党にもコメントがなされている。

SDGs・LGBТQ等の問題点の核心

 現在、「意識高い系」資本主義=「ウォー キャピタリズム」が大合唱していることがある。それは、SDGsに反対するのは悪であり、私たちの会社はSDGsを推進する「よい企業」だとのイメージを売って他企業との差別化を図り、人々を誘導している。つまり現在の資本主義の行き詰まりを突破するために過剰なほど「倫理性」を持ち出している。

 こうしたSDGs等、環境問題への取り組みと様々な少数派に関するポリティカル・コレクトネスを推進することに世界の大企業はお金を使う。飽くことなき利潤極大化に邁進する巨大資本は、倫理的に振る舞い、より狡猾に、より巧妙に、そして大がかりに新たなビジネスモデルの構築に励んでいることに、私たちは注目せざるをえないのである。

 そもそもLGBがLGBТQへと発展したのには問題がある。確かにLGBの人々の人権は尊重されねばならない。だが「『LGBТQ』政策の暗部はТとQにある」と白井氏は指摘する。Тはトランスジェンダー(心身の性不一致)、Qはクィア(性自認未定)。

 まずТについて、白井氏は欧米では従来の流れが反転するほどの事態となり、思春期世代へのホルモン投与、外科手術等の性転換が「療法」だと濫用の疑惑ありとする。植草氏もこの性転換を医療資本の利益のために活用している、と白井氏に同意するのである。

 このように欧米では、思春期世代が性転換手術という巨大利権の餌食になっている。米国の『トランスジェンダーになりたい少女たち SNS・学校・医療が煽る流行の悲劇』の日本語版が発売中止になったが、白井氏は、これは単純な「差別の解消は正しい」という話ではない、そもそもこの運動をする人々は性同一性障害の当事者ではないと指摘した。ではこの状況は一体何なのか。白井氏は「一種の性革命を通じた市場の開拓ではないか」と指摘。植草氏も人権を守ることは全部善で、それに対して物を申すのは悪であるとのステレオタイプが類型化すること、同調圧力で疑問を封殺することが問題だと同意した。

 また日本の「LGBТQ」政策にはアメリカの影がある。具体的には駐日米国大使の介入があったことはよく知られている。性的少数者の存在がNPО団体の利権になるのだ。

 こうした日本のウォーキズム(意識高い系)に関しては、言ってみれば右は財界、その背後にアメリカ、左は日本共産党まで、主な政治勢力がそれに乗っかっていることである。

 次いでQについて、白井氏はТとQは性自認のずれで内在的に結び付くとする。「体は男(女)なんだが心は女(男)なんだ」とのドグマを「性を自己決定させる」との美辞で思春期世代を誘導する。幼児も同意ならSEXの対象となる。こうして今まで禁忌だったペトフィリアが浮上する。欧米では幼児誘拐が多発している。これが欧米における隠れた人身売買なのだ。米国では年間数十万人で日本人には想像を絶する数だ。実際、ヒラリー・クリントンのピザゲート事件が話題となった。まさに闇の中の闇の世界である。

 その他、反ワクチン・ワクチン接種・参政党が取り上げられ、懐疑派の植草氏は、「断末魔ビジネスモデル」と名づけ、キーワードを旧統一教会のUPFになぞらえWPFとした。すなわちWは戦争、Pはパブリック・財政収奪、Fはフェイクで、その内実は「国際特殊詐欺ビジネスモデル」である。つまりワクチンやSDGsやLGBТQは新しいビジネスモデルなのである。これらの視点を持つことは大変重要なことだと私は考える。

 まさに現在の日本の翼賛的な政治状況の問題点が浮き彫りになっていると言える。

 現代日本の諸問題を知る上で最適の本だと考える。一読を薦めたい。 (直木)案内へ戻る
 
 何でも紹介 死なないノウハウ 独り身の「金欠」から「散骨」まで 雨宮処凛著 光文社新書 900円

 不安がなくなると、人は優しくなる

 私が愛読している保育雑誌「ちいさいなかま」に、雨宮処凛さんが「少~し力をぬいて」というタイトルで長年連載をしている。処凛さんは就職氷河期世代でフリーターを続けていたが生きている価値はないとリストカットを繰り返していた。こうした経験から連載では、生きづらさを感じている若者や女性たちに命だけは大切にというメッセージを送っていた。20年近く前から貧困問題に取り組み「反貧困ネットワーク」の世話人として勢力的に活動。私は連載に心が救われたり今の社会や政府に対して批判する言葉に共感できるので毎月楽しみにしている。

 その処凛さんが「死なないノウハウ」伝授しますと、本を出版したので紹介したい。処凛さん曰く、「死なないノウハウというのは困った時に使える社会保障制度や頼れる支援団体などの情報を持っていること、セーフティネットにひっかかるためのコツ、というようなニュアンスもある」と。本書は「お金」「仕事」「親の介護」「健康」「トラブル」「死」の6章で、それぞれのジャンルで専門家に話を聞いている。2008年にリーマンショックが起こり、「派遣切り」の嵐が吹き荒れ「年越し派遣村」では6日間で500人以上が訪れ、自力での生活再建は困難だが制度に詳しい支援者が対応すれば公的福祉によって生活が再建されるという現場を目の当たりにした処凛さんは、取材するだけではなく手伝いをするようになっていった。

 約20年間貧困の現場に身を置いて東日本大震災と原発事故、そして20年からのコロナ禍で困窮者支援の現場は「野戦病院」のような様相で、緊急性の高いSOSが連日届き4年経った今も続いてその数2000件以上という。コロナ禍ではメールをくれる約6割が10代~30代で「年越し派遣村」の時は中高年が中心だったがコロナ禍では若年化し女性も20倍に増え、処凛さんがSOSをくれた人のもとに駆けつけると家も仕事も所持金もない状態で、まずは聞き取りをして生活保護支援に同行したという。連載にもあったが自殺をするつもりだった女性を間一髪で救ったこともあった。執筆するだけではなく自分も現場に行って当事者の声を聞いて身をもって活動している処凛さんの言葉には説得力があり、見習ってほしい政治家はたくさんいる。

 ページをめくっていくと「家賃が払えない」場合は「住居確保給付金」、「病院に行けない」場合は「無料低額診療」等々。様々な社会保障制度をどのように使っていくか具体的に書かれているのだ。生活に困った時に使える社会保障制度がこんなにも沢山あったことに驚き知らないことばかりだが、私たちはこういう制度があることを教えられていないのだ。

 ところが、こうした制度がありながら日本名物、役所の縦割り問題があると。役所や行政の窓口の人は自分の担当していることには詳しいけれど、他の制度には門外漢なので何度も足を運ばなければならない。窓口に「すべての制度を知り尽くし主」みたいな存在がいてくれればいいという。本当にそう思う。

 また、処凛さんは06年にフリーター労組が主催するメーデーに参加して、若者に働く気がないからフリーターが増えたのではなく、財界が政治に要求したから増やされたという事実に、驚愕した。フリーターであったり正社員になれないことに自分を責めて命を絶った人たちは自分を責めることはなかったと憤慨する。「仕事」の章では、働く上で起きる様々なトラブルー解雇された、仕事でケガをした、仕事を失った、パワハラでメンタルをやんだ等々ーが起きた時の解決策が詳しく書かれている。読んでいくとまたまた知らないことばかりで夢中になって読んだ。多くの人は労働基準法や働く者の権利などを一切学ばないまま労働市場に放り出されてるという言葉に納得してしまった。 

 それから次の章からは女性ならではの視点で書かれている。「親の介護」では介護や施設だけではなく、「家族代行業」として、親の最期の「後始末」を手がけている民間の終活団体を紹介している。親ばかりでなく一人暮らしの方からも依頼があるという。次の「健康」では病気になった時、「トラブル」では対応の仕方、「死」では自分の死後の心配などの対処方法が書かれている。

 その中で、自分の死後のスマホやパソコンのデーターを処理してくれたり、ペットの身元引受先を見つけてくれる終活団体もあるというのは心強いことだ。。私は自分が死んだあと葬儀はやらないで、お墓もいらないから大好きな山に散骨してもらいたいなと以前から漠然に考えていた。すると散骨のガイドラインでは海洋散骨のことが詳しく書かれていたので参考になった。山岳散骨はなかったが、樹木葬、納骨堂、合祀墓なども書かれていた、自分の生活の中で何か困ったことがあったらこの本を参考にしてほしい。

 処凛さんは49歳の独り身、配偶者も子もなくいるのは猫が一匹。自分のこの先が不安すぎるから、その不安要素を潰すためにこの本を書いたという。「死なないノウハウ」を獲得していく課程で「不安がなくなると、人は優しくなる」ことに気づいたとあとがきに書かれていた。なんてステキな言葉だろう。不安がなくなる社会を目指していきましょう。(美)


  県知事が全国区の話題に!

 今や神戸学院大学教授の上脇博之さんの名前を知らない人はいない、そう思えるほどの活躍を繰り広げ、「政治家が最も恐れる男」としてドキュメントにも登場した。その上脇さんを超えるほどに話題をさらい、斎藤元彦兵庫県知事が登場した。

 元来、県政に関心を向けることは少ない。市政なら直接影響を及ぼすこともあるし、国政はさらに大きな話題となる。それでも、大阪から越境してきて誕生した維新派知事にはそれなりの警戒心を持っていた。

 とりわけ、大阪万博に県税を流されるのは御免こうむりたいという思いがあった。空飛ぶ車の基地はうやむやになったようだが、「小中高校生最大56万人を公民連携で無料招待」計画は止めなければと思っていたのだが。

 そこに降ってわいたのが、前西播磨県民局長によるパワハラ・おねだり知事告発問題だった。当初はうそ八百、内部調査だけで定年退職を認めずに懲戒処分で門前払いの結末かと思われた。ところが、告発者による指摘が事実によって証明されつつあり、むしろ内部告発として扱うべきだったことから、アッという間に全国区の話題をさらった。

 7月17日の「東京新聞」こちら特報部《知事を告発した職員を「死をもって抗議」に追い込んだ兵庫県の「懲戒」公益通報者を守れぬ「保護法」の実態》が、このことを余すことなく報じた。和歌山市で男性職員が公益通報後に自殺、鹿児島県警では内部文書をライターに送付した前生活安全部長が国家公務員法(守秘義務)違反で起訴された事例をあげ、不当な取り扱いに罰則を設けよと指摘している。

 この件では県民による百条委員会設置を求める請願が提出され、維新と公明が反対したが可決され、百条委は現在進行形で進んでいる。知事選で分裂しつつ斉藤推薦にまわり勝ち馬に乗った自民は、今や次の知事選に自前の候補を立てようという動きがある。トンデモ知事を誕生させた責任の反省もなく、斉藤知事辞職を求めているのだ。

 片山安孝副知事は知事に辞職を促したが断られたと述べ、自分だけ副知事を引責辞任していい子ぶった。しかし、彼は斉藤独裁体制を構築する片割れとして動いていた人物であり、県庁内にはそういう体制ができつつあったようだ。

 実際、「百条委で、職務上の(知り得た)秘密について述べる場合は、事前申請して総務課長の許可が必要」との文書が職員に配布されていたことが7月19日の百条委で取り上げられ、これは証言者への恫喝、妨害行為だと委員から怒りを買った。

 斉藤知事は〝県民の負託を受けている〟と居座りを決め込んでいるが、日々新たな事実を突きつけられ、ネットでも週刊誌でも新聞各紙でも報じられ、辞職への包囲網は狭まっている。

 とりわけ県職員アンケートを取り組み、実際的な告発の口火を切った丸尾牧県議の舌鋒は鋭く、百条委でも活躍している。丸尾さんはオンブズ仲間として県議の政務活動費違法支出の告発などで共に活動してきた方で、資料調査や問題の指摘で多くの実績を残している。明石川のPFAS汚染調査、告発も彼の仕事だ。

 さて、兵庫県民の私から見て、兵庫県庁内のこうした実態は知る由もないことであり、斎藤知事については維新派として警戒していたが、地元紙に毎日のようにその姿が登場する目立ちたがりやだという印象だった。それは本人が要求したのか、「神戸新聞」が忖度したのか、どちらもだったのかもしれない。

 そして7月18日、「神戸新聞」が《うちわに顔写真 斉藤知事が指示》と報じた。内容は昨夏の電子商品券「はばタンPay+(ペイプラス)」の周知、広報用うちわに顔写真が載ってないとごねた件。これも丸尾県議の質問から発覚したもので、職員アンケートで「うちわに顔写真がないことに知事が怒ったので作りなおした」という回答があったというのだから、実に子どもじみている。

 いずれにしろ、事件そのものも現在進行形であり、これからさらに新たな事実が出てくるだろう。だが、〝県民の負託〟はもう賞味期限切れだ。知事としての彼の顔は見たくもないし、声も聞きたくもない。さっさと辞めろ。(折口晴夫)案内へ戻る


  沖縄通信・・・「安和桟橋出口で死傷事故起こる」

 私は4月から辺野古新基地建設に反対する現地闘争に参加していた。

 辺野古の大浦湾ではいよいよ本格的な埋め立て工事が始まっている。この大浦湾の新基地建設はこれから12年~15年もかかると言われている。本当に辺野古の新基地建設は出来るのか?私も大浦湾の新基地建設は不可能だと考えている。

皆さんもご存知のように、埋め立てに使う土砂の大半は辺野古の反対側にある名護市・安和桟橋近くの山からダンプによって運ばれて安和桟橋の敷地に土砂が大きく積み上げられる。そこから土砂が運搬船に運ばれて満杯になると運搬船は出港して辺野古に向かうのである。

 私もこの安和桟橋でダンプカーが何台土砂を運搬船に運んだのか?その台数をチェックする係を担当したことがあった。朝から次々にダンプカーが安和桟橋に土砂を積み上げる。その安和桟橋に土砂を運び入れるダンプカーと運ぶ終わったダンプカーが出て行く出入り口のところで死亡事故が起こったと聞き、大変驚いた。

 6月28日午前10時過ぎ、安和桟橋の出口付近で辺野古新基地建設の埋め立て用土砂を運搬するダンプが作業ヤードを出て左折した際、抗議中の市民と警備員を巻き込んだ痛ましい死傷事故が起きた。

 2018年12月以来、辺野古埋立土砂の海上搬送が行われている安和桟橋は、交通量の多い国道449号に面している。市民たちが出入り口前をゆっくりと歩く抗議行動もすでに5年半になる。

 こうした長い行動の中で、出口部では警備会社・事業者・抗議者の間で「抗議者が出口前を片道を歩いたらダンプを1台出す」、「右側、左側とダンプを交互に出し、同じ側から2台連続して出さない」、「抗議者はダンプ運転手に手を上げて合図をしてから歩き始める」などの「暗黙のルール」が出来ていたと言う。

 抗議行動は安全に配慮して行われてきたので、これまで大きな事故も起こらなかった。警察関係者も「抗議行動そのものの加熱や特に大きなトラブルの情報もなかった。現場は危険な状態でもなかったので、日常的に警察官も配置されなかった」と言う。

 しかし、警備会社が変わり、今年2月頃から工事の元請業者もかわったためか、ダンプの誘導方法が強引になり、「2台出し」や、抗議者が渡り終えていないうちに見切り発車のようにダンプを出すなど、危険な状態が発生するようになったと言う。

 このような状況の中で、「オール沖縄会議」は沖縄防衛局に対して「今回の死傷事故の原因は、防衛局が辺野古新基地建設の工事を急がせるために、業者に無理を強いたことにあると思われる。防衛局は全ての工事を中断し工事の在り方を全面的に見直すこと」を要請した。

 玉城デニー知事は今回の死傷事故を受け、沖縄防衛局に対して「事故原因が究明され、安全対策がされるまでの間は、土砂搬出作業を中止する」よう求めた。(富田英司)


  色鉛筆・・・女川原発再稼働反対~未来の子どもたちのためにも~

七月七日、女川原発再稼働を考える女川現地講演集会に参加しました。
ジャーナリスト青木美希さんの「原発ゼロで生きる方法」では、女川原発、福島原発で働かれている方から三・一一東日本大震災のときの様子を取材したビデオが放映されました。その方のお話は、私が知らなかった恐ろしい事実でした。東日本大震災の時は、女川原発で働いていて、道路に亀裂が入り寸断され避難する場所がなくなり、女川原発は、内部電源が水びたしで使用できず、外部電源の一系統だけが生き残ったため、福島原発のような爆発事故が起こらなかったそうです。たまたま運よく爆発しなかっただけなのです。

 女川町では、二年ほど前、小泉進次郎大臣も参加した女川原発の事故を想定した避難訓練をしました。一次避難では室内では、養生テープで窓の隙間を塞ぐ、ヨウ素の配付、二次避難では、パスを使用し町民、学生が登米市や利府町に避難をするというものでした。

 しかし、東日本大震災の時に女川原発で働いていた方の話では、道路に亀裂が入り寸断され、そこから動けなかったと証言されています。また、警報級の大雨が降ると幹線道路に水が溜まり通れなくなることもよくあります。仙台までは、約六十キロ離れていますが、女川原発が爆発したら仙台まで簡単に放射性物質を含む気体は届くというデーターもあります。正直、避難訓練どおりに避難できるのか、また宮城県内に避難しても被曝するのではないかと不安に思います。

また、能登半島地震による志賀原発に大変な危機が迫っていたことが、後からの点検でわかったお話を講演会で聞き、びっくりしました。

 珠洲原発が建設される予定地は能登半島地震の影響で土地が隆起し、地域の反対運動もあり、見送られました。

原発を続けることは、事故が起きる可能性を抱え続けることを意味し、福島第一原発事故で得た教訓が全く生かされず、また女川原発は、最初は二〇二四年五月に再稼働が告知されました。それから延期になり九月、また延期になり十一月の予定です。県民調査によると半数以上が再稼働を反対しています。その中でも、女川町や近隣の石巻市に住んでいる友人は、原発は本当の気持ちは反対だけれど、毎月東北電力から親にお金が支給されていて、反対できない。漁師だけで食べていけなくて、原発で働いている人もたくさんいるなど、東北電力は莫大なお金を地元に落として、地域住民の賛同の数を増やしています。

講演会の中で、原発に頼らなくても、太陽光発電などで、電気が補充されている事例も紹介されました。

実際に私も東北電力ではなく、太陽光発電を利用しているアイコープと契約を結んで、電気代は、東北電力の時よりも、安くなりました。

講演会終了後、女川町内をデモしました。集会参加者は五百五十人、デモ参加者は三百五十人、女川町内での原発反対デモは三十年ぶりでした。

女川町は、海鮮やほやが美味しくて、温泉もあって、素敵な町です。こども達に美しい海を残していきたいです。そのためにも、女川原発再稼働反対を訴え続けていきます。(宮城 弥生)

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