ワーカーズ663号 (2025/2/1)   案内へ戻る

  パレスチナ ガザ停戦 イスラエルはパレスチナの占領をやめ戦争犯罪行為について罰を受けろ!

 2023年10月からガザ地区で無差別殺人を続けるイスラエルは、ハマスとの合意に基づき、1月19日午前、日本時間の19日午後から6週間の停戦期間に入りました。遅すぎた停戦です。

 イスラエル軍は、停戦合意が成立した後も、ガザ全域で攻撃を続けていました。パレスチナ自治政府の通信社WAFAは1月17日、15日の合意成立後に103人が死亡したと発表しました。

 今回のイスラエルによる無差別殺人は、2023年10月7日ハマスの武装グループがイズラエルに攻撃をしかけ、1000人を超える人が命を失い、数100人が人質となり、自衛のための反撃だと言っています。しかし、今回のイスラエルの無差別殺人によって、約46000人もの命が奪われました。こんなものが、自衛と言えるのでしょうか?

 そして、ガザにある36の病院は、現在半数以下しか機能していません。報告書がその対象期間とした2023年10月から2024年10月までの1年間に、国境なき医師団(MSF)だけでも、空爆、砲撃、医療施設への襲撃や輸送隊への直接攻撃、イスラエル軍によるスタッフの恣意的拘束など、41件の攻撃や暴力被害に耐えてきた。MSFの医療関係者と患者は、17回にわたって病院や医療施設からの一時退避を余儀なくされ、文字通り命がけで逃げ出すことも少なくありませんでした。

 パレスチナの保健省は1月21日、イスラエル軍が占領下のヨルダン川西岸地区ジェニンで大規模な軍事作戦を実施したと発表しました。パレスチナ人9人が殺され、35人が負傷したといいます。パレスチナのメディアによると、多数の兵士がドローン(無人機)やヘリコプター、装甲ブルドーザーを伴って、ジェニンとその難民キャンプに進入し、空爆も行われたと。イスラエルは、西岸地区でも日頃から入植地を増やし、農地の破壊や土地の没収、暴力や不当逮捕、殺害をやっています。無茶苦茶です。

 今回の停戦が続くとしても、イスラエルによるパレスチナへの、不当な封鎖、物資・人の行動制限、暴力、逮捕、殺人をやめさせることが必要です。

 イスラエルは、パレスチナへの占領行為をやめろ!そして無差別殺人の責任をとって罰を受けるろ!日本政府は、今回のイスラエルの戦争犯罪行為を糾弾せよ!(河野)


  イスラエルと米国は同根  米国に根を張る〝マニフェスト・ディスティニー〟

 1月19日、イスラエルとガザ地区のハマスの停戦が始まった。

 今回の停戦は三段階で進み、第一段階は6週間で人質交換やガザの密集地からのイ軍撤退など、第二段階では戦闘の恒久的な終結への合意、第三段階ではガザの復興などが予定されているという。

 が、この停戦は恒久的なものではなく、戦闘が再開される可能性も危惧されている。

 今回のイスラエルによるガザでのジェノサイド(=集団殺戮)は、とかくネタニヤフ政権によるパレスチナ人絶滅戦争ともいえる苛烈な攻撃に焦点が当てられてきた。が、それも米国の永年に及ぶ軍事援助をはじめとするイスラエル擁護の歴史あっての攻撃だった。ここではその一つの視点として、米国の建国にまつわる独善的な世界観との関連について考えてみたい。

◆非対称の戦争

 イスラエルによるガザ攻撃で、パレスチナ人の死者は子供や女性も含めて今回の停戦時で少なくとも46700人以上だという。並行して続くロシアの侵攻で、ウクライナ兵の3年間弱の戦死者数43000人(ウクライナのゼレンスキー大統領が24年末に発表、実際はその倍以上)をも上回っている。

 今後、戦闘がぶり返す恐れもあるが、いまだ200万人ものパレスチナの人々が生死と飢餓の境目という極限の生活を余儀なくされている現実。とりあえず停戦を歓迎したい。

 これまでのガザ戦争は明らかに〝非対称の戦争〟だった。地下トンネルを利用したハマスなど武装した抵抗勢力とイスラエル正規軍の圧倒的な軍事力による空爆や重火器による攻撃、〝天井のない監獄〟とされる塀で囲まれたガザ地区への病院や学校も標的にした容赦の無い攻撃。まさしく〝絶滅戦争〟ともいうべきパレスチナ人へのジェノサイドだった。

 戦況という視点で見れば、ガザ地区以外でも、イスラエルの一方的な圧勝ともいうべき状況だ。

 ヨルダン川西岸でも1年間で678人のパレスチナ人が殺されているという。

 ハマス指導者のハニヤ政治局長は、イランの首都テヘランで、米国が供与した地下施設も破壊可能なバンカーバスター爆弾でビルまるごと爆殺された。

 レバノンではシーア派組織ヒズボラの軍事拠点がほぼ破壊され、ヒズボラ指導者のナスララ師もイスラエル軍の空爆で殺害された。

 そして親イランのシリアでは、反政府勢力の一斉攻撃によりアサド首相がロシアに逃亡し、当然にも政権自体が崩壊した。その過程で、イスラエルはシリア国内の350カ所以上の軍事施設を攻撃。化学兵器、それに長距離ミサイルの9割を破壊したという。これにはロシアに逃亡したアサド大統領が、自身の安全と引き換えに、シリア国内の主要な軍事施設の場所をイスラエルに通報したとの情報もある。

 加えて、イスラエル軍は、現状でも不当・不法に占領しているゴラン高原から、さらに緩衝地帯に部隊を展開し、シリア領内にも侵入した。しかもその地域での最高地点であるハーモン山にも拠点を築いた。ここはレバノン、シリアを見下ろせる、戦略的に極めて重要な地域だという。

 結果的に、イスラエルに敵対する〝悪の枢軸国〟とされたイランや、レバノンのヒズボラ、ガザのハマスの弱体化に成功し、シリアの政権崩壊と〝管制高地〟を手にして。中東では圧勝に終わったイスラエル。その要因はいうまでもなく圧倒的な軍事的・諜報的優位性だ。

◆米国の軍事援助あってのジェノサイド

 今回のガザ戦争は、ハマスによるイスラエルへの越境攻撃が直接的な原因だった。が、背景にはイスラエルによる入植地拡大、またパレスチナ抜きのアラブ諸国とイスラエルの連携の動きがあった。

 その後の過酷を極めたガザ攻撃は、覇権国家米国の軍事援助抜きにはあり得なかったし、攻撃の最中も続けられたミサイルや砲弾の追加供与があってこそのジェノサイドだった。

 ガザ戦争で、米国大統領バイデンもハリス副大統領も一貫してイスラエル支持だった。ガザのジェノサイドを脇目に軍事支援を継続、バイデンは退任直前の年明けにも80億ドル(約1兆2600億円)の武器支援を議会に通告した。

 米国はオバマ政権時代も、年間38億ドル(約5~6000億円)も軍事援助を続けてきた。戦闘が始まった23年10月以降の1年間だけで179億ドル(約2・7兆円)、その他イスラエル関連での中東地域も含め、公表されているだけでも227億6000万ドル(約3兆6000億円)の軍事援助が行われたという(米ブラウン大学)。その米国が供与した兵器・弾薬で、5万人にも達するパレスチナ人が殺され続けてきたという構図だ。

 それに米国による政治的バックアップもある。

 米国は、ジェノサイドだとの国連機関による批判も無視し続け、また国連安保理でも拒否権を乱発して、イスラエルのジェノサイドを容認し続けた。

◆眼中に無い攻撃対象

 イスラエルのガザ絶滅戦争のもう一つの背景は、いうまでもなく宗教的背景を持つイスラエルの建国の理念=シオニズムだ。旧約聖書に基づく、神のご託宣によるユダヤ人の〝約束の地〟への回帰という物語だ。その約束の地というのは、現状のイスラエル国土にとどまるものではなく、解釈によってはシリアやイラクの一部を含むユーフラテス川までというものもある。昨年12月のイスラエル軍のレバノン・シリア攻撃や侵入など、そうした大イスラエル構想があってこその行動だといえる。

 そんなイスラエルの若者は、イスラエルがその地に住んでいたパレスチナ人を排除して建国されたとは、教えられていないという。ただ、パレスチナ人=ハマス・テロ集団だと聞かされているだけだ。それもあって、多くのイスラエル人にとって、パレスチナ人の実像が思い描けず、したがって〝眼中に無い〟ことになる。

 驚くのは、ネタニヤフ首相が計画したとされる戦後のガザ構想での未来都市化したガザ地区のイメージ図(ガザ―2035)だ。そこに住んでいたはずのパレスチナ人はどうなるか、まったく言及がないという。

◆建国の物語はイ・米で同根

 なぜ米国は、ウクライナとの〝二重基準〟を批判されながらも、そこまでイスラエルを支援、擁護するのか。

 米国の親イスラエルの態度は、一方では現実的な地政学的な米国の世界戦略から出ている。イスラエルは米国にとって、原油産地の中東・アラブ地域介入での橋頭堡だった。

 加えて、経済界やメディア界に根を張るイスラエル・ロビー=米国イスラエル公共問題委員会(AIPAC)等の影響力も大きな要因だ。反イスラエルの議員を追い落とすために多額の献金も厭わない。

 だが、それ以前に、イスラエルのシオニズムと米国自身の建国の世界観は、共通項が多い。

 米国の〝マニフェスト・デスティニー=「明白なる使命」〟はアメリカ合衆国建国の物語だ。

 米国は、建国時から戦争まみれ、血まみれで生まれた。始まりは、17世紀初頭からの英国で迫害を受けたピューリタンの新大陸入植からだった。アメリカ東海岸のニューイングランドに始まる入植地・植民地の拡大で、それ以降、200年以上にわたって、先住民との果てしない戦闘=殺戮と先住民の生活圏の略奪を拡げていった。

 その間、イギリスとの間の独立戦争、先行植民者のスペイン・フランスとも戦い、植民地を拡げ、最終的には、新大陸の西岸まで版図を拡大していった。その開拓=略奪の歴史そのものが、米国人の〝「明白なる使命」=マニフェスト・デスティニー〟だとされた。

 戦争まみれの米国、それは戦後も続く。イランのモサディク政権転覆、ベトナムのクーデター、カンボジアの政変、チリのアジェンデ政権転覆のクーデター、ニカラグアの政権打倒、グレナダ、ベトナム、アフガン、イラク等々。武力行使や介入は数知れず。建国から超大国となった現在まで、武力行使や暗躍をしていない時期のほうが短いと言われるほどだ。

 その土壌となったのは、建国時から引き継がれている〝マニフェスト・ディスティニー=「明白なる使命」〟といわれる唯我独尊の自国中心主義(米国が第一)に他ならない。

 ちなみにトランプは、大統領就任前から、グリーンランドやパナマ運河を米国に編入する、さらにはカナダまで米国の一州にする、などと妄言も吐いている。が、元を正せば、フランスからルイジアナ州を購入したり、メキシコから独立したテキサス共和国を併合したり、アラスカ州も当時のロシア帝国から購入したものだ。その延長線の発想か、あるいは思想的な背景から来るものか、あるいは単なる取引(=ディール)の脅し、とでも考えているのだろう。

◆〝マニフェスト・デスティニー=「明白なる使命」〟

 さきに記したイスラエルの依拠する〝約束の地〟(=シオニズム)。そのパレスチナ地方全体が、ユダヤ人に約束された地だ、というイデオロギーと同じような世界観が、実は米国及び米国民自身にも根強く引き継がれている。その一例がすでに触れてきた〝マニュフェスト・デスティニー=「明白な使命」〟といわれる考え方だ。

 もともとはアメリカ合衆国の西部侵略を正当化する標語で、〈明白なる使命〉とか〈明白なる運命〉だと訳されてきた。文明は西方へ移動し、地球を一周して世界を覆う、という〝文明西暫説〟に基づいた〝アメリカ文明史観〟だとされる。米国のコラムニスト、ジョン・オサリヴァンが、合衆国のテキサス共和国の併合を支持した際に用いて、後に先住民の虐殺や西部侵略を正当化する標語にもなった。これは現代にも続く、米国の帝国主義・覇権主義に基づく地球規模の武力行使にもつながる世界観にもなっている。

 そのオサリヴァンは、先住民強制移住法の成立(1830年)後の1839年、『未来ある偉大な国家』という小文で、次のように記す。「我々の国家の誕生は、新たな歴史の始まりだった。かつてない政治システムの形成、そして進歩だった。それは我々を過去から切り離し、未来のみにつなげているのだ」と。(上村 剛 『アメリカ革命』中公新書2024年 P224)

 同じようにオサリヴァンは米墨(メキシコ)戦争が始まった46年の前年の1845年、その戦争に勝利し、カルフォルニアなどの領土を手にして合衆国の版図が西岸の太平洋まで到達した48年の3年前に、『明白な運命』(マニフェスト・ディスティニー)と表現し、次のように記した。

「自由と連邦自治政府という偉大な実験を進展させるために、神が与えたもうたこの大陸全体を覆いつくし、所有するのは、我々の明白な運命による権利である。」(同・P225)

◆〝米国第一〟はトランプ流の〝マニフェスト・デスティニー〟

 遙か180年も昔の話ではないか、と侮ることなかれ。つい先日の1月20日、米大統領就任演説で、大統領に返り咲いたトランプは語った。「米国は再び成長する国家となり、富を増やし、領土を拡大し、都市を建設し、期待を高め、新しく美しい地平線に国旗を掲げていく国家になる。」

「米国の先祖は、広大な大陸の端にあった小さな植民地群を、……強大な共和国に変えた。」

「米国民は、手つかずの自然が拡がる荒れた土地を何千マイルも突き進んだ。彼らは砂漠を横断し、山を越え、計り知れない危機に立ち向かった。西部地方を勝ち取り、奴隷制度を終わらせ、何百万もの人々を圧政から救い出し、何十億もの人々を貧困から救い出した。……。」トランプにも、先住民やその生活は見えていない。

 停戦を唱えながら自国が供与した兵器でイスラエルによるガザでのジェノサイドを容認し続けた米国、合衆国建国以来の先住民や居住地など侵略対象を歯牙にもかけない独善的な世界観を未だに引きずる米国。覇権国家=米国の脅威と独善の渕は深い。 (廣)案内へ戻る


  核の「拡大抑止」に反対する

 防衛省は去年の12月、米国が核を含む戦力で日本防衛に関与する「拡大抑止」に関して初めて「日米両政府がガイドライン(指針)を作成したと発表」しました(毎日新聞)。

 しかし、核廃絶を掲げる従来からの「政府方針」と、核の傘や拡大抑止の強化を同時に追求することは、明確な矛盾です。日本は唯一の被爆国として核廃絶を訴えている一方、米国の核抑止力に依存している現実があります。この依存が続く限り、核廃絶への真剣さが疑われて当然です。

 このような日本政府による「核容認姿勢」は、国内原発推進とその副産物であるプルトニュウム大量所有という現実と相まって、核の容認姿勢→日本の核物質所有→核兵器製造の疑惑を強めるものであり、警戒しなければなりません。

■そもそも米国が「核で日本を護る」などあり得ない

 核の傘が実際に機能するかどうかには疑問があります。特に以下の点が指摘されます。米国が日本を守るために核報復攻撃を行えば、米本土への報復リスクが高まるため、「核抑止力」が機能する保証は全くありません。「相互確証破壊」理論に基づけばそれは幻想と言うほかありません。現実的に、米国が同盟国=日本のために自国を危険にさらす選択をすることはあり得ません。これは特に中国やロシアのような核保有大国が相手の場合はより明白です。

 日本は核保有についての議論を避け続ける一方で、核の傘に依存する立場を維持するのは、倫理的にも戦略的にも誤ったものですし、同時に何の安全保障にもなっていないことを知るべきです。

■「核共有」という事実上の核武装

 そこで、政策的生き詰まりの自民党右派においては、安倍晋三、高市氏らの「核共有」と言う話にすり替えられようとしています。例えば、ドイツは米国の「核共有」(Nuclear Sharing)という枠組みに参加しており、これは米国の核兵器をヨーロッパに配備し、NATO加盟国がその運用や方針の決定に関与する仕組みです。

 ドイツの場合、次のような特徴があります。ドイツ国内(ブューヘル空軍基地など)には、米国の戦術核兵器である「B61核爆弾」が配備されています。これらの核兵器は平時には米軍が管理していますが、有事にはドイツ空軍が核兵器を搭載できる航空機(トーネード戦闘機)を用いて運用する責任を負います。

 このように、「核共有」とは、米国の核をレンタルして「核武装する」と言うことにほかならず、実質的な核拡散であり、核戦争の脅威を高めるものです。日本政府の「核による拡大抑止」は現状では核共有を具体的目標にしているものではありませんが、今後政府が本気で「核による拡大抑止」を実行しようとすれば、それは右派の主張する「核共有」すなわち核武装に帰結する可能性があります。

 同時に、冒頭で触れたように潜在的核保有国(プルトニュウム所有と核兵器開発技術の向上)としての地位を強化する政府の意図も含まれている可能性があります。外交努力の乏しい日本政府による、「安全保障」が、核兵器を含めた軍拡でしか語られないことこそが問題なのです。 (阿部文明)

 
  川崎重工の架空取引17億円、捻出資金で海自接待…日本の軍産複合体の深刻な腐敗体質

 「防衛省は12月27日、川重と下請け業者による架空取引の規模が2018~23年度で約17億円だったとする特別防衛監察の中間報告を公表した。川重側は、架空取引で捻出した資金の一部を使って乗組員を接待」していた(読売新聞)。

 川崎重工業の架空取引問題は、海上自衛隊の潜水艦修理に関連して、川崎重工業が架空の取引を行い、得た資金を使って海上自衛隊の乗組員や海自関係の官僚に物品や飲食代を提供していたというものです。この問題は、少なくとも40年前から行われていたとされ、2018年度からの6年間で約17億円に上るとされています。
 
■官民ぐるみの不正

 川崎重工業は、防衛関連事業において長年にわたり架空取引を繰り返していたとされます。架空取引とは、実態のない取引を帳簿上の操作だけで行うことで、資金を捻出する手法です。この場合、取引相手や目的が虚偽であり、例えば以下のような形式が考えられます。実際には納品されていない物品を架空発注として計上。発注費用を資金としてプール。

 この金で潜水艦乗務員に物品を提供したり防衛官僚を高級レストランでの食事や娯楽施設での会合などで接待したり高価な贈答品や私的な利益となる物品提供なども含まれます。川崎重工業からすれば、潜水艦等の発注確保の目的での物品提供であり、言うまでもなく犯罪です。

 官僚たちは、川崎重工からの贈答や接待を受けることで、特に、防衛装備庁や海上自衛隊内での特定の契約を優先的に扱うなどの便宜を図っていた場合、重大な責任が問われます。防衛関連契約は税金で賄われているため、このような事案は許しがたい犯罪です。

■日本型軍産複合体の怪しさ

 防衛産業はそもそも独占的で閉鎖性が強く、限られた企業間での競争がゆがんだ関係を生み出す可能性を持っています。時あたかも「防衛費倍増」「軍需産業育成」が、自公政権によって叫ばれているときです。国民の重税によってひねり出された「防衛予算」を企業と官僚たちに食いちぎられる事態が増化することが予想されます。企業と官僚・自衛隊の腐れた関係を徹底的に暴き出し、「安全保障の強化」などと言う大義名分がいかに偽りであるかを暴露し批判すべき時です。(阿部文明)案内へ戻る


  コラムの窓・・・斉藤・片山コンビに対する刑事告発、受理される!

 昨年10月9日に私も加わって行った斎藤元彦知事と片山安孝元副知事に対する刑事告発が年を越し、1月21日付けで兵庫県警にようやく受理されました。背任罪での刑事告発でした。その内容の一部ですが、次に紹介します。

告発の趣旨

「被告発人らの下記所為は、刑法247条背任罪に該当するので、被告発人らの厳重な処罰を求めるため、告発する」

告発事実

「被告発人、片山安孝は、副知事として、2023年11月14日から16日頃に、中小企業経営改善・成長力強化支援事業について、予算編成段階時に、1億円から4億円程度に事業設計するよう口頭で指示。被告発人、斎藤元彦は、11月21日の知事査定において、産業労働部の予算要求額3億7500万円であったものを、全体を丸く4億円で計上するよう指示。最終的に補正予算額は4億円になる。

 それと並行して、兵庫県は大阪府ともにプロ野球、阪神タイガースとオリックス・バファローズがリーグ優勝を果たしたことによる兵庫・大阪連携「阪神タイガース、オリックス・バフアローズ優勝記念パレード」~2025年大阪・関西万博500日前!~(以下・優勝パレード)を2023年11月23日に計画。開催費用を、大阪府予算、兵庫県予算を使わず、一般向けのクラウドフアンディング、協賛企業の寄附で集めることとした。

 被告発人片山は、兵庫県で補正予算を組み、予算編成過程で補助金を増額。その裏で同時期に対象金融機関に働きかけ、優勝パレードヘの寄附を要求。

 現に、2024年9月14日放送「報道特集」において、信用金庫の関係者から、信用金庫にパレード寄付金の依頼に行った時のやりとりで、片山から「寄付金が足りてないのだが赤字をだすわけにはいかない。寄付出来ないか?補助金はしっかりだしますんで。」と上司が言われたとの証言が紹介された。

 本来、不要な補助金という税金投入のシステムを悪用して、優勝パレードヘの寄附にあてさせた。斎藤は、片山から随時報告を受け、それを指示していたものと思われる。

 被告発人、斎藤と片山は寄附をノルマ通り集めた実績で評価を高めたい目的で、兵庫県に損害を与えた、任務に背く違背行為である」

 片山氏は県庁退職後の2001年4月、兵庫県信用保証協会理事長に、同年9月には兵庫県副知事に就任。「守るべきものを守り、変えるべきものは果敢に改める。職員の力を引き出し、斎藤元彦知事を職員全体で支える。38年勤務した県庁に恩返しをしたい」との抱負を語っています。

 この信用保証協会こそが今回の不正の舞台であり、理事長の席は県幹部の天下り先でした。信用保証協会に関しては、中小企業庁が昨年12月9日付けで、全国51協会(47都道府県と横浜・川崎・名古屋・岐阜の4市)に対してトップの選任理由の公表を求めています。これは常態的な天下りを問題視したものであり、兵庫の不正がきっかけではないかと思われます。

 さて、年明けも続く斉藤知事をめぐる幾多の疑惑がひとつひとつ明らかになりつつあります。斉藤知事は例によって知らぬ存ぜぬを押し通し、お抱え弁護士や第三者機関の陰に隠れ、やり過ごそうとしています。昨年12月22日の「兵庫県知事選挙に異議あり!真相解明県民集会」の熱気を斉藤追放に向けたいと思う、今日この頃です。 (晴)


  読書室  櫻井義秀著『宗教と政治の戦後史 統一教会・日本会議・創価学会の研究』朝日新書 本体価格 900円

〇宗教と政治、霊と金、信仰とマインド・コントロール等に関する研究の第一人者がコンパクトにまとめた自民党と統一教会・日本会議・創価学会との戦後史に関する新書である。

 本書を読むことで、現在の自民党が統一教会からは秘書や選挙運動員の無償供給を受けつつ、小選挙区では創価学会の票の上積みにより当選し、そして日本会議が次々に打ち出す政策を自民党が実際に具体化し実践している実態の背景がよく理解できるだろう〇

 本書が出版されたのは、たぶん櫻井氏が昨年の『統一教会 性・カネ・恨から実像に迫る』(中公新書)の出版がきっかけだろう。なぜならこの本の関連から必要となった政治と宗教の戦後史に関する総括が櫻井氏に求められた、と私は勝手に解釈しているからだ。

 それにはやはり統一教会の山上元信者の安倍狙撃事件が大きく影響しているだろう。

 本書は6章構成となっている。はじめでは「最近まで政治家と教団の関係はことさら問題化されていませんでした。そのことで市民の信教の自由が制限を受けたり、公共性や公益が侵害されたりすることはないとみなされてきたからです」。本当にそうなのか。これが本書を書いた櫻井氏の問題意識であり、本書はその実態を明らかにしたものである。

「政治宗教」と本書の立場

 第1章では信教の自由と政教分離を考察する。本書の原論とでも評すべき章である。

 日本において大半の宗教は、政治権力とは距離を置いている。たが政治権力と関係を求める宗教を櫻井氏は「政治宗教」と呼び、それには三つの特徴があると指摘する。

 その特徴とは、①日本社会を自らの宗教理念により再編成することを目的とする。②教団の集票力を政治的に転換し、政治への参加をめざす。③教団の運動エネルギーを政治への参画とその果実から得ようとしているか、又は実際に得ていることである。

 これらを同時に満たす教団は少ない。統一教会・日本会議・創価学会が代表である。

 政治志向は、統一教会は国際勝共連合と一体の反共運動や反ジェンダーで、日本会議は統一教会と、一方はコリアナショナリズム、他方はジャパンパンナショナリズムとの違いはあるものの、保守的国家観や家族観と重なる。

 創価学会は本来は日本本位の国家主義の日蓮主義でありながら世界でも活動している。周知のように幸福の科学も政治宗教だが、本書では詳説していない。

 櫻井氏は、これらの教団が政教分離を定めた憲法に違反しているとは考えない。又教団が政治志向を持つことや政治団体等を持つことも否定はしない。

 彼が政治宗教の概念を持ち出すのは、戦後なぜ政治権力を足がかりに教勢の拡大を図る宗教が生まれ、そのことで日本社会にどのような問題が生じ、解決すべき課題が発生したかを解明するためである。

統一教会はなぜ自民党と一体化したか

 統一教会の教義と教祖の文鮮明に関しての詳細は、先に紹介した『統一教会 性・カネ・恨から実像に迫る』を参照のこと。端的には朴正熙政権が当時新興宗教であった統一教会の反共主義に目を付け、日本に密入国させ岸信介と笹川良一が教団を育成した事実が重要である。

 文鮮明が再臨のメシア等は勿論妄言だし、その邪教ぶりは先の本に詳しい。

 当時台頭しつつあった左翼学生運動に対して、教団は岸と笹川の期待を受け60年代に各大学で原理研究会を組織し、反共運動の先頭を切り活動した。世界規模で活動していたため運動資金は潤沢であり、資金捻出は廃品回収や物品販売、又統一教会関連会社のビジネスの展開を助け、その後「霊感商法」の違法行為に手を染めたことで得たものだった。

この徹底した反共ゆえに冷戦下の日本で自民党議員に食い込むことが出来たのである。

 ところが「霊感商法」の被害額が1282億円になり、統一教会は糾弾の対象となる。安倍狙撃の山上容疑者の母親は信者で彼女らは教団幹部の搾取の対象者でしかなかった。

 また教団幹部は女性信徒7千人を韓国男性に強制的に結婚させる犯罪行為をしていた。

 その他にも、信者は文鮮明のファミリービジネスに動員されていた。1989年のソ連崩壊は反共主義者を歓喜させたが、2年後の文鮮明の電撃的な金日成訪問と北朝鮮への資金援助の約束は勝共連合を痛打した。要するに「徹底した反共主義」は看板だったのだ。

 こうして統一教会は現在4分裂し、主流派は韓鶴子に独生女(神の一人娘)を名乗らせる惨状である。現在の統一教会は、資金的にも人材的にも青息吐息で、辛うじて自民党議員と繋がっていることに自らの存在意義を見い出している、と櫻井氏は記述している。

日本会議と「日本の右傾化」

日本会議は、「日本を守る会」と「日本を守る国民会議」が糾合して結成された。会員数は3万数千人、国会議員懇談会メンバーは約290人、地方議員連盟メンバーは約1万8千人を有する政治団体である。

 だがそれは単なる建前であり、実質は生長の家の谷口雅春を尊敬する椛島雄三が事務局長であることが象徴するように、生長の家の古参信者が運営に協力し、又日本会議役員の半数が宗教関係者であることからも宗教団体なのである。

 日本会議は神社本庁の関係者も多いので、当然のことながら政治志向としては靖国神社国家護持、道徳教育推進、国旗国歌法法制化、教育基本法の改正、人権擁護法案反対、夫婦別姓反対、改憲運動等に精力的に取り組んでいる。

 それも地方議会への誓願を積み上げるなどの草の根運動を展開した。椛島の指導力とその戦略や戦術は実に緻密である。

 ジェンダーフリーやLGBT反対や夫婦別姓反対や家庭教育に関しては統一協会と共闘するなど、他団体への目配せも欠かさない、実にきめ細かな配慮をしているのである。

 論壇の一部は「日本の右傾化」を云々するが、櫻井氏は「右傾化に見える」点は一致するものの、中身については懐疑的だ。

 要は政治勢力としての左翼・野党が軽くなった分、保守が重く見えるだけである、これが櫻井氏の見解だ。

 実に鋭い問題提起ではないか。

 この見解は、実は一握りの活動家が長年地道に続けてきた保守市民運動の成果ではないかとの視点から、『日本会議の研究』を書いた保守の菅野完氏と同様の見解でもある。

 本書では触れていないが、「明日への選択」編集部・編とあるが実質は椛島の部下の伊藤哲夫の『「日本再生」の旗を掲げて この20年・われらは何を主張してきたか』(日本政策研究センター)を見れば、彼らの主張がまさに自民党の政策の基礎となったのだ。

 櫻井氏は、よく見ると自民党支持の拡大は民主党政権時代への反動と安倍政権になってからの政治的安定を背景としており、イデオロギーの転換ではないとし、「右傾化に見える」のは、社会意識とネット世論との大きなずれにその理由があるとしたのである。

日蓮主義と創価学会

創価学会はそもそもは弱小宗派である法華系の日蓮正宗の在家の信徒組織である。

 では創価学会に引き継がれた日蓮主義とは一体何か。それは日蓮が自らの主張を各仏典を典拠に上げて説話を具体的に展開していったように、在家仏教でありながら信徒の教学研修に力を入れたことである。

 創価学会は信徒の研修強化には本当に熱心であった。

 一般信徒が講師等への任用試験に合格すると教学部員となるが、それにも四段階がある。そして公表信者827万人、海外会員約300万人の中の教学部員は公称260万人だ。

 このように信徒の信仰への内的動機づけを強化し、それを教団の正当性と統率力と求心力の主軸とする所に創価学会の著しい特徴がある。そんな宗教集団はまれなのである。

 創価学会会員は精力的で活動的である。それゆえに戦後の動乱期や高度経済成長期の社会流動化の中を、『折伏教典』を使用しての、他宗派への悪名高い謗法論戦や現世利益の強調、国立戒壇論等を展開し、信徒の拡大と政界進出や世界布教にも成功していった。

 民衆の言葉を多用した池田会長時代が頂点となるが、その時「言論弾圧事件」をおこす。日本共産党との関係も宮本委員長の電話盗聴事件の発覚で最悪となった。この危機の中で創価学会は公明党の政教分離を表明するまでに追い詰められた。

 そしてこれを象徴するかのように、その武器であった『折伏教典』も絶版となり、お倉入りとなったのである。

 その意味では「人間革命」を掲げ、戦後躍進を続けてきた創価学会の一時代が終わったといえよう。実際、この時期から他党派との差別化で公明党は迷走し始めたのであった。

 そしてついに自公連立政権の樹立に合意したことでこれまでの平和や福祉の理念は萎んでいった。与党として当然にも自衛隊の海外派遣や集団的自衛権を承認したからである。

 こうして公明党の変質の指摘や論難が公然とされるまでになる。小選挙区で支持を落としつつある自民党議員に創価学会員の票を与え当選させることが、この間の創価学会の最大の役割となったのだ。当然ながらこれは学会員の失望となって組織停滞へとつながる。

日本の保守勢力の怪しさ

 安倍銃撃事件以来、「日本の政治と宗教の関係はどうなっているのか」「政治と宗教は癒着しているのか」、それをどう思うのか等の質問が櫻井氏に数多く寄せられた。

 その中で日本の記者には聞かれなかったが、数多くの海外メディアから必ず聞かれた質問がある。

 それは「安倍元首相は日本のナショナリストだと思っていたが、どうして韓国のナショナリスト団体の統一教会を長年支援したのか」「安倍派をはじめ保守といってよい多数の自民党政治家は、なぜ統一教会関連団体から支援を受けてきたのか」、要は矛盾していないかとの質問である。

 これらの質問は、外国の記者からすれば当然のものだ。

 だが櫻井氏によれば、日本の右翼勢力も実は彼らを等閑視しているという。櫻井氏はこれを「不思議なこと」とだ、と本書でその違和感をはっきりと表現しているのである。

  櫻井氏の積極的な見解は、「近年における日本の保守政治家や保守を名乗る諸団体は、プライドとして保守の看板を上げているにすぎず、国益や国民の権利のために汗をかいているかどうか、怪しいところがある」と考えているというものである。

 実に論理的だ。

 自民党は選挙戦のために宗教団体や思想団体を利用し、利用された方もその関係を使って政治権力に近づくことを期待してきた。

 自民党議員は、問い詰められた時必ず「支援を受けたが、それだけ」と回答する。

 だが果たして誰が信じているのであろうか。否定しても宗教団体に国税が流れ込む仕組みが出来ていると考えるのが、世間通の普通の解釈であろう。

 日本社会が活力を失ってきた、この20年の間に政党も宗教団体も既得権益の確保に走り、長期展望なくサバイバル優先の発想に陥っているのではないか、と櫻井氏は危惧する。

政治と宗教の関係を問う

 政治宗教は政治権力と結びつくことで体制批判的な発想は持ちにくい。

 日本の政治宗教は特に家父長制的観念に囚われ、人権に鈍感で夫婦別姓反対等の反ジェンダーに固執している。東アジアの中国や韓国も夫婦別姓であることを知らないかのような行動をして恥じない。

 それでは中国や韓国には家族の一体感がないのであろうか。そんなことはない。

 又統一教会等にも山上容疑者のような「宗教2世問題」がある。その意味では巨大教団の創価学会では2世問題は表面的には隠されているが、本当は実に深刻な問題なのである。

 本来の宗教とは人々の未来への希望と明日の幸せを保証するものであるはずだ。そもそも教団が信徒だからとの理由でその人の信仰や人権に強制的に介入できるものなのか。

 戦後の日本においては、信教の自由と政教分離は不可分の関係にありながら、現実の政治や教団の活動に関して必ずしも憲法で保障された人権の擁護や公益の実現が図られては来なかった。政党や政策集団と教団宗教が互いの利益とサバイバルのため、人権や国益をないがしろにする癒着がある場合には、私たちは断固メスを入れる決意が必要である。

 政治と宗教は、互いに批判精神を持ちつつ緊張感を持って対峙しなければならない。これが櫻井氏が本書の結論とする見解である。私もこの問題意識を共有するものである。

 自民党と宗教との戦後史に関心ある読者にはぜひ本書の一読を薦めたい。 (直木)案内へ戻る


  何でも紹介 読書案内 「カメジロー抵抗の序曲 戦後8年間の手記」瀬長亀次郎 著 沖縄タイムス社編

 昨年、沖縄に行った時に、不屈館(ふくつかん)に寄りました。

 不屈館(ふくつかん)は、政治家瀬長亀次郎がのこした資料をもとにして2013年3月、沖縄県那覇市に開設され沖縄戦後史に関する民間の資料館です。米軍占領下の沖縄で沖縄人民党を組織、圧制に対する抵抗運動の先頭に立ち、立法院議員・那覇市長・日本共産党衆議院議員などを歴任した政治家瀬長亀次郎がのこした膨大な資料を中心に、沖縄の民衆のたたかいを後世に伝える目的でつくられた。今後県民からの資料提供も受け、特に米軍統治下の民衆の歩みなど沖縄の戦後が学べる、民衆の支えによる民衆のための資料館を目指す、としています。

 瀬長亀次郎さんの経歴は、1907年~2001年日本の政治家、ジャーナリスト。
1946年~49年米軍機関紙「うるま新報」(後の琉球新報)社長を務めた。復帰前に、那覇市長(1期)、立法院議員(3期)、沖縄人民党委員長、国政参加選挙で衆議院議員1期。本土復帰後、衆議院議員としては人民党で1期、日本共産党として連続5期。1973年以降共産党幹部会副委員長をつとめた。

 そこで、「カメジロー抵抗の序曲 戦後8年間の手記」という本を買いました。

 米軍支配に抵抗し、沖縄人の権利獲得を求め活動した政治家・瀬長亀次郎が、沖縄戦体験や収容所生活など「始まり」の8年間を回想した手記です。

 当時のうるま新報社は、アメリカ軍政府の対沖縄支配の広報活動の一翼をになわされてきました。カメジローさんは、社長就任の条件として、「事前検閲は行わないこと」、「米軍から報酬をうけないこと」、「新聞の無料配布制有料に改めること」、をハウトン大尉に要求し、認められました。

 1947年、沖縄民主同盟、沖縄人民党、沖縄社会党が次々に結成されていきました。沖縄人民党は、きびしい軍事占領のもとで県民の生活と権利、自由と人権、自治を勝ち取り発展させる労働者、農民、文化人などの代表によって結成されました。

 沖縄人民党の綱領は、「わが党は、労働者、農民、漁民、俸給生活者及び中小商工業者等全勤労大衆の利害を代表し、ポツダム宣言の趣旨に則り、あらゆる封建的保守反動とたたかい、政治、経済、社会並びに文化の各分野に於いて民主主義を確立し、自主沖縄の再建を記す」。「わが党は、公益事業の公営を図り、中小企業の拡張と海外貿易の発展とに依り沖縄経済の自立を期す」。「わが党は、人種、国籍、宗教に依る、差別待遇を排除し、人権を尊重し、世界平和の確立を期す」。

 現在、カメジローさんがいれば沖縄の現状を何とかしようと闘っているでしょう。カメジローさんから学び、基地まみれの沖縄をどうにかしたいです。(河野)


  袴田巌さん完全無罪判決報告清水集会

 1月25日「袴田巌さん完全無罪判決報告清水集会」が静岡市清水区で開催され、報告会には巖さんの姉・ひで子さんや弁護団など約100人が参加し、ひで子さんは冒頭とびきりの笑顔で「皆さんと闘ってきたことが、実を結んで無罪になりました。」事件以降始めて「ゆっくり正月を味わうことができた』と挨拶、味噌漬け実験などこれまでの活動を振り返り、袴田さん支援団体として「目的を達成」したとして活動に幕を引くことが報告された。

 59年前に旧清水市で一家4人が殺害された事件で“自白強要”によって犯人とされた袴田巌さんは死刑判決を受けたが、裁判所では終始無罪を主張し、えん罪を主張する袴田巌さんを救援する動きはボクシング協会や地域で広がり「救援する会」は2003年に結成され、弁護団と連携した「衣類の味噌漬け実験」は08年の第2次再審請求や再審公判での無罪立証で重要な役割を果たした。

 再審無罪を勝ち取ったことを受けて「会」は活動を終えるが、ゲストとして集会に参加された福井女子中学生殺害事件再審請求人前川彰司さんは38年前、福井市で女子中学生が殺害された事件で無罪を主張し、2025年3月に再審が始まるが、疑われることの苦しみを訴え、福井県警と名古屋高検は、前川さんのアリバイを証明する重要な証拠を隠すなど再審制度を巡り刑事訴訟法の規定(再審法)の改正などに向け①全ての証拠の開示②検察の不服申し立て禁止③再審手続きの法整備などそれぞれの活動を続けていくことが確認されました。(澄)案内へ戻る


  韓国における戒厳令と韓国社会の女性差別

 尹政権の戒厳令発令には韓国社会で深刻化する女性差別が関係していた、との崔誠姫(チェ・ソンヒ)・大阪産業大准教授の朝日新聞の記事が、今注目されている。朝鮮ジェンダー史でもある『女性たちの韓国近現代史』の著書がある崔誠姫氏は、2024年のNHKの朝ドラ「虎に翼」で朝鮮の文化考証をしたのがきっかけで意見が求められたのである。

 ジェンダーの視点で読み解く戒厳令とはどのようなものか。私の見解を含め紹介する。

 男性全員に兵役が課される韓国では、軍に抵抗した議員や市民も当然ながら兵役経験者だ。1980年の光州事件でも兵役経験を生かして銃を扱う男性市民が、軍に対して抵抗の最前線に立っていた。今回、これが戒厳令が粉砕された一方の側面をなしている。

 ところでこの兵役をめぐっては、近年「女嫌」(韓国語でヨヒョム)と呼ばれる女性バッシングが若い男性の間に広がり、大きな社会問題になっていると崔氏は指摘している。

 男だけが兵役義務を負う一方で、クオータ制や女性管理職の最低比率が定められ女性の社会進出が進むことに対し、「男は損している」という感覚が深く浸透していたのである。

「女嫌」が強まったのは、2016年前後からだ。女性に恨みを持つ30代男性が無関係の23歳女性を殺害した、ソウル付近で起きた事件は象徴的な出来事だが、単なる女性嫌悪感の発露だけではなく、通りすがりの男が「女らしい」とはみなされないショートカットの女性に暴行事件も相次いで発生し、韓国社会では現実に暴力行為が数多いのである。

 尹政権はこうした「女嫌」を味方につけた。22年の大統領選では、女性の地位向上に関する政策を担う「女性家族省」廃止を公約に掲げた。中高年層では男女ともにほぼ同じ割合で尹政権を支持したのに対し、20代、30代では男性の支持率と女性の支持率に極端な差がある。「女嫌」に反対は当然だ。彼女らが尹政権弾劾の中心勢力なのである。

 この「女嫌」の背後にある男尊女卑や軍隊文化には、当然日本植民地期からの影響もある。しかしより根本的には、高麗王朝・朝鮮王朝期から引き続く朱子学の男尊女卑の礼教と家庭観が最根底にある。モンゴルの侵攻によって滅ぼされた南宋の朱子学は、孔子の儒教とは異なり道教や仏教を取り込んだ体系的な「新儒教」である。その本質は「理気二元論」で「格物致知」や「持敬」による「性即理説」に集約され、礼教とは「存天理、滅人欲」である。すなわち天の理を知るには、情といった人欲を断つ必要があるとされた。そして男は理に近いのに対して女は情に近い。だから精神を研ぎ澄ませば男は天の理を知ることができるに対し、女は情に近いがゆえに大変難しいとの断定がなされたのである。

 その後、日韓併合で導入された日本の家父長制と歴史的に符合する形で形成された女性蔑視が韓国社会に根深く温存され、「男が居てこそ国が成り立つ」といった、現代にまで引き続く韓国社会を支配する社会規範が形成されたものであると結論できる。

 ところで家族史の大家のエマニュエル・トッドは、世界には四つの家族原理があるとした。彼の分類では中国の家族原理は韓国や日本と異っている。この事実は私たちには意外に感じられるのではないか。トッドによれば、世界のどこでも最初は起源的家族で、中国ではそれに続く直系家族の形成は紀元前7~3世紀頃の春秋戦国時代。だから孔子は周を理想とした。その後、始皇帝時代に共同体家族原理へと強制的に変革されたからである。

 トッド自身は、秦の家族原理を「外婚制共同体家族」とする。追い詰められた直系家族原理は家の支配者としての父権にあるが、『論語』とともに朝鮮半島と日本に到達した。

 こうして韓国とかっての日本では父権の権威は絶対的なものとなっていたのである。

 初の女性大統領だった朴槿恵(パククネ)が失脚した後、「女は政治には向かない」との議論が沸き上がり、今回の戒厳令でも醜聞が報じられている尹錫悦の妻・金建希(キムゴニ)にも責任を求める声が上がる。だが朴槿恵は女性だから問題を起こした訳でもなく、戒厳令を決めたのも金建希ではない。この点に韓国社会の実に根深い女性蔑視を感じる。

 韓国史を振り返れば、1945年の大日本帝国の解体後、急拵えで軍隊を整える必要から旧日本軍に関係がある若手軍人が多数重用された。朝鮮戦争では旧満州国軍出身の朴正熙(パクチョンヒ)らが軍の主力として活躍し、朴正熙が率いた軍事政権は国家の中枢を担う。この流れの中で自民党の岸信介らとの国交回復と日韓条約の締結があったのだ。

 彼らには旧大日本帝国の臣民としての親近感が満洲を軸に形成されていたからである。

 教育でも植民地期の教員経験者が多く採用され、戦時下を背景に植民地期の制度が引き継がれることが黙認された。軍政下の学校では植民地期を思わせる軍事教練も行われた。今も韓国に数多く存在する男子校や女子校は、植民地期の男女別学制度の名残である。

 まさに韓国社会には旧大日本帝国社会を色濃く残す側面があるとは言いすぎだろうか。

 光州事件やかっての民主化運動で労働者・市民が握り締めた火炎瓶は、今回の戒厳令ではペンライトになった。このように新しい抵抗運動は着実に始まっているのである。

 今後、あまりに暴力的だった軍政期を知らない、若い女性たちが今後どのように韓国社会を揺り動かしていくのであろうか。まさに私たちは刮目して待つべきであろう。(直木)案内へ戻る


  色鉛筆・・・最近思ったこと

 お正月開けから人生で初めてのインフルエンザに感染して体力的にも精神的にも辛い日々を過ごした。今も後遺症で口の中がまずくて何を食べても美味しくなく力がでない中で思ったことを書き留めた。

◇賃金を上げても保育士は増えない

 私は長年公立保育園の非常勤保育士として働いている。(3年前からパートタイム)娘は正規保育士として働いているが、子どもの命を守る責任を持たされ、早番遅番のシフト制で勤務時間が不規則で業務量も多く毎日残業をして帰ってくる。帰ってきても任されている仕事をして休日の土曜日にも保育室の環境整備のために行くこともある。どうしてそこまでして働くのかと思うかもしれないが、現場を知っている私は責任を果たすためにはやらざるを得ないことが分かるので後方から支援している。職場で3人の子どもを子育てしている正規保育士は時間が足りなく、毎日朝4時に起きて仕事をしているようで常に頭痛がして薬が離せないという。子育て中の保育士が身も心も疲れて離職していく姿を数多く見てきたが今年度もいるかもしれない。仕事量を減らすために保育士を増やして、働きやすい環境にするためには保育士の配置基準の引き上げや処遇改善を行うべきだが相変わらず進んでいない。

 こうした状況の中で保育士不足を解決するためにアンケートが回ってきた。最近のアンケートは紙ではなくスマホでQRコードをタップして答えるがスマホに慣れていない私は同僚に教えてもらいながらやった。するとパートタイムで働いている非常勤保育士を対象に『賃金がいくらになったらフルタイムで働きますか』という質問に驚いた。同僚達と「賃金の問題ではないでしょう」「フルタイムは正規保育士と同じ仕事を任されても賃金は差別されているんだよ」「仕事量が多くて大変だからパートタイムにしたんだよ」「課は何も分かっていない」とあきれてしまった。後日聞いたところによるとフルタイムの非常勤保育士が年々減って募集しても集まらないので苦し紛れでやったらしいが成果はなかったという。保育士不足は賃金が安いから解決できないと私達の賃金も少しずつ上がってきたが賃金を上げても保育士は増えないのだ。保育士がゆとりを持って子どもと関わったり、現場で保育士同士が日常的に話し合えるようにゆとりのある配置基準になるように根本的に変えなければ保育士不足は解決しない。。

◇うれしかったこと

私がインフルエンザに感染した直後に神戸に住む次男からパートナーがインフルエンザに感染し5ヶ月になる息子をどうしたら良いのかと連絡が入った。私も病後で行くこともできないので保育園の一時預かりを聞いたらどうかと伝えた。ところが保育園の保育士もインフルエンザで人手が足りなく、一時預かりの希望者が多く断られてしまったという。どうしたらよいのか心配していた。すると次男が会社を休んで5ヶ月の息子を面倒見ていると連絡が入り我が子ながら「よく休んだね、偉い!母はうれしいよ」と褒めた。

 何故か不思議なことに富士に住む長男も神戸の次男も家事育児には積極的に関わっている。長男は9歳になる娘が2歳の頃、断乳のために我が家に泊まり込み私と交代で抱っこしたり、夜のドライブに出かけたりして断乳は成功したことがあった。3ヶ月前、孫の顔を見たくて神戸に行くと次男は手際よく2ヶ月の息子のおむつを替えてミルクを飲ませげっぷをさせて、抱っこして寝かしつける姿が様になっていた。二人とも家事育児を母親一人に押しつけるのではなく二人で一緒に家事育児をしようという姿勢がうれしく安心している。街中でも父親が子どもを抱っこひもで歩いている姿をよく見るようになり、男性が家事や育児を行うのが生活に溶け込んできた。

◇男性の働き方が変わってきている

 昨年末の朝日新聞(一二月二二日)によると、男性の労働時間が長い職種ほど、正社員として働く女性の割合が少ない傾向にあることがわかり、長時間労働の正社員の働き方が子育て世代や女性の負担になっていることがわかったという。

 私の職場でも正規保育士が父親の帰宅が遅く、家事育児を一人でやるのは限界を感じ退職してパートタイムになった人もいるのでこの調査には納得してしまった。

 また仕事と家庭をトレードオフせず、持続可能な働き方をー。こう掲げる転職サービス会社によると「キャリア志向だったが子育てなどでライフステージが変わって長時間労働とかみ合わなくなった人」「家庭もキャリアも大事にという課題は今や男性も当たり前」と考えて転職する人が増えているという。さらに立教大教授中原淳氏の話では「就活する学生たちは転勤や長時間労働など『企業拘束性』が高い企業は避けられている。共働きが当たり前になり学生たちは家事育児と両立ができる企業を選んでいる」という。

 モーレツ社員という世代から仕事も家庭も大事にする若い世代に変わってきている。企業側は男女とも長時間労働を見直す時がきたのだ。(美)
  
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