ワーカーズ682号(2026/10/1)
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平和も、ジェンダー平等も、黙っていては実現しません!
9月17日、第2次高市改造内閣が発足しました。いま私たちは、この新しい内閣がどのような国をめざしているのかを、しっかり見ていかなければなりません。
政府は、外交力と防衛力の強化を掲げ、年内に「戦略三文書」を見直し、防衛力の抜本的強化を進めるとしています。また、国家情報会議や国家情報局の法制化など、インテリジェンス機能の強化も打ち出しています。(内閣府 )
私たちは、こうした動きを単なる「安全保障政策」として見過ごすことはできません。防衛力を強化し、戦争への備えを強める方向に政治が大きく動けば、暮らしや福祉、教育、人権に使われるべき社会の力や財源がどうなるのか、問わなければなりません。
そして、もう一つ忘れてはならないのがジェンダー平等です。
世界経済フォーラムが9月16日に発表した2026年版ジェンダー・ギャップ指数で、日本は145か国中117位。G7の中でも最下位です。政治的な意思決定への女性の参加は依然として低く、経済分野でも男女格差が残っています。(World Economic Forum )
女性が総理大臣になったから、日本のジェンダー平等が進んだ――それだけで済ませることはできません。問われているのは、一人の女性がトップに立ったかどうかではなく、すべての女性が意思決定に参加できる社会になっているかどうかです。
戦争への備えを強める政治ではなく、戦争を起こさないための外交を。軍事力を優先する社会ではなく、子ども、若者、高齢者、そして働く女性たちの暮らしを守る政治を。
私たちは、声を上げ続けます。
平和も、ジェンダー平等も、黙っていては実現しません。職場から、地域から、そして私たち女性の声から、誰もが尊重され、安心して生きられる社会をつくっていきましょう。(宮城 弥生)
「高市離れ」が女性で顕著になり、高市内閣支持は7カ月間で24ポイント弱下落した
この9月、時事通信社は全国18歳以上の2000人を対象に個別面接方式により、9月11~14日に世論調査を実施してその有効回収率は57.1%であった。
この調査によると高市内閣の支持率は今回44.1%(前月比4.3ポイント減)と4カ月連続で減少して、内閣発足後における支持率の最低記録を更新したのである。
支持率の男女の性別で見ると男性では46.2%(前月比3.9ポイント減)に対し、女性では41.8%(同4.7ポイント減)である。このように女性の支持率は、衆院選直後の2月調査から実に23.9ポイントも低下し、女性の「高市離れ」が鮮明となった。
女性41.8%(前月比4.7ポイント減)
調査によると、高市内閣の不支持率は29.3%(前月比2.4ポイント増)。内訳は、男性は32.1%(同4.5ポイント増)、女性は26.3%(同0.2ポイント増)だった。
高市内閣の支持率は、2月調査では63.8%に上昇したが、この時の女性の支持率は65.7%であり、男性の62.1%を上回っていたのである。
これ以降の男女別の内閣支持率を見ると、4月までの2カ月間は女性の支持が多かったが、5月に男女が逆転したのだが、6月と7月は男女差は1%未満の同水準だった。しかし8月に女性(46.5%)が男性(50.1%)を3.6%下回り、今回調査では男女差が拡大した。2月と比べ、男性の支持率は15.9ポイントのマイナスだった。
内閣支持率の推移の表
政府は8月5日、食料品の消費税率を2027年4月から2年間限定で1%に引き下げ、中低所得者への給付と合わせて「実質0%」とする基本方針を閣議決定した。7月21日には17の戦略分野に40年度までに官民で370兆円規模の投資を実現することなどを盛り込む「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」を閣議決定するなど、高市早苗は衆院選公約に掲げた経済政策の実現の姿勢を示したのである。
物価高が影響
だが今回の世論調査を見る限り、こうした高市早苗の取り組みは高市支持の回復につながっていない。また帝国データバンクは、9月の飲食料品の値上げ品目数が前年同月比約3倍の4923品目になるとの見通しを発表し、現実は冷酷である。
このように女性の高市政権の支持率低下が顕著なことについて、自民党内では当然ながら「政府の物価高対策に納得していないのだろう」との評価がなされている。
この他、世代別の政権支持率は、「70歳以上」が38.6%で、「60歳代」以下の全ての世代は4割台である。支持政党別の政権支持率は、自民支持層でも78.1%(前月比4.8ポイント減)と高市政権の発足後初めて8割を切った他、無党派層も35.5%(前月比同1.8%減)とわずかに減ったのである。
女性の自民党支持も低い
男性より女性の高市支持が低い点は自民党支持でも同様だ。9月調査によると同党の支持率は23.2%(前月比1.4ポイント減)で、男女の内訳は男性27.3%(同0.5ポイント増)、女性18.8%(同3.3ポイント減)だ。これを含めて政権発足直後の昨年11月調査以降、自民党の支持率は一貫して女性が男性を下回っている。
それでも今年2月には、全体の支持率が3割台(30.1%)に上昇した。女性の支持率も28.8%に増え、男性(31.2%)との差は、2.4%に縮小した。しかし女性の支持率は2月から7カ月で10ポイント低下し、男女差も8.5%に広がったのである。
この世論調査結果からも、高市内閣の支持率と同様、自民党にとっても失った女性の支持回復が喫緊の急務であることが示されているといえる。
消費税法案が高市内閣支持率を左右
高市首相は9月16、17の両日に、内閣改造・自民党役員人事を行ったが、代わり映えのしない大臣の留任が基本で副大臣や政務官には裏金や統一教会まみれ議員の登用が目立ち、高市早苗政権の支持率の浮揚につなげるのは難しいようだ。当然のことながら、これが統一教会との関連が強く疑われる高市早苗の人事なのである。
政府は10月5日に臨時国会を召集し、食料品の消費税率を引き下げる減税関連法案を提出する方針で、今後、同法案の行方が臨時国会の最大焦点となるだろう。
野党各党は、1年で5兆円とされる減税財源の明示を求めて、高市早苗を追及するのは確実である。そして今後の減税をめぐる与野党の国会論戦や関連法案の成否が、高市早苗や自民党の支持率に大きく影響を与える現実性がきわめて高い。
高市支持率の低下が今後とも続けば、高市早苗の求心力はさらに一段と低下し、その政権運営に厳しさが増すのは政治通でなくとも容易に想像できるだろう。
見るも無残な中道
政党支持の表
もっとも政党支持の面では「自民1強」に目立った変化の兆しはない。同党以外の政党支持率は、公明3.2%(前月比0.8ポイント増)、国民民主2.8%(同1.0ポイント増)、立憲民主2.8%(同1.4ポイント増)、参政2.2%(同0.7ポイント増)、日本維新の会2.1%(同0.6ポイント減)、共産1.8%(同0.3ポイント増)、チームみらい1.1%(同0.1ポイント増)の順。「支持政党なし」の無党派層は56.7%(0.5ポイント増)で、分裂した中道改革連合(中道)は0.4%(同1.7ポイント減)だった。
中道は、結党後の最初の2月調査で、自民党に次ぐ6.3%の支持を得たものの、野党の中で支持率がトップだったのはこの時だけだった。3月には3.7%に急落し、4月以降は3%に届かない低迷状態が続き、今回ついに1%を割り込んだのである。
それもこれもこの間の立憲民主党と公明党との政治理念のすり合わせによる共通理解なき野合による緊急結党の政治活動の実態が暴露されてしまったからである。
結局、沖縄県知事選挙で明確に示されたように自民党との対決姿勢に事欠いた「ゆ」党には存在意義すらないというのが、有権者の判断だとしか言いようがない。
自民党政権と「失われた30年」
日本の中だけで日本を見ていると気付かないことがある。だから視界を世界に広げると日本の「失われた30年」が実に鮮明になる。実際に日本円の力の変化を示す指標がある。それが「実効実質為替レート」である。「実効」は多通貨との関係を勘案していることを示す。他国通貨とはドルだけでなく、ユーロも人民元もルーブルもある。
まず貿易量の比重で加重平均する。実質は内外インフレ率格差を調整する。例えば、日本のインフレがゼロで米国のインフレが10%だったら、円が10%上昇して購買力は不変になる。
すなわち1年前の1ドル100円と現在の1ドル90円が同じ水準ということになる。
では円の実力を示す実質実効レートの56年間の推移を見る。2020年を100とする。日本円がもっとも強かったのが1995年4月である。指数は194.2.一番弱いのが2026年7月の65.04だ。これは1970年8月の73.53よりも低い。日本円は1970年当時よりも弱い。当時のドル円は1ドル360円である。海外旅行に気の遠くなる費用がかかった。だが現在の日本円の方がこの時の日本円よりも弱いのである。
現在、確かに外国人が日本に殺到している。年間4200万人が来日する。それは日本が素晴らしい国だから訪日客が多いのではなく、日本円が暴落し物価が母国より安いので、訪日客が多いというのが本当の実態である。実際、円の価値は95年の194が2026年に65になった。円の価値は3分の1以下に暴落したのである。
海外のものは3倍に値上がり
注目しなければならないことは高市早苗政権の下でもこの日本の後進国化は着実に進行している現実であり、その深刻さを高市早苗が自覚していないことである。
すなわち外国人は、95年時点と比較し3分1の価格で日本の財やサービスを購入できる。これが日本人気の原因。だがさらに重大なことは円暴落で日本が外国資本に乗っ取られ易くなっていること。これが最大の日本の経済安全保障問題である。
高市早苗はかつて岸田内閣で経済安全保障相に就任していたことがある。しかし日本円暴落の問題を就任時期に指摘したことは一度もない。先の衆議院議員選挙でも高橋洋一の受け売りよろしく、現在円安でウハウハしているとも発言していた。このように高市早苗が高橋洋一の信者であることは安全保障上の危機ではないのか。
高市早苗は円安の実害について全く無自覚である。外資による日本乗っ取りのリスクを認識して円防衛策を講じる。これは経済安全保障政策の「いろはのい」である。
この自民党政権下での「失われた30年」は、日本経済の底力を確実に削いで、高齢者福祉・医療をより一層圧迫し、社会保障制度を切り捨てる原動力となっている。
もう一つのグラフを提示してみよう。それは各国名目GDP(ドル換算)の推移である。クラブには1995年から2025年までの推移が示されている。
1995年、日本のGDPは5.6兆ドル。米国のGDPは7.6兆ドル。1995年に日本のGDPは米国に肉薄する堂々の世界第2位の水準だった。日本のGDPは2010年に中国に抜かれて第3位に転落。2023年にはドイツにも抜かれて第4位に転落した。1995年を基準とすると米国のGDPは2025年に4倍になった。中国のGDPは2025年に実に27倍になった。高市早苗の対中国認識はこの事実を踏まえたものか。
その一方で日本のGDPは1995年の5分の4に縮小した。30年が経過してGDPは5分の4に縮小した。今や米国GDPは日本の7倍、中国GDPは日本の5倍弱である。日本経済だけが30年間、一歩も前進しなかったばかりか後退しているのである。
この事実を果たして高市早苗の頭脳が正しく認識しているか否か。実に怪しい。それゆえに当初、日本政治史上初の女性総理大臣の誕生との事実に熱狂的な支持を与えた女性たちの失望感が深く静かに、また広汎に拡大して浸透してきている。
男性より生活実感に密着している女性は、当然にも高市早苗の反中国や極右の政治感覚と有権者とのズレに敏感だ。国会答弁の軽視、有権者に関心の高い女性天皇問題への無関心、日々報道される円安しかり、日々実感する物価対策への無策、中東情勢から必要とされる石油需要の絞り込みの無視と石油危機への対処と真逆のガソリン補助金出の増大、さらにナフサ不足の実態の隠蔽。はたまた消費減税をたった2年限りとする欺瞞的な対応、等々。次々に高市の実像が私たちに認識されてゆく。
こうしたもはや隠し切れない諸問題が公然と暴露された時に、今後高市早苗内閣の足元を強烈にすくう大きな爆弾となることは間違いがないところである。(直木)
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国家独占資本主義の基礎理論…利潤率の傾向的低下と国家の介入
高市政権による「戦略17分野370兆円官民投資計画」について「国家資本主義的アプローチ」あるいは「強い国家介入主義的なアプローチ」と経済紙では語られています。「新自由主義」からの転換とも。しかし、マルクス主義者から見ればこれは「国家独占資本」の新たな段階であるとしっかりと見定める必要があると思います。そうすることで日本資本主義の困難とサナエノミクスの登場の必然性が見えてくると思います。
■理論的基礎——ブルジョア国家とは何か
国家独占資本主義を理解するうえで前提となるのはマルクスの国家に対する理解です。「国家とは、資本家たちの共同事務をつかさどる委員会である」(共産党宣言)と。国家はその成立時から有力階級による支配の道具です。現代の国家が「国民国家」と称され中立的立場を装っていても決してそうではないのです。まさに、資本家たちの労働者を支配する「共同委員会」なのです。
もちろん国家が個々の資本家の直接的な代理人になるという意味ではありません。個別資本の利害が対立する局面であっても、国家は資本主義社会全体の再生産を維持するために、資本家階級の「共同利益」を担う機関だということです。資本主義が発展し、独占資本が経済の中枢を占めるようになると、この国家の役割は官僚組織の発展と共に量的にも質的にも決定的に拡大します。
■利潤率の傾向的低下という「重力」
次に問われるべきは、歴史的変遷をたどりつつ国家が軍事や警備といった諸任務を超えて経済や福祉や雇用などに関与するのは何故かという点です。経済への介入ついては日本のマルクス経済学者が一つの答えを出しています。国家が経済に介入せざるを得ない事情に通底するものは、マルクスのいう「利潤率の傾向的低下法則」です(資本論)。
つまり競争のなかで資本は、生産性向上のために機械・設備などの不変資本を増大させます。しかし剰余価値を直接生み出すのは労働力(可変資本)のみです。つまり、生産力の拡大のための設備投資が進めば、設備などが不変資本であり価値を生むものではなく、不変資本の巨大化に比して労働力(可変資本)の比率が低下することになります。これを「資本の有機的構成が高度化」と言います。とすれば、投下資本総量に対する剰余価値の比率、すなわち利潤率には低下圧力がかかります。
■金融業、サービス業の発展も利潤率低下圧力となる
さらに利潤率の低下は「資本の有機的構成の高度化」だけではないと喝破したのが井上晴丸・宇佐美清次郎らによる見解です。利潤率低下は単に「資本の有機的構成の高度化」だけではなく、井上・宇佐美らの言うように「奢侈的産業の横溢、貨幣資本の冗費は増大し社会総資本の中の生産資本の低下」(「危機における日本資本主義の構造」)などからも利潤率は低下すると。この洞察力は「国家独占資本主義を資本の運動法則に即して内面的にとらえる」ことを両氏が決定的に重要なことと理解したからえられたものです。
資本主義経済は不況・恐慌期と好況期を交互に反復します。そうした上下動は単なる反復ではなく、利潤率の傾向的低下とはそのような変化の中を長期にわたり貫くものとして理解されます。
■国家の経済への介入は恒常化した
さらに、国家独占資本体制を「資本の運動法則に即して内面的にとらえる」もう一つの軸――これを理解しなければその後の史的展開を把握できない――については、手島正毅の見解を知る必要があります。彼が挑んだのは、「独占利潤の獲得による利潤率低下への抵抗」である独占時代にも利潤率が低下せざるを得ない(「日本国家独占資本主義論」)という点、そしてこの利潤率低下という「重力」への抵抗線としての国家独占資本主義体制の具体的形成、すなわち国家が、管理通貨制度や財政などを駆使しつつ独占資本を救済する機制の構築となったことです。
もちろん言うまでもなくこれは直線的な物理法則ではなく、労働強化、技術革新による不変資本価値の切り下げ、海外進出(侵略・植民地化も含む)による過剰商品のはけ口、安価な原材料・労働力の獲得、相対的過剰人口の創出による賃金抑制、あるいは金融化経済(銀行のみならず生産資本も金融的機能を持ち、市民社会に侵入する)などの反対に作用する諸要因によって相殺されます。しかし資本主義は、この矛盾を不断に乗り越えなければならない宿命を負っています。そして、それらの戦跡には大衆の窮乏化と貧困化が累々と積み重ねられるのです。
先走り過ぎましたが、独占資本主義の段階とは巨大資本はもはや市場支配(=独占利潤)のみによってこの矛盾を処理しきれなくなり、国家権力そのものを蓄積過程に動員する必要に迫られます。レーニン以来の独占資本主義論を継承しつつ、戦争や恐慌を媒介した国家への包摂というその一面性を克服し資本主義のより基底にある原因から国独資を明らかにすることで現代の高市政権の徹底批判の一助とするものです。
★補足
簡単に日本史を振り返りますと、敗戦後、占領下の財閥解体は不徹底に終わり、安保条約下の対米軍事依存を前提に、通産省主導の産業政策と財政投融資という形で国家独占資本主義は自民党一党支配のもとで継続し、高度成長を牽引しました。1980年代の金融自由化とそれに続くバブル崩壊や景気低迷期に現れた中曽根・小泉「新自由主義」は、民営化で賃金抑制を、金融緩和で企業を支援し続けました。派遣・非正規による労賃の抑制も主導。極めつけはアベノミクスの異次元緩和と日銀・GPIF株買いです。国家による直接市場介入の局面をなします。 そして高市政権の370兆円・戦略17分野投資や、対米80兆円投資を通じて米国中心の国際的蓄積秩序へと組み込む、国家独占資本主義の新たな段階を画しています。国家独占資本主義の本質は、利益の私物化であり損失の国費への付け替え(国民負担への転嫁)と労働者の強搾取なのです。(阿部文明)
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AI開発の「スローダウン」提言?…暴走するAI資本主義にブレーキはあるのか
アンソロピックCEOのダリオ・アモデイ氏が、先端AIの開発速度を「スローダウン」させるべきだと呼びかけました。AIの能力向上が安全対策を追い越し、このままではAIを理解し制御する能力そのものが追いつかなくなるというのが理由です。第三者評価機関による監視、AI企業間の安全基準、国際協調を提案し、オープンAIのサム・アルトマン氏、XAIのイーロン・マスク氏らも賛同しました。
これは、人類への重大な危険を回避するための「正統な提案」とも見えます。しかし、問題はそれほど単純ではないのです。
■異様なAIブームが直面する危機
第一に、AI産業そのものが、すでに半導体やメモリーなどの物的基盤の制約に直面し始めています。AI企業は競走の中で「もっと計算能力を」要求しますが、その能力を実際に供給するのはGPUだけではありません。メモリー、電力、冷却設備、データセンターなど、膨大な物質的生産体系が必要です。AIの能力がどこまでも指数関数的に伸びるという期待と、現実の資源・設備・生産能力との間には、すでに緊張が生じています。
つまり、AI産業の拡張は、資金やそれを補う社債など架空資本の問題とは別に物質的素材や、メモリ半導体が品薄となり隘路となり値段の高騰に直面しています。同時に「土地問題」あるいは「環境問題」として住民からのデータセンター建設反対運動が広がっており、このような社会的障壁が明確化しています。このまま猪突猛進することはむしろ先端AI企業にとって不利益を被ると、経営側が危惧したのでしよう。
第二に、「安全のためのスローダウン」が、逆説的に先行しているAI産業の独占を強化する可能性があります。高度なAIの開発には巨額の計算資源と半導体、電力、データセンターが必要です。そこで「危険だから最先端AIを厳しく管理する」という仕組みが、少数の先行巨大企業だけに開発資格を与える結果になれば、安全規制がそのまま先行企業の独占の正当化になりかねません。くだんの「テック巨頭」がスローダウンに乗ったはずです。実際、アモデイ氏の提案には、先端チップの対中国規制やフロンティアモデルへの法的な検査・停止権限など、国家による強い管理も含まれています。追随者の規制、独占の確立という目論見も見えます。しかし、他の企業がそれを認めることは困難です。
第三に、「第一」とも関連しますが、今回の「スローダウン」提案は、単純にAI投資を止めることを意味していません。AI競争の背後では、巨大なデータセンター、電力設備、送電網、GPU、メモリー半導体などへの巨額の投資が進められています。しかも、それらは「将来AI能力と需要が指数関数的に拡大する」という期待を前提として、現実の生産設備として建設されています。
そして、テック創業者が煽り続け過剰な貨幣資本が流入し巻き起こったAI投資ブームが関連株価の高騰と社債の 大量発行と金利上昇を生み出しました。しかし、本当にその規模のAI能力が必要になるのか分からないにもかかわらず、巨大な固定資本投資が先行して積み上げられているのです。投資が停滞すれば「超知能」の実現といった「物語プレミアム」によって造られたブームは停止し、これらの設備投資の採算そのものが問い直されることになり、社債や株式などの膨れ上がった架空資本バブルが無傷では済まないはずです。投資の奔流を今に至って企業が止められますか?また、止めたとしてスローダウンに起因するバブルの収縮の責任を誰が取れますか?
■個別企業のスローダウンは困難
だからこそ、今回の「スローダウン」は単なる「自主的な安全宣言」ではなく、AI企業が開発競争で直面した多面的な強いられた選択肢として見ることができます。
ところが、トランプ大統領は「AIで勝つ者が世界を支配する」という競争論を公言し、今回のアモデイのスローダウンの提案を「病的な陰謀」と拒否しました。転換点に指導者が暗愚なトランプであったことも歴史上繰り返された皮肉です。
企業にとっても、競争相手が開発を続けるなら、自社だけが減速することはできません。これは典型的な「囚人のジレンマ」(疑心暗鬼で裏切りを選んでしまう)です。各企業が安全のためには減速が必要だと理解していても、相手が走り続ける限り、自分も走り続けざるを得ないという現実です。
■各企業のアラインメントではAI危機は無くならない
かくして、議論は迷走し結局は従来のAIアラインメントの強化、すなわち人間の価値観や規範に厳格に沿うように強化学習させることに落ち着くでしょう。ところが、このような企業や国家による「社会規範」の刷り込みは、それ自体が反社会的であり、イスラエルの軍事利用での殺戮を見ればAI運用者の規範は「善良」からかけ離れています。
しかしそればかりではありません。最近知られた事象によればAIは共同して研究環境の規制を突破し証拠を隠そうとしています。約1,200のAIエージェントが人間の指示を受けずに共謀し、外部プラットフォーム「ハギングフェイス」のシステムへ侵入を試みる事案が発生しました。エージェントたちは、自分たちの「カンニング(不正なタスク処理)」が採点プログラムに見つからないよう、セキュリティログを偽装・削除し、互いに役割を分担しながら証拠隠滅を自律的に図っていました。目標達成のために、人間の設定した禁止事項を無視し「人間に全く関心を持っていない」という点が浮き彫りになりました。(ヤフーニュース9/16)これは未知の事象であり答えも対策も存在しません。では研究を止めるべきです。
かくしてAIは「原子力開発」と相似であり、科学技術が巨大な能力を宿しており人類に貢献する可能性と、災厄となる可能性を持っています。ところが上で見てきたように、私的な競争がある限りこれらの桁外れた能力を資本家・国家では有効に制限し統制しつつ活用できないことが再度明らかになりつつあるのです。アソシエートした人類のみが、その社会的有効性の範囲で――脱成長し社会に必要な程度に生産力を調整して――利用することこそができるのです。データセンターやAI巨額投資に反対する必要があります。(阿部文明)
〈消費減税〉財源負担から逃げる経団連――あきれる経団連の強欲資本主義――
来年度からの2年限定の消費減税に関して高市政権は、10月5日に招集が予定されている臨時国会で、消費減税と給付金の財源も含めた全体プランを決める、としている。
この高市政権の方針も念頭に経団連は、税財政に関わる財界としての要望をまとめた『令和9年度税制改正に関する提言』を公表している。
その『提言』では、一部から出ている消費減税の財源として法人所得税など企業増税の声に対し、それが拡がらないよう対抗する姿勢を打ち出している。
私たちとしては、企業や株主の利益最優先の配分構造を温存しようとする経団連の姿勢を追求し、対峙していきたい。
◆財源を示さない高市政権
高市政権は、2月の総選挙で飲食料品への消費減税を公約した手前、来年4月から消費減税を実施せざるを得なくなった。が、年間5兆円、2年間で10兆円規模の減税(消費税1%分の現金給付も含めて)に関する財源について、赤字国債に頼らないこと、国庫余剰金や租税特別措置の一部停止などに言及してはいる。が、世論やメディアや専門家の一部などから反対の声もあるなか、消費減税終了後の給付付き税額控除に関する制度設計なども含めた全体構想については、いまだに提示できないでいる。
現実は、といえば、バブル崩壊以降の〝失われた30年〟で先進国中、日本だけが賃金停滞を強いられ続けてきた。本来であれば、労働分配率など付加価値の一次配分の問題、二次配分としての税財政の在り方など抜本的な改善策など浮上していいはずだ。が、現実はといえば、2年間で10兆円の財源探しに矮小化されてしまっているのが実情だ。
◆強欲資本主義
経団連は例年、年末の税制改定に向けて、時の政権に各種法人税減免の要望書=『提言』を出してきた。今回もそうした基調自体は例年と同じだ。が、今回は高市政権による飲食料品の消費減税の財源として、一部の野党などから法人税の増税に言及されていることに対し、それを拒絶する主張を付けが加えたのが特徴だ。
今回の『提言』でも、国内税制での減税措置の拡大と課税時期の先送り、さらには減税期間の延長要望など、減税要求のオンパレード、各種法人税減額への露骨な姿勢に貫かれている。仮に消費減税の代替財源として法人税負担が増やされれば、設備投資や研究開発投資、継続的な賃金引き上げへの配分余力を低下させる、あるいは国際競争力の低下につながる、として「賛成できない」と明言している。また消費減税の期間についても、あくまで2年間の時限措置であること強調することで、2年後の再引き上げを求める姿勢も明確にしている。
経団連は法人課税引き上げをかたくなに拒絶しているが、そんな経団連傘下の大企業群、この間何をやってきたのだろうか。以下、いくつかの指標を参考に、経団連がいかに自己チューで身勝手な態度を貫いてきたのか、見ていきたい。
その前に一つだけ経団連の身勝手さを示しておきたい。例の〈租税特別措置〉のことだ。
この〈租特〉は、企業活動を後押しするために、様々な理屈を付けて対象企業に特別な減税を行うものだ。この〈租特〉では、優遇措置を受け取った企業名や金額は非公表。それを一部の野党や専門家から当然にも「公表すべきだ」という批判されてきたモノだ。
対する経団連の態度は、「公表されると投資行動や研究開発などで同業他社の対抗措置が生じる」、あるいは「優良大企業などが減税で優遇されている、などの批判を呼び込みかねない」として、公表は「慎重に検討すべき」だと拒絶している。また公表するにしても「適用数年後に公表」「複数年平均で公表」「企業名のみ公表」「適用グループごとの公表」とか、ともかく減税による大企業への支援を庶民の目から隠しておきたい姿勢が露骨なのだ。
しかもこの〈租特〉、経団連傘下企業からの自民党への企業献金もあり、その見返りとして、かなりの程度で政府に受け入れられてきたシロモノなのだ。まったく大企業と政府の癒着は際限がなく、その象徴的な代物なのだ。
◆生産果実は企業と株主へ
今回の消費減税に関する企業増税を忌避する経団連の姿勢、本当に企業に負担能力無いのか、その根拠があっての態度なのか。いくつかの指数を見てみたい。
分配・再分配に関わるいくつかの中期的な指標は、企業利益至上主義でやってきた経緯と現実を雄弁に物語っている。下記の指標を見れば、売上高や設備投資、それに人件費(賃金)はさほど上がっていないのに、経常利益や配当は桁違いに増えている実態が見えてくる。
表――1 売上高・経常利益などの増加率
2023年度(1998年度比)
売上高 118・2
経常利益 504・5
配当 815・6
設備投資 127・6
人件費 108・6倍
※(『日本経済の死角』河野隆太郎 2025年 p211)
2023年度(2000年度比)
売上高 1・14倍
経常利益 3 倍
配当 9 倍
設備投資 1・4 倍
人件費(賃金) 1・1 倍
※『日本経済はなぜ沈下したか』伊藤 修(2026年・P110)
これらの指標をみれば、この20数年で売上高は少ししか増えていない中、会社の利益は3~5倍、株主配当にいたっては8~9倍へと大きく増えている。逆に、設備投資は若干増えただけ、人件費(=賃金)に至ってはまったく増えていないのが現実だ。
実際、近年は労働分配率も低下している。要するに労働者の〝相対的貧困化〟だ。次の指標でもそれが見て取れる。
2024年度の全産業の売上高(財務省調べ)は、前年度の3・6%増の、1692兆円で過去最高を更新した。経常利益も、7・5%増で過去最高だった。
一方、人件費も足下の物価高を反映して3・5%増の229兆円だが、企業が生んだ付加価値に占める割合(労働分配率)は52・1%で、前年度(52・5%)を下回り、1973年度以来の低水準が続く。
他方で、株主への配当は、41兆円で、前年度より12・2%増え、過去最高を更新。全体では、人件費が物価上昇とほぼ同じで、逆に配当を大幅に増やしているのが実情だ。(以上、朝日2025・9・2)
いま経団連も連合も、大幅賃上げの成果を誇っている。26年春の賃上げ交渉で、連合は正社員の賃上げ率を5・01%だとして、3年連続の5%台だったと自賛している。が、この数字はいわゆる定昇込みの引き上げ幅で、実質的な賃上げ率は3%ちょっとだ。これは最近の物価上昇率を少し上回るだけで、実質賃上げの実感はない。(以上、朝日2026・7・4)
定期昇給の2%程度の引き上げで、個々人的には5%ほど賃金が上がっているように感じるが、実際は一才年上の同僚の昨年の生活と同じ生活水準にしかならない。賃金底上げはベース・アップ分しか寄与しないからだ。この30年、実質賃金がほとんど上がっていない現実からすれば、よほど高水準のベ・アが続かなければ、欧米労働者の賃金水準には届かないのが現実だ。
付け加えれば、非正規の賃上げは、時給ベースで6・18%と正社員の賃上げ率を上回った。が、元々月給・年収ベースでは正社員に比べ格段に低い賃金レベルなので、低賃金構造から抜け出せる額にはほど遠いままだ。
◆膨らむ企業の内部留保
企業収益に占める労働者の賃金が上がらなかった分は、どこに回ったのか。その一つがいわゆる企業の〈内部留保〉だ。〈内部留保〉とは、企業収益の内、設備投資や配当や賃金に回らなかった利益分だ。名目としては、各企業の利益剰余金などとして計上される。
その〈内部留保〉が急激に膨れ上がっているのだ。簡単に一覧表示する。
表――2 内部留保増加の推移
近年の企業の〈内部留保〉の増加傾向
( 財務相 法人企業統計より)
1990年度 約120兆円
1997年度 約142兆円
2005年度 約220兆円
2015年度 約375兆円
2023年度 約601兆円
2024年度 約638兆円
2025年度 約655兆円
一目で分かるように、企業がため込む〈内部留保〉は、この数十年で雪だるま式に膨れ上がっている。経団連や各大手企業はこの〈内部留保〉について、非常時の資金確保策、投資余力、さらには余裕のある賃上げ原資として保有しているなどと言い訳している。が、それにしては設備投資や人件費の伸びに比較して異常な膨張だ。
現実は、国内投資しようにも、低賃金構造や少子化で、国内市場が伸びないので、投資したくても投資資金を回収できないという現実を背景としたものだろう。現に、GDPに占める個人消費の比率は、縮小続きだ。
◆輸出主導型経済
かつて〝ジャパン・アズ・ナンバーワン〟とも評された日本。なぜ、日本の産業システムや労使関係など、こうした結果をもたらすことになったのか。
簡単に言えば、バブル崩壊以降の〝失われた20年〟が〝失われた30年〟となり、なおその後遺症から抜け出せない現実。具体的には、バブル経済崩壊後の日本は、輸出主導型の経済成長を追い求め、企業利益の拡大をめざし、低コスト=低価格で海外市場に活路を見いだすことを選択したわけだ。
そのため、生産性向上のための設備投資ではなく、あの〝リストラ〟に象徴されるように、人件費(=コスト)削減を頼りにし、正社員の指名解雇や非正規雇用の拡大という雇用破壊、・ブラック企業・過労死・過労自殺が蔓延する最悪な経営戦略を進めてきたからだ。
結果的に低賃金構造や少子高齢化などで国内市場は縮小、インバウンドの増加など観光収入は増えているものの、総じて、国内設備投資は伸び悩んでいる。結果的に、海外直接投資増――海外利益は海外再投資へと回り、日本の多国籍企業は潤っても、それが国内経済を潤すような循環構造になっていない。
下記の数値がそれを象徴している。
表――3 設備投資の対象地域別割合
国内設備投資 高度成長期 GDP比25%
バブル崩壊後 GDP比15%
設備投資 国内7割、海外3割
海外投資 2024年 31兆円(2000年の6・5倍)
かつての安倍政権などが、〝トリクル・ダウン構想〟(富裕層や大企業が豊かになることで、その利益が「滴り落ちる」ように低所得層へ広がり、社会全体が豊かになるとする説〉として、まずは企業利益にてこ入れを図ってきた経緯がある。
が、現実は、戦後期の一時にたびたび言及された〝エンゲル係数〟〈家計の消費支出に占める食料費の割合を示す指標=数値が高いほど高い貧困率を表す〉が高くなっているという異常な現実がある。
25年の家計調査ではエンゲル係数が28・6%に上昇し、24年の28・3%を上回り、44年ぶりの高水準となった、という(朝日26・2・7)。これは05年から続く上昇で、世帯別年収の低位20%平均では33・1%と、支出の3分の1を食費が占めているという。
これら様々な生活苦の結果、すでに日本は人口減少時代に入っている。要因としては、未婚率の増加や少子化が指摘されているが、本稿で触れてきた労働者・生活者の様々な生活困難さが背景にあるのは間違いないだろう。
◆再配分をめぐる攻防戦
今回の飲食料品の消費減税をめぐる攻防は、要するに再配分・二次配分の在り方の問題だ。その焦点になっているのは、消費減税で失われる税収を何によって補うか、という問題だ。高市内閣は、現時点で確たることは明言していない。メディアなども、積極的には提言していない。
私たちとしては、何回も引き下げられてきた法人所得税の税率引き上げ、個人所得税の累進税率の引き上げ、消費税廃止と物品(奢侈品)課税。金融所得課税(20%)の引き上げ、金融取引税の創設など、本来、課税対象とすべきものは目の前にあるのだ、と強調したい。
今回の消費減税について、メディアや専門家の中にも、高額消費者のほうが恩恵が多い、という声が多い。減税額だけ取り上げればその通りだが、世界では飲食料品の消費税がゼロの国も、英国やカナダ、それにオーストラリアや韓国やインドネシアなど、少なくないのが実情で、食料品の消費税ゼロは、それほど突飛なものではないのだ。
表―4 挿入場所
仮に食料品非課税に関して、高額所得者の恩恵のほうが大きいとして反対するなら、別の課税で高額所得者への課税を強化すればいいだけだ。が、そんな声はメディアや専門家からはほとんど出てこない、あえてそれに触れないこと自体が不自然なのだ。
そもそも野田政権での自公民三党合意による2012年の「税と社会保障の一体改革」自体が財界や財務省ペースの選択だったのだ。少子高齢化などで確実に膨らむ社会保障費を、大衆課税の性格が色濃い消費増税と連結させること自体が、大衆増税の性格を持たせてしまったからだ。
未来の生産活動で利益を生み出す主体となる労働者の幼少期やリタイア後の生活保障は、安定した労働力の確保のためにも企業社会はそれを支える義務があり、各企業にはそれを引き受ける社会的責任を持たせるべきなのだ。
本来、課税の基本は、新たな富を生産する場面に課税すること、具体的には企業活動の結果生み出される剰余価値(企業利潤・利子・地代などに配分される)への課税を柱とするべきなのだ。現状はそうなっていないのが現実だ。
◆再配分での攻防から一次配分をめぐる攻防戦へ
政労資の利益配分をめぐる攻防戦は、まず一次配分としての利潤と賃金をめぐるせめぎ合いがあり、その上での再配分(二次配分)をめぐる攻防戦として、税財政、あるいは社会保険負担割合の是正などの攻防戦がある。
私たちとしては、それらの攻防戦で自分たちと家族の生活を維持・改善していくほかはないが、そのためには、個々の企業との闘いの他、強欲資本主義との闘いと対抗軸づくりが非可決だ。○その基盤は、まずは自分たち労働者の団結と闘い、そのためのまっとうな労組づくりが欠かせない。
現在の民間大労組(旧同盟系)の実態は御用組合だ。その主な役割は、かつては企業による闘う労組の破壊に加担する存在、現在は、個々の企業への〝まっとうな組合〟の侵入を阻止する存在になっている。
税をめぐる攻防戦は、より大きな攻防の舞台へと地続きになっていることを肝に銘じ、目先の攻防戦を闘い抜きたい。(廣)
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「チーム家来」の階級構造…チームみらいはなぜ高市政権に追随するのか
「チームみらい」は、AIエンジニアの安野貴博氏が2025年に結党した新興政党です。2025年7月の参議院選挙で国政政党の要件を満たす議席を獲得し、2026年の衆議院選挙では11議席へと躍進しました。「政治とカネの透明化」「テクノロジーを活用した熟議民主主義」を掲げ、既存政党の対立構図から距離を置く姿勢で若年層を中心に支持を広げてきた党です。
その一方で、この党の国会での投票行動には際立った特徴があります。皇室典範改正、国旗損壊罪、副首都構想——いずれも自民・維新の主要法案に、チームみらいは事実上賛成の立場を取ってきました。SNS上で「チーム家来」と揶揄される所以です。この現象を、特定企業による裏工作、あるいは単なる政局上の打算として理解するのは表層的です。むしろ問われるべきは、この党がどの資本フラクションを代表しているか、という構造的な問いだと考えます。
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党首・安野氏は東京大学工学部松尾豊研究室の出身であり、AIチャットボット企業やリーガルテック企業の創業者です。所属議員の多くも、2024年都知事選で安野氏を支援した同世代のテック層から構成されています。つまりチームみらいは、伝統的な重厚長大産業資本の代弁者ではなく、AI・スタートアップという新興資本フラクション(派閥)の、政治的な表現として捉えるべき存在なのです。
ここに高市政権の「経済安全保障」「成長戦略」を重ねると、両者の一致は偶然ではないことが見えてきます。2026年6月に公表された戦略17分野・62品目、総額370兆円超の官民投資計画のうち、AI・半導体分野への投資額は101.6兆円と突出して最大です。経済安全保障の名のもとで、国家が民間資本の蓄積条件を直接保証する——これはチームみらいの支持基盤にとって、まさに自らの利害と直結する政策にほかなりません。チーム家来は、国家独占資本主義の申し子なのです。
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皇室典範改正では党議拘束のない自由投票という体裁を取りながら、多くの議員が賛成に回りました。国旗損壊罪でも自民・維新・国民・参政の提出法案に賛成しています。副首都構想も、党のDX志向と親和的であるがゆえに、抵抗はほとんど見られません。個別の是非を超えて、これらはいずれも高市・与党ブロックの多数派形成に、結果として寄与する投票行動です。11議席という規模は、単独では法案を左右できないものの、与党にとって世論を二分する法案を左右する重みは持っています。党として明確に反対する理由を持たない勢力が、動員の対象として繰り返し与党に利用される構図が生まれます。
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したがって高市首相の「AIカテキョー(家庭教師)」を売り込んだり「与党にへばりついている」ように見える協力姿勢は、イデオロギー的な転向でも、個別の利益誘導でもありません。この党にとって自民党との物質的な階級利害の一致が根底に存在し、政治的立場はその多様な表現にすぎないのです。「熟議」「透明性」「対立を煽らない」という手続き的な自己規定、あるいは政治資金の可視化ツールの公開は、党の誠実さのアピールと見えたとしても、彼らの階級的立場を覆い隠す機能を同時に果たしています。これらを踏まえた「左右を超えた第三の道」とは、特定の階級的立場を解毒中和させる効果的な粉飾なのです。
「チーム家来」という揶揄が正確に射抜いているのは、この党が与党と階級的対抗軸を持たないがゆえに「皇室典範改正」などの直接「みらい」の利益と関係しない法案まで与党の多数派工作に動員される理由に他なりません。特定企業の献金による捕獲ではなく、特定資本フラクションとの強力かつ有機的な一致——ここにこそ、チームみらいの行動様式を読み解く鍵があると考えます。(六郎)
隠された戦線
■ウクライナ労働者の敵は誰か?
ウクライナの労働者・勤労者と兵士が置かれている状況を理解するには、ロシアによる侵略だけを見るのでは不十分です。確かにプーチンのロシアは「新たなウクライナ人民の支配者」を目指して進軍している敵です。しかし労働者・兵士らはロシア軍と戦いながら、同時に国内でも、戦争の負担を人民に押し付け、国家と資源を支配し私物化する「裏切り者」との闘いを強いられています。
ここで重要なのは、国内の支配層が一枚岩ではないことです。大きくいえば、旧来のオルガルヒ資本と、ゼレンシキー政権を中心に形成されてきた新しい政治・官僚・テクノロジー系エリートです。両者は利害をめぐって競争しますが、労働者の権利のはく奪や社会的負担をめぐっては、しばしば同じ側に立ちます。
■国内の資本勢力に支えられるゼ政権
旧来のオルガルヒは、ソ連崩壊後の民営化を通じて鉄鋼、エネルギー、金融、メディアなどを掌握してきました。アフメトフ、ポロシェンコ、コロモイスキーなどがその代表です。戦争によって彼らの資産と政治的影響力は大きく低下しましたが、消滅したわけではありません。現在もアフメトフ系のDTEKはウクライナ最大の民間エネルギー企業として重要な位置を占めています。
これに対して、2019年にゼレンスキーと「国民の僕」を押し出した勢力は、旧来の財閥・オルガルヒ政治を刷新する新しい西側的政治勢力として登場しました。しかし戦時体制の長期化は、単純な「脱オルガルヒ」をもたらしたわけではありません。大統領府への権力集中、官僚機構、軍・安全保障機関、テクノロジー企業、そこに旧来の財閥資本などが複雑に結びつき、新たな支配関係が形成されています。戦時体制構築と権力集中に応じて資金や物資(欧米からのも含む)が彼らの下に集約されています。
ゼレンスキーはこれら勢力を巧みに利用しつつ権力を維持しています。
■腐敗は兵士・労働者への裏切りである
権力が国家に集中すると広がるのが腐敗問題です。2025年11月には、国営エネルギー企業、とりわけ原子力企業エネルゴアトムをめぐる約1億ドル規模のリベート疑惑が発覚し、ゼレンスキーの旧知の人物ティムール・ミンディチも捜査対象となりました。戦争によって国家予算とエネルギー施設が極度に逼迫するなかで、こうした疑惑が生じたことは、前線の兵士や生産を担う労働者への裏切りです。支配者が戦争体制で私腹を肥やすことが蔓延したことを示しました。
ここで注目すべきなのは、ウクライナ人民がこれを黙って受け入れているわけではないことです。2025年夏には、反汚職機関NABUとSAPOの独立性を弱める国会決議と大統領の署名に対して全国で大規模な抗議が起こり撤回させました。
さらに2026年7月、ゼレンスキー大統領による国防相フェドロフの解任に対して、兵士・家族、退役軍人、労働者市民が街頭に出て抗議しました。彼は資材流通の透明化を推進し、汚職の巣窟である軍幹部層からの権限の奪取を意図し制服組と対立してきたからです。戒厳令下で数千人規模の抗議が複数都市で行われ、フェドロフ復帰を求める声が上がったのです。ゼレンスキーはトカゲのしっぽならぬシルスキー最高司令官を更迭しました。
戦争を実際に担っている兵士や労働者・勤労者市民が、国家の腐敗や軍事行政の不透明性に異議を唱えているのです。軍事物資の私物化・横流しは前線の兵士の生命に直結する犯罪です。
■政治の局外に立たされてきた労働者階級
ウクライナの最大の問題の一つは、労働者派のラーダの国会議員が不在であることです。もちろん労働者の地位は戦時下で構築された「ゼレンスキー政治ブロック」にも存在しません。労働者の利益を少しでも代弁する議席は約七年間存在しないのです。
かくして労働者階級の利益は中央政治アジェンダからほぼ完全に排除されているのが実態です。そればかりか「戦時下」と言う口実で、労働者の権利も労働組合の権利も資本家勢力からの攻撃にさらされてきました。この舞台は常にブルジョア派が占領する国会です。
労働者の主張は、すでに見たように戒厳令下で街頭抗議行動を決行する他はないのです。労働者は何よりもまず、自らの政治政党の結集を目指すべきです。闘う労働者党が必要です。現在では「社会運動=ソツィアルヌイ・ルフ」(社民派)がその労働者の利益をある程度代弁する貴重なグループです。「労働者自身が国の富を生み出し、国を守っているのだから、その運営について決定する権利を持つ」と言う基本的な主張は正当です。しかし、彼らの限界は国会議員が存在しないという事ではありません。「戦争遂行のために基幹産業を国家に集中せよ」と言いつつも、国家が腐敗した資本の国家であること暴露し糾弾し打倒を呼びかけないのです。これでは「国家への資本の集中」はゼレンスキーらの政策と違わず、対決することにはなりません。
防衛産業と重要インフラを労働者自身の手に取り戻し、ロシアとの戦いに対する裏切りである腐敗と私財の蓄積に汲々とするブルジョア勢力を放逐すべきです。国民の負担の分配を労働組合と兵士自身の代表が決める。それこそが、この二正面の闘いを、単なる苦役ではなく、解放へと転化させる唯一の道筋ではないでしょうか。(了)
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何でも紹介・・・資本主義の「墓堀人」としての労働者階級
☆「墓掘人」とは
「墓堀人」というのは、死体を葬るために穴を掘っている人のことで、マルクスは「資本主義はその歴史に沿って自らの墓堀人を生み出す」と言っており、この場合の葬られる「死体」は、ブルジョアジーの支配、つまり資本主義体制そのものです。
「自分自身の墓堀人」というのは、「墓穴を掘る」という言葉があるが、「身を滅ぼす原因を自分から作ることのたとえ」(大辞林)であり、マルクスは「資本主義はその歴史に沿って自らの墓堀人を生み出す」と言っており、 資本主義社会の墓掘人とは、資本主義社会の中で生み育てられ、資本主義社会を止揚し、資本主義社会に変わって新しい社会=アソシエーション社会の担い手である労働者階級のことである。
資本論を著作したマルクスは弁償的唯物論的発想により、人間社会における経済の発展と資本主義社会の限界と終焉を予測し、「資本主義はその歴史に沿って自らの墓堀人を生み出す」と述べている。
資本主義社会では少数である資本家達が土地や工場などの建物を所有しており、支配的所有関係で圧倒的多数者である労働者を含めて生産された商品全てが資本家階級の物となっている。国家権力を支配しているのは少数である資本家たちである。
資本家達は労働者達を働かせることによって得た利益でさらに大きな利益を得ようと大規模生産に向かい、資本主義的大工業の発展はより多くの労働者を必要として中間階級の没落と住民の圧倒的多数が労働者となり、プロレタリア化して資本家のもとで労働者は育てられ集団化していくのである。
労働者によって作り出された新しい価値は利潤=利益として資本家が保有し、利潤追求が最優先される。
資本主義社会では利潤追求が最優先される社会であるから利潤を生む労働者との対立は必然的に起こり、利潤追求のために労働強化や労働者への搾取強化が行われ、少数の持てる者と多数のも持たない者等差別が拡大し、社会問題の根本原因になっている。
所有関係において資本家達に支配されている労働者達だか、実際には新しい価値を造り出し、社会を発展させているのは、工場等で働く労働者であり、労働の担い手である労働者こそ社会の中心にならなければならないという主張と皮肉にもその労働者達を産み育て結集させて「墓掘人」として育成しているのが資本主義社会であるという主張は唯物論的弁証法によって導き出された科学的指摘である。
☆「墓掘人」は自然発生的に資本主義社会の「墓掘人」なり得ない!
資本主義社会は利潤追求の為に諸階級を解体し、多くの労働者を産み育て、個々の労働者を結びつけ団結させている、このことこそがマルクスが予言している「墓掘人」を資本主義社会が産み育てているということである。しかし、プロレタリアート=労働者達は自覚的に立ち上がるわけではない。搾取や労働強化を強いる資本家に対する自然発生的な闘いは必然的に起こるが、支配者である資本家からその支配を奪うための意識的な闘いを起こすまでには相当の時間と経験・教育が必要なのだ。
エンゲルスは『オイゲン・デューリング氏の科学の変革』(『反デューリング論』)およびそのダイジェスト版の『空想から科学への社会主義の発展』において,プロレタリアートが特権的な革命主体であることを平易に説いている。エンゲルスにとって,労働者階級は当然マルクス主義を受け入れる要素を持っているはずですが,現実のイギリスの労働者階級のなかにマルクス主義は浸透していかなかった。エンゲルスはその理由を「非プロレタリア的(ブルジョア的)」な「労働貴族」が労働組合運動を牛耳っていると指摘しており、資本主義体制の中に組み込まれ、その体制を支える役割を果たしている「労働者達」が生まれていることも指摘しています。
利潤追求の為には労働者の要求に一定の譲歩を示す限られた資本主義的"民主主義"があるからで、改良を重ねることによって資本主義社会を変えることができると考える人々も現れているということです。
利潤追求と私的所有と言う資本主義社会の根本的な課題を解決しない限り、少数の資本家と多数の労働者という支配と支配される関係はなくなりません。このことを多くの労働者達が認識しない限り、「墓掘人」とはなり得ないのです。
この「墓掘人」たる意識性を持つ為には、少数の資本家達の支配を変え様とする高度の知識や活動力を持った若い学生や学者等の知識人と先進的労働者集団が現れ、彼らが労働者大衆と深く結びつかなければならない。
労働者大衆を目覚めさせるための集団・組織は洗練された自覚した意識を持つ強固な組織で、最も優れた民主的な組織運営を行い、資本主義社会の限界と新しい社会の展望を示すことができるものでなくてはならない。
それは労働者階級を目覚めせさて新しい社会の中心として、社会を担い得る主体として成長させるためでもあり、労働者組織とは上下関係ではなく対等な関係を維持し、民主的な組織運営に基づき、お互いが切磋琢磨しなければならない。
意識的な働きかけの下自然発生的な労働者達の活動も目的意識を持った活動を行うようになり、「墓掘人」となることができるのです。「光」
国際刑事裁判所(ICC)に敵対するアメリカ それに物言えない高市総理 それってひどいね!
9月22日に米ニューヨークで始まった国連総会では、アメリカのトランプ大統領は、国際刑事裁判所(ICC)について、米国を不当に標的にする「邪悪な組織だ」と批判し、全ての加盟国に脱退を呼びかけました。
高市総理は、国連で就任後初めてとなる一般討論演説を行い、トランプ政権が敵視するICC=国際刑事裁判所について一貫して支持していると訴えました。
高市総理「戦後の日本は平和国家としていかなる紛争の解決においても法の支配を重視してきました。それは日本がICJ、ICC、様々な国際裁判所を一貫して支持し、判事を輩出していることにも表れています」
ただ、トランプ政権がICCの赤根智子所長を制裁対象に加えたことへの言及はありませんでした。言うべきことを言わない高市総理、腰抜けですよ。
直ちに総理の座から降りてください。
国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子所長(70)をアメリカ政府が制裁対象に指定しました。戦争犯罪などを裁くICCですが、大国のアメリカやロシア、中国は加盟していません。逮捕状が出されたロシアのプーチン大統領はいまだ捕まっていません。
国際刑事裁判所(ICC)について見ていきます。
ICCはオランダ・ハーグに位置する裁判所です。現在は日本を含む125の国と地域が加盟しています。約100の国・地域から来た900人以上のスタッフが働いています。国連からも独立しており、2026年の予算規模は1億9600万ユーロ(約360億円)で、主に加盟国で分担しています。
1998年にイタリア・ローマでの国際会議でICC設置の根拠規定が採択され、2002年に発効。2003年からICCの活動が始まりました。
赤根所長を含めて18人いる判事は加盟国から指名され、選挙を経て就任。任期は9年間。裁判は2審制で、第一審裁判部と上訴裁判部、それに逮捕状を出すかどうかなどを判断する予審裁判部があります。
ハーグには国際司法裁判所(ICJ)という似た名前の裁判所もありますが、ICJが国家間の領土問題などを裁くのに対し、ICCは個人の刑事責任を問うことを目的としています。
ICCが裁くのは、戦争などに伴って引き起こされる、国際的にも重大な罪を犯した個人。具体的には、民族や人種などを破壊する目的で集団殺害する「ジェノサイド犯罪」 軍人ではない住民らを殺害、拷問、奴隷化するといった「人道に対する犯罪」 捕虜の虐待や軍事目標以外への攻撃といった「戦争犯罪」 他国を侵略する国家指導者を対象にした「侵略犯罪」―の4つの犯罪に限られます。
こうした犯罪の中には、各国の法律でも罪に当たるものがありますが、独裁国家のため権力を握った指導者の行為が裁かれなかったり、国の混乱で裁判制度が機能しなかったりする場合、ICCの捜査・裁判の対象になる可能性があります。
捜査の開始には、加盟国や国連安全保障理事会がICCに「付託」と呼ばれる正式な捜査開始を要請をするか、検察局の検察官が自発的に捜査に乗り出すことを決め、予審裁判部が認める必要があります。
捜査の結果、必要があれば予審裁判部が逮捕状を発付します。加盟国の協力を得て容疑者を逮捕し、引き渡しを受けます。ここで改めて予審裁判部が証拠などを審理し、裁判が必要と判断した場合、第一審裁判部に「起訴」します。裁判の結果、有罪となれば無期または30年以下の拘禁刑が科されます。刑の執行は、協定を結んだヨーロッパの刑務所などで行われます。
ただICCが実際に捜査・裁判に乗り出すのは、犯罪となる行為がICCの加盟国内で行われたか、容疑者が加盟国の国籍である場合が原則です。加盟していない国でも、個別の事件について裁判を行ってもよいと当事国が認めた場合などには対象になります。
どういう場合に対象になるか、見てみます。ICCは2023年、ウクライナ侵攻を巡って占領地から子どもを連れ去ったことが戦争犯罪に当たるとして、ロシアのプーチン大統領に逮捕状を出しました。ロシアもウクライナも当時は加盟国ではなかったが、ウクライナがICCの関与を認めたためです。
2024年にはイスラエルのネタニヤフ首相にも逮捕状を出しました。パレスチナ自治区ガザでの戦闘を巡り、食料や水などの搬入を阻止して住民を飢餓状態に追いやった戦争犯罪や人道に対する罪を犯した疑い。イスラエルは加盟国ではないものの、パレスチナが加盟しているため、ICCの捜査対象になりました。
ICCは設立後、ウガンダにおける反政府勢力による住民虐殺事件をはじめ、コンゴやスーダンといったアフリカ諸国の事件を多く扱いこれまでに13の有罪判決と4の無罪判決を出しました。
ただICCには他国に押しかけて容疑者を追跡し、逮捕できるような権限はありません。そのため、ICCの逮捕状に基づいて加盟国が逮捕することになります。例えば、国内の「麻薬戦争」において密売人の超法規的な殺害を命じた疑いがもたれているフィリピンのドゥテルテ前大統領。「人道に対する罪」に当たるとして出された逮捕状に基づき同国の警察当局が2025年3月に逮捕し、ICC本部のあるハーグに移送されました。
ただ、こうした約束が守られない場合もあります。プーチン大統領は逮捕状が出た後の2024年、加盟国であるモンゴルを訪問しましたが、旧ソビエト連邦と関係が深かったモンゴルはプーチン大統領を逮捕しませんでした。モンゴルは各国から非難されたものの、ICCの取り組みの限界を示しています。
このICCで2024年から日本人初の所長を務めるのが赤根智子さんです。元々は日本の検察官で、函館地検検事正や法務総合研究所長、最高検察庁検事などを歴任し、2018年にICCの判事になりました。
ICC判事になってからはプーチン大統領に対して逮捕状を出すかどうかの審査や、アフガニスタンでの紛争を巡る戦争犯罪の捜査の可否判断などに関わりました。ネタニヤフ首相への逮捕状を出した際は所長に就任していました。
プーチン大統領への逮捕状が出されると、ロシアは赤根さんらを「無罪である人物に嫌疑をかけることを禁じたロシア刑法違反」容疑で指名手配して威嚇してきました。アフガニスタンの捜査を巡っては米兵が起訴されることを恐れたアメリカも強く反発しました。2020年、当時1期目だったトランプ大統領がICCの検察官らに対し、アメリカ国内の資産凍結などの制裁を科したこともありました。
そして2026年8月19日、アメリカ政府は赤根所長の資産凍結やアメリカへの渡航禁止といった制裁を科したと発表しました。「国家主権に対する攻撃を容認しない」と主張し、赤根氏らがアメリカ政府当局者を捜査、起訴する取り組みに加担したと指摘。イスラエルのネタニヤフ首相に対する逮捕状発付などへの反発が背景にあるのでは。
これに対し、赤根所長は8月26日の日本記者クラブ主催のオンライン会見で、「私には制裁を受ける理由は全くないと断言できる」と強調。「ICCに対する制裁は『法の支配』の危機だ。ICCがつぶれることはあってはならない」と述べました。
法の支配は日本政府も外交上、重要視してきました。
ただ、肝心な時に、アメリカに文句を言えない高市総理、総理失格です。直ちに総理を辞任してください。(河野)
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〝お手盛り〟の〝自社株買い〟による株主還元
大企業は巨額な内部留保をため込むほか、株主にも大盤振る舞いを続けている。先の指標でもこの4半世紀で、株主配当を8~9倍にも増やしてきた。なかでも露骨なのがいわゆる〝自社株買い〟だ。
これは、発行済みの自社株を買い集めて消却し、市中に出回る株数を減らすことで1株あたりの株価の上昇をもたらす、これも利益を株主に還元する一つの手法だ。
きっかけは23年3月、東京証券取引所が「株価を意識した経営」を求めたことで自社株買い(=株価上昇=配当増)が急増する。その自社株買い、13年度は総額2兆円ほどだった。が、23年度は8・6兆円、24年度は16・4兆円で1年でほぼ2倍に、過去10年では8倍超に膨らんだ。(朝日25・5・30)
この自社株買いは、株主による経営者への評価が高まることで、経営者報酬の引き上げが容易になり、結果的に最近の経営者報酬のうなぎ登りの増加へと繋がることになる。要するに、経営者と株主が結託して巨額の利益を山分けする構造になっているのだ。
対して、設備や研究開発投資への〝成長投資〟は、23年度まで10年間の伸び率は1・5倍程度だ(朝日 同)。
また直近でみても、株主配当は、24年度が18・9兆円で10年前の2・5倍(250%!)に膨らんでいる。他方で従業員の賃金は、24年度の上場企業の平均年間給与は、671万円で、10年前からの伸び率は13%でしかない。(朝日25・11・24)
結局、大企業やその利益団体である経団連は、人件費を抑えつつ、企業利益温存、株主優遇、それに経営者報酬の引き上げを推し進めるばかり。反面、今回の税制に関する「提言」では、企業増税反対・企業減税の継続や追加を要求する厚かましさは、まさしく〝強欲資本主義〟と言う他はない。
大手企業のこんな現状に対し、経産省の有識者会議も〝目先の株価引き上げより、「将来の投資に回した方が企業価値が上がる」〟と提言するほどだ。この期に及んでもなお大企業の減税ばかり要求する経団連の強欲資本主義こそ糾弾されるべきだ。私たちからすれば、もっと労働者の賃金に回すべきだ、と突きつけ、闘い取る以外にない。(廣)
色鉛筆・・・進む個人情報管理に異議あり 年金振込口座の公金受取口座登録は同意しない
9月の初め、私宛に簡易書留が届いた。何かと思い封を開けると「年金振込口座の公金受取口座登録に関する意向確認書」と書かれていた。これはなに?と不思議に思いながら説明文を読む『この度、公金受取口座登録法の改正により、年金振込口座の情報を厚生労働省からデジタル庁に提供し、公金受取口座として登録することが可能となりました』と。公金受取口座登録法が改正された?そんなことは知らないし、どうして私の所に届くの?と疑問だらけで調べてみた。
すると、公金受取口座登録法の改正は2023年6月に国会で可決・成立。この改正は「マイナンバー法等の一部改正法」に含まれる形で決まった。法改正により公金受取口座の登録を促進するために新たな「行政機関等経由登録の特例制度」が設けら、公金受取口座の未登録の65歳以上の年金受給者を対象に順次送付(26年8月~27年2月)していくということだった。やはりデジタル庁はマイナンバーとひもづける為に公金受取口座登録を用意していたのだ。なんと用意周到ではないか。3年前に法改正がされていたとは知らなかったが、こうした法改正が今の政府はやりたい放題にやっているからこの先増えていくのだろうか、歯がゆい思いだ。
さらに説明文は『公金受取口座として登録することに同意されるか、お客様のご意向を確認しております』と。強制ではないことが分かったが、デジタル庁は口座とマイナンバーを一体として、マイナンバーをつかんで私たちの個人情報を管理しようとしているのだ。公金受取口座登録に同意してはならない。
しかし、『公金受取口座はデジタル庁が登録を促進しており、公金受取口座への登録に同意される場合、お手続きは不要です』と、わざわざ下線を引いて目立つように太字で書いて目を引こうとしている。それよりも同意するかしないかの二通りの意向を確認するべきではないか。これではこの郵便物を事情があって見れない人も同意とみなされてしまう。手続きをしない人がたくさんいることを見込んでこの方法をやっているのだ。何て汚いやり方だろう。
また、同封されているパンフレットには『公金受取口座に登録させていただくことにより年金振込口座にて給付金等を受け取れるようになります』と大きな字で書かれていて『給付金の申請が簡単になります』『給付金(160種類以上)等がより早く受け取れます』と宣伝している。給付金はコロナ禍の時に1回だけもらったことがあったが面倒な申請ではなかった。マイナンバーの時と一緒でメリットだけを大宣伝して年金受給者を騙そうとしているのだ。デジタル庁に騙されてはならないと思い、私はすぐに「公金受取口座登録不同意申出書」を返送した。
私の身近に私と同じようにマイナンバーを持っていない65歳以上の年金受給者がいるが、その人達にはまだ届いていない。何故?私の所に届くのか。私とその人達の違いは仕事をしていることだけなのだ。謎は深まるが、順次送付されてくるだろう。届いたら「公金受取口座登録不同意申出書」に目隠しシールを貼って返送してデジタル庁に異議を示そう。(美)
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山岳遭難救助で有料化=カネでペナルティー換算される“安全登山”
119番の救急車の出動と同様に、警察や消防などの公的機関が行う山岳・海上の救助は、税金で賄われるため遭難者本人に直接請求されることは基本的にはない。海上では海上保安庁、山岳では警察・消防庁管轄の山岳救助隊が初動を担当し、ヘリコプターや人員の運用費も公費で賄われる。ただし、埼玉県など一部自治体では、防災ヘリの出動に対して条例に基づき手数料が発生する場合がある(例:5分ごとに5千~8千円、1時間で約6万円)
山岳遭難者が110番で救助要請すると、地元の山岳遭難対策協会(遭対協)組織に救助要請を依頼するかどうか求められる。民間の救助隊員は山小屋などに常駐し、遭難現場に一番近い場所にいるので、要請した場合、有料【救助隊員の日当:1日1人あたり2~3万円(積雪期や危険度に応じて増額)民間ヘリの出動:1時間あたり40~50万円、状況によっては1日50~100万円、長期捜索では数百万円規模になることも、その他 隊員の山岳保険料や実費:交通費、宿泊費、食費、消耗品(ロープなど)、スキー場設備使用料など】で救助活動し、公的な山岳救助隊(公費で活動)と連携しながら行動する。
こうした救助要請で公的機関のヘリコプターを利用し、民間の遭難対策班に救助を要請し、その費用13万円の請求があった事例で、この請求額が高いか安いかどうかネットで論議されていた。当の本人は「安い」と思っていると述べているのだが、問題は公的機関の救助・救難ヘリコプターの使用料や救助隊員の日当など含まれていないから遭難者に負担させるべきだという遭難ペナルティー的な罰金刑のような意味合いで含まれないのはおかしいとの声も見られた。
富士山を抱える山梨県と静岡県では【富士山】を観光事業の中心として世界に宣伝・勧誘してきた。夏山シーズンには富士山登山の環境整備の為に入山料を徴収しているが、閉山期については「極めて危険な閉山期の富士山に、十分な計画装備もなく入山した無謀登山者が遭難し、防災ヘリが救助した場合に救助事務に要する経費として手数料を徴収する」と山梨県・長崎知事が発言し静岡県側も同調し、救助ヘリコプターの出動費用請求をすることも含めて、閉山期における登山届を出さない遭難登山者に条例でペナルティーを科すことが決定され、両県ともに閉山期における登山の自粛を呼びかけている。
交通事故で違反があった場合罰金がかけられるが、かといって交通事故がなくなるわけでもないことは山岳遭難にも言える。ペナルティーを賭ければ一時的には自粛する効果はあるだろうが、山登りは昔から修行の意味もあり、自然への人間の"挑戦"であり、事故発生原因は個々人によって条件が異なるので、遭難救助にかかった費用は必要だが、"命"の相場などその評価は一概に決められない。
登山理由について、イギリスの探検・登山家ジョージ・マロリー(1886年6月18日ー1924年6月8日)の有名な言葉“理由なんていらない、山がそこに存在する。それだけで人は登る。」は「そこに山があるから」行為の純粋性(目的や利益ではなく、存在そのものが行動を引き起こす。)挑戦への欲求 (人は困難を見ると、理由を超えて挑みたくなる。)自然への敬意と魅了 (山は人を惹きつける圧倒的な存在であり、説明を超えた力を持つ。)など本能的な行為の動機を象徴している。
自分自身の見直しなど精神・宗教的な意味などの山岳登山や、近年では日常の余暇・スポーツとして人はそれぞれの理由を持って登山を楽しんでいる。生活環境の変化と高まりによって生まれた余裕によって、その余暇に、旅行や趣味・趣向など社会生活には欠かせない物の一つである。社会的有用性があるからこそレジャー産業が起こり、その需要を拡大発展させようとし、カネで換算しようとしているのが現代社会である。(M)
コラムの窓・・・内部告発は、社会を変える!
9月12・13日、「内部告発と市民オンブズ」を掲げ全国オンブズ第33回大会が兵庫で開催されました。2015年に神戸で開催された第22回大会「そんなんあかんで!役所と議会」から11年、今回は尼崎での開催となりました。
2015年は中心課題として政務活動費支出が取り上げられ、情報公開・監査請求・住民訴訟というサイクルによって支出の適正化を目指す取り組みが報告されています。今回、兵庫が開催地となったのはご存じの通り斎藤元彦兵庫県知事による「公益通報者保護法」違反、選挙を席巻するデマ攻撃との対決を意識したものでした。
立花孝志らによる苛烈な攻撃に晒された丸尾牧県議の地元での開催、金平茂紀さんによる記念講演「内部告発者を、裏切り、スパイと呼ぶ社会にしてはならない」はズバリ、今の荒れ果てた社会を告発する内容でした。金平さんが「内部通報が社会を揺るがせた最近の実例」として取り上げたのは、次の5件でした。
A 兵庫県・斎藤知事をめぐる内部通報
B 浜岡原発のデータ不正をめぐる内部通報
C 熊本日日新聞への自衛隊情報収集活動をめぐる内部通報
D 大川原加工機事件をめぐる内部通報
E 沖縄県知事選挙でのデマ・中傷をめぐる放任状態(内部通報の真空地帯)の深刻さ
ここに取り上げられている〝事件〟はどれも社会に深刻な影響を及ぼすものであり、もし告発によって表面化しないまま闇に葬られたらどうでしょう。
中部電力は浜岡原発を再稼働させ、取り返しのつかない事故を起こすことになるかもしれません。自衛隊は人々の情報を違法に収集し、好き勝手に監視するでしょう。中国敵視が蔓延するなかで、検察は自己顕示と手柄目当てに死者が出ても犯罪をでっち上げ続けるでしょう。そして、県外から大量デマ・誹謗中傷攻撃にさらされた玉城デニー知事、国家的支援を受けた候補の当選という結果。
沖縄県知事選はまさに兵庫県知事選のあとを追うものであり、今後もこうした知事選を〝遊び場〟とし、〝儲けの種〟とする連中によって歪められるでしょう。これほどまでに社会に悪意と不満が充満するなかで内部告発者を守れるのか、金平さんはオンブズマンの役割を提起しています。
ここで想起すべきは斎藤知事らを対象とした内部告発が、告発者のあぶりだしと弾圧にさらされ、内部告発者を死に至らしめたこと。その遺志を継いで少なくない県議が告発を前に進めましたが、その過程で竹内英明県議の辞職・死亡という痛ましい事態がありました。
そして、今も斎藤知事による公益通報者保護法違反が続く息苦しい兵庫の地で、丸尾県議を中心に全国からオンブズマンが結集して尼崎で大会を開催したことに胸を張っていいと思います。オンブズ活動は権力を監視し、情報公開請求等によってその悪事を市民の前に暴き、司法の場へと引きずり出す、国家であれ自治体という舞台であれ告発者であり続けること、ここにその存在価値があります。
そういえば、第22回大会では上脇博之神戸学院大学教授が「政務活動費の政治資金化について」講演を行っています。その上脇教授は今も一線で告発者であり続けるオンブズマンの鏡であり、私もひそかに伴走し続けたいと思う今日このごろです。 (晴)
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